特開2018-155530(P2018-155530A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-155530(P2018-155530A)
(43)【公開日】2018年10月4日
(54)【発明の名称】回転角検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/48 20060101AFI20180907BHJP
   F16K 37/00 20060101ALN20180907BHJP
【FI】
   G01D5/48 B
   F16K37/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-50870(P2017-50870)
(22)【出願日】2017年3月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】竹田 康紘
(72)【発明者】
【氏名】川野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智文
【テーマコード(参考)】
2F077
3H065
【Fターム(参考)】
2F077AA41
2F077AA43
2F077CC02
2F077LL01
2F077LL04
2F077LL06
2F077UU21
3H065AA06
3H065BB02
3H065BB11
(57)【要約】
【課題】製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供する。
【解決手段】セクターギヤ21(第1の回転体)と、小径ギヤ22(第2の回転体)と、小径ギヤ22を回転自在に支持する支軸26とを備える。セクターギヤ21と支軸44とのうち一方の部材に固定された振動源27と、セクターギヤ21と支軸44とのうち振動源27が固定されていない他方の部材に固定された振動ピックアップ25とを備える。振動ピックアップ25によって検出された振動の大きさに基づいてセクターギヤ21の回転角を求める信号処理回路31を備えている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角を検出するための回動する第1の回転体と、
前記第1の回転体に接触して回転する第2の回転体と、
前記第2の回転体を回転自在に支持する支軸と、
前記第1の回転体と前記支軸とのうち一方の部材に固定された振動源と、
前記第1の回転体と前記支軸とのうち前記振動源が固定されていない他方の部材に固定された振動ピックアップと、
前記振動ピックアップによって検出された振動の大きさに基づいて前記第1の回転体の回転角を求める信号処理回路とを備えている回転角検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転角検出装置において、
前記第1の回転体と前記第2の回転体は、回動式アクチュエータの駆動系の一部を構成する歯車であることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の回転角検出装置において、
前記第1の回転体は、
回動式アクチュエータの駆動系の一部を構成する歯車部と、
この第1の回転体の回転方向に延びる接触部とを有し、
前記第2の回転体は、前記接触部に振動が伝達される状態で接触して回転するものであることを特徴とする回転角検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動する部材の回転角を検出する回転角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば空調用バルブを駆動する回動式アクチュエータは、回転軸の回転角を検出する回転角検出装置を備えている。従来のこの種の回転角検出装置としては、回転角に応じて電気抵抗が変化するポテンショメータや、回転角に応じて磁束密度が変化する磁気センサなどを用いたものが多い。
【0003】
空調用バルブにおいて、回転軸の回転角を検出する回転角検出装置は、アクチュエータの制御精度に大きく影響する。このため、近年の空調用バルブにおいては、開度をより一層精度よく制御できるように、回転角検出装置の検出精度を更に高くすることが要請されている。
ポテンショメータや磁気センサなどを使用した回転角検出装置より検出精度を高くするためには、例えば特許文献1に記載されているような計測装置を用いることが考えられる。
