【課題】装着商品及び装身商品において容易に実施することができる触覚フィードバックをユーザーに提供するとともに、ユーザーのインタラクションを検知することも可能にする単純なメカニズムを提供すること。
【解決手段】触覚フィードバック及び/又はユーザーインタラクションの検知を行う2機能ファイバー200は、第1の導体素子202と、第1の導体素子の周囲に同心円状に配置されたポリマー層204と、ポリマー層の周囲に同心円状に配置された第2の導体素子206と、第2の導体素子の周囲に同心円状に配置された絶縁層208とを備える。
前記ポリマー層は、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(アニリン)及び混合物、コポリマー、並びにそれらの誘導体からなる群から選択された電気活性ポリマーを含むか、又は、前記ポリマー層は、形状記憶ポリマーを含む、請求項1に記載の2機能ファイバー。
前記ポリマー層は、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子との間の電界に応答して変形し、前記触覚フィードバックを提供する、請求項1に記載の2機能ファイバー。
前記第1の導体素子は、前記2機能ファイバーの中実コアを形成するか、又は、前記第1の導体素子は、前記2機能ファイバーの中空コアを形成する、請求項9に記載の2機能ファイバー。
前記ポリマー層は、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(アニリン)及び混合物、コポリマー、並びにそれらの誘導体からなる群から選択された電気活性ポリマーを含むか、又は、前記ポリマー層は、形状記憶ポリマーを含む、請求項9に記載の2機能ファイバー。
前記ポリマー層は、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子との間の電界に応答して変形し、前記触覚フィードバックを提供するように構成されているか、又は、前記第1の導体素子及び前記第2の導体素子は、静電フィードバックを前記ユーザーに提供するように構成されている、請求項9に記載の2機能ファイバー。
前記アクチュエーターとして構成された前記第1の2機能ファイバーと、前記センサーとして構成された前記第2の2機能ファイバーとは、実質的に平行又は互いに垂直に位置決めされている、請求項16に記載のスマート材料。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の上述した特徴及び態様並びに他の特徴及び態様は、実施形態の以下の説明から、かつ添付図面に示すように、よりよく理解することができる。本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を形成する添付図面は、さらに、本技術の原理を例示する役割を果たす。図面の構成要素は必ずしも正確な尺度で描かれていない。
【0010】
様々な実施形態について、幾つかは図面を参照して、詳細に説明する。様々な実施形態に対する言及は、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。さらに、本明細書に示す任意の実施形態は、限定的であるようには意図されておらず、単に、添付の特許請求に対する多くのあり得る実施形態のうちの幾つかを示すものである。
【0011】
適切である場合はいつでも、単数の物を指すように用いられている用語は、複数の物も含み、その逆もある。本明細書における数量を特定しない物を修飾する語の使用(The use of "a")は、別段の記載がない限り、又は「1つ以上(one or more)」の使用が明らかに不適切でない限り、「1つ以上」を意味する。「又は」の使用は、別段の記載がない限り、「及び/又は」を意味する。「備える」、「含む」及び「有する」の使用は、置き換えが可能であり、限定的であるようには意図されていない。「等」という用語もまた、限定的であるようには意図されていない。例えば、「含む」という用語は、「限定されないが、〜を含む」を意味するものとする。
【0012】
実施形態において、触覚フィードバックをユーザーに提供するとともにユーザーインタラクションを検知するスマート材料が本明細書において提供される。実施形態において、スマート材料は、構造材料と、この構造材料上に配置された第1の導電層と、この第1の導電層上に配置されたポリマー層と、このポリマー層上に配置された第2の導電層と、この第2の導電層上に配置された絶縁体層とを備える。
【0013】
「スマート材料(複数の場合もある)」は、本明細書において用いられるとき、この材料の応答及び特性が外部刺激の影響を受けて変化するように制御されることが可能な材料を指す。
【0014】
「触覚フィードバック」又は「触覚フィードバック信号」は、本明細書において用いられるとき、本明細書に記載するようなスマート材料から触覚を介してユーザーに伝達される、振動、手触り及び/又は熱等の情報を指す。
【0015】
「検知」又は「感知(sensation)」は、本明細書において用いられるとき、本明細書において説明するスマート材料、2機能ファイバー、又は他のデバイス若しくは材料が、ユーザーとインタラクトし、ユーザーからフィードバックを受信する能力を指す。実施形態において、ユーザーフィードバックは、タッチ、押圧、スワイプ、ラビング等の形態とすることができる。ユーザーフィードバックを介して、スマート材料、2機能ファイバー、又は他のデバイス若しくは材料は、提供されている触覚フィードバックを変更又は修正することもできるし、インタラクションに基づいて更なるデバイスにシグナリングすることもできる。
【0016】
「構造材料」は、本明細書において用いられるとき、装着具、個人用装身具、手荷物等を構成するのに用いられる材料を意味する。構造材料の例としては、綿、絹、羊毛、ナイロン、レーヨン、合成繊維、フランネル、リネン、ポリエステル等のファブリック及びテキスタイル、こうしたファブリックの織物又は混紡等、皮革、スエード、箔等の柔軟な金属繊維、Kevlar等が挙げられる。装着具の例としては、衣類、履物、義肢等の補綴物、帽子及びヘルメット等の被りもの、身に着ける運動器材、防弾ベスト、ヘルメット及び他の防護服等の保護具が挙げられる。個人用装身具としては、眼鏡、ネクタイ及びスカーフ、ベルト及びサスペンダー、ブレスレット、ネックレス及び腕時計(腕時計のバンド及びストラップを含む)等の宝飾品類、財布、札入れ、手荷物用タグ等が挙げられる。手荷物としては、手提げかばん(handbag)、ハンドバッグ(purse)、旅行かばん、スーツケース、リュックサックが挙げられ、こうした物品用の持ち手等を含む。
