【課題】本発明は、接触信頼性を損なうことなく、フレキシブルケーブルを多芯化、又は、多接点化した場合の挿入性の悪化を改善でき、生産工程で発生する問題を改善できるフレキシブルケーブル用コネクタを提供する。
【解決手段】複数のコンタクト端子101は、複数のコンタクト部11との接触を維持するメインコンタクト101Aと、複数のコンタクト部11の異物を除去するワイピングコンタクト101Bとが一体に形成され、メインコンタクト101Aとワイピングコンタクト101Bは、フレキシブルケーブル10の挿入方向に対して前後に並び、ワイピングコンタクト101Bは、フレキシブルケーブル10の挿入に合わせて、メインコンタクト101Aと接触してこれを押し上げ、フレキシブルケーブル10の嵌合時に、メインコンタクト101Aとワイピングコンタクト101Bの両方が、複数のコンタクト部11と接触する。
前記フレキシブルケーブルの嵌合時に、前記コンタクト部には、前記メインコンタクトと前記ワイピングコンタクトの両方が接触することを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブルケーブル用コネクタ。
前記ワイピングコンタクトの前記コンタクト部との前記接触面には、緩やかな勾配が形成され、前記メインコンタクトと比較して前記コンタクト部との前記接触面が広いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフレキシブルケーブル用コネクタ。
前記メインコンタクトと前記ワイピングコンタクトとは、所定の空隙を持って非接触となるように配置されており、前記押圧子と前記ワイピングコンタクトとの接触部の最小間隙をΔG、前記フレキシブルケーブルの前記コンタクト部の板厚をTとしたとき、最小間隙ΔG<板厚Tを満足することを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルケーブル用コネクタ。
前記ロック部材の前記フレキシブルケーブルの挿入方向に対向する後端側には、さらに、ロック解除時に前記フレキシブルケーブルの挿入に合わせて応動する前記ロック爪より移動範囲が大きいロック認識部が形成されることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルケーブル用コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
尚、以下の説明における上下方向の概念は、添付の図面における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。また、以下の説明において、便宜的にコネクタの挿入方向を「先端」と示し、コネクタの挿入方向に対向する方向を「後端」と示し、コネクタの挿入方向に対し直交する方向を「左右」と示すこととするが、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0017】
図1(a)において、フレキシブルケーブル用コネクタ100(以下、単にコネクタ100と称す)は、図示しないOA機器等に使用されるFFC(Flexible Flat Cable)、FPC(Flexible Printed Circuits)等のフレキシブルケーブル10との接続に使用されるコネクタである。
【0018】
図1(a)において、フレキシブルケーブル10は、図示しない複数の導体がそれぞれ絶縁して配列され、接触端部(
図1(a)では右端)には、複数の導体から被覆12が剥された部分である複数のコンタクト部11が形成されている。
【0019】
また、フレキシブルケーブル10の両側面には、後述するロック部材103のロック爪103aに係合される2つの切り欠き12aが左右対称に設けられている。また、
図4(a)乃至
図4(d)に示すように、フレキシブルケーブル10の接触端部のコンタクト部11が形成される面の裏面側には、フレキシブルケーブル10の接触端部の周辺を補強する補強板13が設けられる。
【0020】
図1(a)及び
