特開2018-155529(P2018-155529A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-155529(P2018-155529A)
(43)【公開日】2018年10月4日
(54)【発明の名称】回転角検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/48 20060101AFI20180907BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20180907BHJP
【FI】
   G01D5/48 B
   F16K37/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-50868(P2017-50868)
(22)【出願日】2017年3月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】竹田 康紘
(72)【発明者】
【氏名】川野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智文
【テーマコード(参考)】
2F077
3H065
【Fターム(参考)】
2F077AA41
2F077AA43
2F077CC02
2F077LL01
2F077LL04
2F077LL06
2F077UU21
3H065BA01
3H065BB11
(57)【要約】
【課題】製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化が可能な回転角検出装置を提供する。
【解決手段】回動するセクターギヤ17(基体)と、セクターギヤ17に接触して振動を加える振動源21を備える。セクターギヤ17の表面における振動源21が接触する位置から回転方向に離間した位置に接触する振動ピックアップ22を備える。振動ピックアップ22によって検出された振動の大きさに基づいてセクターギヤ17の回転角を求める信号処理回路32を備える。振動源21と振動ピックアップ22のうち、一方はセクターギヤ17に固定され、他方はセクターギヤ17の回動を許容する状態でプリント基板26(支持部材)に支持されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角を検出するための回動する基体と、
前記基体の表面に接触し、前記基体に振動を加える振動源と、
前記基体の表面における前記振動源が接触する位置から前記基体の回転方向に離間した位置に接触し、前記基体の振動を検出する振動ピックアップと、
前記振動ピックアップによって検出された振動の大きさに基づいて前記基体の回転角を求める信号処理回路とを備え、
前記振動源と前記振動ピックアップのうち、一方は前記基体に固定され、他方は前記基体の回動を許容する状態で前記基体とは異なる支持部材に支持されている回転角検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転角検出装置において、
前記基体は、回動式アクチュエータの駆動系の一部を構成する歯車であり、
前記振動源および前記振動ピックアップは、前記歯車の軸線方向の端面に接触していることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の回転角検出装置において、
前記基体は、回動式アクチュエータによって駆動されて回動する軸であり、
前記振動源および前記振動ピックアップは、前記軸の外周面に接触していることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項4】
請求項3記載の回転角検出装置において、
前記軸は、弁体が回動するバルブのバルブステムであることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の回転角検出装置において、
前記支持部材は、前記回動式アクチュエータの動作を制御する制御回路を有するプリント基板であることを特徴とする回転角検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動する部材の回転角を検出する回転角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば空調用バルブを駆動する回動式アクチュエータは、回転軸の回転角を検出する回転角検出装置を備えている。従来のこの種の回転角検出装置としては、回転角に応じて電気抵抗が変化するポテンショメータや、回転角に応じて磁束密度が変化する磁気センサなどを用いたものが多い。
【0003】
空調用バルブにおいて、回転軸の回転角を検出する回転角検出装置は、アクチュエータの制御精度に大きく影響する。このため、近年の空調用バルブにおいては、開度をより一層精度よく制御できるように、回転角検出装置の検出精度を更に高くすることが要請されている。
