【解決手段】波ワッシャ40は、軸線Lの周りに形成されて波状をなす環状の本体60と、本体60から内方または外方に突出する少なくとも1つの突出片70と、を備える。少なくとも1つの突出片70は、軸線Lに垂直な第1平坦面81または第2平坦面82を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来、種々のワッシャが知られている。しかしながら、上記した従来のワッシャは、ワッシャを挟む部品との接触により摩耗しやすい。
【0005】
本発明は、部品との接触による摩耗を低減することができる波ワッシャ、および、その波ワッシャを備える流量可変バルブ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る波ワッシャは、軸線の周りに形成されて波状をなす環状の本体と、本体から内方または外方に突出する少なくとも1つの突出片と、を備え、少なくとも1つの突出片は、軸線に垂直な平坦面を含む。
【0007】
この波ワッシャによれば、環状の本体に、何らかの軸部材が挿通される。軸線方向における本体の両側には、何らかの2つの部品が設けられる。これらの2つの部品によって、波ワッシャは挟み込まれる。波状をなす本体はバネ性を有しており、2つの部品の間に配置された状態で、軸線方向に変形する(縮小する)。このとき、突出片の平坦面は、少なくとも1つの部品に接触し得る。よって、波ワッシャと部品との接触面積を増大させることができる。接触面積の増大は、同じ内径および外径を有するワッシャに比して、面圧の低減をもたらす。これにより、部品との接触による摩耗を低減することができる。従来、波ワッシャの摩耗はバネ性(たとえば張力またはバネ荷重等)の低下を招いていたが、上記の波ワッシャによれば、摩耗が低減されるので、バネ性の低下を抑制することもできる。
【0008】
いくつかの態様において、本体は、突出片が接続された基部を含み、突出片の平坦面と基部の表面とは同一平面上に位置する。この場合、突出片の平坦面のみならず、本体の基部の表面も、少なくとも1つの部品に接触する。このように本体にも平坦な表面を設けることにより、波ワッシャと部品との接触面積を更に増大させることができる。なお、本体の波形状は、基部以外の領域に形成され得る。
【0009】
いくつかの態様において、本体は、軸線に垂直な第1平面と、軸線に垂直であり軸線方向において第1平面から離間する第2平面との間において波状をなしており、少なくとも1つの突出片は、第1平面に沿って延びると共に軸線方向において第2平面とは反対側に形成された平坦面を含む少なくとも1つの第1突出片と、第2平面に沿って延びると共に軸線方向において第1平面とは反対側に形成された平坦面を含む少なくとも1つの第2突出片と、を有する。この場合、平行な第1平面および第2平面に沿う平坦面をそれぞれ含む第1突出片と第2突出片が設けられる。第1突出片が第1部品に接触し、第2突出片が第2部品に接触する。これにより、波ワッシャは、2つの部品の両方に対して平面状に接触するため、波ワッシャと部品との接触面積を更に増大させることができる。軸線方向における本体の両端面に位置する2種類の平坦面は、確実に部品からの面圧を負担する。
【0010】
いくつかの態様において、第1突出片と第2突出片とは、周方向に交互に配置されている。この場合、本体の波形状に応じて、複数の突出片を好適に配置することができる。2つの部品に対して波ワッシャを均等に接触させることができる。複数の平坦面が受ける面圧も、周方向において均等になり得る。
【0011】
いくつかの態様において、突出片は、本体に接続されて本体の半径方向に沿って延びる基端部と、基端部に接続された先端部とを含み、少なくとも先端部に平坦面が設けられており、軸線および半径の両方に垂直な方向における基端部の幅は、先端部の幅よりも小さい。この場合、平坦面が設けられた先端部により、部品との接触面積を増大させることができる。基端部の幅は先端部の幅よりも小さいので、基端部は、波状をなす本体の形状に影響を与えにくい。言い換えれば、本体の波形状の設計自由度が高められている。
【0012】
いくつかの態様において、平坦面は、突出片の全域にわたって設けられている。この場合、突出片の全域が少なくとも1つの部品に接触するため、波ワッシャと部品との接触面積を更に増大させることができる。
【0013】
