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特開2018-160859BMC復調器およびBMC復調のためのしきい値の生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-160859(P2018-160859A)
(43)【公開日】2018年10月11日
(54)【発明の名称】BMC復調器およびBMC復調のためのしきい値の生成方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20180914BHJP
   H04L 27/06 20060101ALI20180914BHJP
   H04L 7/10 20060101ALI20180914BHJP
   H04L 25/49 20060101ALI20180914BHJP
【FI】
   H04L7/00 660
   H04L27/06 Z
   H04L7/00 870
   H04L7/10
   H04L25/49 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-58162(P2017-58162)
(22)【出願日】2017年3月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆志
【テーマコード(参考)】
5K029
5K047
【Fターム(参考)】
5K029AA18
5K029EE04
5K029EE05
5K029EE06
5K029FF01
5K047AA16
5K047FF04
5K047HH53
5K047JJ09
(57)【要約】
【課題】従来と異なる手法で適切なしきい値を設定可能なBMC信号の復調器、方法を提供する。
【解決手段】シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブルを受信する(S100)。そしてプリアンブルに含まれる複数2×n個(n≧2)のシンボル周期TSYM1〜TSYM2nにわたり、エッジ間距離(時間長)Dを測定する(S102)。そしてシンボル1に対応するエッジ間距離Dとシンボル0に対応するエッジ間距離Dとを、1:2の重み付けで加算平均して得られる値にもとづいて、しきい値STHを生成する(S104)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BMC(Biphase Mark Code)方式で変調されたBMC信号の復調処理のためのしきい値の生成方法であって、
シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブルを受信するステップと、
前記プリアンブルに含まれる複数のシンボル周期にわたり、エッジ間距離を測定するステップと、
シンボル1に対応するエッジ間距離とシンボル0に対応するエッジ間距離とを、1:2の重み付けで加算平均して得られる値にもとづいて、前記しきい値を生成するステップと、
を備えることを特徴とする生成方法。
【請求項2】
前記しきい値を生成するステップは、
2×n個のシンボル周期にわたるエッジ間距離の測定値を保持するステップと、
3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第1測定値群を加算し、第1加算値Sを生成するステップと、
3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第2測定値群を加算し、第2加算値Sを生成するステップと、
3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値を含む第3測定値群を加算し、第3加算値Sを生成するステップと、
前記第1加算値S、前記第2加算値S、前記第3加算値Sに応じた第1中間値M、第2中間値M、第3中間値Mを比較するステップと、
最大の中間値に対応する測定値群を前記シンボル0に対応付け、残りの2つの中間値に対応する2つの測定値群を前記シンボル1に対応付けるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の生成方法。
【請求項3】
各中間値M〜Mはそれぞれ、対応する加算値S〜Sの1/n倍であることを特徴とする請求項2に記載の生成方法。
【請求項4】
前記シンボル0に対応する測定値群の平均値がASYM0、前記シンボル1に対応する2つの測定値群の平均値がASYM11、ASYM12であるとき、
前記しきい値は、
SYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4
に応じていることを特徴とする請求項3に記載の生成方法。
【請求項5】
各中間値M〜Mはそれぞれ、対応する加算値S〜Sそのものであることを特徴とする請求項2に記載の生成方法。
【請求項6】
前記シンボル0に対応する加算値がSSYM0、前記シンボル1に対応する2つの加算値がSSYM11、SSYM12であるとき、
前記しきい値は、
SYM0/(2×n)+SSYM11/(4×n)+SSYM12/(4×n)
に応じていることを特徴とする請求項5に記載の生成方法。