図1(b)において、コネクタ100は、複数のコンタクト端子101と、複数のコンタクト端子101を絶縁して固定するインシュレータ102と、インシュレータ102の上部に配置され、インシュレータ102と共に、フレキシブルケーブル10を収容する収容孔SLを形成するロック部材103と、ロック部材103の両端部を上部から保持する固定金具104とを備える。
【0021】
コンタクト端子101は、フレキシブルケーブル10の複数のコンタクト部11の数に対応して複数設けられているが、それらコンタクト端子101はともに同一形状であるため、以下においては、その1つを例示して説明する。
【0022】
図2(a)および
図8に示すように、この実施形態において、コンタクト端子101は、1枚の銅板を打抜き加工し、その表面に金メッキ等を施した導電性金属材料からなり、コンタクト部11との導電接触を確保するメインコンタクト101Aと、コンタクト部11に付着した異物を除去するワイピングコンタクト101Bと、コンタクト端子101をインシュレータ2の固定するための脚部101Cとが一体に形成されている。
【0023】
脚部101Cは、インシュレータ102の前後方向に沿って水平に延在し、その後端側(
図8では右端側)にはメインコンタクト101Aおよびワイピングコンタクト101Bの基部が連結され、そこからメインコンタクト101Aおよびワイピングコンタクト101Bがそれぞれ上方に向かって形成されている。
【0024】
メインコンタクト101Aは、基端部から脚部101Cの先端側(
図8では左端側)に向かって弓形状に形成されるばね部101Aaと、ばね部101Aaの先端から前端方向に向かって突出し、ワイピングコンタクト101Bの押圧子101Bcによって押圧される押圧凸部101Abと、メインコンタクト101Aの先端の底面から下方に向かって突出し、コンタクト部11に接触する接点部101Acとを備えている。
【0025】
この実施形態において、ばね部101Aaは、コンタクト部11に対する電気的および機械的な接触を確実に得るため、ワイピングコンタクト101Bよりも大きな弾性力となるように形成されていることが好ましい。また、接点部101Acは、所定の面圧を得るため、下面がR状に湾曲して形成されているが、その曲率や形状は仕様に応じて任意に変更されてよい。
【0026】
ワイピングコンタクト101Bは、メインコンタクト101Aの上に覆い被さるように基端部から脚部101Cの先端側(
図8では左端側)に向かって弓形状に形成されるばね部101Baと、ばね部101Baの先端からメインコンタクト101Aの押圧凸部101Abよりも下に延在する湾曲部101Bbと、湾曲部101Bbの先端から押圧凸部101Abの上部投影面積を含むように後端側に向かって延在する押圧子101Bcとを備えている。
【0027】
ワイピングコンタクト101Bは、ビーム長(基端部から先端に至るまでのばね部101Baの長さ)がメインコンタクト101Aのビーム長より長く形成されている。湾曲部101Bbの接触面S1は、緩やかな接戦勾配の円弧面が形成されるため、メインコンタクト101Aの接点部101Acの接触面S2と比較して、複数のコンタクト部11との広い接触面で接触される。これにより、より柔らかい接触力でフレキシブルケーブル10の挿入を行えるのと共に、幅広い範囲で嵌合時の異物の挟み込みを除去できる。
【0028】
メインコンタクト101Aとワイピングコンタクト101Bとの間には、所定の間隙Gが設けられており、コンタクト端子101にフレキシブルケーブル10が未挿入の状態(つまり無負荷状態(
図8の状態))では、メインコンタクト101Aとワイピングコンタクト101Bとは未接触である。
【0029】
本発明において、押圧子101Bcの上端面と押圧凸部101Abの下端面との間の最小間隔をΔG、フレキシブルケーブル10のコンタクト部11の板厚をTとしたとき、間隔ΔGは板厚Tよりも小さく(ΔG<T)と設定されていることが好ましい。
【0030】
すなわち、間隔ΔG<Tとすることにより、コンタクト端子101にフレキシブルケーブル10を挿入すると、ワイピングコンタクト101Bの上昇に伴い、押圧子101Bcが押圧凸部101Abを押圧して、メインコンタクト101Aを持ち上げるようになっている。
【0031】
図2(a)に示すように、インシュレータ102は、例えば樹脂材料等の絶縁性を有する材料により成形され、複数のコンタクト端子101が左右方向に沿って所定間隔をもって互いに平行となるように配置された扁平な板状に形成されている。
