特開2018-160726(P2018-160726A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-160726(P2018-160726A)
(43)【公開日】2018年10月11日
(54)【発明の名称】音声再生装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20180914BHJP
   H03F 3/217 20060101ALI20180914BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
   H03F3/217
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-55537(P2017-55537)
(22)【出願日】2017年3月22日
(11)【特許番号】特許第6235182号(P6235182)
(45)【特許公報発行日】2017年11月22日
(71)【出願人】
【識別番号】517100060
【氏名又は名称】中田 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100166132
【弁理士】
【氏名又は名称】木船 英雄
(72)【発明者】
【氏名】中田 宏
【テーマコード(参考)】
5D220
5J500
【Fターム(参考)】
5D220AA47
5J500AA02
5J500AA26
5J500AA66
5J500AC21
5J500AF20
5J500AK32
5J500AK33
5J500AK36
5J500AK62
5J500AS05
5J500AT01
(57)【要約】
【課題】パルス波形の歪みによる音質劣化を防止できる新規な音声再生装置の提供。
【解決手段】パルス処理器20と増幅器30と音響スピーカー40とを有し、前記駆動パルス処理器20は、PWM駆動パルス信号の各パルスPを複数の等幅パルスpに分割して出力する。これにより、パルスPの切換のタイミングでアンプ出力部分が瞬間的に短絡状態になるのを防止できる。また、歪が発生しても各パルスPを構成する等幅パルスpがすべて同じ形となるため、等幅パルスpの数に比例するエネルギーを安定して出力することが可能となり、音質劣化を確実に防止できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるPWM駆動パルス信号を処理するパルス処理器と、当該パルス処理器で処理したPWM駆動パルス信号を増幅してスピーカーを駆動する増幅器とを有し、
前記パルス処理器は、前記PWM駆動パルス信号の各パルスを複数の等幅パルスに分割して出力することを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
入力されるΔΣ駆動パルス信号を処理するパルス処理器と、当該パルス処理器で処理したΔΣ駆動パルス信号を増幅してスピーカーを駆動する増幅器とを有し、
前記パルス処理器は、前記ΔΣ駆動パルス信号のパルス幅を元のパルス幅よりも短くすることによって隣接する各パルス間に休止時間を設けて出力することを特徴とする音声再生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音声再生装置において、
前記パルス処理器と増幅器とを電磁シールドされたケース内に収容し、当該ケースをスピーカーボックス内に組み込んでなることを特徴とする音声再生装置。
【請求項4】
請求項2に記載の音声再生装置において、
前記ΔΣ駆動パルス信号をPCM信号から生成するΔΣ変調器を備え、当該ΔΣ変調器を前記パルス処理器および増幅器と共に、電磁シールドされたケース内に収容し、当該ケースをスピーカーボックス内に組み込んでなることを特徴とする音声再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PWM駆動パルス信号およびΔΣ駆動パルス信号によって音響スピーカーを駆動するための音声再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CDやDVDなどの音楽メディアに記録されているPCM(Pulse Code Modulation)入力信号を1ビットデジタル信号に変換するための方式として、パルス幅変調方式(PWM:Pulse Width Modulation)と、パルス密度変調方式(PDM:Pulse Density Modulation)が知られている。これら2つの方式のうち、現在はPWMが一般的に用いられているが、高い信号対ノイズ比(SNR:Single to Noie Ratio)を実現する場合には、ノイズシェーピング特性を有するΔΣ変調器を用いた方式が用いられている。
