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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-158411(P2018-158411A)
(43)【公開日】2018年10月11日
(54)【発明の名称】ショットブラスト装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 3/26 20060101AFI20180914BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20180914BHJP
【FI】
   B24C3/26
   B24C9/00 J
   B24C9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-56738(P2017-56738)
(22)【出願日】2017年3月22日
(71)【出願人】
【識別番号】517101540
【氏名又は名称】株式会社大鋳
(74)【代理人】
【識別番号】100197734
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】新名 剛志
(72)【発明者】
【氏名】徳永 裕美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝行
(72)【発明者】
【氏名】長友 善彦
(72)【発明者】
【氏名】角口 優一
(72)【発明者】
【氏名】飯干 純一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】貫通孔が形成された無端ベルトで搬送される被研掃材に研掃材を投射して研磨するショットブラスト装置において、研掃材の無端ベルト上の残留を低減することができるショットブラスト装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被研掃材に研掃材を投射して研磨するショットブラスト装置1であって、複数のロールと、研掃材を通過させる複数の貫通孔10cが形成され、複数のロールに張架されて回転走行可能に構成された無端ベルト10と、無端ベルトとの当接部を有し、回転可能に構成された一対のサイドディスク12と、無端ベルトを振動させる無端ベルト振動手段33とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研掃材に研掃材を投射して研磨するショットブラスト装置であって、
複数のロールと、
前記研掃材を通過させる複数の貫通孔が形成され、前記複数のロールに張架されて回転走行可能に構成された無端ベルトと、
前記無端ベルトとの当接部を有し、回転可能に構成された一対のサイドディスクと、
前記無端ベルトを振動させる無端ベルト振動手段と
を備えたことを特徴とするショットブラスト装置。
【請求項2】
前記複数のロールは、少なくとも、前記無端ベルトを回転走行駆動する駆動ロールと、前記無端ベルトのトラフ部を形成するベントロールと、前記被研掃材が載置されるテークアップロールと、昇降可能に構成されて被研掃材を上昇限界地点まで搬送させることができるピックアップロールと、該ピックアップロールと連動して同時に昇降可能に構成されたテンションロールとを含み、
前記無端ベルト振動手段が、前記ピックアップロールに備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載のショットブラスト装置。
【請求項3】
前記ピックアップロールは、長手方向に沿って設けられたピックアップロール本体部と、該ピックアップロール本体部に軸通されたピックアップロール回転軸とを備え、
該ピックアップロール回転軸が、前記ピックアップロール本体部の偏心位置に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のショットブラスト装置。
【請求項4】
前記ピックアップロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、
前記ピックアップロール本体部の横断面形状が、円形、楕円形、長円形のいずれか一つの形状に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のショットブラスト装置。
【請求項5】
前記ピックアップロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されている
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のショットブラスト装置。
【請求項6】
前記ピックアップロールは、長手方向に沿って設けられたピックアップロール本体部と、該ピックアップロール本体部に軸通されたピックアップロール回転軸とを備え、
前記ピックアップロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、
前記ピックアップロール本体部の横断面形状が円形に形成され、
前記ピックアップロール回転軸が、前記ピックアップロール本体部の円中心位置に設けられ、
前記ピックアップロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のショットブラスト装置。
【請求項7】
前記無端ベルト振動手段が、さらに、前記テンションロールに備えられ、
前記テンションロールは、長手方向に沿って設けられたテンションロール本体部と、該テンションロール本体部に軸通されたテンションロール回転軸とを備え、
該テンションロール回転軸が、前記テンションロール本体部の偏心位置に設けられている
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のショットブラスト装置。
【請求項8】
前記テンションロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、
前記テンションロール本体部の横断面形状が、円形、楕円形、長円形のいずれか一つの形状に形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載のショットブラスト装置。
【請求項9】
前記テンションロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のショットブラスト装置。
【請求項10】
前記テンションロールが、前記無端ベルト振動手段として構成され、
前記テンションロールは、長手方向に沿って設けられたテンションロール本体部と、該テンションロール本体部に軸通されたテンションロール本体部とを備え、
前記テンションロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、
前記テンションロール本体部の横断面形状が円形に形成され、
前記テンションロール回転軸が、前記テンションロール本体部の円中心位置に設けられ、