【請求項7】
BMC(Biphase Mark Code)方式で変調されたBMC信号の復調器であって、
シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブル期間において、複数のシンボル周期にわたりエッジ間距離を測定するカウンタと、
シンボル1に対応するエッジ間距離とシンボル0に対応するエッジ間距離とを、1:2の重み付けで加算平均して得られる値にもとづいて、しきい値を生成するしきい値決定部と、
を備えることを特徴とする復調器。
【請求項8】
前記しきい値決定部は、
2×n個のシンボル周期にわたり測定されたn×3個のエッジ間距離の測定値を保持するレジスタと、
3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第1測定値群を加算し、第1加算値Sを生成する第1加算器と、
3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第2測定値群を加算し、第2加算値Sを生成する第2加算器と、
3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値を含む第3測定値群を加算し、第3加算値Sを生成する第3加算器と、
前記第1加算値S、前記第2加算値S、前記第3加算値Sに応じた第1中間値M、第2中間値M、第3中間値Mを比較し、最大の中間値を検出する最大値選択回路と、
を含み、
最大の中間値に対応する測定値群を前記シンボル0に対応付け、残りの2つの中間値に対応する2つの測定値群を前記シンボル1に対応付けることを特徴とする請求項7に記載の復調器。
【請求項9】
前記しきい値決定部は、前記シンボル0に対応する測定値群の平均値がASYM0、前記シンボル1に対応する2つの測定値群の平均値がASYM11、ASYM12であるとき、
SYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4
に応じた前記しきい値を生成することを特徴とする請求項8に記載の復調器。
【請求項10】
前記しきい値決定部は、前記シンボル0に対応する加算値がSSYM0、前記シンボル1に対応する2つの加算値がSSYM11、SSYM12であるとき、
SYM0/(2×n)+SSYM11/(4×n)+SSYM12/(4×n)
に応じた前記しきい値を生成することを特徴とする請求項8に記載の復調器。
【請求項11】
前記しきい値決定部は、
前記第1加算値Sを1/n倍し、第1平均値Aを出力する第1演算器と、
前記第2加算値Sを1/n倍し、第2平均値Aを出力する第2演算器と、
前記第3加算値Sを1/n倍し、第3平均値Aを出力する第3演算器と、
をさらに含むことを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の復調器。
【請求項12】
前記しきい値決定部は、
前記第1加算値Sと前記第2加算値Sの平均値の1/n倍の第4平均値Aを生成する第4演算器と、
前記第2加算値Sと前記第3加算値Sの平均値の1/n倍の第5平均値Aを生成する第5演算器と、
前記第3加算値Sと前記第1加算値Sの平均値の1/n倍の第6平均値Aを生成する第6演算器と、
前記第4平均値A、前記第5平均値A、前記第6平均値Aを受け、前記最大値選択回路の検出結果に応じて、(i)前記第1平均値Aが最大であるとき、前記第1平均値Aと前記第5平均値Aの平均値に応じた前記しきい値を生成し、(ii)前記第2平均値Aが最大であるとき、前記第2平均値Aと前記第6平均値Aの平均値に応じた前記しきい値を生成し(iii)前記第3平均値Aが最大であるとき、前記第3平均値Aと前記第4平均値Aの平均値に応じた前記しきい値を生成する出力回路と、
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の復調器。
【請求項13】
前記しきい値決定部は、
前記第1平均値Aと前記第2平均値Aの平均値を表す第7平均値Aを生成する第7演算器と、
前記第2平均値Aと前記第3平均値Aの平均値を表す第8平均値Aを生成する第8演算器と、
前記第3平均値Aと前記第1平均値Aの平均値を表す第9平均値Aを生成する第9演算器と、
前記第7平均値A、前記第8平均値A、前記第9平均値Aを受け、前記最大値選択回路の検出結果に応じて、(i)前記第1平均値Aが最大であるとき、前記第1平均値Aと前記第8平均値Aの平均値に応じた前記しきい値を生成し、(ii)前記第2平均値Aが最大であるとき、前記第2平均値Aと前記第9平均値Aの平均値に応じた前記しきい値を生成し(iii)前記第3平均値Aが最大であるとき、前記第3平均値Aと前記第7平均値Aの平均値に応じた前記しきい値を生成する出力回路と、
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の復調器。
【請求項14】
前記しきい値決定部は、
前記第1加算値Sと前記第2加算値Sの加算値を表す第10加算値S10を生成する第10演算器と、
前記第2加算値Sと前記第3加算値Sの加算値を表す第11加算値S11を生成する第11演算器と、
前記第3加算値Sと前記第1加算値Sの加算値を表す第12加算値S12を生成する第12演算器と、