【0017】
「電気活性材料」は、本明細書において用いられるとき、電界(直流又は交流のいずれか)によって刺激されると形状又はサイズの変化を示す材料を指す。本明細書に記載する例示的な電気活性材料としては、電気活性ポリマー及び圧電材料が挙げられる。
【0018】
実施形態において、
図1A及び
図1Bに示すように、触覚フィードバックをユーザーに提供するとともにユーザーインタラクションを検知するスマート材料100が本明細書において提供される。実施形態において、スマート材料100は、構造材料102と、構造材料102上に配置された第1の導電層106と、第1の導電層106上に配置されたポリマー層104と、ポリマー層104上に配置された第2の導電層112と、第2の導電層112上に配置された絶縁体層110とを備える。
【0019】
「配置された/される」は、本明細書において用いられるとき、単一の構造体として機能することができる材料を形成するように、或る層又は材料を別の材料上に関連付けること又は取り付けることを指す。1つ以上の材料をともに配置する方法の例には、接着剤、はんだ、テープの使用、薄膜堆積及びスパッタリング等の堆積法、層状化、塗装、被覆、糊付け、ホチキスの針等の機械的取り付け等が含まれる。
【0020】
本明細書において説明するように、実施形態において、構造材料102はテキスタイルであり、適切には、装着具の一部とすることができる。実施形態において、構造材料102には、テキスタイルの一部として、例えば、シャツ、ブラウス、手袋、スーツ等の装着具の一部として既に統合されているスマート材料100を提供することができる。他の実施形態において、スマート材料100は、別個に提供することができ、その場合、例えば、テキスタイルに統合することもできるし、織ることもできるし、縫うこともできる接着パッチ又は接着要素として構造材料102に接着することができるか又は別の方法で取り付けることができる。
【0021】
第1の導電層106及び/又は第2の導電層112として用いられる例示的な材料には、例えば、銀、金、又は他の導電性金属若しくは導電性ポリマー(例えば、Au、Al、Ag、Cr、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)の薄膜等)が含まれる。適切には、第1の導電層106及び/又は第2の導電層112は、約50nm〜数ミリメートル程度、例えば、約50nm〜5mm、約50nm〜1mm、約50nm〜500μm、約100nm〜約500μm、約1μm〜500μm、又は約5μm〜約500μm、又は約10μm〜500μm、又は約1μm〜約100μmの厚さを有する。ただし、所望の使用法及び構造材料に対する導電層(複数の場合もある)の向きに応じて、これよりも厚い電気活性材料又はこれよりも薄い電気活性材料も利用することができる。
【0022】
例示的な実施形態では、ポリマー層104は電気活性ポリマーを含み、それには、限定されないがポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(アニリン)、並びにそれらの混合物、コポリマー及び誘導体等のポリマーが挙げられる。電気活性ポリマーの例示的な種類には、誘電性ポリマー及びイオンポリマーが挙げられる。誘電性ポリマーは、2つの電極の間に発生する、ポリマーを圧搾する静電力に応じて、形状を変えるようにすることができる。誘電性ポリマーは、非常に高歪みとすることができ、基本的に、電圧が印加されると、ポリマーが電界によりその厚さを圧縮させかつ面積を拡張することができるようにすることにより、静電容量を変化させるコンデンサーである。イオンポリマーは、ポリマー内部のイオンの変位により形状又はサイズを変化させることができる。さらに、イオンポリマーによっては、イオン流を維持するために水性環境の存在が必要である。
【0023】
電気活性ポリマーを作製する方法は、本技術分野において既知であり、好適には、好適な溶媒に所望のポリマーを溶解し、その後、ポリマーを所望の形状(すなわち、平坦なリボン、パッチ等)にキャスティングすることを含むことができる。代替的に、本明細書に記載するように、所望のフィラメント又はファイバー寸法で作製されるように、ポリマーを延伸するか、又は紡糸技法を行うことができる。更なる方法としては、溶融混合が挙げられ、そこでは、ポリマーは軟化/溶融点を超えて加熱され、その後、フィルム処理(キャスティング又はブローイング)技法を用いてポリマーフィルムが処理される。電気活性ポリマーは、比較的平坦な構造体として作製される場合、様々なポリマー部分又は層を層状に重ねて最終的な所望の構造体を生成することによって作製することもできる。
【0024】
更なる実施形態では、ポリマー層104は、圧電複合材料及びセラミックを含む圧電材料とすることができる。例示的な圧電材料としては、限定されないが、チタン酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、燐灰石、硫酸リチウム一水和物、ニオブ酸ナトリウムカリウム、石英、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酒石酸及びポリフッ化ビニリデン繊維が挙げられる。本明細書に記載する実施形態において、本技術分野において既知である他の圧電材料も使用することができる。
【0025】
追加の実施形態において、ポリマー層104は、形状記憶ポリマーを含むことができる。形状記憶ポリマー(SMP)は、第1の形状から第2の形状に形状を変化させる能力をポリマーに提供するポリマーのプログラミングを可能にする。形状記憶効果は、固有特性ではない。これは、ポリマーがそれ自体によってこの効果を示すものでないことを意味する。形状記憶は、ポリマー形態と特定の処理との組み合わせに起因し、ポリマー機能化として理解することができる。従来の処理、例えば、押出成形又は射出成形によって、ポリマーは、その初期の永続的形状Bに形成される。その後、プログラミングと呼ばれるプロセスにおいて、ポリマーサンプルは変形され、一時的形状Aに固定される。外部刺激(例えば、熱又は電界)が印加されると、ポリマーは、その初期の永続的形状Bを回復する。プログラミング及び回復のこのサイクルは、数回繰り返すことができ、その後のサイクルでは、異なった一時的形状となる。形状記憶ポリマーは、適した刺激応答性スイッチを装備した弾性ポリマーネットワークとすることができる。ポリマーネットワークは、分子スイッチ及びネット点からなる。ネット点は、ポリマーネットワークの永続的形状を決定し、化学的(共有結合)の場合もあるし、物理的(分子間相互作用)性質の場合もある。物理的架橋は、例えばブロックコポリマーに見られるように、形態が少なくとも2つの分離された領域(segregated domains)からなるポリマーにおいて得られる。SMPの追加の情報及び例は、「Shape Memory Polymers」(MaterialsToday, Vol. 10, pages 20-28 (April 2007))において見つけることができる。この文献の開示内容は、引用することによって、その全体が本明細書の一部をなす。
