【解決手段】作業機の油圧システムは、作動油により作動する油圧アクチュエータ30と、作動油を吐出する第1油圧ポンプP1と、作動油を吐出する第2油圧ポンプP2と、第1油圧ポンプから吐出した作動油が供給され且つ油圧アクチュエータに供給する作動油を制御する制御弁56と、制御弁と油圧アクチュエータとを接続する第1油路41と、第2油圧ポンプから吐出した作動油が供給され且つ第1油路に合流する第2油路73と、作動油を受圧する受圧部92と、第1油路に作動油を供給しない第1位置71aと受圧部の作動油により第1油路に作動油を供給する第2位置71bとに移動可能なスプールと、作動油を排出する第1内部油路とを有する第1切換弁71と、を備え、スプールは、受圧部が受圧した作動油を第1内部油路に流す連通油路を有している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る作業機の油圧システム及びこの油圧システムを備えた作業機の好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
まず、作業機の全体の構成から説明する。
本発明に係る作業機1は、
図6及び
図7に示すように、機体2と、この機体2に装着した作業装置3と、機体2を支持する走行装置4とを備えている。尚、
図6及び
図7では、作業機の一例としてトラックローダを示しているが、本発明に係る作業機はトラックローダに限定されず、例えば、トラクタ、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ
、バックホー等であってもよい。尚、本発明において、作業機の運転席に着座した運転者の前側(
図6の左側)を前方、運転者の後側(
図6の右側)を後方、運転者の左側(
図6の手前側)を左方、運転者の右側(
図6の奥側)を右方として説明する。
【0014】
機体2の上部であって前部には、キャビン5が搭載されている。キャビン5の後部は、機体2の支持ブラケット11に支持軸12回りに揺動自在に支持されている。キャビン5の前部は、機体2の前部に載置可能となっている。機体2の後部には原動機32が設けられている。原動機32は、電気モータ、エンジン等から構成されている。この実施形態では、原動機32はエンジンである。
【0015】
キャビン5内には運転席13が設けられている。走行装置4は、クローラ式走行装置により構成されている。走行装置4は、機体2の左側の下方及び機体2の右側の下方に設けられている。走行装置4は、 油圧駆動式のホイルモータ等の走行モータの駆動力によって、走行可能である。
作業装置3は、ブーム22Lと、ブーム22Rと、ブーム22の先端に装着した作業具(バケット)23とを備える。ブーム22Lは、機体2の左側に配置されている。ブーム22Rは、機体2の右側に配置されている。ブーム22Lとブーム22Rとは、連結体によって相互に連結されている。ブーム22L及びブーム22Rは、第1リフトリンク24及び第2リフトリンク25に支持されている。ブーム22L及びブーム22Rの基部側と機体2の後下部との間には、複動式油圧シリンダからなるリフトシリンダ26が設けられている。リフトシリンダ26を左右同時に伸縮させることによりブーム22L及びブーム22Rが上下に揺動動作する。ブーム22L及びブーム22Rの先端側には、それぞれ装着ブラケット27が回動自在に支持され、装着ブラケット27にバケット23の背面側が取り付けられている。また、装着ブラケット27とブーム22L及びブーム22Rの先端側中途部との間には、複動式油圧シリンダからなるチルトシリンダ28が介装されている。チルトシリンダ28の伸縮によってバケット23が揺動動作(スクイ・ダンプ動作)する。
【0016】
バケット23は装着ブラケット27に対して着脱自在である。ブーム22L及びブーム22Rの先端には、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の予備アタッチメントを装着可能である。また、ブーム22L及びブーム22Rの先端には、予備アタッチメントに設けられた油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ等)30を接続する接続装置50が設けられている。以降、説明の便宜上、予備アタッチメントに設けられた油圧アクチュエータのことを予備アクチュエータという。