いくつかの態様において、突出片は、本体から内方に突出している。この場合、突出片の先端に軸部材を当接させる構成が提供され得る。接触面積を増大させるための突出片を、位置決めのための部材として用いることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る流量可変バルブ機構は、ハウジングに形成されたガス流量可変通路の開口部を開閉する弁体と、弁体が第1端に連結され、ハウジングに対して回転可能に支持されたステムと、ハウジングの貫通穴に挿通され、ステムを回転可能に支持する筒状の軸受と、軸受のハウジング外の端面から突出するステムの第2端に連結されたリンク部材と、軸受の端面とリンク部材との間の隙間に配置されると共にステムが挿通された上記のいずれかの波ワッシャと、を備える。この場合、波ワッシャのバネ力は、軸受とリンク部材との間の衝突を抑制し得る。これにより、流量可変バルブ機構における軸受とリンク部材との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機からの発生音を低減することができる。このことは、過給機の商品性を向上させ得る。
【0015】
本発明の更に他の態様に係る流量可変バルブ機構は、ハウジングに形成されたガス流量可変通路の開口部を開閉する弁体と、弁体が先端部に取り付けられた取付部材と、取付部材の基端部が第1端に連結され、ハウジングに対して回転可能に支持されたステムと、ハウジングの貫通穴に挿通され、ステムを回転可能に支持する筒状の軸受と、取付部材の基端部と軸受のハウジング内の端面との間の隙間に配置されると共にステムが挿通された上記のいずれかの波ワッシャと、を備える。この場合、波ワッシャのバネ力は、取付部材と軸受との間の衝突を抑制し得る。これにより、流量可変バルブ機構における取付部材と軸受との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機からの発生音を低減することができる。このことは、過給機の商品性を向上させ得る。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る流量可変バルブ機構は、ガス流量可変通路の開口部を開閉する弁体と、弁体に設けられ、開口部とは反対側に突出するバルブ軸と、バルブ軸が先端部に挿通され、当該先端部に弁体が取り付けられた取付部材と、バルブ軸の弁体とは反対側の端部であって取付部材から突出する端部に連結された止め金と、取付部材と止め金との間の隙間に配置されると共にバルブ軸が挿通された上記のいずれかの波ワッシャと、を備える。この場合、波ワッシャのバネ力は、取付部材と止め金との間の衝突を抑制し得る。これにより、流量可変バルブ機構における取付部材と止め金との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機からの発生音を低減することができる。このことは、過給機の商品性を向上させ得る。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る流量可変バルブ機構は、ガス流量可変通路の開口部を開閉する弁体と、弁体に設けられ、開口部とは反対側に突出するバルブ軸と、バルブ軸が先端部に挿通され、当該先端部に弁体が取り付けられた取付部材と、弁体と取付部材との間の隙間に配置されると共にバルブ軸が挿通された上記のいずれかの波ワッシャと、を備える。この場合、波ワッシャのバネ力は、弁体と取付部材との間の衝突を抑制し得る。これにより、流量可変バルブ機構における弁体と取付部材との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機からの発生音を低減することができる。このことは、過給機の商品性を向上させ得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明のいくつかの態様によれば、部品との接触による波ワッシャの摩耗を低減することができる。流量可変バルブ機構における部品間の衝突音を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1〜
図3に示される過給機1は、たとえば車両用の過給機であり、図示しないエンジンから排出された排気ガスを利用して、エンジンに供給される空気を圧縮するものである。この過給機1は、タービン2とコンプレッサ3とを備える。タービン2は、タービンハウジング4と、タービンハウジング4に収納されたタービン翼車6と、を備えている。コンプレッサ3は、コンプレッサハウジング5と、コンプレッサハウジング5に収納されたコンプレッサ翼車7と、を備えている。