【0026】
或る構成、すなわち第1の構成から、別の構成、すなわち第2の構成へのSMPの変換は、SMPの温度をそのガラス転移温度(Tg)に対して制御することによって適切に制御される。SMPを加熱することによってSMPをそのTgよりも高温にすることによって、SMPアクチュエーターは、その第2の(記憶された又は元の)構成に遷移し、その結果、多安定材料が活性化又は作動し、第1の安定構成から第2の安定構成、及び適切には第3の安定構成(及び所望される場合には第4の安定構成、第5の安定構成等)に運動又は変形する。例示的な形状記憶ポリマーには、必要とされる形状記憶特性を有するようにプログラミングされた様々なポリ(ウレタン)、ポリ(イソプレン)及びポリ(エーテルエステル)等の様々なブロックコポリマーが含まれる。
【0027】
ポリマー層104は、適切には、約5μm〜数ミリメートル程度、例えば、約1μm〜5mm、約1μm〜1mm、約1μm〜500μm、又は約5μm〜約500μm、又は約10μm〜500μm、又は約1μm〜約100μmの厚さを有する。ただし、これよりも厚いポリマー層又はこれよりも薄いポリマー層も利用することができる。
【0028】
本明細書において説明するように、電源108は、適切には、スマート材料100に電気的に結合される、すなわち、接続される。電源108によって提供される電力の量は、通常、約0.1ワット(W)〜約10W、若しくはより好適には約0.5W〜約5W、又は約1W〜約5W、又は約0.5W、約1W、約2W、約3W、約4W、若しくは約5Wの程度である。例示的な電源108は、様々なバッテリーパックとともに太陽エネルギー源を含む。電源108はまた、再充電可能システム、例えば、再充電することができるシステムであって、システムに電流を提供する、本明細書に記載するような圧電材料を用いることによって再充電することができるシステムを含むことができる。
【0029】
図1A及び
図1Bに示すように、外部活性化信号150に応答して、電源108は、電力を第1の導電層106及び/又は第2の導電層112に提供して(又は、一方の層は必要に応じて接地として配線することができる)、ポリマー層104の形状又は構成の変化を引き起こすことでき、その結果、ユーザーへの触覚フィードバックが得られる。この触覚フィードバックは、パルス、振動、圧力等の形態とすることができる。追加の実施形態において、スマート材料100は、ユーザーインタラクションも検知する。例えば、ユーザーインタラクションは、ポリマー層104の圧縮と、スマート材料100の静電容量又は抵抗の変化とをもたらすことができる。静電容量又は抵抗のこの変化は、測定装置120によって、第1の導電層と第2の導電層との間の電界の変化を監視することによって測定することができる。測定装置120は、スマート材料100に有線接続又は無線接続することができ、例えば、圧力センサーとして、スマート材料100とのユーザーのインタラクションを求めることを可能にする。
【0030】
更なる実施形態において、触覚フィードバックをユーザーに提供し、及び/又はユーザーインタラクションを検知する2機能ファイバーが本明細書において提供される。「2機能ファイバー」は、本明細書において用いられるとき、その断面の少なくとも2倍の長さを有し、実質的にその全長にわたって実質的に一様な断面を有するフィラメント構造又はファイバー構造を指す。「2機能」は、ファイバーが、触覚フィードバックを提供するアクチュエーターと、タッチ動作、押圧動作、掃引動作又はスワイプ動作等のユーザーインタラクションを検知するセンサーとの双方として機能する能力を指す。2機能ファイバーは、同じファイバーがアクチュエーター及びセンサーの双方として機能することを可能にする要素を備えるセクションを備えることもできるし、幾つかの特定の状況下ではアクチュエーターとして動作し、その上、更なる一組の状況下ではセンサーとして動作するように構成することもできる。したがって、本明細書において説明するように、幾つかの特定の状況では、2機能ファイバーは、適切に配線接続されている場合にはセンサーとして機能することができるのに対して、同じタイプの2機能ファイバーは、異なって配線接続されている場合にはアクチュエーターとしても機能することができる。一般に、アクチュエーター又はセンサーとして機能する能力は、本明細書において説明するように、ファイバーの配線又は構成において生じる。「ファイバー」及び「フィラメント」という用語は、そのような構造体を指すために本明細書では区別なく用いられる。
【0031】
図2Aは、ユーザーへの触覚フィードバックの提供又はユーザーインタラクションの検知を行う本発明の実施形態による2機能ファイバー200を示している。すなわち、2機能ファイバー200は、ファイバーが電力にどのように接続されているのか及びファイバーがどのように構成されているのかに応じて、アクチュエーターとして動作することもできるし、センサーとして動作することもできる。実施形態において、2機能ファイバー200は、触覚フィードバックの提供又はユーザーインタラクションの検知を行うファイバーのセクションを備える。「セクション」は、本明細書において用いられるとき、2機能ファイバーの一部分を指し、適切には、2機能ファイバーを構成する材料の層のセット又はサブセットを指す。実施形態において、2機能ファイバー200は、第1の導体素子202と、第1の導体素子202の周囲に同心円状に配置されたポリマー層204と、ポリマー層204の周囲に同心円状に配置された第2の導体素子206と、第2の導体素子206の周囲に同心円状に配置された絶縁層208とを備える、触覚フィードバックの提供又はユーザーインタラクションの検知を行うセクションを備える。全体を通して説明するように、2機能ファイバーは、実質的にその全長にわたって実質的に円形の断面を有する。
【0032】
図2Bは、中空コアファイバーが利用又は使用されている2機能ファイバー200の線B−Bを通る断面を示している。
図2Cは、中実コアファイバーが利用又は使用されている2機能ファイバー200の線B−Bを通る断面図を示している。実施形態において、
図2Bに示すように、第1の導体素子202は、2機能ファイバーの実質的に円形の断面を形成する2機能ファイバー200の中空コアを形成する。