【0003】
PWM駆動パルスは、図8(A)に示すように2レベル間を規則的かつ瞬間的に変化する矩形波となるのが理想的であるが、実際には同図(B)に示すようにパルスの立ち上がりで緩やかに遅れる特性がある。これはパルスを生成するアナログの駆動素子(トランジスタ)はオンになっても出力が最大電流、最大電圧に達するまでに時間がかかるからであり、オンからオフに切り替わるときも同様に緩やかに変化する。この結果、同図(B)に示すように波形が乱れてしまい、以下に示すような問題が生ずる。
【0004】
すなわち、先ず出力がプラス、マイナスに切り替わるとき、同図(B)に示すように瞬間的に両方の駆動回路がオンになって電流が回路内で短絡してしまう。その結果、短絡している間の電力はスピーカーへ届かず、トランジスタを発熱させてしまうことがある。次に同図(B)の斜線部に示すようにパルスの角が歪みで欠けることによって出力されるエネルギーがトランジスタのオンオフ制御信号の長さと正確に比例しないため、エネルギーロスの比率が大きくなることがある。このため、例えば以下の特許文献1では、この駆動素子の遅れを見込んで同図(C)に示すようにパルスのオンオフの切り替えのタイミングに休止時間(デッドタイム)を設けることでこれらの問題を解決しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−128639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、PWM駆動パルスは、各パルスの長さが異なるため、前記のように駆動素子の影響によってパルスの角が欠る歪みが起こってエネルギーロスが発生した場合、そのエネルギーロスの比率はパルス毎に異なってくるため、スピーカーに伝わるエネルギーがパルスの幅に比例しなくなって音質に悪影響を及ぼすことがある。
【0007】
すなわち、図8(D)に示すように駆動素子の影響によるエネルギーロスは、パルス1つにつき毎回ほぼ等量になるため、パルス幅が大きい場合はそれほど影響を受けないが、パルス幅が小さくなるほど、つまり音量が小さくなるほどエネルギーロスの比率が大きくなり、スピーカーに伝わるエネルギーがパルスの幅に比例しなくなる。特にこの問題は、前記特許文献1のようにパルスのオンオフの切り替えのタイミングに休止時間を設けてもパルス幅が短くなったパルス(例えば、図8(D)のパルスP2)では影響が大きい。
【0008】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その主な目的は、パルス波形の歪みによる音質劣化を防止できる新規な音声再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために第1の発明は、入力されるPWM駆動パルス信号を処理するパルス処理器と、当該パルス処理器で処理したPWM駆動パルス信号を増幅してスピーカーを駆動する増幅器とを有し、前記パルス処理器は、前記PWM駆動パルス信号の各パルスを複数の等幅パルスに分割して出力することを特徴とする音声再生装置である。
【0010】
このようにPWM駆動パルス信号の各パルスを複数の等幅パルスに分割して出力することにより、パルスの切換のタイミングでアンプ出力部分が瞬間的に短絡状態になるのを防止できる。また、歪が発生しても各パルスを構成する等幅パルスがすべて同じ形となるため、等幅パルスの数に比例したエネルギーを安定して出力することができる。これによってPWM駆動パルス波形の歪みによる音質劣化を防止することが可能となり、音量が小さくなっても優れた高音質を発揮できる。
【0011】
第2の発明は、入力されるΔΣ駆動パルス信号を処理するパルス処理器と、当該パルス処理器で処理したΔΣ駆動パルス信号を増幅してスピーカーを駆動する増幅器とを有し、前記パルス処理器は、前記ΔΣ駆動パルス信号のパルス幅を元のパルス幅よりも小さくすると共に、隣接する各パルス間に休止時間を設けて出力することを特徴とする音声再生装置である。
【0012】