特許文献1に開示された計測装置は、基体上の表面弾性波の伝播を位置検出に利用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−257315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された計測装置は、熱による影響を大きく受けて精度が変化するものである。一方、空調用バルブは、駆動用モータの熱や、バルブ内を流れる制御流体の熱によって温度が大きく変化するものである。このため、特許文献1に示す計測装置を空調用バルブの回動式アクチュエータに適用するためには、計測装置の基材を熱膨脹係数が小さい材料によって形成しなければ温度特性を保つことができない。このような基材は高価であるから、この計測装置を空調用バルブのアクチュエータに使用すると、空調用バルブの製造コストが高くなってしまう。
【0006】
また、特許文献1の計測装置に使用されている表面弾性波のセンサは、湿度センサにも使用されるもので、一般的に湿度の影響を大きく受けることが知られている。このため、この計測装置では、相対湿度が5〜95RHとなるような湿度環境に設置される空調用バルブの開度を精度よく計測することは難しい。
【0007】
さらに、特許文献1に開示された計測装置を空調用バルブのアクチュエータに組み込むためには、以下のように部品が増えるとともに構造上の制約や設計上の制約を受けるために、アクチュエータが複雑化するとともに大型化するという問題もある。部品が増える理由は、2つある。第1の理由は、表面弾性波を伝播させるための基材がアクチュエータの部品の他に別途必要だからである。第2の理由は、計測装置の受信機がアクチェータの回転方向に移動するように、受信機とアクチェータとを連動させる機構が必要だからである。
【0008】
構造上の制約は、励振機から発生した表面弾性波の伝播方向がアクチュエータの回転方向と一致するように構成し、受信機をこの方向に沿って配置しなければならないということである。
設計上の制約は、励振機と受信機とを必ず同一表面上に設置しなければならないということである。
加えて、特許文献1に示す計測装置の受信機は、スケール基板に接触してスライドするものである。このため、この計測装置には、長期間にわたって使用されることにより、受信機とスケール基板との接触部分が摩耗して劣化してしまうという問題もある。
【0009】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明に係る回転角検出装置は、回転角を検出するための回動する第1の回転体と、前記第1の回転体に接触して回転する第2の回転体と、前記第2の回転体を回転自在に支持する支軸と、前記第1の回転体と前記支軸とのうち一方の部材に固定された振動源と、前記第1の回転体と前記支軸とのうち前記振動源が固定されていない他方の部材に固定された振動ピックアップと、前記振動ピックアップによって検出された振動の大きさに基づいて前記第1の回転体の回転角を求める信号処理回路とを備えているものである。
【0011】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記第1の回転体と前記第2の回転体は、回動式アクチュエータの駆動系の一部を構成する歯車であってもよい。
【0012】
本発明は、前記回転角検出装置において、前記第1の回転体は、回動式アクチュエータの駆動系の一部を構成する歯車部と、この第1の回転体の回転方向に延びる接触部とを有し、前記第2の回転体は、前記接触部に振動が伝達される状態で接触して回転するものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、振動源の振動は、第1および第2の回転体と、この第2の回転体を支持する支軸とを介して振動ピックアップに伝達される。振動ピックアップによって検出される振動は、振動源と振動ピックアップとの間の距離に応じて減衰される。この振動は、振動源と振動ピックアップとの距離が近ければ強く、この距離が長ければ弱くなる。振動源と振動ピックアップとの距離は、第1の回転体の回転角の大きさに相当する。このため、この回転角検出装置によれば、この振動の大きさ(強さ)に基づいて第1の回転体の回転角を求めることができる。
【0014】
この回転角検出装置は、第1および第2の回転体と、支軸と、振動源と、振動ピックアップと、信号処理回路とによって構成されており、少ない構成要素で実現された単純な構造のものである。このため、この回転角検出装置によれば、特許文献1に示す測定装置と較べると、製造コストを低く抑えることができる。この回転角検出装置に用いる振動源と振動ピックアップは、表面弾性波を用いるセンサと較べると、温度や湿度の影響を受け難いものであり、いずれも市販されている安価なものを使用することができる。このことからもコストダウンが図られている。
【0015】
振動源から振動ピックアップに伝播される振動の大きさ(強さ)は、温度や湿度が変わっても大きく変化することがない。このため、使用環境の影響を受け難く、検出精度が高くなる。
また、振動源または振動ピックアップが第1の回転体に固定される位置は、振動が伝播される方向を考慮する必要はなく、第1の回転体の回転に伴ってこれらの部品どうしの距離が変化する位置であればどのような位置でもよい。しかも、振動源や振動ピックアップを取付ける部材の材料は、剛体であれば特に制約を受けることもない。このため、回転角検出装置を設計する上で自由度が高い。
