特開2018-152324(P2018-152324A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-152324電気コネクタ及び電気コネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-152324(P2018-152324A)
(43)【公開日】2018年9月27日
(54)【発明の名称】電気コネクタ及び電気コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20180831BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20180831BHJP
【FI】
   H01R13/648
   H01R43/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-131037(P2017-131037)
(22)【出願日】2017年7月4日
(62)【分割の表示】特願2017-46887(P2017-46887)の分割
【原出願日】2017年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153349
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 茂
(72)【発明者】
【氏名】小野 直之
【テーマコード(参考)】
5E021
5E051
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA14
5E021FB02
5E021FC19
5E021FC32
5E021LA09
5E021LA15
5E051BA08
(57)【要約】
【課題】組み立てを簡易にすること。
【解決手段】電気コネクタ1は、前方に突出する前方突出部111と、後方に突出する後方突出部112と、前方突出部111と後方突出部112との間において前方突出部111及び後方突出部112よりも外方に突出する外方突出部113と、を備える絶縁性のハウジング10と、相手側コネクタが前方から嵌合される嵌合部31を備えると共に外方突出部113の前方側に保持される前方シェル部材30と、外方突出部113の後方側に保持される後方シェル部材40と、を有する。後方シェル部材40は、外方突出部113の後方側に保持される大径部41と、大径部41の後方に連設されると共に大径部41よりも小径の小径部42と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に突出する前方突出部と、後方に突出する後方突出部と、前記前方突出部と前記後方突出部との間において前記前方突出部及び前記後方突出部よりも外方に突出する外方突出部と、を備える絶縁性のハウジングと、
前記ハウジングの前方側において露出して相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部と、前記ハウジングより後方に突出する端子部と、を備える前記ハウジングに保持される導電性のコンタクトと、
前記ハウジングの周囲を覆う筒状のシェル部材と、
を有し、
前記シェル部材は、
前記相手側コネクタが前方から嵌合される嵌合部を備えると共に前記外方突出部の前方側に保持される前方シェル部材と、前記外方突出部の後方側に保持される後方シェル部材と、から構成され、
前記後方シェル部材は、
前記外方突出部の後方側に保持される大径部と、前記大径部の後方に連設されると共に前記大径部よりも小径の小径部と、を備える、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前方に突出する前方突出部と、後方に突出する後方突出部と、前記前方突出部と前記後方突出部との間において前記前方突出部及び前記後方突出部よりも外方に突出する外方突出部と、を備える絶縁性のハウジングと、
前記ハウジングの前方側において露出して相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部と、前記ハウジングより後方に突出する端子部と、を備える前記ハウジングに保持される導電性のコンタクトと、
前記ハウジングの周囲を覆う筒状のシェル部材と、
を有し、
前記シェル部材は、
前記相手側コネクタが前方から嵌合される嵌合部を備えると共に前記外方突出部の前方側に保持される前方シェル部材と、前記外方突出部の後方側に保持される後方シェル部材と、から構成され、
前記後方シェル部材は、
前記外方突出部の後方側に保持される大径部と、前記大径部の後方に連設されると共に前記大径部よりも小径の小径部と、を備える、
電気コネクタの製造方法であって、
前記ハウジングに対して前方から前記前方シェル部材を被せると共に後方から前記後方シェル部材を被せることにより、前記ハウジングに前記前方シェル部材及び前記後方シェル部材を取り付ける、
ことを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ及び電気コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に取り付けられる電気コネクタに対しては、電子機器の内部を外部から防水する防水機能を設けることが要求されている。かかる電気コネクタは、相手側コネクタと嵌合するために電子機器の筐体外部に露出する嵌合部を有し、この嵌合部に配設される導電性のコンタクトと、このコンタクトを保持する絶縁性のハウジングと、の隙間を防水する必要がある。
【0003】
ここで、ハウジングとコンタクトとを一体成型する電気コネクタは、ハウジングとコンタクトとが密着しておらず、ハウジングとコンタクトとの間に隙間を生じており、所望の防水効果を得ることはできない。一方、表面に細かな溝を形成したコンタクトとハウジングとを一体成型する電気コネクタは、所望の防水効果を得ることはできるものの、コンタクトを加工する必要があるため、製品及び製造のコストが増大することとなる。