このような構成によれば、パルスの切換のタイミングでアンプ出力部分が瞬間的に短絡状態になるのを防止できると共に、第1の発明と同様に歪が発生しても毎回出力されるすべてのパルスが同じ形となるため、パルスの数に比例するエネルギーを安定して出力することができる。これによってΔΣ駆動パルス波形の歪みによる音質劣化を防止することが可能となり、音量が小さくなっても優れた高音質を発揮できる。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記パルス処理器と増幅器とを電磁シールドされたケース内に収容し、当該ケースをスピーカーボックス内に組み込んでなることを特徴とする音声再生装置である。このような構成によれば、パルス処理器や増幅器で発生する高周波ノイズを電磁シールドされたケースおよびスピーカーボックス内で確実に遮蔽できるため、高周波ノイズによる音質の悪化や周囲にある家電などへの悪影響を確実に防止できる。
【0014】
第4の発明は、第2の発明において、前記ΔΣ駆動パルス信号をPCM信号から生成するΔΣ変調器を備え、当該ΔΣ変調器を前記パルス処理器および増幅器と共に、電磁シールドされたケース内に収容し、当該ケースをスピーカーボックス内に組み込んでなることを特徴とする音声再生装置である。高周波ノイズは、ΔΣ駆動パルス信号をPCM信号から生成するΔΣ変調器においても発生するため、第3の発明と同様にこのΔΣ変調器をパルス処理器および増幅器と共に、電磁シールドされたケースおよびスピーカーボックス内に収容すれば、高周波ノイズによる音質の悪化や周囲にある家電などへの悪影響を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、パルスの切換のタイミングでアンプ出力部分が瞬間的に短絡状態になるのを防止できると共に、歪が発生しても各パルスがすべて同じ形となるため、パルスの数に比例するエネルギーを安定して出力することができる。これによってパルス波形の歪みによる音質劣化を防止することが可能となり、音量が小さくなっても優れた高音質を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る音声再生装置100の第1の実施形態を示す構成図である。
図2】第1の実施形態に係るパルス処理器20を示すブロック図である。
図3】パルス処理器20によるパルス処理の例を示すPWM駆動パルスを示す波形図である。
図4】本発明に係る音声再生装置100の第2の実施形態を示す構成図である。
図5】第2の実施形態に係るパルス処理器20を示すブロック図である。
図6】パルス処理器20によるパルス処理の例を示すΔΣ駆動パルスを示す波形図である。
図7】本発明に係る音声再生装置100の第3の実施形態を示す構成図である。
図8】従来のPWM駆動パルスを示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る音声再生装置100の第1の実施形態を示したものである。図示するようにこの音声再生装置100は、PWM変調器10と、パルス処理器20と、増幅器30と、音響スピーカー40とから構成されている。PWM変調器10は、公知の1ビットデジタル変調器の1つであり、CDやDVDなどのメディアに記録されたPCM信号(44.1KHz、16ビット)からオンとオフの信号列からなるPWM信号(パルス幅変調信号)を生成してパルス処理器20に出力するようになっている。
【0018】
増幅器30は、例えばフルブリッジと呼ばれる4つのトランジスタを組み合わせた公知のD級アンプであり、プラスの電源1つだけで音響スピーカー40に正負両方の電圧を印加ができるようになっている。音響スピーカー40は、電磁コイルと磁石とコーンとからなる公知のダイナミックスピーカーであり、増幅器30から出力された正負のデジタル信号を可聴域の音に変換して出力するようになっている。
【0019】
パルス処理器20は、図2に示すような回路構成となっており、1MHz以上のクロック信号を発生するクロック発生器21と、フリップフロップ回路22と、第1および第2のアンド回路23,24とから構成されている。図示するようにこのパルス処理器20は、PWM変調器10から送られてきたPWM信号の各パルスをフリップフロップ回路22に入力し、ここでクロック発生器21で発生する、PWM信号の数倍(1MHz以上)の周波数のクロック信号によって図3に示すような複数の等幅パルスpに分割するようになっている。
【0020】
そして、このパルス処理器20は、入力パルスがプラスのときは、そのまま第1のアンド回路23を介してプラス(+)駆動電圧として出力し、入力パルスがマイナスに切り替わったときは、第2のアンド回路24を介してマイナス(−)駆動電圧として出力する。これら各等幅パルスpは、駆動素子の影響によって多少の歪みが発生するが、いずれも同じ形状でかつ一定の間隔(休止時間)を隔てて生成される。
