(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-153607(P2018-153607A)
(43)【公開日】2018年10月4日
(54)【発明の名称】ギア配置構造
(51)【国際特許分類】
A47B 88/40 20170101AFI20180907BHJP
【FI】
A47B88/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-154848(P2017-154848)
(22)【出願日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】106109439
(32)【優先日】2017年3月20日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】梁 秀江
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【テーマコード(参考)】
3B060
【Fターム(参考)】
3B060NA04
3B060NB01
3B060ND01
(57)【要約】
【課題】 ギアとラックとの再係合の間のノイズや振動を低減可能なギア配置構造を提供すること。
【解決手段】 ギア配置構造はラックと、ギアと弾性部材とを含む。ラックは複数の歯を含む。ギアは歯を介してラックと係合するように構成されている。弾性部材はラックの端部に隣接している。弾性部材はギアを回転させるように構成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギア配置構造であって、
第1の端部と、該第1の端部の反対側の第2の端部とを有し、該第1の端部と該第2の端部との間に複数の歯が配置されている、ラックと、
前記ラックの複数の歯と係合するように構成された複数の歯を有するギアと、
前記ラックに配置される可撓性部材であって、該可撓性部材は前記ラックの第1の端部に隣接する歯から長手方向に延びた可撓性部を有する、可撓性部材と、
を含むギア配置構造。
【請求項2】
前記可撓性部材の可撓性部の高さは前記ラックの各歯の高さよりも小さい、請求項1に記載のギア配置構造。
【請求項3】
前記可撓性部材は前記ラックに取り外し可能に連結されている、請求項1に記載のギア配置構造。
【請求項4】
第1の連結部が前記ラックに配置され、第2の連結部が前記可撓性部材に配置され、該第1の連結部及び該第2の連結部は互いに係合し合う凹構造及び凸構造の組み合わせである、請求項3に記載のギア配置構造。
【請求項5】
前記可撓性部材及び前記ラックは一体形成されている、請求項1に記載のギア配置構造。
【請求項6】
スライドレールアセンブリに適用可能なギア配置構造であって、当該ギア配置構造は、
前記スライドレールアセンブリの第1のレールに固定取り付けされるとともに、該第1のレールの長手方向に沿って配置されるように構成されたラックであって、該ラックは第1の端部と、該第1の端部の反対側の第2の端部とを有し、該第1の端部と該第2の端部との間に複数の歯が配置されている、ラックと、
前記スライドレールアセンブリの第2のレールに回転可能に取り付けられるように構成されたギアであって、該ギアは前記ラックの複数の歯と係合するように構成された複数の歯を有する、ギアと、
弾性力を提供するために前記ラックに連結される可撓性部材と、
を含み、
前記ギアは、前記第2のレールが前記第1のレールに対して第1の方向に沿って所定の開位置に動かされると前記ラックの第1の端部から外れるように構成され、
前記可撓性部材は、前記第2のレールが前記第1のレールに対して前記所定の開位置から第2の方向に沿って動かされる工程の間に前記ギアを回転させて前記ラックと係合させるように構成されている、ギア配置構造。
【請求項7】
前記可撓性部材の可撓性部の高さは前記ラックの各歯の高さよりも小さい、請求項6に記載のギア配置構造。
【請求項8】
前記可撓性部材は前記ラックに取り外し可能に連結されている、請求項6に記載のギア配置構造。
【請求項9】
第1の連結部が前記ラックに配置され、第2の連結部が前記可撓性部材に配置され、該第1の連結部及び該第2の連結部は互いに係合し合う凹構造及び凸構造の組み合わせである、請求項8に記載のギア配置構造。
【請求項10】
前記可撓性部材及び前記ラックは一体形成されている、請求項6に記載のギア配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はギア配置構造(gear arrangement)に関し、より具体的にはギア配置構造の再係合の間のノイズや振動を低減可能なギア配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビネットシステム等の家具システムでは、一般に、一対のスライドレールアセンブリを通じて引き出しをキャビネットに対して開閉できる。現在の技術では、互いに係合し合うギア及びラックを用いてキャビネットに対する引き出しの動きの安定性が改善されている。例えば、特許文献1にはギア装置の配置構造が開示されている。特許文献1を参考として提示する。
【0003】
さらに、
図1を参照されたい。
図1は、第1のレール100と、第1のレール100に対して可動な第2のレール102とを示す図である。ラック104が第1のレール100に配置され、ギア106が第2のレール102に配置されている。ギア106とラック104との係合により、第2のレール102を第1のレール100に対して安定的に動かすことができる。
【0004】
