特開2018-158938(P2018-158938A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-1589382−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの調製に使用するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-158938(P2018-158938A)
(43)【公開日】2018年10月11日
(54)【発明の名称】2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの調製に使用するための組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 21/04 20060101AFI20180914BHJP
   C07C 21/18 20060101ALN20180914BHJP
   C07C 17/20 20060101ALN20180914BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180914BHJP
【FI】
   C07C21/04
   C07C21/18
   C07C17/20
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-115340(P2018-115340)
(22)【出願日】2018年6月18日
(62)【分割の表示】特願2014-535866(P2014-535866)の分割
【原出願日】2012年10月11日
(31)【優先権主張番号】61/547,169
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/547,249
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】506227116
【氏名又は名称】ハニーウェル インターナショナル,インコーポレイティド
(71)【出願人】
【識別番号】514094036
【氏名又は名称】マリオ ジョセフ ナッパ
(71)【出願人】
【識別番号】514094047
【氏名又は名称】スン シュエフイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルマ ベクテセヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シー.メルケル
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ジョセフ ナッパ
(72)【発明者】
【氏名】スン シュエフイ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ ソン タン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ハイヨウ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC30
4H006BA14
4H006BA30
4H006BA37
4H006BE01
4H039CA50
4H039CD10
4H039CD20
(57)【要約】
【課題】2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの調製に使用するための組成物の提供
【解決手段】フッ素化剤との反応により2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを調製するのに使用するための組成物であって、組成物は、不純物を実質的に含まない1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含み、不純物は、イオン性金属、または1,1,2,3−テトラクロロプロペン以外の1種または複数種の有機化合物を含み、1種または複数種の有機化合物は、ヘキサクロロエテン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ジクロロプロペン、トリクロロプロパン、ヘキサクロロヘキサジエン、トリクロロプロペン、ペンタクロロプロペン、ジクロロブテン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、組成物は、0.9モル%未満の不純物を含むことを特徴とする組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化剤との反応により2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを調製するのに使用するための組成物であって、
前記組成物は、不純物を実質的に含まない1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含み、
前記不純物は、イオン性金属、または1,1,2,3−テトラクロロプロペン以外の1種または複数種の有機化合物を含み、
前記1種または複数種の有機化合物は、ヘキサクロロエテン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ジクロロプロペン、トリクロロプロパン、ヘキサクロロヘキサジエン、トリクロロプロペン、ペンタクロロプロペン、ジクロロブテン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、および
前記組成物は、0.9モル%未満の不純物を含む
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
0.5モル%未満の不純物を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
0.2モル%未満の不純物を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記1種または複数種の有機化合物は、それぞれ独立的に1000ppm未満の量で存在することを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記1種または複数種の有機化合物は、組成物の0.5質量%未満の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記イオン性金属は鉄であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記不純物は、前記組成物中に100ppm未満の量で存在する鉄であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記不純物は、前記1種または複数種の有機化合物であり、前記有機化合物は、それぞれ独立的に500ppm未満の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機化合物は、それぞれ独立的に200ppm未満の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記フッ素化剤はHFであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
フッ素化触媒は、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガン、ニッケル、および鉄の、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
触媒は、クロム酸化物またはフッ素化されたクロム酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記クロム酸化物は、60m2/gから400m2/gの範囲内の表面積を有することを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記クロム酸化物は、100m2/gから300m2/gの範囲内の表面積を有することを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
触媒は、Cr23、FeCl3/C、Cr23/Al23、Cr23/AlF3、Cr23/炭素、CoCl2/Cr23/Al23、NiCl2/Cr23/Al23、CoCl2/AlF3、NiCl2/AlF3、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
触媒は、結晶性クロム酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
触媒は、無水クロム酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
触媒は、活性化されたクロム酸化物ゲル触媒であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素化された有機化合物を調製するための方法、より具体的にはフッ素化されたオレフィン類を調製するための方法、さらにより詳細には、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、ともに2011年10月14日に出願された米国特許仮出願第61/547249号および第61/547169号の優先権を主張する。それら出願の内容は、参照により本明細書の一部をなすものとする。
【0003】
オゾン破壊性のクロロフルオロカーボン類(FC類)およびヒドロクロロフルオロカーボン類(HCFC類)を段階的に削減させるモントリオール議定書の結果、過去数十年間にわたって、産業界は代替冷媒を見いだすための努力をしてきた。溶媒、発泡剤、洗浄剤、エアロゾル噴射剤、熱交換媒体、誘電体、消火剤およびパワーサイクル作動流体のような種々の製品における新規のヒドロフルオロカーボン類の使用は、ヒドロフルオロカーボン類を相当な関心の対象としてきた。なぜなら、特に、それらが、減少した地球温暖化係数(GWP)および減少したオゾン層破壊係数(ODP)を有するからである。有望なヒドロカーボン類は、ヒドロフルオロオレフィン類を含む。
【0004】
今や、テトラフルオロプロペン類(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む)のようなヒドロフルオロオレフィン類(HFO類)は、有効な冷媒、消火剤、熱交換媒体、噴射剤、発泡剤、膨張剤、気体状誘電体、滅菌剤キャリア、重合媒体、微粒子除去流体、キャリア流体、バフ磨き研磨剤、置換乾燥剤、およびパワーサイクル作動流体であることが知られている。ともに地球のオゾン層に潜在的に損害を与える、クロロフルオロカーボン類(CFC類)およびヒドロクロロフルオロカーボン類(HCFC類)とは異なり、HFO類は、塩素を含まず、したがって、オゾン層に対して脅威を与えない。特に、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yfまたは1234yf)は、ODPがゼロであり、かつ低いGWPを有する好適な化合物であると確認されている。また、HFO−1234yfは、低い毒性を有する、地球温暖化効果の小さい化合物であり、したがって、自動車用空調における冷媒のますます厳しくなる要求を満たすことができる。したがって、HFO−1234yfを含む組成物は、中でも、前述の用途の多くにおける使用のために開発されている材料である。
