特開2018-160415(P2018-160415A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-160415(P2018-160415A)
(43)【公開日】2018年10月11日
(54)【発明の名称】医療用ヘッドライト
(51)【国際特許分類】
   F21L 4/00 20060101AFI20180914BHJP
   A61B 90/30 20160101ALI20180914BHJP
   F21L 4/02 20060101ALI20180914BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20180914BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20180914BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20180914BHJP
   F21W 131/20 20060101ALN20180914BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20180914BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180914BHJP
【FI】
   F21L4/00 510
   A61B90/30
   F21L4/02
   F21V19/00 170
   F21V19/00 150
   F21V19/00 450
   F21V29/503
   F21V29/74
   F21W131:20
   F21Y113:10
   F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-58025(P2017-58025)
(22)【出願日】2017年3月23日
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(71)【出願人】
【識別番号】391025512
【氏名又は名称】ウシオライティング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517103463
【氏名又は名称】株式会社鳥取スター電機
(71)【出願人】
【識別番号】504360118
【氏名又は名称】神戸バイオメディクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 喜三
(72)【発明者】
【氏名】松岡 智巳
(72)【発明者】
【氏名】前田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】白岩 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】植田 誠
(72)【発明者】
【氏名】里 和也
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA05
(57)【要約】
【課題】無影灯が設置されていない環境下でも、医師が医療行為を行うのに十分な照明環境を実現することのできる医療用ヘッドライトを提供する。
【解決手段】医療用ヘッドライトは、オペレータの頭部に装着可能に構成された、湾曲形状を示すヘッドバンドと、ヘッドバンドよりも外側に位置した状態で、ヘッドバンドの少なくとも2箇所に設けられた固定部に対して連結されており、LED素子が実装された、本体部とを備える。本体部は、LED素子が実装された発光面を複数有する。複数の発光面は、当該複数の前記発光面から射出される光束の光軸が、実質的に同一の箇所で交差するように配置されている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータの頭部に装着可能に構成された、湾曲形状を示すヘッドバンドと、
前記ヘッドバンドよりも外側に位置した状態で、前記ヘッドバンドの少なくとも2箇所に設けられた固定部に対して連結されており、LED素子が実装された、本体部とを備え、
前記本体部は、前記LED素子が実装された発光面を複数有し、
複数の前記発光面は、当該複数の前記発光面から射出される光束の光軸が、実質的に同一の箇所で交差するように配置されていることを特徴とする医療用ヘッドライト。
【請求項2】
2以上の前記発光面は、相互に、前記光軸が交差する位置を中心とした異なる円周上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用ヘッドライト。
【請求項3】
複数の前記発光面は、前記本体部の形状に沿った所定方向に並べられており、
複数の前記発光面のうち、前記所定方向に関して端部に配置された前記発光面は、前記所定方向に関して中央部に配置された前記発光面よりも、前記光軸が交差する位置からの距離が遠いことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用ヘッドライト。
【請求項4】
