【解決手段】着色剤と結着樹脂(TB)を含有するトナーであって、結着樹脂(TB)が、結晶性樹脂(A)と、スチレン−アクリル系樹脂(B)とを含有し、さらに下記の関係式(1)および(2)を満たすことを特徴とするトナー。Q
着色剤と結着樹脂(TB)を含有するトナーの製造方法であって、結着樹脂(TB)が、結晶性樹脂(A)と、構成成分としてスチレン系モノマー(b1)を50〜95重量%含有するスチレン−アクリル系樹脂(B)とを含有し、さらに下記の関係式(1)および(2)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法であり、結晶性樹脂(A)と、スチレン−アクリル系樹脂(B)とが混合される工程を含み、該混合工程以後の製造工程の温度を結晶性樹脂(A)の融点TmA以下に維持することを特徴とするトナーの製造方法。
Q1/(Q0×q/100)≧0.8 (1)
[式中、Q0は結晶性樹脂(A)を0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに示差走査熱量測定で検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。Q1は、トナーを0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。qはトナーに対する結晶性樹脂(A)の含有量(重量%)を表す。]
Q2/Q1≦0.50 (2)
[式中、Q2は、トナーの第1回目の昇温過程でQ1を測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで再び毎分10℃で昇温する第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。]
スチレン−アクリル系樹脂(B)が、スチレン系モノマー(b1)、アクリル系モノマー(b2)、並びにカルボキシル基を含有するモノマー(b3)および/又はスルホン酸基を含有するモノマー(b4)とを構成単位として有し、かつ結晶性樹脂(A)とスチレン−アクリル系樹脂(B)が下記の関係式(3)を満たす請求項1に記載のトナーの製造方法。
20≦X≦55 (3)
X=0.61×AV−0.64×(|SPB−SPA−0.5|)−0.35×(|EB−EA+20|)−0.50×Mw/10,000+18.0
[但し、式(3)中、AVはスチレン−アクリル系樹脂(B)の酸価(mgKOH/g)、SPBはスチレン−アクリル系樹脂(B)の溶解度パラメータ(SP値)、SPAは結晶性樹脂(A)の溶解度パラメータ、EBはスチレン−アクリル系樹脂(B)のエステル基濃度(重量%)、EAは結晶性樹脂(A)のエステル基濃度(重量%)、Mwはスチレン−アクリル系樹脂(B)の重量平均分子量を表す。]
スチレン−アクリル系樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布において、3,000〜60,000の領域に少なくとも1つのピークを有する請求項1〜4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
結晶性樹脂(A)の含有率が、結晶性樹脂(A)とスチレン−アクリル系樹脂(B)の合計重量に基づいて5〜30重量%である請求項1〜8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
着色剤が、黒色着色剤、青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤からなる群より選ばれる1種類以上を含有する着色剤である請求項1〜9のいずれかに記載のトナーの製造方法。
さらに、天然ワックス、石油ワックス、合成ワックス、及び合成エステルワックスからなる群より選ばれる1種類以上の離型剤を含有する請求項1〜10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
さらに、流動化剤を含有するトナーであって、流動化剤が、一次粒子の体積平均粒径が5nm以上30nm未満の流動化剤1と一次粒子の体積平均粒径が30nm以上200nm以下の流動化剤2を含有し、流動化剤の含有率がトナーの重量に基づいて0.2〜5.0重量%である請求項1〜12のいずれかに記載のトナーの製造方法。
流動化剤が、シリカ、チタニア、アルミナ、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂粒子及びフッ素樹脂粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種類を含有する請求項13に記載のトナーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明のトナーを説明する。
本発明のトナーは、着色剤と結着樹脂(TB)を含有するトナーであって、この結着樹脂(TB)は、結晶性樹脂(A)と、構成成分としてスチレン系モノマー(b1)を50〜95重量%含有するスチレン−アクリル系樹脂(B)とを含有することを特徴とする。さらに下記の関係式(1)および(2)を満たす。
【0011】
Q
1/(Q
0×q/100)≧0.8 (1)
【0012】
[関係式(1)中、Q
0は結晶性樹脂(A)を0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに示差走査熱量測定で検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。Q
1は、トナーを0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。qはトナーに対する結晶性樹脂(A)の含有量(重量%)を表す。]
【0014】
[関係式(2)中、Q
2は、トナーの第1回目の昇温過程でQ
1を測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで再び毎分10℃で昇温する第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。]
【0015】
結着樹脂(TB)として結晶性樹脂(A)とスチレン−アクリル系樹脂(B)を含有していると、トナーは加熱定着時に融解して、(A)と(B)が相溶する。その結果、(B)が可塑化され、結着樹脂のガラス転移温度が下がり、その溶融粘度も同温度のスチレン−アクリル系樹脂(B)単体に比べ低くなる。
その結果、トナーとしての溶融粘度も低くなるため、定着時により低温での定着が可能となる。
【0016】
(A)と(B)が相溶することによる(B)の溶融粘度の低下は、(A)が(B)に相溶する量に依存しており、相溶する量が多い方が溶融粘度を低下させることができる。トナー中の(A)は、理想的には定着時に全量が(B)に相溶することが好ましい。そのため、低温定着性の観点からは(A)と(B)が相溶しやすい樹脂の組み合わせが好ましい。
【0017】
一方、加熱溶融前のトナーにおいては、(A)が(B)に相溶すると、(B)のガラス転移温度が下がるため、トナーの耐熱保存性が低下する。
そのため、トナー中の(A)と(B)は、加熱溶融時なら相溶する樹脂の組み合わせであっても、加熱溶融前では相溶せずに相分離した状態で存在することが好ましい。
【0018】
具体的には、前述のように、本発明のトナーでは、加熱溶融時には相溶する(A)と(B)を、加熱溶融前のトナー中では相分離した状態で存在させることで、高いレベルでの耐熱保存性と低温定着性の相反する性能を両立している。このような形態を実現することによって本発明が完成された。
【0019】
このような形態を実現することによってトナー耐久性、光沢、帯電安定性も向上する。
具体的には、加熱溶融前トナーの(A)と(B)との相溶を抑えることで、トナーの軟化、トナー組成の不均一化を抑えることで、それぞれトナーの耐久性、帯電安定性を向上させている。また、定着時には、トナーの溶融粘度が下げられるため、印刷画像の光沢の高い画像を実現できる。
【0020】
本発明のトナーは、関係式(1)と関係式(2)を満足することにより、高いレベルでの耐熱保存性と低温定着性の相反する性能を両立し得る。
【0021】
Q
1/(Q