【0022】
タービン翼車6は回転軸14の第1端に設けられており、コンプレッサ翼車7は回転軸14の第2端に設けられている。タービンハウジング4とコンプレッサハウジング5との間には、軸受ハウジング13が設けられている。回転軸14は、軸受15を介して軸受ハウジング13に回転可能に支持されている。過給機1は、タービンロータ軸16を備える。このタービンロータ軸16は、回転軸14とタービン翼車6とを備えている。タービンロータ軸16及びコンプレッサ翼車7は一体の回転体として回転する。
【0023】
タービンハウジング4には、排気ガス流入口8及び排気ガス流出口10が設けられている。エンジンから排出された排気ガスは、排気ガス流入口8を通じてタービンスクロール流路4aに流入し、タービン翼車6を回転させ、その後、排気ガス流出口10を通じてタービンハウジング4外に流出する。
【0024】
コンプレッサハウジング5には、吸入口9及び吐出口11が設けられている。上記のようにタービン翼車6が回転すると、タービンロータ軸16及びコンプレッサ翼車7が回転する。回転するコンプレッサ翼車7は、吸入口9から吸入した空気を圧縮する。圧縮空気は、コンプレッサスクロール流路5aを通過し、吐出口11から吐出される。吐出口11から吐出された圧縮空気は、エンジンに供給される。
【0025】
図1及び
図3に示されるように、タービンハウジング4の内部には、排気ガス流入口8から導入した排気ガスの一部を、タービン翼車6をバイパスさせて排気ガス流出口10側へ導出するためのバイパス通路(
図3参照)17が形成されている。バイパス通路17は、タービン翼車6側へ供給される排気ガスの流量を可変とするためのガス流量可変通路である。
【0026】
図3に示されるように、タービンハウジング4の内部には、流量可変バルブ機構の一例としてのウェイストゲートバルブ20が設けられている。ウェイストゲートバルブ20は、バイパス通路17の開口部を開閉するように構成されている。ウェイストゲートバルブ20は、タービンハウジング4の外壁に対して回転可能に支持されたステム21と、ステム21の第1端21aからステム21の径方向に張り出すバルブ取付部材22と、バルブ取付部材22の先端部22bに支持された弁体23と、を備えている。
【0027】
タービンハウジング4の外壁には、外壁の板厚方向に貫通する支持穴(貫通穴)24が形成されている。この支持穴24内には、円筒状の軸受25が挿通されている。この軸受25は、タービンハウジング4の外壁に対して固定されている。軸受25は、軸線方向において第1端側から第2端側にわたって一定の直径を有してもよい。タービンハウジング4内に位置する軸受25の第1端面25aは、平坦に形成されている。タービンハウジング4外に位置する軸受25の第2端面25bは、平坦に形成されている。軸受25の形状は、特に限定されず、あらゆる形状であり得る。軸受25は、タービンハウジング4内の第1端側に形成される小径部と、タービンハウジング4外の第2端側に形成される大径部とを有してもよい。軸受25は、第1端側から第2端側に向けて拡径する傾斜部を有してもよい。
【0028】
ステム21は、軸受25に挿通されて、タービンハウジング4の外壁に対して、回転可能に支持されている。ステム21のタービンハウジング4内に配置された第1端21aは、バルブ取付部材22の基端部22aに形成された筒状部に挿通されている。バルブ取付部材22の基端部22aは、溶接等によってステム21の第1端21aに接合されている。バルブ取付部材22の基端部22aに形成された筒状部の軸受25側の端面は、軸受25の第1端面25aと平行であり、この第1端面25aに対面している。ステム21は、ステム21の軸線回りに回転し、バルブ取付部材22を揺動させる。バルブ取付部材22の先端部22bには、弁体23を取付けるための取付穴が設けられている。
【0029】
