【解決手段】アキュムレータは、圧力容器と、圧力容器内の液室とガス室の容積比が可変となるように、圧力容器の内部空間を液室とガス室とに隔てる隔壁部とを備える。圧力容器は、アキュムレータを支持部材に締結するためのねじ部を有する第1部分と、第1部分に接合されるとともに、アキュムレータを回動させるための工具が係合可能な工具係合部を有する一体物により構成される第2部分とを含む。第1部分と第2部分とは、互いに、ねじ部及び工具係合部と同軸のインロー嵌合部により嵌合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のアキュムレータは、溶接により複数の部材を接合して圧力容器を構成していたため、部品点数が多く、工数が嵩むという問題があった。また、複数の部材により構成することで、このアキュムレータを油圧回路に取り付けるためのねじ部と該ねじ部に回転力を付与するための工具係合部との同軸精度を確保することが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、ねじ部および工具係合部の同軸精度を容易に向上させることができるアキュムレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)幾つかの実施形態に係るアキュムレータは、
圧力容器と、
前記圧力容器内の液室とガス室の容積比が可変となるように、前記圧力容器の内部空間を前記液室と前記ガス室とに隔てる隔壁部と、を備えるアキュムレータであって、
前記圧力容器は、
前記アキュムレータを支持部材に締結するためのねじ部を有する第1部分と、
前記第1部分に接合されるとともに、前記アキュムレータを回動させるための工具が係合可能な工具係合部を有する一体物により構成される第2部分と、
を含み、
前記第1部分と前記第2部分とは、互いに、前記ねじ部及び前記工具係合部と同軸のインロー嵌合部により嵌合されたことを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、工具係合部を有する一体物により構成される第2部分は、ねじ部を有する第1部分に対してインロー嵌合により位置決めされるため、ねじ部および工具係合部の同軸精度を容易に向上させることができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のアキュムレータにおいて、
前記隔壁部は、前記ねじ部の前記軸方向に沿って伸縮するように構成されたベローズを含み、
前記第1部分は、
前記ベローズの内周側において前記液室に向かって突出する内筒部と、
前記内筒部から外周側に延在するように前記内筒部の端部に接続され、前記ベローズの一端が固定される内表面を有するフランジ部と、
をさらに含み、
前記第2部分は、
前記ねじ部の前記軸方向に沿って延在する外筒部と、
前記外筒部の前記第1部分とは反対側の端部に接続され、前記軸方向に直交する面内に沿って延在するとともに、前記工具係合部を有する底板部と、
を含む一体物により構成され、
前記フランジ部の前記内表面には、前記ベローズの前記一端の固定部の外周側において、前記第2部分がインロー嵌合するためのインロー嵌合部が形成される。
上記(2)の構成によれば、上記(1)に記載のアキュムレータと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるほか、特に、第1部分のフランジ部の内表面におけるベローズの固定部の外周側において、第1部分と第2部分との分割位置であるインロー嵌合部が形成される。このため、第1部分への第2部分の嵌合前の状態において、第1部分のフランジ部の外周側に第2部分が存在しないため、第1部分へのベローズの溶接作業を容易に行うことができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のアキュムレータにおいて、
前記第1部分は、前記内筒部及び前記フランジ部を含む一体物により構成される。
上記(3)の構成によれば、上記(1)に記載のアキュムレータと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるほか、特に、第1部分を一体物により構成することで、別体として作製された内筒部とフランジ部を溶接等により接合する場合に比べて、部品点数の削減によりコストの低減効果を見込める。また、内筒部とフランジ部の溶接工程が不要となるため、アキュムレータの製造工程が簡素化され、コストを低減できるだけでなく、品質管理を容易に行うことが可能となる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)に記載のアキュムレータにおいて、
