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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-155528(P2018-155528A)
(43)【公開日】2018年10月4日
(54)【発明の名称】回転角検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20180907BHJP
   G01D 5/04 20060101ALI20180907BHJP
【FI】
   G01B7/30 B
   G01D5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-50867(P2017-50867)
(22)【出願日】2017年3月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】竹田 康紘
(72)【発明者】
【氏名】川野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智文
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BA06
2F063CA09
2F063CA29
2F063CA34
2F063DA01
2F063DB07
2F063DD02
2F063EA20
2F063JA07
2F063KA01
2F063ZA01
2F077AA16
2F077AA25
2F077AA43
2F077CC02
2F077DD05
2F077MM16
2F077TT57
2F077VV02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供する。
【解決手段】セクターギヤ17(従動側歯車)と、セクターギヤ17に歯車結合部を介して接続されたピニオン19(駆動側歯車)とを備える。ピニオン19に結合された出力軸12aを有する駆動用モータ12を備える。セクターギヤ17に固定されてこのセクターギヤ17の振動を検出する振動ピックアップ21を備える。振動ピックアップ21によって検出された振動の大きさに基づいて現在の開度(セクターギヤ17の回転角)を求める信号処理回路を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角を検出するための回動する従動側歯車と、
前記従動側歯車に歯車結合部を介して接続された駆動側歯車と、
前記駆動側歯車に結合された出力軸を有するモータと、
前記従動側歯車に固定され、この従動側歯車の振動を検出する振動ピックアップと、
前記振動ピックアップによって検出された振動の大きさに基づいて前記従動側歯車の回転角を求める信号処理回路とを備えている回転角検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転角検出装置において、
前記従動側歯車と、前記駆動側歯車および前記モータは、回動式アクチュエータの駆動系を構成するものであることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の回転角検出装置において、
前記信号処理回路は、前記モータが停止したときの前記従動側歯車の回転角を記憶する記憶部を備えていることを特徴とする回転角検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動する部材の回転角を検出する回転角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば空調用バルブを駆動する回動式アクチュエータは、回転軸の回転角を検出する回転角検出装置を備えている。従来のこの種の回転角検出装置としては、回転角に応じて電気抵抗が変化するポテンショメータや、回転角に応じて磁束密度が変化する磁気センサなどを用いたものが多い。
【0003】
空調用バルブにおいて、回転軸の回転角を検出する回転角検出装置は、アクチュエータの制御精度に大きく影響する。このため、近年の空調用バルブにおいては、開度をより一層精度よく制御できるように、回転角検出装置の検出精度を更に高くすることが要請されている。
ポテンショメータや磁気センサなどを使用した回転角検出装置より検出精度を高くするためには、例えば特許文献1に記載されているような計測装置を用いることが考えられる。
特許文献1に開示された計測装置は、基体上の表面弾性波の伝播を位置検出に利用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−257315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された計測装置は、熱による影響を大きく受けて精度が変化するものである。一方、空調用バルブは、駆動用モータの熱や、バルブ内を流れる制御流体の熱によって温度が大きく変化するものである。このため、特許文献1に示す計測装置を空調用バルブの回動式アクチュエータに適用するためには、計測装置の基材を熱膨脹係数が小さい材料によって形成しなければ温度特性を保つことができない。このような基材は高価であるから、この計測装置を空調用バルブのアクチュエータに使用すると、空調用バルブの製造コストが高くなってしまう。
【0006】