前記第10加算値S10、前記第11加算値S11、前記第12加算値S12を受け、前記最大値選択回路の検出結果に応じて、(i)前記第1加算値Sが最大であるとき、S/(2×n)+S11/(4×n)に応じた前記しきい値を生成し、(ii)前記第2加算値Sが最大であるとき、S/(2×n)+S12/(4×n)に応じた前記しきい値を生成し、(iii)前記第3加算値Sが最大であるとき、S/(2×n)+S10/(4×n)に応じた前記しきい値を生成する出力回路と、
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の復調器。
【請求項15】
BMC(Biphase Mark Code)方式で変調されたBMC信号の復調処理のためのしきい値の生成方法であって、
シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブルを受信するステップと、
前記プリアンブルに含まれる複数のシンボル周期にわたり、エッジ間距離を測定するステップと、
2×n個のシンボル周期にわたり測定された、3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第1測定値群と、3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第2測定値群と、3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値を含む第3測定値群と、を保持するステップと、
前記第1測定値群、前記第2測定値群、前記第3測定値群のひとつをシンボル0に対応付け、残りの2つをシンボル1に対応付けるステップと、
前記シンボル0に対応付けられた測定値群の平均値をASYM0、前記シンボル1に対応付けられた2つの測定値群の平均値をASYM11、ASYM12とするとき、ASYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4に応じた前記しきい値を生成するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項16】
BMC(Biphase Mark Code)方式で変調されたBMC信号の復調処理のためのしきい値の生成方法であって、
シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブルを受信するステップと、
前記プリアンブルに含まれる複数のシンボル周期にわたり、エッジ間距離を測定するステップと、
2×n個のシンボル周期にわたり測定された、3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第1測定値群と、3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第2測定値群と、3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値を含む第3測定値群と、を保持するステップと、
前記第1測定値群、前記第2測定値群、前記第3測定値群のひとつをシンボル0に対応付け、残りの2つをシンボル1に対応付けるステップと、
前記シンボル0に対応付けられた測定値群の加算値をSSYM0、前記シンボル1に対応付けられた2つの測定値群の加算値をSSYM11、SSYM12とするとき、SSYM0/(2×n)+SSYM11/(4×n)+SSYM12/(4×n)に応じた前記しきい値を生成するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BMC(Biphase Mark Code)の復調技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータのエンコード方式として、BMC(Biphase Mark Code)方式が知られる。BMCは、Manchester符号の一種であり、従来ではオーディオ信号の伝送に、近年ではワイヤレス給電のQi規格や、USB(Universal Serial Bus)PD(Power Delivery)規格に採用されている。
【0003】
図1は、BMCエンコードされた信号(以下、BMC信号という)の波形図である。BMC信号は、シンボルの境界で必ず遷移が発生する。シンボルの周期をTとすると、シンボルの値が1のときシンボル周期Tにエッジが2つ含まれ、したがってエッジ間距離がT/2となる。シンボルの値が0のときシンボル周期Tにエッジがひとつ含まれ、したがってエッジ間距離はTとなる。BMC信号のハイレベル・ローレベルは、初期状態に応じて入れ替わる。
【0004】
BMC信号を復調する復調器は、各シンボル周期において、エッジ間距離を測定することにより、シンボルを判定する。そして、エッジ間距離がT/2であるときシンボル1と判定し、エッジ間距離がTであるときシンボル0と判定する。具体的には、2つのシンボルを区別するためのしきい値を設定し、測定したエッジ間距離としきい値との比較結果にもとづいて、シンボルの値を判定することができる。なお本明細書におけるしきい値は、シンボル0を判定するための上側しきい値と、シンボル1を判定するための下側しきい値の総称である。
