【解決手段】デジタル信号伝送装置が、第1信号線に第1デジタル送信信号を出力し、第2信号線に第1デジタル送信信号と相補の第2デジタル送信信号を出力する送信回路と、受信回路とを具備する。受信回路は、第1信号線が接続された第1入力と、第2信号線が接続された第2入力とを有するAND回路と、第1信号線が接続された第1入力と、第2信号線が接続された第2入力とを有するOR回路と、出力ノードの論理値に応じてAND回路から出力される出力信号とOR回路から出力される出力信号のうちの一方の出力信号を選択し、一方の出力信号に応じてデジタル受信信号を出力ノードに出力するように構成された選択出力回路とを備えている。
第1信号線を介して第1デジタル送信信号を受け取り、第2信号線を介して前記第1デジタル送信信号と相補の第2デジタル送信信号を受け取り、前記第1デジタル送信信号及び前記第2デジタル送信信号に対応するデジタル受信信号を出力ノードに出力するように構成された受信回路であって、
前記第1信号線が接続された第1入力と、前記第2信号線が接続された第2入力とを有し、前記第1入力に入力された前記第1デジタル送信信号の論理値と、前記第2入力に入力された前記第2デジタル送信信号の論理値と相補の論理値との論理積である論理値を有する第1出力信号を出力するように構成されたAND回路と、
前記第1信号線が接続された第3入力と、前記第2信号線が接続された第4入力とを有し、前記第3入力に入力された前記第1デジタル送信信号の論理値と相補の論理値と、前記第2入力に入力された前記第2デジタル送信信号の論理値の論理和である論理値を有する第2出力信号を出力するように構成されたOR回路と、
前記出力ノードの論理値に応じて前記第1出力信号と前記第2出力信号のうちの一方の出力信号を選択し、前記一方の出力信号に応じて前記デジタル受信信号を前記出力ノードに出力するように構成された選択出力回路
とを備える
受信回路。
第1信号線を介して第1デジタル送信信号を受け取り、第2信号線を介して前記第1デジタル送信信号と相補の第2デジタル送信信号を受け取り、前記第1デジタル送信信号及び前記第2デジタル送信信号に対応するデジタル受信信号を出力ノードに出力するように構成された受信回路であって、
前記第1信号線が接続された第1入力と、前記第2信号線が接続された第2入力とを有し、前記第1入力に入力された前記第1デジタル送信信号の論理値と、前記第2入力に入力された前記第2デジタル送信信号の論理値と相補の論理値との論理積である論理値を有する第1出力信号を出力するように構成されたAND回路と、
前記第1信号線が接続された第3入力と、前記第2信号線が接続された第4入力とを有し、前記第3入力に入力された前記第1デジタル送信信号の論理値と相補の論理値と、前記第2入力に入力された前記第2デジタル送信信号の論理値の論理和である論理値を有する第2出力信号を出力するように構成されたOR回路と、
前記第1出力信号の論理値と前記第2出力信号の論理値の排他的論理和である論理値を有する第3出力信号を出力するXOR回路
とを備える
受信回路。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のデジタル信号伝送装置10の構成を示す回路図である。本実施形態のデジタル信号伝送装置10は、送信回路1と受信回路2とを備えている。送信回路1と受信回路2とは、一対の信号線3、4によって接続されている。一実施形態では、送信回路1、受信回路2、信号線3、4は、同一のICチップにモノリシックに(monolithically)集積化されていてもよい。他の実施形態では、送信回路1、受信回路2が異なる2つのICチップに集積化され、信号線3、4は、該2つのICチップを接続するように設けられていてもよい。
【0016】
送信回路1は、デジタル送信信号D
Txから、互いに相補である第1デジタル送信信号Dと、第2デジタル送信信号/Dとを生成する。送信回路1は、インバータ11〜14を備えており、インバータ11〜14により、互いに相補である第1デジタル送信信号Dと第2デジタル送信信号/Dとが生成される。本実施形態では、第1デジタル送信信号Dが、元のデジタル送信信号D
Txと同一の論理値を有するように生成され、第2デジタル送信信号/Dが、第1デジタル送信信号Dの論理値と相補の論理値を有するように生成される。送信回路1は、第1デジタル送信信号Dを信号線3に出力し、第2デジタル送信信号/Dを信号線4に出力する。
【0017】
受信回路2は、信号線3を介して第1デジタル送信信号Dを受け取り、信号線4を介して第2デジタル送信信号/Dを受け取り、受け取った第1デジタル送信信号D及び第2デジタル送信信号/Dに対応する(即ち、元のデジタル送信信号D
Txに対応する)デジタル受信信号D
Rxを出力ノード5に出力するように構成されている。
【0018】
本実施形態では、受信回路2は、AND回路21と、OR回路22と、選択出力回路23と、ノイズ検出回路24とを備えている。
【0019】
AND回路21は、信号線3が接続された第1入力と、信号線4が接続された第2入力とを有している。AND回路21の第1入力には信号線3から第1デジタル送信信号Dが入力され、第2入力には第2デジタル送信信号/Dが入力される。AND回路21は、第1デジタル送信信号Dの論理値と、第2デジタル送信信号/Dの論理値と相補の論理値との論理積である論理値を有する出力信号S
1を出力するように構成されている。
【0020】
なお、