前記工具係合部は、前記底板部から前記ガス室とは反対側に突出するように凸状に設けられる。
上記(4)の構成によれば、上記(2)又は(3)に記載のアキュムレータと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるほか、特に、工具係合部を底板部からガス室とは反対側に突出させることで、工具係合部の周囲における底板部を第1部分に近づけることができる。このため、ベローズのストローク長が同一である条件下において、工具係合部を底板部からガス室側に凹ませて形成する場合に比べて、第2部分の底板部及び外筒部によって形成されるガス室の容積を低減することができ、ガス室内にガス量の調整用に封入される流体の量を低減することができる。
【0012】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)に記載のアキュムレータにおいて、
前記工具係合部は、前記底板部から前記ガス室側に没入するように凹状に設けられる。
上記(5)の構成によれば、上記(2)又は(3)に記載のアキュムレータと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるとともに、工具係合部が底板部からガス室側に没入するように凹状に設けられたアキュムレータを得ることができる。
【0013】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のアキュムレータにおいて、
前記隔壁部は、前記ねじ部の前記軸方向に沿って伸縮するように構成されたベローズを含み、
前記第1部分は、
前記ねじ部の前記軸方向に沿って延在する外筒部と、
前記外筒部の前記第2部分とは反対側の端部に接続され、前記軸方向に直交する面内に沿って延在する底板部と、
を含み、
前記第2部分は、前記工具係合部が設けられるとともに、前記ベローズの一端が固定される内表面を有する蓋板部を含む一体物により構成され、
前記蓋板部の前記内表面には、前記ベローズの前記一端の固定部の外周側において、前記第1部分がインロー嵌合するためのインロー嵌合部が形成される。
上記(6)の構成によれば、上記(1)に記載のアキュムレータと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるほか、特に、第2部分の蓋板部の内表面におけるベローズの固定部の外周側において、第1部分と第2部分との分割位置であるインロー嵌合部が形成される。このため、第2部分への第1部分の嵌合前の状態において、第2部分の蓋板部の外周側に第1部分が存在しないため、第2部分(蓋板部)へのベローズの溶接作業を容易に行うことができる。
【0014】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載のアキュムレータにおいて、
前記工具係合部は、前記蓋板部から前記ガス室側に没入するように凹状に設けられる。
上記(7)の構成によれば、上記(6)に記載のアキュムレータと同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるほか、特に、工具係合部を蓋板部からガス室側に没入するように凹状に形成することで、蓋板部のうち工具係合部が設けられた領域を第1部分に近づけることができる。このため、ベローズのストローク長が同一である条件下において、工具係合部を蓋板部からガス室とは反対側に突出させて凸状に形成する場合に比べて、第2部分の蓋板部および第1部分の外筒部によって形成されるガス室の容積を低減することができ、ガス室内にガス量の調整用に封入される流体の量を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の幾つかの実施形態に係るアキュレータによれば、ねじ部および工具係合部の同軸精度を容易に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明の例示的な実施形態について説明する。ただし、以下に示す幾つかの実施形態に記載された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の幾つかの実施形態に係るアキュムレータ1の構成を示す縦断面図である。同図に示すように、アキュムレータ1は、圧力容器10と、圧力容器10内に収容され該圧力容器10の内部空間を液室16とガス室18とに隔てる隔壁部と、を備える。幾つかの実施形態において、アキュムレータ1は、上記隔壁部として、圧力容器10内に収容されたベローズ機構40を備えた所謂ベローズアキュムレータであってもよい。ベローズ機構40は、圧力容器10内の液室16(油室)とガス室18(気室)の容積比が可変となるように、圧力容器10の内部空間を仕切る。