【0032】
図2(a)に示すように、インシュレータ102には、コンタクト端子101を収容するコンタクト端子収容部102aが設けられている。
図4(a)を併せて参照して、コンタクト端子収容部102aは、インシュレータ102の先端から後端(
図4(a)では左右両端)にかけて延在するスロット溝からなり、それらが所定間隔をもって互いに平行に配置されている。コンタクト端子収容部102aの形状および数は、コンタクト部11の数や仕様によって決定される。
【0033】
図4(a)に示すように、コンタクト端子収容部102aの底部(
図4(a)では下側)は、仕切板102a1によって仕切られている。これにより、インシュレータ102の底部と仕切板102a1との間には、コンタクト端子101の脚部101Cが圧入される固定溝102a2が形成される。
【0034】
再び
図2(a)を参照して、インシュレータ102の左右両端にはロック部材103を保持する2つの固定金具104をそれぞれ個別に収容する2つの固定金具収容部102bが設けられている。
【0035】
固定金具収容部102bはともに同一形状であり、左右対称に配置されている。固定金具収容部102bは、インシュレータ102の両側面に一体的に設けられた仕切板102b1を挟んで対向的に配置される第1収納溝102b2と第2収納溝102b3とを含んでなる。
【0036】
第1収納溝102b2は、インシュレータ102の後端から前端に向かって形成された凹溝であり、第1収納溝102b2内に固定金具104のばね部104aが収納される。
【0037】
第2収納溝102b3は、仕切板102b1に沿ってインシュレータ102の側面に沿って形成されたスリット溝からなり、固定金具104のクランプアーム104c、104dが差し込まれる。
【0038】
インシュレータ102の前面側には、2つのモールド爪102cが設けられている。モールド爪102cは、インシュレータ102の収容孔(参照符号)の開口縁から上方に向かってほぼ垂直に延在し、ロック部材103の後述するモールド爪係合部103dが係合される。これによれば、ロック部材103のモールド面からの脱落の防止と支点による回転を安定させることができる。
【0039】
インシュレータ102の前端にはさらに、ロック解除時に回転したロック部材103の姿勢を安定させるための傾斜面102dが設けられている。傾斜面102dは、インシュレータ102の上面から挿入孔(参照符号)の開口縁に向かって斜め下向きに傾斜した傾斜面であり、この実施形態では挿入孔(参照符号)の開口部の延在方向に沿って左右に連続して形成されている。
【0040】
インシュレータ102の左右両端にはさらに、後述するロック部材103の抜け止め部103bを移動可能に収容する抜け止め収容部102eが形成されている。
図2(a)に示すように、抜け止め収容部102eは、仕切板102b1の一部を上端から下方に向かって切り欠いてなる切欠凹部であって、抜け止め収容部102eの前後方向に沿って第2収納溝102b3の一部が貫通するように形成されている。
【0041】
この実施形態において、インシュレータ102は、扁平な横長の板状に形成されているが、インシュレータ102の形状は、コンタクト端子101、または、固定金具104等の形状に合わせた形状とすればよく、例えば、ロック部材103を配置せずに、インシュレータ102のみでフレキシブルケーブル10を収容する収容孔を形成するNon−ZIFタイプのコネクタとしてもよい。
【0042】
インシュレータ102の上面には、ロック部材103が収納される収納凹部102fが形成されている。収納凹部102fは、ロック部材103の外形に沿って合致するようにインシュレータ102の一部を凹ませてなり、収納凹部102fの外周に沿ってロック部材103の一部が入り込むようになっている。
【0043】
図2(a)を参照して、ロック部材103は、インシュレータ102と同様に、例えば樹脂材料等の絶縁性を有する材料からなり、薄型な板状に成形されている。ロック部材103の後端寄り(
図2では左端側)の左右両端には、ロック部材103をインシュレータ102に保持する保持部103Sが設けられている。