弁体23は、バイパス通路17の開口部の周縁部に当接離隔可能なものであり、たとえば円盤状を成している。弁体23には、バイパス通路17の開口部とは反対側に突出するバルブ軸26が設けられている。バルブ軸26は、バルブ取付部材22の先端部22bの取付穴に挿通されている。バルブ軸26の弁体23とは反対側の端部26aには止め金27が固定されており、この止め金27によって、取付穴に挿通されたバルブ軸26が保持されている。弁体23は、バルブ取付部材22に対して微動(傾動を含む)可能に支持されている。弁体23がバルブ取付部材22に対して微動するので、弁体23がバイパス通路17の開口部の周縁部に対して密着する。弁体23がバイパス通路17の開口部の周縁部に当接すると、ウェイストゲートバルブ20は閉状態となる。弁体23がバイパス通路17の開口部の周縁部から離れると、ウェイストゲートバルブ20は開状態となる。
【0030】
図3及び
図5に示されるように、ステム21のタービンハウジング4の外部に配置された第2端21bには、ステム21の径方向に突出する板状のリンク部材28が固定されている。ステム21の第2端21bは、リンク部材28に形成された貫通孔を貫通している。リンク部材28の裏面28aは、軸受25の第2端面25bと平行であり、この第2端面25bに対面している。
【0031】
タービンハウジング4に固定された軸受25に対して、ステム21、リンク部材28、バルブ取付部材22、および弁体23は、ステム21の軸線方向に僅かに動き得る。リンク部材28の裏面28aと軸受25の第2端面25bとの間、および/または、バルブ取付部材22の基端部22aに形成された筒状部の端面と軸受25の第1端面25aとの間には、隙間(クリアランス)が形成され得る。いずれかの隙間に、本実施形態の波ワッシャ40が配置される。或いは、両方の隙間に、波ワッシャ40が配置されてもよい。
【0032】
図2及び3に示されるように、リンク部材28の先端部には、連結ピン29が挿通される取付穴が形成され、この取付穴に連結ピン29が挿通されている。また、この連結ピン29は、アクチュエータ50の作動ロッド51の先端部51aに形成された取付穴に挿通されている。連結ピン29の第1端部はカシメによって作動ロッド51に固定されている。連結ピン29の第2端部には、クリップ30が装着されて、連結ピン29の取付穴からの脱落が防止されている。作動ロッド51の先端部51aおよび連結ピン29はリンク部材28に対して回転可能である。作動ロッド51の移動に伴い、リンク部材28の先端部は、ステム21の軸線を中心に揺動する。言い換えれば、ステム21は、リンク部材28及び連結ピン29を介して、アクチュエータ50の作動ロッド51に連結されている。
【0033】
アクチュエータ50は、コンプレッサハウジング5から側方に突出するブラケット18に固定されている。アクチュエータ50は、たとえば、作動ロッド51と、この作動ロッド51を駆動するダイヤフラムと、作動ロッド51の軸線方向においてダイヤフラムを挟んで隣接する低圧室59及び高圧室58と、低圧室59内に配置されダイヤフラムを付勢する復帰スプリングとを備えている。アクチュエータ50では、コンプレッサ3の出口側の圧力が設定圧に達すると作動ロッド51を先端側に移動させると共に、コンプレッサ3の出口側の圧力が設定圧未満になると作動ロッド51を基端側へ移動させる。
【0034】
ウェイストゲートバルブ20には、使用時において、部品同士の衝突による異音の発生を防止する工夫が施されている。
図3に示されるように、たとえば、リンク部材28の裏面28aと軸受25の第2端面25bとの間には、波ワッシャ40が配置されている。波ワッシャ40には、ステム21の第2端21bが挿通されている。波ワッシャ40は、リンク部材28と軸受25に接触する。波ワッシャ40は、バネ力を有し、リンク部材28と軸受25にバネ荷重を作用させる。波ワッシャ40は、リンク部材28と軸受25の衝突を抑制する。リンク部材28の裏面28aおよび軸受25の第2端面25bのそれぞれに対し、波ワッシャ40は、十分な接触面積をもって接触する。これにより、波ワッシャ40の摩耗が低減されている。
【0035】
図4以降の図面を参照して、波ワッシャ40について詳細に説明する。
図4および
図7に示されるように、波ワッシャ40は、軸線Lを有する環状の本体60と、本体60から径方向の内方に突出する複数の突出片70とを備える。波ワッシャ40は、たとえば、金属製の薄板からなる。なお、
図4に示される細線は、立体表面の形状を表す線である。
【0036】
環状の本体60は、軸線Lの周りに形成されている。本体60は、軸線L方向に薄く、軸線Lに垂直な径方向に所定の幅を有している。本体60は、波状をなしており、バネ性を有している。
図9および