前記本体部は、段差状に形成された複数の平坦面を有し、
複数の前記発光面のそれぞれが、複数の前記平坦面上に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用ヘッドライト。
【請求項5】
前記本体部は、フレキシブル基板を有し、
複数の前記平坦面は、前記フレキシブル基板が複数回折れ曲げられることで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の医療用ヘッドライト。
【請求項6】
前記本体部は、前記発光面とは反対側の面にフィンを備え、
前記オペレータの頭部に前記ヘッドバンドが装着された状態において、前記フィンは、前記ヘッドバンドに対して離間を有した位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用ヘッドライト。
【請求項7】
前記本体部は、前記フレキシブル基板の、前記LED素子が実装されている側とは反対側の面にフィンを備えたことを特徴とする請求項5に記載の医療用ヘッドライト。
【請求項8】
前記本体部と前記ヘッドバンドとの結合状態を調整可能なヒンジ部を有し、
前記本体部は、前記ヘッドバンドに対して上下方向に回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用ヘッドライト。
【請求項9】
前記光軸が交差する位置において、2以上の前記発光面から射出される光束の照射領域の面積が相互に異なっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療用ヘッドライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用ヘッドライトに関し、特に医療従事者が手術などの医療行為を行う際に使用する医療用ヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、手術室には、術野を照明するための装置として、無影灯が設置されている。また、細かい作業を必要とする場合には、オペレータ(手術者、医師)の頭部に装着して部分的に術野を照明する医療用ヘッドライトが併用されることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−51900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の医療用ヘッドライトは、無影灯と共に補助的に利用されることが想定されており、院外で利用することは想定されていなかった。例えば被災時における避難所などの野外や、救急車両内など、無影灯がそもそも存在しない場所において、従来の医療用ヘッドライトを用いて医師が手術などの医療行為を行うには、照度が不十分であり、配光のムラが存在していた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、無影灯が設置されていない環境下でも、医師が医療行為を行うのに十分な照明環境を実現することのできる医療用ヘッドライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る医療用ヘッドライトは、
オペレータの頭部に装着可能に構成された、湾曲形状を示すヘッドバンドと、
前記ヘッドバンドよりも外側に位置した状態で、前記ヘッドバンドの少なくとも2箇所に設けられた固定部に対して連結されており、LED素子が実装された、本体部とを備え、
前記本体部は、前記LED素子が実装された発光面を複数有し、
複数の前記発光面は、当該複数の前記発光面から射出される光束の光軸が、実質的に同一の箇所で交差するように配置されている。
【0007】
上記の構成によれば、各発光面から射出される光束の光軸が、実質的に同一の箇所で交差するように配置されているため、前記光軸が交差する箇所を含む領域において極めて高い照度が実現される。
【0008】
オペレータが医療行為を行う場合、自己の頭部と患者の術野との距離はおよそ一定の範囲内となる。つまり、オペレータが、ヘッドバンドを自己の頭部に装着して医療用ヘッドライトを使用する場合において、本体部に実装されたLED素子と照明領域との間の距離はほぼ一定の範囲内である。例えば、この距離は400mm以上800mm以下の範囲内である。従って、発光面から前記距離だけ前方の位置において、各発光面から射出される光束の光軸が交差するように、発光面の位置又は角度を調整しておくことで、無影灯がない環境下においても医療行為を行うに足りる照度が実現可能となる。
【0009】
なお、複数の発光面から射出される光束の光軸が「実質的に同一の箇所で交差する」とは、各光束の光軸が完全に同一点において交差する場合はもちろんのこと、近傍の領域において複数の光束の光軸が交差している場合を含む概念である。ここでいう「近傍の領域」とは、当該位置における光束の照射領域の幅に対して10%以下の距離でずれている領域を指す。
【0010】
2以上の前記発光面は、相互に、前記光軸が交差する位置を中心とした異なる円周上に配置されているものとしても構わない。
【0011】
また、上記医療用ヘッドライトにおいて、