【0044】
保持部103Sは、ロック部材103の両側面から水平に延在する一対の舌片状を呈し、ロック部材103の板厚とほぼ同じ板厚に形成されている。
図2(b)に示すように、保持部103Sの底部には、フレキシブルケーブル10の両側面に形成される2つの切り欠き12aに係合する2つのロック爪103aが形成されている。
【0045】
この実施形態において、ロック爪103aは、フレキシブルケーブル10の挿入開始時に、フレキシブルケーブル10の先端部によって蹴り上げられる傾斜面103a1と、フレキシブルケーブル10の切り欠き12aに係止される垂直面からなる係止面103a2とを備えている。この実施形態において、傾斜面103a1は、フレキシブルケーブル10の挿入対向するように配置され、係止面103a2は、フレキシブルケーブル10の抜去方向に対向するように配置されている。
【0046】
保持部103Sの後端側には、固定金具104のばね部104aによって押圧される押圧片103a3が設けられている。
図7(e)を併せて参照して、押圧片103a3は、保持部103Sの後端側からほぼ水平に延在する板状片であり、その上端側がばね部104aの一部によって押圧される。
【0047】
この実施形態において、押圧片103a3の上面の先端側には、傾斜面103a4が設けられている。
図7(2e)、(3e)に示すように、傾斜面103a4は、ロック部材103の非ロック時において、ロック部材103の傾斜角とほぼ同じ傾斜角を有する傾斜面である。これによれば、非ロック時にロック部材103の裏面と傾斜面103a4とが互いに係合することで、クリック感が出て、ユーザに対して非ロック状態であることを通知することができる。
【0048】
保持部103Sの端部にはさらに、2つのロック爪103aの外側に形成されインシュレータ102の抜け止め収容部102eに移動可能に収容されるための2つの抜け止め部103b(
図2(b)参照)が設けられている。抜け止め部103bは、保持部103Sの端部から水平に突出する矩形状の棒体からなり、左右一対に同軸的に配置されている。
【0049】
抜け止め部103bは、インシュレータ102の抜け止め収容部102e内に収納した状態で、固定金具104のクランプアーム104c、104dによって上下から狭持することにより、抜け止め収容部102e内に保持されるようになっている。
【0050】
ロック部材103にはさらに、ロック解除時にフレキシブルケーブル10の挿入に合わせて応動するフラップ状のロック認識部103cが設けられている。ロック認識部103cは、ロック部材103の後端(挿入孔とは反対側)の両端に設けられた左右一対の板状片からなり、ロック認識部103cが上下動することにより、ロック時と非ロック時とを一目で判断することができる。
【0051】
図1(a)に示すように、この実施形態において、ロック認識部103cは、ロック部材103の後端からほぼ水平に延在し、その先端がインシュレータ102のほぼ後端に至る位置まで形成されている。
【0052】
ロック部材103の中央付近には、ロック解除時にインシュレータ102の2つのモールド爪102cに係合されるモールド爪係合部103dが、この実施形態では2箇所設けられている。ロック部材103の形状もこの形状に限定されるものではなく、インシュレータ102の形状等に合わせて適宜変更可能である。
【0053】
図2(a)に示すように、固定金具104は、この実施形態において金属板をプレス加工などによって形成したものからなり、上部にはばね部104aが設けられている。ばね部104aは、固定具の一部をU字型に折り曲げてなる板ばね形状を有し、その先端部で押圧片103a3を上部からばね性により保持する。固定金具104の下部には、実装基板に半田付けで固定される半田固定部104bが設けられている。半田固定部104bは、金属製の板材を外側に向けてほぼ垂直に折り曲げた舌片状を有している。
【0054】
固定金具104の先端には、2本のクランプアーム104c、104dが設けられている。クランプアーム104c、104dは、固定金具104の側部から所定間隔をもって互いに平行に突設されており、インシュレータ102の第2収納溝102b3に挿入される。