【0016】
この結果、振動源または振動ピックアップを第1の回転体に沿うように、単純な取付構造でコンパクトに配置することが可能になる。
さらに、振動源は第1の回転体と支軸とのうち一方の部材に固定され、振動ピックアップは他方の部材に固定されているから、これらの部品が回転部材に接触することがなく、回転角を検出するにあたって摩耗が生じることがない。
【0017】
したがって、本発明によれば、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難い構成を採りながら検出精度が高く、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態による回転角検出装置を備えた空調用バルブのバルブボディを破断して示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態による回転角検出装置の構成を示す斜視図である。
図3】全閉状態における伝動機構の一部と振動源および振動ピックアップの平面図である。
図4】全開状態における伝動機構の一部と振動源および振動ピックアップの平面図である。
図5】制御系の構成を示すブロック図である。
図6】全閉状態から全開状態に移行するときの振動の大きさの変化を示すグラフである。
図7】全開状態から全閉状態に移行するときの振動の大きさの変化を示すグラフである。
図8】第2の実施の形態による回転角検出装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る回転角検出装置の一実施の形態を図1図7によって詳細に説明する。
図1に示す回転角検出装置1は、空調用バルブ2を駆動するアクチュエータ3に装備されている。空調用バルブ2は、バルブボディ4に弁体5とバルブステム6などを組付けて構成されている。バルブボディ4の内部には流体通路7が形成されている。バルブボディ4の両端部には取付用フランジ8が設けられている。
【0020】
弁体5は、球状に形成されて流体通路7内に配置されており、バルブボディ4に回動自在に支持されている。
バルブステム6は、円柱状に形成され、一端部がバルブボディ4から突出する状態でバルブボディ4に回動自在に支持されている。バルブステム6の一端部はアクチュエータ3に接続されている。バルブステム6の他端部は、弁体5に一体に回動するように接続されている。このため、弁体5は、バルブステム6の軸線Cを中心にして回動する。この弁体5が回動するときの最大回転角は約90°である。この実施の形態による空調用バルブ2においては、弁体5が全開状態から約90°回ることによって全閉状態になり、この全閉状態から上記とは反対方向に弁体5が約90°回ることによって全開状態に戻る。
【0021】
アクチュエータ3は、弁体5を回動させる回動式のもので、バルブボディ4に支持された筐体11と、この筐体11の中に収容された駆動用モータ12およびバルブ制御装置13などを備えている。
駆動用モータ12は、空調用バルブ2を駆動するための動力源になるもので、バルブステム6に伝動機構14を介して接続されている。この伝動機構14は、回動式アクチュエータ3の駆動系を構成するもので、バルブステム6にジョイント15を介して接続された回転軸16と、この回転軸16と駆動用モータ12の出力軸17との間に設けられた歯車群18などを用いて構成されている。
【0022】
歯車群18は、回転軸16に固定されたセクターギヤ21と、このセクターギヤ21に噛合する小径ギヤ22と、この小径ギヤ22と一体に回転する大径ギヤ23と、この大径ギヤ23に噛合するピニオン24などを有している。
セクターギヤ21は、図2に示すように、回転軸16が貫通するボス部21aと、このボス部21aから径方向の外側に突出する板状の歯車部21bとによって構成されている。歯車部21bは、回転軸16の軸線方向から見て扇状に形成されている。この歯車部21bの周壁部分には歯21cが形成されている。
セクターギヤ21の歯車部21bには、後述する振動ピックアップ25が固定されている。この振動ピックアップ25が取付けられている位置は、歯車部21bにおける軸線方向の一方の端面であって、セクターギヤ21の回転方向の一端部である。
【0023】
小径ギヤ22と大径ギヤ23は、同一軸線上に位置する状態で一体に回転するように結合されており、支軸26に回転自在に支持されている。この支軸26は、回転が規制される状態で筐体1に支持されている。この支軸26の一方の軸端部には、後述する振動源27が固定されている。
これらの歯車群18を構成する各ギヤは、プラスチック材料によって形成されている。これらのギヤの噛み合い率は1.0以上である。すなわち、これらのギヤは、歯が常に接触する状態で噛合している。
【0024】