図1には、このような論理演算を実現するAND回路21として、反転入力(inverting input)と非反転入力(non-inverting input)とを有するNANDゲートが用いられる構成が図示されている。第1デジタル送信信号Dは、該NANDゲートの反転入力に入力され、第2デジタル送信信号/Dは、該NANDゲートの非反転入力に入力される。このような構成は、第1デジタル送信信号Dを伝送する経路と第2デジタル送信信号/Dを伝送する経路のゲート段数を一致させるために好適である。
【0021】
OR回路22は、信号線3が接続された第1入力と、信号線4が接続された第2入力とを有している。OR回路22の第1入力には信号線3から第1デジタル送信信号Dが入力され、第2入力には第2デジタル送信信号/Dが入力される。OR回路22は、第1デジタル送信信号Dの論理値と、第2デジタル送信信号/Dの論理値と相補の論理値との論理和である論理値を有する出力信号S
2を出力するように構成されている。
【0022】
なお、
図1には、このような論理演算を実現するOR回路22として、反転入力と非反転入力とを有するNORゲートが用いられる構成が図示されている。第1デジタル送信信号Dは、該NORゲートの反転入力に入力され、第2デジタル送信信号/Dは、該NORゲートの非反転入力に入力される。このような構成は、第1デジタル送信信号Dを伝送する経路と第2デジタル送信信号/Dを伝送する経路のゲート段数を一致させるために好適である。
【0023】
選択出力回路23は、出力ノード5の論理値に応じて出力信号S
1と出力信号S
2のうちの一方の出力信号を選択し、選択された一方の出力信号に応じてデジタル受信信号D
Rxを出力ノード5に出力するように構成されている。
【0024】
詳細には、選択出力回路23は、セレクタ25と、フリップフロップ26とを備えている。セレクタ25は、出力ノード5の論理値に応じて、出力信号S
1と出力信号S
2のうちの一方を選択し、選択した出力信号を出力信号S
3として出力する。本実施形態では、セレクタ25は、出力ノード5の論理値が“low”である場合にAND回路21の出力信号S
1を選択し、“high”である場合にOR回路22の出力信号S
2を選択する。フリップフロップ26は、セレクタ25の出力に接続されたデータ入力と、出力ノード5に接続されたデータ出力と、クロック信号CLKが供給されているクロック入力を有している。フリップフロップ26は、セレクタ25から出力された出力信号S
3の論理値をクロック信号CLKに同期してラッチし、ラッチした論理値を有する出力信号をデータ出力から出力する。フリップフロップ26のデータ出力から出力される出力信号が、デジタル受信信号D
Rxとして出力ノード5に出力される。
【0025】
ノイズ検出回路24は、AND回路21とOR回路22からそれぞれ出力される出力信号S
1及びS
2からノイズ検出信号S
NOISEを生成し、ノイズ検出信号S
NOISEをノイズ検出出力6に出力するように構成されている。ノイズ検出信号S
NOISEとは、信号線3、4への重大なノイズ(例えば、第1デジタル送信信号D及び第2デジタル送信信号/Dの論理値を誤って識別させるようなノイズ)の印加を検出するために用いられる信号である。
【0026】
本実施形態では、ノイズ検出回路24が、XOR回路27とフリップフロップ28とを備えている。XOR回路27は、AND回路21の出力信号S
1の論理値とOR回路22の出力信号S
2の論理値の排他的論理和である論理値を有する出力信号S
4を出力するように構成されている。フリップフロップ28は、XOR回路27の出力に接続されたデータ入力と、ノイズ検出出力6に接続されたデータ出力と、クロック信号CLKが供給されているクロック入力を有している。
【0027】
続いて、第1の実施形態のデジタル信号伝送装置10の動作について説明する。
本実施形態のデジタル信号伝送装置10は、コモンモードノイズに対する耐性が強いように構成されている。留意すべきことは、ノイズには極性があることである。コモンモードノイズには、信号線の電位を上昇させるものと、信号線の電位を低下させるものがある。以下では、信号線の電位を上昇させるノイズの極性を“正極性”といい、信号線の電位を低下させるノイズの極性を“負極性”という。正極性、負極性いずれのコモンモードノイズについても、コモンモードノイズの影響を抑制できることが望ましい。
【0028】
本実施形態のデジタル信号伝送装置10は、AND回路21の出力信号S
1とOR回路22の出力信号S
2とを、出力ノード5の論理値(即ち、デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じて選択する構成を採用することで、コモンモードノイズの極性に関わらず、第1デジタル送信信号D及び第2デジタル送信信号/Dを正しく受信できるように構成されている。
【0029】
正極性のコモンモードノイズは、第1デジタル送信信号D及び第2デジタル送信信号/Dのうち論理値が“low”であるものに影響を及ぼす可能性があり、負極性のコモンモードノイズは、論理値が“high”であるデジタル送信信号に影響を及ぼす可能性がある。本実施形態のデジタル信号伝送装置10の構成では、正極性のコモンモードノイズが印加された場合に論理値が“high”であるデジタル送信信号に基づいてデジタル受信信号D
Rxの論理値が決定され、負極性のコモンモードノイズが印加された場合に論理値が“low”であるデジタル送信信号に基づいてデジタル受信信号D