0×q/100)≧0.8 (1)
Q
2/Q
1≦0.50 (2)
【0022】
関係式(1)中、Q
0は結晶性樹脂(A)を0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに示差走査熱量測定で検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。
Q
1は、トナーを0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。
qはトナーに対する結晶性樹脂(A)の含有量(重量%)を表す。
【0023】
また、関係式(2)式中、Q
2は、トナーの第1回目の昇温過程でQ
1を測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで再び毎分10℃で昇温する第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。
【0024】
すなわち、本発明のトナーを上記の条件で昇温、冷却、昇温と繰り返した際に、示差走査熱量計(DSC)により測定すると結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが示される。
そこで、第1回目の昇温過程の吸熱ピークに基づく吸熱量Q
1、第2回目の昇温過程の吸熱ピークに基づく吸熱量Q
2とする。
【0025】
DSCにより測定する際の昇温・冷却条件としては、0℃から10℃/分の条件で150℃まで昇温する(第1回目の昇温過程)。次いで、10℃/分の条件で0℃まで冷却する(第1回目の冷却過程)。さらに、10℃/分の条件で150℃まで昇温する(第2回目の昇温過程)。
【0026】
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、DSCチャートにおいてQ
1、Q
2共にそれらに相当する吸熱ピーク面積を合算した値で吸熱量を計算する。
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピーク分を差し引いて求める。なお、トナーバインダーにさらに配合する原料のうち、ワックスなどの結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。このような場合は、吸熱ピーク面積を合算した値から、結晶性樹脂(A)由来ではない結晶性物質単体の融解熱量(Q
w0)と、トナー中の結晶性樹脂(A)由来ではない物質の含有量(q
w)から以下の式より算出される値(Q
w)を結晶性樹脂(A)由来ではない物質の融解熱量を差し引くことで算出できる。
【0028】
結晶性樹脂(A)由来ではない物質単体の融解熱量(Q
w0)と、トナー中の結晶性樹脂(A)由来ではない物質の含有量(q
w)は、例えば、製造されるトナーの原料の分析結果とその構成比から算出しても良いし、これが不明な場合は、トナーの溶剤抽出等で、この構成物質を分析し、単利分析する方法により、トナー構成比を明らかにした後に算出しても良い。
【0029】
関係式(1)の左辺の値は、トナーの耐熱保存性、耐湿熱保存性、トナー耐久性、帯電安定性の観点から通常0.8以上、好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.90以上である。
【0030】
関係式(2)の左辺の値はトナーの低温定着性、光沢の観点から通常0.50以下、好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下、最も好ましくはQ
2が検出されないことである。
【0031】
本発明の結着樹脂(TB)は、結晶性樹脂(A)と、構成成分としてスチレン系モノマー(b1)を50〜95重量%含有するスチレン−アクリル系樹脂(B)とを含有する。
【0032】
本発明における「結晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップ温度Ta(℃)としての範囲は好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは53〜90℃、特に好ましくは55〜85℃である。
トナーの耐熱保存性、耐湿熱保存性、トナー耐久性、帯電安定性の観点からTaは50以上が好ましく、低温定着性、光沢の観点から100以下が好ましい。
なお、ピークトップ温度とは、DSCチャートの吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つがこの範囲にあればよい。
【0033】
本発明の結晶性樹脂(A)は、前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において明確な吸熱ピークを有する樹脂であれば、特にその種類は限定されないが、例えば以下の結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)、結晶性ポリウレア樹脂(A3)、結晶性ポリアミド樹脂(A4)、結晶性ポリビニル樹脂(A5)、結晶性エポキシ樹脂(A6)、結晶性ポリエーテル樹脂(A7)などの化合物が挙げられる。
【0034】
結晶性ポリエステル樹脂(A1)としては、ジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)とから合成されるポリエステル樹脂が挙げられ、必要に応じて3価以上のアルコール成分や3価以上のポリカルボン酸成分を併用してもよい。
【0035】
ジオール成分(x)のジオールとしては、脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);ポリブタジエンジオールなど挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
【0036】
これらのジオールの中で、結晶性の観点から脂肪族ジオールが好ましい。炭素数は2〜36個の範囲であり、2〜20個の範囲が好ましい。さらに、同様の観点から直鎖型脂肪族ジオールが分岐型脂肪族ジオールより好ましい。
【0037】
直鎖型脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール1,12−ドデカンジオールが好ましい。
【0038】
結晶性の観点から直鎖型脂肪族ジオールの含有率が使用するジオール成分の80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは90モル%以上である。
【0039】
必要によりジオール成分(x)と併用される3〜8価またはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、およびポリグリセリン;糖類およびその誘導体、例えばショ糖、およびメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物など];などが挙げられる。
【0040】
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のAO付加物であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0041】
結晶性ポリエステル樹脂(A1)には、前記ジオール(x)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオーを構成単位としてもよい。
なお、本発明における「酸(塩)」の表記は、「酸又は酸塩」を意味する。
【0042】
カルボン酸(塩)基を有するジオールとしては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
【0043】
スルホン酸(塩)基を有するジオールとしては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
【0044】
スルファミン酸(塩)基を有するジオールとしては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
【0045】