前記テンションロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されている
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のショットブラスト装置。
【請求項11】
前記ピックアップロールと前記テンションロールとを連結する一つの連結部材と、
該連結部材を昇降駆動する一つの昇降駆動装置を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のショットブラスト装置。
【請求項12】
研掃処理前の被研掃材を前記無端ベルトの所定位置に搬入する被研掃材供給手段と、研掃完了後の被研掃材を外部に排出する排出口と、前記サイドディスクと前記無端ベルトとを含む空間部で形成された研掃室とを備え、
前記被研掃材供給手段内部に前記研掃処理前の被研掃材の残留検出センサーが設けられ、
前記排出口内部に前記研掃完了後の被研掃材の残留検出センサーが設けられ、
前記研掃室内部に前記被研掃材の残留検出センサーが設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のショットブラスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研掃材を投射して被研掃材に衝突させ、被研掃材を物理的に研磨するショットブラスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショットブラスト装置には、複数の方式が知られている。例えば、エプロン式のショットブラスト装置としては、特許文献1に記載された「ローラー間に張架した無端ベルトを回転走行させると共に、無端ベルト上にサイドドラムを回転可能に設けて被研掃品載置部を形成し、無端ベルトに載せた被研掃品を研掃するようにしたショットブラスト装置において、無端ベルトとサイドドラムとの当接開始地点が被研掃品落下地点よりも上方に位置するように前部ローラーを設置すると共に、該前部ローラーを上下移動可能に設けたことを特徴とするシヨットブラスト装置」(「特許請求の範囲」参照。)がある。
【0003】
また、特許文献2には、いわゆるトラフ式(図6参照。)とベルトコンベア式(図5参照。)の「双方の短所を解消するとともに長所を発揮し得るハイブリッド方式」(段落「0007」、図5図6等参照。)のショットブラスト装置として、「トラフの中で転動している被研掃物に対して研掃材を投射する方式のブラスト装置において、被研掃物を水平方向に搬送するベルトコンベアと、上記ベルトコンベアの被研掃物搬入箇所と同搬出箇所との間に、下方へ湾曲したトラフが形成されるとともに、該トラフ内の被研掃物に対して研掃材を投射する投射機が設けられていることを特徴とする、トラフ型の連続ブラスト装置」(「請求項1」、図1図4参照。)が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、研掃材の搬入、ブラスト、搬出を連続して行う方式として「駆動ローラと複数の案内ローラとの外周に沿って伸びる長い無端ベルトの上面に該ベルトの両縁部を一対のガイドプレートに接触案内することによって凹所を形成し、該凹所に向かつて研掃材を投射する投射装置を設け、無端ベルトの前端部上面に被研掃物を搬入する搬入口と無端ベルトの後端部から被研掃物を排出する排出口とをそれぞれ設け、無端ベルト上面には前記凹所内の被研掃物をかき上げるせき板を少なくとも一つ設けたことを特徴とする連続研磨装置」(特許請求の範囲(1)参照。)が記載されている。
【0005】
また、特許文献4には、トラフ式の問題について「トラフ式のブラスト装置は、トラフを大径に設定することにより一度に多数の被研掃物を研掃することはできるものの、研掃した被研掃物を排出する際に、トラフを開くために無端ベルトの前端をその下面に位置するローラーにより又はローラーを降下させた上で、無端ベルトを逆転して被研掃物を排出するという操作が必要であり、製造ラインに装置を組み込んでの全自動での流れ作業には適していなかった」(段落「0004」参照。)と記載され、また、ベルトコンベア式の問題について「ベルトコンベア式のブラスト装置は、平板状の被研掃物の一方面について連続して流れ作業として研掃することができるものの、被研掃物の周囲全面を研掃するはできなかった。そのため、ある程度大きなダイカスト製品等においてその周囲全面を連続して研掃する場合には、被研掃物を1個ずつハンガーに掛けて研掃するという人手を要する作業が必要となっていた」(段落「0004」参照。なお、「…研掃するは…」は、「…研掃することは…」の誤記と思われる。)と記載され、「本発明は上述した事情に鑑みて為されたものであって、その目的は、被研掃物の製造ライン中に配置して連続して自動的に研掃することができ、かつ、大径な被研掃物であっても短時間で効率良く周囲全面が均等に研掃されるよう、好適に転動させることができるとともに、大掛かりで大径になりがちなブラスト装置の構造を簡素化・小型化することができる連続ショットブラスト装置を提供する」(段落「0005」参照。)と記載され、その目的を実現する発明として「複数のプーリーに巻き掛けて回動する無端環状ベルト上に載置した被研掃物を一方方向に進行させながら研掃材を投射するショットブラスト装置において、回動する無端環状ベルトの両側上面に接して中心軸位置を固定して回転自在なサイドディスクと、該サイドディスクの下流に位置し、前記無端環状ベルトを下面から押し上げるべく起倒自在なベルト起倒プーリーと、前記無端環状ベルトのテンションを一定に保持すべく回転軸を移動自在なテンションプーリーとを備え、前記ベルト起倒プーリーを上昇させることにより無端環状ベルトを前記サイドディスクの外周に沿って持ち上げて被研掃物を転動させつつ滞留させた状態で研掃するとともに、被研掃物の研掃が終了すると前記ベルト起倒プーリーを下降させることにより無端環状ベルトを平坦にしてその上に載置する被研掃物を排出すべく送出することを特徴とする連続ショットブラスト装置」(請求項1参照。)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平04−060788号公報
【特許文献2】特開2010−046779号公報
【特許文献3】特開昭53−129394号公報
【特許文献3】特開平2013−066970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の「ショットブラスト装置」は、「被研掃品18」の投入口については明示されてはいないが、特許文献1の明細書の記載及び図面から推量すると、「被研掃品18」の投入は「排出口28」を利用して行われているものと思われ、そうすると、「被研掃品18」の投入・排出作業を自動化することが困難である。例えば、「被研掃品18」を自動的に投入するホッパー等を「排出口28」に設けると、研掃終了後の「被研掃品18」を「排出口28」から排出するためには、ホッパーを移動させて、別場所から「排出口28」に「受器」を移動する必要があり、装置全体が大掛かりになり、制御も複雑化する。
【0008】