図10に示されるように、本体60は、軸線Lに垂直な第1平面P1と、軸線Lに垂直な第2平面P2との間において波状をなしている。第2平面P2は、軸線L方向において第1平面P1から離間しており、第1平面P1に平行である。これらの第1平面P1および第2平面P2によって、波ワッシャ40の自由長(自由高さ)が規定される。
【0037】
図4および
図7に示されるように、本体60は、突出片70(後述する第1突出片71または第2突出片72)が接続される第1基部61および第2基部62を含む。たとえば、3つの第1基部61と3つの第2基部62とが、周方向に交互に配置されている。3つの第1基部61は周方向に等間隔に配置されており、3つの第2基部62は周方向に等間隔に配置されている。軸線L方向から見て、たとえば、第1基部61および第2基部62は同一の形状および大きさを呈する。3つの第1基部61と3つの第2基部62とは、周方向に等間隔に配置されている。3つの第2基部62の外周側には、平坦な凸部66がそれぞれ形成されていてもよい。
【0038】
図9および
図10に示されるように、第1基部61は、第1平面P1に沿って延びる。第2基部62は、第2平面P2に沿って延びる。第1基部61は、第1平面P1に沿って延びる第1表面61aを含む。第1表面61aは、第1基部61において第2平面P2とは反対側に形成されている。第2基部62は、第2平面P2に沿って延びる第2表面62aを含む。第2表面62aは、第2基部62において第1平面P1とは反対側に形成されている。
【0039】
図4および
図7に示されるように、第1基部61と第2基部62との間には、傾斜部63が形成されている。傾斜部63は、第1基部61および第2基部62に接続されている。傾斜部63は、第1平面P1と第2平面P2との間で、これらの平面に対し斜めに延在する。傾斜部63は、波状の本体60のうち斜面を構成する。傾斜部63は、平面であってもよいし湾曲面であってもよい。
【0040】
なお、本体60は、全周(360°)にわたって連続する場合に限られない。本体60は、周方向の一部が途切れた形状であってもよい。本体60は、全体として、概ね環状をなしていればよい。
【0041】
突出片70は、各第1基部61に接続された第1突出片71と、各第2基部62に接続された第2突出片72とを有する。たとえば、3つの第1突出片71と3つの第2突出片72とが、周方向に交互に配置されている。3つの第1突出片71は周方向に等間隔に配置されており、3つの第2突出片72は周方向に等間隔に配置されている。軸線L方向から見て、たとえば、第1突出片71および第2突出片72は同一の形状および大きさを呈する。3つの第1突出片71と3つの第2突出片72とは、周方向に等間隔に配置されている。
【0042】
第1突出片71および第2突出片72は、それぞれ、本体60から内方(径方向内側)すなわち軸線Lに向けて突出している。第1突出片71の内端面74aと第2突出片72の内端面76aとによって、円形の開口が形成されている。
【0043】
図9および
図10に示されるように、第1突出片71は、第1平面P1に沿って延びる。第2突出片72は、第2平面P2に沿って延びる。第1突出片71は、第1平面P1に沿って延びる第1平坦面81を含む。第1平坦面81は、第1突出片71において第2平面P2とは反対側に形成されている。第2突出片72は、第2平面P2に沿って延びる第2平坦面82を含む。第2平坦面82は、第2突出片72において第1平面P1とは反対側に形成されている。
【0044】
波ワッシャ40は、軸線L方向の両側の部品(軸受25とリンク部材28)に対する接触面積を増大させるよう、できるだけ広い平坦部分を備える。詳細には、
図9および
図10に示されるように、第1突出片71の第1平坦面81と第1基部61の第1表面61aとは同一平面上に位置する。第1平坦面81および第1表面61aによって、連続する平坦面である第1接触面41が形成される。第1接触面41は、第1平面P1に沿って延びる。第2突出片72の第2平坦面82と第2基部62の第2表面62aとは同一平面上に位置する。第2平坦面82および第2表面62aによって、連続する平坦面である第2接触面42が形成される(
図13の斜線部参照)。第2接触面42は、第2平面P2に沿って延びる。
【0045】