【0004】
かかる状況下において、特許文献1は、防水機構を有する電気コネクタに関し、ハウジングの後端部に、ポッティング材等の樹脂材料を充填して硬化させて形成した封止材を設ける構成を開示している。特許文献1の電気コネクタは、ハウジングの後端部に設けた封止材により、ハウジングとハウジングに配設された端子との隙間を密閉して防水することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−111524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、組立工程が複雑になって組み立てが面倒であるという課題を有する。
【0007】
本発明の目的は、組み立てを簡易にすることができる電気コネクタ及び電気コネクタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気コネクタは、前方に突出する前方突出部と、後方に突出する後方突出部と、前記前方突出部と前記後方突出部との間において前記前方突出部及び前記後方突出部よりも外方に突出する外方突出部と、を備える絶縁性のハウジングと、前記ハウジングの前方側において露出して相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部と、前記ハウジングより後方に突出する端子部と、を備える前記ハウジングに保持される導電性のコンタクトと、前記ハウジングの周囲を覆う筒状のシェル部材と、を有し、前記シェル部材は、前記相手側コネクタが前方から嵌合される嵌合部を備えると共に前記外方突出部の前方側に保持される前方シェル部材と、前記外方突出部の後方側に保持される後方シェル部材と、から構成され、前記後方シェル部材は、前記外方突出部の後方側に保持される大径部と、前記大径部の後方に連設されると共に前記大径部よりも小径の小径部と、を備える。
【0009】
本発明に係る電気コネクタの製造方法は、前方に突出する前方突出部と、後方に突出する後方突出部と、前記前方突出部と前記後方突出部との間において前記前方突出部及び前記後方突出部よりも外方に突出する外方突出部と、を備える絶縁性のハウジングと、前記ハウジングの前方側において露出して相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部と、前記ハウジングより後方に突出する端子部と、を備える前記ハウジングに保持される導電性のコンタクトと、前記ハウジングの周囲を覆う筒状のシェル部材と、を有し、前記シェル部材は、前記相手側コネクタが前方から嵌合される嵌合部を備えると共に前記外方突出部の前方側に保持される前方シェル部材と、前記外方突出部の後方側に保持される後方シェル部材と、から構成され、前記後方シェル部材は、前記外方突出部の後方側に保持される大径部と、前記大径部の後方に連設されると共に前記大径部よりも小径の小径部と、を備える、電気コネクタの製造方法であって、前記ハウジングに対して前方から前記前方シェル部材を被せると共に後方から前記後方シェル部材を被せることにより、前記ハウジングに前記前方シェル部材及び前記後方シェル部材を取り付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、組み立てを簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの平面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタを構成する一次成形品の斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタを構成する一次成形品の平面図である。
図6図5のB−B断面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタを構成する二次成形品の斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタを構成する二次成形品の平面図である。
図9図8のC−C断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、図1から図3を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0014】
本実施形態に係る電気コネクタ1は、ハウジング10と、コンタクト20と、前方シェル部材30と、後方シェル部材40と、外部防水部材50と、遮蔽板60と、を有している。
【0015】
ハウジング10は、絶縁性を有する材料により形成されており、コンタクト20を保持している。ハウジング10は、コンタクト20の外周面に沿ってコンタクト20に密着する部分にシランカップリング剤を含んでいる。ハウジング10は、コンタクト20を後方に突出させる後端部にシランカップリング剤を含んでいない。ここで、シランカップリング剤は、無機質材料と化学結合可能な反応基と、有機質材料と化学結合可能な反応基と、を有しており、有機質材料と無機質材料とを結びつけることが可能な性質を有している。
【0016】
ハウジング10は、本体部11と、板状部12と、を備えている。
【0017】
本体部11は、コンタクト20を保持しており、前方に突出する前方突出部111と、後方に突出する後方突出部112と、前方突出部111と後方突出部112との間において前方突出部111及び後方突出部112よりも外方に突出する外方突出部113と、を備えている。外方突出部113には、段差部114が設けられている。
【0018】
後方突出部112は、外方突出部113の後端から後方に突出すると共にシランカップリング剤を含まない前端部112dと、ハウジング10の後端に設けられると共にシランカップリング剤を含まない後端部112aと、前端部112dと後端部112aとの間に設けられると共にシランカップリング剤を含む防水樹脂部112cと、により構成されている。
【0019】