また、特許文献1の計測装置に使用されている表面弾性波のセンサは、湿度センサにも使用されるもので、一般的に湿度の影響を大きく受けることが知られている。このため、この計測装置では、相対湿度が5〜95RHとなるような湿度環境に設置される空調用バルブの開度を精度よく計測することは難しい。
【0007】
さらに、特許文献1に開示された計測装置を空調用バルブのアクチュエータに組み込むためには、以下のように部品が増えるとともに構造上の制約や設計上の制約を受けるために、アクチュエータが複雑化するとともに大型化するという問題もある。部品が増える理由は、2つある。第1の理由は、表面弾性波を伝播させるための基材がアクチュエータの部品の他に別途必要だからである。第2の理由は、計測装置の受信機がアクチェータの回転方向に移動するように、受信機とアクチェータとを連動させる機構が必要だからである。
【0008】
構造上の制約は、励振機から発生した表面弾性波の伝播方向がアクチュエータの回転方向と一致するように構成し、受信機をこの方向に沿って配置しなければならないということである。
設計上の制約は、励振機と受信機とを必ず同一表面上に設置しなければならないということである。
加えて、特許文献1に示す計測装置の受信機は、スケール基板に接触してスライドするものである。このため、この計測装置には、長期間にわたって使用されることにより、受信機とスケール基板との接触部分が摩耗して劣化してしまうという問題もある。
【0009】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る回転角検出装置は、回転角を検出するための回動する従動側歯車と、前記従動側歯車に歯車結合部を介して接続された駆動側歯車と、前記駆動側歯車に結合された出力軸を有するモータと、前記従動側歯車に固定され、この従動側歯車の振動を検出する振動ピックアップと、前記振動ピックアップによって検出された振動の大きさに基づいて前記従動側歯車の回転角を求める信号処理回路とを備えているものである。
【0011】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記従動側歯車と、前記駆動側歯車および前記モータは、回動式アクチュエータの駆動系を構成するものであってもよい。
【0012】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記信号処理回路は、前記モータが停止したときの前記従動側歯車の回転角を記憶する記憶部を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モータの振動は、出力軸から駆動側歯車および従動側歯車を介して振動ピックアップに伝達される。振動ピックアップによって検出されるモータの振動は、モータと振動ピックアップとの間の距離に応じて減衰される。この振動は、モータと振動ピックアップとの距離が近ければ強く、この距離が長ければ弱くなる。モータと振動ピックアップとの距離は、従動側歯車の回転角の大きさに相当する。このため、この回転角検出装置によれば、この振動の大きさ(強さ)に基づいて従動側歯車の回転角を求めることができる。
【0014】
この回転角検出装置は、従動側歯車と、駆動側歯車と、モータと、振動ピックアップと、信号処理回路とによって構成されており、少ない構成要素で実現された単純な構造のものである。このため、この回転角検出装置によれば、特許文献1に示す測定装置と較べると、製造コストを低く抑えることができる。この回転角検出装置に用いる振動ピックアップは、表面弾性波を用いるセンサと較べると、温度や湿度の影響を受け難いものであり、市販されている安価なものを使用することができる。このことからもコストダウンが図られている。
【0015】
モータから振動ピックアップに伝播される振動の大きさ(強さ)は、温度や湿度が変わっても大きく変化することがない。このため、使用環境の影響を受け難く、検出精度が高くなる。
また、振動ピックアップが従動側歯車に固定される位置は、振動が伝播される方向を考慮する必要はなく、従動側歯車の回転に伴ってモータとの距離が変化する位置であればどのような位置でもよい。しかも、振動ピックアップを取付ける従動側歯車の材料は、剛体であれば特に制約を受けることもない。このため、回転角検出装置を設計する上で自由度が高い。
【0016】
この結果、振動ピックアップを従動側歯車に沿うように、単純な取付構造でコンパクトに配置することが可能になる。
さらに、振動源はモータであり、振動ピックアップは従動側歯車に固定されているから、振動ピックアップが回転部材に接触することがなく、回転角を検出するにあたって摩耗が生じることがない。
【0017】
したがって、本発明によれば、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難い構成を採りながら検出精度が高く、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る回転角検出装置を備えた空調用バルブのバルブボディを破断して示す斜視図である。
図2】回転角検出装置の構成を示す斜視図である。
図3】全閉状態における伝動機構の一部とモータおよび振動ピックアップの平面図である。
図4】全開状態における伝動機構の一部とモータおよび振動ピックアップの平面図である。
図5】制御系の構成を示すブロック図である。
