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特開2018-154718コロイド水溶液およびその製造方法、塗膜、有機物検出デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-154718(P2018-154718A)
(43)【公開日】2018年10月4日
(54)【発明の名称】コロイド水溶液およびその製造方法、塗膜、有機物検出デバイス
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20180907BHJP
   C07F 9/535 20060101ALN20180907BHJP
【FI】
   C09K11/06
   C07F9/535
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-51915(P2017-51915)
(22)【出願日】2017年3月16日
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【住所又は居所】茨城県つくば市天王台一丁目1番1
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】山村 正樹
【住所又は居所】茨城県つくば市天王台一丁目1番1 国立大学法人筑波大学内
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 達弥
【住所又は居所】茨城県つくば市天王台一丁目1番1 国立大学法人筑波大学内
(72)【発明者】
【氏名】岡井 誠
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町7−1−1 株式会社日立製作所内
【テーマコード(参考)】
4H050
【Fターム(参考)】
4H050AA03
4H050AB92
(57)【要約】
【課題】界面活性剤を用いることなく、安定性に優れ、かつ青色蛍光を発光するコロイド水溶液およびその製造方法、コロイド水溶液を用いて形成された塗膜、コロイド水溶液を備える有機物検出デバイスを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる含リン有機化合物と、該含リン有機化合物の分散媒である水と、を含むコロイド水溶液。
[化1]

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)〜(4)のいずれか1つで表わされる含リン有機化合物と、該含リン有機化合物の分散媒である水と、を含むことを特徴とするコロイド水溶液。
【化1】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。)
【化2】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【化3】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【化4】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【請求項2】
前記含リン有機化合物の濃度が、1.0×10−6mol/L〜1.0×10−4mol/Lであることを特徴とする請求項1に記載のコロイド水溶液。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコロイド水溶液を用いて形成されたことを特徴とする塗膜。
【請求項4】
請求項1または2に記載のコロイド水溶液と、該コロイド水溶液を収容する容器と、を備えることを特徴とする有機物検出デバイス。
【請求項5】
下記一般式(1)〜(4)のいずれか1つで表わされる含リン有機化合物を、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エタノールおよびアセトンからなる群から選択される少なくとも1種に溶解して含リン有機化合物含有溶液を調製する工程と、
前記含リン有機化合物含有溶液を、攪拌中の水に滴下する工程と、を有することを特徴とするコロイド水溶液の製造方法。
【化5】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。)
【化6】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【化7】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【化8】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【請求項6】
前記含リン有機化合物含有溶液における前記含リン有機化合物の濃度が、1.0×10−4mol/L〜1.0×10−2mol/Lであることを特徴とする請求項5に記載のコロイド水溶液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロイド水溶液およびその製造方法、コロイド水溶液を用いて形成された塗膜、コロイド水溶液を備える有機物検出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光効率が高い青色蛍光を発光する有機化合物としては、例えば、アミノチアゾールが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、生体関連物質の検出を指向した水溶性蛍光性有機化合物としては、例えば、ヌクレオチドを結合させた蛍光色素が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、有機化合物の凝集粒子水溶液の製造方法としては、例えば、再沈殿法が知られている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−168008号公報