図2Cでは、第1の導体素子202’は、2機能ファイバーの実質的に円形の断面を形成する2機能ファイバー200の中実コアである。
【0033】
図2Bに示すように、第1の導体素子202は、本質的には、ポリマー層204の被覆又は内側ライニングを形成し、それによって、2機能ファイバー200の中空コア構造体を提供する。
図2Cでは、ポリマー層204は、2機能ファイバー200の中実コア構造体を取り囲む被覆を形成する第1の導体素子202’の中実コアの周囲に同心円状に配置されている。
【0034】
本明細書に記載のように、2機能ファイバー200は、中実コア構造を含むものであれ、中空コア構造を含むものであれ、実質的に2機能ファイバーの長さ全体にわたって実質的に一様な断面を有し、幾つかの特定の実施形態では、実質的に2機能ファイバーの長さ全体にわたって実質的に円形の断面を有する。本明細書に記載のように、装着具を含む構造材料における使用又は一体化を可能にする特性のうちの1つを2機能ファイバー200に提供するのは、この実質的に一様な断面(実施形態では、実質的に円形の断面)である。「実質的に一様な断面」とは、2機能ファイバーを通じて取得されたセクションが、一様な、すなわち、2機能ファイバーの「実質的に長さ全体」にわたって約5%〜10%以内の断面を有することを意味する。「実質的に円形の断面」とは、2機能ファイバーを通じて取得されたセクションが、一様な、すなわち、2機能ファイバーの「実質的に長さ全体」にわたって約5%〜10%以内の直径を有することを意味する。「実質的に長さ全体」とは、2機能ファイバーの長さ全体の少なくとも80%〜90%を意味する。実施形態において、2機能ファイバーは、2機能ファイバーの長さ全体の少なくとも約90%〜95%にわたって、好適には95%以上(例えば、96%、97%、98%、99%又は100%)にわたって、約1%〜5%以内(好適には、約4%以内、約3%以内、約2%以内、約1%以内、又は約0.5%以内)で一様な断面、好適には直径を有する。更なる実施形態では、本明細書に記載のように、同様に実質的に一様である他の断面(すなわち、正方形、矩形、三角形、卵形等)も用いることができる。
【0035】
2機能ファイバー200に用いられる例示的な導体素子には、銀、金、様々な導電性金属又はポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。この様々な導電性金属又はポリマーには、Al、Cr、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)等)が含まれる。
図2Cのように、第1の導体素子が中実コアを形成する実施形態では、第1の導体素子202’は、金又は銀のワイヤ等を含む、導体素子のソリッドワイヤ又はフィラメントとすることができる。次に、ポリマー層204を配置するか、コーティングするか、又は他の形で中実コアに関連付け、同軸に配置された構造を形成することができる。本明細書において用いられるとき、「同軸に配置された」とは、構造上に施されるか又はコーティングされた材料の層(複数の場合もある)を指し、断面で見たときにこれらの層は同じ円形中心を有するようになっている。
【0036】
図2Bにおけるように、第1の導体素子202が中空コアを形成する実施形態において、ポリマー層204の内面を金属又は他の材料のフィルム又はコーティングでコーティング又はカバーして、第1の導体素子202を形成することができる。同様に、第2の導体素子206を、ポリマー層204上にコーティング又は配置し、それによって、
図2Bに示す構造を形成することもできる。例えば、紡糸方法を用いて、中空ポリマーファイバー又はフィラメントを準備することができ、ここでは同心の円筒が用いられ、ポリマーは、円筒間の間隙を満たして、ポリマー層204等の中空のファイバーを形成する。次に、第1の導体素子202を、ポリマー層204の内面に施して、中空のファイバー構造を形成することができる。同様に、第2の導体素子206を中空ファイバーの外面、すなわちポリマー層204に施して、
図2Bに示す構造を形成することができる。第1の導体素子及び第2の導体素子を施す方法は、スパッタリング、浸漬被覆、溶射、電気めっき、塗装等を含むことができる。実施形態において、表面パターニングを用いて、ポリマー層204の表面を選択的にエッチングし、表面積を増大させるか、又は所望の構造を生成することができ、これを導電材料の薄いフィルムでコーティングするか又は覆って、本明細書に記載の第1の及び/又は第2の導体素子を生成することができる。
【0037】
本明細書において説明する2機能ファイバーは、ファイバーの長手に沿って互いに離間し、中間には導体素子を含まないセクションを有する導体素子も備えることができ、それによって、長手に沿った電極セクション/非電極セクションの交互配置を作製することができる。
【0038】
ポリマー層204は、好適には、約5μm〜数ミリメートル、例えば、約1μm〜5mm、約1μm〜1mm、約1μm〜500μm、又は約5μm〜約500μm、又は約10μm〜500μm、又は約1μm〜約100μm程度の厚みを有するが、より厚いか又はより薄いポリマー層も利用することができる。
【0039】
中実コア構造の形態の第1の導体素子202’は、5μm〜数ミリメートル、例えば、約1μm〜10mm、約1μm〜5mm、約1μm〜1mm、約1μm〜500μm、又は約5μm〜約500μm、又は約10μm〜500μm、又は約1μm〜約100μm程度の直径を有することができる。
図2Bにおけるように、第1の導体素子がコーティング又は層の形態をとるとき、導体素子の厚みは、通常、数ミクロン程度であり、好適には、約0.5μm〜約500μm、より好適には約0.5μm〜約100μm、又は約0.5μm〜約50μmである。
【0040】
全体として、本明細書に記載の2機能ファイバーの直径は、好適には、数十ミクロン〜数百ミクロン程度であるか、又は最大で数ミリメートル、例えば、約1μm〜10mm、約1μm〜5mm、約1μm〜1mm、約1μm〜500μm、又は約5μm〜約500μm、又は約10μm〜500μm、又は約1μm〜約100μm程度である。2機能ファイバーの長さは、ファイバーアクチュエーターの最終的な用途及び使用に依拠して、数ミクロン〜数ミリメートル〜数センチメートル〜数メートル程度とすることができる。
【0041】