複数の前記発光面は、前記本体部の形状に沿った所定方向に並べられており、
複数の前記発光面のうち、前記所定方向に関して端部に配置された前記発光面は、前記所定方向に関して中央部に配置された前記発光面よりも、前記光軸が交差する位置からの距離が遠いものとしても構わない。
【0012】
かかる構成とすることで、各発光面が、オペレータの頭部の形状に合った形状で配置される。このため、オペレータがこの医療用ヘッドライトを装着した状態で医療行為を行っても、当該ヘッドライトが医療行為の妨げになることが抑制される。
【0013】
複数の前記発光面は、第一色温度の第一LED素子と、第二色温度の第二LED素子とを有し、
前記第一LED素子、及び前記第二LED素子に対して、個別に供給電流量の調整が可能に構成されているものとしても構わない。
【0014】
かかる構成とすることで、色温度の異なる光が同一の領域に照射されるため、照射領域における色ムラが抑制される。また、かかる構成の下で、第一LED素子、第二LED素子に対して個別に供給電流量を調整することで、色ムラを抑制しながら、照射領域における色温度を調整することができる。
【0015】
前記本体部は、段差状に形成された複数の平坦面を有し、
複数の前記発光面のそれぞれが、複数の前記平坦面上に形成されているものとしても構わない。
【0016】
このとき、前記本体部は、フレキシブル基板を有し、
複数の前記平坦面は、前記フレキシブル基板が複数回折れ曲げられることで形成されているものとしても構わない。
【0017】
前記医療用ヘッドライトは、
前記本体部と前記ヘッドバンドとの結合状態を調整可能なヒンジ部を有し、
前記本体部は、前記ヘッドバンドに対して上下方向に回動可能に構成されているものとしても構わない。
【0018】
前記本体部は、前記発光面とは反対側の面にフィンを備え、
前記オペレータの頭部に前記ヘッドバンドが装着された状態において、前記フィンは、前記ヘッドバンドに対して離間を有した位置に配置されているものとしても構わない。
【0019】
また、別の構成として、前記本体部は、前記フレキシブル基板の、前記LED素子が実装されている側とは反対側の面にフィンを備えるものとしても構わない。
【0020】
上記医療用ヘッドライトは、無影灯がない状態でも十分な照度が実現できるように構成されている。このため、発光面に備えられたLED素子は高輝度の素子が利用されることが想定されるところ、当該発光面は発光中に高温になることが想定される。上記構成によれば、頭部と離間した位置にフィンが設けられるため、オペレータがこの医療用ヘッドライトを装着して医療行為を行っている場合に、顔や頭部が熱くなる事態が回避できる。
【0021】
前記医療用ヘッドライトにおいて、前記光軸が交差する位置において、2以上の前記発光面から射出される光束の照射領域の面積が相互に異なっているものとしても構わない。より詳細には、2以上の前記発光面から射出される光束の発散角を異ならせるものとして構わない。発散角を異ならせる方法としては、例えば発光面に、LED素子と共に光学部材を設け、光学部材の設計を適宜調整することで実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の医療用ヘッドライトによれば、無影灯が設置されていない環境下でも、医師が医療行為を行うのに十分な照明環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】医療用ヘッドライトの一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3】医療用ヘッドライトの使用状況を模式的に示す図面である。
図4】発光面が形成されている本体部の構成を模式的に示す図面である。
図5A】発光面が形成されていない本体部の構成を模式的に示す斜視図である。
図5B】発光面が形成されていない本体部の構成を模式的に示す平面図である。
図6】医療用ヘッドライトの制御内容を模式的に示すブロック図である。
図7A】別実施形態の、発光面が形成されていない本体部の構成を模式的に示す斜視図である。
図7B】別実施形態の、発光面が形成されていない本体部の構成を模式的に示す平面図である。
図8】別実施形態の、発光面が形成されている本体部の構成を模式的に示す図面である。
図9】別実施形態の医療用ヘッドライトにおいて、異なる発光面から射出された光束が照射される領域の相違を模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る医療用ヘッドライトの実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、あくまで医療用ヘッドライトの一実施形態を示すものであって、本発明を図示された構造に限定する趣旨ではない。また、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
【0025】