防水樹脂部112cは、コンタクト20の外周面に沿ってコンタクト20に密着している。防水樹脂部112cを構成している樹脂は、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂と異なる種類の樹脂であって、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂よりも溶融温度が低い性質を有している。
【0020】
なお、前端部112dと後端部112aと防水樹脂部112cとの図3に示す境界線は、説明の便宜上、明確に記載しているが、前端部112dと防水樹脂部112cとの接する部分が後述する製造工程において溶融及び結合すると共に、後端部112aと防水樹脂部112cとの接する部分が後述する製造工程において溶融及び結合することにより、実際には曖昧になっている。
【0021】
板状部12は、板状であり、本体部11より前方に突出すると共に、前端側が前方シェル部材30より前方に突出している。
【0022】
コンタクト20は、導電性を有する材料により形成されており、ハウジング10に保持されている。コンタクト20は、第1のコンタクト20aと、第1のコンタクト20aの下方に配置される第2のコンタクト20bと、により構成されている。第1のコンタクト20aと第2のコンタクト20bとは、ハウジング10により互いに絶縁されている。
【0023】
第1のコンタクト20aは、ハウジング10の前方側に露出していると共に板状部12の上面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21aと、ハウジング10より後方に突出して図示しない基板の導電部に半田付けされる端子部22aと、を備えている。第1のコンタクト20aは、接続部21aと端子部22aとの間が前方突出部111、後方突出部112及び外方突出部113に埋設されている。第1のコンタクト20aは、外周面に沿って防水樹脂部112cに密着している。第1のコンタクト20aの防水樹脂部112cに密着している部分は、左右方向及び上方に折り曲げられた形状を有している。
【0024】
第2のコンタクト20bは、ハウジング10の前方側に露出していると共に板状部12の下面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部21bと、ハウジング10より後方に突出して図示しない基板に半田付けされる端子部22bと、を備えている。第2のコンタクト20bは、接続部21bと端子部22bとの間が前方突出部111、後方突出部112及び外方突出部113に埋設されている。第2のコンタクト20bは、外周面に沿って防水樹脂部112cに密着している。第2のコンタクト20bの防水樹脂部112cに密着している部分は、左右方向及び下方に折り曲げられた形状を有している。端子部22aの下端と端子部22bの下端とは上下方向において同一高さになっている。
【0025】
前方シェル部材30は、導電性を有する材料により形成されており、前後方向に貫通する筒状である。前方シェル部材30は、図示しない相手側コネクタが前方から嵌合可能な嵌合部31を備えている。嵌合部31には、板状部12及び前方突出部111が配設されている。前方シェル部材30は、後端が段差部114に当接していると共に外方突出部113の前方側に保持されている。
【0026】
後方シェル部材40は、導電性を有する材料により形成されており、前後方向に貫通する筒状である。後方シェル部材40は、外方突出部113の後方側に保持される大径部41と、大径部41の後方に連設される大径部41よりも小径の小径部42と、を備え、後方に向けて窄まった形状を有している。小径部42は、内周面に沿って防水樹脂部112cに密着している。
【0027】
外部防水部材50は、弾性力及び絶縁性を有する材料により環状に形成されており、前方シェル部材30の前端に設けられている。
【0028】
遮蔽板60は、導電性を有する材料により形成されており、板状である。遮蔽板60は、ハウジング10に埋設されている。遮蔽板60は、第1のコンタクト20a及び第2のコンタクト20bと絶縁された状態で、第1のコンタクト20aと第2のコンタクト20bとの間に設けられている。
【0029】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、図1から図9を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0030】
まず、予め形成しておいたコンタクト20及び遮蔽板60を、図示しない成型用金型にセットし、この成型用金型に所定の射出成型温度においてシランカップリング剤を含まない樹脂を注入して硬化させる一体成型により図4から図6に示す一次成型品100を形成する。一次成型品100は、板状部12、コンタクト20、前方突出部111、外方突出部113、前端部112d、後端部112a及び遮蔽板60を有している。射出成型温度は、ここでは300℃を例示する。
【0031】
一次成形品100には、前端部112dと後端部112aとの間に空間112bが設けられていると共に、前端部112dと後端部112aとが対向している。空間112bには、第1のコンタクト20aの一部及び第2のコンタクト20bの一部が外部に露出している。
【0032】
次に、一次成形品100を図示しない成型用金型にセットし、所定の温度において空間112bにシランカップリング剤を含む樹脂を注入して硬化させる一体成型により図7から図9に示す二次成型品150を形成する。二次成型品150は、一次成型品100及び防水樹脂部112cを有している。即ち、二次成型品150は、一次成型品100に対して防水樹脂部112cを追加した構成を有している。
【0033】
空間112bに流し込まれる樹脂は、一次成型品100において板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂と異なる種類の樹脂であって、一次成型品100において板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂よりも溶融温度が低い性質を有している。これにより、二次成型品150を形成する際の温度は、一次成型品100を形成した際の射出成型温度よりも低くする。二次成型品150を形成する際の温度は、ここでは150℃を例示する。