Rxの論理値が決定される。このような動作により、デジタル信号伝送装置10は、コモンモードノイズの極性に関わらず、コモンモードノイズの影響を抑制できる。
【0030】
詳細には、第1デジタル送信信号Dの論理値が“low”であり、第2デジタル送信信号/Dの論理値が“high”である場合には、AND回路21の出力信号S
1は、正極性、負極性のいずれのコモンモードノイズによる影響を受けない。なぜなら、正極性のコモンモードノイズが発生した場合には、AND回路21の出力信号S
1の論理値は、第2デジタル送信信号/Dの論理値によって決定され、負極性のコモンモードノイズが発生した場合には、AND回路21の出力信号S
1の論理値は、第1デジタル送信信号Dの論理値によって決定されるからである。
【0031】
一方、第1デジタル送信信号Dの論理値が“high”であり、第2デジタル送信信号/Dの論理値が“low”である場合には、OR回路22の出力信号S
2は、正極性、負極性のいずれのコモンモードノイズによる影響を受けない。なぜなら、正極性のコモンモードノイズが発生した場合には、OR回路22の出力信号S
2の論理値は、第1デジタル送信信号Dの論理値によって決定され、負極性のコモンモードノイズが発生した場合には、OR回路22の出力信号S
2の論理値は、第2デジタル送信信号/Dの論理値によって決定されるからである。
【0032】
本実施形態のデジタル信号伝送装置10は、出力ノード5の論理値、言い換えれば、直前の第1デジタル送信信号Dの論理値が“low”である場合には、AND回路21の出力信号S
1を選択し、出力ノード5の論理値が“high”である場合には、OR回路22の出力信号S
2を選択する。このような動作により、本実施形態のデジタル信号伝送装置10は、正極性、負極性いずれのコモンモードノイズが信号線3、4に印加されても、第1デジタル送信信号D及び第2デジタル送信信号/Dを正しく受信できる。以下、本実施形態のデジタル信号伝送装置10の動作について詳細に説明する。
【0033】
図2は、本実施形態のデジタル信号伝送装置10の動作を示すタイミングチャートである。初期状態において、送信回路1におけるデジタル送信信号D
Txの論理値、及び、受信回路2におけるデジタル受信信号D
Rxの論理値が、いずれも“low”であるとする。この場合、信号線3、4における第1デジタル送信信号D、第2デジタル送信信号/Dの論理値は、それぞれ、“low”、“high”である。また、受信回路2において生成される出力信号S
1〜S
4の論理値は、いずれも、“low”レベルである。
【0034】
受信回路2のフリップフロップ26は、セレクタ25の出力信号S
3を、クロック信号CLKに同期して(
図2の動作では、クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期して)ラッチする。デジタル送信信号D
Txの論理値が“low”である限り、セレクタ25の出力信号S
3の論理値は“low”であり、よって、フリップフロップ26から出力されるデジタル受信信号D
Rxの論理値も、“low”で維持される。
【0035】
ここで、時刻t
1において、正極性のコモンモードノイズ(信号線3、4の両方の電位を上昇させるコモンモードノイズ)が印加されたとする。この場合、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“high”になる。しかしながら、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“low”のまま維持される。その一方で、セレクタ25は、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じてAND回路21の出力信号S
1を選択する。結果として、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)は、コモンモードノイズによって影響されず、“low”に維持される。
【0036】
一方で、AND回路21の出力信号S
1が“low”に維持された状態でOR回路22の出力信号S
2の論理値が一時的に“high”になるため、XOR回路27の出力信号S
4が、一時的に“high”になる。クロック信号CLKの立ち上がりエッジが、OR回路22の出力信号S
2がコモンモードノイズの影響を受けるタイミングである場合には、フリップフロップ28は、XOR回路27の出力信号S
4が一時的に“high”になったタイミングでXOR回路27の出力信号S
4をラッチするので、ノイズ検出信号S
NOISEの論理値が“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
1においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0037】
その後、時刻t
2において、負極性のコモンモードノイズが印加されたとする。この場合も、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“high”になる。しかしながら、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“low”のまま維持される。その一方で、セレクタ25は、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じてAND回路21の出力信号S