リン酸(塩)基を有するジオールとしては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
【0046】
官能基を有するジオールのうち、トナーの帯電性及び耐熱保存安定性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール及びスルホン酸(塩)基を有するジオール(x’)である。
【0047】
結晶性ポリエステル樹脂(A1)を構成するジカルボン酸成分(y)のジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸など);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸など);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などが挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
【0048】
これらジカルボン酸の中では、アルカンジカルボン酸とアルケンジカルボン酸の脂肪族ジカルボン酸を用いるのが結晶性の観点から好ましく、直鎖型のジカルボン酸が特に好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、およびこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
【0049】
なお、ジカルボン酸または3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物、または炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0050】
本発明の結晶性樹脂(A)として使用できる結晶性ポリウレタン(A2)としては、スチレン−アクリル系樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0051】
結晶性ポリウレタン(A2)としては、前記の結晶性ポリエステル(A1)とジイソシアネート(v)を構成単位とするもの、および前記の結晶性ポリエステル(A1)と前記ジオール成分(x)とジイソシアネート(v)を構成単位とするもの等が挙げられる。
【0052】
ジイソシアネート(v)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0053】
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−。キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI{粗製ジアミノフェニルメタン[ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0054】
脂肪族ジイソシアネートとしては、鎖状脂肪族ジイソシアネート及び環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0055】
環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0056】
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
【0057】
これらのジイソシアネート(v)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0058】
結晶性ポリウレア(A3)としては、結着樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0059】
結晶性ポリウレア(A3)としては、前記の結晶性ポリエステル樹脂(A1)とジアミン(z)とジイソシアネート(v)を構成単位とするもの等が挙げられる。
【0060】
ジアミン(z)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
【0061】
鎖状脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
【0062】
炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0063】
芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0064】
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0065】
結晶性ポリアミド(A4)としては、結着樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0066】
結晶性ポリアミド(A4)としては、前記の結晶性ポリエステル(A1)と前記ジアミン(z)とジカルボン酸(y)を構成単位とするもの等が挙げられる。
【0067】
結晶性ポリビニル樹脂(A5)としては、結着樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0068】
結晶性ポリビニル樹脂(A5)としては、重合性二重結合を有するエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
【0069】
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0070】
結晶性ポリビニル樹脂(A5)は、重合性二重結合を有するエステルに加え、重合性二重結合を有する炭化水素単量体、カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩、スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩、ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩、ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体、重合性二重結合を有する含窒素単量体、エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体、ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物などを構成単量体とすることができる。
【0071】
結晶性エポキシ樹脂(A6)としては、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物[水、前記ジオール(x)、ジカルボン酸(y)、ジアミン(z)等]との重付加物等が挙げられる。
【0072】
ポリエポキシドとしては、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば特に限定されない。ポリエポキシドのうち好ましいのは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシドのエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、更に好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1,000以下であると、架橋構造が密になり硬化物の耐水性、耐薬品性及び機械的強度等の物性が向上し、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
【0073】
ポリエポキシドとしては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物及び脂肪族系ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
【0074】
結晶性ポリエーテル樹脂(A7)としては、結晶性ポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては特に限定されず、公知のいずれの方法でもよい。
【0075】