ポテンショメータや磁気センサなどを使用した回転角検出装置より検出精度を高くするためには、例えば特許文献1に記載されているような計測装置を用いることが考えられる。
特許文献1に開示された計測装置は、基体上の表面弾性波の伝播を位置検出に利用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−257315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された計測装置は、熱による影響を大きく受けて精度が変化するものである。一方、空調用バルブは、駆動用モータの熱や、バルブ内を流れる制御流体の熱によって温度が大きく変化するものである。このため、特許文献1に示す計測装置を空調用バルブの回動式アクチュエータに適用するためには、計測装置の基材を熱膨脹係数が小さい材料によって形成しなければ温度特性を保つことができない。このような基材は高価であるから、この計測装置を空調用バルブのアクチュエータに使用すると、空調用バルブの製造コストが高くなってしまう。
【0006】
また、特許文献1の計測装置に使用されている表面弾性波のセンサは、湿度センサにも使用されるもので、一般的に湿度の影響を大きく受けることが知られている。このため、この計測装置では、相対湿度が5〜95RHとなるような湿度環境に設置される空調用バルブの開度を精度よく計測することは難しい。
【0007】
さらに、特許文献1に開示された計測装置を空調用バルブのアクチュエータに組み込むためには、以下のように部品が増えるとともに構造上の制約や設計上の制約を受けるために、アクチュエータが複雑化するとともに大型化するという問題もある。部品が増える理由は、2つある。第1の理由は、表面弾性波を伝播させるための基材がアクチュエータの部品の他に別途必要だからである。第2の理由は、計測装置の受信機がアクチェータの回転方向に移動するように、受信機とアクチェータとを連動させる機構が必要だからである。
【0008】
構造上の制約は、励振機から発生した表面弾性波の伝播方向がアクチュエータの回転方向と一致するように構成し、受信機をこの方向に沿って配置しなければならないということである。
設計上の制約は、励振機と受信機とを必ず同一表面上に設置しなければならないということである。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化が可能な回転角検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る回転角検出装置は、回転角を検出するための回動する基体と、前記基体の表面に接触し、前記基体に振動を加える振動源と、前記基体の表面における前記振動源が接触する位置から前記基体の回転方向に離間した位置に接触し、前記基体の振動を検出する振動ピックアップと、前記振動ピックアップによって検出された振動の大きさに基づいて前記基体の回転角を求める信号処理回路とを備え、前記振動源と前記振動ピックアップのうち、一方は前記基体に固定され、他方は前記基体の回動を許容する状態で前記基体とは異なる支持部材に支持されているものである。
【0010】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記基体は、回動式アクチュエータの駆動系の一部を構成する歯車であり、前記振動源および前記振動ピックアップは、前記歯車の軸線方向の端面に接触していてもよい。
【0011】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記基体は、回動式アクチュエータによって駆動されて回動する軸であり、前記振動源および前記振動ピックアップは、前記軸の外周面に接触していてもよい。
【0012】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記軸は、弁体が回動するバルブのバルブステムであってもよい。
【0013】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記支持部材は、前記回動式アクチュエータの動作を制御する制御回路を有するプリント基板であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、振動源とともに基体が振動することにより、振動波が振動源から基体を介して振動ピックアップに伝達される。振動ピックアップによって検出される振動は、振動源と振動ピックアップとの間の距離に応じて減衰される。この振動は、振動源と振動ピックアップとの距離が近ければ強く、この距離が長ければ弱くなる。振動源と振動ピックアップとの距離は、基体の回転角の大きさに相当する。このため、この回転角検出装置によれば、この振動の大きさ(強さ)に基づいて基体の回転角を求めることができる。
【0015】