【特許文献2】特開2014−93950号公報
【特許文献3】特開平6−79168号公報
【特許文献4】国際公開第2015/137289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の蛍光性有機化合物の凝集微粒子の水溶液は、凝集することで蛍光が消失してしまうものが多かった。そのため、特許文献3および特許文献4に記載の方法により、蛍光性を示す水溶液を得ることは難しかった。また、凝集粒子を得るためには、界面活性剤を必要とする複雑な製造方法を用いる必要があるという課題があった。また、凝集体が時間の経過に伴って、水中に沈降してしまい、水溶液の安定性が低いという課題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、界面活性剤を用いることなく、安定性に優れ、かつ青色蛍光を発光するコロイド水溶液およびその製造方法、コロイド水溶液を用いて形成された塗膜、コロイド水溶液を備える有機物検出デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]下記一般式(1)〜(4)のいずれか1つで表わされる含リン有機化合物と、該含リン有機化合物の分散媒である水と、を含むことを特徴とするコロイド水溶液。
【0007】
【化1】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。)
【0008】
【化2】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0009】
【化3】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0010】
【化4】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0011】
[2]前記含リン有機化合物の濃度が、1.0×10−6mol/L〜1.0×10−4mol/Lであることを特徴とする[1]に記載のコロイド水溶液。
【0012】
[3][1]または[2]に記載のコロイド水溶液を用いて形成されたことを特徴とする塗膜。
【0013】
[4][1]または[2]に記載のコロイド水溶液と、該コロイド水溶液を収容する容器と、を備えることを特徴とする有機物検出デバイス。
【0014】
[5]下記一般式(1)〜(4)のいずれか1つで表わされる含リン有機化合物を、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エタノールおよびアセトンからなる群から選択される少なくとも1種に溶解して含リン有機化合物含有溶液を調製する工程と、
前記含リン有機化合物含有溶液を、攪拌中の水に滴下する工程と、を有することを特徴とするコロイド水溶液の製造方法。
【0015】
【化5】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。)
【0016】
【化6】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0017】
【化7】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0018】
【化8】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0019】
[6]前記含リン有機化合物含有溶液における前記含リン有機化合物の濃度が、1.0×10−4mol/L〜1.0×10−2mol/Lであることを特徴とする[5]に記載のコロイド水溶液の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、界面活性剤を用いることなく、安定性に優れ、かつ青色蛍光を発光するコロイド水溶液およびその製造方法、コロイド水溶液を用いて形成された塗膜、コロイド水溶液を備える有機物検出デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実験例1および実験例2において、コロイド水溶液の吸収極大波長と蛍光極大波長を測定した結果を示す図である。
図2】実験例9において、コロイド水溶液の蛍光極大波長を測定した結果を示す図である。
図3】実験例10において、コロイド水溶液の蛍光極大波長を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のコロイド水溶液およびその製造方法、塗膜、有機物検出デバイスの実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0023】
[コロイド水溶液]
本実施形態のコロイド水溶液は、下記一般式(1)〜(4)のいずれか1つで表わされる含リン有機化合物(以下、「含リン有機化合物」と略すこともある。)と、該含リン有機化合物の分散媒である水と、を含む。
すなわち、本実施形態のコロイド水溶液は、含リン有機化合物からなるコロイド粒子と、該コロイド粒子の分散媒である水と、を含む。
【0024】
【化9】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。)