例えば、キラル体のポリオキシアルキレンポリオールを、通常のポリオキシアルキレンポリオールの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792 に記載);安価なラセミ体のポリオキシアルキレンポリオールを、立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて開環重合させる方法が挙げられる。
【0076】
特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(特開平11−12353号公報に記載)やバイメタル−μ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(特表2001−521957号公報に記載)等が挙げられる。
【0077】
また、非常にアイソタクティシティーの高いポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567 に記載)等が挙げられる。
【0078】
例えば、キラル体のポリオキシアルキレンポリオールを用い、その開環重合時に、開始
剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。
アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、アイソタクティシティが50%以上であると、通常ポリオキシアルキレンポリオールは結晶性を有する。
上記グリコールとしては、前記ジオール(x1)等が挙げられ、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記ジカルボン酸(y2)等が挙げられる
【0079】
結晶性樹脂(A)のうち、低温定着性の観点から好ましいのは、結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)、結晶性ポリウレア樹脂(A3)及び結晶性ポリアミド樹脂(A4)であり、更に好ましいのは、エステル基、ウレタン基、ウレア基及びアミド基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する結晶性樹脂であり、特に好ましいのは、エステル基を有する結晶性樹脂である。
【0080】
本発明の結晶性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は好ましくは3,000〜50,000であり、さらに好ましくは3,500〜35,000、特に好ましくは4,000〜25,000である。
低温定着性の観点から50,000以下が好ましく、耐熱保存性の観点から3,000以上が好ましい。
【0081】
本発明における結晶性樹脂(A)とスチレン−アクリル系樹脂(B)の分子量分布やMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0082】
スチレン系モノマー(b1)としては、重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等が挙げられる。これらのうち、結晶性樹脂(A)との相溶性の観点から好ましいのは、スチレン、スチレンのハイドロカルビル置換体、及びこれらの併用である。
【0083】
アクリル系モノマー(b2)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜18のアルキルエステル類;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数1〜18のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数1〜18のアミノ基含有(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリロニトリルのメチル基が炭素数1〜18のニトリル基含有(メタ)アクリル化合物および(メタ)アクリル酸などを挙げることができる。
これらのうち好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸;およびこれらの2種以上の混合物である。
【0084】
スチレン−アクリル系樹脂(B)は、構成成分としてスチレン系モノマー(b1)を50〜95重量%含有する。50%未満の場合、結晶性樹脂(A)との相溶性が悪く、低温定着性が十分に改善されない。
【0085】
本発明のスチレン−アクリル系樹脂(B)は、構成単位としてスチレン系モノマー(b1)、アクリル系モノマー(b2)以外に、カルボキシル基を含有するモノマー(b3)、スルホン酸基を含有するモノマー(b4)、および(b3)と(b4)を併用することが好ましい。そして、カルボキシル基を含有するモノマー(b3)やスルホン酸基を含有するモノマー(b4)を構成単位とするスチレン−アクリル系樹脂は酸基を含有するため酸価を有する。
【0086】
スチレン系モノマー(b1)、アクリル系モノマー(b2)、並びにカルボキシル基を含有するモノマー(b3)および/又はスルホン酸基を含有するモノマー(b4)とを構成単位として有するスチレン−アクリル系樹脂(B)の酸価は好ましくは5.0〜40.0mgKOH/gであり、さらに好ましくは8.0〜30.0mgKOH/gであり、特に好ましくは10.0〜20.0mgKOH/gである。
mgKOH/gである。
低温定着性の観点から5.0mgKOH/g以上が好ましく、耐熱保存性の観点から40,0mgKOH/g以下が好ましい。
【0087】
カルボキシル基を含有するモノマー(b3)としては、不飽和モノカルボン酸(b31)、不飽和ジカルボン酸(b31)等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸(b31)としては、(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」の表記は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等が挙げられる。
また、不飽和ジカルボン酸(b31)としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸等が挙げられる。
さらに、不飽和ジカルボン酸の酸無水物(例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の酸無水物)やモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)も使用できる。
【0088】
スルホン酸基を含有するモノマー(b4)としては、例えば、炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、スチレンスルホン酸体、炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸等が挙げられる。
【0089】
スチレン系モノマー(b1)、アクリル系モノマー(b2)、並びにカルボキシル基を含有するモノマー(b3)および/又はスルホン酸基を含有するモノマー(b4)とを構成単位として有するスチレン−アクリル系樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を含有する本発明のトナーは下記の関係式(3)を満たすことが好ましい。
【0090】
20≦X≦55 (3)
X=0.61×AV−0.64×(|SP
B−SP
A−0.5|)−0.35×(|E
B−E
A+20|)−0.50×Mw/10,000+18.0
【0091】
式中、AVはスチレン−アクリル系樹脂(B)の酸価(mgKOH/g)を表す。
また、SP
Bはスチレン−アクリル系樹脂(B)の溶解度パラメータ(SP値)、SP
Aは結晶性樹脂(A)の溶解度パラメータを表す。
また、E
Bはスチレン−アクリル系樹脂(B)のエステル基濃度(重量%)、E
Aは結晶性樹脂(A)のエステル基濃度(重量%)を表す。
【0092】
なお、本発明における溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
【0093】