この回転角検出装置は、基体と、振動源と、振動ピックアップと、信号処理回路とによって構成されており、少ない構成要素で実現された単純な構造のものである。このため、この回転角検出装置によれば、特許文献1に示す測定装置と較べると、製造コストを低く抑えることができる。この回転角検出装置に用いる振動源と振動ピックアップは、表面弾性波を用いるセンサと較べると、温度や湿度の影響を受け難いものであり、いずれも市販されている安価なものを使用することができる。このことからもコストダウンが図られている。
【0016】
振動源から振動ピックアップに伝播される振動の大きさ(強さ)は、温度や湿度が変わっても大きく変化することがない。このため、使用環境の影響を受け難く、検出精度が高くなる。
また、振動源と振動ピックアップとが基体に接触する位置は、振動が伝播される方向を考慮する必要はなく、基体の回転に伴ってこれらの部品どうしの距離が変化する位置であればどのような位置でもよい。このため、回転角検出装置を設計する上で自由度が高い。この結果、振動源と振動ピックアップとを基体に沿うように、単純な取付構造でコンパクトに配置することが可能になる。
したがって、本発明によれば、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難い構成を採りながら検出精度が高く、しかも、簡単な構成で小型化が可能な回転角検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態による回転角検出装置を備えた空調用バルブのバルブボディを破断して示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態による回転角検出装置の構成を示す斜視図である。
図3】全閉状態におけるセクターギヤと振動源および振動ピックアップの平面図である。
図4】全開状態におけるセクターギヤと振動源および振動ピックアップの平面図である。
図5】制御系の構成を示すブロック図である。
図6】全閉状態から全開状態に移行するときの振動の大きさの変化を示すグラフである。
図7】全開状態から全閉状態に移行するときの振動の大きさの変化を示すグラフである。
図8】振動源および振動ピックアップの位置が異なる変形例を示すセクターギヤと振動源および振動ピックアップの平面図である。
図9】第2の実施の形態による回転角検出装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る回転角検出装置の一実施の形態を図1図8によって詳細に説明する。
図1に示す回転角検出装置1は、空調用バルブ2を駆動するアクチュエータ3に装備されている。空調用バルブ2は、バルブボディ4に弁体5とバルブステム6などを組付けて構成されている。バルブボディ4の内部には流体通路7が形成されている。バルブボディ4の両端部には取付用フランジ8が設けられている。
【0019】
弁体5は、球状に形成されて流体通路7内に配置されており、バルブボディ4に回動自在に支持されている。
バルブステム6は、円柱状に形成され、一端部がバルブボディ4から突出する状態でバルブボディ4に回動自在に支持されている。バルブステム6の一端部はアクチュエータ3に接続されている。バルブステム6の他端部は、弁体5に一体に回動するように接続されている。このため、弁体5は、バルブステム6の軸線C1を中心にして回動する。この弁体5が回動するときの最大回転角は約90°である。この実施の形態による空調用バルブ2においては、弁体5が全開状態から約90°回ることによって全閉状態になり、この全閉状態から上記とは反対方向に弁体5が約90°回ることによって全開状態に戻る。
【0020】
アクチュエータ3は、バルブボディ4に支持された筐体11と、この筐体11の中に収容された駆動用モータ12およびバルブ制御装置13などを備えている。
駆動用モータ12は、空調用バルブ2を駆動するための動力源になるもので、バルブステム6に伝動機構14を介して接続されている。この伝動機構14は、回動式アクチュエータ3の駆動系を構成するもので、バルブステム6にジョイント15を介して接続された回転軸16と、この回転軸16に固定されたセクターギヤ17と、このセクターギヤ17と駆動用モータ12のピニオン18とを接続する歯車群(図示せず)などを有している。
【0021】
セクターギヤ17は、図2に示すように、回転軸16が貫通するボス部17aと、このボス部17aから径方向の外側に突出する板状の本体部17bとによって構成されている。本体部17bは、回転軸16の軸線方向から見て扇状に形成されている。この本体部17bの周壁部分には歯17cが形成されている。
【0022】
伝動機構14の歯車群は、互いに噛み合う複数の歯車によって構成されている。図1は、構成を理解し易くするために、歯車群を省略して描いてある。この伝動機構14のセクターギヤ17やピニオン18および歯車群の歯車は、プラスチック材料によって形成されている。この伝動機構14においては、空調用バルブ2の開度が0%になる全閉状態から開度が100%になる全開状態に移行することによって、セクターギヤ17が図3に示す全閉位置から同図において反時計方向に約90°回り、図4に示す全開位置に位置付けられる。この実施の形態においては、セクターギヤ17が請求項1記載の発明でいう「基体」に相当し、請求項2記載の発明でいう「歯車」に相当する。