【0005】
HFO−1234yfを含むHFO類を調製するいくつかの方法が知られている。たとえば、米国特許第4,900,874号明細書(Ihara他)は、フッ素化されたアルコール類に水素ガスを接触させることによって、フッ素を含有するオレフィン類を製造する方法を記載している(特許文献1参照)。この方法は、比較的高い収率のプロセスであるようだが、高温の水素ガスの商業スケールでの取り扱いが危険である。同様に、現場での水素プラントの建設のような、水素ガスを商業的に製造する費用が、経済的に高価である。
【0006】
米国特許第2,931,840号明細書(Marquis)は、塩化メチルと、テトラフロロエチレンまたはクロロジフルオロメタンとの熱分解により、フッ素を含有するオレフィンを製造する方法を記載している(特許文献2参照)。このプロセスは、比較的低い収率のプロセスであり、かつ、非常に高いパーセンテージの有機出発材料が、所望ではない副生成物および/または重要ではない副生成物に変換される。副生成物は、本方法において用いられる触媒を失活させる傾向にある相当な量のカーボンブラックを含む、
【0007】
トリフルオロアセチルアセトンおよび4フッ化硫黄からのHFO−1234yfの調製が記載されている(Banksら、Journal of Fluorine Chemistry, Vol. 82, Iss. 2, pp. 171-174(1997)を参照、非特許文献1参照)。同様に、米国特許第5,162,594号明細書(Krespan)は、テトラフルオロエチレンを別のフッ素化されたエチレンと液相中で反応させて、ポリフルオロオレフィン生成物を製造するプロセスを開示している(特許文献3参照)。
【0008】
HFO−1234yfを製造する1つのプロセスは、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HFO−1230xaまたは1230xa)を出発材料として使用する。方法において、HCO−1230xaを、フッ化水素(HF)の存在下、触媒的に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)に変換することができる。次いで、HCFO−1233xfは、HFO−1234yfに変換することができる。HFO−1234yfを調製するそのような1つのプロセスは、米国特許出願公開第2007/0097842号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書の一部をなすものとする(特許文献4参照)。HFO−1234yfを製造するプロセスは、米国特許第8,058,486号明細書および米国特許第8,084,653号明細書にも記載されており、その内容は参照により本明細書の一部をなすものとする(特許文献5および6参照)。
【0009】
HCO−1230xaからHCFO−1233xfへの触媒的変換において発見される1つの主要な問題点は、触媒の分解および/または失活である。何ら限定することを望むわけではないが、触媒の分解およびまたは失活には、反応器内での重合またはコーキングを含む、いくつかの要因が寄与していると信じられる。この問題点に対処するために、多くの試みがなされてきた。
【0010】
米国特許出願公開第2009/0030244号明細書は、重合およびコーキングを防止するための安定剤の使用を開示している(特許文献7参照)。安定剤の使用は、安定剤の不在の下で実施される触媒反応と比較して、触媒性能を向上させることが示されている。
【0011】
米国特許出願公開第2011/0155942号明細書は、重合を抑制し触媒の寿命を延長させるための重合禁止剤の使用を開示している(特許文献8参照)。加えて、反応器に酸素を供給して、触媒の寿命を延長している。たとえば、重合禁止剤の存在下、HCO−1230xaの転化率は、触媒の失活のため、100時間にわたる連続運転後には、約99%から約50%まで低下する。酸素の存在下では、HCO−1230xaの転化率は、18時間以内に、約99%から約50%まで低下する。
【0012】
触媒の不在の下でHCFO−1233xfを調製することによって触媒の分解および/または失活を回避する別の方法が、国際公開第2010/123148号に開示されている(特許文献9参照)。しかしながら、このプロセスは、カーバイド残渣による反応器の詰まりをもたらす。カーバイド残渣を除去するために、反応剤とともに酸素を系内に導入するか、または系を通して酸素が流れさせるように反応を停止させる。
【0013】
触媒寿命を延長するための重合禁止剤および供給酸素の使用が提案されているものの、これらの方法は、他の潜在的な問題点をもたらすと信じられる。重合禁止剤は、反応条件下で低い揮発性を有し、下流方向への流れに重合禁止剤が詰まる恐れがある。この重合禁止剤の堆積は、堆積を除去することを可能にするための、より長い反応器のダウンタイムを要求する恐れがある。供給酸素の使用は、生成物の精製をより困難にすることに加えて、触媒活性そのものを低下させる恐れがある。したがって、重合禁止剤または供給酸素の使用は、反応の有効性に影響する他の問題点を呈する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,900,874号明細書
【特許文献2】米国特許第2,931,840号明細書
【特許文献3】米国特許第5,162,594号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/097842号明細書
【特許文献5】米国特許第8,058,486号明細書
【特許文献6】米国特許第8,084,653号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0030244号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2011/0155942号明細書
【特許文献9】国際公開第2010/123148号
【特許文献10】米国特許第5,155,082号明細書
【特許文献11】米国特許第3,258,500号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2007/0197842号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Banksら、Journal of Fluorine Chemistry, Vol. 82, Iss. 2, pp. 171-174(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、前述の問題点を回避しながら、HFO−1234yfのようなヒドロフルオロオレフィン類を製造するための経済的な手段に対する要求が存在する。特に、本発明は、この要求を満足する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、部分的には、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)のようなHFO類の製造に用いられる気化された出発供給流または中間体供給流中の不純物の存在が、HFO製造プロセスに用いられる触媒の不安定性および失活をもたらすことができるという驚くべき発見に関する。したがって、1つの態様において、本発明は、供給流から不純物を実質的に除去して、触媒寿命を延長し、反応効率を改善するための1つまたは複数のプロセス工程を提供する。
【0018】
1つの態様において、本発明は、フルオロオレフィンを調製するための供給原料に関し、該供給原料は、不純物を実質的に含まない1,1,2,3−テトラクロロプロペンの組成物を含む。そのような不純物は、イオン性金属および1,1,2,3−テトラクロロプロペン以外の有機化合物を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。イオン性金属の1つの非制限的な例は、鉄である。そのような不純物が組成物中に約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、または約10ppm未満の量で存在する場合、1,1,2,3−テトラクロロプロペンの組成物は、イオン性金属、特に鉄を実質的に含まない。
【0019】
別の非制限的な実施形態において、1,1,2,3−テトラクロロプロペン以外の1種または複数種の有機化合物は、ヘキサクロロエタン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ジクロロプロペン、トリクロロプロペン、ペンタクロロプロペン、またはジクロロブテンの1つまたは組み合わせを含む。それら有機化合物の1つまたは全てが組成物中に1000ppm未満、500ppm未満、200ppm未満、または100ppm未満の量で存在する場合、組成物はそれら不純物を実質的に含まない。あるいはまた、総量として、1種または複数種の有機化合物が、組成物の0.5%(w/w)未満、組成物の0.3%(w/w)未満、または組成物の0.1%(w/w)未満で提供される場合、組成物はそれら不純物を実質的に含まない。
【0020】
別の態様において、本発明は、1,1,2,3−テトラクロロプロペン供給原料の不純物含有量を減少させる方法に関し、該方法は、1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む組成物を提供する工程と、組成物の不純物含有量を減少させて、不純物が実質的に含まないようにする工程とを含む。不純物含有量は、当該技術において知られている任意の標準的方法を用いて減少させてもよい。該標準的方法は、蒸留を含むが、それに限定されるものではない。該蒸留は、蒸留により1,1,2,3−テトラクロロプロペンが出発組成物から分離される分別蒸留を含むが、それに限定されるものではない。1,1,2,3−テトラクロロプロペンを精製するための別の方法は、クロマトグラフィーにかける工程を含む。クロマトグラフィーは、カラムクロマトグラフィーおよびHPLCを含むが、それらに限定されるものではない、
【0021】
別の態様において、本発明は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを調製するプロセスに関し、該プロセスは、式Iを有する少なくとも1つの化合物を含む出発組成物を提供する工程であって、