図5に示されるように、波ワッシャ40は、リンク部材28および軸受25に挟まれた状態で、自由長よりも圧縮された(つぶれた)状態となる。この状態で、たとえば、第1接触面41はリンク部材28の裏面28aに接触し、第2接触面42は軸受25の第2端面25bに接触する。
図6に示されるように、リンク部材28は、本体60の直径に相当する幅を有しており、波ワッシャ40の第1平面P1側の部分の大半に接触している。波ワッシャ40が圧縮された状態において、本体60の直径は、第2端面25bの直径より僅かに大きくてもよく、第2端面25bの直径と略同じであってもよい。第2端面25bは、波ワッシャ40の第2平面P2側の部分の大半に接触している。
【0046】
以上のように、第1平坦面81が第1突出片71の全域にわたって設けられ、第2平坦面82が第2突出片72の全域にわたって設けられる。そしてこれらの第1平坦面81および第2平坦面82が、第1表面61aおよび第2表面62aとそれぞれ同一平面上に位置することにより、平坦部分(すなわち第1接触面41および第2接触面42)の面積が増大している。
【0047】
図7および
図8を参照して、第1突出片71および第2突出片72についてより詳細に説明する。第1突出片71は、第1基部61に接続されて内方(径方向内側)に延びる第1基端部73と、第1基端部73の内側に接続された第1先端部74とを含む。第1基端部73は、本体60の半径方向に沿って延びる。第1先端部74は、第1基端部73に対して、周方向の両側に張り出している。第2突出片72は、第2基部62に接続されて内方(径方向内側)に延びる第2基端部75と、第2基端部75の内側に接続された第2先端部76とを含む。第2基端部75は、本体60の半径方向に沿って延びる。第2先端部76は、第2基端部75に対して、周方向の両側に張り出している。
【0048】
図7、
図8、
図11、および
図12に示されるように、第1突出片71の第1先端部74の先端には、上述の内端面74aが形成される。第2突出片72の第2先端部76の先端には、上述の内端面76aが形成される。内端面74aおよび内端面76aは、それぞれ、円弧の一部に相当する凹形状を有する。第1突出片71の内端面74aと第2突出片72の内端面76aとによって、たとえば、ステム21の第2端21b(軸部材)に沿う円形の不連続な内周面が形成されている。内端面74aと内端面76aとによって形成された開口に、たとえば、ステム21の第2端21b(軸部材)が挿通される。
【0049】
内端面74aおよび/または内端面76aがステム21に当接することにより、ステム21に対する波ワッシャ40の径方向の位置決め(すなわち保持)が行われてもよい。内端面74aおよび/または内端面76aとステム21との間には、径方向において隙間が形成されてもよい。径方向の隙間は、波ワッシャ40が適切に潰れることを許容する。波ワッシャ40の軸線Lと、ステム21の軸線とは、略一致し得る。
【0050】
図13に示されるように、第2基端部75の幅W1は、第2先端部76の幅W2よりも小さくなっている。ここで、「幅」とは、第2基端部75の中心を通る半径および軸線Lの両方に垂直な方向における大きさを意味する。なお、第1突出片71の第1基端部73および第1先端部74についても、同様の関係(幅W1<幅W2)が成立する。このように第2先端部76の幅W1が小さいので、本体60の傾斜部63の周方向の長さを大きくすることができる。その結果、傾斜部63が生み出す自由長(第1平面P1と第2平面P2の間の距離)を十分に確保でき、所望のバネ荷重を実現する波形状を形成できる。なお、
図13において、第2突出片72に関する平坦な部分が斜線で示されている。第2基部62の外周側に凸部66が形成される場合には、凸部66の面積の分だけ、上記した第2接触面42の面積は、第1接触面41の面積よりも大きくなっている。
【0051】
波ワッシャ40によれば、環状の本体60に、軸部材であるステム21が挿通される。軸線L方向における本体60の両側には、リンク部材28および軸受25が存在する。これらの2つの部品によって、波ワッシャ40は挟み込まれる。波状をなす本体60はバネ性を有しており、2つの部品の間に配置された状態で、軸線L方向に変形する(縮小する)。このとき、第1突出片71の第1平坦面81および第2突出片72の第2平坦面82は、リンク部材28および軸受25のそれぞれに接触し得る(
図5参照)。よって、波ワッシャ40と部品との接触面積を増大させることができる。接触面積の増大は、同じ内径および外径を有するワッシャに比して、面圧の低減をもたらす。これにより、部品との接触による摩耗を低減することができる。