このようなアキュムレータ1は、例えば、車両におけるブレーキ用又はクラッチ用の油圧回路等に接続されて用いられ、上記油圧回路との間で作動油(作動流体)の流出入を許容するように構成される。即ち、アキュムレータ1は、上記油圧回路における作動油の圧力変動(例えば、脈動等)を吸収したり蓄圧したりする緩衝装置として機能する。
【0019】
幾つかの実施形態において、アキュムレータ1は、ベローズ機構40(隔壁部)の内部が液室16とされ、同外部がガス室18(即ち、ガス貯留部)とされた、所謂、外ガスタイプのアキュムレータ1として構成され得る(例えば、
図1参照)。
【0020】
幾つかの実施形態において、圧力容器10は、溶接線14を介して互いに接合された第1部分20と第2部分30とを含む。
【0021】
まず、第2部分30の構成について説明する。
幾つかの実施形態において、第2部分30は、略円筒状の鋼材(鋼管)で形成された外筒部31と、この外筒部31における中心軸A方向の一端を閉塞するようにして略円形の平板状に形成された底板部32と、を含む。
幾つかの実施形態において、外筒部31は、ねじ部28の軸(中心軸A)方向に沿って延在している。幾つかの実施形態において、底板部32は、外筒部31に対して当該外筒部31において第1部分20とは反対側の端部に接続され、軸(中心軸A)方向に直交する面内に沿って延在している。
【0022】
幾つかの実施形態では、第2部分30は、外筒部31及び底板部32が同一部材により連続した一体物として形成されてもよい。つまり、第2部分30は、例えば、プレスや鍛造等の加工により、外筒部31と底板部32とが継ぎ目なく連続して形成され得る。幾つかの実施形態では、外筒部31と底板部32とが滑らかな曲面で繋がるように形成されてもよい。このようにすれば、圧力容器10を、例えば、応力集中による亀裂や腐食の発生が起き難い形状に構成することができる。
【0023】
幾つかの実施形態において、第2部分30の底板部32には、アキュムレータ1を上記中心軸A周りに回動させるための工具が係合可能な工具係合部33と、アキュムレータ1の外部から同内部のガス室18にガスを封入するための貫通孔34と、ガス室18へのガス封入後に貫通孔34を封止するためのガス封入栓35とが設けられている。
【0024】
幾つかの実施形態において、工具係合部33は、第2部分30の底板部32のうち、中心軸Aを中心に該中心軸A方向に沿って外側に突出する凸状に形成されてもよい(例えば、
図1及び
図2参照)。つまり、工具係合部33は、底板部32からガス室18とは反対側に突出するように凸状に設けられる。このような凸型の工具係合部33は、アキュムレータ1に対して中心軸A周りの回動力を付与するための工具を係合できればよく、例えば、三角、四角、五角、六角、八角等の多角形や星形(☆)等、種々の多角柱の形状に構成し得る。
このように、幾つかの実施形態に係るアキュムレータ1によれば、工具係合部33を底板部32からガス室18とは反対側に突出させることで、工具係合部33の周囲における底板部32を第1部分20に近づけることができる。このため、ベローズ41のストローク量が同一である条件下において、工具係合部33を底板部32からガス室18側に凹ませて形成する場合に比べて、第2部分30の底板部32及び外筒部31によって形成されるガス室18の容積を低減することができ、ガス室18内にガス量の調整用に封入される流体の量を低減することができる。
【0025】
他の実施形態では、工具係合部33は、底板部32のうち中心軸Aを中心に該中心軸Aに沿って内側に窪んだ形状(凹形状)に形成されてもよい(例えば、
図3参照)。このような凹形状の工具係合部33は、アキュムレータ1に対して中心軸A周りの回動力を付与するための工具を係合できればよく、例えば、プラス(+)又はマイナス(−)等に窪んだ凹形状の他、三角、四角、五角、六角、八角等の多角形や星形(☆)等、種々の形状に窪んだトルクス(登録商標)等であってもよい。