【0023】
バルブ制御装置13は、空調用バルブ2の現在の開度が目標開度となるように駆動用モータ12の動作を制御するものである。このバルブ制御装置13は、図5に示すように、上述した駆動用モータ12と、振動源21と、振動ピックアップ22とが接続されているとともに、複数の機能部を有している。この複数の機能部とは、詳細は後述するが、通信部23と、モータ制御部24と、開度検出部25である。
【0024】
空調用バルブ2の現在の開度は、振動源21と振動ピックアップ22とを有する回転角検出装置1によって検出される。この回転角検出装置1の説明は後述する。
空調用バルブ2の目標開度は、図示していない空調制御装置によって設定され、制御信号として空調制御装置からバルブ制御装置13に送られる。
【0025】
バルブ制御装置13に接続された振動源21は、通電されることにより振動するものである。この振動源21としては、詳細には図示してはいないが、例えば振動モータや圧電素子などを用いることができる。振動源21は、図2に示すように、プリント基板26に実装されてプリント基板26に支持されており、セクターギヤ17の回動を許容する状態でこのプリント基板26とともにセクターギヤ17の近傍に配置されている。この実施の形態においては、プリント基板26が本発明でいう「支持部材」に相当する。
【0026】
この実施の形態によるプリント基板26は、振動源21を有する実装面がセクターギヤ17の軸線方向の一端面と対向する状態でアクチュエータ3の筐体11に図示していない押圧機構を介して支持されている。この押圧機構は、プリント基板26をセクターギヤ17に向けて付勢する構成が採られている。以下においては、プリント基板26と対向するセクターギヤ17の軸線方向の一端面を単に検出面27という。
【0027】
振動源21は、プリント基板26が押圧機構によって付勢されることにより、セクターギヤ17の検出面27に接触する。この接触状態で振動源21が通電されて振動することによって、この振動がセクターギヤ17に伝達される。この実施の形態による振動源21は、図3に示すように、全閉位置にあるセクターギヤ17の回転方向の一端部に接触している。この一端部とは、空調用バルブ2の開度が増す方向(図3においては反時計方向)へセクターギヤ17が回るときに進行方向前側となるセクターギヤ17の一端部である。
【0028】
このため、セクターギヤ17は、振動源21が検出面27に接触している状態で図3に示す全閉位置と図4に示す全開位置との間で回動する。このセクターギヤ17と振動源21との間には、図2に二点鎖線で示したように、摩擦抵抗が小さい材料からなるシート28を挟むことができる。このシート28としては、例えばテフロン(登録商標)製のシートがある。図2に示すシート28は、振動源21が摺接する範囲の全域を覆う形状に形成されて検出面27に貼り付けられている。なお、この種のシートは、セクターギヤ17に設ける代わりに振動源21に設けることができる。
【0029】
バルブ制御装置13に接続された振動ピックアップ22は、例えば加速度センサ(図示せず)を使用して振動を電気信号に変換するものを用いることができる。この振動ピックアップ22は、セクターギヤ17の検出面27に接触した状態で図示していない固定用ねじや接着剤によって固定されている。このため、振動ピックアップ22は、セクターギヤ17の検出面27の振動を検出する。
【0030】
検出面27における振動ピックアップ22が固定されている位置は、図3に示すように、振動源21が接触する位置からセクターギヤ17の回転方向において離間した位置である。この振動ピックアップ22とセクターギヤ17の回転中心との間の距離R1は、振動源21とセクターギヤ17の回転中心との間の距離R2と等しい。この実施の形態による振動ピックアップ22は、全閉位置にあるセクターギヤ17の回転方向の一端部であって、空調用バルブ2の開度が増す方向へセクターギヤ17が回るときに進行方向後側となるセクターギヤ17の一端部に配置されている。このため、振動ピックアップ22と振動源21との間の距離は、セクターギヤ17が図3に示す全閉位置から図4に示す全開位置まで回ることにより徐々に短くなり、セクターギヤ17が全開位置から全閉位置に回ることにより徐々に長くなる。
【0031】
バルブ制御装置13に設けられている通信部23は、図示していない空調制御装置から制御信号を受信する機能を有している。この制御信号には、目標開度のデータが含まれている。
モータ制御部24は、駆動用モータ12の正転、逆転の切替えを行うとともに、駆動用モータ12の回転、停止を切替えて回動式アクチュエータ3の動作を制御する機能を有している。この実施の形態によるモータ制御部24は、上述したプリント基板26に制御回路31として設けられている。