ポリマー層204は、好適には、電気活性ポリマーを含む。電気活性ポリマーとしては、限定されないがポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(アニリン)、並びにそれらの混合物、コポリマー及び誘導体等のポリマーが挙げられる。電気活性ポリマーの例示的な種類には、誘電性ポリマー及びイオンポリマーが挙げられる。誘電性ポリマー(又は誘電性エラストマー)は、2つの電極の間に発生する、ポリマーを圧搾する電界に応じて、形状を変えるようにすることができる。誘電性ポリマーは、非常に高歪みとすることができ、基本的に、電圧が印加されると、ポリマーが電界によりその厚さを圧縮させかつ面積を拡張することができるようにすることにより、静電容量を変化させるコンデンサーである。イオンポリマーは、ポリマー内部のイオンの変位により形状又はサイズを変化させることができる。さらに、イオンポリマーによっては、イオン流を維持するために水性環境の存在が必要である。
【0042】
ポリマー層204として有用な組成の更なる例としては、圧電ポリマー及び形状記憶ポリマーが挙げられる。例示的な圧電材料は、限定ではないが、チタン酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、硫酸リチウム一水和物、ニオブ酸ナトリウムカリウム、水晶、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酒石酸、及びポリフッ化ビニリデンファイバーを含む。当該技術分野において既知の他の圧電材料も、本明細書に記載の実施形態において用いることができる。
【0043】
追加の実施形態において、ポリマー層204は、本明細書において説明するように、形状記憶ポリマーを含むことができる。
【0044】
図3Aは、本発明の一実施形態による更なる2機能ファイバー300を示している。
図3Bは、線B−Bを通して見た2機能ファイバー300の断面図を示している。この断面図は、第1の導体素子202と、第1の導体素子202の周囲に同心円状に配置されたポリマー層204とを備える、触覚フィードバックを提供するファイバーのセクション350を示している。2機能ファイバー300は、ユーザーインタラクションを検知するファイバーのセクション360も備える。セクション360は、ポリマー層204の周囲に同心円状に配置された第2の導体素子206と、第2の導体素子206の周囲に同心円状に配置された第1の絶縁層208と、第1の絶縁層208の周囲に同心円状に配置された第3の導体素子310と、第3の導体素子310の周囲に同心円状に配置された第2の絶縁層312とを備える。本明細書において説明するように、2機能ファイバーは、実質的にその全長にわたって実質的に円形の断面を有する。
【0045】
触覚フィードバックを提供する2機能ファイバーのセクション350は、本明細書において説明するように、追加の層又は要素も備えることができると理解すべきであり、また、ユーザーインタラクションを検知する2機能ファイバーのセクション360は、本明細書において説明するように、追加の層又は要素も備えることができると理解すべきである。これらの(正:These)追加の層又は要素、例えば、追加の絶縁層又はポリマー層は、本明細書において説明するように、触覚フィードバックを提供し及び/又はユーザーインタラクションを検知するセクション350又はセクション260の能力と干渉しない。
【0046】
本明細書において説明するように、第1の導体素子は、中空コア(
図3Bにおける202)の形態とすることもできるし、中実コア(
図3Cにおける202’)の形態とすることもできる。中実コア又は中空コアを準備する方法、及び2機能ファイバー300を構築するように様々な層を配置する方法は、本明細書において説明される。
【0047】
2機能ファイバー300に用いられる例示的な導体素子は、銀、金、様々な導電性金属又はポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。この様々な導電性金属又はポリマーには、Al、Cr、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)等)が含まれる。そのような材料には、金ワイヤ又は銀ワイヤ等を含む導体素子のソリッドワイヤ又はフィラメント、及び金又は銀等の様々な金属の被覆が含まれる。
【0048】
本明細書において説明するように、ポリマー層204は、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(アニリン)及び混合物、コポリマー、並びにそれらの誘導体の層を含むが、これらに限定されない電気活性ポリマーを含むことができる。ポリマー層204に用いられる追加の材料は、形状記憶ポリマーを含む。
【0049】
図4Aに示すように、2機能ファイバー300は、構造材料102と関連付けられ又は統合されて、スマート材料400を形成することができる。本明細書において説明するように、構造材料102は、全体を通して説明するような様々な装着具の一部を含むテキスタイルとすることができる。
【0050】
図4Bは、2機能ファイバー300の線B−Bを通して見た断面図を示している。図示するように、実施形態において、電源108は、第1の導体素子、すなわち、コア202’が電気回路に接続されるように、2機能ファイバー300の第1のセクション350に電気的に結合、すなわち、接続することができる。この電気回路は、電源108に加えて、活性化信号を2機能ファイバー300に提供することができる増幅器420も備えることができる。増幅器420は、アクチュエーターに電力供給するために必要な電力を提供する制御信号を増幅する(制御信号からの電力を増幅することを含む)のに用いることもできる。第1の導体素子202’と第3の導体素子310との間に同心円状にある第2の導体素子206は、適切には、接地に接続される。2機能ファイバー300の第2のセクション360は、適切には、静電容量及び/又は抵抗を求める測定デバイス410に接続された第3の導体素子310を備えることができ、追加の増幅器420に接続することもできる。この追加の増幅器は、2機能ファイバーから信号を受信し、この信号を測定デバイスに送信するときに、必要に応じて様々な信号変換/増幅を援助する。電源108及び測定デバイス410は、同じ接地を共有することができる。そのような構成では、ポリマー層204は、第1の導体素子202’と第2の導体素子206との間の電界に応答して変形し、触覚フィードバックを提供する2機能ファイバーのセクション350として動作することができる。これは、例えば、外部デバイスからの活性化信号150に応答したポリマー層の変形又は運動の形態とすることもできるし、静電フィードバックの形態とすることもできる。触覚フィードバックには、機械的フィードバック(すなわち、変形又は運動)と静電フィードバックとの組み合わせも提供することができる。同時に、ポリマー層204及び/又は絶縁体層208の圧縮をもたらすユーザーインタラクションは、2機能ファイバーのセクション360によって、第1の導体素子202’と第3の導体素子310との間の電界の変化として検知することができ、測定デバイス410によって、2機能ファイバーの抵抗又は静電容量の変化の形態で測定することができる。この変化は、圧力の変化としても測定することができる。このように、2機能ファイバー300は、同じファイバーの異なるセクションを介して、触覚フィードバックの提供と、ユーザーインタラクションの(例えば、圧力センサーとしての)検知との双方を行う。