CX2=CCl−CH2X (I)
Xは、すくなくとも1つのXがフッ素ではないことを条件として、F、Cl、BrおよびIから独立的に選択され、出発組成物は不純物を実質的に含まない工程と、前記出発組成物をフッ素化剤と接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む最終組成物を製造する工程とによる。ある実施形態において、式Iを有する少なくとも1つの化合物は、少なくとも1つのXが塩素である。さらなる実施形態において、式Iを有する少なくとも1つの化合物は、それぞれのXの位置に塩素を有する。さらに別の実施形態において、式Iを有する少なくとも1つの化合物は、1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む。
【0022】
出発組成物をフッ素化剤と接触させる工程は、触媒の存在下で実施してもよい。1つの態様において、接触工程を、気相触媒の存在下または不存在下で、気相で実施する。そのような反応に用いる気相触媒は、クロム酸化物、クロム水酸化物、クロムハロゲン化物、クロムオキシハロゲン化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物、アルミニウムハロゲン化物、アルミニウムオキシハロゲン化物、コバルト酸化物、コバルト水酸化物、コバルトハロゲン化物、コバルトオキシハロゲン化物、マンガン酸化物、マンガン水酸化物、マンガンハロゲン化物、マンガンオキシハロゲン化物、ニッケル酸化物、ニッケル水酸化物、ニッケルハロゲン化物、ニッケルオキシハロゲン化物、鉄酸化物、鉄水酸化物、鉄ハロゲン化物、鉄オキシハロゲン化物、それらの無機塩、それらのフッ素化誘導体、およびそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、触媒は、Cr23(これに限定されるものではない)のようなクロム酸化物を含む。
【0023】
本発明の別の態様は、GC FID面積で測定される1%未満の不純物を含むHCO−1230xaを提供する工程を含むプロセスに関する。
【0024】
本発明の別の態様は、GC FID面積で測定される1%未満の不純物を含むHCO−1230xaを提供する工程、およびHCFO−1233xfを生成するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCO−1230xaをフッ化水素と接触させる工程に関する。
【0025】
別の実施形態は、HCO−1230xaを連続的に提供する工程であって、GC FIDによるガスクロマトグラフにおける不純物の面積(すなわち、炎イオン化検出を伴うガスクロマトグラフィー、「GC FID面積」)によって測定される際に、HCO−1230xaが約1%未満の不純物を含む工程と、少なくとも100時間にわたってHCFO−1233xfを連続的に生成し、かつ少なくとも90%(w/w)のHCO−1230xaが反応するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCO−1230xaをフッ化水素と接触させる工程であって、HCO−1230xaのフッ化水素との接触は重合禁止剤の不存在下で実施される工程とを含む。
【0026】
本発明の別の態様は、GC面積で測定される際に1%未満の不純物を含むHCO−1230xaを提供する工程と、HCFO−1233xfを生成するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCO−1230xaをフッ化水素と接触させる工程と、HFO−1234yfを生成するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCFO−1233xfをフッ化水素と接触させる工程とを含む。
【0027】
本発明の別の態様は、GC面積で測定される際に0.95モル%未満の不純物を含むHCO−1230xaを提供する工程を含むプロセスに関する。
【0028】
本発明の別の態様は、GC面積で測定される際に0.95モル%未満の不純物を含むHCO−1230xaを提供する工程と、HCFO−1233xfを生成するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCO−1230xaをフッ化水素と接触させる工程とに関する。
【0029】
別の実施形態は、HCO−1230xaを連続的に提供する工程であって、HCO−1230xaは、GC面積で測定される際に0.95モル%未満の不純物を含む工程と、少なくとも100時間にわたってHCFO−1233xfを連続的に生成し、かつ少なくとも90%(w/w)のHCO−1230xaが反応するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCO−1230xaをフッ化水素と接触させる工程であって、HCO−1230xaのフッ化水素との接触は重合禁止剤の不存在下で実施される工程とを含む。
【0030】
本発明の別の態様は、GC面積で測定される際に0.95モル%未満の不純物を含むHCO−1230xaを提供する工程と、HCFO−1233xfを生成するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCO−1230xaをフッ化水素と接触させる工程と、HFO−1234yfを生成するのに充分な条件下、触媒の存在下、気相中でHCFO−1233xfをフッ化水素と接触させる工程とを含む。
【0031】
さらに別の実施形態において、本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンを調製するプロセスに関し、該プロセスは、
a. 式Iを有する化合物を含む出発組成物を提供する工程であって、
CX2=CCl−CH2X (I)
Xは、すくなくとも1つのXがフッ素ではないことを条件として、F、Cl、BrおよびIから独立的に選択され、出発組成物は不純物を実質的に含まない工程と、
b. 出発組成物を第1のフッ素化剤と接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよび第1の塩素含有副生成物を含む第1の中間体組成物を製造する工程と、
c. 第1の中間体組成物を第2のフッ素化剤と接触させて、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンを含む第2の中間体組成物を製造する工程と、
d. 2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンの少なくとも一部を脱塩化水素化して、2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンを含む反応生成物を製造する工程と
による。
【0032】
本発明のさらなる実施形態および利点は、本明細書の開示内容に基づいて、当業者にとって明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本明細書の実施例3の手順に従って実施されるプロセスから得られる、生成されるHCFO−1233xfおよび残存するHCO−1230xaのモルパーセンテージを、時間の関数として示すグラフである。
図2】実施例4の手順に従って実施されるプロセスから得られる、生成されるHCFO−1233xfおよび残存するHCO−1230xaのモルパーセンテージを、時間の関数として示すグラフである。
図3】実施例5の手順に従って実施されるプロセスから得られる、生成されるHCFO−1233xfおよび残存するHCO−1230xaのモルパーセンテージを、時間の関数として示すグラフである。
図4】実施例6の手順に従って実施されるプロセスから得られる、生成されるHCFO−1233xfおよび残存するHCO−1230xaのモルパーセンテージを、時間の関数として示すグラフである。
図5】実施例3および4の手順に従って実施されるプロセスから得られる、HCO−1230xaの転化パーセンテージを、時間の関数として示すグラフである。
図6】実施例5および6の手順に従ってプロセスを実施した際に、55時間にわたるHCO−1230xaの転化パーセンテージを示すグラフである。
図7】実施例5および6の手順に従ってプロセスを実施した際に、160時間にわたるHCO−1230xaの転化パーセンテージを示すグラフである。
図8】実施例8の手順に従って実施されるプロセスから得られる、28時間にわたる生成物流中のHCFO−1233xfのモルパーセンテージを、時間の関数として示すグラフである。
図9】実施例8の手順に従ってプロセスを実施した後に、生成物流中に存在する未反応のHCO−1230xaの量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の記載、添付の特許請求の範囲および付随する図面によってより良好に理解されるであろう。
【0035】
特に反する記載のない限りにおいて、以下の用語を次のように定義する。
【0036】
本明細書で用いられる際に、「クロム酸化物触媒」の用語およびその変形は、フッ素化反応を触媒することができるクロム酸化物触媒を意味する。たとえば、クロム酸化物触媒は、HCFO−1233xfを生成するHCO−1230xaのフッ素化を触媒する。クロム酸化物触媒は、たとえば、クロム酸化物触媒、または式Cr2xy(式中、x+y/2=3、xは0、1,2または3の整数であり、yは0、1、2、3、4、5または6の整数である)で表わされるクロムオキシフッ化物を含んでもよい。また、クロムは、2、4、5または6のようなクロム(III)以外の酸化状態で存在してもよい。
【0037】
本明細書で用いられる際に、「不純物」の用語は、触媒安定性または運転能力(たとえば、閉塞または腐食)のような、HCFO−1233xfを形成するための本明細書に記載のプロセス全般に否定的な影響を与える任意の成分(たとえば、水分を除く、有機化合物またはイオン性金属)を表す。存在する不純物の量は、%不純物、ppm、w/w、またはモル%のいずれかで定量される。それは、所望される成分の乾燥量に対する不純物の乾燥量を意味する。%不純物は、既知の手順に従ってガスクロマトグラフにおいて%単位で測定される不純物の量として表わすことができる。不純物をppmで参照する際には、特に反する記載がない限りにおいて、組成物に対する百万分率で表わされる不純物の量を意味する。不純物が%(w/w)で表わされているとみなされる場合、不純物は、出発組成物の重量パーセンテージにおいて存在することを意味する。モル%で記載された場合、これは、出発物質中に存在するHCO−1230xaのモルパーセンテージに対するモル%の不純物が存在するものとして、不純物が記載されていることを意味する。たとえば、約1%未満の不純物を含むHCO−1230xaは、約1%未満の乾燥量のHCO−1230xa以外の任意の化合物を含み、パーセンテージは、当該技術において知られている方法に従うガスクロマトグラフ(GC)のトレースの面積として測定される。HCO−1230xaが1ppm未満または1%(w/w)未満を含むと記載される場合、これは、HCO−1230xa以外の化合物の量が、出発組成物の1百万分率または1重量%の乾燥量で存在することを意味する。あるいはまた、HCO−1230xaが0.1モル%を含むと記載される場合、これは、百万分率または重量のHCO−1230xa以外の任意の化合物を有する出発組成物中に存在するHCO−1230xaのモル%に対して、乾燥量におけるHCO−1230xa以外の不純物のモル%を意味する。