図6】全閉状態から全開状態に移行するときの振動の大きさの変化を示すグラフである。
図7】全開状態から全閉状態に移行するときの振動の大きさの変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る回転角検出装置の一実施の形態を図1図7によって詳細に説明する。
図1に示す回転角検出装置1は、空調用バルブ2を駆動するアクチュエータ3に装備されている。空調用バルブ2は、バルブボディ4に弁体5とバルブステム6などを組付けて構成されている。バルブボディ4の内部には流体通路7が形成されている。バルブボディ4の両端部には取付用フランジ8が設けられている。
【0020】
弁体5は、球状に形成されて流体通路7内に配置されており、バルブボディ4に回動自在に支持されている。
バルブステム6は、円柱状に形成され、一端部がバルブボディ4から突出する状態でバルブボディ4に回動自在に支持されている。バルブステム6の一端部はアクチュエータ3に接続されている。バルブステム6の他端部は、弁体5に一体に回動するように接続されている。このため、弁体5は、バルブステム6の軸線Cを中心にして回動する。この弁体5が回動するときの最大回転角は約90°である。この実施の形態による空調用バルブ2においては、弁体5が全開状態から約90°回ることによって全閉状態になり、この全閉状態から上記とは反対方向に弁体5が約90°回ることによって全開状態に戻る。
【0021】
アクチュエータ3は、弁体5を回動させる回動式のもので、バルブボディ4に支持された筐体11と、この筐体11の中に収容された駆動用モータ12およびバルブ制御装置13などを備えている。
駆動用モータ12は、空調用バルブ2を駆動するための動力源になるもので、バルブステム6に伝動機構14を介して接続されている。この実施の形態においては、この駆動用モータが本発明でいう「モータ」に相当する。この駆動用モータは、図示していないブラケットを介して筐体11に支持されている。
伝動機構14は、回動式アクチュエータ3の駆動系を構成するもので、バルブステム6にジョイント15を介して接続された回転軸16と、この回転軸16に固定されたセクターギヤ17と、このセクターギヤ17に歯車結合部18を介して接続されたピニオン19などによって構成されている。
【0022】
セクターギヤ17は、図2に示すように、回転軸16が貫通するボス部17aと、このボス部17aから径方向の外側に突出する板状の歯車部17bとによって構成されている。歯車部17bは、回転軸16の軸線方向から見て扇状に形成されている。この歯車部17bの周壁部分には歯17cが形成されている。
セクターギヤ17の歯車部17bには、後述する振動ピックアップ21が固定されている。この振動ピックアップ21が取付けられている位置は、歯車部17bにおける軸線方向の一方の端面であって、セクターギヤ17の回転方向の一端部である。
【0023】
歯車結合部18は、この実施の形態においてはセクターギヤ17とピニオン19とが噛み合う部分である。なお、図示してはいないが、減速比を大きくするために、セクターギヤ17とピニオン18との間に複数の中間ギヤを設ける場合は、これらの中間ギヤによる動力伝達部が歯車結合部18となる。
【0024】
ピニオン19は、駆動用モータ12の出力軸12a(図2参照)に固着されている。このため、駆動用モータ12が回転することによって、回転力がピニオン19から歯車結合部18を介してセクターギヤ17に伝達され、回転軸16がバルブステム6および弁体5と一体に回転する。
この実施の形態によるセクターギヤ17とピニオン19は、プラスチック材料によって形成されている。また、セクターギヤ17とピニオン19の噛み合い率は1.0以上である。すなわち、これらのギヤは、歯が常に接触する状態で噛合している。
【0025】
この伝動機構14においては、空調用バルブ2の開度が0%になる全閉状態から開度が100%になる全開状態に移行することによって、セクターギヤ17が図3に示す全閉位置から同図において時計方向に約90°回り、図4に示す全開位置に位置付けられる。この実施の形態においては、セクターギヤ17が本発明でいう「従動側歯車」に相当し、ピニオン18が本発明でいう「駆動側歯車」に相当する。
【0026】
バルブ制御装置13は、空調用バルブ2の現在の開度が目標開度となるように駆動用モータ12の動作を制御するものである。このバルブ制御装置13は、図5に示すように、上述した駆動用モータ12と、振動ピックアップ21とが接続されているとともに、複数の機能部を有している。この複数の機能部とは、詳細は後述するが、通信部22と、モータ制御部23と、開度検出部24である。
【0027】
空調用バルブ2の現在の開度は、駆動用モータ12と振動ピックアップ21とを有する回転角検出装置1によって検出される。この回転角検出装置1の説明は後述する。
空調用バルブ2の目標開度は、図示していない空調制御装置によって設定され、制御信号として空調制御装置からバルブ制御装置13に送られる。
【0028】
駆動用モータ12は、動作するときに振動するものである。この駆動用モータ12が動作するときの振動は、出力軸12aからピニオン19と、このピニオン19とセクターギヤ17との噛合部(歯車結合部18)とを介してセクターギヤ17に伝達される。すなわち、駆動用モータ12の振動は、出力軸12a→ピニオン19→セクターギヤ17という振動伝達経路を経て振動ピックアップ21に伝達される。このため、セクターギヤ17は、ピニオン19と噛合する部分から振動が伝達されて振動しながら図3に示す全閉位置と図4に示す全開位置との間で回動する。