ピニオン24は、駆動用モータ12の出力軸17に固着されている。このため、駆動用モータ12が回転することによって、回転力がピニオン24から大径ギヤ23と小径ギヤ22とを介してセクターギヤ21に伝達され、回転軸16がバルブステム6および弁体5と一体に回転する。なお、図示してはいないが、減速比を大きくするために、大径ギヤ23とピニオン24との間に複数のギヤを設けることができる。
【0025】
この伝動機構14においては、空調用バルブ2の開度が0%になる全閉状態から開度が100%になる全開状態に移行することによって、セクターギヤ21が図3に示す全閉位置から同図において反時計方向に約90°回り、図4に示す全開位置に位置付けられる。この実施の形態においては、セクターギヤ21が請求項1〜請求項3記載の発明でいう「第1の回転体」に相当し、小径ギヤ22が請求項1と請求項2記載の発明でいう「第2の回転体」に相当する。
【0026】
バルブ制御装置13は、空調用バルブ2の現在の開度が目標開度となるように駆動用モータ12の動作を制御するものである。このバルブ制御装置13は、図5に示すように、上述した駆動用モータ12と、振動源27と、振動ピックアップ25とが接続されているとともに、複数の機能部を有している。この複数の機能部とは、詳細は後述するが、通信部28と、モータ制御部29と、開度検出部30である。
【0027】
空調用バルブ2の現在の開度は、振動源27と振動ピックアップ25とを有する回転角検出装置1によって検出される。この回転角検出装置1の説明は後述する。
空調用バルブ2の目標開度は、図示していない空調制御装置によって設定され、制御信号として空調制御装置からバルブ制御装置13に送られる。
【0028】
バルブ制御装置13に接続された振動源27は、通電されることにより振動するものである。この振動源27としては、詳細には図示してはいないが、例えば振動モータや圧電素子などを用いることができる。振動源27は、上述したように支軸26(図2参照)に固定されている。
【0029】
この振動源27の振動は、支軸26から小径ギヤ22に伝達され、小径ギヤ22とセクターギヤ21との噛合部を介してセクターギヤ21に伝達される。すなわち、振動源27の振動は、支軸26→小径ギヤ22→セクターギヤ21という振動伝達経路を経て振動ピックアップ25に伝達される。このため、セクターギヤ21は、小径ギヤ22と噛合する部分から振動が伝達されて振動しながら図3に示す全閉位置と図4に示す全開位置との間で回動する。
【0030】
バルブ制御装置13に接続された振動ピックアップ25は、例えば加速度センサ(図示せず)を使用して振動を電気信号に変換するものを用いることができる。この振動ピックアップ25は、セクターギヤ21の歯車部21bに図示していない固定用ねじや接着剤によって固定されている。このため、振動ピックアップ25は、セクターギヤ21の歯車部21bの振動を検出する。
【0031】
歯車部21bにおける振動ピックアップ25が固定されている位置は、図3に示すように、小径ギヤ22が噛合する位置からセクターギヤ21の回転方向において離間した位置である。この実施の形態による振動ピックアップ25は、セクターギヤ21の回転方向の一端部であって、空調用バルブ2の開度が増す方向(図3においては反時計方向)へセクターギヤ21が回るときに進行方向後側となるセクターギヤ21の一端部に配置されている。このため、振動ピックアップ25と振動源27との間の距離は、セクターギヤ21が図3に示す全閉位置から図4に示す全開位置まで回ることにより徐々に短くなり、セクターギヤ21が全開位置から全閉位置に回ることにより徐々に長くなる。
【0032】
バルブ制御装置13に設けられている通信部28は、図示していない空調制御装置から制御信号を受信する機能を有している。この制御信号には、目標開度のデータが含まれている。
モータ制御部29は、駆動用モータ12の正転、逆転の切替えを行うとともに、駆動用モータ12の回転、停止を切替えて回動式アクチュエータ3の動作を制御する機能を有している。
【0033】
開度検出部30は、回転角検出装置1の一部を構成するもので、バルブ制御装置13に信号処理回路31として設けられている。この実施の形態による回転角検出装置1は、この信号処理回路32と、上述したセクターギヤ21と、小径ギヤ22と、支軸26と、振動ピックアップ25および振動源27などによって構成されている。
開度検出部30は、第1〜第3の機能を有している。第1の機能は、上述した振動ピックアップ25によって検出された振動の大きさに基づいて空調用バルブ2の現在の開度を求める機能である。
【0034】
振動ピックアップ25は、振動源27から支軸26と小径ギヤ22およびセクターギヤ21を介して伝達された振動波を検出する。振動ピックアップ25によって検出される振動は、振動源27と振動ピックアップ25との間の距離に応じて減衰される。この振動は、振動源27と振動ピックアップ25との距離が近ければ強く、この距離が長ければ弱くなる。このため、振動ピックアップ25によって検出された振動の大きさがセクターギヤ21の回転角の大きさに相当する。