【0017】
次に、作業機の油圧システムについて説明する。
図1は、作業機の油圧システムを示している。
図1に示すように、作業機の油圧システムは、第1油圧ポンプP1と、第2油圧ポンプP2と、第3油圧ポンプP3と、制御弁56と、操作弁60とを備えている。第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2及び第3油圧ポンプP3は、原動機32の動力によって駆動される定容量型のギヤポンプであり、作動油を吐出する。
【0018】
第1油圧ポンプP1から吐出した作動油は、リフトシリンダ26、チルトシリンダ28又はブーム22の先端側に取り付けられるアタッチメントの油圧アクチュエータを駆動するために使用される。第2油圧ポンプP2から吐出した作動油は、予備アクチュエータに供給する作動油の流量を増量するのに使用される。第3油圧ポンプP3から吐出した作動油は、主として信号用又は制御用の作動油として使用される。以降、信号用又は制御用の作動油のことをパイロット油ということがある。
【0019】
第1油圧ポンプP1と制御弁56とは吐出油路40により接続されている。制御弁56は、作業機に設けられた油圧アクチュエータを制御する制御弁である。この実施形態では、操作弁56は予備アタッチメントを作動させる予備油圧アクチュエータを制御する。なお、制御弁56は、予備油圧アクチュエータを制御する制御弁に限定されない。
制御弁56は、パイロット油のパイロット圧によって第1位置56aと第2位置56bと中立位置56cとに切換可能なパイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。
制御弁56と接続装置50とは、第1油路41により接続されている。
【0020】
第1油路41は、制御弁56の第1ポート56Aと接続装置50の第1ポート50Aとを接続する第1供排油路41aと、制御弁56の第2ポート56Bと接続装置50の第2ポート50Bとを接続する第2供排油路41bとを含んでいる。第1供排油路41aには排出路42aが接続され、第2供排油路41bには排出路42bが接続されている。排出路42a及び排出路42bは、吐出油路40において、制御弁56の上流側と下流側とを接続するバイパス油路43に接続されている。吐出油路40において、制御弁56の下流側とバイパス油路43とを接続する接続部44には、作動油を排出する排出路45が接続されている。
【0021】
制御弁56は、複数の操作弁60によって操作される。複数の操作弁60は、第1比例弁60Aと第2比例弁60Bとを含んでいる。第1比例弁60A及び第2比例弁60Bは、励磁等によって開度が変更可能な電磁弁である。第1比例弁60A及び第2比例弁60Bには、第3油圧ポンプP3に接続された第2パイロット油路46に接続されている。制御弁56の受圧部と、比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)とは、油路47a、47bにより接続されている。比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)の制御は、制御装置80で行う。制御装置80には、作業操作部材の1つであるスイッチ86が接続されている。制御装置80には、スイッチ86の操作量(例えば、スライド量、揺動量等)が入力される。スイッチ86は、例えば、揺動自在なシーソ型スイッチ、スライド自在なスライド型スイッチ、或いは、押圧自在なプッシュ型スイッチ等である。スイッチ86を操作すると、当該スイッチ86の操作方向及び操作量に応じて、制御装置80が第1比例弁60A又は第2比例弁60Bを励磁する制御信号を出力する。これにより、第1比例弁60A又は第2比例弁60Bの開度が設定され、制御弁56は、第1位置56a又は第2位置56bに切り換わる。したがって、スイッチ86を操作することによって、予備アタッチメントの予備アクチュエータを操作することができる。
【0022】
さて、作業機の油圧システムでは、予備アクチュエータに供給する作動油を増加させることができる。予備アクチュエータへの作動油の増加について詳しく説明する。