特許文献2に記載の「トラフ型の連続ブラスト装置」は、「サイドディスク(回転円板)は傾動アーム16によって回転自在に支承され、かつ、図示しない駆動手段によって往復矢印d⇔eのように上下動せしめられる」(段落「0018」、図1参照。)と記載されているように、「サイドディスク」を駆動するので、装置が大掛かりになる虞がある。
【0009】
特許文献3には、「又、被研掃物が比較的、重量物である場合、ベルトを保護するためにも研掃終了後排出する場合ローラー5’6’を下降させ7’のローラーと投射室凹部の底面よりベルトを一線上にして、ベルトの進行方向に伴って被研掃物を排出させることができる」(明細書第2頁左下欄第14行乃至第19行、第1図、第3図参照。)と記載されているけれども、「ローラー5’6’」(「ローラー5,6」の誤記かと思われる)を下降・上昇させる駆動手段・方法については開示されていない。
【0010】
特許文献4に記載の「連続ショットブラスト装置」は、「ベルト起倒プーリー6」の「基端部」と、「プーリー2」との間は、「無端環状ベルト1」が水平状態であるので(図1図2参照。)、研掃動作時に、「被研掃物W」が「サイドディスク5」よりも「プーリー2」側に転動してしまい、「研掃材」の投射範囲から外れてしまう虞がある。そうなると、「研掃材」の「被研掃材W」への投射率(衝突率)が低下するので、研掃品質が劣化する虞がある。また、「下方のプーリー4は、無端環状ベルト1のテンションを一定に保持すべく、上下動自在な構造を有している」(段落「0011」、図2参照。)等の記載はあるものの、具体的な「上下動自在な構造」については開示されていない。
【0011】
ここで、ショットブラスト装置においては、上方から研掃材を下方の被研掃材に向けて投射し、被研掃材に投射された研掃材は、被研掃材を搬送する無端ベルトに形成された貫通孔を通過して落下し、下方に設置された回収手段により回収されて、繰り返し上方から投射される構成とされている。このような構成は、特許文献1〜4に記載の装置においても同様であるものと推量される。このような構成においては、投射された研掃材が、貫通孔に詰まったり、無端ベルト上に付着したり、あるいは、被研掃材に付着したりして落下せずに残留し、一部の研掃材が効率よく回収されない場合がある。そうすると、研掃品質を維持するためには、研掃材の未回収分を予め想定して、余分の研掃材を投入する必要があり、研掃材のコストが嵩むことになる。したがって、研掃品質を維持し、かつ、研掃材のコストを低減するためには、研掃材が無端ベルトに残留しないようにするという課題を解決しなければならないが、特許文献1〜4には、このような課題については、開示も示唆もされていない。
【0012】
そこで、本発明においては、貫通孔が形成された無端ベルトで搬送される被研掃材に研掃材を投射して被研掃材に衝突させ、被研掃材を物理的に研磨するショットブラスト装置において、無端ベルトの振動手段が備えられ、無端ベルトを振動させることで研掃材の無端ベルト上の残留を低減することができるショットブラスト装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明においては、上記のショットブラスト装置において、無端ベルトが張架される複数のロールのうち、無端ベルトの昇降動作に寄与する二つのロールを一つの昇降装置で駆動するように構成したショットブラスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、被研掃材に研掃材を投射して研磨するショットブラスト装置であって、複数のロールと、前記研掃材を通過させる複数の貫通孔が形成され、前記複数のロールに張架されて回転走行可能に構成された無端ベルトと、前記無端ベルトとの当接部を有し、回転可能に構成された一対のサイドディスクと、前記無端ベルトを振動させる無端ベルト振動手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1記載のショットブラスト装置であって、前記複数のロールは、少なくとも、前記無端ベルトを回転走行駆動する駆動ロールと、前記無端ベルトのトラフ部を形成するベントロールと、前記被研掃材が載置されるテークアップロールと、昇降可能に構成されて被研掃材を上昇限界地点まで搬送させることができるピックアップロールと、該ピックアップロールと連動して同時に昇降可能に構成されたテンションロールと含み、前記無端ベルト振動手段が、前記ピックアップロールに備えられていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のショットブラスト装置であって、前記ピックアップロールは、長手方向に沿って設けられたピックアップロール本体部と、該ピックアップロール本体部に軸通されたピックアップロール回転軸とを備え、該ピックアップロール回転軸が、前記ピックアップロール本体部の偏心位置に設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のショットブラスト装置であって、前記ピックアップロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、前記ピックアップロール本体部の横断面形状が、円形、楕円形、長円形のいずれか一つの形状に形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載のショットブラスト装置であって、前記ピックアップロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されているを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のショットブラスト装置であって、前記ピックアップロールは、長手方向に沿って設けられたピックアップロール本体部と、該ピックアップロール本体部に軸通されたピックアップロール回転軸とを備え、前記ピックアップロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、前記ピックアップロール本体部の横断面形状が円形に形成され、前記ピックアップロール回転軸が、前記ピックアップロール本体部の円中心位置に設けられ、前記ピックアップロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のショットブラスト装置であって、前記無端ベルト振動手段が、さらに、前記テンションロールに備えられ、前記テンションロールは、長手方向に沿って設けられたテンションロール本体部と、該テンションロール本体部に軸通されたテンションロール回転軸とを備え、該テンションロール回転軸が、前記テンションロール本体部の偏心位置に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のショットブラスト装置であって、前記テンションロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、前記テンションロール本体部の横断面形状が、円形、楕円形、長円形のいずれか一つの形状に形成されていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載のショットブラスト装置であって、前記テンションロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されていることを特徴とする。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のショットブラスト装置であって、前記テンションロールが、前記無端ベルト振動手段として構成され、前記テンションロールは、長手方向に沿って設けられたテンションロール本体部と、該テンションロール本体部に軸通されたテンションロール本体部とを備え、前記テンションロールの長手方向を縦方向、短手方向を横方向とするとき、前記テンションロール本体部の横断面形状が円形に形成され、前記テンションロール回転軸が、前記テンションロール本体部の円中心位置に設けられ、前記テンションロール本体部の外周面に、長手方向に沿って凸部が形成されていることを特徴とする。
