特開2018-15101(P2018-15101A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2018015101-斜軸撹拌釜 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-15101(P2018-15101A)
(43)【公開日】2018年2月1日
(54)【発明の名称】斜軸撹拌釜
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20180105BHJP
   A47J 43/046 20060101ALI20180105BHJP
   A47J 43/07 20060101ALI20180105BHJP
   A47J 37/04 20060101ALI20180105BHJP
【FI】
   A47J27/14 Q
   A47J43/046
   A47J43/07
   A47J37/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-146150(P2016-146150)
(22)【出願日】2016年7月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 馨
(72)【発明者】
【氏名】森本 守
(72)【発明者】
【氏名】中井 保次郎
【テーマコード(参考)】
4B040
4B053
4B054
【Fターム(参考)】
4B040AA01
4B040AC08
4B040AD07
4B040LA08
4B040LA11
4B053AA01
4B053BA14
4B053BC02
4B053BE04
4B053BJ02
4B053BJ07
4B053BJ16
4B053BL01
4B054AA03
4B054AA16
4B054CD02
4B054CH01
4B054CH11
(57)【要約】
【課題】撹拌容器内への食材投入時に食材がアームにあたって撹拌容器外にこぼれ出ることを防ぐことのできる斜軸撹拌釜を提供する。
【解決手段】食材を収容する撹拌容器1、撹拌容器の底部を貫通させて撹拌容器内で斜めに設置している回転軸4、前記回転軸にアーム5を介して接続した撹拌羽根6、撹拌容器から外側に突き出た部分の回転軸と接続している駆動装置7、駆動装置に対する作動指令の出力等を行う制御装置8を持ち、回転軸を回転させることで回転軸に接続した撹拌羽根は斜め方向の成分を持った回転を行う斜軸撹拌釜において、撹拌羽根の位置を検出する羽根位置検出装置9を設置しておき、制御装置8は、撹拌羽根の回転を停止する場合に羽根位置検出装置9にて羽根位置の検出を行い、回転軸が適切な位置にあることを検出して撹拌羽根の回転を停止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容する撹拌容器、撹拌容器の底部を貫通させて撹拌容器内で斜めに設置している回転軸、前記回転軸にアームを介して接続した撹拌羽根、撹拌容器から外側に突き出た部分の回転軸と接続している駆動装置、駆動装置に対する作動指令の出力等を行う制御装置を持ち、回転軸を回転させることで回転軸に接続した撹拌羽根は斜め方向の成分を持った回転を行う斜軸撹拌釜において、
回転軸の回転位置を検出する羽根位置検出装置を設置し、制御装置は、撹拌羽根の回転を停止する場合に羽根位置検出装置にて回転軸の回転位置を検出するようにしておき、回転軸が適切な位置にあることを検出して撹拌羽根の回転を停止することができるようにしているものであることを特徴とする斜軸撹拌釜。
【請求項2】
請求項1に記載の斜軸撹拌釜において、羽根位置検出装置は、撹拌容器から外側に出ている部分の回転軸に、回転軸に対して垂直方向に突出させた、回転軸の回転に連動して回転する位置検出用突起体と、位置検出用突起体の接近を検出する近接スイッチからなるものであることを特徴とする斜軸撹拌釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌容器内底部から斜め方向に回転軸を設置し、撹拌容器内で回転軸と接続した撹拌羽根を斜め方向に回転することで食材を持ち上げるようにして撹拌しながら加熱調理を行う斜軸撹拌釜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工場などで使用されている調理釜として、実公昭55−27433号公報に記載があるように、撹拌容器と撹拌装置からなる斜軸撹拌釜が知られている。この斜軸撹拌釜は、撹拌容器底部を斜め方向に貫く回転軸を設け、回転軸には撹拌容器の内壁面方向に延びる複数のアームを設置し、アームの先端に撹拌羽根を設置している。実公昭55−27433号公報の斜軸撹拌釜では、斜めに設置した回転軸の周面に3方向に延びるアームを設置し、アーム先端に撹拌羽根を設置している。この場合、各アームは等間隔に設置するために各アーム間の角度は120°となる。
【0003】
この斜軸撹拌釜では、回転軸は撹拌容器の外側に設置している駆動装置に接続し、駆動装置によって回転軸を軸回転することで、撹拌羽根の回転を行う。斜軸撹拌釜の場合、回転軸を斜めにすることによって撹拌羽根は垂直方向と水平方向の混ざった斜め方向での回転を行うことになる。
【0004】
撹拌羽根の回転が水平方向のみであると、大きめの固形物を含んだ食材を加熱する場合などでは、撹拌羽根は固形物を撹拌容器内面に沿って押すだけとなって、固形物は同じ面が撹拌容器壁面に接触し続けるということがあった。その場合、その固形物の一部では強く加熱され続けることによって焦げが発生し、調理食品の品質を低下させることがあった。