【0038】
本明細書で定義される際に、水分が不純物の規定に含まれない点に注意する。HCO−1230xaからHCFO−1233xfへのフッ素化反応における水分の影響は、国際特許出願第PCT/US2012/058152号(本出願人の整理番号:29210)に記載されており、その内容は参照により本明細書の一部をなすものとする。
【0039】
本明細書で用いられる際に、「重合禁止剤」または「安定剤」は、反応器内での反応剤の重合を防止する化合物を意味する。重合禁止剤は、p−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、d−リモネン、キニン類(quinines)、ヒドロキノン類、アミン類、およびそれらの混合物のような化合物を含む。他の重合禁止剤は、当業者に知られている。
【0040】
「供給酸素」およびその変形は、ヒドロフルオロオレフィンの製造中に反応器に添加される酸素を意味する。酸素は、純酸素、不活性ガスと混合された酸素、または空気中に存在する酸素の形態であってもよい。供給酸素は、反応剤とともに提供されてもよいし、反応器に別途添加されてもよい。供給酸素の不在は、反応器中の酸素の存在を排除しない。供給酸素の不在は、追加の酸素が反応器に供給されないことを意味する。
【0041】
本明細書において、「分解」および「失活」の用語は、触媒がプロセスを進行させる能力の減少を表すために用いられる。分解および失活は、たとえば、出発生成物の転化率(たとえば、時間の関数としてどれだけの量の出発材料が消費されるか)によって、または時間経過による所望される生成物の形成によって、測定されてもよい。たとえば、HCO−1230xaがHCFO−1233xfへと転化されるプロセスにおいて、触媒の分解および/または失活は、時間経過によって転化されるHCO−1230xaのパーセンテージを測定することによって、または時間経過によって生成されるHCFO−1233xfの量を測定することによって観察することができる。当業者は、同様に触媒の分解および/または失活を決定するのに他の指標を用いることもできることを認識するであろう。
【0042】
本明細書で用いられる際に、「フルオロオレフィン」の用語は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンのようなフルオロオレフィンを調製する方法の中間体として有用なフロロクロロオレフィンに加えて、冷媒として有用な少なくとも1つのフルオロ置換基を含むアルケン(2,3,3,3−テトラフルオロプロペンのようなもの)を意味する。
【0043】
本明細書において用いられる際に、「または」は、包含的な「または」を意味し、たとえば、ZはAまたはBであるという語句は、ZがAまたはBのいずれか、あるいはAおよびBの両方であることを意味する。
【0044】
同様に、本明細書に記載される複数の要素および成分を記載するために「a」または「an」を用いている。これは、単に、便宜上、および本発明の範囲の一般的意味を与えるために行われている。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むと解釈すべきである。さらに、別の意味を有することが明白である場合を除いて、単数は複数を含み、逆に複数は単数を含む。
【0045】
別の定義がなされていない限りにおいて、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野の通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同義を有する。本明細書に記載されるものと同等または等価な方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料を後述する。本明細書にて言及される全ての出版物、特許公開、特許および他の参考文献は、特定の記載を引用しない限り、その全体が本明細書の一部をなすものとする。矛盾が発生する場合には、定義を含めて本明細書の内容が優先する。
【0046】
1つの実施形態によれば、本発明は、式Iの出発材料を用いて2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンを作製する製造方法を含み、
CX2=CCl−CH2X (I)
式中、Xは、すくなくとも1つのXがフッ素ではないことを条件として、F、Cl、BrおよびIから独立的に選択される。ある実施形態において、式Iの化合物は、少なくとも1つの塩素を含むか、Xの大部分が塩素であるか、または全てのXが塩素である。ある実施形態において、式Iの化合物は、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(1230xa)を含む。
【0047】
方法は、一般的に少なくとも3つの反応工程を含む。第1の工程において、式Iの出発組成物(1,1,2,3−テトラクロロプロペンのようなもの)は、第1の気相反応器(フッ素化反応器)中で無水HFと反応して、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)およびHClの混合物を生成する。ある実施形態において、反応は、気相触媒(フッ素化されたクロム酸化物のようなものであるが、それに限定されるものではない)の存在下、気相中で起こる。触媒は、触媒の状態に依存して、使用前に無水フッ化水素HF(フッ化水素ガス)で活性化する必要があってもよいし、なくてもよい。
【0048】
フッ素化されたクロム酸化物が気相触媒として開示されているが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。当該技術において知られている任意のフッ素化触媒を、この方法に用いることができる。好適な触媒は、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガン、ニッケルおよび鉄の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、それらの無機塩、および、それらの混合物を含むが、それらに限定されるものではなく、ならびに、それらの任意のものは、任意選択的にフッ素化されていてもよい。1つの実施形態において、触媒は、たとえばCr23のようなクロム酸化物である。共触媒が存在してもよい。本発明に好適な触媒の組み合わせは、非排他的に、Cr23、FeCl3/C、Cr23/Al23、Cr23/A1F3、Cr23/炭素、CoCl2/Cr23/Al23、NiCl2/Cr23/Al23、CoCl2/AlF3、NiCl2/AlF3、およびそれらの混合物を含む。1つの実施形態において、クロム酸化物は、フッ素化反応のための共触媒とともに存在する。クロム酸化物/アルミニウム酸化物触媒は、参照により本明細書の一部をなすものとする、米国特許第5,155,082号明細書に記載されている(特許文献10参照)。また、クロム触媒は、参照によりその内容は本明細書の一部をなすものとする、米国特許第3,258,500号明細書に記載されている(特許文献11参照)。別の実施形態において、結晶性クロム酸化物または非晶質クロム酸化物のようなクロム(III)酸化物を触媒として用いる。一方、本発明の別の態様において、フッ素化工程の触媒は、非晶質クロム酸化物である。第1のフッ素化工程に用いられる1つのクロム酸化物触媒は、米国特許第3,258,500号明細書に記載される、活性化されたクロム酸化物ゲル触媒である(特許文献11参照)。クロム酸化物(Cr23)は、種々の粒径において購入することができる、商業的に入手可能な材料である。
【0049】
クロム酸化物触媒は、大表面積クロム酸化物であってもよい。少なくとも1つの実施形態において、クロム酸化物触媒は、少なくとも60m2/gの表面積を有する。別の実施形態において、クロム酸化物触媒は、少なくとも100m2/gの表面積を有してもよい。少なくとも1つの実施形態において、クロム酸化物触媒の表面積は、約60m2/gから約400m2/gの範囲内で変動してもよく、別の実施形態においては約100m2/gから約300m2/gの範囲内で変動してもよい。他のクロム酸化物触媒は、これらの例よりも大きいまたは小さい表面積を有してもよい。
【0050】
少なくとも98%の純度を有するフッ素化触媒が好ましい。フッ素化触媒は、過剰に、しかし、少なくとも反応を進行させるのに充分な量で存在する。
【0051】
反応の前に、特に式Iの化合物が1230xaである場合、式Iの化合物を最初に精製して、不純物を実質的に含まない出発供給流を形成する。驚くべきことには、1230xaから1233xfへのフッ素化中に、反応器供給物、特に1230xa供給原料中の少量の特定の不純物でさえ、(a)フッ素化触媒の安定性および(b)得られる反応生成物流に著しい負の影響を有することが見いだされた。したがって、本発明は、少なくとも部分的には、触媒安定性を向上させる方法に関する。
【0052】
本明細書で用いられる際に、「不純物(単数)」または「不純物(複数)」の用語は、フッ素化触媒の安定性に干渉するか、そうではないにせよ、1230xaから1233xfへの転化速度および/または選択性を低下させる1230xa流中の全ての化学化合物、特にハロカーボン系の化合物を含む。これら不純物の非制限的な例は、Feのようなイオン性金属、トリクロロプロパン、ジクロロプロパン、モノクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ジクロロプロペン、トリクロロプロペン、ペンタクロロプロペン、ヘキサクロロヘキサジエン、ジクロロブテンなどのような塩素化アルカン類または塩素化アルケン類(低級塩化物(underchlorinates)と総称される)を含む。理論に拘束されることを意図するものではないが、それらに限定されるものではないがヘキサクロロエタン、テトラクロロプロパン、ジクロロプロペンおよびトリクロロプロペンのような、5個以下未満の塩素原子を含む3炭素アルカン類、および/または4個未満の塩素原子を含む3炭素アルケン類、および/または4個以下の塩素原子を含む2炭素アルカン類、および/または3個以下の塩素原子を含む2炭素アルケン類は、特に望ましくない。なぜなら、それらは反応器中でオリゴマーを形成するか、および/または触媒表面に堆積する傾向があり、結果として、プロセスに用いられる触媒の分解および/または失活に寄与するからである。加えて、またはその結果として、HCO−1230xaからHCFO−1233xfへの転化の量が減少する。したがって、本発明は、少なくとも部分的には、転化プロセスにおいて高純度の供給物を用いることによりフッ素化触媒の安定性を改善する方法、および、反応効率を改善する方法に関する。