【0032】
開度検出部25は、回転角検出装置1の一部を構成するもので、プリント基板26に信号処理回路32として設けられている。この実施の形態による回転角検出装置1は、この信号処理回路32と、上述した振動源21と、振動ピックアップ22およびセクターギヤ17などによって構成されている。
開度検出部25は、第1〜第3の機能を有している。第1の機能は、上述した振動ピックアップ22によって検出された振動の大きさに基づいて空調用バルブ2の現在の開度を求める機能である。
【0033】
振動ピックアップ22は、振動源21からセクターギヤ17を介して伝達された振動波を検出する。振動ピックアップ22によって検出される振動は、振動源21と振動ピックアップ22との間の距離に応じて減衰される。この振動は、振動源21と振動ピックアップ22との距離が近ければ強く、この距離が長ければ弱くなる。このため、振動ピックアップ22によって検出された振動の大きさがセクターギヤ17の回転角の大きさに相当する。
【0034】
この実施の形態において、振動ピックアップ22が検出する振動は、セクターギヤ17が図3に示す全閉位置にあるときに最も小さく(弱く)なり、図4に示す全開位置にあるときに最も大きく(強く)なる。セクターギヤ17が全閉位置の約0°から全開位置の約90°まで回るときに振動ピックアップ22が検出する振動は、図6に示すように徐々に増大する。セクターギヤ17が全開位置から全閉位置まで回るときに振動ピックアップ22が検出する振動は、図7に示すように徐々に減少する。
【0035】
開度検出部25が現在の開度を求めるにあたっては、例えば、振動ピックアップ22によって検出された現在の振動の大きさに対応する開度を開度特定用のデータマップ(図示せず)から読み出して行うことができる。このデータマップには、振動ピックアップ22を使用して行った実験により得たデータが記録されている。このデータは、実験時の振動の大きさと、その振動を検出したときの開度である。このため、開度検出部25によって求められる現在の開度は、現在の振動の大きさに相当する実験時の開度である。
【0036】
開度検出部25の第2の機能は、振動ピックアップ22によって検出された振動の中から不必要な振動を除去する機能である。不必要な振動とは、駆動用モータ12が回転することにより生じる振動や、バルブボディ4から伝達された振動などである。この第2の機能は、振動ピックアップ22の出力データにノイズカットや平均化処理などの補正処理を施すことによって実現することができる。
【0037】
開度検出部25の第3の機能は、駆動用モータ12や伝動機構14の異常を検出する機能である。駆動用モータ12や伝動機構14に異常が生じると、それが振動となって現れる。このような異常に起因した振動を検出することによって、異常の有無を判別することが可能である。開度検出部25は、振動ピックアップ22の検出データに含まれる振動の周波数成分を解析し、異常振動に相当する周波数成分の振動を検出したときに異常有りと判別する。
【0038】
このように構成された空調用バルブ2においては、回転角検出装置1によって求められた現在の開度が目標開度と一致するように、バルブ制御装置13によって駆動用モータ12の動作が制御される。
この実施の形態による回転角検出装置1は、セクターギヤ17と、振動源21と、振動ピックアップ22と、信号処理回路32とによって構成されており、少ない構成要素で実現された単純な構造のものである。このため、この回転角検出装置1によれば、特許文献1に示す測定装置と較べると、製造コストを低く抑えることができる。
回転角検出装置1に用いられている振動源21と振動ピックアップ22は、表面弾性波を用いるセンサと較べると、温度や湿度の影響を受け難いものであり、いずれも市販されている安価なものを使用することができる。このことからもコストダウンが図られている。
【0039】
振動源21から振動ピックアップ22に伝播される振動の大きさ(強さ)は、温度や湿度が変わっても大きく変化することがない。このため、使用環境の影響を受け難く、検出精度が高くなる。
また、振動源21と振動ピックアップ22とがセクターギヤ17に接触する位置は、振動が伝播される方向を考慮する必要はなく、セクターギヤ17の回転に伴ってこれらの部品どうしの距離が変化する位置であればどのような位置でもよい。このため、回転角検出装置1を設計する上で自由度が高い。この結果、振動源21と振動ピックアップ22とをセクターギヤ17に沿うように、単純な取付構造でコンパクトに配置することが可能になる。
したがって、この実施の形態によれば、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化が可能な回転角検出装置を提供することができる。
【0040】
この実施の形態によるセクターギヤ17は、回動式アクチュエータ3の駆動系の一部を構成するものである。振動源21および振動ピックアップ22は、このセクターギヤ17の軸線方向の端面(検出面27)に接触している。