図1に示すように、作業機の油圧システムは、第1切換弁71と、第2切換弁72と、第2油路73とを備えている。第2油路73は、第2油圧ポンプP2と第1油路41とを接続する油路である。即ち、第2油路73は、第1油路41に合流していて、第2油圧ポンプP2から吐出した作動油を第1油路41に供給する油路である。詳しくは、第2油路73は、第2油圧ポンプP2と第1切換弁71とを接続する第1増量油路73aと、第1切換弁71と第1油路41の第1供排油路41aとを接続する第2増量油路73bとを有している。なお、第2増量油路73bは、第1油路41の第1供排油路41aに接続されているがこれに代えて、第2供排油路41bに接続されていてもよい。
【0023】
第1切換弁71は、第1ポート71A、第2ポート71B、第3ポート71C、第4ポート71Dを有している。第1ポート71Aには、第1増量油路73aが接続され、第2ポート71Bには第2増量油路73bが接続されている。第3ポート71Cには排出路45が接続されている。第4ポート71Dには、第1切換弁71と第2切換弁72とを接続し且つ排出路45に接続される排出路48に接続されている。第3ポート71C及び第4ポート71Dは作動油を外部に排出する排出ポートである。
【0024】
第1切換弁71は、第1位置71aと第2位置71bとに位置変更が可能な二位置切換弁である。第1切換弁71が第1位置71aである場合、第1ポート71Aと第3ポート71Cとが連通して、第2油路73(第1増量油路73a)の作動油は、排出路45を介して作動油タンク29に排出される。第1切換弁71が第2位置71bである場合、第1ポート71Aと第2ポート71Bとが連通して、第1増量油路73aの作動油は、第2増量油路73bに導入される。即ち、第1切換弁71は、第1油路41に作動油を供給しない第1位置71aと第1油路41に作動油を供給する第2位置71bとに切り換え可能である。
【0025】
第2切換弁72は、第1切換弁71を第1位置71aと第2位置71bとに切り換える弁である。第2切換弁72は、第1ポート72A、第2ポート72B、第3ポート72C
、第4ポート72Dを有している。第1ポート72Aには、第2パイロット油路46が接続され、第2ポート72Bには、第1切換弁71の受圧部92に接続された第1パイロット油路49に接続されている。第3ポート72C及び第4ポート72Dは、排出路48に接続されている。第3ポート72C及び第4ポート72Dは、作動油を外部に排出する排出ポートである。
【0026】
第2パイロット油路46において、第2切換弁72の第1ポート72Aの近傍にパイロット油の流量を低減させる絞り部(第2絞り部)97が設けられている。
第2切換弁72は、第1位置72aと第2位置72bとに位置変更が可能な二位置切換弁である。第2切換弁72は、スプール(図示省略)を有していて、スプール(第2スプール)の移動によって第1位置72aと第2位置72bとに切り換えられる。スプールは、スプリング等の付勢部材74により第1位置72a側に押圧されている。
【0027】
第2切換弁72は、制御装置80から出力された制御信号によって切り換えられる。制御装置80には、例えば、ON/OFFに切換可能なスイッチ81が接続されている。スイッチ81は運転席13の近傍に設けられ、例えば、オペレータが操作可能である。スイッチ81がONである場合、制御装置80は第2切換弁72のソレノイドを励磁する制御信号を出力して第2切換弁72を第2位置72bに切り換える。スイッチ81がOFFである場合、制御装置80は第2切換弁72のソレノイドを消磁する制御信号を出力して第2切換弁72を第1位置72aに切り換える。
【0028】
第2切換弁72が第1位置72aである場合には、第2切換弁72の第2ポート72Bと第3ポート72Cとが連通するため、第1パイロット油路49の作動油が排出路48に抜ける。その結果、第1切換弁71の受圧部92にパイロット油のパイロット圧が作用しないため第1切換弁71は第1位置71aに切り換わる。第2切換弁72が第2位置72bである場合には、第2切換弁72の第1ポート72Aと第2ポート72Bとが連通するため、第2パイロット油路46の作動油が第1パイロット油路49に流れる。その結果、第1切換弁71の受圧部92にパイロット圧が作用し、第1切換弁71は第2位置71bに切り換わる。
【0029】
図2は、第1切換弁71の内部を示す図である。第1切換弁71は、本体90と、スプール(第1スプール)91と、受圧部92と、を備えている。