図2に示すように、ラック104は所定の間隔で配置された複数の歯107を含む。各歯107は所定の幅Dを有する。他方、ギア106がラック104と係合する場合、ギア106の中心Cとラック104の歯107の底部(又は谷)108との間に所定の距離Hが定義される。上記の所定の条件を通じて、ギア106はラック104上を規則的に移動できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9243662号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3に示すように、ギア106をラック104の端部から外してから、再度ギア106をラック104の端部と係合させる場合、通常、ユーザーは第2のレール102を操作して、方向D10に沿って開位置から動かす。そのようなプロセスの間、ギア106の歯110のうちの1つの先端112が、ラック104の歯107のうちの1つの側部114に対して垂直になって衝突することによって、ノイズや振動が生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はギア配置構造に関し、より具体的にはギア配置構造の再係合の間のノイズや振動を低減可能なギア配置構造に関する。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、ギア配置構造は、第1の端部と、該第1の端部の反対側の第2の端部とを有し、該第1の端部と該第2の端部との間に複数の歯が配置されている、ラックと、前記ラックの複数の歯と係合するように構成された複数の歯を有するギアと、前記ラックに配置される可撓性部材であって、該可撓性部材は前記ラックの第1の端部に隣接する歯から長手方向に延びた可撓性部を有する、可撓性部材と、を含む。
【0009】
前記可撓性部材の可撓性部の高さは前記ラックの各歯の高さよりも小さいことが好ましい。
【0010】
前記可撓性部材は前記ラックに取り外し可能に連結されていることが好ましい。
【0011】
第1の連結部が前記ラックに配置されていることが好ましい。第2の連結部が前記可撓性部材に配置されている。該第1の連結部及び該第2の連結部は互いに係合し合う凹構造及び凸構造の組み合わせである。
【0012】
前記可撓性部材及び前記ラックは一体形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、スライドレールアセンブリに適用可能なギア配置構造は、前記スライドレールアセンブリの第1のレールに固定取り付けされるとともに、該第1のレールの長手方向に沿って配置されるように構成されたラックであって、該ラックは第1の端部と、該第1の端部の反対側の第2の端部とを有し、該第1の端部と該第2の端部との間に複数の歯が配置されている、ラックと、前記スライドレールアセンブリの第2のレールに回転可能に取り付けられるように構成されたギアであって、該ギアは前記ラックの複数の歯と係合するように構成された複数の歯を有する、ギアと、弾性力を提供するために前記ラックに連結される可撓性部材と、を含む。前記ギアは、前記第2のレールが前記第1のレールに対して第1の方向に沿って所定の開位置に動かされると前記ラックの第1の端部から外れるように構成されている。前記可撓性部材は、前記第2のレールが前記第1のレールに対して前記所定の開位置から第2の方向に沿って動かされる工程の間に前記ギアを回転させて前記ラックと再度係合させるように構成されている。
【0014】
様々な図面に図示する下記の好ましい実施形態の詳細な説明を読み終えた後、本発明の上記の目的及び他の目的が当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、先行技術のラック及びギアの係合によりお互いに対して相対的に可動な2つのスライドレールを示す図である。
【
図2】
図2は、先行技術のラックと係合したギアを示す図である。
【
図3】
図3は、先行技術のラックの歯のうちの1の側部に対して垂直なギアの先端を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリに適用されたギア配置構造の分解図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る、ギア配置構造とスライドレールアセンブリとの組立体を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る、可撓性部材及びラックの分解図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る、可撓性部材とラックとの組立体を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第2のレールが第1のレールに対して第1の方向に沿って動かされた場合にラックと係合し且つ第1の回転方向に沿って回転するギアを示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る、もはやギアがラックと係合していない状態で、第1のレールに対して所定の開位置に位置しているスライドレールアセンブリの第2のレールを示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第2のレールが第1のレールに対して第2の方向に沿って所定の開位置から移動する工程の間に可撓性部材と接触するギアを示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第2のレールを第1のレールに対して所定の開位置から第2の方向に沿って動かす工程の間の可撓性部材の弾性力に反応して第2の回転方向に沿って回転するギアを示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第2のレールを第1のレールに対して開位置から第2の方向に沿って動かす工程の間にラックと再度係合するギアを示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第2のレールを第1のレールに対して所定の開位置から第2の方向に沿って動かす工程の間に可撓性部材と接触するギアの別の状況を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第2のレールを第1のレールに対して所定の開位置から第2の方向に沿って動かす工程の間に可撓性部材の弾性力に反応して第2の回転方向に沿って回転するギアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図4及び