【0026】
幾つかの実施形態において、貫通孔34及びガス封入栓35は、中心軸Aに沿って配置(例えば、
図1参照)されてもよいし、中心軸A及び工具係合部33から半径方向に変位した位置にオフセットされて配置(例えば、
図2及び
図3参照)されてもよい。
幾つかの実施形態において、ガス封入栓35は、ガス室18へのガス封入後に、例えば、抵抗溶接等により底板部32に溶接されて取り付けられて貫通孔34を封止するようになっている。
【0027】
次に、第1部分20について説明する。
幾つかの実施形態において、第1部分20は、第2部分30の外筒部31の内側において上記外筒部31と同心に配置された有底筒状の内筒部21と、この内筒部21の一端から外周側(内筒部21の半径方向の外側)に向けて形成されたフランジ部22と、アキュムレータ1を支持部材に締結するためのねじ部28と、を含む。
【0028】
幾つかの実施形態において、内筒部21は、後述するベローズ41の内周側において液室16に向かって突出するように設けられる。内筒部21の底部21Aは、中心軸A方向に直交して延在する略円形の平板部であってもよく、この内筒部21における底部21Aの中央には、油圧回路(液圧回路)と液室16とを連通する少なくとも一つの貫通孔25が設けられる(例えば、
図1参照)。
【0029】
幾つかの実施形態において、フランジ部22は、内筒部21における支持部材側の端部から該内筒部21における半径方向の外側(外周側)に向けて延在するようにして内筒部21の端部に接続される。幾つかの実施形態では、内筒部21とフランジ部22とが溶接により接続されて一体とされる。
【0030】
幾つかの実施形態において、フランジ部22は、その最外周側の縁部において外筒部31の他端と接続される。つまり、フランジ部22は、その外径が外筒部31の外径と略同一となるように形成されている。
【0031】
幾つかの実施形態において、フランジ部22は、圧力容器10の内部側である液室16側に面した内表面22Aと、圧力容器10の外部側となる支持部材側に面した外表面22Bとを含む。内表面22Aにはベローズ41の一端である固定部41A(例えば、
図1参照)が溶接により固定される。溶接は、例えば、電子ビーム溶接やレーザービーム溶接等を用いてもよい。
【0032】
幾つかの実施形態において、フランジ部22の内表面22Aには、ベローズ41の一端の固定部41Aの外周側において、第2部分30がインロー嵌合するためのインロー嵌合部29が形成される。このため、幾つかの実施形態に係るアキュムレータ1によれば、第1部分20への第2部分30の嵌合前の状態において、第1部分20のフランジ部22の外周側に第2部分30が存在しないため、第1部分20へのベローズ41の溶接作業を容易に行うことができる。
【0033】
幾つかの実施形態において、ねじ部28は、フランジ部22の外表面22B側から中心軸Aに沿って外側に向け突設された凸部の外周面に形成されている。凸部の内側には中心軸A方向に沿って、圧力容器10内における内筒部21及びフランジ部22によって囲まれた空間と油圧回路とを連通する貫通孔26が形成されている。
【0034】
次に、ベローズ機構40について説明する。
幾つかの実施形態において、ベローズ機構40(隔壁部)は、ねじ部28の軸(中心軸A)方向に沿って伸縮するように構成された蛇腹状のベローズ41(金属ベローズ)と、ベローズ41の他端に接続された円板状のベローズキャップ42と、ベローズキャップ42の外周に設けられたベローズガイド43と、ベローズキャップ42の液室16側に設けられたシール44と、を含む。
【0035】
幾つかの実施形態において、ベローズガイド43は、油圧回路と液室16との間で作動油が流出入することに伴い液室16とガス室18との容積比が変更されると、その変動に応じてベローズ41、ベローズキャップ42及びシール44が中心軸A方向に沿って移動されるように案内するようになっている。幾つかの実施形態において、ベローズガイド43は、液室16とガス室18との間で気密性及び液密性が確保されるようにして外筒部21の内周面に当接される。幾つかの実施形態において、ベローズガイド43は、液室16とガス室18との容積比の変化に追従して、外筒部21の内周面に沿って(中心軸A方向に)該内周面上を摺動自在にスライド移動するように構成される。なお、