【0052】
従来、波ワッシャの部品に対する接触面積は十分でなかったため、波ワッシャは摩耗して潰れる傾向にあった。このような波ワッシャの摩耗は、バネ性(たとえば張力またはバネ荷重等)の低下を招いていた。本実施形態の波ワッシャ40によれば、摩耗が低減されるので、バネ性の低下を抑制することもできる。
【0053】
図6に示されるように、リンク部材28および軸受25に挟まれて変形した波ワッシャ40は、本体60のうち、例えば、第1基部61または第2基部62に近い傾斜部63の一部がリンク部材28(または軸受25)に接触する。よって、周方向に拡大されたより広い拡大接触面43が形成されており、上記した摩耗の低減の観点で有利な構成が実現されている。
【0054】
本体60にも平坦な第1表面61aおよび第2表面62aが設けられ、第1表面61aおよび第2表面62aが、第1平坦面81および第2平坦面82とそれぞれ同一平面上に位置する。本体60の第1表面61aおよび第2表面62aも、リンク部材28および軸受25に接触する。これにより、波ワッシャ40と部品との接触面積を更に増大させることができる。
【0055】
第1突出片71および第2突出片72は、第1平面P1に沿う第1平坦面81および第2平面P2に沿う第2平坦面82をそれぞれ含む。第1突出片71がリンク部材28に接触し、第2突出片72が軸受25に接触する。これにより、波ワッシャ40は、2つの部品の両方に対して平面状に接触するため、波ワッシャ40と部品との接触面積を更に増大させることができる。軸線L方向における本体60の両端面に位置する2種類の平坦面(第1平坦面81および第2平坦面82)は、確実に部品からの面圧を負担する。
【0056】
交互に配置された第1突出片71および第2突出片72によれば、本体60の波形状に応じて、複数の突出片を好適に配置することができる。2つの部品に対して波ワッシャ40を均等に接触させることができる。複数の平坦面(第1平坦面81および第2平坦面82)が受ける面圧も、周方向において均等になり得る。
【0057】
上述のとおり、幅W1が幅W2よりも小さいので、平坦面が設けられた先端部(第1先端部74または第2先端部76)により、部品との接触面積を増大させることができる。基端部(第1基端部73または第2基端部75)の幅W1は先端部(第1先端部74または第2先端部76)の幅W2よりも小さいので、基端部は、波状をなす本体60の形状に影響を与えにくい。言い換えれば、本体60の波形状の設計自由度が高められている。
【0058】
平坦面(第1平坦面81または第2平坦面82)は、突出片(第1突出片71または第2突出片72)の全域にわたって設けられている。この場合、突出片の全域が少なくとも1つの部品に接触するため、波ワッシャ40と部品との接触面積を更に増大させることができる。
【0059】
突出片(第1突出片71または第2突出片72)は、本体60から内方に突出している。この場合、突出片の先端にステム21等の軸部材を当接させる構成が提供され得る。接触面積を増大させるための突出片を、位置決めのための部材として用いることができる。
【0060】
過給機1のウェイストゲートバルブ20において、波ワッシャ40のバネ力は、軸受25とリンク部材28との間の衝突を抑制し得る。これにより、軸受25とリンク部材28との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機1からの発生音を低減することができる。このことは、過給機1の商品性を向上させ得る。従来は、クリアランスを介して軸受25とリンク部材28が衝突し、打撃音が生じていたが、この問題が解決されている。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。
【0062】
たとえば、他の態様として、波ワッシャ40が、バルブ取付部材22の基端部22a(
図3参照)と軸受25のハウジング内の第1端面25aとの間の隙間に配置され、波ワッシャ40にステム21の第1端21aが挿通されたウェイストゲートバルブ20が提供されてもよい。この場合、波ワッシャ40のバネ力は、バルブ取付部材22と軸受25との間の衝突を抑制し得る。これにより、ウェイストゲートバルブ20におけるバルブ取付部材22と軸受25との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機1からの発生音を低減することができる。このことは、過給機1の商品性を向上させ得る。