図1は、医療用ヘッドライトの一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1の一部分を拡大して模式的に示す斜視図である。医療用ヘッドライト1は、ヘッドバンド3と、本体部5と、制御ボックス10とを備える。本体部5には、複数のLED素子7が実装されている。なお、図2に示すように、本体部5において、LED素子7が配置されている側の裏側には、冷却用のフィン9が設けられている。
【0026】
本実施形態では、本体部5には、電球色(第一色温度)のLED素子7aと、白色(第二色温度)のLED素子7bとがそれぞれ複数実装されている。電球色のLED素子7aに対して供給される電流量と、白色のLED素子7bに対して供給される電流量の比率が調整されることで、発光色の色温度が調整可能に構成されている。なお、図1では、電球色のLED素子7aに対してハッチングが施されている。
【0027】
図1に示すように、本体部5は湾曲した帯形状を示している。この本体部5の形状に沿って、すなわち、方向d1に沿って複数の発光面60が形成されている。各発光面60は、上述したように複数の(ここでは4個の)LED素子7で構成されている。なお、各発光面60が単独のLED素子7で構成されていても構わない。
【0028】
ヘッドバンド3は、オペレータの頭部に装着できるよう、湾曲形状を示している。図3は、実際にオペレータ40が医療用ヘッドライト1を装着して、載置台41上に載置された患者43に対して医療行為を行っている様子を模式的に示す図面である。
【0029】
本実施形態では、本体部5は、2箇所に設けられた固定部4によってヘッドバンド3と固定的に連結されている。本体部5は、固定部4によって連結された状態の下で、ヘッドバンド3よりも外側に位置している。また、本体部5には角度調整用ツマミ8が設けられており、このツマミ8を緩めることで、オペレータ40の頭部を中心として、本体部5を上下方向に回動させることができる。これにより、LED素子7から射出される光束50(図3参照)の向きが調整できる。本実施形態におけるツマミ8が「ヒンジ部」に対応する。
【0030】
制御ボックス10は、ケーブル23を介して本体部5に対して接続されている。制御ボックス10には、後述される制御部などを備えており、制御部によって決定された量の電流がケーブル23を介して本体部5に供給される。この制御ボックス10から送られる電流量が制御されることで、LED素子7の発光制御が行われる。
【0031】
本体部5は、フェースガード21を備えている。医療行為中に患者43から血液などの体液が飛散するおそれがある。フェースガード21は、この体液がオペレータ40の顔面に付着するのを防止する目的で設けられている。
【0032】
本実施形態において、各発光面60は、当該発光面60から射出される光束の光線が一点で交わるように設計されている。図4は、発光面60が形成されている本体部5の構成を模式的に示す図面である。図4に示す例では、方向d1に沿って6つの発光面60が本体部5に形成されている例が図示されている。そして、方向d1に関し、発光面60a、発光面60b、発光面60cの順に、中央部から端部に近づくように配置されている。図4において、長破線によって各発光面60から射出される光束の光軸が図示されている。なお、本実施形態では、発光面60が方向d1に沿って、左右対称にそれぞれ3つずつ並べられている場合を説明するが、この態様はあくまで一例である。すなわち、発光面60の配置数は6に限定されるものではなく、また、各発光面60が左右非対称に配置されていても構わない。
【0033】
図4によれば、発光面60aから射出される光束の光軸61a、発光面60bから射出される光束の光軸61b、及び発光面60cから射出される光束の光軸61cは、いずれも微小領域62において交差している。つまり、この微小領域62の位置を照明領域51(図3参照)に含めることで、照明領域51は極めて高い照度となる。なお、図4では、図面上左半分の領域に配置された発光面60についてのみ議論しているが、右半分の領域に配置された発光面60についても同様である。
【0034】
図4では、発光面60のうち、方向d1に関して端部に近い位置に配置された発光面60cは、中央部に近い位置に配置された発光面60aよりも、微小領域62からの距離が遠い位置に配置されている。すなわち、微小領域62から見て、発光面60cは、発光面60aよりも奥まった箇所に位置している。このような構成とすることで、本体部5の形状を、オペレータ40の頭部の形状に沿わせることが可能となり、オペレータ40の医療行為の妨げになることが抑制される。
【0035】
このように構成する具体的な方法の一例としては、各発光面60を、微小領域62、より詳細には、各光軸61の交点を中心とした円周上に配置することで実現される。図4では、微小領域62内の一点を中心とした、円周c1上に発光面60aが配置され、円周c2上に発光面60bが配置され、円周c3上に発光面60cが配置されている場合が例示されている。
【0036】
図5A及び図5Bは本実施形態における本体部5の構造を模式的に示す図面であり、図5Aは斜視図、図5Bは平面図に対応する。なお、図5A及び図5Bでは、LED素子7を含む発光面60を実装していない状態の図面である。この本体部5は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、銅合金などの金属部材70にて一体成型されることで構成される。