結晶性樹脂(A)及びスチレン−アクリル系樹脂(B)のエステル基濃度は、(A)または(B)中のエステル基[−C(=O)O−]の数から算出することができ、具体的には下記の式(5)によって表される値である。
エステル基濃度(単位:%)=[(N×44)/数平均分子量]×100 (5)
ここで、Nは(A)または(B)の1分子当りのエステル基数の平均であり、44はエステル基[−C(=O)O−]の式量である。
実際のエステル基濃度を算出するにあたり、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等で(A)を構成するモノマー組成とエステル基数を求めて算出する方法や、(A)の製造に供した原料の量比からエステル基数を求めて算出する方法がある。
【0094】
スチレン−アクリル系樹脂(B)は、GPCで得られる分子量分布において、1つまたは2つ以上の分子量ピークを有するが、その際に3,000〜60,000の領域に少なくとも1つのピークを有することが好ましい。
【0095】
スチレン−アクリル系樹脂(B)の120℃における貯蔵弾性率G’(120)は、低温定着性の観点から好ましくは1×10
3〜1×10
6Paであり、さらに好ましくは3×10
3〜5×10
5Pa、特に好ましくは5×10
3〜1×10
5Paである。
【0096】
トナーは、下記の関係式(4)を満たすことが好ましい。
10≦Tg
1−Tg
2≦30 (4)
【0097】
式(4)中のTg
1は、トナーを0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときにDSCで検出される第1回目の昇温過程におけるガラス転移温度(℃)を表す。
また、Tg
2はトナーの第1回目の昇温過程でTg
1を測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで毎分10℃で再び昇温したときに検出される第2回目の昇温過程におけるガラス転移温度(℃)を表す。
【0098】
Tg
1−Tg
2の値が10℃未満であると、トナーの低温定着性が不十分であり、また30℃より大きいと、トナー化時に相分離状態を維持できなくなる。
【0099】
トナー中の結晶性樹脂(A)の含有率は、結晶性樹脂(A)とスチレン−アクリル系樹脂(B)の合計重量に基づいて5〜30重量%であることが好ましい。
低温定着性の観点から5%以上が好ましく、耐熱保存性の観点から30%以下が好ましい。
【0100】
スチレン−アクリル系樹脂(B)は、前記のモノマー(b1)、(b2)及び必要により(b3)、(b4)とラジカル重合開始剤を用いて、溶液重合、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合等の公知の重合方法で得ることができる。
これらの重合方法のうち、分子量制御の観点から好ましいのは、溶液重合、懸濁重合、塊状重合及びこれらの組み合わせである。
【0101】
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、およびアゾビスシアノ吉草酸)、および有機過酸化物系重合開始剤〔例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン〕等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、および2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンである。
【0102】
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマーの全量に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.02〜8重量%、特に好ましくは0.05〜6重量%である。
【0103】
本発明のスチレン−アクリル系樹脂(B)の合成に使用可能な有機溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等);脂肪族炭化水素系溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等);ハロゲン溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等);エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチル等);エーテル系溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等);ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等);アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール及びトリフルオロエタノール等);アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等);スルホキシド系溶剤(ジメチルスルホキシド等);複素環式化合物系溶剤(N−メチルピロリドン等)及びこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、操作性の観点から芳香族炭化水素系溶剤、さらに好ましくは、キシレン、トルエン、エチルベンゼンである。
【0104】
また、懸濁重合を行う場合、無機酸塩分散剤(炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウム等)、および有機分散剤(ポリビニルアルコールおよびメチルセルロース等)等を用いて水中で重合することができる。
【0105】
トナーの製造方法については特に制限はなく、公知の溶融懸濁法、重合法等により得られたものであってもよいし、超臨界状態の二酸化炭素中で分散する方法により製造してもよい。
その際に、結晶性樹脂(A)と、スチレン−アクリル系樹脂(B)及び/又はスチレン−アクリル系樹脂(B)を構成するモノマー(b)とが混合される工程を含み、この混合工程以後の製造工程の温度を結晶性樹脂(A)の融点Tm
A以下に維持することが好ましい。
この混合工程以降に温度管理を行うことで、トナー中に(A)と(B)を相分離したままの状態で存在させることができる。
【0106】
例えば、溶融懸濁法によりトナーを得る場合は、(A)、(B)、着色剤、離型剤などの、流動化剤以外のトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散して油相とした後、界面活性剤を含有した水相とこの油相を混合することで微細な粒子化を行い、さらに油相と水相の混合物から有機溶剤を除去し、次いでトナー粒子を分離、分級した後、最後に流動化剤を混合して製造することができる。
【0107】
本発明において溶融懸濁法を実施する場合、結晶性樹脂(A)は有機溶剤中に分散している状態であり、その形態は、たとえば以下の一連の工程のようにして実現される。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、結晶性樹脂(A)及び酢酸エチルを投入し、撹拌下で加熱溶解する。その後冷却し結晶性樹脂(A)を微粒子状に晶析させ、これを、たとえばウルトラビスコミルのような粉砕機で湿式粉砕し得られる。
【0108】
(A)は固体のままトナー化されるため、トナー中では(B)とは相溶しないのが好ましい。
【0109】
また、溶融懸濁法のように有機溶剤に分散させるかわりに、超臨界状態の二酸化炭素中で分散する方法(例えば特開2007−277511号公報に記載)で製造してもよい。
【0110】
本発明の結晶性樹脂(A)は、前記の結晶性樹脂分散液としてのトナーへの導入に限定されるものではなく、溶融状態の(A)をトナー中で析出させる等の方法でも実施可能である。
たとえば、重合法のように、スチレン−アクリル系樹脂(B)を構成するモノマー(b1)〜(b4)に(A)を融解させた状態で重合反応を実施する方法においても、重合反応温度を(A)の融点Tm
A以下に維持することで、重合の進行と共に(A)が析出し、さらに重合以降の工程についても同様の温度管理を行なうことで、相分離状態のトナーを製造することができる。
【0111】