【0024】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のショットブラスト装置であって、前記ピックアップロールと前記テンションロールとを連結する一つの連結部材と、該連結部材を昇降駆動する一つの昇降駆動装置を備えている
ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のショットブラスト装置であって、研掃処理前の被研掃材を前記無端ベルトの所定位置に搬入する被研掃材供給手段と、研掃完了後の被研掃材を外部に排出する排出口と、前記サイドディスクと前記無端ベルトとを含む空間部で形成された研掃室とを備え、前記被研掃材供給手段内部に前記研掃処理前の被研掃材の残留検出センサーが設けられ、前記排出口内部に前記研掃完了後の被研掃材の残留検出センサーが設けられ、前記研掃室内部に前記被研掃材の残留検出センサーが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明のショットブラスト装置によれば、無端ベルトの振動手段を設けたので、振動手段を用いて無端ベルトを振動させ、研掃材の無端ベルトの貫通孔への目詰まり、研掃材の無端ベルト上または被研掃材への付着を低減して、残留被研掃材を低減することができるので、研掃品質を維持・向上し、かつ、研掃材のコストを低減することができるという顕著な効果を奏する。
【0027】
また、本発明のショットブラスト装置によれば、無端ベルトが張架される複数のローラーのうち、無端ベルトの昇降動作に寄与する二つのロールを一つの昇降装置で駆動するように構成したので、部品点数の簡素化、製造コストの低減化を行うことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のショットブラスト装置の全体外観斜視図である。
図2】本発明の無端ベルトの平面図である
図3】本発明の無端ベルトの左側面図である。
図4】本発明のショットブラスト装置において、ロール昇降状態を説明する図である。
図5】本発明のショットブラスト装置において、ロール昇降装置の構成を説明する図である。
図6】本発明のショットブラスト装置において、第1実施形態の無端ベルト振動手段33〜36の構成を説明する図である。
図7】本発明のショットブラスト装置において、第1の実施形態の無端ベルト振動手段33の構成を説明する図である。
図8】本発明のショットブラスト装置において、第2の実施形態の無端ベルト振動手段63〜66の構成を説明する図である。
図9】本発明のショットブラスト装置において、第2の実施形態の無端ベルト振動手段63の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。なお、説明の便宜上、本明細書で示す前,後,左,右の方向は、図中で示す矢印の前,後,左,右の方向と対応するものとする。
【0030】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態におけるショットブラスト装置について、図1図6を参照しながら説明する。図1は、ショットブラスト装置の全体外観斜視図であり、図2は、無端ベルトの平面図であり、図3は、無端ベルトの左側面図であり、図4は、ロール昇降状態を説明する図であり、図5は、ロール昇降装置の構成を説明する図であり、図6は、無端ベルト振動手段33〜36の構成を説明する図であり、図7は、無端ベルト振動手段33の構成を説明する図である。
【0031】
まず、全体構成の概要を説明すると、図1に示すように、ショットブラスト装置1は、キャビネット2の内部に駆動ロール3、第1補助ロール4、テンションロール5、第2補助ロール6、テークアップロール7、ベントロール8、ピックアップロール9が配設され、これらのロールのうち、少なくとも駆動ロール3、テンションロール5、テークアップロール7、ベントロール8、ピックアップロール9に無端ベルト10が張架されて回転走行する構成をなしている。なお、「ロール」は、「プーリー」、または、「ローラー」ともいう。ピックアップロール9とテンションロール5は、ロール昇降装置21によって同時に昇降可能に構成されており、ピックアップロール9は、無端ベルト振動手段33〜36として構成されているが、詳細は後述する。また、キャビネット2内部には、ベントロール8とピックアップロール9との間に、トラフ部(凹部)11が形成され、トラフ部11内で無端ベルト10と当接する一対のサイドディスク12が配設されている。キャビネット2の内部には、研掃室13として、無端ベルト10のトラフ部11とサイドディスク12とを含む空間部が形成されている。研掃室13へのワーク(被研掃材ともいう。不図示。)搬入口には、エアーシリンダーで開閉制御されるシャッタードア14が設けられている。シャッタードア14がワークの搬入口となる。シャッタードア14とベントロール8との間の無端ベルト10が露出している部分は、ワーク搬送部19であり、ワークは、このワーク搬送部19の上方に配設されたワーク供給ホッパー15から自動的に一定量が供給されて、搬送部19上に載置されるように制御されている。テークアップロール7は、搬送部19の前端に配設されている。キャビネット2の上部には、研掃材を投射する投射器16が設けられ、研掃材(不図示)は、投射器16から、研掃室13内のワークに投射され、投射された後、無端ベルト10の全面に所定間隔で形成された貫通孔10cを通過して、キャビネット2の内部下方に配設された研掃材回収室26に落下し、エレベータースクリュー18で一箇所に集積され、パケットエレベータ等で構成された回収研掃材搬送部(不図示。)で回収された後、投射器16に再供給されて、繰り返しワークの研掃に使用される。
【0032】