【0005】
撹拌羽根を斜め方向に回転させると、撹拌羽根は食材をすくい上げるように撹拌することになり、撹拌羽根が回転軸の上側に回ると撹拌羽根の角度が急になるためにすくい上げた食材は撹拌羽根から転げ落ちる。そのために加熱する食材に固形物があった場合でも、食材全体を大きく撹拌することができ、部分的な加熱を防止しつつ加熱することができる。
【0006】
しかしこの斜軸撹拌装置では、撹拌羽根を接続するアームが斜めになっていることによる不都合が発生した。撹拌容器は上面を開口しており、食材は撹拌容器の上方から撹拌容器内へ投入しているが、食材投入時に、上側となったアームに投入した食材があたることで食材の落下方向が変わり、一部の食材が撹拌容器外にこぼれ出るということがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭55−27433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、撹拌容器内に斜めの回転軸を設置し、回転軸と接続しているアームを介した撹拌羽根を斜め方向に回転するようにしている斜軸撹拌釜において、撹拌容器内への食材投入時に食材がアームにあたって撹拌容器外にこぼれ出ることを防ぐことのできる斜軸撹拌釜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、食材を収容する撹拌容器、撹拌容器の底部を貫通させて撹拌容器内で斜めに設置している回転軸、前記回転軸にアームを介して接続した撹拌羽根、撹拌容器から外側に突き出た部分の回転軸と接続している駆動装置、駆動装置に対する作動指令の出力等を行う制御装置を持ち、回転軸を回転させることで回転軸に接続した撹拌羽根は斜め方向の成分を持った回転を行う斜軸撹拌釜において、
回転軸の回転位置を検出する羽根位置検出装置を設置し、制御装置は、撹拌羽根の回転を停止する場合に羽根位置検出装置にて回転軸の回転位置を検出するようにしておき、回転軸が適切な位置にあることを検出して撹拌羽根の回転を停止することができるようにしているものであることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記の撹拌釜において、羽根位置検出装置は、撹拌容器から外側に出ている部分の回転軸に、回転軸に対して垂直方向に突出させた、回転軸の回転に連動して回転する位置検出用突起体と、位置検出用突起体の接近を検出する近接スイッチからなるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明を実施することで、撹拌容器内への食材投入時に食材が撹拌羽根のアームにあたって撹拌容器外にこぼれ出ることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を実施している斜軸撹拌釜の断面側面図
図2】本発明を実施している斜軸撹拌釜の正面図
図3】本発明を実施している斜軸撹拌釜のアームの1本が回転軸の真下位置にある状態での平面図
図4】本発明を実施している斜軸撹拌釜のアームの1本が回転軸の真上位置にある状態での平面図
図5図1の一部を抜き出しての撹拌羽根位置によるアーム高さの比較図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施している斜軸撹拌釜の断面側面図、図2は本発明を実施している斜軸撹拌釜の正面図、図3は本発明を実施している斜軸撹拌釜のアームの1本が回転軸の真下位置にある状態での平面図、図4は本発明を実施している斜軸撹拌釜のアームの1本が回転軸の真上位置にある状態での平面図、図5図1の一部を抜き出しての撹拌羽根位置によるアーム高さの比較図である。
【0014】
本発明の実施例である斜軸撹拌釜は、半球状の底部を持った撹拌容器1と撹拌容器内を撹拌する撹拌装置を持ち、撹拌容器1の下方に撹拌容器内の食材を加熱するための蒸気ジャケット2を持つ。蒸気ジャケット2は、途中に蒸気弁10を持った蒸気供給配管を接続しており、蒸気弁10を通じて蒸気ジャケット2内へ高温の蒸気を導入することができるようにしている。蒸気弁10の開閉操作は、撹拌釜の運転を制御する制御装置8を設けておき、制御装置8からの指令で蒸気釜10の開閉を制御する。蒸気ジャケット内に蒸気を導入することで、撹拌容器1内に収容した食材3の加熱を行うことができる。
【0015】
撹拌容器1内には、底部の中心からずらした位置を貫き、撹拌容器内では斜め方向に設置した斜軸の回転軸4を設ける。回転軸4には撹拌容器1の内壁面方向に延びる3本のアーム5を設置し、各アーム5の先端に撹拌羽根6を設置している。回転軸4に設置する3本のアーム5は、回転軸周面に等間隔で設置しており、各アーム間の角度は120°としている。
【0016】
回転軸4は撹拌容器1の外側に設置している駆動装置7に接続し、回転軸4を軸回転させることで撹拌羽根6を回転させる。撹拌羽根6が撹拌容器1の内面に沿って回転するように、回転軸から撹拌容器内面に向けてアーム5を設置しておく。
【0017】
撹拌羽根6を回転させる回転軸4は、斜めに設置しているため、撹拌羽根6は斜め方向に回転する。斜めに回転する撹拌羽根6は、撹拌容器内の食材をすくい上げることになり、すくいあげた食材は、撹拌羽根に乗せて持ち上げられた後に、撹拌羽根が高い位置にくると、撹拌羽根の上から転がり落ちる。食材内の固形物は、転がり落ちる際に回転することになり、食材を大きく撹拌することができる。