【0029】
バルブ制御装置13に接続された振動ピックアップ21は、例えば加速度センサ(図示せず)を使用して振動を電気信号に変換するものを用いることができる。この振動ピックアップ21は、セクターギヤ17の歯車部21bに図示していない固定用ねじや接着剤によって固定されている。このため、振動ピックアップ21は、セクターギヤ17の歯車部21bの振動を検出する。
【0030】
歯車部21bにおける振動ピックアップ21が固定されている位置は、図3に示すように、ピニオン19が噛合する位置からセクターギヤ17の回転方向において離間した位置である。この実施の形態による振動ピックアップ21は、セクターギヤ17の回転方向の一端部であって、空調用バルブ2の開度が増す方向(図3においては時計方向)へセクターギヤ17が回るときに進行方向後側となるセクターギヤ17の一端部に配置されている。このため、振動ピックアップ21と駆動用モータ12との間の距離は、セクターギヤ17が図3に示す全閉位置から図4に示す全開位置まで回ることにより徐々に短くなり、セクターギヤ17が全開位置から全閉位置に回ることにより徐々に長くなる。
【0031】
バルブ制御装置13に設けられている通信部22は、図示していない空調制御装置から制御信号を受信する機能を有している。この制御信号には、目標開度のデータが含まれている。
モータ制御部23は、駆動用モータ12の正転、逆転の切替えを行うとともに、駆動用モータ12の回転、停止を切替えて回動式アクチュエータ3の動作を制御する機能を有している。
【0032】
開度検出部24は、回転角検出装置1の一部を構成するもので、バルブ制御装置13に信号処理回路25として設けられている。この実施の形態による回転角検出装置1は、この信号処理回路25と、上述したセクターギヤ17と、ピニオン19を有する駆動用モータ12と、振動ピックアップ21などによって構成されている。
開度検出部24は、第1〜第4の機能を有している。第1の機能は、上述した振動ピックアップ21によって検出された振動の大きさに基づいて空調用バルブ2の現在の開度を求める機能である。
【0033】
振動ピックアップ21は、駆動用モータ12からピニオン19とセクターギヤ17とを介して伝達された振動波を検出する。振動ピックアップ21によって検出される振動は、駆動用モータ12と振動ピックアップ21との間の距離に応じて減衰される。この振動は、駆動用モータ12と振動ピックアップ21との距離が近ければ強く、この距離が長ければ弱くなる。このため、振動ピックアップ21によって検出された振動の大きさがセクターギヤ17の回転角の大きさに相当する。
【0034】
この実施の形態において、振動ピックアップ21が検出する振動は、セクターギヤ17が図3に示す全閉位置にあるときに最も小さく(弱く)なり、図4に示す全開位置にあるときに最も大きく(強く)なる。セクターギヤ17が全閉位置の約0°から全開位置の約90°まで回るときに振動ピックアップ21が検出する振動は、図6に示すように徐々に増大する。セクターギヤ17が全開位置から全閉位置まで回るときに振動ピックアップ21が検出する振動は、図7に示すように徐々に減少する。
【0035】
開度検出部24が現在の開度を求めるにあたっては、例えば、振動ピックアップ21によって検出された現在の振動の大きさに対応する開度を開度特定用のデータマップ(図示せず)から読み出して行うことができる。このデータマップには、振動ピックアップ21を使用して行った実験により得たデータが記録されている。このデータは、実験時の振動の大きさと、その振動を検出したときの開度である。このため、開度検出部24によって求められる現在の開度は、現在の振動の大きさに相当する実験時の開度である。
【0036】
開度検出部24の第2の機能は、振動ピックアップ21によって検出された振動の中から不必要な振動を除去する機能である。不必要な振動とは、セクターギヤ17と小径ギヤ22との噛合部で生じる振動や、バルブボディ4から伝達された振動などである。この第2の機能は、振動ピックアップ21の出力データにノイズカットや平均化処理などの補正処理を施すことによって実現することができる。
【0037】
開度検出部24の第3の機能は、駆動用モータ12が停止したときに、停止時のセクターギヤ17の回転角に相当する空調用バルブ2の開度を保存する機能である。この保存は、開度検出部24に設けられているメモリ26にモータ停止時の開度を記憶させることによって行う。この実施の形態においては、このメモリ26が請求項3記載の発明でいう「記憶部」に相当する。
このようにモータ停止時の開度を保存することにより、駆動用モータ12が停止している期間中に目標開度が変更されたとしても、メモリ26から読み出した停止時の開度を現在の開度として代用して駆動用モータ12の動作を制御することが可能になる。
【0038】
また、開度検出部24は、回動式アクチュエータ3の電源が断たれた場合は、次に回動式アクチュエータ3が再起動されたときにキャリブレーションを行う構成が採られている。すなわち、開度検出部24は、再起動後に振動ピックアップ21によって検出された現在のデータと、上述したデータマップに記録されているデータとが整合するような補正値を求め、現在のデータをこの補正値で補正して現在の開度を検出する。このため、例えばメンテナンスが行われて振動ピックアップ21に検出される振動の大きさが変化したとしても、初期の検出精度で現在の開度を検出することが可能になる。