【0053】
本明細書において用いられる際に、「実質的に含まない」の用語は、供給流中の不純物が、フッ素化触媒安定性の測定できるほどの改善、そうではないにせよ式Iの化合物の転化速度および/または1230xaから12332xfへの選択性の改善を提供するのに充分な量で除去されることを意味する。不純物が実質的に存在しない場合の、1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む供給流の出発組成物中に存在する不純物の量は、当該技術において知られている標準技術によりGC(FID)面積によって測定される、存在する不純物のppm、1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む組成物の重量に対する不純物の重量パーセンテージ、存在する1,1,2,3−テトラクロロプロペンのモル数に対する存在する不純物のモル数であるモル%、または1,1,2,3−テトラクロロプロペンの量に対する存在する不純物の量のように種々の方法で表現することができる。たとえば、当該技術において知られている技術によりGC(FID)面積によって測定される際に、HCO−1230xaが1%未満の不純物を含有する場合、および別の実施形態では0.9%未満の不純物を含有する場合、1,1,2,3−テトラクロロプロペンは不純物を実質的に含まない。GC(FID)面積で測定される際に、他の実施形態は、0.75%未満の不純物を含有する場合、別の実施形態では0.5%未満の不純物を含有する場合、およびさらなる実施形態では0.2%未満または0.1%未満の不純物を含有する場合に、HCO−1230xaが不純物を実施的に含まないことを包含する。
【0054】
別の実施形態において、HCO−1230xaが1モル%未満の不純物を含む場合、および別の実施形態においては0.9モル%未満の不純物を含有する場合、1,1,2,3−テトラクロロプロペンは不純物を実質的には含まない。他の実施形態は、0.75モル%未満の不純物を含有する場合、別の実施形態では0.5モル%未満の不純物を含有する場合、およびさらなる実施形態では0.2モル%未満の不純物を含有する場合、および別の実施形態では0.1モル%未満の不純物を含有する場合に、HCO−1230xaが不純物を実施的に含まないことを包含する。
【0055】
たとえば、不純物がイオン性の鉄である場合、供給流中に約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満の量で不純物が存在する場合、供給流は、この不純物を「実質的に含まない」。1つの態様において、たとえば鉄の場合、イオン性金属は、100ppm、99ppm、98ppm、97ppm、96ppm、95ppm、94ppm、93ppm、92ppm、91ppm、90ppm、89ppm、88ppm、87ppm、86ppm、85ppm、84ppm、83ppm、82ppm、81ppm、80ppm、79ppm、78ppm、77ppm、76ppm、75ppm、74ppm、73ppm、72ppm、71ppm、70ppm、69ppm、68ppm、67ppm、66ppm、65ppm、64ppm、63ppm、62ppm、61ppm、60ppm、59ppm、58ppm、57ppm、56ppm、55ppm、54ppm、53ppm、52ppm、51ppm、50ppm、49ppm、48ppm、47ppm、46ppm、45ppm、44ppm、43ppm、42ppm、41ppm、40ppm、39ppm、38ppm、37ppm、36ppm、35ppm、34ppm、33ppm、32ppm、31ppm、30ppm、29ppm、28ppm、27ppm、26ppm、25ppm、24ppm、23ppm、22ppm、21ppm、20ppm、19ppm、18ppm、17ppm、16ppm、15ppm、14ppm、13ppm、12ppm、11ppm、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、2ppm、1ppm、または0ppmの量で存在する。不純物が、本明細書中で提供される1種または複数種の有機化合物、特に、ヘキサクロロエタン、テトラクロロプロパン、ジクロロプロペンおよび/またはトリクロロプロペンである場合、それら不純物が、独立的に、1000ppm未満、500ppm未満、200ppm未満、または100ppm未満で提供される場合に、供給流がこれら不純物を「実質的に含まない」とされてもよい。本発明の1つの態様において、これら不純物は、500ppm、499ppm、498ppm、497ppm、496ppm、495ppm、494ppm、493ppm、492ppm、491ppm、490ppm、489ppm、488ppm、487ppm、486ppm、485ppm、484ppm、483ppm、482ppm、481ppm、480ppm、479ppm、478ppm、477ppm、476ppm、475ppm、474ppm、473ppm、472ppm、471ppm、470ppm、469ppm、468ppm、467ppm、466ppm、465ppm、464ppm、463ppm、462ppm、461ppm、460ppm、459ppm、458ppm、457ppm、456ppm、455ppm、454ppm、453ppm、452ppm、451ppm、450ppm、449ppm、448ppm、447ppm、446ppm、445ppm、444ppm、443ppm、442ppm、441ppm、440ppm、439ppm、438ppm、437ppm、436ppm、435ppm、434ppm、433ppm、432ppm、431ppm、430ppm、429ppm、428ppm、427ppm、426ppm、425ppm、424ppm、423ppm、422ppm、421ppm、420ppm、419ppm、418ppm、417ppm、416ppm、415ppm、414ppm、413ppm、412ppm、411ppm、410ppm、409ppm、408ppm、407ppm、406ppm、405ppm、404ppm、403ppm、402ppm、401ppm、400ppm、399ppm、398ppm、397ppm、396ppm、395ppm、394ppm、393ppm、392ppm、391ppm、390ppm、389ppm、388ppm、387ppm、386ppm、385ppm、384ppm、383ppm、382ppm、381ppm、380ppm、379ppm、378ppm、377ppm、376ppm、375ppm、374ppm、373ppm、372ppm、371ppm、370ppm、369ppm、368ppm、367ppm、366ppm、365ppm、364ppm、363ppm、362ppm、361ppm、360ppm、359ppm、358ppm、357ppm、356ppm、355ppm、354ppm、353ppm、352ppm、351ppm、350ppm、349ppm、348ppm、347ppm、346ppm、345ppm、344ppm、343ppm、342ppm、341ppm、340ppm、339ppm、338ppm、337ppm、336ppm、335ppm、334ppm、333ppm、332ppm、331ppm、330ppm、329ppm、328ppm、327ppm、326ppm、325pm、324ppm、323ppm、322ppm、321ppm、320ppm、319ppm、318ppm、317ppm、316ppm、315ppm、314ppm、313ppm、312ppm、311ppm、310ppm、309ppm、308ppm、307ppm、306ppm、305ppm、304ppm、303ppm、302ppm、301ppm、300ppm、299ppm、298ppm、297ppm、296ppm、295ppm、294ppm、293ppm、292ppm、291ppm、290ppm、289ppm、288ppm、287ppm、286ppm、285ppm、284ppm、283ppm、282ppm、281ppm、280ppm、279ppm、278ppm、277ppm、276ppm、275ppm、274ppm、273ppm、272ppm、271ppm、270ppm、269ppm、268ppm、267ppm、266ppm、265ppm、264ppm、263ppm、262ppm、261ppm、260ppm、259ppm、258ppm、257ppm、256ppm、255ppm、254ppm、253ppm、252ppm、251ppm、250ppm、249ppm、248ppm、247ppm、246ppm、245ppm、244ppm、243ppm、242ppm、241ppm、240ppm、239ppm、238ppm、237ppm、236ppm、235ppm、234ppm、233ppm、232ppm、231ppm、230ppm、229ppm、228ppm、227ppm、226ppm、225ppm、224ppm、223ppm、222ppm、221ppm、220ppm、219ppm、218ppm、217ppm、216ppm、215ppm、214ppm、213ppm、212ppm、211ppm、210ppm、209ppm、208ppm、207ppm、206ppm、205ppm、204ppm、203ppm、202ppm、201ppm、200ppm、199ppm、198ppm、197ppm、196ppm、195ppm、194ppm、193ppm、192ppm、191ppm、190ppm、189ppm、188ppm、187ppm、186ppm、185ppm、184ppm、183ppm、182ppm、181ppm、180ppm、179ppm、178ppm、177ppm、176ppm、175ppm、174ppm、173ppm、172ppm、171ppm、170ppm、169ppm、168ppm、167ppm、166ppm、165ppm、164ppm、163ppm、162ppm、161ppm、160ppm、159ppm、158ppm、157ppm、156ppm、155ppm、154ppm、153ppm、152ppm、151ppm、150ppm、149ppm、148ppm、147ppm、146ppm、145ppm、144ppm、143ppm、142ppm、141ppm、140ppm、139ppm、138ppm、137ppm、136ppm、135ppm、134ppm、133ppm、132ppm、131ppm、130ppm、129ppm、128ppm、127ppm、126ppm、125ppm、124ppm、123ppm、122ppm、121ppm、120ppm、119ppm、118ppm、117ppm、116ppm、115ppm、114ppm、113ppm、112ppm、111ppm、110ppm、109ppm、108ppm、107ppm、106ppm、105ppm、104ppm、103ppm、102ppm、101ppm、100ppm、99ppm、98ppm、97ppm、96ppm、95ppm、94ppm、93ppm、92ppm、91ppm、90ppm、89ppm、88ppm、87ppm、86ppm、85ppm、84ppm、83ppm、82ppm、81ppm、80ppm、79ppm、78ppm、77ppm、76ppm、75ppm、74ppm、73ppm、72ppm、71ppm、70ppm、69ppm、68ppm、67ppm、66ppm、65ppm、64ppm、63ppm、62ppm、61ppm、60ppm、59ppm、58ppm、57ppm、56ppm、55ppm、54ppm、53ppm、52ppm、51ppm、50ppm、49ppm、48ppm、47ppm、46ppm、45ppm、44ppm、43ppm、42ppm、41ppm、40ppm、39ppm、38ppm、37ppm、36ppm、35ppm、34ppm、33ppm、32ppm、31ppm、30ppm、29ppm、28ppm、27ppm、26ppm、25ppm、24ppm、23ppm、22ppm、21ppm、20ppm、19ppm、18ppm、17ppm、16ppm、15ppm、14ppm、13ppm、12ppm、11ppm、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、2ppm、1ppm、または0ppmの量で存在する。