【0018】
回転軸4には撹拌羽根6の位置、つまり回転軸4の回転位置を検出するための羽根位置検出装置9を設けておく。羽根位置検出装置9は、撹拌容器1から外側に出ている部分の回転軸4に、軸芯に対して垂直方向に突出させた、回転軸4の回転に連動して回転する位置検出用突起体12と、位置検出用突起体12の接近を検出する近接スイッチ13などが考えられる。回転軸4が1周するごとに位置検出用突起体12が近接スイッチ13に接近して遠ざかっていくため、最接近点を検出することで撹拌羽根の位置を検出することができる。
【0019】
制御装置8では、羽根位置検出装置9を通じて撹拌羽根6およびアーム5の位置を検出しておき、3本あるアームの内の1本が真下位置にあることを確認して駆動装置7の作動を停止するようにする。
【0020】
従来の撹拌釜での撹拌停止は、所定の撹拌時間が終了した瞬間に制御装置8から駆動装置7に対して作動停止の指令を出力して回転軸の回転を停止させていた。その場合にはアームの停止位置は毎回異なることになり、アームが図4に記載しているように回転軸上の真上位置にある状態で回転を停止することもある。本実施例での回転停止は、設定しておいた撹拌時間が終了し、かつ位置を検出しているアーム及び撹拌羽根が真下位置にある場合とし、所定の撹拌時間が終了しても撹拌羽根の位置が下方にあることが検出されるまでは、駆動装置の稼働を継続する。撹拌時間終了後に羽根位置検出装置9によって羽根位置が下方にあることを検出すると、駆動装置7の作動を停止して撹拌を停止する。
【0021】
アーム5は回転軸4の周囲を3等分した位置に設けているため、アームの全てが回転軸の下側になるということはない。しかし、図3から図5に示しているように、回転軸の真上にアームがある状態と、回転軸の真下にアームがある場合では、状態が異なる。
【0022】
撹拌容器の上から行う撹拌容器への食材の投入は、撹拌釜の正面側から行うようにしている。回転軸4とアーム5は、食材投入時に邪魔になることを防ぐため、回転軸4の上端は撹拌釜の正面から遠い側となるように設置している。しかし、アームは回転するため、アームの位置によって食材を投入しやすい状態と投入しにくい状態がある。図に記載の実施例では、アーム5は回転軸から等間隔で3方向に延びている。そのため図3に記載しているように1本のアーム5が回転軸4の真下にあるとき、残り2本のアームは真上から見た場合に回転軸4を中心として左右に大きく開いたものとなる。この場合、開いたアームの間部分に食材を投入するようにすれば、アームにあたることなく食材を投入することができる。逆に図4に記載しているように1本のアーム5が回転軸4の真上にあるとき、残り2本のアームは回転軸4よりも下方になるが、上側にあるアームが食材投入位置と重なることになる。この場合、撹拌容器の中央部分に食材を投入するようにすれば、食材はアームにあたることになる。
【0023】
また図5では、左側は1本のアーム5が回転軸の真上位置にある状態であり、右側は1本のアームが回転軸の真下位置にある状態としている。左側の1本のアーム5が回転軸4の真上にある場合、他の2本のアーム5は回転軸より下側となるが、上側となるアームは真っ直ぐ上側に延びることになり、上向きの成分が大きいためアーム5の頂部は高くなる。
【0024】
逆に右側の1本のアーム5が回転軸4の真下にある場合、他の2本のアーム5は回転軸より上側となるが、上側となるアームは左右に開く方向に延びており、上向きの成分は小さいためアーム5の頂部はあまり高くなっていない。
【0025】
食材投入時に食材が撹拌容器外へこぼれ出る原因は、食材がアームに接触して落下のコースが変わり、食材が撹拌容器壁面を超えて容器外にこぼれ出るというものである。回転軸の真上でアームが左右に大きく開いている状態の時には、アームに当たらないように食材を投入できることになり、さらにアームの頂部が低くなった位置で食材を投入することになるために、食材がアームに当たったとしても撹拌容器の壁面を超えて容器外にこぼれ出る可能性も低くすることができる。
【0026】
なお、回転軸から3方向にアームを設置している本実施例では、アームの1本が回転軸の真下位置に来た時に、回転軸の上側ではアームが広く開くことになるが、アームが偶数になった場合にはアームの1本が回転軸の真下位置に来たときに回転軸の真上位置に別のアームが来る。そのため、アームの頂部が低くなる位置となる回転軸の回転位置は、アームの状態によって調節する必要がある。例えばアームが4本であれば、アームの頂部が低くなる位置は、アームが水平となる位置から45°回った位置の時にアームの頂部が低くなる位置となる。
【0027】
加熱調理が終了すると、調理済みの食材は撹拌容器上部の開口部より取り出す。撹拌容器1を傾けることができるようにしておくと、撹拌容器内からの食材の取り出しは容易に行うことができる。
【0028】
このように、撹拌羽根6の停止位置を調節することで、食材の投入時に食材が撹拌容器からこぼれ出ることを防止することができる。
【0029】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 撹拌容器
2 蒸気ジャケット
3 食材
4 回転軸
5 アーム
6 撹拌羽根
7 駆動装置
8 制御装置
9 羽根位置検出装置
10 蒸気弁
11 近接スイッチ
12 位置検出用突起体
図1
図2
図3
図4
図5