【0051】
静電容量又は抵抗を求める測定デバイス410として用いられる例示的なデバイスは、当該技術においてよく知られており、様々なオーム計、圧力センサー及び静電容量計(及びそのようなセンサーの組み合わせ)を含む。そのようなデバイスは、適切には、小さな電源(すなわち、数ボルト程度の電源)を含む。他の実施形態において、追加の電源を用いて、所望どおり機能するように必要な電力を測定デバイス410に提供することができる。
【0052】
本明細書において説明する2機能ファイバーでは、ポリマー層204は、適切には、例えば電気活性ポリマーを含むソフトポリマー、又は形状記憶ポリマーである。ポリマー層の展性又は可撓性によって、ポリマー層は、第1の導体素子と第2の導体素子との間に印加された電界(及び、必要な場合には加熱)に応じて形状を変形又は変化させることが可能になる。例えば、ポリマー層204は、収縮して、ファイバーアクチュエーターに形状を縮小又は変形させることもできるし、拡大して、ファイバーアクチュエーターに形状を拡張、収縮又は別の形態で変形させることもできる。一般に、電界に応答した2機能ファイバーの運動又は変形の量は、2機能ファイバーの全直径及び/又は全長の数パーセント程度(0.5%〜5%)である。
【0053】
本明細書において説明する2機能ファイバーからの静電フィードバックは、ユーザーに対する短い振動若しくはパルス、又は長期の振動の形態とすることができる。静電フィードバック又は相互作用の周波数は、約1Hz〜約1000Hz、より好適には約1Hz〜約500Hz、約1Hz〜約200Hz、約10Hz〜約200Hz、約10Hz〜約100Hz、又は約10Hz、約20Hz、約30Hz、約40Hz、約50Hz、約60Hz、約70Hz、約80Hz、約90Hz若しくは約100Hz程度とすることができる。ユーザーが、スマート材料又は2機能ファイバーに単に近づくか又はスマート材料又は2機能ファイバーの近くにいる場合に、スマート材料又はファイバーに近接していることを通知して、静電相互作用によって触覚フィードバックを提供することもでき、それにより、静電相互作用、及びそこから触覚フィードバックをもたらすことができる。
【0054】
追加の実施形態において、例えば、
図5Aに示すように、2機能ファイバー200は、スマート材料500を形成するように、構造材料102内に統合するか又は構造材料102に関連付けることができる。実施形態において、構造材料102は、テキスタイルとすることができ、シャツ、ブラウス、帽子、ジャケット、コート及びズボン/半ズボンを含む装着具テキスタイル等の装着品に組み込むことができ、その結果、ウェアラブルスマート材料が得られる。構造材料は、札入れ及び小銭入れ、ハンドバッグ(そのようなものの取っ手を含む)、バックパック、並びに宝飾品等を含む様々な皮革商品を含む装身具内に統合することもできる。
【0055】
2機能ファイバーに関する「統合された/される」は、本明細書において用いられるとき、2機能ファイバーが、構造材料102から容易に除去も分離もされないように織られるか、縫われるか、スティッチされるか、又は別の方法で構造材料102の一部にされることを指す。すなわち、本明細書において説明する2機能ファイバーは、構造材料102の準備中に、又は、既に形成されている構造材料内に例えば装着具として統合するために、ファイバー又は糸としての機能を果たすことができる。
【0056】
図5Aに示すように、実施形態において、線B−Bを通して見た
図5Bにおける断面図にも示すように、2機能ファイバー550は、アクチュエーターとして機能するように構成することができる。そのような実施形態において、2機能ファイバー550が接続パラメーターに応じてアクチュエーター又はセンサーのいずれかとして機能する能力が利用される。実施形態において、2機能ファイバー550は、触覚フィードバックの提供又はユーザー(正:user)インタラクションの検知を行うファイバーのセクション552を備えることができ、このセクションは、
図5Bに示すように中実コアとして第1の導体素子202’を備え、2機能ファイバー550は、アクチュエーターとして機能するように、接地に接続された第1の導体素子202’と、電力供給装置108(並びに、適切には、増幅器420及び活性化回路)に接続された第2の導体素子206とに配線接続することができる。実施形態において、ポリマー層204は、このため、第1の導体素子202’と第2の導体素子206との間の電界に応答して変形し、触覚フィードバックをユーザーに提供するように構成することができる。更なる実施形態において、第1の導体素子202’及び第2の導体素子206は、静電フィードバックをユーザーに提供するように構成することができる。そのような実施形態において、静電フィードバックを開始するために、絶縁層208がユーザーと接触することもできるし、ユーザーが2機能ファイバー550と密着することもできる。
【0057】
更なる実施形態において、追加の2機能ファイバー560は、スマート材料500におけるように構造材料102に関連付けることもできるが、
図5Cに示すように、センサーとして構成することができる。構造上、2機能ファイバー560は、触覚フィードバックの提供又はユーザーインタラクションの検知を行う2機能ファイバーのセクション552を備える2機能ファイバー550と同じものとすることができ、アクチュエーターとしてではなく、測定デバイス410によって測定された出力を提供するセンサーとして動作するように測定デバイス410(及び、所望される場合には増幅器420)と接地とに単に配線接続されているだけである。ポリマー層204の変形/圧縮の際の静電容量又は抵抗の変化の測定を可能にする小さな電圧(数ボルト)を提供するように、小さな電源を提供することもできるし、測定デバイス410内に備えることもできる。例えば、測定デバイス410は、ポリマー層204の圧縮をもたらし、それによって、2機能ファイバーの静電容量又は抵抗の変化を引き起こすユーザーインタラクション、又は圧力の変化として測定することができるユーザーインタラクションを検知することもできる。ポリマー層204の圧縮に起因した静電容量、圧力又は抵抗のこの変化は、測定デバイス410によって電界の変化として測定することができる。