【0005】
BMC信号の復調では、シンボル周期TSYM(シンボル周波数fSYM)の変動が問題となる。シンボル周期Tの変動幅が大きい場合に、しきい値を一定に維持すると、シンボルの値が誤判定される。そこで、シンボル周期TSYMの変動が大きいアプリケーションでは、シンボルの値が既知であるプリアンブルを配置し、プリアンブルを利用して最適なしきい値が設定される。
【0006】
図2は、プリアンブルを利用したしきい値の設定方法を説明する図である。図2は、横軸がエッジ間距離のカウント値を、縦軸がプリアンブル期間における各カウント値の発生頻度を表すヒストグラムである。ヒストグラムは、シンボル1のカウント群と、シンボル0のカウント群と、に分けられる。しきい値は、2つのカウント群の中央付近に設定すればよい。たとえば、シンボル1のカウント群Gの発生頻度がピークとなるカウント値PEAKと、シンボル0のカウント群Gの発生頻度がピークとなるカウント値PEAKと、を求め、それらの平均をしきい値とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−158025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のヒストグラムを利用したしきい値の設定方法では、発生頻度のピークを検出する必要があり、演算処理が多くなるため、復調器の回路規模が大きくなり、また高速なクロックが必要となる。
【0009】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、従来と異なる手法で適切なしきい値を設定可能なBMC信号の復調器およびしきい値の生成方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、BMC(Biphase Mark Code)方式で変調されたBMC信号の復調処理のためのしきい値の生成方法に関する。この生成方法は、以下の処理を含む。
(処理1) シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブルを受信する。
(処理2) プリアンブルに含まれる複数のシンボル周期にわたり、エッジ間距離を測定する。
(処理3) シンボル1に対応するエッジ間距離とシンボル0に対応するエッジ間距離とを、1:2の重み付けで加算平均して得られる値にもとづいて、しきい値を生成する。
この方式によれば、ピークサーチなどの複雑な処理が不要となるため、簡素なハードウェアで、最適なしきい値を決定できる。
【0011】
しきい値を生成する処理3は、以下の処理を含んでもよい。
(処理3−1) 2×n個のシンボル周期にわたるエッジ間距離の測定値を保持する。
(処理3−2) 3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第1測定値群を加算し、第1加算値Sを生成する。
(処理3−3) 3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第2測定値群を加算し、第2加算値Sを生成する。
(処理3−4) 3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値を含む第3測定値群を加算し、第3加算値Sを生成する。
(処理3−5) 第1加算値S、第2加算値S、第3加算値Sに応じた第1中間値M、第2中間値M、第3中間値Mを比較する。
(処理3−6) 最大の中間値に対応する測定値群をシンボル0に対応付け、残りの2つの中間値に対応する2つの測定値群をシンボル1に対応付ける。
この態様によれば、以下の3つのパターンから適切なひとつを選択できる。
パターン1 シンボル0=第1測定値群 シンボル1=第2測定値群、第3測定値群
パターン1 シンボル0=第2測定値群 シンボル1=第3測定値群、第1測定値群
パターン1 シンボル0=第3測定値群 シンボル1=第1測定値群、第2測定値群
【0012】
各中間値M〜Mはそれぞれ、対応する加算値S〜Sの1/n倍であってもよい。
【0013】
シンボル0に対応する測定値群の平均値がASYM0、シンボル1に対応する2つの測定値群の平均値がASYM11、ASYM12であるとき、しきい値は、
SYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4
に応じていてもよい。
【0014】
各中間値M〜Mはそれぞれ、対応する加算値S〜Sそのものであってもよい。
【0015】
シンボル0に対応する加算値がSSYM0、シンボル1に対応する2つの加算値がSSYM11、SSYM12であるとき、しきい値は、
SYM0/(2×n)+SSYM11/(4×n)+SSYM12/(4×n)
に応じていてもよい。
【0016】
本発明の別の態様は、BMC(Biphase Mark Code)方式で変調されたBMC信号の復調器に関する。復調器は、シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブル期間において、複数のシンボル周期にわたりエッジ間距離を測定するカウンタと、シンボル1に対応するエッジ間距離とシンボル0に対応するエッジ間距離とを、1:2の重み付けで加算平均して得られる値にもとづいて、しきい値を生成するしきい値決定部と、を備える。