以下、主に本発明の特徴部分について、個々の構成部品を中心に説明する。駆動ロール3は、キャビネット2後端部のワーク排出口20近傍に配設され、張架された無端ベルト10を無端状に回転走行させるように回転駆動される。駆動ロール3は、通常は、無端ベルト10が、図1の矢印a,b,c,dで示す一方向に回転走行するように回転駆動されるが、機能的には逆回転も可能である。駆動ロール3は、例えば、ロールチェーン(不図示。)を介してギヤードモーター(不図示。)に連結され、このギヤードモーターを回転駆動制御することで、正逆自在に回転駆動することができる。ロールチェーン、ギヤードモーター等の回転駆動手段は、周知のものである。なお、テンションロール5と駆動ロール3とを、設置場所を入れ換えて構成してもよく、その場合は、前述のロールチェーン、ギヤードモーター等の回転駆動手段も適宜設置場所が変更されてよい。第1補助ロール4、および、第2補助ロール6は、ロール昇降装置21によってテンションロール5およびピックアップロール9が同時に昇降されるときに、張架されている無端ベルト10にかかる張力調整用に補助的に用いられ、テンションロール5およびピックアップロール9が下降状態にあるときには、無端ベルト10に張架されているが、テンションロール5およびピックアップロール9が上昇状態にあるときには、無端ベルト10に張架されなくてもよいように構成されている。
【0033】
図1に示すテンションロール5およびピックアップロール9は、ロール昇降装置21によって、ピックアップロール9がワークの上昇限界地点e以上に上昇された位置にある状態を示している。なお、ワークは、上昇限界地点eに搬送されると落下するように構成されている。このとき、テンションロール5は、ピックアップロール9に連結された連結バー22によって、ピックアップロール9の上昇に連動して上昇した位置にある状態を示している。ワークの研掃中は、ピックアップロール9およびテンションロール5は、この上昇位置にある。また、図1に示すピックアップロール9’およびテンションロール5’は、ロール昇降装置21によって下降された位置にある状態を示し、この状態のときには、ワークがワーク供給ホッパー15からワーク搬送部19を介して研掃室13に搬送中であるか、または、研掃が終了し、ワークがキャビネット2後部のワーク排出口20から排出されている。ここで、例えば、ピックアップロール9だけを昇降させる構成にした場合は、ピックアップロール9の昇降によって無端ベルト10にかかる張力の変化が大きくなり、無端ベルト10の摩耗が早くなる、また、無端ベルト10が蛇行してしまう等の問題が発生する虞がある。また、ピックアップロール9と、テンションロール5とを独立した2つの昇降装置で昇降駆動させるように構成すると、2つの昇降装置の駆動タイミングがずれて無端ベルト10にかかる張力の変動が大きくなり、前述の問題が発生する虞があるし、駆動タイミングを精度良く制御して張力を一定に保持することができたとしても、昇降装置の部品点数が増加したり制御回路が複雑化したりして製造コストが嵩む虞がある。したがって、本発明のロール昇降装置21は、連結バー22によって、ピックアップロール9とテンションロール5とを一体的に同時に同一距離を昇降する構成にしたので、無端ベルト10にかかる張力を一定に保持することができ、また、詳細は後述するが、連結バー22を一つの駆動装置で昇降駆動することができる構成にしたことで、部品点数を低減し製造コストを低減することができた。なお、各ロール3〜9は、同様の構成でもよく、それぞれ、回転軸が軸通された円柱形状のロール本体部と、回転軸を支承する軸受部を備えることができる。
【0034】
図1に示す無端ベルト10は、ピックアップロール9とテンションロール5に張架された状態を示し、符号を変えて示す無端ベルト10’は、ピックアップロール9’とテンションロール5’に張架された状態を示している。ここで、ピックアップロール9とピックアップロール9’、テンションロール5とテンションロール5’、無端ベルト10と無端ベルト10’は、それぞれ、同一の構成部品であり、上昇位置にあるか、下降位置にあるかを区別するために符号を変えている。以下、図3図4図5図6図8においても、同様である。
【0035】
テークアップロール7は、キャビネット2の前端部に配設されている。駆動ロール3によりキャビネット2の後部から前部に向けて回転走行する(図1の矢印d参照。)無端ベルト10が、このテークアップロール7で折り返されて、ワーク供給ホッパー15から自動的に供給されたワークが載置されて、キャビネット2の前部から後部に向けて回転走行する(図1の矢印a,b,c参照。)。ワークが研掃室13に搬入される間は、エアーシリンダー式のシャッタードア14は開状態に制御され、ワークが研掃室13への搬入が完了すると閉状態に制御される。
【0036】
ベントロール8は、研掃室13内部であって、ワークの上昇限界地点eよりも低く、かつ、サイドディスク12と無端ベルト10との最下位置当接地点fよりも高い位置に配設される。図示するように、ベントロール8と、サイドディスク12と、上昇状態のピックアップロール9とによって、研掃室13内の無端ベルト10には、凹み、いわゆる、トラフ部11が形成されることになる。つまり、ベントロール10の配設位置は、サイドディスク12と無端ベルト10との最下位置当接地点f、および、テークアップロール7の配設位置よりも高い位置にあり、ワークが載置された無端ベルト10は、テークアップロール7から仰角を有して走行し、ベントロール8まで進むと、サイドディスク12と無端ベルト10との最下位置当接地点fに向けて俯角を有して走行することになる。もし、ベントロール10が配設されておらず、テークアップロール7と最下位置当接地点fとの間の無端ベルト10が、水平状態に構成されていたり(例えば、特許文献4の図1参照。)、あるいは、ベントロール8が配設されていたとしても、ベントロール8と最下位置当接地点fとの間の無端ベルト10が、水平状態に構成されていると、研掃室13内で撹拌ないし転動されたワークが、シャッタードア14付近、あるいは、ワーク搬送部19の方まで転がり出て研掃材の投射範囲から外れてしまい、研掃品質が劣化してしまう虞があるが、本発明では、ベントロール8を設け、研掃室13内にトラフ部11を形成したことで、ワークが研掃材の投射範囲から外れることを大幅に低減または防止することができる。
【0037】
キャビネット2の上部には、投射器16が配設されている。投射器16の主機能は、研掃材を研掃室13内のワークに投射するものである。研掃材の投射範囲は、研掃室13の大きさ等を考慮して最適に設定されている。研掃材は、前述したように、ワークに投射された後は回収されて繰り返し使用される。回収時には、研掃材以外にもワークの除去されたバリ等の塵芥も同時に回収されることがあるので、不図示のトロンメル、集塵装置等で研掃材以外の塵芥は除去されて、研掃材のみが再使用される。
【0038】