【0025】
【化10】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0026】
【化11】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0027】
【化12】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基を表わす。炭素原子数1〜12のアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子または塩素原子で置換されていてもよい。アリール基の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子またはヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。Xはそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。)
【0028】
含リン有機化合物としては、例えば、下記式(5)で表わされるSyn−tetra(1,1−dimethylethyl)−9,10,19,20−tetraoxa−4b,14b−diphospha−9,10,19,20,4b,14b−hexahydrodinaphthopentacene、下記式(6)で表わされるAnti−tetra(1,1−dimethylethyl)−9,10,19,20−tetraoxa−4b,14b−diphospha−9,10,19,20,4b,14b−hexahydrodinaphthopentacene、下記式(7)で表わされるSyn−9,10,19,20−tetraoxa−4b,14b−diphospha−9,10,19,20,4b,14b−hexahydrodinaphthopentacene、下記式(8)で表わされるTetra(1,1−dimethylethyl)−bis−2,2’ −(1,3−difluoro−9,11−dioxa−10−phospha−9,10,11−trihydronaphthoanthracence)、下記式(9)で表わされるSyn−difluoro−tetra(1,1−dimethylethyl)−tetraoxa−diphospha−hexahydrodinaphthohexacene、下記式(10)で表わされるAnti−difluoro−tetra(1,1−dimethylethyl)−tetraoxa−diphospha−hexahydrodinaphthohexacene等が挙げられる。
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】
【0033】
【化17】
【0034】
【化18】
【0035】
これらの含リン有機化合物は、例えば、Chemical Science,vol.6,pp.6373−6378.に記載されている公知の製造方法によって得られたものである。
【0036】
本実施形態のコロイド水溶液は、含リン有機化合物の濃度が、1.0×10−6mol/L〜1.0×10−4mol/Lであることが好ましく、1.0×10−5mol/L〜5.0×10−5mol/Lであることがより好ましい。
コロイド水溶液における含リン有機化合物の濃度が上記の範囲内であれば、界面活性剤を用いることなく、安定性に優れ、かつ青色蛍光を発光するコロイド水溶液が得られる。
コロイド水溶液における含リン有機化合物の濃度が1.0×10−6mol/L以上であれば、目視により観察することができる強さの蛍光を発する。一方、コロイド水溶液における含リン有機化合物の濃度が1.0×10−4mol/L以下であれば、蛍光分光計および紫外可視吸収分光計を用いて物質濃度を定量的に測定することができる。
【0037】
水としては、純水が用いられる。
【0038】
本実施形態のコロイド水溶液は、含リン有機化合物と分散媒である水以外に、後述するコロイド水溶液の製造方法にて用いられる、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エタノールおよびアセトンからなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含む。本実施形態のコロイド水溶液における、これらの有機溶媒の濃度は、1.0×10−4mol/L〜1.0×10−2mol/Lであることが好ましく、1.0×10−3mol/L〜2.0×10−2mol/Lであることがより好ましい。
本実施形態のコロイド水溶液において、上記の有機溶媒は、コロイド水溶液を調製する時の良溶媒としてとして機能する。調製後のコロイド水溶液において、有機溶媒の含有量は微量であるから、有機溶媒はコロイド水溶液の機能に影響を及ぼさない。
【0039】
本実施形態のコロイド水溶液は、原子間力顕微鏡による観察結果から、コロイド粒子の形状が球状をなしていることが確認されている。
球状のコロイド粒子の平均粒子径は、動的散乱法によって測定され、10nm〜200nmであることが好ましく、10nm〜60nmであることがより好ましい。
コロイド粒子の平均粒子径が上記の範囲内であれば、界面活性剤を用いることなく、安定性に優れるコロイド水溶液が得られる。
コロイド粒子の平均粒子径10nm以上であれば、コロイド水溶液は均一溶液と同等になることがなく、含リン有機化合物の水溶液であるコロイド水溶液を調製することができる。一方、コロイド粒子の平均粒子径200nm以下であれば、コロイド水溶液が濁り難く、コロイド水溶液が発する蛍光が分散することなく、その蛍光を観測することができる。