【0039】
開度検出部24の第4の機能は、駆動用モータ12や伝動機構14の異常を検出する機能である。駆動用モータ12や伝動機構14に異常が生じると、それが振動となって現れる。このような異常に起因した振動を検出することによって、異常の有無を判別することが可能である。開度検出部24は、振動ピックアップ21の検出データに含まれる振動の周波数成分を解析し、異常振動に相当する周波数成分の振動を検出したときに異常有りと判別する。
【0040】
このように構成された空調用バルブ2においては、回転角検出装置1によって求められた現在の開度が目標開度と一致するように、バルブ制御装置13によって駆動用モータ12の動作が制御される。
この実施の形態による回転角検出装置1は、セクターギヤ17と、ピニオン19と、駆動用モータ12と、振動ピックアップ21と、信号処理回路25とによって構成されており、少ない構成要素で実現された単純な構造のものである。このため、この回転角検出装置1によれば、特許文献1に示す測定装置と較べると、製造コストを低く抑えることができる。
【0041】
回転角検出装置1に用いられている駆動用モータ12と振動ピックアップ21は、表面弾性波を用いるセンサと較べると、温度や湿度の影響を受け難いものであり、いずれも市販されている安価なものを使用することができる。このことからもコストダウンが図られている。
駆動用モータ12から振動ピックアップ21に伝播される振動の大きさ(強さ)は、温度や湿度が変わっても大きく変化することがない。このため、使用環境の影響を受け難く、検出精度が高くなる。
【0042】
また、振動ピックアップ21がセクターギヤ17に固定される位置は、振動が伝播される方向を考慮する必要はなく、セクターギヤ17の回転に伴って駆動用モータ12との距離が変化する位置であればどのような位置でもよい。しかも、セクターギヤ17を形成する材料は、剛体であれば特に制約を受けることもない。このため、回転角検出装置1を設計する上で自由度が高い。この結果、振動ピックアップ21をセクターギヤ17に沿うように、単純な取付構造でコンパクトに配置することが可能になる。
【0043】
さらに、振動ピックアップ21は、セクターギヤ17に固定されているから回転部材に接触することがなく、回転角を検出するにあたって摩耗が生じることがない。
したがって、この実施の形態によれば、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供することができる。
【0044】
この実施の形態によるセクターギヤ17と、ピニオン19を有する駆動用モータ12は、回動式アクチュエータ3の駆動系の一部を構成するものである。振動ピックアップ21はセクターギヤ17の歯車部17bに固定されている。この実施の形態によれば、振動ピックアップ21で振動を検出するにあたって、専ら振動を伝達するための部品は不要である。このため、振動伝達用の専用部品を用いる場合と較べると、部品数が少なくなり、製造コストが更に低くなるとともに、更なる小型化が可能になる。
【0045】
この実施の形態による信号処理回路24は、駆動用モータ12が停止したときのセクターギヤ17の回転角に相当する空調用バルブの開度を記憶するメモリ26(記憶部)を備えている。
このため、駆動用モータ12が停止して振動が生じないときであっても、メモリ26に保存されているモータ停止時の開度(回転角)を代用することにより、実質的に現在の開度(現在の回転角)を検出できるようになる。したがって、開度(回転角)を常に検出できるようになるから、検出値の信頼性が高い回転角検出装置を提供することができる。
【0046】
この実施の形態による回転角検出装置1は、現在の振動の大きさに相当する実験時の開度を現在の開度とするものである。このため、振動ピックアップ21を設置するにあたっては、精密な位置決めを行う必要がない。
振動ピックアップ21は、表面を伝わる振動のみではなく、物質内を伝わる振動波も検出できるものである。このため、振動ピックアップ21がセクターギヤ17に固定される位置は、図3に示す位置に限定されることはなく、適宜変更することができる。振動ピックアップ21は、例えば図3において紙面の下方となるセクターギヤ17の下面側に配置したり、セクターギヤ17のボス部17aに固定することもできる。
【0047】
上述した実施の形態においては、振動を伝達するセクターギヤ17とピニオン19がプラスチック材料によって形成されている例を示した。しかし、セクターギヤ17およびピニオン19は、金属材料によって形成することができる。また、歯車結合部18として中間ギヤを使用する場合は、セクターギヤ17およびピニオン19と同一の材料によって形成された中間ギヤを用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…回転角検出装置、3…回動式アクチュエータ、12…駆動用モータ、12a…出力軸、17…セクターギヤ(従動側歯車)、18…歯車結合部、19…ピニオン(従動側歯車)、21…振動ピックアップ、24…信号処理回路、26…メモリ(記憶部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7