【0055】
図4(a)乃至
図4(d)に示す例では、
図1乃至
図2に示すコネクタ100と同じ形状のコンタクト端子101の状態の変化を示している。これに対して、
図5(a)乃至
図5(d)に示す例では、コンタクト端子101と異なり、メインコンタクト501Aの先端の押圧凸部101Abが切り取られた形状のコンタクト端子501の状態の変化を示している。この形状を有することにより、コンタクト端子501では、ワイピングコンタクト501Bとメインコンタクト501Aの連動がなくなることとなる。また、それ以外の構成、及び、形状については、
図4(a)乃至
図4(d)に示す例と、
図5(a)乃至
図5(d)に示す例で相違はなく、同様の構成には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0056】
次に、
図4(a)乃至
図6を使用して、ワイピングコンタクト101Bとメインコンタクト101Aの連動があるコンタクト端子101の挿入力について説明する。
【0057】
図6において、縦軸は挿入力を示し、横軸はフレキシブルケーブル10の挿入時の変位量を示している。また、グラフの実線は、
図4(a)乃至
図4(d)に示すワイピングコンタクト101Bとメインコンタクト101Aの連動があるコンタクト端子101(以下、連動コンタクト端子という)の挿入力を示し、グラフの点線は、
図5(a)乃至
図5(d)に示すワイピングコンタクト501Bとメインコンタクト501Aの連動がないコンタクト端子501(以下、非連動コンタクト端子という)の挿入力を示している。
【0058】
また、
図6に示す一点鎖線の縦線は、フレキシブルケーブル10の挿入状態を示し、左から[1]の
図4(a)及び
図5(a)に示すフレキシブルケーブル10が最初に接触した状態、[2]の
図4(b)及び
図5(b)に示すワイピングコンタクト101B、501Bがコンタクト部11に接触した状態、[3]の
図4(c)及び
図5(c)に示すメインコンタクト101A、501Aがコンタクト部11に接触した状態、[4]の
図4(d)及び
図5(d)に示すフレキシブルケーブル10の嵌合状態を示している。なお、[3]の
図5(c)に示す例では、メインコンタクト501Aの形状が異なるため、
図4(c)に示すメインコンタクト101Aがコンタクト部11に接触する位置とずれている。
【0059】
図6に示すように、連動コンタクト端子101では、ワイピングコンタクト101Bにメインコンタクト101Aの荷重がかかるため、[1]のフレキシブルケーブル10が最初に接触した状態から、[2]のワイピングコンタクト101Bの接触状態にかけて、非連動コンタクト端子501より荷重が増加する。
【0060】
また、[3]のメインコンタクト101Aの接触時の最大荷重は、連動コンタクト端子101の方が小さいものとなっている。これは、連動コンタクト端子101では、ワイピングコンタクト101Bによりメインコンタクト101Aが持ち上がり、メインコンタクト101Aの接触時の挿入力が、非連動コンタクト端子501のメインコンタクト501Aと比較して低くなるからであり、非連動コンタクト端子501に対して、連動コンタクト端子101の挿入性が改善されていることがわかる。
【0061】
また、[4]のフレキシブルケーブル10の嵌合状態では、連動コンタクト端子101と、非連動コンタクト端子501の荷重は同じとなり、嵌合時の接触力は同じとなり、接点での接触信頼性が維持されていることもわかる。
【0062】
以上のように、ワイピングコンタクト101Bとメインコンタクト101Aの連動コンタクト端子101を使用した本発明のコネクタ100によれば、接触信頼性を損なうことなく、フレキシブルケーブル10を多芯化した場合の挿入性の悪化を改善でき、生産工程で発生する問題を改善できる。
【0063】
次に、
図3及び
図7を使用して本発明のコネクタ100のフレキシブルケーブル10とのロック構造について説明する。
【0064】
図7に示すように、左から、
図3(a)に対応する(1)ケーブルの挿入途中状態、
図3(b)に対応する(2)ケーブルの嵌合した状態、
図3(c)に対応する(3)嵌合を解除した状態のそれぞれの各断面指示線に沿った断面図が示されている。