ワーク供給ホッパー15の底にはフラップドア15aが設けられ、フラップドア15aの開閉を制御して、ワーク供給ホッパー15内の所定量のワークが、ワーク搬送部19の無端ベルト10に載置される。本発明のショットブラスト装置1は、ワーク搬入から研掃を経てワーク排出までの工程を自動化して省人化することを目的の一つとしている。このため、ワーク供給ホッパー15内の残留ワークを検出するための搬入ワーク残留検出センサー23が設けられており、ワーク供給ホッパー15内の残留ワークが所定量以下であることが検知されると、搬入ワーク残留検出センサー23が検出信号を出力し、この検出信号を不図示の制御装置で信号処理して、前工程から未研掃のワークが自動的にワーク供給ホッパー15に所定量投入される。また、ワーク搬送部19(シャッタードア14より前側の無端ベルト10の露出部分。)には、未研掃ワーク残留検出センサー24が設けられ、ワーク搬送部19上に未研掃のワークが残留していることを検出するように構成されている。また、研掃室13内に研掃完了後のワークが残留した状態で、次のステップの未研掃ワークが投入されると、研掃材の投射量とワークの表面積量とのバランスが崩れて投射効果が減少するので、研掃室13内の研掃材が投射される範囲内に研掃ワーク残留検出センサー(不図示。)が設けられており、研掃室13にワークを搬入する際に、研掃室13内にワークが残留していることを検出するように構成されている。搬入ワーク残留検出センサー23、未研掃ワーク残留検出センサー24、研掃ワーク残留検出センサー等の検出信号を用いて、制御装置によりフラップドア15aの開閉が制御される。さらに、ワーク排出口20には、研掃後の排出すべきワークが残留していることを検出するために排出ワーク残留検出センサー25が設けられ、研掃後のワークが完全に排出された後に、次のステップの研掃完了ワークが排出される構成になっている。なお、上記の各センサーは、例えば、周知の光学式センサーを用いて構成することができ、異常(ワークの残留)が検出されると、制御装置によりアラーム等で警告するように構成されている。
【0039】
図2は、無端ベルト10の平面図を示し、図3は、無端ベルト10が全てのロール3〜9に張架された状態の左側面図を示している。なお、図3は、ワークの搬入、排出の状態、つまり、ピックアップロール9’とテンションロール5’とがロール昇降装置21で下降された状態である。無端ベルト10は、図2に示すように、平面視で矩形状のベルト本体部10aと、ベルト本体部10aの長手方向に所定間隔で、ベルト本体部10aと交差する方向に設けられた複数のリード突条10bと、ベルト本体部10aの全面に形成された円形の複数の貫通孔10cとを備えている。ベルト本体部10aは、環状の無端ベルトであり、環の内側に駆動ロール3、テンションロール5’、テークアップロール7、ベントロール8、ピックアップロール9’が配設され、環の外側に第1補助ロール4および第2補助ロール6が配設されており、駆動ロール3によって、通常動作時は一方向に回転走行するように構成されている。貫通孔10cは、研掃材よりも拡径でワーク(被研掃材)よりも縮径されて形成され、投射後の研掃材が通過して下方に配設された研掃材回収室26で回収されて再使用される。リード突条10bは、ワークを搬送するために設けられている。図3に示すように、ワークの搬送時(非研掃動作時)にも、ベントロール8から最下位置当接地点fに向けて俯角をなすように構成されている。このため、研掃室13内に搬送されたワークが、ワーク搬送部19側に転がり出ることが防止されている。なお、第1補助ロール4および第2補助ロール6は、ロール本体部を設けずに、回転軸と軸受部を備えた構成にして、回転軸に直接無端ベルト10を張架するように構成してもよい。
【0040】
図4は、左側面から見たロール昇降状態を示している。図4(a)は、図3と同様に、ピックアップロール9とテンションロール5とが、ロール昇降装置21(図1参照。)によって、ピックアップロール9’、テンションロール5’で示す位置に下降した状態を示す。図4(b)は、下降されたピックアップロール9’とテンションロール5’とが、ロール昇降装置21(図1等参照。)によって、ピックアップロール9、テンションロール5で示す位置に上昇した状態を示す。図4(b)では、ベントロール8、サイドディスク12、ピックアップロール9と、これらに当接する無端ベルト10とによってトラフ部11が形成されている。図4(b)において、ピックアップロール9は、ワークの上昇限界地点e以上の高さに上昇されており、研掃動作中、ワークがトラフ部11内で搬送され無端ベルト10によって上昇しても、この上昇限界地点eより上には搬送されず、トラフ部11内に落下するように構成されている。したがって、トラフ部11内に搬送されたワークは、研掃中は、トラフ部11内で転動・撹拌され、効率よく研掃材が投射される。なお、図4では、リード突条10b、貫通孔10cは不図示である。
【0041】
図5は、ロール昇降装置21の具体的な構成を示すものであり、ショットブラスト装置1の部分左側面を示している。図5では、ロール昇降装置21がピックアップロール9’およびテンションロール5’の位置に下降させた状態を示している。また、ピックアップロール9’およびテンションロール5’の下降に伴い、無端ベルト10の一部が無端ベルト10’の位置に下降している。ピックアップロール9’とテンションロール5’は、それぞれ、連結バー22の両端部に連結固定されている。連結バー22は、水平軸22aと垂直軸22bが連結されて一体形成されたいわゆるL字型の部材で構成され、水平軸22aの端部がピックアップロール9’のピックアップロール軸受部9bに連結バー押え部27で固定され、垂直軸22bの端部がテンションロール5’のテンションロール軸受部5bに連結バー押え部28で固定されている。連結バー22の水平軸22aの略中央部は、連結バー固定部29でエアーシリンダ−30のピストンロッド部30aに連結・固定されている。エアーシリンダー30は、ピストンロッド部30aを昇降駆動することができる。ピックアップロール9’のピックアップロール回転軸9cはロールスライド部31に上下方向に形成されたロールスライド溝31a内を昇降することができる。同様に、テンションロール5’のテンションロール回転軸5cはロールスライド部32に上下方向に形成されたロールスライド溝32a内を昇降することができる。連結バー22が一つのエアーシリンダー30で昇降駆動されるので、連結バー22に連結されたピックアップロール9’とテンションロール5’は、同時に同一距離を昇降することができる。したがって、昇降動作において、無端ベルト10の走行距離はほぼ一定であるので、無端ベルト10にかかる張力がほぼ一定となり、無端ベルト10の早期摩耗や不要な蛇行の虞がない。また、ピックアップロール9’とテンションロール5’の二つのロールを一つのロール昇降装置21で制御することができるので、それぞれ独立の昇降装置で制御する場合に比べ、部品点数が簡素化でき、製造コストを低減することができる。なお、エアーシリンダー30は、電動式シリンダー、油圧式シリンダー等、周知のものに代えて構成することができる。
【0042】