この実施の形態によれば、専ら振動伝達用の基体として機能する部品は不要である。このため、振動伝達用の基体として機能する専用部品を用いる場合と較べると、部品数が少なくなり、製造コストが更に低くなるとともに、更なる小型化が可能になる。
【0041】
この実施の形態による振動源21は、回動式アクチュエータ3の動作を制御する制御回路31を有するプリント基板26に支持されている。
この実施の形態によれば、振動源21を専ら支持する部品は不要である。このため、支持部材として機能する専用部品を用いる場合と較べると、部品数が少なくなり、製造コストが更に低くなるとともに、更なる小型化が可能になる。
【0042】
この実施の形態による回転角検出装置1は、現在の振動の大きさに相当する実験時の開度を現在の開度とするものである。このため、振動源21と振動ピックアップ22を設置するにあたっては、精密な位置決めを行う必要がない。
振動ピックアップ22は、表面を伝わる振動のみではなく、物質内を伝わる振動波も検出できるものである。このため、振動源21と振動ピックアップ22がセクターギヤ17に接触する位置は、図3に示す位置に限定されることはなく、適宜変更することができる。振動源21と振動ピックアップ22は、例えばセクターギヤ17の上面側と下面側とに振り分けて配置したり、図8に示すように、セクターギヤ17の周面17dに接触する状態として配置することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明に係る回転角検出装置が検出対象とする基体は、図9に示すように軸とすることができる。図9において、図1図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図9に示す回転角検出装置41は、基体として軸42が用いられている。
図9に示す軸42は、回動式アクチュエータ3によって駆動されて回動する軸である。このような軸42は、回動式アクチュエータ3の回転軸16や空調用バルブ2のバルブステム6などが該当する。
【0044】
この軸42は、金属材料によって円柱状に形成されており、駆動用モータ12(図示せず)の動力で長手方向と平行な軸線C2を中心にして回動する。
振動源21は、図示していないプリント基板26やその他の支持部材などに支持された状態で軸42の外周面42aに接触している。
【0045】
振動ピックアップ22は、軸42の外周面42aに接触した状態で図示していない固定用ねじや接着剤によって固定されている。この外周面42aにおける振動ピックアップ22が固定される位置は、振動源21から軸42の周方向に所定の距離だけ離間した位置である。また、この実施の形態による振動ピックアップ22は、振動源21に対して軸42の軸線方向に離れた位置に設けられている。
この実施の形態に示すように軸42を基体として回転角検出装置を構成しても第1の実施の形態を採る場合と同等の効果が得られる。
【0046】
この実施の形態においても、専ら振動伝達用の基体として機能する部品は不要である。このため、基体として機能する専用部品を用いる場合と較べると、部品数が少なくなり、製造コストが更に低くなるとともに、更なる小型化が可能になる。
この実施の形態において、軸42が空調用バルブ2のバルブステム6である場合は、バルブステム6の回転角を直接検出することができる。このため、この構成を採ることにより、検出精度がより一層高い回転角検出装置を提供することができる。
【0047】
上述した各実施の形態においては振動源21がセクターギヤ17や軸42に摺動可能に接触し、振動ピックアップ22がセクターギヤ17や軸42に固定される例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、振動源21がセクターギヤ17や軸42に固定され、振動ピックアップ22がセクターギヤ17や軸42に摺動可能に接触する構成を採ることができる。
【0048】
上述した第1の実施の形態においては、振動を伝達するセクターギヤ17がプラスチック材料によって形成されている例を示した。しかし、セクターギヤ17は、金属材料によって形成することができる。また、第2の実施の形態においては軸42が金属材料によって形成されている例を示した。しかし、この軸42は、プラスチック材料によって形成することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…回転角検出装置、2…空調用バルブ、3…回動式アクチュエータ、6…バルブステム、14…伝動機構(駆動系)、16…回転軸、17…セクターギヤ(基体)、21…振動源、22…振動ピックアップ、26…プリント基板(支持部材)、27…検出面、31…制御回路、32…信号処理回路、42…軸、42a…外周面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9