【0065】
図7(1a)に示すように、まず左側の列に示す(1)ケーブルの挿入途中状態では、ロック部材103のロック爪103aは、フレキシブルケーブル10の切り欠き12aに係合しておらず、フレキシブルケーブル10に乗り上げている。
【0066】
このとき、
図7(1d)に示すように、ロック部材103の抜け止め部103bがインシュレータ102の抜け止め収容部102eに収容され、更に、
図7(2e)、(3e)に示すように、ロック部材103の両端部は、固定金具104のばね部104aにより、そのばね性により保持されるため、ロック部材103は回転しフレキシブルケーブル10の挿入方向に傾斜した状態となる。
【0067】
このとき、
図7(1d)、(2d)、(3d)に示すように、ロック部材103の抜け止め部103bは、断面が円形ではなく、特定の軸を有さずに前後に移動可能にインシュレータ102の抜け止め収容部102eに保持される。このため、ロック部材103が、より柔軟に作動することができ、シンプルな構造でロック部材103を移動可能に保持できるため、低背化が容易となる。
【0068】
また、
図7(1a)に示すように、抜け止め部103bからの距離がロック爪103aより長く、ロック部材103の回転時に移動範囲がロック爪103aより大きいロック認識部103cが、フレキシブルケーブル10の挿入方向に対向する側の上部に持ち上がる。このため、操作者は、フレキシブルケーブル10が嵌合していないことを目視で容易に確認することができる。
【0069】
次に、
図7の中央の列に示す(2)ケーブル嵌合状態では、ロック部材103のロック爪103aがフレキシブルケーブル10の切り欠き12aに係合されるため、ロック部材103は、傾斜せず平行となる。このとき、ロック認識部103cも平行となり、インシュレータ102の上面と同じ高さとなるため、操作者は、フレキシブルケーブル10が嵌合状態であることを目視で容易に確認することができる。
【0070】
ロック爪103aは、フレキシブルケーブル10の挿入方向側の面に傾斜面103a1が形成され、フレキシブルケーブル10の挿入方向に対向する側の面に、係止面103a2が形成されるため、フレキシブルケーブル10は、挿入することはできるが、このまま引き抜くことはできない。
【0071】
次に、
図7の右側の列に示す(3)嵌合解除状態では、ロック部材103の挿入孔上部の中央部を操作者が、フレキシブルケーブル10と共に押し込むことにより、
図7(3a)に示すように、ロック部材103のロック爪103aがフレキシブルケーブル10の切り欠き12aからはずれ、係合が解除される。これにより、操作者は、フレキシブルケーブル10をコネクタ100から引き抜くことができる。
【0072】
また、操作者がロック部材103の挿入孔上部の中央部を押し込むと、
図7(3c)に示すように、インシュレータ102のモールド爪102cに、ロック部材103のモールド爪係合部103dが係合し、ロック部材103のモールド面からの脱落が防止され、さらに、ロック部材103の抜け止め部103bを支点とする回転が安定される
【0073】
また、
図7(3b)に示すように、インシュレータ102の傾斜面102dに回転したロック部材103が接触し、ロック解除時のロック部材103の作動が安定する。このような構造によっても、シンプルなロック構造が構成でき、低背化が容易となる。
【0074】
なお、
図7(3a)に示すように、嵌合解除状態でも、ロック部材103のロック認識部103cが持ち上がり、操作者は、フレキシブルケーブル10の嵌合解除状態を目視で容易に確認することができる。
【0075】
以上のように、インシュレータ102の上部に配置されたロック部材103と固定金具104により構成されたロック構造を有する本発明のコネクタ100によれば、簡易な構成によりロック構造を構成できるため、低背化が容易となり、部品点数も少なくコストダウンも容易となる。さらには、、接触信頼性を損なうことなく、フレキシブルケーブルを多芯化した場合の挿入性の悪化を改善でき、生産工程で発生する問題を改善できる、また簡易な構成によりロック構造を構成できるため、低背化が容易となり、部品点数も少なくコストダウンも容易となる。