ここで、前述したように、無端ベルト10の全面に形成された貫通孔10cは研掃材よりも拡径され、かつ、ワークよりも縮径されて形成されているので、投射後の研掃材の多くは、貫通孔10cを通過することができる。しかしながら、一部の研掃材は、無端ベルト10の貫通孔10cが形成されていない部分や研掃中のワーク等に付着して、貫通孔10cを通過せずに研掃室13内に残留してしまう。そうすると、研掃材の回収量が予定していた量よりも少なくなってしまい、再投射する研掃材の量が予定量よりも減少する。研掃材の投射量が減少すれば、投射品質が劣化するので、予め、研掃材の未回収分を想定して、余分の研掃材を投入しておく必要があり、研掃材のコストが嵩んでしまう。このため、本発明では、無端ベルト10の振動手段を設け、無端ベルト10を振動させることで、無端ベルト10の貫通孔10cを通過せずに残留している研掃材を研掃材回収室26に落下させ、研掃材の回収効率を向上させ、余分な研掃材の投入を低減させ、研掃材のコストを低減することができるという顕著な効果を奏する。以下、無端ベルト振動手段の具体的な構成・機能等について説明する。
【0043】
第1の実施形態の無端ベルト振動手段を図6で説明する。図6(a)は、無端ベルト振動手段を備えていないピックアップロール9、および、無端ベルト振動手段を備えていないテンションロール5がロール昇降装置21によって上昇された状態を示し、この状態でワークの研掃が行われる。図6(a)のピックアップロール9は、ピックアップロール9の長手方向に沿って円柱形状に形成されたピックアップロール本体部9aと、ピックアップロール本体部9aに軸通されたピックアップロール回転軸9cを備えている。ピックアップロール本体部9aは、横断面(側面)形状が円形であり、ピックアップロール回転軸9cが、円中心(中心線L1と中心線L2との交点)にあるので、ピックアップロール9はスムーズに回転し、無端ベルト10が回転走行しても、残留研掃材が落下する程度の振動は生じない。なお、長手方向、および、縦方向は、図1の矢印で示す左右方向を意味し、短手方向、および、横方向は、図1の矢印で示す前後方向を意味する。
【0044】
そこで、第1の実施形態では、ピックアップロールを、無端ベルト振動手段を備えて構成した。まず、図6(b)に示す無端ベルト振動手段33は、ピックアップロール本体部91aと、ピックアップロール本体部91aに軸通されたピックアップロール回転軸91cと、凸部91dを備えたピックアップロール91で構成されている。なお、ピックアップロール軸受部91b(図5参照。)等も備えているが、説明および図示を省略する。ピックアップロール本体部91aは横断面(側面)形状が円形で、ピックアップロール回転軸91cがピックアップロール本体部91aの円中心91g(中心線L1と中心線L2との交点)に配設され、ピックアップロール本体部91aの外周面の一箇所に凸部91dが設けられている。凸部91dを設けたことで、無端ベルト10が回転走行するときに、無端ベルト10が凸部91dと当接している状態と、無端ベルト10が凸部91d以外のピックアップロール本体部91aの外周面に当接している状態とでは、無端ベルト10の円中心91gからの距離が変動するので、ピックアップロール91を回転させることで、無端ベルト10を回転走行させながら振動させることができる。なお、ピックアップロール91は、前述したように、円柱形状をしているので、凸部91dは、図7に示すように、円柱形状のピックアップロール本体部91aの長手方向に沿った、一本、または、複数本の突条として、ピックアップロール本体部91aの外周面に形成される。
【0045】
図6(c)に示す無端ベルト振動手段34は、ピックアップロール本体部92aと、ピックアップロール本体部92aに軸通されたピックアップロール回転軸92cとを備えたピックアップロール92で構成されている。ピックアップロール本体部92aは、横断面(側面)形状が楕円形であり、ピックアップロール回転軸92cは楕円の中心92g(中心線L3と中心線L4との交点)に配設されている。楕円形は周知のごとく、中心線L3方向の長軸の長さと、中心線L4方向の短軸の長さとが異なるので、ピックアップロール92が回転すると、ピックアップロール92の外周面に当接されて回転走行する無端ベルト10は振動することになる。
【0046】
図6(d)に示す無端ベルト振動手段35は、ピックアップロール本体部93aと、ピックアップロール本体部93aに軸通されたピックアップロール回転軸93cとを備えたピックアップロール93で構成されている。ピックアップロール本体部93aの横断面(側面)形状は円形で、前述のピックアップロール本体部9aと同じであるが、ピックアップロール回転軸93cを、ピックアップロール本体部93aの円中心93g(中心線L1と中心線L2との交点)から偏心した位置に設けて構成している。図6(e)に示す無端ベルト振動手段36は、ピックアップロール本体部94aと、ピックアップロール本体部94aに軸通されたピックアップロール回転軸94cとを備えたピックアップロール94で構成されている。ピックアップロール本体部94aの横断面(側面)形状は楕円形で、上述の無端ベルト振動手段35と同様に、ピックアップロール回転軸94cを楕円中心94g(中心線L3と中心線L4との交点)から偏心させた位置に設けて構成している。このように、ピックアップロール回転軸93c、94cを、それぞれ、円中心93g、楕円中心94gから偏心した位置に設けることでも、無端ベルト振動手段33,34と同様の効果を奏することができる。なお、無端ベルト振動手段は、上述の第1の実施形態(33〜36)の組合せでもよい。また、無端ベルト手段に用いるピックアップロール本体部の横断面(側面)形状は、円形、楕円形に限らない(例えば、長円形でもよい。)が、極端に変形した形状にして振動が大きくなりすぎて無端ベルト10の早期摩耗や蛇行が生じることがないように、形状を適宜選択することが好ましい。
【0047】
以上のように、本発明に係る第1の実施形態では、無端ベルト振動手段33〜36を設け、ワークの研掃中に無端ベルト10を振動させることで、無端ベルト10の貫通孔10cを通過せずに残留している研掃材を研掃材回収室26に落下させ、研掃材の回収効率を向上させ、余分な研掃材の投入を低減させ、研掃材のコストを低減することができる。
なお、第1の実施形態において、ワークは、上昇限界地点eに搬送されると落下されると説明したが、第1の実施形態の無端ベルト振動手段33〜36で、回転走行中の無端ベルト10を振動させることで、確実にワークをトラフ部11内に落下させ、上昇限界地点eを超えてワークが搬送されることを防止することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、無端ベルト振動手段33〜36をそれぞれピックアップロール91〜94に設け、被研掃材の研掃中の残留研掃材の回収効率を向上させるものであるが、この構成では、ピックアップロール91〜94に近い側の無端ベルト10の振動の方が、ピックアップロール91〜94に遠い側の無端ベルト10の振動よりも大きいので、第2の実施形態では、ピックアップロール91〜94に遠い側、つまり、テンションロール5にも無端ベルト振動手段を設けた構成とした。
【0049】