図1ではベローズ機構40が収縮して液室16の容積比が最小の状態を示している。
シール44(ステーセルフシール)は、ベローズ41が最も収縮した際、即ち、液室16の容積比が最小でガス室18の容積比が最大となった場合(例えば、
図1参照)に液室16を液密に封止する。
【0036】
幾つかの実施形態において、第1部分20と第2部分30とは、互いに、ねじ部28及び工具係合部33と同軸のインロー嵌合部29,39により嵌合される。このようにすれば、工具係合部33を有する一体物により構成される第2部分30は、ねじ部28を有する第1部分20に対してインロー嵌合により位置決めされるため、ねじ部28および工具係合部33の同軸精度を容易に向上させることができる。
【0037】
フランジ部22(第1部分)側のインロー嵌合部29と、外筒部31(第2部分)側のインロー嵌合部39とは、圧力容器10の外筒部31及び工具係合部33と、圧力容器10のねじ部28とが同軸を確保できる態様であればどのような形状でもよく、種々の嵌合形態をとり得る。
【0038】
幾つかの実施形態において、インロー嵌合部39は、例えば、
図4に示すように、外筒部31における中心軸A方向の他端側の内周側が第1部分20側に向けて環状に突出する凸部とされ、外筒部31の外周面側が凹部とされていてもよい。この場合、フランジ部22の内表面22Aにおける外周側の縁部が上記凸部と嵌合する凹部とされ、最外周側が上記凹部と嵌合する環状の凸部とされる。
【0039】
また、幾つかの実施形態において、インロー嵌合部39は、例えば、
図5に示すように、外筒部31における中心軸A方向の他端側の外周側が第1部分20側に向けて環状に突出する凸部とされ、外筒部31の内周面側が凹部とされていてもよい。この場合、フランジ部22の内表面22Aにおける最外周側の縁部が上記凸部と嵌合する凹部とされ、該凹部の内側が上記凹部と嵌合する凸部とされる。
【実施例2】
【0040】
幾つかの実施形態では、例えば、
図6に示すように、所謂、外ガスタイプのベローズ機構140を有するアキュムレータ101を、第1部分120が、内筒部121及びフランジ部122を含む一体物により形成されるように構成してもよい。つまり、第1部分120は、例えば、プレスや鍛造等の加工により、内筒部121とフランジ部122とが継ぎ目なく連続して形成され得る。幾つかの実施形態では、内筒部121とフランジ部122とが滑らかな曲面で繋がるように形成されてもよい。このようにすれば、圧力容器110を、例えば、応力集中による亀裂や腐食の発生が起き難い形状に構成することができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、第1部分120は、フランジ部122における半径方向の最も外側(即ち、フランジ部122の最外周面)に、アキュムレータ101を支持部材に締結するためのねじ部128を設けてもよい。この場合、第2部分130における外筒部131のうち、中心軸A方向において第1部分120側となる端部の外周には、上記ねじ部128に連続するねじ部を形成してもよい。
【0042】
幾つかの実施形態において、第1部分120と第2部分130とは、互いに、ねじ部128及び工具係合部133と同軸のインロー嵌合部129,139により嵌合される。
具体的には、幾つかの実施形態において、フランジ部122の内表面122Aには、ベローズ141の一端の固定部141Aの外周側において、第2部分130がインロー嵌合するためのインロー嵌合部129が形成される。インロー嵌合部129は、フランジ部122の外周側の端部にねじ部128と隣接するようにして設けられていてもよい。
【0043】
フランジ部122(第1部分)側のインロー嵌合部129と、外筒部131(第2部分)側のインロー嵌合部139とは、圧力容器110の外筒部131及び工具係合部133と、圧力容器110のねじ部128とが同軸を確保できる態様であればどのような形状でもよく、種々の嵌合形態をとり得る。例えば、
図6に示すように、外筒部131における中心軸A方向の他端側の内周側が第1部分120側に向けて環状に突出する凸部とされ、外筒部131の外周面側が凹部とされていてもよい。この場合、フランジ部122の内表面122Aにおける外周側の縁部が上記凸部と嵌合する凹部とされ、最外周側が上記凹部と嵌合する環状の凸部とされる。また、インロー嵌合部129、139は、例えば、
図5に示したように、各々の凹凸が内周側と外周側とで
図6と逆の態様であってもよい。