同様に、前述の有機不純物が、総量として、組成物の0.5%(w/w)未満、0.3%(w/w)未満、または0.1%(w/w)未満で提供される場合、供給流は、そのような有機不純物を「実質的に含まない」とされてもよい。本発明の1つの態様において、これら不純物は、出発物質の0.5%、0.49%、0.48%、0.47%、0.46%.0.45%、0.44%、0.43%0.42%、0.41%、0.40%、0.39%、0.38%、0.37%、0.36%、0.35%、0.34%、0.33%、0.32%、0、31%、0.30%、0.29%、0.28%、0.27%、0.26%、0.25%、0.24%、0.23%、0.22%、0.21%、0.20%、0.19%、0.18%、0.17%、0.16%、0.15%、0.14%、0.134%、0.12%、0.11%、0.10%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、または0%(w/w)の量で存在する。
【0056】
本明細書に記載されているように、出発組成物が可能な限り少量の不純物を含有する場合に、より効率的である。しかしながら、出発組成物から前述の不純物の全ての除去は、望ましいものの、時間および費用のような他の要因のために、実際的ではない。しかしながら、これら不純物の全てを除去することが必ずしも必須でないことを見いだした。すなわち、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンへの選択性および転化率を実質的に犠牲にすること、およびフッ素化触媒の寿命に実質的に影響を与えることなしに、ある量の不純物が存在すること許容可能である可能性があることを見いだした。たとえば、出発組成物が最大で10ppmまでのイオン性金属(鉄のようなもの)を含有するが、依然として許容可能な貯蔵安定性を有し、周期的な閉塞および/または停止のない連続運転を提供することができることを見いだした。不純物が前述の有機化合物の1つである場合、出発組成物は、最大3000ppmのそのような不純物を含有するが、依然として再生前の許容可能な操業時間を提供できる。不純物は、1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む出発組成物中で測定されてもよいし、測定は、当業者に知られている技術を用いて実施できる。1つの方法は、当業者に知られている技術を用いて、GC中に1,1,2,3−テトラクロロプロペンを含む出発組成物のサンプルを注入し、存在する不純物の面積をガスクロマトグラフ中に存在する1,1,2,3−テトラクロロプロペンの面積を比較することである。
【0057】
当該技術において知られている任意の技術を用いて、1230xa原料を精製することができる。1つの実施形態において、精製法は、蒸留を含む。この目的において、未精製の供給原料は、1つまたは複数の蒸留塔または充填塔を用いて蒸留される。蒸留を常圧、過圧または減圧下で実施してもよいが、ある実施形態においては約300psig(約2.17MPa)未満の圧力において実施することが好ましい。別の方法において、1230xa原料は、分別蒸留を用いて精製される。さらに別の方法において、1,1,2,3−テトラクロロプロペンは、HPLCおよびカラムクロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーを用いて精製される。繰り返しになるが、本発明は、単独または他の抽出法と組み合わせて用いられる液−液抽出のような他の精製法を制限するものではなく、それらを含んでもよい。
【0058】
本発明による第1のフッ素化反応を、大気圧下で実施してもよい。別の実施形態において、この反応を大気圧未満の圧力または大気圧より大きい圧力下で実施してもよい。たとえば、1つの実施形態において、プロセスを約0psig(約0.10MPa)から約200psig(約1.48MPa)の範囲内で変動する圧力下で実施してもよく、別の実施形態においては、約0psig(約0.10MPa)から約200psig(約1.48MPa)の範囲内で変動する圧力下で実施してもよく、別の実施形態においては、約5psia(約0.03MPa)から約100psia(約0.69MPa)の範囲内で変動する圧力下で実施してもよい。
【0059】
第1のフッ素化反応は、1230xaから1233xfへの転化に有効な条件下で実施される。プロセスの温度は、1つの実施形態において約150℃から約400℃までであってもよく、別の実施形態において約180℃から約400℃までであってもよい。別の実施形態において、プロセスの温度は、約180℃から約400℃までの範囲で変動してもよく、一方、別の実施形態において、プロセスの温度は、約200℃から約300℃までで実施される。
【0060】
式Iの化合物が1230xaである場合、反応のステップ1におけるHF対1230xaのモル比は、約1:1から約50:1までの範囲で変動してもよく、ある実施形態においては約10:1から約20:1までの範囲で変動してもよい。HFおよび1230xaの反応は、約150℃から約400℃(ある実施形態においては、約180℃から約300℃)の温度、および約0psig(約0.10MPa)から約200psig(約1.48MPa)(ある実施形態においては、約5psig(約0.13MPa)から約100psig(約0.79MPa))の圧力で実施される。1230xaの触媒との接触時間は、約1秒から約60秒までの範囲内で変動することができるが、より長い時間またはより短い時間を用いることもできる。
【0061】
フッ素化反応は、好ましくは約50%、または好ましくは約90%以上の転化率を達成するように実施される。転化率は、消費された反応剤(1230xa)のモル数を、反応器に供給された反応剤(1230xa)のモル数で除算し、100を乗ずることによって計算される。達成される1233xfの選択性は、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%以上である。選択性は、形成された生成物(1233xf)のモル数を、消費された反応剤のモル数で除算することによって計算される。
【0062】
反応の第1工程は、気相フッ素化反応に適当な任意の反応器中で実施することができる。ある実施形態において、反応器は、ハステロイ、ニッケル、インコロイ、インコネル、モネルおよびフルオロポリマー内張のような、フッ化水素および触媒の腐食効果に抵抗性である材料で構築される。容器は、固定触媒床または流動床である。所望されるならば、運転中の反応器内で、窒素またはアルゴンのような不活性ガスを用いることができる。
【0063】
製造される生成物の一貫性に基づいて、プロセスを監視してもよい。たとえば、プロセスが約95%(w/w)の生成物流を含む生成物をもたらす場合、生成物流を監視して、生成物流中の生成物のパーセンテージが予定のレベル未満に低下する時点を決定してもよい。少なくとも1つの実施形態において、生成物流中の所望される生成物の量が約5%(w/w)または別の実施形態においては約2%(w/w)を超えて変動するまで、プロセスを連続的に運転してもよい。設定された期間にわたって変動を測定して、プロセスの短期的変化を明らかにしてもよい。たとえば、たとえば約2分間にわたって、またはたとえば約1時間のようなより長い時間にわたって変動を測定してもよい。どのようにして変動を測定するかは、所望される生成物の純度および一貫性に依存することを、当業者は理解するであろう。より大きな一貫性が望ましい場合、許容可能は変動は、短い時間にわたって測定される小さなパーセンテージであってもよい。一貫性が重要でない場合には、許容可能な変動は、より長い時間にわたって測定されるより大きなパーセンテージであってもよい。
【0064】
プロセスにしたがって用いられる触媒を、任意の知られている方法を用いて活性化してもよい。たとえば、触媒は、フッ化水素の存在下、高温において活性化されてもよい。
【0065】
本発明に従う実施形態において、より高レベルの不純物を含む出発材料が用いられる反応と比較して、触媒は延長された寿命を有することができる。たとえば、より低純度の材料を用いる場合よりも、触媒は少なくとも2倍大きな寿命を有してもよい。少なくともいくつかの実施形態において、より低純度の材料を用いる場合よりも、触媒は少なくとも3倍長い寿命を有してもよい。
【0066】
1つの実施形態において、プロセスは、触媒の再活性化または交換の必要なしに、少なくとも100時間にわたって連続的に運転してもよい。さらなる実施形態において、プロセスは、触媒の再活性化または交換の必要なしに、少なくとも150時間(または、それ以上)にわたって連続的に運転してもよい。第1のフッ素化工程に関して、より長い運転時間もまた本プロセスの範囲内であることを、当業者は認識するであろう。実際の運転時間は、所望される生成物のようないくつかの要因によって、変動および決定される。1つの実施形態において、プロセスをあらかじめ定められた時間で監視し、反応器からサンプルを取り出し、GCまたはGC/MSなどのような当該技術において知られている技術を用いて分析して、反応器中に存在する反応剤、生成物などの量を決定し、より早い時期に取り出した以前のサンプルと結果を比較して、%転化率および%選択性の変化量を決定する。触媒を再活性化または交換する必要性、または分解および/または失活の程度は、出発材料の転化率の減少、または最終生成物の生成量の低下により決定してもよい。