第2の実施形態の無端ベルト振動手段を図8で説明する。まず、図8(a)は、第1の実施形態の状態を示し、無端ベルト振動手段33〜36を備えたピックアップロール91〜94、および、無端ベルト振動手段を備えていないテンションロール5がロール昇降装置21によって上昇された状態であり、この状態でワークの研掃が行われる。図8(a)の無端ベルト振動手段33〜36については、上述の(第1の実施形態)で説明した通りである。テンションロール5は、テンションロール5の長手方向に沿って円柱形状に形成されたテンションロール本体部5aと、テンションロール本体部5aに軸通されたテンションロール回転軸5cを備えている。テンションロール本体部5aは、横断面(側面)形状が円形であり、テンションロール回転軸5cが、円中心(中心線L1と中心線L2との交点)にあるので、テンションロール5自体はスムーズに回転し、無端ベルト10に直接振動を生じさせることはできない。そして、ピックアップロール91〜94に備えられた無端ベルト振動手段33〜36から、距離が離れているので、無端ベルト振動手段33〜36で発生させた無端ベルト10の振動の大きさが、テンションロール5近傍では多少減衰されて、テンションロール5近傍の無端ベルト手段10の貫通孔10c、または、無端ベルト手段10上に、上方から落下してきた研掃材が付着する場合がある。なお、長手方向、および、縦方向は、図1の矢印で示す左右方向を意味し、短手方向、および、横方向は、図1の矢印で示す前後方向を意味する。
【0050】
そこで、第2の実施形態では、テンションロールを、無端ベルト振動手段を備えて構成した。まず、図8(b)に示す無端ベルト振動手段63は、テンションロール本体部51aと、テンションロール本体部51aに軸通されたテンションロール回転軸51cと、凸部51dを備えたテンションロール51で構成されている。なお、テンションロール軸受部51b(図5参照。)等も備えているが、説明および図示を省略する。テンションロール本体部51aは横断面(側面)形状が円形で、テンション回転軸51cがテンションロール本体部51aの円中心51g(中心線L1と中心線L2との交点)にあり、テンションロール本体部51aの外周面の一箇所に凸部51dが設けられている。凸部51dを設けたことで、無端ベルト10が回転走行するときに、無端ベルト10が凸部51dと当接している状態と、無端ベルト10が凸部51d以外のテンションロール本体部51aの外周面に当接している状態とでは、無端ベルト10の円中心51gからの距離が変動するので、テンションロール51を回転させることで、無端ベルト10を回転走行させながら振動させることができる。なお、テンションロール51は、円柱形状をしているので、凸部51dは、図9に示すように、円柱形状のテンションロール本体部51aの長手方向に沿った、一本、または、複数本の突条として、テンションロール本体部51aの外周面に形成される。
【0051】
図8(c)に示す無端ベルト振動手段64は、テンションロール本体部52aと、テンションロール本体部52aに軸通されたテンションロール回転軸52cとを備えたテンションロール52で構成されている。テンションロール本体部52aは、横断面(側面)形状が楕円形であり、テンションロール回転軸52cは楕円の中心52g(中心線L3と中心線L4との交点)にある。楕円形は周知のごとく、中心線L3方向の長軸の長さと、中心線L4方向の短軸の長さとが異なるので、テンションロール52が回転すると、テンションロール52の外周面に当接されて回転走行する無端ベルト10は振動することになる。
【0052】
図8(d)に示す無端ベルト振動手段65は、テンションロール本体部53aと、テンションロール本体部53aに軸通されたテンションロール回転軸53cとを備えたテンションロール53で構成されている。テンションロール本体部53aの横断面(側面)形状は円形で、前述のテンションロール本体部5aと同じであるが、テンションロール回転軸53cを、テンションロール本体部53aの円中心53g(中心線L1と中心線L2との交点)から偏心した位置に設けて構成している。図8(e)に示す無端ベルト振動手段66は、テンションロール本体部54aと、テンションロール本体部54aに軸通されたテンションロール回転軸54cとを備えたテンションロール54で構成されている。テンションロール本体部54aの横断面(側面)形状は楕円形で、上述の無端ベルト振動手段65と同様に、テンションロール回転軸54cを楕円中心54g(中心線L3と中心線L4との交点)から偏心させた位置に設けて構成している。このように、テンションロール回転軸53c、54cを、それぞれ、円中心53g、楕円中心54gから偏心した位置に設けることでも、無端ベルト振動手段63,64と同様の効果を奏することができる。なお、無端ベルト振動手段は、上述の第2の実施形態(63〜66)の組合せでもよい。また、無端ベルト手段に用いるテンションロール本体部の横断面(側面)形状は、円形、楕円形に限らない(例えば、長円形でもよい。)が、極端に変形した形状にして振動が大きくなりすぎて無端ベルト10の早期摩耗や蛇行が生じることがないように、形状を適宜選択することが好ましい。
【0053】
以上のように、本発明に係る第2の実施形態では、第1実施形態の無端ベルト振動手段33〜36に加え、さらに、無端ベルト振動手段63〜66を設け、ワークの研掃中、または、非研掃中(例えば、ワークの搬入・排出中。)に無端ベルト10を振動させることで、テンションロール51〜54近傍の無端ベルト10の貫通孔10cを通過せずに残留している残留研掃材を確実に落下させて、研掃材の回収効率をより向上することができ、余分な研掃材の投入をより低減させ、研掃材のコストをより低減することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ショットブラスト装置
2 キャビネット
3 駆動ロール
4 第1補助ロール
5,51,52,53,54 テンションロール
5a,51a,52a,53a,54a テンションロール本体部
5c,51c,52c,53c,54c テンションロール回転軸
6 第2補助ロール
7 テークアップロール
8 ベントロール
9,9’,91,92,93,94 ピックアップロール
9a,91a,92a,93a,94a ピックアップロール本体部
9b ピックアップロールの軸受部
9c,91c,92c,93c,94c ピックアップロール回転軸
9g,91g,92g,93g,94g ピックアップロール本体部の中心
10,10’ 無端ベルト
10a ベルト本体部
10b リード突条
10c 貫通孔
11 トラフ部
12 サイドディスク
13 研掃室
14 シャッタードア
15 ワーク供給ホッパー
15a フラップドア
16 投射器
18 エレベータースクリュー
19 ワーク搬送部
20 ワーク排出口
21 ロール昇降装置
22 連結バー
22a 水平軸
22b 垂直軸
23 搬入ワーク残留検出センサー
24 未研掃ワーク残留検出センサー
25 排出ワーク残留検出センサー
26 研掃材回収室
27,28 連結バー押え部
29 連結バー固定部
30 エアーシリンダ−
30a ピストンロッド部
31,32 ロールスライド部
31a,32a ロールスライド溝
33,34,35,36,63,64,65,66 無端ベルト振動手段
51d,91d 凸部
a,b,c,d 矢印
e 上昇限界地点
f 最下位置当接地点
L1,L2,L3,L4 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9