【0040】
動的散乱法によるコロイド粒子の平均粒子径の測定方法は、以下の通りである。
石英製の円筒セルに、コロイド水溶液3mLを入れる。このコロイド水溶液を収容した円筒セルを、ミストを十分除去した透明オイルに浸す。この時、透明オイルの温度を20℃に保ちながら、円筒セル内のコロイド水溶液が対流しないように、そのコロイド水溶液を十分に静置する。円筒セル内のコロイド水溶液に緑色色素レーザーを照射し、コロイド水溶液における90度方向の散乱光を検出する。散乱光の時間変化を解析し、コロイド粒子の平均粒子径を算出する。
【0041】
本実施形態のコロイド水溶液は、多分散指数が0.1〜0.3であることが好ましく、0.05〜0.1であることがより好ましい。
多分散指数とは、粒径分布の幅を評価するための指数であり、0〜1の範囲の値をとる。多分散指数が0.1以下であれば、その分散体の粒径分布は単分散と言われ、0.1〜0.3であれば、その分散体の粒径分布は狭いと言われる。
多分散指数が上記の範囲内であれば、界面活性剤を用いることなく、安定性に優れるコロイド水溶液が得られる。
多分散指数0.1以上であれば、ほぼ単一粒子径のコロイド粒子を含むコロイド水溶液となり、粒子径の大きさによる蛍光の違いを考慮する必要がない。一方、多分散指数0.3以下であれば、多少、粒子径に分布のあるコロイド水溶液となる。ただし、本実施形態における含リン有機化合物は、均一溶液においても、コロイド水溶液においても蛍光特性にほとんど差がないことから、多分散指数の影響は少ない。
【0042】
本実施形態のコロイド水溶液は、波長330nm〜370nmの光(励起光)によって、コロイド粒子である含リン有機化合物が青色蛍光を発光する。
本実施形態のコロイド水溶液は、例えば、吸収極大が330nm〜373nm、蛍光極大が393nm〜450nm、量子収率が8%〜68%である。量子収率に関して言えば、本実施形態のコロイド水溶液は、それに含まれる含リン有機化合物を固体(粉体)の状態で用いた場合よりも優れているものもある。
【0043】
また、本実施形態のコロイド水溶液は、界面活性剤を含まないが、25℃、40%RHにて保管した場合に、100日以上、水中に含リン有機化合物が沈殿することなく、安定である。すなわち、本実施形態のコロイド水溶液は、安定性に優れる。
【0044】
[コロイド水溶液の製造方法]
本実施形態のコロイド水溶液の製造方法は、上記一般式(1)〜(4)のいずれか1つで表わされる含リン有機化合物を、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エタノールおよびアセトンからなる群から選択される少なくとも1種に溶解して含リン有機化合物含有溶液を調製する工程(以下、「工程A」と言う。)と、含リン有機化合物含有溶液を、攪拌中の水に滴下する工程(以下、「工程B」と言う。)と、を有する。
【0045】
工程Aにおいて、含リン有機化合物含有溶液における含リン有機化合物の濃度は、1.0×10−4mol/L〜1.0×10−2mol/Lであることが好ましく、1.0×10−3mol/L〜2.0×10−2mol/Lであることがより好ましい。
含リン有機化合物含有溶液における含リン有機化合物の濃度が上記の範囲内であれば、工程Bにおいて、水中に含リン有機化合物含有溶液を均一に分散させて、安定性に優れるコロイド水溶液を調製することができる。
含リン有機化合物含有溶液における含リン有機化合物の濃度が1.0×10−4mol/L以上であれば、コロイド水溶液を調製したときに、コロイド水溶液における含リン有機化合物の濃度が適正な範囲内となり、十分な蛍光強度が得られる。一方、含リン有機化合物含有溶液における含リン有機化合物の濃度が1.0×10−2mol/Lであれば、コロイド水溶液が飽和することなく、含リン有機化合物の溶け残りがない。
【0046】
含リン有機化合物を溶解する有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エタノールおよびアセトンからなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。これらの中でも、ジメチルスルホキシドが好ましい。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
工程Bにおいて、含リン有機化合物含有溶液を、攪拌中の水(純水)に滴下する。
水の量は1mL〜100mLであることが好ましく、10mL〜100mLであることがより好ましい。
水に滴下する含リン有機化合物含有溶液の量は、体積比で、水の量の1/10〜1/1000であることが好ましく、1/100〜1/1000であることがより好ましい。
【0048】
水を攪拌する速さ、例えば、磁気回転子を用いて水を攪拌する場合、その磁気回転子の回転速度は特に限定されない。
水に対する含リン有機化合物含有溶液の滴下速度は、特に限定されないが、例えば、5秒〜120秒の間に滴下が終わる速度とする。
【0049】
本実施形態のコロイド水溶液の製造方法によれば、界面活性剤を用いることなく、簡便に、安定性に優れ、かつ青色蛍光を発光するコロイド水溶液が得られる。
【0050】
[塗膜]
本実施形態の塗膜は、本実施形態のコロイド水溶液を用いて形成されてなる。すなわち、本実施形態の塗膜は、本実施形態のコロイド水溶液の硬化物(乾燥物)からなる膜である。
【0051】
本実施形態の塗膜の膜厚は、用途に応じて適宜調整されるが、1μm〜1000μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。