本体90は、鋳物や樹脂などで形成されている。本体90には、作動油を流す油路(内部油路)93が形成されている。内部油路93は、第1内部油路93aと、第2内部油路93bと、第3内部油路93cと、第4内部油路93dとを有している。
【0030】
第1内部油路93aは、本体90に形成された油路であって、当該本体90内の作動油を本体90の外部に排出する油路である。第1内部油路93aは、第3ポート71C又は第4ポート71Dに連通している。即ち、第1内部油路93aは、作動油を排出するポートに接続されている。
第2内部油路93bは、本体90に形成された油路であって、第1増量油路73aの作動油が導入される油路である。第2内部油路93bは、第1ポート71Aに連通している。
【0031】
第3内部油路93cは、本体90に形成された油路であって、第1増量油路73aの作動油が導入された作動油を第2増量油路73bに流す油路である。第3内部油路93cは、第2ポート71Bに連通している。
第4内部油路93dは、本体90に形成された油路であって、第1内部油路93aと第2内部油路93bとを連通する油路である。
【0032】
本体90の内部には、直線状の貫通孔94が形成されている。貫通孔94を構成する環状の壁部94aには、第1内部流路93aと、第2内部流路93bと、第3内部流路93cとが達している。貫通孔94と第4内部流路93dとは兼用化されている。なお、貫通孔94を構成する壁部94aの延設する方向に対して、第1内部流路93a、第2内部流路93b及び第3内部流路93cは直交している。
【0033】
受圧部92は、作動油を受圧する箇所であって、第1パイロット油路49の作動油が導入されるポート92aと、ポート92aから導入された作動油が入る受圧室92bとを含
んでいる。この実施形態では、受圧室92bは、貫通孔94に連通している。また、受圧室92bには、スプール91の端面が当接することで当該スプール91の移動を規制するストッパ99が設けられている。なお、この実施形態では、ストッパ99にはポート92に連通する孔が形成されている。
【0034】
スプール91は、受圧部92に導入された作動油によって、本体90の内部を移動可能である。スプール91の移動によって、第1内部流路93aと、第2内部流路93bと、第3内部流路93cの接続先を変更可能である。スプール91は、第1油路41に作動油を供給しない第1位置71aと、第1油路41に作動油を供給する第2位置71bとに移動可能である。また、スプール91は、第1位置71aである場合に、第4内部油路93dを開放し且つ第2位置71bである場合に第4内部油路93dを閉鎖することが可能である。
【0035】
以下、スプール91について詳しく説明する。
スプール91は、円柱状に形成されている。円柱状のスプール91は、本体90の内部に形成された貫通孔94に挿入されている。
図3Aに示すように、受圧室92bに作動油が作用していない場合、スプール91は、スプール91の一端(例えば、左側)と反対(例えば、右側)に設けられた付勢部材(例えば、スプリング)95により一端側に押圧されている。
【0036】
これにより、スプール91の一端はストッパ99に当たって、当該スプール91は第1位置71aに保持されている。
図3Bに示すように、受圧室92bに作動油が作用している場合、スプール91は、受圧室92bの作動油によって反対側(スプリング95側)に押され、当該スプール91はストッパ99から離れて右側に移動する。受圧室92bの作動油の圧力が所定以上になると、第2位置71bに位置していて最もスプリング95を圧縮する。
【0037】
スプール91は、第1接続部91aと、第2接続部91bとを有している。第1接続部91aは、第2内部油路93bと第3内部油路93cとを接続可能である。第2接続部91bは、第1内部油路93a、第2内部油路93b及び第4内部油路93dを接続可能である。
具体的には、第1接続部91a及び第2接続部91bは、スプール91の外周面を環状に凹ますことにより形成した部分である。
図3Bに示すように、スプール91を移動して、第1接続部91aを第2内部油路93bと第3内部油路93cとの両方に重複(対応)させる。即ち、第1切換弁71(スプール91)が第2位置71bである場合、第1接続部91aは、第2内部油路93bと第3内部油路93cを接続することができる。