【0063】
他の態様として、波ワッシャ40が、バルブ取付部材22と止め金27との間の隙間に配置され、波ワッシャ40にバルブ軸26が挿通されたウェイストゲートバルブ20が提供されてもよい。この場合、波ワッシャ40のバネ力は、バルブ取付部材22と止め金27との間の衝突を抑制し得る。これにより、ウェイストゲートバルブ20におけるバルブ取付部材22と止め金27との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機1からの発生音を低減することができる。このことは、過給機1の商品性を向上させ得る。
【0064】
他の態様として、波ワッシャ40が、弁体23とバルブ取付部材22との間の隙間に配置され、波ワッシャ40にバルブ軸26が挿通されたウェイストゲートバルブ20が提供されてもよい。この場合、波ワッシャ40のバネ力は、弁体23とバルブ取付部材22との間の衝突を抑制し得る。これにより、ウェイストゲートバルブ20における弁体23とバルブ取付部材22との間の衝突音(打撃音)が低減するため、過給機1からの発生音を低減することができる。このことは、過給機1の商品性を向上させ得る。
【0065】
また、波ワッシャ40が設けられる箇所は、一箇所に限られない。上記実施形態(
図3に示される態様)における設置箇所と、上記の3つの態様における設置箇所のうち、いずれか2つ〜4つが適宜に組み合わされた態様であってもよい。すなわち、波ワッシャ40は、ウェイストゲートバルブ20の1箇所、2箇所、3箇所または4箇所に設けられ得る。
【0066】
更に他の態様として、
図14に示されるように、波状をなす環状の本体60Aと、本体60Aから径方向の外方に突出する複数の突出片70A(第1突出片71Aおよび第2突出片72A)とを備える波ワッシャ40Aが提供されてもよい。本体60Aには、軸部材が挿通され得る。波ワッシャ40Aにおいても、本体60Aは、複数の第1基部61Aと、複数の第2基部62A、複数の傾斜部63Aとを含み得る。第1平面P1に対する第1基部61Aおよび第1突出片71Aの位置関係や、第2平面P2に対する第2基部62Aおよび第2突出片72Aの位置関係は、上記実施形態と同じであってよい。径方向の外方に突出する第1突出片71Aおよび第2突出片72Aに平坦面が設けられることにより、接触面積の増大が図られる。上記実施形態と同様に、摩耗の低減と、ウェイストゲートバルブ20における衝突音の低減が図られる。
【0067】
また、平坦面は、突出片の一部の領域にのみ設けられてもよい。たとえば、平坦面は、突出片の先端部のみに設けられてもよい。突出片の基端部は、平坦でなくてもよい。すなわち、基端部は、軸線Lに垂直な平面に沿っていなくてもよい。突出片の一部(先端部など)に設けられた平坦面と、本体の基部とが、離間する2つの接触面を構成してもよい。その場合、たとえば突出片の基端部は接触面に含まれない。突出片には、細い幅を有する基端部が設けられなくてもよい。波ワッシャは、幅が略一定の突出片を備えてもよい。波ワッシャは、径方向の内方に向かうにつれて幅が小さくなる突出片を備えてもよい。その場合、突出片の面積は基部の面積より小さくてよい。基部から延びる突出片の一対の側辺は、(軸線Lに向けて)半径方向に延びる直線状であってもよい。
【0068】
第1突出片71の数と第2突出片72の個数は、それぞれ3つでなくてもよい。第1突出片71の数と第2突出片72の個数は、それぞれ4つ以上であってもよく、それぞれ2つであってもよい。第1突出片と第2突出片が周方向に交互に配置されなくてもよい。複数の第1突出片が周方向にある間隔をもって配置され、それらに隣接して、複数の第2突出片が周方向にある間隔をもって配置されてもよい。第1突出片と第2突出片が1つずつ設けられてもよい。この場合、第1突出片と第2突出片は180°ずれた位置に配置されてもよい。
【0069】
突出片は、軸方向において、第1平面と第2平面との間(本体の自由高さの範囲内)に設けられてもよい。本体の基部は平坦でなくてもよい。基部の一部が傾斜部をなしてもよい。本体の基部は、平坦である場合でも、突出片の平坦面と同一平面上に位置しなくてもよい。本体に対して、唯一の突出片が設けられてもよい。本体の波形状は適宜に変更可能である。