【0052】
本実施形態の塗膜の製造方法は、上記の本実施形態のコロイド水溶液を被塗布物上に塗工することで塗膜を形成する工程と、この塗膜を硬化(乾燥)させる工程とを有する。
塗膜を形成する塗工方法としては、例えば、バーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法、グラビアコート法、吸上げ塗工法、はけ塗り法等、通常のウェットコート法が用いられる。
【0053】
本実施形態の塗膜を製造する場合、上記の本実施形態のコロイド水溶液には、バインダー成分が含まれていてもよい。
バインダー成分としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0054】
コロイド水溶液がバインダー成分を含む場合、塗膜を硬化させる硬化方法としては、バインダー成分の種類に応じて適宜選択され、熱硬化させる方法または光硬化させる方法が用いられる。
光硬化に用いるエネルギー線としては、塗膜が硬化すれば、特に限定されないが、例えば、紫外線、遠赤外線、近紫外線、赤外線、X線、γ線、電子線、プロトン線、中性子線等のエネルギー線が用いられる。これらのエネルギー線の中でも、硬化速度が速く、装置の入手および取り扱いが容易である点から、紫外線を用いることが好ましい。
【0055】
本実施形態の塗膜は、波長330nm〜370nmの光(励起光)によって青色蛍光を発光する。この性質を利用して、本実施形態の塗膜は、例えば、毒性を有する有機化合物の検出に用いられる。本実施形態の塗膜で検出可能な毒性を有する有機化合物としては、例えば、ピクリン酸や4−ニトロフェノール等のニトロ化合物が挙げられる。本実施形態の塗膜は、毒性を有する有機化合物に曝露されていない状態では、波長330nm〜370nmの光(励起光)によって青色蛍光を発光する。これに対して、本実施形態の塗膜は、毒性を有する有機化合物に十分に曝露(例えば、2日間)されると、波長330nm〜370nmの光(励起光)を照射しても励起することなく、青色蛍光を発光しなくなる。このようにして、本実施形態の塗膜は、毒性を有する有機化合物の検出に用いることができる。
【0056】
[塗膜]
本実施形態の有機物検出デバイスは、本実施形態のコロイド水溶液と、そのコロイド水溶液を収容する容器と、を備える。
【0057】
容器の種類は特に限定されず、コロイド水溶液によって劣化することなく安定な材質からなるものであればいかなるものでも用いられる。また、容器は透明であっても、不透明であってもよいが、容器内のコロイド水溶液の色の変化を確認しやすくするためには、透明であることが好ましい。
【0058】
本実施形態の有機物検出デバイスは、例えば、毒性を有する有機化合物の検出に用いられる。本実施形態の有機物検出デバイスのコロイド水溶液は、ニトロベンゼン等のニトロ化合物に曝露されていない状態では、波長330nm〜370nmの光(励起光)によって青色蛍光を発光する。これに対して、本実施形態の有機物検出デバイスのコロイド水溶液は、ニトロ化合物に十分に曝露(例えば、2日間)されると、波長330nm〜370nmの光(励起光)を照射しても励起することなく、青色蛍光を発光しなくなる。このようにして、本実施形態の有機物検出デバイスは、毒性を有する有機化合物の検出に用いることができる。
【実施例】
【0059】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
[実験例1]
「コロイド水溶液の調製」
上記式(5)で表わされる含リン有機化合物(以下、「含リン有機化合物A1」と言う。)2.28mgを、テトラヒドロフラン3mLに溶解し、1.0×10−3mol/Lの含リン有機化合物含有溶液B1を調製した。
次いで、ビーカー中に純水10mLを入れ、その水に含リン有機化合物含有溶液B1の100μLを10秒間で滴下し、コロイド水溶液C1を得た。なお、水に含リン有機化合物含有溶液B1を滴下している間、水を磁気回転子で攪拌した。
【0061】
「評価」
コロイド水溶液C1について、以下の[1]〜[4]を評価した。
【0062】
[1]コロイド水溶液の吸収特性、発光特性
紫外可視吸収分光装置U−670(日本分光株式会社製)を用いて、光路長1cm石英ガラス容器に収容したコロイド水溶液について、吸収極大波長および吸光度を測定した。また、蛍光分光装置FP−8600(日本分光株式会社製)を用いて、蛍光極大波長を測定した。また、絶対量子収率計C9920−02(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、量子収率を測定した。結果を表1および図1に示す。
【0063】
[2]含リン有機化合物の発光特性
蛍光分光装置FP−8600(日本分光株式会社製)を用いて、蛍光極大波長を測定した。また、絶対量子収率計C9920−02(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、量子収率を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
[3]コロイド粒子の平均粒子径
動的光散乱装置FDLS3000(大塚電子株式会社製)を用いて、コロイド粒子の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
[4]コロイド水溶液の多分散指数
動的光散乱装置FDLS3000(大塚電子株式会社製)を用いて、コロイド粒子の多分散指数を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
[実験例2]