トナーの粒径をコントロールする方法としては、乳化転相法では水を添加し、転相させる際に界面活性剤を併用したり、転相時に撹拌する等の公知の方法で粒径をコントロールできる。
【0112】
本発明のトナーは、着色剤を含有し、この着色剤としては黒色着色剤、青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤からなる群より選ばれる1種類以上を含有することが好ましい。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ソルベントイエロー(21、77及び114等)、ピグメントイエロー(12、14、17及び83等)、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、ソルベントレッド(17、49、128、5、13、22及び48・2等)、ディスパースレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ソルベントブルー(25、94、60及び15・3等)、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性金属の粉末、マグネタイト、ヘマタイト並びにフェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
【0113】
着色剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜60重量%であり、更に好ましくは0.1〜55重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。
【0114】
本発明のトナーは、着色剤の他に、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等を含有させることができる。
離型剤としては、天然ワックス(蜜ろう、カルナバワックス及びモンタンワックス等)、石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタム等)、合成ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス及び酸化ポリプロピレンワックス等)、及び合成エステルワックス(炭素数10〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールから合成される脂肪酸エステル等)等が挙げられ、これらの離型剤からなる群より選ばれる1種類以上を含有することが好ましい。
【0115】
離型剤の吸熱ピークの最大温度(Tr)は、低温定着性及び光沢の観点から好ましくは40〜90℃であり、さらに好ましくは45〜85℃、特に好ましくは50〜80℃である。
【0116】
離型剤の100℃における動粘度は、低温定着性及び光沢の観点から好ましくは3〜20mm
2/sであり、更に好ましくは4〜19mm
2/s、特に好ましくは5〜18mm
2/sである。
【0117】
離型剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
【0118】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0119】
荷電制御剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
【0120】
流動化剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂粒子及びフッ素樹脂粒子等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0121】
耐熱保存性、耐久性および帯電安定性の観点から、一次粒子の体積平均粒径が異なる2種類以上の流動化剤を併用することが好ましく、この場合、それぞれの一次粒子の体積平均粒径が5nm以上30nm未満の流動化剤1と、一次粒子の体積平均粒径が30nm以上200nm以下の流動化剤2を併用して含有することがさらに好ましい。特に好ましくは、一次粒子の体積平均粒径が5nm以上30nm未満の流動化剤1と、一次粒子の体積平均粒径が30nm以上200nm以下の流動化剤2との併用である。
【0122】
流動化剤の含有率は、トナーの重量に基づいて、好ましくは0.2〜5.0重量%であり、さらに好ましくは0.3〜4.0重量%、特に好ましくは0.4〜3.0重量%である。
【0123】
トナーは、必要に応じて、キャリアー粒子[鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等]と混合して、電気的潜像の現像剤として用いることができる。また、キャリアー粒子の替わりに、帯電ブレード等と摩擦させて、電気的潜像を形成させることもでき、電気的潜像は、公知の熱ロール定着方法等によって、支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着される。
【0124】
トナーの体積平均粒径は、好ましくは1〜15μmであり、更に好ましくは2〜10μm、特に好ましくは3〜7μmである。
なお、トナーの体積平均粒径は、コールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベッ
クマンコールター社製)を用いて測定することができる。
【実施例】
【0125】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0126】
<製造例1>[結晶性樹脂(A−1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール 284重量部、アジピン酸650重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで220℃まで昇温した後、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応した。更に同温度で0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら、酸価が0.5以下になるまで反応させた。その後、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸24.6重量部を反応容器に入れ、180℃にて1時間反応させ、結晶性樹脂(A−1)を得た。
【0127】
<製造例2>[結晶性樹脂(A−2)の合成]
製造例1においてエチレングリコールとアジピン酸を、1、4−ブタンジオール253重量部、ドデカン二酸617重量部に置き換えた以外は製造例1と同様にして結晶性樹脂(A−2)を得た。
【0128】
<製造例3>[結晶性樹脂(A−3)の合成]
製造例1においてエチレングリコールとアジピン酸を、1,12−ドデカンジオール408重量部、ドデカン二酸434重量部に置き換えた以外は製造例1と同様にして結晶性樹脂(A−3)を得た。
【0129】
<製造例4>[結晶性樹脂(A−4)の合成]
製造例1においてエチレングリコールとアジピン酸を、1,6−ヘキサンジオール272重量部、セバシン酸445重量部に置き換えた以外は製造例1と同様にして結晶性樹脂(A−4)を得た。
【0130】
結晶性樹脂(A−1)〜(A−4)の物性値を表1に示す。
【0131】
【表1】
【0132】
<製造例5>[スチレン−アクリル系樹脂(B−1)の合成]
オートクレーブにキシレン80重量部を仕込み、窒素で置換した後、185℃まで昇温した。次いで、同温度でスチレン60重量部、n−ブチルメタクリレート15重量部、メチルメタアクリレート23重量部、アクリル酸2重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.23重量部およびキシレン35重量部の混合溶液を、同温度で3時間かけて滴下し、更に同温度で1時間保持して、スチレン−アクリル系樹脂(B−1)のキシレン溶液を得た。次いで、得られたキシレン溶液を、1kPa以下でキシレンを除去しながら170℃に昇温した。ガスクロマトグラフィーにより樹脂中のキシレンが1,000ppm、モノマーが1,000ppm以下であることを確認して、スチレン−アクリル系樹脂(B−1)を得た。