【0037】
図5A及び図5Bに示すように、この金属部材70は、一方の側に複数の平坦面71を有し、隣接する平坦面71同士は横リブ72で連結されている。そして、本体部5は、平坦面71とは反対側に形成されたフィン9を備えている。このような構成とすることで、各平坦面71に、LED素子7を含む発光面60を安定的に実装することが可能となる。また、横リブ72が形成されていることで、各平坦面71の相互の位置関係は安定的に保持される。これにより、オペレータ40が実際にヘッドライト1を装着し、本体部5を上下方向に回動させて、各発光面60から射出される各光束の進行方向を調整する動作を行っても、各光束の光軸61同士の位置関係は保持される。すなわち、図4を参照して上述したように、各光軸61は、ほぼ一点(微小領域62)において交差された状態が保持される。
【0038】
図5A及び図5Bに示されるような複数の平坦面71上に、発光面60を形成するに際しては、例えば、複数のLED素子7が実装されたフレキシブル基板を複数回折り曲げて、平坦面71及び横リブ72に沿わせる形で配置することで実現できる。
【0039】
図1に戻り、本体部5はマイク22を備える。オペレータ40がマイク22を通して所定の音声を入力すると、制御ボックス10内において、当該音声信号に基づく制御が実行される。この制御内容については後述される。
【0040】
医療用ヘッドライト1は、バッテリーボックス25を備えている。バッテリーボックス25内には、図示しないバッテリーが内蔵されている。バッテリーボックス25には充電用コネクタ26が備えられており、このコネクタ26を介して図示しないケーブルを接続することで、例えば商用電源から内蔵バッテリーに対して充電できる。バッテリーボックス25に内蔵されているバッテリーは、バッテリーケーブル27を介して制御ボックス10と電気的に接続されている。制御ボックス10内に設けられた制御部を初めとする電子部品、及び本体部5に実装されている各LED素子7は、バッテリーボックス25に内蔵されたバッテリーから電力が供給される。ただし、医療用ヘッドライト1は、コネクタ26にケーブルが接続されることで、商用電源から直接、各部品に対して電力が供給される構成を排除しない。
【0041】
バッテリーボックス25には、バッテリー残量を表示するための残量表示部28と、所定の残量以下になった場合にその旨の音声信号を出力するための残量警告スピーカ29とを備えている。例えば、残量表示部28は、赤・黄・緑の3色の発光部を備えており、バッテリー残量が50%以上存在する場合には緑色光を発し、20%以上50%未満の場合には黄色光を発し、20%未満の場合には赤色光を発するように構成されている。なお、残量表示部28は、モニタを備え、バッテリー残量を%値で表示する構成であっても構わない。
【0042】
制御ボックス10は、筐体の外面に、主電源31、音声認識オンオフ切替スイッチ32、調光用ツマミ33、音声認識インジケータ35、音声認識アンサーバックスピーカ36を設けている。
【0043】
主電源31は、例えばオペレータ40によって操作されると、制御ボックス10内の制御部(後述される)に対して通電が開始される。これにより、医療用ヘッドライト1は動作可能な状態となる。音声認識オンオフ切替スイッチ32は、マイク22を介してオペレータ40から入力された音声信号に基づいて制御を行うか否かを選択するためのスイッチである。音声認識インジケータ35は、マイク22を介してオペレータ40から入力された音声信号を認識して、制御部に対してその音声信号に応じた指示信号を出力する。音声認識アンサーバックスピーカ36は、マイク22を介してオペレータ40から入力された音声信号が正しく認識できなかった場合に、その旨の警告に対応する音声信号を出力するスピーカである。なお、音声認識インジケータ35がオペレータ40から入力された音声信号を正しく認識できた場合であっても、音声認識アンサーバックスピーカ36からその旨の音声信号を出力する構成としても構わない。
【0044】
本実施形態において、調光用ツマミ33は、電球色のLED素子7aの調光を行うためのツマミ33aと、白色のLED素子7bの調光を行うためのツマミ33bとを含む。ツマミ33aが操作されることで、光束50に含まれる光のうちの電球色の光量が増減され、ツマミ33bが操作されることで、光束50に含まれる光のうちの白色の光量が増減される。すなわち、ツマミ33a及びツマミ33bが個別に操作されることで、照明領域51(図3参照)に照射される光の色温度が調整され得る。
【0045】
図6は、医療用ヘッドライト1の制御内容を模式的に示すブロック図である。図6に示すように、制御ボックス10内には、制御部11が備えられている。なお、図1図3を参照して上述したように、制御ボックス10の筐体の外面には、主電源31、音声認識オンオフ切替スイッチ32、調光用ツマミ33、及び音声認識インジケータ35が設けられている。
【0046】