【0067】
少なくとも1つの実施形態によれば、触媒を交換または再活性化する必要性は、85%未満の出発材料(たとえば、HCO−1230xa)が転化されるまでにどれだけの時間にわたってプロセスを連続的に運転してもよいかによって決定される。さらなる実施形態において、プロセスは、約90%または約95%の出発材料が転化されるまで、連続的に運転してもよい。反応器の条件、生成物の所望される純度、生成物から不純物を除去することの困難性などに基づいて、当業者は、いつ触媒を交換または再活性化するかを認識するであろう。いくつかのプロセスに関して、生成物中のより大量の不純物は許容可能であるが、一方、別のプロセスにおいては少量の生成物が所望される。
【0068】
別の実施形態において、触媒を交換または再活性化する必要性は、プロセスによって生成される生成物の量に基づいてもよい。たとえば、生成される生成物のパーセンテージ(収率または%転化率)が約85%未満に低下するまで、プロセスを連続的に運転してもよい。別の実施形態においては、生成される生成物のパーセンテージが約90%未満または約95%未満に低下するまで、プロセスを連続的に運転してもよい。触媒を交換または活性化する必要性は、生成物の所望される純度に依存し、したがって、それに応じて調整することができることを、当業者は認識するであろう。
【0069】
本発明に従うさらに別の実施形態において、触媒を交換または再活性化する必要性は、生成物流中の中間体生成物の存在に基づいてもよい。中間体の存在は、触媒の活性が減少したことを示す。たとえば、HCO−1230xaからHCFO−1233xfの製造において、中間体として2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xf)が生成する。1つの実施形態において、触媒を交換または再活性化する必要性は、存在するHCFO−1232xfの量に基づいてもよい。たとえば、生成物の所望される純度に依存して、HCFO−1232xfが生成物流の約5%(w/w)より多くを構成するまで、プロセスを連続的に運転してもよい。別の実施形態においては、HCFO−1232xfが生成物流の約10%(w/w)より多くを構成するまで、プロセスを連続的に運転してもよい。HCFO−1232xfのような中間体のパーセンテージを、所望される生成物に基づいて決定してもよいことを、当業者は認識するであろう。たとえば、より高純度の生成物が所望される場合、中間体が生成物流のより大きなパーセンテージ(たとえば、約15%(w/w))より多くを構成するまで、プロセスを連続的に運転してもよい。
【0070】
一般的に、多段階反応器装置中に存在してもよい全ての中間体流出物を含む、フッ素化反応工程からの流出物を処理して、所望される程度の分離および/または別の処理を実行してもよい。たとえば、反応器流出物が1233xfを含む実施形態において、流出物は一般的に、HCl、および、HF、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(1232xf)、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xd)、トリクロロフルオロプロペン(1231)異性体、2−クロロ−1,1,1,2−テトラクロロプロパン(244bb)、および未反応の1230xaの1種または複数種も含む。反応生成物中のこれらの成分のいくらかの部分または実質的に全ては、中和および蒸留のような当該技術において知られている任意の分離または精製方法によって反応混合物から回収される。未反応の1230xaおよびHFを、完全にまたは部分的に再循環させて、所望される1233xfの全収率を向上できることが期待される。同様に、形成される1232xfおよび任意の1231を再循環してもよい。
【0071】
任意選択的に、フッ素化反応の結果から塩化水素を回収してもよい。塩化水素の回収は、塩化水素を留出物として除去する慣用の蒸留によって実施される。あるいはまた、HClは、水または苛性のスクラバーを用いて回収または除去することができる。水抽出器を用いる場合、HClは水溶液として除去される。苛性のスクラバーを用いる場合、HClは、単に、水溶液中の塩化物塩として系から除去される。
【0072】
本発明の1つの実施形態において、重合禁止剤の不在下でプロセスを実施してもよい。別の実施形態において、重合禁止剤を反応器に添加してもよい。反応器の運転条件および用いる反応剤に基づいて、重合禁止剤および反応器中の存在する量をどのように選択するかを、当業者は理解するであろう。
【0073】
1つの実施形態において、供給酸素の不在下でプロセスを実施してもよい。別の実施形態において、供給酸素を反応器中に供給してもよい。供給酸素は、純酸素、不活性ガスと混合された酸素、または空気中の酸素の形態であってもよい。反応器の運転条件および用いる反応剤に基づいて、適切な量の供給酸素をどのように提供するかを、当業者は理解するであろう。
【0074】
別の実施形態において、重合禁止剤および供給酸素の両方の不在下でプロセスを実施してもよい。
【0075】
プロセスの第1工程で精製するHCFO−1233xfを、以下に記載されるような当該技術において知られている方法を用いて、さらにフッ素化および転化して、HFO−1234yfを形成する。
【0076】
2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エンを形成するためのプロセスの第2工程において、1233xfは、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(244bb)に転化される。1つの実施形態において、この方法は、TFEまたはPFAで裏打ちされていてもよい液相反応器中の液相中で実施してもよい。そのようなプロセスは、約70〜120℃の温度および約50〜120psig(約0.44〜0.93MPa)で実施してもよい。
【0077】
本発明において、任意の液相フッ素化触媒を用いてもよい。非網羅的リストは、ルイス酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属酸化物、第IVb族金属ハロゲン化物、第Vb族金属ハロゲン化物、またはそれらの組み合わせを含む。液相フッ素化触媒の非排他的な例は、アンチモンハロゲン化物、スズハロゲン化物、タンタルハロゲン化物、チタンハロゲン化物、ニオブハロゲン化物、モリブデンハロゲン化物、鉄ハロゲン化物、フッ素化されたクロムハロゲン化物、フッ素化されたクロム酸化物、またはそれらの組み合わせである。液相フッ素化触媒の非排他的な具体例は、SbCl5、SbCl3、SnCl4、TaCl5、TiCl4、NbCl5、MoCl6、FeCl3、SbCl5のフッ素化された種、SbCl3のフッ素化された種、SnCl4のフッ素化された種、TaCl5のフッ素化された種、TiCl4のフッ素化された種、NbCl5のフッ素化された種、MoCl6のフッ素化された種、FeCl3のフッ素化された種、またはそれらの組み合わせである。5塩化アンチモンが最も好ましい。
【0078】
これらの触媒が失活した場合、当該技術において知られている任意の手段によって、これらの触媒を容易に再生することができる。触媒を再生する1つの適当な方法は、触媒を通して塩素の流れを流すことを含む。たとえば、液相フッ素化触媒1ポンド(約0.45kg)当たりで、1時間あたり約0.002ポンド(約0.91g)から約0.2ポンド(約91g)の塩素を液相反応に添加することができる。たとえば、これは、約1時間から約2時間にわたって、または連続的に、約65℃から約100℃の温度において実施してもよい。
【0079】
反応の第2工程は、必ずしも液相反応に限定されず、参照により本明細書の一部をなす米国特許出願公開第2007/0197842号明細書に開示されているように、気相反応、または液相および気相の組み合わせを用いて実施してもよい(特許文献12参照)。この目的に対して、1233xf含有供給流を、約50℃から約400℃の温度まで予熱し、そして触媒およびフッ素化剤と接触させる。触媒は、そのような反応に用いられる標準的な気相剤を含んでもよく、フッ素化剤は、フッ化水素(それに限定されるものではない)のような、当該技術において一般的に知られている剤を含んでもよい。
【0080】
1234yf製造の第3工程において、244bbを第2の気相反応器(脱塩化水素化反応器)に供給して、脱塩化水素化して、所望される2,3,3,3−テトラフルオロプロプ−1−エン(1234yf)を作製する。この反応器は、HCFC−244bbを触媒的に脱塩化水素化して、HFO−1234yfを作製することができる触媒を収容する。
【0081】
触媒は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化金属酸化物、非荷電(すなわち0の酸化状態)の金属または合金、あるいは、バルクまたは担持された形態の活性炭であってもよい。金属ハロゲン化物または金属酸化物は、1価、2価、および3価の金属ハロゲン化物、酸化物およびそれらの混合物/組み合わせを含んでもよく、より好ましくは、1価および2価の金属ハロゲン化物およびそれらの混合物/組み合わせを含む。成分金属は、Cr3+、Fe3+、Mg2+、Ca2+、Ni2+、Zn2+、Pd2+、Li+、Na+、K+およびCs+を含むが、それらに限定されるものではない。成分ハロゲンは、F-、Cl-、Br-およびI-を含むが、それらに限定されるものではない。有用な1価または2価の金属ハロゲン化物は、LiF、NaF、KF、CsF、MgF2、CaF2、LiCl、NaCl、KClおよびCsClを含むが、それらに限定されるものではない。ハロゲン化処理は、当該技術において知られている任意の処理を含むことができ、特に、ハロゲン化源としてHF、F2、HCl、Cl2、HBr、Br2、HIおよびI2を用いる処理を含むことができる。
【0082】
無荷電(すなわち0価)の場合、金属、金属合金およびそれらの混合物を用いる。有用な金属は、Pd、Pt、Rh、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Cr、Mn、および合金または混合物としての前述の金属の組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。触媒は、担持されていても、担持されていなくてもよい。有用な金属合金の例は、SS316、モネル400、インコネル825、インコネル600、およびインコネル625を含むが、それらに限定されるものではない。
【0083】
好ましいが非限定的な触媒は、活性炭、ステンレス鋼(たとえば、SS316)、オーステナイト系Ni基合金(たとえば、インコネル625)、ニッケル、フッ素化された10%CsCl/MgO、および10%CsCl/MgF2を含む。反応温度は、好ましくは約300〜550℃であり、反応圧力は約0〜150psig(0.1MPa〜1.13MPa)の間であってもよい。反応器留出物を、苛性スクラバーまたは蒸留塔に供給して、HCl副生成物を除去し、酸を含まない有機生成物を製造してもよい。酸を含まない有機生成物は、当該技術において知られている精製技術の1つまたは任意の組み合わせを用いるさらなる精製を受けてもよい。