【0133】
<製造例6>[スチレン−アクリル系樹脂(B−2)の合成]
製造例5において、スチレン70重量部、n−ブチルメタクリレート15重量部、メチルメタアクリレート13重量部、アクリル酸2重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−2)を得た。
【0134】
<製造例7>[スチレン−アクリル系樹脂(B−3)の合成]
製造例5において、スチレン70重量部、n−ブチルメタクリレート15重量部、メチルメタアクリレート13重量部、アクリル酸2重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.06重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−3)を得た。
【0135】
<製造例8>[スチレン−アクリル系樹脂(B−4)の合成]
製造例5において、スチレン50重量部、n−ブチルメタクリレート20重量部、メチルメタアクリレート28重量部、アクリル酸2重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−4)を得た。
【0136】
<製造例9>[スチレン−アクリル系樹脂(B−5)の合成]
製造例5において、スチレン90重量部、n−ブチルメタクリレート8重量部、アクリル酸2重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−5)を得た。
【0137】
<製造例10>[スチレン−アクリル系樹脂(B−6)の合成]
製造例5において、スチレン70重量部、n−ブチルメタクリレート15重量部、メチルメタアクリレート14.87重量部、アクリル酸0.13重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−6)を得た。
【0138】
<製造例11>[スチレン−アクリル系樹脂(B−7)の合成]
製造例5において、スチレン70重量部、n−ブチルメタクリレート15重量部、メチルメタアクリレート10重量部、アクリル酸5重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−7)を得た。
【0139】
<製造例12>[スチレン−アクリル系樹脂(B−8)の合成]
製造例5において、スチレン70重量部、n−ブチルメタクリレート15重量部、メチルメタアクリレート15重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−8)を得た。
【0140】
<製造例13>[スチレン−アクリル系樹脂(B−9)の合成]
製造例5において、スチレン70重量部、n−ブチルメタクリレート15重量部、メチルメタアクリレート6.45重量部、アクリル酸8.55重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−9)を得た。
【0141】
<比較製造例1>[スチレン−アクリル系樹脂(B’−1)の合成]
製造例5において、スチレン30重量部、n−ブチルメタクリレート20重量部、メチルメタアクリレート48重量部、アクリル酸2重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B’−1)を得た。
【0142】
スチレン−アクリル系樹脂(B−1)〜(B−9)、(B’−1)の物性値を表2に示す。
【0143】
【表2】
【0144】
<製造例14〜22と比較製造例2>
撹拌装置を備えた反応容器に、スチレン−アクリル系樹脂(B−1)〜(B−9)、(B’−1)をそれぞれ50重量部、酢酸エチル50重量部を投入し、撹拌して樹脂を均一に溶解させ、スチレン−アクリル系樹脂溶液(BS−1)〜(BS−9)、(B’S−1)を得た。
【0145】
<製造例23>[結晶性樹脂分散液(AD−1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、製造例1で製造した樹脂(A−1)15重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌下65℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて10℃まで冷却して結晶性樹脂を微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、結晶性樹脂分散液(AD−1)を得た。(AD−1)の体積平均粒径は0.5μm、固形分濃度は50重量%であった。
【0146】
<製造例24>[結晶性樹脂分散液(AD−2)の製造]
製造例23において樹脂(A−1)15重量部を樹脂(A−2)に置き換えた以外は製造例23と同様にし、結晶性樹脂分散液(AD−2)を得た。(AD−2)の体積平均粒径は0.5μm、固形分濃度は50重量%であった。
【0147】
<製造例25>[結晶性樹脂分散液(AD−3)の製造]
製造例23において樹脂(A−1)15重量部を樹脂(A−3)に置き換えた以外は製造例23と同様にし、結晶性樹脂分散液(AD−3)を得た。(AD−3)の体積平均粒径は0.5μm、固形分濃度は50重量%であった。
【0148】
<製造例26>[結晶性樹脂分散液(AD−4)の製造]
製造例23において樹脂(A−1)15重量部を樹脂(A−4)に置き換えた以外は製造例23と同様にし、結晶性樹脂分散液(AD−4)を得た。(AD−4)の体積平均粒径は0.5μm、固形分濃度は50重量%であった。
【0149】
<製造例27>[離型剤分散液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス(石油ワックス)「HNP−9」[Tr:73℃、100℃における動粘度:7mm
2/s、日本精鑞(株)製]10重量部、酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、離型剤分散液を得た。得られた離型剤分散液の体積平均粒径は0.25μm、固形分濃度は50重量%であった。
【0150】
<製造例28>[樹脂溶液(C−1)の製造]
撹拌装置、及び温度計を備えた反応容器に、(AD−1)90重量部、(BS−1)695重量部、着色剤27重量部、離型剤分散液54重量部を投入し、撹拌下40℃で60分間撹拌し、樹脂溶液(C−1)を得た。
【0151】
<実施例1〜10>
製造例14〜26、比較製造例2で得られた溶液(BS−1)〜(BS−9)、(B’S−1)、(AD−1)〜(AD−4)を用いて、スチレン−アクリル系樹脂(B−1)〜(B−9)、結晶性樹脂(A−1)〜(A−4)、離型剤分散液の固形分量が、それぞれ表3に記載の重量部数となるよう秤量し、以下の方法でトナーを作製した。
【0152】
【表3】
【0153】
ビーカーに、イオン交換水95重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50.0重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]16.8重量部及び酢酸エチル8.9重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで25℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、結晶性樹脂分散液9.0重量部、着色剤2.7重量部、離型剤分散液5.4重量部、及びスチレン−アクリル系樹脂溶液69.5重量部投入し2分間撹拌した。次いでこの分散体を、撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に移し、30℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナー粒子の水性樹脂分散体を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られたトナー粒子49.5重量部と流動化剤1としてシリカ「アエロジルR972」(一次粒子の体積平均粒径:16nm、日本アエロジル製)0.5重量部とを均一混合して、体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−1)〜(T−10)、比較のトナー(T’−1)〜(T’−3)を得た。