「コロイド水溶液の調製」
上記式(6)で表わされる含リン有機化合物(以下、「含リン有機化合物A2」と言う。)を用いたこと以外は実験例1と同様にして、含リン有機化合物含有溶液B2を調製した。
以下、実験例1と同様にして、コロイド水溶液C2を得た。
【0067】
「評価」
実験例1と同様にして、コロイド水溶液C2について、上記の[1]〜[4]を評価した。結果を表1および図1に示す。
【0068】
[実験例3]
「コロイド水溶液の調製」
上記式(7)で表わされる含リン有機化合物(以下、「含リン有機化合物A3」と言う。)を用いたこと以外は実験例1と同様にして、含リン有機化合物含有溶液B3を調製した。
以下、実験例1と同様にして、コロイド水溶液C3を得た。
【0069】
「評価」
実験例1と同様にして、コロイド水溶液C3について、上記の[1]〜[4]を評価した。結果を表1に示す。
【0070】
[実験例4]
「コロイド水溶液の調製」
上記式(8)で表わされる含リン有機化合物(以下、「含リン有機化合物A4」と言う。)を用いたこと以外は実験例1と同様にして、含リン有機化合物含有溶液B4を調製した。
以下、実験例1と同様にして、コロイド水溶液C4を得た。
【0071】
「評価」
実験例1と同様にして、コロイド水溶液C4について、上記の[1]〜[4]を評価した。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1の結果から、コロイド水溶液C1〜C4は、吸収極大が330nm〜373nm、蛍光極大が393nm〜450nm、量子収率が8%〜68%であることが分かった。すなわち、コロイド水溶液C1〜C4は、青色蛍光を発光することが確認された。また、コロイド水溶液C1は量子収率が82%と高く、固体の含リン有機化合物A1よりも量子収率が高いことが分かった。同様に、コロイド水溶液C3は量子収率が68%と高く、固体の含リン有機化合物A3よりも量子収率が高いことが分かった。
【0074】
[実験例5]
「コロイド水溶液の調製」
上記式(5)で表わされる含リン有機化合物(含リン有機化合物A1)7.6mgを、ジメチルスルホキシド10mLに溶解し、1.0×10−3mol/Lの含リン有機化合物含有溶液B5を調製した。
次いで、ビーカー中に純水10mLを入れ、その水に含リン有機化合物含有溶液B1の100μLを10秒間で滴下し、コロイド水溶液C5を得た。なお、水に含リン有機化合物含有溶液B5を滴下している間、水を磁気回転子で攪拌した。また、ジメチルスルホキシドの量を、体積比で、水の1%とした。
【0075】
「評価」
コロイド水溶液C5について、上記の[1]を評価した。結果を表2に示す。
【0076】
[実験例6]
「コロイド水溶液の調製」
メタノールの量を、体積比で、水の1%としたこと以外は実験例5と同様にして、コロイド水溶液C6を調製した。
【0077】
「評価」
コロイド水溶液C6について、上記の[1]を評価した。結果を表2に示す。
【0078】
[実験例7]
「コロイド水溶液の調製」
含リン有機化合物A1を溶解する有機溶媒としてジメチルスルホキシドを用いたこと以外は実験例6と同様にして、コロイド水溶液C7を調製した。
【0079】
「評価」
コロイド水溶液C7について、上記の[1]を評価した。結果を表2に示す。
【0080】
[実験例8]
「コロイド水溶液の調製」
含リン有機化合物A1の代わりに含リン有機化合物A3を用いたこと以外は実験例7と同様にして、コロイド水溶液C8を調製した。
【0081】
「評価」
コロイド水溶液C8について、上記の[1]を評価した。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
表2の結果から、コロイド水溶液の調製に用いる有機溶媒の種類や濃度によって、コロイド水溶液の量子収率を制御できることが分かった。
【0084】
[実験例9]
実験例7で調製したコロイド水溶液C7を、3mLの透明なガラス容器に収容した。
この容器内のコロイド水溶液C7にピクリン酸0.1mgを添加し、所定の時間毎に、コロイド水溶液C7に、波長370nm紫外線を照射し、そのときのコロイド水溶液C7の蛍光極大波長を測定した。結果を図2に示す。測定は、ピクリン酸添加前、添加から1分後、添加から10分後、添加から100分後に行った。
図2の結果から、ピクリン酸を添加してから、時間の経過に伴って、コロイド水溶液C7の蛍光極大波長における蛍光強度が小さくなることから、コロイド水溶液C7の色が変化することが分かった。すなわち、コロイド水溶液C7により、ピクリン酸を検出できることが分かった。
【0085】
[実験例10]
実験例7で調製したコロイド水溶液C7を、3mLの透明なガラス容器に収容した。
この容器内のコロイド水溶液C7に4−ニトロフェノール0.1mgを添加し、所定の時間毎に、コロイド水溶液C7に、波長370nm紫外線を照射し、そのときのコロイド水溶液C7の蛍光極大波長を測定した。結果を図3に示す。測定は、ピクリン酸添加前、添加から1分後、添加から10分後、添加から100分後に行った。
図3の結果から、4−ニトロフェノールを添加してから、時間の経過に伴って、コロイド水溶液C7の蛍光極大波長における蛍光強度が小さくなることから、コロイド水溶液C7の色が変化することが分かった。すなわち、コロイド水溶液C7により、4−ニトロフェノールを検出できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、化学修飾、特別な試薬や装置を用いることなく、安定性に優れ、かつ青色蛍光を発光するコロイド水溶液を提供することができる。
図1
図2
図3