【0058】
図5Aに示すように、スマート材料500は、適切には、同じ構造材料102に統合されるか又は関連付けられたアクチュエーター550及びセンサー560の双方として動作する2機能ファイバーを備える。スマート材料の構造材料102は、本明細書において説明するように、装着具を含むテキスタイルの一部とすることができる。
【0059】
2機能ファイバー595と組み合わせた、作動モード又は触覚フィードバックモードと、検知モード又はユーザーインタラクションモードとの間の切り替え590は、例えば、
図5Dに示すように行うことができる。図示するように、スイッチを制御し、2機能ファイバー595がアクチュエーターとして動作する(信号が、例えば、電源108、増幅器420、及び適切には別個の作動回路によって提供される)第1の位置550から、2機能ファイバー595が、当該2機能ファイバーの特性の変化を測定する測定デバイス410(及び適切には増幅器420)に信号を提供する第2の位置580に能動的に操作して、センサー機能をファイバーに提供することができる。上記2機能ファイバーの特性の変化には、静電容量、抵抗又は圧力の変化が含まれる。切り替え580は、所望される回数だけ実行することができ、適切には、プロセッサを含む外部のメカニズム又はコンピューターによって制御されるが、所望される場合には、ユーザーが手動で制御することもできる。
【0060】
図6A及び
図6Bは、スマート材料における2機能ファイバーの追加の構成を示している。例えば、
図6Aでは、スマート材料600は、アクチュエーターとして動作することができる統合されるか又は関連付けられた2機能ファイバー(550)と、センサーとして動作することができる統合されるか又は関連付けられた2機能ファイバー(560)とを有する構造材料102を備えることができ、これらの2機能ファイバーは、互いに対して実質的に垂直(すなわち、互いに対して垂直、すなわち90度の±5度〜±10度以内)に配向又は位置決めされている。
図6Bは、スマート材料602が、構造材料102と、アクチュエーターとして動作することができる統合されるか又は関連付けられた2機能ファイバー(550)と、センサーとして動作することができる統合されるか又は関連付けられた2機能ファイバー(560)とを備え、これらの2機能ファイバーが互いに対して実質的に平行(すなわち、平行の±5度〜±10度以内)に配向又は位置決めされている構成を示している。本明細書において説明するような様々なスマート材料を構築する追加の配向及び構成も可能である。
図6Cは、2機能ファイバー300を垂直構成又は平行構成のいずれかで構造材料102に統合することができるか又は関連付けることができるスマート材料600の構成を示している。視認を容易にするために、電源108、測定デバイス410、及び他の構成要素は、
図6A及び
図6Bから除去されている。
【0061】
本明細書において説明するように、様々なスマート材料は、2機能ファイバーの構成要素に電気的に結合、すなわち、接続された電源108を更に備えることができる。実施形態において、電源108は、2機能ファイバーに永続的に接続することもできるし、他の実施形態において、2機能ファイバーから分離しており、後に接続することもできる。2機能ファイバーは、導電層と電源108との間の接続を確立する電極(複数の場合もある)を備えることができる。電源108は、本明細書において説明する様々なスマート材料の統合された構成要素として提供することもできるし、電力を供給するために別個に提供、すなわち、後に提供することもできる。電源108は、有線接続又は無線接続を介して、本明細書において説明する様々な構成要素に電気的に結合することができる。
【0062】
追加の実施形態において、本明細書において説明する2機能ファイバー及び/又はスマート材料を介して触覚フィードバックをユーザーに提供するとともに、これらの2機能ファイバー及び/又はスマート材料とのユーザーインタラクションを検知する方法が本明細書において提供される。
【0063】
実施形態において、活性化信号150が、電源108に活性化をもたらすことができ、この活性化は、ポリマー層204の運動、例えば、形状変化又はサイズ変化、ひいては、構造材料102の運動及び作動を生み出して、触覚フィードバックをユーザーに提供することができる。例えば、構造材料が装着具の一部である実施形態において、作動によって、構造材料が運動し、衣服品(例えば、シャツ、ネクタイ、ブラウス、ズボン)の運動の形態で、又は腕時計、ブレスレット等を含む装身具の一部として、触覚フィードバックがユーザーに提供される。加えて、ユーザーインタラクションは、測定装置120によって検知することができ、検知信号450は、スマート材料又は2機能ファイバーとのインタラクションを記録する外部デバイスに送信することができる。
【0064】
例示的な活性化信号は、携帯電話、タブレット、コンピューター、自動車インターフェース、スマートデバイス、ゲームコンソール等からとすることができ、例えば、テキストメッセージ又は電子メール、電話、アポイントメント等の受取を示すことができる。同様に、検知信号450は、携帯電話、タブレット、コンピューター、自動車インターフェース、スマートデバイス、ゲームコンソール等に送信することができ、例えば、ユーザーが2機能ファイバー又はスマート材料とインタラクトしていることを示すこともできるし、触覚フィードバックの受信を確認したことを示すこともできるし、他のインタラクションを示すこともできる。
【0065】
更なる実施形態において、デバイスと、本明細書に記載されたスマート材料又は2機能ファイバーとの間にインターフェースを設けるために、好適には、コントローラーも含まれる。コントローラーの構成要素は、本技術分野において既知であり、好適には、例えば、バス、プロセッサ、入出力(I/O)コントローラー及びメモリを含む。バスは、I/Oコントローラー及びメモリを含む、コントローラーの様々な構成要素をプロセッサに結合する。バスは、典型的には、制御バス、アドレスバス及びデータバスを含む。しかしながら、バスは、コントローラーの構成要素の間でデータを転送するのに好適な任意のバス又はバスの組み合わせとすることができる。
【0066】