【0034】
このように、二次成型品150を形成する際の温度を射出成型温度よりも低くするため、二次成型品150を形成する際に、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113を構成している樹脂は溶融しない。従って、二次成型品150を形成する際に、板状部12、前方突出部111、後端部112a、前端部112d及び外方突出部113により、コンタクト20を確実に保持しておくことができる。特に、後端部112aによりコンタクト20を確実に保持しておくことができるため、端子部22a及び端子部22bの後端部112aからの突出位置を二次成型品150を形成する際にずれないようにすることができ、基板の導電部に対する端子部22a及び端子部22bの接続不良を防止することができる。
【0035】
次に、二次成形品150に対して、前方から前方シェル部材30を被せると共に後方から後方シェル部材40を被せる。
【0036】
次に、前方シェル部材30の後端と後方シェル部材40の前端とを溶接して、二次成形品150に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付ける。
【0037】
次に、前方シェル部材30の前端に外部防水部材50を取り付ける。
【0038】
次に、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付けた二次成形品150を、防水樹脂部112cを形成した際の温度より高温度で加熱して、防水樹脂部112cを再び溶融させる。前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付けた二次成形品150を加熱する温度は、一次成型品100を形成した際の射出成型温度と同一温度でもよいし異なる温度でもよい。
【0039】
この際、防水樹脂部112cのコンタクト20の外周面に当接している部分は、溶融すると共に防水樹脂部112cに含まれているシランカップリング剤の結合作用により、コンタクト20の外周面と結合する。また、防水樹脂部112cの後方シェル40の内周面に当接している部分は、溶融すると共に防水樹脂部112cに含まれているシランカップリング剤の結合作用により、後方シェル40の内周面と結合する。これにより、防水樹脂部112cとコンタクト20の外周面とが密着すると共に、防水樹脂部112cと後方シェル部材40の内周面とが密着する。
【0040】
また、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付けた二次成形品150を、防水樹脂部112cを形成した際の温度より高温度で加熱することにより、少なくとも防水樹脂部112cを再び溶融させて、防水樹脂部112cと、後端部112a及び前端部112dと、を強固に密着させることができる。
【0041】
このように、防水樹脂部112cは、金属製のコンタクト20と、樹脂材の後端部112a及び前端部112dと、に対して密着性を有する。
【0042】
次に、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を取り付けた二次成形品150を冷却することにより電気コネクタ1が完成する。
【0043】
上記製造方法により製造された電気コネクタ1は、シランカップリング剤を含む防水樹脂部112cがコンタクト20の外周面に密着し、防水樹脂部112cとコンタクト20との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ1を取り付ける電子機器の内部を、ハウジング10とコンタクト20との間の隙間から密閉して、防水することができる。また、電気コネクタ1は、シランカップリング剤を含む防水樹脂部112cが後方シェル部材40の内周面に密着し、防水樹脂部112cと後方シェル部材40との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ1を取り付ける電子機器の内部を、ハウジング10と後方シェル部材40との間の隙間から密閉して、防水することができる。
【0044】
なお、上記製造方法において、防水樹脂部112cを設けた後に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を設けたが、防水樹脂部112cを設ける前に前方シェル部材30及び後方シェル部材40を設け、後方シェル部材40の隙間からシランカップリング剤を含む樹脂を空間112bに注入し、その後に加熱して防水樹脂部112cを設けるようにしてもよい。
【0045】
このように、本実施形態によれば、ハウジング10のコンタクト20の外周面に沿ってコンタクト20に密着する部分にシランカップリング剤を含んでいるため、ハウジング10とコンタクト20との間の隙間を防水することができ、シール用の弾性体部品及びポティング剤を不要にして組み立てを簡易にすることができると共に、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ハウジング10の後方シェル部材40の内周面に沿って後方シェル部材40に密着する部分にシランカップリング剤を含んでいるため、ハウジング10とコンタクト20との間の隙間を防水することができ、組み立てを簡易にすることができると共に、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態において、外部防水部材50を設けたが、外部防水部材50を設けなくてもよい。
【0048】
また、本実施形態において、第1のコンタクト20a及び第2のコンタクト20bの2種類のコンタクトをハウジング10に設けたが、1種類のコンタクトをハウジングに設けてもよい。
【0049】