制御部11は、電流量決定部12と給電部13を備える。電流量決定部12は、各発光面60を構成するLED素子7(7a,7b)に対して供給する電流量を決定する。給電部13は、電流量決定部12で決定された電流量に関する情報が入力され、実際に当該電流量の電流をケーブル23に対して出力する。電流量決定部12は、例えばCPUやマイコンなどで構成され、給電部13は例えばドライバで構成される。給電部13は、バッテリーボックス25に内蔵されたバッテリーとバッテリーケーブル27を介して電気的に接続されており、当該バッテリーから電力が供給される。
【0047】
オペレータ40は、図3に示すようにヘッドバンド3を頭部に装着し、主電源31をオンにする。制御部11(電流量決定部12)は、主電源31がオン状態になったことを検知すると、初期時点におけるLED素子7に対する電流量を決定する。このとき、制御ボックス10は、初期時点においてLED素子7に対して供給する電流量に関する情報が保持された記憶部を備え、電流量決定部12が記憶部から前記情報を読み出して電流量を決定するものとしても構わない。
【0048】
給電部13は、電流量決定部12によって決定された電流量の電流をケーブル23に出力する。これにより、LED素子7が発光する。
【0049】
ところで、オペレータ40によっては、患者43に対する医療行為の実行中において、意図的に術野(照明領域51)の照度を上昇又は低下させたい場合があり得る。本実施形態の医療用ヘッドライト1は、このような事情に鑑み、音声認識機能が実装されている。
【0050】
音声認識オンオフ切替スイッチ32がオン状態である場合、音声認識インジケータ35はマイク22からの音声信号を受信すると、この音声信号を所定の制御信号に変換して制御部11に出力する。例えば、オペレータ40がマイク22を使って「アップ」と発言すると、音声認識インジケータ35は「アップ」という音声信号を受信し、制御部11に対してLED素子7に対する供給電流量を所定値だけ上昇する旨の指示信号に変換して出力する。制御部11は、当該信号を受信すると、LED素子7に対する供給電流量を前記所定値だけ上昇させる。これにより、照明領域51の照度が上昇する。例えば、オペレータ40が、マイク22を使って「アップ」などの所定の文言を繰り返し発言することで、照度が更に高められるものとすることができる。
【0051】
同様に、例えば、オペレータ40がマイク22を使って「ダウン」と発言することで、制御部11は、LED素子7に対する供給電流量を所定値だけ低下させる。これにより、照明領域51の照度が低下する。例えば、オペレータ40が、マイク22を使って「ダウン」などの所定の文言を繰り返し発言することで、照度が更に低下されるものとすることができる。
【0052】
また、オペレータ40によっては、患者43に対する医療行為の実行中において、意図的に術野(照明領域51)の色温度を上昇又は低下させたい場合があり得る。このような場合にも、音声認識機能を利用することができる。例えば、オペレータ40がマイク22を使って「ホワイト」と発言すると、音声認識インジケータ35は「ホワイト」という音声信号を受信し、制御部11に対して、電球色のLED素子7aの輝度値に対する、白色LED素子7bの輝度値の比率を所定値だけ上昇する旨の指示信号に変換して出力する。制御部11は、当該信号を受信すると、前記輝度値の比率が前記所定値だけ上昇するように、LED素子7(7a,7b)に対する供給電流量を変更する。同様に、例えば、オペレータ40がマイク22を使って「オレンジ」と発言することで、白色LED素子7bの輝度値に対する、電球色のLED素子7aの輝度値の比率が所定値だけ上昇するように、LED素子7(7a,7b)に対する供給電流量を変更する。
【0053】
また、オペレータ40がマイク22を使って「ホワイト」又は「オレンジ」のような所定の文言を繰り返し発言することで、照明領域51の色温度が連続的(断続的)に変化できるものとしても構わない。
【0054】
なお、医療行為中にオペレータ40が行った発言が、誤って音声認識インジケータ35によって認識されてしまい、照明領域51の照明の態様が意図せず変化するおそれも考えられる。このような事態を避ける目的で、音声認識オンオフ切替スイッチ32が設けられている。音声認識オンオフ切替スイッチ32を予めオフにしておくことで、音声認識機能を解除することできる。
【0055】
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
【0056】
〈1〉上述した実施形態では、本体部5は、発光面60が形成されている側とは反対側にフィン9が形成されているものとして説明した。しかし、本体部5の面のうち、発光面60とは同一側であって、発光面60の裏側にフィン9が形成されているものとしても構わない。
【0057】
図7A及び図7Bは、別実施形態の本体部5の構成を模式的に示す図面であり、図7Aが斜視図、図7Bが平面図に対応する。この構成では、本体部5は、支持部材81と、支持部材81は別の部材からなる板部材82を有している。支持部材81と板部材82とは、中央部においてネジ部85によって固定されており、この支持部材81と板部材82との間にフィン9が形成されている。