【0084】
以下は、本発明の実施例であるが、本発明を限定すると解釈すべきではない。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
本実施例は、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(1230xa)から2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンへの連続的な気相フッ素化反応を例示する。この試験のためのフッ素化触媒は、フッ素化されたCr23であった。実施例1で用いる1230xa供給物は、99.2GC(ガスクロマトグラム)面積%の純度を有し、360ppmのヘキサクロロエタンおよび約5000ppmのテトラクロロプロパンを含有した。
【0086】
2、HFおよび有機供給物システム、供給物気化器、過熱器、2インチ(約5cm)IDの反応器、酸スクラバー、乾燥器および生成物収集システムからなる連続気相フッ素化反応システムを用いて、反応を研究した。反応器に1.8リットルの触媒を装填した。次いで、反応器を定温砂浴中に取り付けた後に、触媒上を通過するN2パージをしながら、反応器を約180℃の温度に加熱した。N2流を停止した際に、N2を伴う共供給物として、(気化器および過熱器を介して)HF供給物を15分間にわたって導入した。HF流速を、1.9ポンド/時(約0.86kg/時)に調整し、次いで、(気化器および過熱器を介して)反応器に対する1,1,2,3−テトラクロロプロペン(1230xa)供給を開始した。HF対1230xaの約17:1のモル比のために、1230xaの供給速度を1.0ポンド/時(約0.45kg/時)に定常的に維持し、HF供給を1.9ポンド/時(約0.86kg/時)で定常的に維持した。反応がひとたび開始されると、触媒床温度が約200℃に上昇した。反応温度は、所望される生成物の収集速度を維持させるために、触媒の失活につれて徐々に上昇し、反応温度が300℃に到達したら直ちに、反応を停止した。反応の全行程において、反応圧力を70psig(0.58MPa)に一定に維持した。反応を、約588時間にわたり、192ポンド(約87.1kg)の1233xfおよび1232xfが精製するまで、連続的に運転した。1230xaの平均転化率および1233xfの平均選択性は、それぞれ69.4%および87.3%であった。
【0087】
(実施例2)
実施例2においてより純粋な1230xaを用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。実施例2で用いた1230xa供給物は、99.7GC(ガスクロマトグラム)面積%の純度を有し、77ppmのヘキサクロロエタンを含有し、およびテトラクロロプロパンを含有しなかった。反応を、約1378時間にわたり、693ポンド(約314kg)の1233xfおよび1232xfが精製するまで、連続的に運転した。1230xaの平均転化率および1233xfの平均選択性は、それぞれ90.3%および87.1%であった。
【0088】
(実施例3)
実施例3は、225℃の温度における約99%純度のHCO−1230xaのフッ素化のための方法を例示する。3cc(3cm3)の大表面積クロム酸化物(BASF)を、1/2インチ(約1.3cm)ハステロイ(登録商標)反応器中に装填した。触媒の頂部に6インチ(約15cm)のハステロイ(登録商標)1/8インチ(約0.32cm)蒸留充填物を充填し、気化領域を形成した。触媒を、フッ化水素で活性化した。225℃において、18sccmのフッ化水素および3sccmの窒素と一緒に、反応器の頂部から、0.54ml/時の速度でHCO−1230xaを供給した。反応器からの流れを、GCおよびGC−MSで分析した。実施例3〜8において、用いたGCは、キャリアガスとして3.7674ml/分の速度で流れるヘリウムガスを用いる、Agilent Technologies 7890Aであった。GCは、長さ30cm、直径0.32mm、厚さ0.25μMのHP−5カラムを収容し、カラム内に充填された固定相は、5%フェニルメチルシロキサンであり、GCでの分離のための温度条件は、5分間にわたって50℃、ついで50分間にわたって25℃/分で200℃までの温度プログラムを用いて実施した。図1は、50時間の期間にわたる関数として、生成物流中のHCFO−1233xfおよびHCFO−1232xfのモルパーセントを示す。図1は、生成物流中に残存する未反応のHCO−1230xaの量も示す。
【0089】
反応器に供給されるHCO−1230xaをGC(FID)で分析した。HCO−1230xaの分析の結果を以下の第1表に示す。GC面積に基づいて、モル%を決定した。
【0090】
【表1】
【0091】
(実施例4)
実施例4において、フッ素化反応のための出発物質として、約99.9%のHCO−1230xaを用いた。3cc(3cm3)の大表面積クロム酸化物(BASF)を、1/2インチ(約1.3cm)ハステロイ(登録商標)反応器中に装填した。触媒の頂部に6インチ(約15cm)のハステロイ(登録商標)1/8インチ(約0.32cm)蒸留充填物を充填し、気化領域を形成した。触媒を、フッ化水素で活性化した。225℃において、18sccmのフッ化水素および3sccmの窒素と一緒に、反応器の頂部から、0.54ml/時の速度でHCO−1230xaを供給した。反応器からの流れを、GCおよびGC−MSで分析した。図2は、50時間の期間にわたる関数として、生成物流中のHCFO−1233xfおよびHCFO−1232xfのモルパーセントを示す。図2は、生成物流中に存在する未反応のHCO−1230xaの量も示す。図5は、実施例3および4において、転化されたHCO−1230xa(すなわち、反応したHCO−1230xaのパーセンテージ)を示す。
【0092】
実施例2において用いたHCO−1230xaのGC分析を、以下の第2表に示す。GC面積に基づいて、モル%を決定した。
【0093】
【表2】
【0094】
(実施例5)
実施例5において、プロセスは、上記の実施例3において用いたものと同一のHCO−1230xaを用いた。3cc(3cm3)の大表面積クロム酸化物(BASF)を、1/2インチ(約1.3cm)ハステロイ(登録商標)反応器中に装填した。触媒の頂部に6インチ(約15cm)のハステロイ(登録商標)1/8インチ(約0.32cm)蒸留充填物を充填し、気化領域を形成した。触媒を、フッ化水素で活性化した。275℃において、18sccmのフッ化水素および3sccmの窒素と一緒に、反応器の頂部から、0.54ml/時の速度でHCO−1230xaを供給した。反応器からの流れを、GCおよびGC−MSで分析した。図3は、55時間の期間にわたる関数として、生成物流中のHCFO−1233xfおよびHCFO−1232xfのモルパーセントを示す。図3は、生成物流中に存在する未反応のHCO−1230xaの量も示す。
【0095】
(実施例6)
実施例6は、上記の実施例4において用いたHCO−1230xa供給物を用いた。3cc(3cm3)の大表面積クロム酸化物(BASF)を、1/2インチ(約1.3cm)ハステロイ(登録商標)反応器中に装填した。触媒の頂部に6インチ(約15cm)のハステロイ(登録商標)1/8インチ(約0.32cm)蒸留充填物を充填し、気化領域を形成した。触媒を、フッ化水素で活性化した。275℃において、18sccmのフッ化水素および3sccmの窒素と一緒に、反応器の頂部から、0.54ml/時の速度でHCO−1230xaを供給した。反応器からの流れを、GCおよびGC−MSで分析した。図4は、160時間の期間にわたる関数として、生成物流中のHCFO−1233xfおよびHCFO−1232xfのモルパーセントを示す。図4は、生成物流中に存在する未反応のHCO−1230xaの量も示す。
【0096】
図6および図7は、それぞれ、50時間まで、および160時間までに、実施例5および6において反応したHCO−1230xaの量を示す。
【0097】
(実施例7)
実施例7において、99%純度の1230xa(第1表に示したもの)に1%の250fbを添加した。次いで、この約98%純度のHCO−1230xaを、フッ素化反応のための出発材料として用いた。2.15cc(2.15cm3)の大表面積クロム酸化物E410(BASF)を、1/2インチ(約1.3cm)ハステロイ(登録商標)反応器中に装填した。触媒の頂部に6インチ(約15cm)のハステロイ(登録商標)1/8インチ(約0.32cm)蒸留充填物を充填し、気化領域を形成した。触媒を、フッ化水素で活性化した。225℃において、18sccmのフッ化水素および6sccmの窒素と一緒に、反応器の頂部から、0.54ml/時の速度でHCO−1230xaを供給した。反応器からの流れを、GCおよびGC−MSで分析した。図8は、28時間の期間にわたる関数として、生成物流中のHCFO−1233xfおよびHCFO−1232xfのモルパーセントを示す。図9は、生成物流中に存在する未反応のHCO−1230xaの量も示す。
【0098】
(実施例8)
実施例8において、99%純度の1230xa(第1表に示したもの)を、フッ素化反応のための出発材料として用いた。2.15cc(2.15cm3)の大表面積クロム酸化物E410(BASF)を、1/2インチ(約1.3cm)ハステロイ(登録商標)反応器中に装填した。触媒の頂部に6インチ(約15cm)のハステロイ(登録商標)1/8インチ(約0.32cm)蒸留充填物を充填し、気化領域を形成した。触媒を、フッ化水素で活性化した。225℃において、18sccmのフッ化水素および6sccmの窒素と一緒に、反応器の頂部から、0.54ml/時の速度でHCO−1230xaを供給した。反応器からの流れを、GCおよびGC−MSで分析した。図8は、28時間の期間にわたる関数として、生成物流中のHCFO−1233xfおよびHCFO−1232xfのモルパーセントを示す。図9は、生成物流中に存在する未反応のHCO−1230xaの量も示す。これらの結果は、98%の1230xaを用いた触媒が、99%の1230xaを用いた触媒よりも、遙かに早く活性を失ったことを示す。
【0099】
上記の好ましい実施形態および実施例は、本発明の範囲および趣旨を例示するために提供された。これらの実施形態および実施例は、当業者に対して、他の実施形態および実施例を明瞭にする。他の実施形態および実施例は、本発明の意図の範囲内である。したがって、本発明は、補正された特許請求の範囲のみによって制限されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】
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