プロセッサは、情報を処理するように構成された任意の回路を備えることができ、任意の好適なアナログ回路又はデジタル回路を備えることができる。プロセッサは、命令を実行するプログラマブル回路を備えることもできる。プログラマブル回路の例として、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は命令を実行するのに好適な任意の他のプロセッサ若しくはハードウェアが挙げられる。種々の実施形態において、プロセッサは、単一のユニットを備えることもできるし、単一のコントローラー内に又は別個のデバイス内に物理的に配置される、2つ以上のユニットの組み合わせを備えることもできる。
【0067】
I/Oコントローラーは、コントローラーと周辺デバイス又は外部デバイスとの動作を監視する回路部を備える。I/Oコントローラーは、コントローラーと周辺デバイス又は外部デバイスとの間のデータフローの管理も行う。I/Oコントローラーがインターフェースすることができる周辺デバイス又は外部デバイスの例として、スイッチと、センサーと、外部記憶デバイスと、モニターと、キーボード、マウス又はプッシュボタン等の入力デバイスと、外部コンピューティングデバイスと、移動デバイスと、送信機/受信機とが挙げられる。
【0068】
メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性メモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気メモリ、光学メモリ又は任意の他の好適なメモリ技術を含むことができる。メモリは、揮発性メモリと不揮発性メモリとの組み合わせを含むこともできる。
【0069】
メモリは、プロセッサによって実行するための複数のプログラムモジュールを記憶するように構成される。このモジュールは、例えば、イベント検出モジュール、効果決定モジュール、及び効果制御モジュールを含むことができる。各プログラムモジュールは、データと、ルーチンと、オブジェクトと、呼び出しと、1つ以上の特定のタスクを実行する他の命令との集合体である。或る特定のプログラムモジュールが本明細書において開示されているが、種々の実施形態において、各モジュールについて記載される種々の命令及びタスクは、単一のプログラムモジュール、異なるモジュールの組み合わせ、本明細書において開示されるモジュール以外のモジュール、又はコントローラーと通信する遠隔デバイスによって実行されるモジュールによって実行することができる。
【0070】
本明細書に記載される実施形態では、無線送受信機(Bluetooth又は赤外線送受信機を含む)を含むことができるコントローラーは、構造材料102に組み込むことができ、又は構造材料とは別個とすることができる。更なる実施形態では、コントローラーは、構造材料とは別個のデバイス上にあることができるが、本明細書に記載されるシステム及びスマート材料の様々な構成要素に活性化信号150を提供するように、好適には有線を介して、又はより好適には無線信号を介して接続される。
【0071】
例えば、コントローラーは、本明細書に記載のスマート材料又はシステムのユーザーに触覚フィードバックを提供するように、本明細書に記載するスマート材料のアクチュエーター駆動回路に活性化信号150を提供することができ、アクチュエーター駆動回路は電源108と通信する。例えば、例としてコントローラーが無線接続を介してペアリングされている携帯電話又は他のデバイスがメッセージ又は電子メールを受け取るとき、所望の触覚フィードバックが発生することができる。追加の例としては、ゲームコントローラー、システム又はゲームコンソール、コンピューター、タブレット、自動車又はトラックインターフェース又はコンピューター、自動支払機又はキオスク、様々なキーパッドデバイス、テレビ受像機、様々な機械等のデバイスと関連付けられているコントローラーが挙げられる。こうした実施形態では、コントローラーは、好適にはアクチュエーター駆動回路に活性化信号150を提供して、外部デバイスによって又は外部デバイスから発生する信号に応じて、ユーザーに触覚フィードバックを提供する。デバイスは、本明細書に記載する触覚フィードバックシステムの様々な構成要素が含まれる装着具の一部とすることもできる。デバイスによって提供することができる例示的なフィードバック又は信号としては、例えば、第三者からの入来するメッセージ又は通信、警告信号、ゲームインタラクション、ドライバー注意喚起(driver awareness)信号、コンピュータープロンプト等の指示が挙げられる。
【0072】
検知信号450は、ユーザーインタラクションを示すためにそのようなデバイスにも送信することができ、例えば、追加の触覚フィードバックを含む更なるフィードバック又は情報を外部デバイスに要求することができる。実施形態において、検知信号450は、ユーザーインタラクションを受信して処理するコンピューター、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール又はゲームインターフェース、自動車インターフェース等のデバイスに送信することができる。このユーザーインタラクションに基づいて、デバイスは、例えば、メッセージの送信、電話呼び出しの開始、ゲームにおけるキャラクターの移動等の追加の動作を取ってもよく、及び/又は追加の触覚フィードバックをユーザーに提供してもよい。
【0073】
更なる実施形態において、本明細書において説明したスマート材料及び構成要素は、仮想現実システム又は拡張現実システムと統合することもできるし、それらのシステムの一部とすることもできる。そのような実施形態において、スマート材料は、ユーザーが仮想現実システム又は拡張現実システムとインタラクトすると、仮想現実又は拡張現実の構成要素及びデバイスによって開始された応答又はフィードバックを提供する触覚フィードバックをユーザーに提供することができる。本明細書において説明したスマート材料及び2機能ファイバーとのユーザーインタラクションも、仮想現実システム又は拡張現実システムと統合することもできるし、それらのシステムの一部とすることもできる。
【0074】
上述した様々な実施形態は、単に例示として提供されており、本明細書に添付された特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者は、本明細書に例示し記載した実施形態例及び応用に従うことなく、かつ添付の特許請求の範囲の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる、様々な変更及び変形を容易に認識するであろう。
【0075】
本出願は、2017年3月9日に提出された米国特許出願第15/454399号の利益を主張し、この出願の開示内容は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。