【0058】
このような構成であっても、フィン9の位置と、オペレータ40の頭部との位置を離間させることができるため、オペレータ40が医療行為を行っている最中に、顔や頭部が熱くなることが抑制される。
【0059】
〈2〉上述の実施形態では、各発光面60から射出される光束の光軸61がほぼ一点、すなわち微小領域62において交差するように発光面60が配置されるものとして説明した。しかし、このことは、本発明から、当該微小領域62を通過しない光軸を有した別の発光面(補助光源)を備えることを排除する趣旨ではない。
【0060】
図8は、別実施形態における、本体部5の構成を模式的に示す図面である。図8に示す構成では、本体部5には、発光面60とは別の補助用発光面91を備えている。この補助用発光面91は、発光面60から射出される光束の光軸61とは異なり、射出光束の光軸92は、微小領域62を通過しない。ここでは、補助用発光面91から射出される光束が、ほぼ直進する場合が図示されている。例えば、このような態様で構成されることで、補助用発光面91から射出される光束によって、術野ではなく遠方が照明され、例えば暗部において医療用具、その他の物品を探すための照明として利用することができる。
【0061】
〈3〉各発光面60(60a,60b,60c)において、発散角を異ならせることで配光分布を異ならせても構わない。図9は、発光面60aと発光面60cにおいて、発散角を異ならせた場合の照射態様の相違を模式的に示す図面である。図9の例では、方向d1に関して端部に位置する発光面60cの発散角が、中央部に位置する発光面60aの発散角よりも広くなるように設計されている。この場合、光軸61aと光軸61cとが交差する箇所(微小領域62)の位置において、発光面60cから射出された光束による照射領域64cは、発光面60aから射出された光束による照射領域64aよりも広くなる。
【0062】
〈4〉上述した医療用ヘッドライト1の構造はあくまで一例であり、種々の変更が可能である。具体的には以下の通りである。
【0063】
上述した実施形態では、本体部5は、4個のLED素子7からなる発光面60を複数備え、それぞれの発光面60が段差を有して配置されている場合について説明した。しかし、この態様は一例である。例えば、本体部5に備えられた全ての発光面60が、同一平面又は同一曲面上に配置されていても構わない。
【0064】
本体部5において、LED素子7の裏面側にフィン9を設けるか否かは任意である。医療用ヘッドライト1がフェースガード21を備えるか否かは任意である。バッテリーボックス25が、残量表示モニタ28及び残量警告スピーカ29を備えるか否かは任意である。制御ボックス10がバックアンサースピーカ35を備えるか否かは任意である。
【0065】
医療用ヘッドライト1は、バッテリーボックス25を備えず、商用電源から電力が供給されることで駆動する構成とすることも可能である。
【0066】
ヘッドバンド3と本体部5とを連結するための固定部4は、3箇所以上に設けられていても構わない。
【0067】
〈5〉上記実施形態では、医療用ヘッドライト1が音声認識機能を有している場合を想定して説明した。しかし、医療用ヘッドライト1が音声認識機能を備えないものとしても構わない。
【0068】
〈6〉上述したように、医療用ヘッドライト1は、無影灯が存在しない環境下においても照射領域51(術野)に対して医療行為を行うのに十分な照度の光を提供することができる構成である。しかし、本発明は、この医療用ヘッドライト1が、無影灯と共に利用される態様を排除する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0069】
1 : 医療用ヘッドライト
3 : ヘッドバンド
4 : 固定部
5 : 本体部
7 : LED素子
7a : 電球色LED素子
7b : 白色LED素子
8 : 角度調整用ツマミ
9 : フィン
10 : 制御ボックス
11 : 制御部
12 : 電流量決定部
13 : 給電部
16 : タイマ
21 : フェースガード
22 : マイク
23 : ケーブル
25 : バッテリーボックス
26 : 充電用コネクタ
27 : バッテリーケーブル
28 : 残量表示部
29 : 残量警告スピーカ
31 : 主電源
32 : 音声認識オンオフ切替スイッチ
33 : 調光用ツマミ
33a : 電球色調光用ツマミ
33b : 白色調光用ツマミ
35 : 音声認識インジケータ
36 : 音声認識アンサーバックスピーカ
40 : オペレータ
41 : 載置台
43 : 患者
50 : 光束
51 : 照明領域
60(60a,60b,60c) : 発光面
61(61a,61b,61c) : 光軸
62 : 微小領域
64(64a,64c) : 光束
70 : 金属部材
71 : 平坦面
72 : 横リブ
81 : 支持部材
82 : 板部材
85 : ネジ部
91 : 補助用発光面
92 : 補助用発光面の光軸
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9