また、本実施形態において、遮蔽板60を設けたが、遮蔽板60を設けなくてもよい。
【0050】
また、本実施形態において、ハウジングのシランカップリング剤を含む部分がコンタクト20の外周面に沿って密着していると共に後方シェル部材40の内周面に沿って密着していれば、ハウジング10の形状を任意の形状にすることができる。
【0051】
また、本実施形態において、前方シェル部材30及び後方シェル部材40を導電性を有する材料により形成したが、前方シェル部材30及び後方シェル部材40の両方又は何れか一方を絶縁性を有する材料により形成してもよい。
【0052】
また、本実施形態において、前方シェル部材30及び後方シェル部材40の2つの部材によりシェル部材を構成したが、1つの部材でシェル部材を構成してもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ2の構成につき、図10を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0054】
本実施形態に係る電気コネクタ2は、ハウジング210と、コンタクト220と、シェル部材230と、を有している。
【0055】
ハウジング210は、絶縁性を有する材料により形成されており、コンタクト220を保持している。ハウジング210は、コンタクト220の外周面に沿ってコンタクト20に密着する部分である防水樹脂部R1にシランカップリング剤を含んでいる。ハウジング210は、前方に突出する板状の板状部212を備えている。
【0056】
コンタクト220は、導電性を有する材料により形成されており、ハウジング210に保持されている。コンタクト220は、前方に露出していると共に板状部212の上面に露出して図示しない相手側コネクタの相手側コンタクトに接続する接続部221と、ハウジング210より後方に突出して図示しない基板の導電部に半田付けされる端子部222と、を備えている。コンタクト220は、接続部221と端子部222との間がハウジング210に埋設されていると共に部分R1に密着している。
【0057】
シェル部材230は、導電性を有する材料により形成されており、前後方向に貫通する筒状である。シェル部材230は、板状部212が内部に設けられ、図示しない相手側コネクタが前方から嵌合可能な嵌合部231を備えている。シェル部材230は、後端がハウジング210に保持されている。
【0058】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ2の製造方法につき、以下に詳細に説明する。
【0059】
まず、コンタクト220と、シランカップリング剤を含む防水樹脂部R1とを所定の温度で一体成型することにより、一次成形品を形成する。所定の温度は、ここでは150℃を例示する。
【0060】
次に、この一次成形品及びシェル部材230を図示しない成型用金型にセットし、この成型用金型に所定の射出成型温度においてシランカップリング剤を含まない樹脂を注入して硬化させる一体成型により電気コネクタ2を形成する。射出成型温度は、ここでは300℃を例示する。
【0061】
射出成型温度は、上記の一次成型品を形成する際の所定の温度よりも高温度である。従って、防水樹脂部R1のコンタクト220の外周面に当接している部分は、再び溶融すると共に防水樹脂部R1に含まれているシランカップリング剤の結合作用により、コンタクト220の外周面と結合する。これにより、防水樹脂部R1とコンタクト220の外周面とが密着する。また、防水樹脂部R1を再び溶融させることで、防水樹脂部R1とハウジング210の防水樹脂部R1以外の部分とが強固に密着する。
【0062】
このように、防水樹脂部R1は、金属製のコンタクト220と、樹脂材のハウジング210の防水樹脂部R1以外の部分と、に対して密着性を有する。
【0063】
上記製造方法により製造された電気コネクタ2は、シランカップリング剤を含む防水樹脂部R1がコンタクト220の外周面に密着し、防水樹脂部R1とコンタクト220との間の隙間を塞ぐので、電気コネクタ2を取り付ける電子機器の内部を、ハウジング210とコンタクト220との間の隙間から密閉して、防水することができる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、ハウジング210のコンタクト220の外周面に沿ってコンタクト220に密着する部分にシランカップリング剤を含んでいるため、ハウジング210とコンタクト220との間の隙間を防水することができ、シール用の弾性体部品及びポティング剤を不要にして組み立てを簡易にすることができると共に、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、一次成型品とシェル部材230とを一体成型する工程で防水樹脂部R1により防水効果を得られる構成にすることができるため、組立工程を簡易化して製造を容易にすることができ、製造コストを低減することができる。
【0066】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、電気コネクタ及び電気コネクタの製造方法に好適である。
【符号の説明】
【0068】
1 電気コネクタ
2 電気コネクタ
10 ハウジング
11 本体部
12 板状部
20 コンタクト
20a 第1のコンタクト
20b 第2のコンタクト
21a 接続部
21b 接続部
22a 端子部
22b 端子部
30 前方シェル部材
31 嵌合部
40 後方シェル部材
41 大径部
42 小径部
50 外部防水部材
60 遮蔽板
100 一次成形品
111 前方突出部
112 後方突出部
112a 後端部
112b 空間
112c 防水樹脂部
112d 前端部
113 外方突出部
114 段差部
150 二次成型品
210 ハウジング
212 板状部
220 コンタクト
221 接続部
222 端子部
230 シェル部材
231 嵌合部
R1 防水樹脂部
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