【0035】
この実施の形態において、振動ピックアップ25が検出する振動は、セクターギヤ21が図3に示す全閉位置にあるときに最も小さく(弱く)なり、図4に示す全開位置にあるときに最も大きく(強く)なる。セクターギヤ21が全閉位置の約0°から全開位置の約90°まで回るときに振動ピックアップ25が検出する振動は、図6に示すように徐々に増大する。セクターギヤ21が全開位置から全閉位置まで回るときに振動ピックアップ25が検出する振動は、図7に示すように徐々に減少する。
【0036】
開度検出部30が現在の開度を求めるにあたっては、例えば、振動ピックアップ25によって検出された現在の振動の大きさに対応する開度を開度特定用のデータマップ(図示せず)から読み出して行うことができる。このデータマップには、振動ピックアップ25を使用して行った実験により得たデータが記録されている。このデータは、実験時の振動の大きさと、その振動を検出したときの開度である。このため、開度検出部30によって求められる現在の開度は、現在の振動の大きさに相当する実験時の開度である。
【0037】
開度検出部30の第2の機能は、振動ピックアップ25によって検出された振動の中から不必要な振動を除去する機能である。不必要な振動とは、駆動用モータ12が回転することにより生じる振動や、セクターギヤ21と小径ギヤ22との噛合部で生じる振動や、バルブボディ4から伝達された振動などである。この第2の機能は、振動ピックアップ25の出力データにノイズカットや平均化処理などの補正処理を施すことによって実現することができる。
【0038】
開度検出部30の第3の機能は、駆動用モータ12や伝動機構14の異常を検出する機能である。駆動用モータ12や伝動機構14に異常が生じると、それが振動となって現れる。このような異常に起因した振動を検出することによって、異常の有無を判別することが可能である。開度検出部30は、振動ピックアップ25の検出データに含まれる振動の周波数成分を解析し、異常振動に相当する周波数成分の振動を検出したときに異常有りと判別する。
【0039】
このように構成された空調用バルブ2においては、回転角検出装置1によって求められた現在の開度が目標開度と一致するように、バルブ制御装置13によって駆動用モータ12の動作が制御される。
この実施の形態による回転角検出装置1は、セクターギヤ21と、小径ギヤ22と、支軸26と、振動源27と、振動ピックアップ25と、信号処理回路32とによって構成されており、少ない構成要素で実現された単純な構造のものである。このため、この回転角検出装置1によれば、特許文献1に示す測定装置と較べると、製造コストを低く抑えることができる。
回転角検出装置1に用いられている振動源27と振動ピックアップ25は、表面弾性波を用いるセンサと較べると、温度や湿度の影響を受け難いものであり、いずれも市販されている安価なものを使用することができる。このことからもコストダウンが図られている。
【0040】
振動源27から振動ピックアップ25に伝播される振動の大きさ(強さ)は、温度や湿度が変わっても大きく変化することがない。このため、使用環境の影響を受け難く、検出精度が高くなる。
また、振動ピックアップ25がセクターギヤ21に固定される位置は、振動が伝播される方向を考慮する必要はなく、セクターギヤ21の回転に伴って振動源27との距離が変化する位置であればどのような位置でもよい。しかも、セクターギヤ21や支軸26の材料は、剛体であれば特に制約を受けることもない。このため、回転角検出装置1を設計する上で自由度が高い。この結果、振動ピックアップ25をセクターギヤ21に沿うように、単純な取付構造でコンパクトに配置することが可能になる。
【0041】
さらに、振動源27は支軸26に固定され、振動ピックアップ25はセクターギヤ21固定されているから、これらの部品が回転部材に接触することがなく、回転角を検出するにあたって摩耗が生じることがない。
したがって、この実施の形態によれば、製造コストが低く、かつ使用環境の影響を受け難くなって検出精度が向上し、しかも、簡単な構成で小型化できるとともに摩耗による経年劣化がない回転角検出装置を提供することができる。
【0042】
この実施の形態によるセクターギヤ21と、小径ギヤ22および支軸26は、回動式アクチュエータ3の駆動系の一部を構成するものである。振動源27は支軸26の一端部に固定され、振動ピックアップ25はセクターギヤ21の歯車部17bに固定されている。この実施の形態によれば、専ら振動を伝達するための部品は不要である。このため、振動伝達用の専用部品を用いる場合と較べると、部品数が少なくなり、製造コストが更に低くなるとともに、更なる小型化が可能になる。
【0043】
この実施の形態による回転角検出装置1は、現在の振動の大きさに相当する実験時の開度を現在の開度とするものである。このため、振動源27と振動ピックアップ25を設置するにあたっては、精密な位置決めを行う必要がない。