【0154】
<実施例11〜13>
得られたトナー粒子49.5重量部、流動化剤1としてシリカ「アエロジルR972」(一次粒子の体積平均粒径:16nm、日本アエロジル製)0.25重量部と流動化剤2としてシリカ「アエロジルRY50」(一次粒子の体積平均粒径:40nm、日本アエロジル製)0.25重量部とを均一混合する以外は実施例1から10と同様にして、体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−11)〜(T−13)を得た。
【0155】
<実施例14>
図1の実験装置において、まずバルブV1、V2を閉じ、ボンベB2から、ポンプP4を用いて粒子回収槽T4に二酸化炭素(純度99.99%)を導入し、14MPa、40℃に調整した。また樹脂溶液タンクT1に樹脂溶液(C−1)を投入した。
次に、液状の二酸化炭素のボンベB1から、ポンプP3を用いて液状の二酸化炭素を分散槽T3に投入し、超臨界状態(9MPa、40℃)に調整した。
次に、分散槽T3の内部を2,000rpmで攪拌しながら、タンクT1から、ポンプP1を用いて樹脂溶液(C−1)の混合液を分散槽T3内に導入した。導入後T3の内部の圧力は14MPaとなった。
【0156】
なお、分散槽T3への仕込み組成の重量比は次の通りである。
樹脂溶液(C−1) 490重量部
二酸化炭素 550重量部
【0157】
上記の導入した二酸化炭素の重量は、二酸化炭素の温度(40℃)、及び圧力(15MPa)から二酸化炭素の密度を下記文献に記載の状態式より算出し、これに分散槽T3の体積を乗じることにより算出した(以下同様。)。
文献:Journal of Physical and Chemical Refarence data、vol.25、P.1509〜1596
【0158】
樹脂溶液(C−1)を導入後、1分間攪拌し、超臨界状態の二酸化炭素に樹脂粒子(D−23)が分散した分散体(X1−1)を得た。
次に、バルブV1を開き、B1からP3を用いてT3及びT4内に超臨界状態の二酸化炭素を導入することで、分散体(X1−1)をT3からT4内に移送した。分散体(X1−1)をT3からT4に移送する間、圧力が一定に保たれるように、V2の開度を調節した。この操作を30秒間行い、V1を閉めた。この操作によりT4内に移送された樹脂分散体(X1)からの溶剤の抽出を行った。
さらにT4を40℃とし、15分間保持することでトナー粒子を生成した。
【0159】
次に、圧力ボンベB2から、ポンプP4を用いて粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入しつつ圧力調整バルブV2の開度を調整することで、圧力を14MPaに保持した。
この操作により、溶剤を含む二酸化炭素を溶剤トラップ槽T5に排出すると共に、トナー粒子をフィルターF1に捕捉した。圧力ボンベB2から、ポンプP4を用いて粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入する操作は、上記の分散槽T3に導入した二酸化炭素重量の5倍量を粒子回収槽T4に導入した時点で停止した。この停止の時点で、溶剤を含む二酸化炭素を、溶剤を含まない二酸化炭素で置換すると共にトナー粒子をフィルターF1に捕捉する操作は完了した。
さらに、圧力調整バルブV2を少しずつ開き、粒子回収槽内を大気圧まで減圧することで、フィルターF1に捕捉されている、トナー粒子を取り出し、トナー粒子49.5重量部と流動化剤1としてシリカ「アエロジルR972」(一次粒子の体積平均粒径:16nm、日本アエロジル製)0.5重量部とを均一混合して、体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−14)を得た。
【0160】
トナー(T−1)〜(T−14)、(T’−1)〜(T’−3)について、以下の方法で低温定着性、光沢、耐熱保存安定性、耐湿熱保存安定性、耐久性、帯電安定性を評価した。その結果を表3に示す。
【0161】
[1]低温定着性
紙面上に0.6mg/cm
2となるよう均一に載せる(このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい)。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)1MPaの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度を測定した。コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
【0162】
[2]光沢
140℃で定着した画像を光沢度計(VG−1D)(日本電色社製)を用い、投光角度、受光角度をそれぞれ60°にあわせ、S、S/10の切り替えSWはSにあわせ、0調整及び標準板を用い、標準設定の後試料台に前記画像を置き、光沢を測定した。
光沢の数値が高いほど、光沢に優れることを意味する。
【0163】
[3]耐熱保存安定性
50℃の雰囲気で1日間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記の基準で耐熱保存安定性を評価した。
[評価基準]
○:ブロッキングが発生しない
△:ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する
×:ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない
【0164】
[4]耐湿熱保存安定性
40℃、相対湿度80%の雰囲気で20時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、以下の基準で耐湿熱保存安定性を評価した。
[評価基準]
○:ブロッキングが発生しない
△:ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する
×:ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない
【0165】
[5]耐久性
二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて連続コピーを行い、以下の基準で耐久性を評価した。
[評価基準]
◎:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない
○:1万枚コピー後でカブリが発生している
△:6千枚コピー後でカブリが発生している
×:2千枚コピー後でカブリが発生している
【0166】
[6]帯電安定性
50ccの共栓付ガラス瓶に、樹脂粒子0.5g、鉄粉(日本鉄粉株式会社製「F−150」)10gを精秤し、共栓をして23℃、50%RHの雰囲気下でターブラシェーカミキサー(ウイリー・ア・バショッフェン社製)にセットし、回転数90rpmで攪拌する。
攪拌後の混合粉体0.2gを目開き20μmステンレス金網がセットされたブローオフ粉体帯電量測定装置(京セラケミカル株式会社製TB−203)に装填し、ブロー圧10KPa、吸引圧5KPaの条件で、残存鉄粉の帯電量を測定し、定法により樹脂粒子の帯電量(μC/g)を算出する。
攪拌を1時間継続し、途中の3分後と60分後にサンプリングして帯電量の変化を測定する。
【0167】
3分後の帯電量Q
3と3分後の帯電量Q
60から下記の式(6)より算出される帯電量の変化率を評価した。
変化率=|Q
3−Q
60|/Q
3 (6)
◎:変化率が0.05未満
○:変化率が0.05以上0.07未満
△:変化率が0.07以上0.16未満
×:変化率が0.16以上
【0168】
実施例1〜14の本発明のトナーはいずれの性能評価項目でも優れた結果が得られた。
一方、関係式(2)を満足しない比較例1のトナーとスチレン系モノマー含有量が50%以下のスチレン−アクリル系樹脂を用いた比較例3のトナーは低温定着性と光沢度が不良で、関係式(1)を満足しない比較例2のトナーは耐熱保存性が不良であった。