【0017】
しきい値決定部は、2×n個のシンボル周期にわたり測定されたn×3個のエッジ間距離の測定値を保持するレジスタと、3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第1測定値群を加算し、第1加算値Sを生成する第1加算器と、3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第2測定値群を加算し、第2加算値Sを生成する第2加算器と、3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値を含む第3測定値群を加算し、第3加算値Sを生成する第3加算器と、第1加算値S、第2加算値S、第3加算値Sに応じた第1中間値M、第2中間値M、第3中間値Mを比較し、最大の中間値を検出する最大値選択回路と、を含んでもよい。
【0018】
しきい値決定部は、最大の中間値に対応する測定値群をシンボル0に対応付け、残りの2つの中間値に対応する2つの測定値群をシンボル1に対応付けてもよい。
【0019】
しきい値決定部は、シンボル0に対応する測定値群の平均値がASYM0、シンボル1に対応する2つの測定値群の平均値がASYM11、ASYM12であるとき、
SYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4
に応じたしきい値を生成してもよい。
【0020】
しきい値決定部は、シンボル0に対応する加算値がSSYM0、シンボル1に対応する2つの加算値がSSYM11、SSYM12であるとき、
SYM0/(2×n)+SSYM11/(4×n)+SSYM12/(4×n)
に応じたしきい値を生成してもよい。
【0021】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば従来と異なる手法で適切なしきい値を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】BMC信号の波形図である。
図2】プリアンブルを利用したしきい値の設定方法を説明する図である。
図3】BMC信号の復調処理のためのしきい値の生成方法を示すフローチャートである。
図4図4(a)、(b)は、図3のフローチャートにもとづくしきい値の生成を説明する図である。
図5】プリアンブル期間においてエッジ間距離の測定を開始するタイミングと、測定されるエッジ間距離の関係を示す図である。
図6】測定されたエッジ間距離と、シンボル1,0の対応関係を判定する処理のフローチャートである。
図7】復調器のブロック図である。
図8】第1実施例に係る復調器の回路図である。
図9】第2実施例に係る復調器の回路図である。
図10】第3実施例に係る復調器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0026】
図3は、BMC信号の復調処理のためのしきい値の生成方法を示すフローチャートである。なお、本明細書で参照するフローチャートは、各処理の順序を限定するものではなく、複数の処理は、支障が無い限りにおいて適宜入れ替えることができる。
【0027】
シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブルを受信する(S100)。このようなプリアンブルはDCバランスが完全に取れている。そしてプリアンブルに含まれる複数2×n個(n≧2)のシンボル周期TSYM1〜TSYM2nにわたり、エッジ間距離(時間長)Dを測定する(S102)。そしてシンボル1に対応するエッジ間距離Dとシンボル0に対応するエッジ間距離Dとを、1:2の重み付けで加算平均して得られる値にもとづいて、しきい値STHを生成する(S104)。
【0028】
図4(a)、(b)は、図3のフローチャートにもとづくしきい値の生成を説明する図である。しきい値STHの生成処理を示す波形図である。SRXはプリアンブル期間における受信信号を表す。2×n個のシンボル周期の間に、シンボル1に対応するエッジ間距離Dは2×n個含まれ、シンボル0に対応するエッジ間距離Dはn個含まれる。
【0029】
2×n個のエッジ間距離Dの平均値D1AVEは、式(1a)で表され、n個のエッジ間距離Dの平均値D0AVEは式(1b)で表される。
1AVE=ΣD/(2n) …(1a)
0AVE=ΣD/n …(1b)
本実施の形態では、求めるべきしきい値STHを、エッジ間距離Dの平均値D1AVEとエッジ間距離Dの平均値D0AVEとの平均値DAVEに応じて規定する。なお、ここでは説明の簡潔化のためにしきい値STHを平均値DAVEと等しいものとしているが、後述のようにその限りではない。
TH≒DAVE=(D1AVE+D0AVE)/2 …(2)
【0030】
式(2)に、式(1a)、(1b)を代入すると、式(3)を得る。
TH={ΣD/(2n)+ΣD/n}/2
=(ΣD+2ΣD)/n …(3)
【0031】
式(3)は、しきい値STHが、シンボル1に対応するエッジ間距離Dとシンボル0に対応するエッジ間距離Dとを1:2の重み付けで加算平均して得られる値に応じていることを表している。