振動ピックアップ25は、表面を伝わる振動のみではなく、物質内を伝わる振動波も検出できるものである。このため、振動ピックアップ25がセクターギヤ21に固定される位置は、図3に示す位置に限定されることはなく、適宜変更することができる。振動ピックアップ25は、例えば図3において紙面の下方となるセクターギヤ21の下面側に配置したり、セクターギヤ21のボス部21aに固定することもできる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本発明に係る回転角検出装置は、図8に示すように構成することができる。図8において、図1図7によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0045】
図8に示す回転角検出装置41は、セクターギヤ21のボス部21aに接触して回転するローラー42を備えている。ボス部21aは、円柱状に形成されている。このボス部21aの外周面43には、振動ピックアップ25が固定されている。ボス部21aの外周面43は、セクターギヤ21の回転方向に延びている。この実施の形態においては、ボス部21aの外周面43が請求項3記載の発明でいう「接触部」に相当する。
【0046】
ローラー42は、支軸44に回転自在に支持された状態でボス部21aに接触している。ローラー42がボス部21aに接触する位置は、セクターギヤ21が全閉位置から全開位置に移動することによりローラー42と振動ピックアップ25との間隔が次第に短くなる位置である。この実施の形態においては、ローラー42が請求項3記載の発明でいう「第2の回転体」に相当する。
【0047】
支軸44の軸線は、セクターギヤ21の軸線と平行である。この支軸44は、図示していない回動式アクチュエータ3の筐体11に付勢機構(図示せず)を介して支持されている。付勢機構は、ローラー42がボス部21aに押し付けられる方向へ支軸44を付勢する構成が採られている。この支軸44の一端部には、振動源27が固定されている。
この実施の形態による回転角検出装置41は、この振動源27と、支軸44と、ローラー42と、セクターギヤ21と、振動ピックアップ25と、信号処理回路31とによって構成されている。
【0048】
この実施の形態によれば、振動源27の振動が支軸44からローラー42に伝達され、さらに、ローラー42とセクターギヤ21のボス部21aとの接触部を介してボス部21aに伝達される。このため、振動が支軸44→ローラー42→ボス部21aという振動伝達経路を経て振動ピックアップ25に伝達される。
【0049】
振動源27の振動が振動ピックアップ25に伝達されている状態でセクターギヤ21が回動することにより、ローラー42がボス部21aと共に振動しながらボス部21aの周面に対して転がり、振動ピックアップ25によって検出される振動の大きさ(強さ)が増減する。このため、この実施の形態においても、振動の大きさの変化を用いてセクターギヤ21の回転角を検出することが可能になるから、第1の実施の形態を採る場合と同等の効果が得られる。
【0050】
この実施の形態においては、専ら振動を伝達するためのローラー42と支軸44とを使用している。このため、振動伝達経路中にギヤの噛合部が介在していないから、振動ピックアップ25によって検出される振動の中に歯の噛み合いに伴って生じる振動が含まれ難くなる。このため、この実施の形態によれば、より一層検出精度が高い回転角検出装置を提供することができる。
【0051】
上述した各実施の形態においては、振動源27が支軸26や支軸44に固定され、振動ピックアップ25がセクターギヤ21に固定される例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、振動源27がセクターギヤ21に固定され、振動ピックアップ25が支軸26や支軸44に固定される構成を採ることができる。
【0052】
上述した実施の形態においては、振動を伝達するセクターギヤ21がプラスチック材料によって形成されている例を示した。しかし、セクターギヤ21や、第1の実施の形態による小径ギヤ22は、金属材料によって形成することができる。また、第2の実施の形態に示したローラー42や支軸44を形成する材料も剛体であれば限定されることはなく、金属材料やプラスチック材料などを用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…回転角検出装置、14…伝動機構(駆動系)、21…セクターギヤ(第1の回転体)、21a…ボス部、21b…歯車部、22小径ギヤ(第2の回転体)、26,44…支軸、27…振動源、25…振動ピックアップ、31…信号処理回路、42…ローラー(第2の回転体)、43…外周面(接触部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8