幾つかの実施形態において、フランジ部122の外表面122Bには支持部材に当接する当接部23が形成され得る。つまり、第1部分120は、アキュムレータ1の支持部材への締結状態において支持部材と当接するように構成された当接部23を含んでもよい。当接部23は、フランジ部122の外周側の一部が支持部材側に突出するようにして、所定の厚さを有する円環状の凸部として形成されてもよい。幾つかの実施形態において、当接部23は、支持部材と面接触するように所定の幅(厚さ)を有して形成される。他の実施形態では、当接部23は、支持部材と線接触するように比較的薄く形成されてもよい。この当接部23は、ねじ部128によってアキュムレータ1が支持部材に取り付けられた際に、当該当接部23、ねじ部128及びOリング12等によって油圧回路の作動油を適切に封止し得るように、その厚さや形状、位置を適宜設計し得る。
【0044】
上記のように構成すれば、工具係合部133を有する一体物により構成される第2部分130は、ねじ部128を有する第1部分120に対してインロー嵌合により位置決めされるため、ねじ部128および工具係合部133の同軸精度を容易に向上させることができる。
【0045】
上記の幾つかの実施形態に係るアキュムレータ101によれば、ねじ部128及び工具係合部133の両方が、一体物として構成される第1部分120に形成されるので、ねじ部128及び工具係合部133の同軸精度を容易に向上させることができる。
幾つかの実施形態に係るアキュムレータ101によれば、第1部分120を一体物により構成することで、別体として作製された内筒部とフランジ部を溶接等により接合する場合に比べて、部品点数の削減によりコストの低減効果を見込める。また、内筒部121とフランジ部122との溶接工程が不要となるため、アキュムレータ101の製造工程が簡素化され、コストを低減できるだけでなく、品質管理を容易に行うことが可能となる。
【実施例3】
【0046】
幾つかの実施形態において、アキュムレータ201は、ベローズ機構240(隔壁部)の外部が液室216とされ、同内部がガス室218(ガス貯留部)とされた、所謂、内ガスタイプのアキュムレータ201として構成されてもよい(例えば、
図7参照)。
【0047】
幾つかの実施形態において、圧力容器210は、溶接線214を介して互いに接合された第1部分220と第2部分230とを含む。
【0048】
第1部分220は、略円筒状の鋼材(鋼管)で形成された外筒部221と、この外筒部221における中心軸A方向の一端を閉塞するようにして略円環の平板状に形成された底板部222と、を含む。幾つかの実施形態において、外筒部221は、ねじ部228の軸方向に沿って延在する。底板部222は、外筒部221に対して当該外筒部221において第2部分230とは反対側の端部に接続され、軸(中心軸A)方向に直交する面内に沿って延在する。
【0049】
幾つかの実施形態では、第1部分220は、外筒部221及び底板部222が同一部材により連続した一体物として形成されてもよい。つまり、第1部分220は、例えば、プレスや鍛造等の加工により、外筒部221と底板部222とが継ぎ目なく連続して形成され得る。幾つかの実施形態では、外筒部221と底板部222とが滑らかな曲面で繋がるように形成されてもよい。このようにすれば、圧力容器210を、例えば、応力集中による亀裂や腐食の発生が起き難い形状に構成することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、底板部222の内周側にポート223が接続される。幾つかの実施形態において、ポート223と底板部222とは、溶接により互いに一体に形成される。幾つかの実施形態では、ポート223の外周にねじ部228が形成される。ねじ部228は、中心軸Aと同軸に形成される。幾つかの実施形態では、このように、外筒部221と底板部222とポート223とを一体とすることで第1部分220として機能させてもよい。
【0051】
図7乃至10に示すように、幾つかの実施形態において、第2部分230は、工具係合部233が設けられるとともに、ベローズ241の一端が固定される内表面236Aを有する蓋板部236を含む一体物により構成される。
【0052】
幾つかの実施形態では、工具係合部233は、第2部分230の蓋板部236のうち、中心軸Aを中心に該中心軸A方向に沿って外側に突出する凸状に形成されてもよい(例えば、
図7、9及び10参照)。
【0053】