【0032】
図4(b)は、測定されたエッジ間距離のヒストグラムである。左の山はシンボル1に対応するエッジ間距離Dの分布を表し、右の山はシンボル0に対応するエッジ間距離Dの分布を表す。しきい値STHは、左の山の平均値D1AVEと、右の山の平均値D0AVEの中央付近に設定される。
【0033】
以上が実施の形態に係るしきい値STHの生成方法である。この方法によれば、ピークサーチのような複雑な処理を必要とせず、1:2の重み付けの加算平均処理によって、適切なしきい値STHを生成することができる。処理の簡潔さは、後述のようにそれを実現するためのハードウェアの簡素化に資する。
【0034】
一般的に復調器は、プリアンブルを含む受信信号SRXが入力されるタイミングを知らず、言い換えればプリアンブルの先頭を予測できない。したがって、測定される複数のエッジ間距離とシンボル1、シンボル0との対応関係が、エッジ間距離の測定を開始するタイミングに応じて変化する。図5は、プリアンブル期間においてエッジ間距離の測定を開始するタイミングと、測定されるエッジ間距離の関係を示す図である。
【0035】
開始タイミングから順に測定されるエッジ間距離を、a,b,c,a,b,c…とする。タイミング(i)で測定開始した場合、aおよびcがシンボル1に対応するエッジ間距離Dとなり、bがシンボル0に対応するエッジ間距離Dとなる。タイミング(ii)で測定開始した場合、b,cがシンボル1に対応するエッジ間距離Dとなり、aがシンボル0に対応するエッジ間距離Dとなる。タイミング(iii)で測定開始した場合、a,bがシンボル1に対応するエッジ間距離Dとなり、cがシンボル0に対応するエッジ間距離Dとなる。
【0036】
ここでは、測定されたエッジ間距離が、シンボル1、シンボル0のいずれに対応するかを判定する処理について説明する。
【0037】
図6は、測定されたエッジ間距離と、シンボル1,0の対応関係を判定する処理のフローチャートである。2×n個のシンボル周期TSYMにわたるエッジ間距離の測定値を保持する(S200)。3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第1測定値群(図5におけるa)を加算し、第1加算値Sを生成する(S202)。同様に、3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値を含む第2測定値群(図5におけるb)を加算し、第2加算値Sを生成し(S204)、3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値を含む第3測定値群(図5におけるc)を加算し、第3加算値Sを生成する(S206)。
【0038】
第1加算値S、第2加算値S、第3加算値Sに応じた第1中間値M、第2中間値M、第3中間値Mを比較する(S208)。そして、最大の中間値に対応する測定値群をシンボル0に対応付け、残りの2つの中間値に対応する2つの測定値群をシンボル1に対応付ける(S210)。
【0039】
たとえば中間値M〜Mはそれぞれ、対応する加算値S〜Sの1/n倍であってもよい。あるいは中間値M〜Mはそれぞれ、対応する加算値S〜Sそのものであってもよい。
【0040】
この処理によれば、測定値群がいずれのシンボルに対応するかを判定することができる。また、処理S202,S204,S206における演算は、図2における加算平均の処理S104と共通であるため、処理S202,S204,S206で生成した加算値あるいは中間値を、図2の処理S104に用いることにより、演算コストを下げることができる。
【0041】
続いて、しきい値STHの具体的な演算方法について説明する。
(第1の演算方法)
シンボル0に対応する測定値群の平均値がASYM0、シンボル1に対応する2つの測定値群の平均値がASYM11、ASYM12であるとき、しきい値STHは、
SYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4
に応じて求めることができる。2あるいは4での除算は、ビットシフトで実現できるため、演算コストが低くて済む。
【0042】
(第2の演算方法)
シンボル0に対応する加算値がSSYM0、シンボル1に対応する2つの加算値がSSYM11、SSYM12であるとき、しきい値STHは、
SYM0/(2×n)+SSYM11/(4×n)+SSYM12/(4×n)
に応じて求めることができる。
【0043】
図7は、復調器100のブロック図である。復調器100は、カウンタ102およびしきい値決定部110を備える。図7および以降の図では、復調器100のうち、しきい値STHの決定に関連するブロックのみを示し、プリアンブル期間に続くデータ期間における受信に関連するブロックは省略する。
【0044】
カウンタ102は、シンボル1と0が交互に含まれるプリアンブル期間において、複数2×nのシンボル周期TSYMにわたりエッジ間距離Dを測定する。しきい値決定部110は、シンボル1に対応するエッジ間距離Dとシンボル0に対応するエッジ間距離Dとを、1:2の重み付けで加算平均して得られる値にもとづいて、しきい値STHを生成する。
【0045】