【0021】
図3の例では、最初のプラス側パルスP1が5つの等幅パルスp1〜p5に分割されてプラス(+)駆動電圧として出力し、2つ目のマイナス側パルスP2が3つの等幅パルスp6〜p8に分割されてマイナス(−)駆動電圧として出力される。さらに、3つ目のプラス側パルスP3が4つの等幅パルスp9〜p12に分割されてプラス(+)駆動電圧として出力し、4つ目のマイナス側パルスP4が4つの等幅パルスp13〜p16に分割されてマイナス(−)駆動電圧として出力される。そして、各等幅パルスpは、増幅器30で増幅された後、音響スピーカー40に送られて可聴域の音に変換されて出力されることになる。
【0022】
このように本発明の音声再生装置100は、PWM変調器10の後段に設けたパルス処理器20によってPWM駆動パルス信号の各パルスPを複数の等幅パルスpに分割して出力するようにしたことにより隣接するパルス間に一定の休止時間が形成されるため、パルスの切換のタイミングでアンプ出力部分が瞬間的に短絡状態になるのを防止することができる。
【0023】
また、駆動素子の影響によってパルスPに歪が発生しても各パルスPを構成する複数の等幅パルスpがすべて同じ形となるため、この等幅パルスpの数に比例するエネルギーを安定して出力することができる。これによって、PWM駆動パルス波形の歪みによる音質劣化を防止することが可能となり、音量が小さくなってもそれに応じた電圧を確実に出力できるため、優れた高音質を発揮できる。
【0024】
次に、図4乃至図6は本発明に係る音声再生装置100の第2の実施形態を示したものである。先ず図4に示すようにこの音声再生装置100は、ΔΣ変調器11と、パルス処理器20と、増幅器30と、音響スピーカー40とから構成されており、ΔΣ変調器11以外の構成は、前記第1の実施形態とほぼ同じ構成となっている。なお、図5に示すように本実施に係るパルス処理器20は、クロック発生器21がない以外は第1の実施の形態に係るものと同じ構成となっている。
【0025】
ΔΣ変調器11は、PWM変調器10と同様に公知の1ビットデジタル変調器の1つであり、CDやDVDなどのメディアに記録されたPCM信号からオンとオフの信号列からなる等幅のΔΣ駆動パルス(パルス列)信号を生成してパルス処理器20に出力するようになっている。図6(A)はこのΔΣ駆動パルスの波形の一例であり、等幅のプラスまたマイナスのΔΣ駆動パルスPの数によって信号を出力している。
【0026】
そして、図5に示すようにこのΔΣ変調器11から出力されたΔΣ信号の各パルスは、フリップフロップ回路22に入力し、このΔΣ信号に付随して入力されるクロック信号によって図6に示すようなその幅が約半分の短幅パルスpに変形される。変形された短幅パルスpがプラスのときは、そのまま第1のアンド回路23を介してプラス(+)駆動電圧として出力され、短幅パルスpがマイナスに切り替わったときは、第2のアンド回路24を介してマイナス(−)駆動電圧として出力される。これら各短幅パルスpは、いずれも同じ形状でかつ半分に短縮されたぶんだけ一定の間隔を隔てて生成される。
【0027】
図6の例では、1周期の半分を休止することにより、各ΔΣ駆動パルスP1〜P8がそれぞれ元のパルス幅の約半分の短幅パルスp1〜P8に変形されて隣接するパルス間に一定の間隔を隔てて生成されることによってこの間隔が休止時間となっている。そしてこの短幅パルスpの場合も駆動素子の影響によって多少の歪みが発生するが、いずれも同じ形状でかつ一定の間隔(休止時間)を隔てて生成される。
【0028】
このように本実施の形態に係る音声再生装置100は、ΔΣ変調器11の後段に設けたパルス処理器20によってΔΣ駆動パルス信号の各パルスPの幅を短くして出力するようにしたことにより隣接するパルス間に休止時間が形成されるため、パルスの切換のタイミングでアンプ出力部分が瞬間的に短絡状態になるのを防止することができる。
【0029】
また、駆動素子の影響によってパルスPに歪が発生しても各パルスPを構成する複数の短幅パルスpがすべて同じ形となるため、この短幅パルスpの数に比例するエネルギーを安定して出力することができる。これによって、ΔΣ駆動パルス波形の歪みによる音質劣化を防止することが可能となり、音量が小さくなってもそれに応じた電圧を確実に出力できるため、優れた高音質を発揮できる。
【0030】