図3Aに示すように、スプール91を移動して、第1接続部91aを第3内部油路93cのみに重複(対応)させる。即ち、第1切換弁71が第1位置71aである場合、第1接続部91aは、第2内部油路93bと第3内部油路93cとの接続を遮断することができる。
【0038】
また、
図3Aに示すように、スプール91を移動して、第2接続部91bを第1内部油路93a、第2内部油路93b及び第4内部油路93dのそれぞれに重複(対応)させる。即ち、第1切換弁71が第1位置71aである場合、第2接続部91bは、第1内部油路93a、第2内部油路93b及び第4内部油路93dを接続することができる。
図3Bに示すように、スプール91を移動して、第2接続部91bが第2内部油路93bに重複しないようにする。即ち、第1切換弁71が第2位置71bである場合、第2接続部91bは、第1内部油路93aと第2内部油路93bとの連通を遮断することができる。
【0039】
言い換えれば、スプール91において、第1接続部91aと第2接続部91bとの間に設けられた凸状の閉鎖部91cを第4内部油路93dに重複(対応)させることによって、第1内部油路93aと第2内部油路93bとの連通を遮断することができる。
さて、スプール91は、連通油路96を有している。連通油路96は、受圧部92(受圧室92b)が受圧した作動油を第1内部油路93aに流す油路である。
図2、
図3A及び
図3Bに示すように、連通油路96は、スプール91の一方(長手方向の一方側)に設けられた受圧部92と、スプール91の他方(長手方向の他方側)に設けられた第1内部油路93aとを連通する油路である。詳しくは、連通油路96は、スプール91の一端側
の外面(側方面)を中心から径方向に延びる第1連通路96aと、第1連通路96aに連通し且つスプール91の内部を一方側から他方側に延びる第2連通路96bと、第2連通路96aに連通し且つスプール91の内部を径方向に延びる第3連通路96cとを含んでいる。
【0040】
第1連通路96aは、一又は複数であって、一端側(径内側)は第2連通路96bに連通していて他端側(径外側)はスプール91の外周面に達している。第1連通路96aは、スプール91の側方面にU字形、V字形、チャンネル型等の溝を形成することにより構成されている。
図4A〜
図4Cに示すように、第1連通路96aが複数である場合、当該複数の第1連通路96aは、スプール91の周方向に等間隔(60deg毎、45deg毎、90deg毎)に配置されている。つまり、複数の第1連通路96aは、スプール91の中心を通る直線に対して線対称に配置されている。なお、第1連通路96aは、1本、3本等の奇数であってもよい。
【0041】
第2連通路96bは、スプール91の中心(断面中心)を長手方向に沿って延びている。第2連通路96bの一端は、第1連通路96aに連通している。第2連通路96bの他端は、第2接続部91bに対応する位置まで延びている。
第3連通路96cは、一又は複数であって、一端側(径内側)は第2連通路96bに連通していて他端側(径外側)は、スプール91の外周面に達していて、第2接続部91bに連通している。なお、
図4D〜
図4Fに示すように、第3連通路96cが複数である場合、当該複数の第3連通路96cは、スプール91の周方向に等間隔(60deg毎、45deg毎、90deg毎)に配置されている。つまり、複数の第3連通路96cは、スプール91の中心を通る直線に対して線対称に配置されている。
【0042】
図2に示すように、第3連通路96cは、付勢部材95を収容する収容室に連通する第4連通路96dに連通している。第4連通路96dは、収容室に溜まった作動油を第3連通路96cに案内する油路である。
以上によれば、第2切換弁72を第2位置72bに切り換えれば、第3油圧ポンプP3から吐出したパイロット油が第2パイロット油路46及び第1パイロット油路49を通じて、第1切換弁71の受圧部92(受圧室92b)に供給される。このとき、
図3Bに示すように、受圧室92に供給されたパイロット油の一部は、第1連通路96aによって第2連通路96bに案内され、第2連通路96bに入った作動油は、第3連通路96cを通過して、第1内部油路93a及び排出油路(第3ポート71C、第4ポート71D)に排出される。これにより、スプール91が第1位置71aから第2位置72bに移動する速度を低下させることができるため、作動油を増量する際の第1切換弁71の衝撃を緩和することができる。即ち、スプール91の形状を変更するだけで、作動油を増量する際の第1切換弁71の衝撃を緩和することができるため、従来に比べて部品点数を低減することが可能である。