幾つかの実施形態において、工具係合部233は、蓋板部236からガス室218側に没入するように凹状に設けられてもよい(例えば、
図8参照)。
【0054】
幾つかの実施形態において、蓋板部236の内表面236Aには、ベローズ241の一端の固定部241Aの外周側において、第1部分220がインロー嵌合するためのインロー嵌合部239が形成される。
【0055】
幾つかの実施形態において、インロー嵌合部239は、例えば、
図9に示すように、蓋板部236の内表面236Aにおける外周側の縁部が第1部分220側に向けて環状に形成された段部とされ、最外周側が凹部とされる。この場合、外筒部221における中心軸A方向の他端側の内周側が上記段部と嵌合する凹部とされ、外筒部221の外周面側が環状の凸部とされていてもよい。
【0056】
また、幾つかの実施形態において、インロー嵌合部229は、例えば、
図10に示すように、外筒部221における中心軸A方向の他端側の内周側が第2部分230側に向けて環状に突出する凸部とされ、外筒部221の外周面側が凹部とされていてもよい。この場合、蓋板部236の内表面236Aにおける最外周側の縁部が上記凸部と嵌合する凹部とされ、該凹部の内側が上記凹部と嵌合する凸部とされる。
【0057】
幾つかの実施形態において、ベローズ機構240は、圧力容器210内の液室216とガス室218との容積比が可変となるように、圧力容器210の内部空間を液室216とガス室218とに隔てる隔壁部として機能する。幾つかの実施形態において、ベローズ機構240は、ねじ部228の軸(中心軸A)方向に沿って伸縮するように構成された蛇腹状のベローズ241(金属ベローズ)と、ベローズ241の他端に接続された円板状のベローズキャップ242と、ベローズキャップ242の外周に設けられたベローズガイド243と、ベローズキャップ242の液室216側に設けられたシール244と、を含む。
【0058】
幾つかの実施形態において、ベローズガイド243は、油圧回路と液室216との間で作動油が流出入することに伴い液室216とガス室218との容積比が変更されると、その変動に応じてベローズ241、ベローズキャップ242及びシール244が中心軸A方向に沿って移動されるように案内する。幾つかの実施形態において、ベローズガイド243は、液室216とガス室218との間で気密性及び液密性が確保されるようにして外筒部121の内周面に当接される。幾つかの実施形態において、ベローズガイド243は、液室216とガス室218との容積比の変化に追従して、外筒部221の内周面に沿って(中心軸A方向に)該内周面上を摺動自在にスライド移動するように構成される。なお、
図7ではベローズ機構240が伸長して液室216の容積比が最小の状態を示している。
シール244(ステーセルフシール)は、ベローズ141が最も伸長した際、即ち、液室216の容積比が最小でガス室118の容積比が最大となった場合(例えば、
図7参照)に液室116を液密に封止する。
【0059】
上述した幾つかの実施形態に係るアキュムレータ201によれば、第2部分230の蓋板部236の内表面236Aにおけるベローズ241の固定部241Aの外周側において、第1部分220と第2部分230との分割位置であるインロー嵌合部239が形成される。このため、第2部分230への第1部分220の嵌合前の状態において、第2部分230の蓋板部236の外周側に第1部分220が存在しないため、第2部分230(蓋板部236)へのベローズ241の溶接作業を容易に行うことができる。
【0060】
幾つかの実施形態に係るアキュムレータ201によれば、工具係合部233を蓋板部236からガス室218側に没入するように凹状に形成することで、蓋板部236のうち工具係合部233が設けられた領域を第1部分220に近づけることができる(
図8参照)。このため、ベローズ241のストローク長が同一である条件下において、工具係合部233を蓋板部236からガス室218とは反対側に突出させて凸状に形成する場合(例えば、
図7,9及び10参照)に比べて、第2部分230の蓋板部236および第1部分220の外筒部221によって形成されるガス室218の容積を低減することができ、ガス室218内にガス量の調整用に封入される流体の量を低減することができる。
【0061】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変更を加えた形態や、これらの形態を組み合わせた形態も含む。