なお、本実施の形態では1周期の半分を休止することによってΔΣ駆動パルス信号の各パルスPの幅を約半分とした例で示したが、このクロック周波数を適宜増減、例えば3倍や4倍としたり、あるいは1.5倍とすることでそのパルス間の休止時間を適宜調整することが可能となる。また、SACD(Super Audio CD)のようにはじめから1ビットのΔΣ駆動パルス信号で音声情報が記録されているメディアの場合は、ΔΣ変調処理が不要となるため、図4に示すようにΔΣ変調器11の後段に切り替えスイッチ12を設け、そのΔΣ駆動パルス信号を直接パルス処理器20に入力するようにしても良い。
【0031】
次に、図7は本発明に係る音声再生装置100の第3の実施形態を示したものである。図示するようにこの音声再生装置100は、前述したPWM変調器10やΔΣ変調器11、パルス処理器20、増幅器30などの電磁波を発生する機器を電磁シールド材料、例えば金属板や金属網などで形成されたケース50内に収容し、このケース50を音響スピーカー40を取り付けるスピーカーボックス60内に一体的に組み込んだものである。
【0032】
すなわち、PWM駆動パルス信号やΔΣ駆動パルス信号のようにMHzオーダーの信号で1W〜100Wの電力伝送を行う場合、その輻射電波量も増大となり、音質や周囲の電化製品に悪影響を及ぼすことが考えられる。そこで、本実施の形態ではこれらの機器を電磁シールドされたケース50内に収容すると共にさらにこのケース50をスピーカーボックス60内に一体的に組み込んだものであり、これによってこれらの機器から発生する不要な高周波輻射を確実に遮蔽して音質や周囲の電化製品への悪影響を抑制することができる。
【0033】
また、このように構成することによりパルス処理器20や増幅器30などを設置するスペースが不要となって室内空間を有効利用できると共に、音響スピーカー40へ接続するケーブルが不要または大幅に短縮できるため、コストダウンや伝送時の信号劣化などによる音質低下も同時に回避することができる。
【符号の説明】
【0034】
100…音声再生装置
10…PWM変調器
11…ΔΣ変調器
12…切り替えスイッチ
20…パルス処理器
21…クロック発生器
22…フリップフロップ回路
23…第1のアンド回路
24…第2のアンド回路
30…増幅器
40…音響スピーカー
50…ケース(電磁シールド)
60…スピーカーボックス
P…PWM駆動パルス、ΔΣ駆動パルス
p…等幅のPWM駆動パルス、短幅のΔΣ駆動パルス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2017年10月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるPWM駆動パルス信号を処理するパルス処理器と、当該パルス処理器で処理したPWM駆動パルス信号を増幅してスピーカーを駆動する増幅器とを有し、
前記パルス処理器は、前記PWM駆動パルス信号の各パルスを複数の等幅パルスに分割して出力することを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
入力されるΔΣ駆動パルス信号を処理するパルス処理器と、当該パルス処理器で処理したΔΣ駆動パルス信号を増幅してスピーカーを駆動する増幅器とを有し、
前記ΔΣ駆動パルス信号は、等幅のプラスまたはマイナスのΔΣ駆動パルスが1乃至複数連続するパルス列からなると共に
前記パルス処理器は、前記ΔΣ駆動パルス信号のすべてのΔΣ駆動パルスのパルス幅を元のパルス幅よりも短くすることによって隣接する各パルス間に休止時間を設けて出力することを特徴とする音声再生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音声再生装置において、
前記パルス処理器と増幅器とを電磁シールドされたケース内に収容し、当該ケースをスピーカーボックス内に組み込んでなることを特徴とする音声再生装置。
【請求項4】
請求項2に記載の音声再生装置において、
前記ΔΣ駆動パルス信号をPCM信号から生成するΔΣ変調器を備え、当該ΔΣ変調器を前記パルス処理器および増幅器と共に、電磁シールドされたケース内に収容し、当該ケースをスピーカーボックス内に組み込んでなることを特徴とする音声再生装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
ΔΣ変調器11は、PWM変調器10と同様に公知の1ビットデジタル変調器の1つであり、CDやDVDなどのメディアに記録されたPCM信号からオンとオフの信号列からなる等幅のΔΣ駆動パルス(パルス列)信号を生成してパルス処理器20に出力するようになっている。図6(A)はこのΔΣ駆動パルスの波形の一例であり、等幅のプラスまたはマイナスのΔΣ駆動パルスPの数によって信号を出力している。