本発明は、図3のフローチャートあるいは図7のブロック図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな方法、装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な実施例や変形例を説明する。
【0046】
(第1実施例)
図8は、第1実施例に係る復調器100Aの回路図である。しきい値決定部110Aは、レジスタ112、第1加算器121〜第3加算器123、最大値選択回路130、第1演算器131〜第6演算器136、出力回路150Aを備える。
【0047】
レジスタ112は、2×n個のシンボル周期TSYM1〜TSYM2nわたり測定されたn×3個のエッジ間距離Dの測定値を保持する。レジスタ112はシフトレジスタを用いることができる。n=2(mは自然数)であることが望ましい。たとえばm=2であり、n=4である。
【0048】
レジスタ112に保持される測定値のうち、3×i−2個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値a〜aを第1測定値群と称し、3×i−1個目(i=1,…n)のエッジ間距離の測定値b〜bを第2測定値群と称し、3×i個目(i=1,…n−1)のエッジ間距離の測定値c〜cを第3測定値群と称する。第1加算器121は、第1測定値群a〜aを加算し、第1加算値Sを生成する。第2加算器122は、第2測定値群b〜bを加算し、第2加算値Sを生成する。第3加算器123は、第3測定値群c〜cを加算し、第3加算値Sを生成する。
【0049】
第1演算器131は、第1加算値Sを1/n倍し、第1平均値Aを生成する。第2演算器132は、第2加算値Sを1/n倍し、第2平均値Aを生成する。第3演算器133は、第3加算値Sを1/n倍し、第3平均値Aを生成する。n=2であるとき、第1演算器131〜第3演算器133はそれぞれ、入力データを下位にmビットシフトするビットシフタで構成できる。
【0050】
最大値選択回路130は、第1加算値S、第2加算値S、第3加算値Sに応じた第1中間値M、第2中間値M、第3中間値Mを比較し、最大の中間値MMAXを検出して出力する。図8において、第1中間値M、第2中間値M、第3中間値Mはそれぞれ、第1平均値A、第2平均値A、第3平均値Aである。
【0051】
最大値選択回路130の比較の結果、最大の中間値MMAXに対応する測定値群がシンボル0に対応付けられ、残りの2つの中間値に対応する2つの測定値群がシンボル1に対応付けられる。
【0052】
第4演算器134は、第1加算値Sと第2加算値Sの平均値の1/n倍の第4平均値Aを生成する。第5演算器135は、第2加算値Sと第3加算値Sの平均値の1/n倍の第5平均値Aを生成する。第6演算器136は、第3加算値Sと第1加算値Sの平均値の1/n倍の第6平均値Aを生成する。第4演算器134〜第6演算器136はそれぞれ、加算器170と演算器172を含んでもよい。加算器170は、2つの入力を加算する。演算器172は、加算器170の出力に、1/(2n)を乗算する。n=2であるとき、演算器172は、入力データを、下位にm+1ビット、シフトさせるビットシフタで構成できる。
【0053】
この出力回路150Aは、(i)第1平均値Aが最大であるとき、第1平均値Aと第5平均値Aの平均値に応じたしきい値STHを生成し、(ii)第2平均値Aが最大であるとき、第2平均値Aと第6平均値Aの平均値に応じたしきい値STHを生成し(iii)第3平均値Aが最大であるとき、第3平均値Aと第4平均値Aの平均値に応じたしきい値STHを生成する。
【0054】
たとえば出力回路150Aは、セレクタ152、出力平均回路154および加算器156,158を含む。セレクタ152は、第4平均値A、第5平均値A、第6平均値Aを受ける。セレクタ152には、最大値選択回路130の検出結果を示す選択信号SELが入力される。セレクタ152は、(i)第1平均値Aが最大であるとき、第5平均値Aを選択し、(ii)第2平均値Aが最大であるとき、第6平均値Aを選択し、(iii)第3平均値Aが最大であるとき、第4平均値Aを選択する。出力平均回路154は、最大値選択回路130の出力MMAXと、セレクタ152の出力ASELの平均値を算出する。出力平均回路154の出力は、暫定のしきい値STHに対応する。
【0055】
加算器156は、暫定のしきい値STHから1を減じ、シンボル1を判定するためのしきい値STH1を生成する。加算器158は、暫定のしきい値STHに1を加算し、シンボル0を判定するためのしきい値STH0を生成する。データ区間においては、測定したエッジ間距離が、しきい値STH1より短いとき、シンボル1と判定し、測定したエッジ間距離が、しきい値STH0より長いとき、シンボル0と判定することができる。
【0056】
最大値選択回路130の出力MMAXは、シンボル0に対応する測定値群の平均値ASYM0を表す。また、シンボル1に対応する2つの測定値群の平均値がASYM11、ASYM12であるとき、セレクタ152の出力は、ASYM11とASYM12の平均値を表す。したがって、出力平均回路154の出力である暫定のしきい値STHは、
{ASYM0+(ASYM11+ASYM12)/2}/2
=ASYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4
を表す。つまり図8の復調器100Aは、上述の第1の演算方法にもとづいて、しきい値を生成するものと理解される。
【0057】
(第2実施例)
図9は、第2実施例に係る復調器100Bの回路図である。しきい値決定部110Bは、図8のしきい値決定部110Aの第4演算器134〜第6演算器136に代えて、第7演算器137〜第9演算器139を備える。
【0058】
第7演算器137は、第1平均値Aと第2平均値Aの平均値を表す第7平均値Aを生成する。第8演算器138は、第2平均値Aと第3平均値Aの平均値を表す第8平均値Aを生成する。第9演算器139は、第3平均値Aと第1平均値Aの平均値を表す第9平均値Aを生成する。第7演算器137〜第9演算器139は、第4演算器134〜第6演算器136と同様に構成できる。
【0059】
出力回路150Bは、第7平均値A、第8平均値A、第9平均値Aを受け、最大値選択回路130の検出結果に応じて、(i)第1平均値Aが最大であるとき、第1平均値Aと第8平均値Aの平均値に応じたしきい値STH1,STH0を生成し、(ii)第2平均値Aが最大であるとき、第2平均値Aと第9平均値Aの平均値に応じたしきい値STH1,STH0を生成し(iii)第3平均値Aが最大であるとき、第3平均値Aと第7平均値Aの平均値に応じたしきい値STH1,STH0を生成する。出力回路150Bの構成は、図8の出力回路150Aと同様である。
【0060】
この復調器100Bにおいても出力平均回路154の出力である暫定のしきい値STHは、
{ASYM0+(ASYM11+ASYM12)/2}/2
=ASYM0/2+ASYM11/4+ASYM12/4
を表す。つまり図9の復調器100Bは、上述の第1の演算方法にもとづいて、しきい値を生成するものと理解される。
【0061】
(第3実施例)
図10は、第3実施例に係る復調器100Cの回路図である。しきい値決定部110Cにおいて、最大値選択回路130Cは、第1中間値M〜第3中間値Mとして、第1加算値S〜第3加算値Sを受ける。
【0062】
第10演算器140は、第1加算値Sと第2加算値Sの加算値を表す第10加算値S10を生成する。第11演算器141は、第2加算値Sと第3加算値Sの加算値を表す第11加算値S11を生成する。第12演算器142は、第3加算値Sと第1加算値Sの加算値を表す第12加算値S12を生成する。
【0063】
出力回路150Cは、第10加算値S10、第11加算値S11、第12加算値S12を受け、最大値選択回路130Cの検出結果を示す選択信号SELに応じて、(i)第1加算値Sが最大であるとき、S/(2×n)+S11/(4×n)に応じたしきい値STH1,STH0を生成し、(ii)第2加算値Sが最大であるとき、S/(2×n)+S12/(4×n)に応じたしきい値STH1,STH0を生成し、(iii)第3加算値Sが最大であるとき、S/(2×n)+S10/(4×n)に応じたしきい値STH1,STH0を生成する。
【0064】
セレクタ160は、第10加算値S10、第11加算値S11、第12加算値S12を受け、選択信号SELに応じたひとつを選択する。演算器162は、最大値選択回路130Cの出力を2倍する。加算器164は、演算器162の出力とセレクタ160の出力を加算する。演算器166は、出力平均回路154の出力を1/(4n)倍する。演算器162、演算器166は、ビットシフタで構成できる。演算器166の出力は、暫定のしきい値STHを表す。
【0065】
最大値選択回路130Cの出力は、シンボル0に対応する加算値SSYM0を表す。セレクタ160の出力は、シンボル1に対応する2つの加算値SSYM11、SSYM12の和SSYM11+SSYM12である。したがって、演算器166の出力である暫定のしきい値STHは、
SYM0/(2×n)+SSYM11/(4×n)+SSYM12/(4×n)
を表す。つまり図10の復調器100Cは、上述の第2の演算方法にもとづいて、しきい値を生成するものと理解される。
【0066】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0067】
第1実施例〜第3実施例は例示に過ぎず、その他、多くの変形例が存在しうる。たとえばビットシフト(2倍,4倍…あるいは1/2倍,1/4倍…)の処理は、同じ計算結果が得られればどこの位置で行ってもよい。
【符号の説明】
【0068】
100…復調器、102…カウンタ、110…しきい値決定部、112…レジスタ、121…第1加算器、122…第2加算器、123…第3加算器、130…最大値選択回路、131…第1演算器、132…第2演算器、133…第3演算器、134…第4演算器、135…第5演算器、136…第6演算器、137…第7演算器、138…第8演算器、139…第9演算器、140…第10演算器、141…第11演算器、142…第12演算器、150…出力回路、152…セレクタ、154…出力平均回路、156,158…加算器、160…セレクタ、162…演算器、164…加算器、166…演算器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10