図5に示すように、本発明の一実施形態によれば、ギア配置構造20はスライドレールアセンブリ等の家具アセンブリに配置される。ギア配置構造20は、ラック22と、ギア24と、ラック22に取り付けられる可撓性部材26とを含む。スライドレールアセンブリ21は第1のレール36と、第2のレール38と、第3のレール40とを含む。第1のレール36は固定されたレールである。第2のレール38は第1のレール36に対して可動であり、可動レールとして見なすことができる。第3のレール40は、第1のレール36に対する第2のレール38の移動距離を伸長するために第1のレール36と第2のレール38との間で可動に取り付けられている。
【0017】
ラック22は第1のレール36及び第2のレール38の一方に固定取り付けされている。本実施形態では、ラック22は第1のレール36に固定取り付けされるとともに、第1のレール36の長手方向に沿って配置されている。ラック22は第1の端部28aと、第1の端部28aと反対の第2の端部28bを有する。第1の端部28aと第2の端部28bとの間には複数の歯30が配置されている。
【0018】
ギア24は、第1のレール36及び第2のレール38のうちの他方に回転可能に取り付けられている。本実施形態では、ギア24は第2のレール38に回転可能に取り付けられている。ギア24は、伝送(transmission)のためにラック22の複数の歯30と係合するように構成された複数の歯32を有する。
【0019】
図6及び
図7に示すように、可撓性部材26はラック22の第1の端部28aに連結される独立した部品である。ラック22は第1の連結部23を備え、可撓性部材26は第1の連結部23に連結するための第2の連結部27を備える。第1の連結部23及び第2の連結部27は、可撓性部材26をラック22に取り外し可能に連結できるように、互いに係合し合う凹構造(孔又は溝等)と凸構造との組み合わせであることが好ましい。可撓性部材26はプラスチック製であり、可撓性部材26は、ラック22の第1の端部28aに隣接する歯30から長手方向に延びた可撓性部34を有することが好ましい。他方、他の実施形態では可撓性部材26とラック22とが一体形成され得るが、本発明はこのような構成に限定されない。
【0020】
図8に示すように、可撓性部34の高さH1はラック22の各歯30の高さH2よりも小さいことが好ましいが、本発明はこのような構成に限定されない。
【0021】
図9に示すように、第2のレール38が第1のレール36に対して後退位置Rに位置している場合、ギア24はラック22の第2の端部28bに隣接する歯30と係合している。ギア24はラック22の歯30を通じて直線経路Pに沿って移動することができる。可撓性部材26はラック22の第1の端部28aから直線経路Pの方向に沿って長手長P1延びている。
【0022】
第2のレール38が第1のレール36に対して後退位置Rから第1の方向D1に沿って動かされると、ギア24はラック22の歯30を通じて直線経路Pを第1の方向D1に沿って移動する。そのようなプロセスの間、ギア24は第2のレール38に対して第1の回転方向R1に沿って回転される。
【0023】
図10に示すように、第2のレール38が第1のレール36に対して第1の方向D1に沿って所定の開位置Eに動かされると、ギア24はラック22の第1の端部28aから外れて、ギア24はもはやラック22と係合していない。
【0024】
図11〜
図13に示すように、第2のレール38が第1のレール36に対して所定の開位置から第2の方向D2(第1の方向D1と反対の方向)に沿って動かされると、ギア24とラック22との再係合の間のノイズや振動を低減できるようにギア24の歯32のうちの1つの先端42がラック22の第1の端部28aに隣接する歯30のうちの1つ(第1の歯)の側部44に対して鉛直角で直接影響を与えることがないようにギア24は可撓性部材26の可撓性部34によって提供される弾性力に反応して回転する。
【0025】
図14及び
図15に示すように、別の状況では、第2のレール38が第1のレール36に対して所定の開位置Eから第2の方向D2に沿って動かされる工程の間、可撓性部材26がギア24に弾性力を提供することができるようにギア24の歯32のうちの1つが可撓性部材26の一部に、例えば可撓性部34の先端に当接し得る。したがって、ギア24の歯32のうちの1つの先端42がラック22の第1の端部28aに隣接する第1の歯の側部44に鉛直角で直接影響する可能性を低減してギア24とラック22との再係合の間にノイズや振動を低減又は防止できるようにギア24は第2のレール28に対して第2の回転方向R2に沿って僅かに回転される。
【0026】
したがって、可撓性部材26は、ギア24とラック22との再係合により生じるノイズや振動を低減又は防止するためにギア24を回転させるように構成されている。
【0027】
本発明のギア配置構造は以下のように特徴付けられる。
1.可撓性部材26は、ギア24とラック22との再係合の間のノイズや振動を低減又は防止するため、弾性力を提供するためにラック22の第1の端部28aに隣接して配置されている。
2.可撓性部材26は、ユーザーが要件に応じて可撓性部材26をラック22に選択的に連結することができるよう、ラックに取り外し可能に連結することができる。
【0028】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら多くの変更及び改良が装置及び方法に加えられ得ることに容易に気付く。したがって、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0029】
20 ギア配置構造
21 スライドレールアセンブリ
22 ラック
23 第1の連結部
24 ギア
26 可撓性部材
27 第2の連結部
28a 第1の端部
28b 第2の端部
30 歯
32 歯
34 可撓性部
36 第1のレール
38 第2のレール