[第2実施形態]
図5Aは、第2実施形態を示す油圧システムを示している。第2実施形態では、主として、第1実施形態と異なる構造について説明する。第2実施形態は、第1切換弁71のスプール91に第1実施形態で示した連通油路96を設けずに、その代わり、第2切換弁72の加工により作動油を増量する際の第1切換弁71の衝撃を緩和している。
【0043】
具体的には、第2切換弁72は、第5内部油路76aと、第6内部油路76bと、絞り部76cとを有している。第5内部油路76aは、第2切換弁72の本体に形成された油路であって、第2位置72bにおいて第1ポート72Aと第2ポート72Bとを接続する油路である。また、第6内部油路76bは、第2切換弁72の本体に形成された油路であって、第2位置72bにおいて第5内部油路76aに連通し且つ第3ポート(排出ポート)72Cに連通する油路である。絞り部76cは、第6内部油路76bの中途部に設けられていて、作動油を低減する。
【0044】
絞り部76cは、第6内部流路76bの一部の内径を他の部分の内径よりも小さくすることにより構成してもよいし、径の異なる部材を第6内部流路76bに設けることにより構成してもよいし、その他の方法によって構成してもよい。また、第2パイロット油路4
6において、第2切換弁72の第1ポート72Aの近傍にパイロット油の流量を低減させる絞り部97が設けられている。
【0045】
以上によれば、第2切換弁72を第2位置72bにした場合、第1ポート72Aから導入されたパイロット油は第5内部油路76aを通って第2ポート72Bから第1パイロット油路49に流れる。このとき、第5内部油路76aを通過するパイロット油の一部は第6内部油路76bを通って第3ポート72Cから排出路48に排出される。これにより、第1作動弁71の受圧部92(受圧室92b)に作用するパイロット油の圧力が軽減されるため、作動油を増量する際の第1切換弁71の衝撃を緩和することができる。
【0046】
図5B、
図5C及び
図5Dは、上述した実施形態の変形例を示している。
図5Bは、第1切換弁71及び第2切換弁72の排出路を別々にした油圧システム(油圧回路)を示している。
図5Bに示すように、第1切換弁71の第3ポート71C及び第4ポート71Dに排出路100が接続されている。第2切換弁72の第3ポート72C及び第4ポート72Dに排出路101が接続されている。また、第2増量油路73bの中途部には、排出路102が接続されている。排出路102は、排出路100に接続されていて、中途部にリリーフ弁103が接続されている。また、第2増量油路73bにおいて、排出油路102が接続される接続部102aから第1油路41側(下流側)には、逆止弁104が接続されている。逆止弁104は、第2油路73から第1油路41へ向かう作動油を許容し且つ第1油路41から第2油路73へと向かう作動油を阻止する。
【0047】
図5Cは、第2増量油路73bにリリーフ弁105を設けた油圧システム(油圧回路)を示している。
図5Cに示すように、例えば、第2油路73の第2増量油路73bを中途部で分岐し、分岐油路にリリーフ弁105が設けられている。なお、第2油路73の第2増量油路73bに逆止弁106を設けてもよい。逆止弁106は、第2油路73から第1油路41へ向かう作動油を許容し且つ第1油路41から第2油路73へと向かう作動油を阻止する。
【0048】
図5Dは、第1増量油路73aにリリーフ弁107を設けた油圧システム(油圧回路)を示している。
図5Dに示すように、例えば、第2油路73の第1増量油路73aを中途部で分岐し、分岐油路にリリーフ弁107が設けられている。なお、
図5C及び
図5Dに示したように、第1増量油路73a及び第2増量油路73bのいずれか一方にリリーフ弁を設けている。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、上述した実施形態では作動油の排出先は作動油タンク29であったが、適正に作動油を排出できる箇所であれば何でもよく、例えば、油圧ポンプの吸込み部であってもよいし、その他の箇所であってもよい。