1を選択する。結果として、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)は、コモンモードノイズによって影響されず、“low”に維持される。
【0038】
一方で、AND回路21の出力信号S
1が“low”に維持された状態でOR回路22の出力信号S
2の論理値が一時的に“high”になるため、XOR回路27の出力信号S
4が一時的に“high”になる。このため、ノイズ検出信号S
NOISEの論理値が“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
2においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0039】
その後、時刻t
3においてデジタル送信信号D
Txが“low”から“high”に遷移したとする。このとき、信号線3、4によって伝送される第1デジタル送信信号D、第2デジタル送信信号/Dが、それぞれ、“high”、“low”に遷移する。受信回路2においては、第1デジタル送信信号D、第2デジタル送信信号/Dに応じて、出力信号S
1〜S
3が“low”から“high”に遷移する。
【0040】
その後、時刻t
4においてクロック信号CLKが立ち上がると、フリップフロップ26が出力信号S
3の論理値をラッチし、デジタル受信信号D
Rxが“low”から“high”に遷移する。
【0041】
この状態において、時刻t
5において、正極性のコモンモードノイズが印加されたとする。この場合、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“low”になる。しかしながら、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“high”のまま維持される。その一方で、セレクタ25は、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じてOR回路22の出力信号S
2を選択する。結果として、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)は、コモンモードノイズによって影響されず、“high”に維持される。
【0042】
一方で、OR回路22の出力信号S
2が“high”に維持された状態でAND回路21の出力信号S
1の論理値が一時的に“low”になるため、XOR回路27の出力信号S
4が、一時的に“high”になる。クロック信号CLKの立ち上がりエッジが、AND回路21の出力信号S
1がコモンモードノイズの影響を受けるタイミングである場合には、フリップフロップ28は、XOR回路27の出力信号S
4が一時的に“high”になったタイミングでXOR回路27の出力信号S
4をラッチするので、ノイズ検出信号S
NOISEの論理値が“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
5においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0043】
その後、時刻t
6において、負極性のコモンモードノイズが印加されたとする。この場合も、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“low”になる。しかしながら、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“high”のまま維持される。その一方で、セレクタ25は、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じてOR回路22の出力信号S
2を選択する。結果として、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)は、コモンモードノイズによって影響されず、“high”に維持される。
【0044】
一方で、OR回路22の出力信号S
2が“high”に維持された一方でAND回路21の出力信号S
1の論理値が一時的に“low”になるため、XOR回路27の出力信号S
4が一時的に“high”になる。このため、ノイズ検出信号S
NOISEの論理値が“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
6においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0045】
以上に説明されているように、第1の実施形態のデジタル信号伝送装置10は、正極性、負極性いずれのコモンモードノイズについても、コモンモードノイズの影響を抑制しながらデジタル信号を伝送することができる。加えて、本実施形態のデジタル信号伝送装置10は、コモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態のデジタル信号伝送装置10Aの構成を示す回路図である。第2の実施形態のデジタル信号伝送装置10Aは、第1の実施形態のデジタル信号伝送装置10と類似した構成を有しているが、受信回路2Aの構成、より具体的には、選択出力回路23A及びノイズ検出回路24Aの構成が変更されている。第2の実施形態の受信回路2Aでは、(セレクタ25の出力信号ではなく)AND回路21及びOR回路22の出力信号S
1、S
2がフリップフロップによってラッチされる。
【0047】
詳細には、第2の実施形態では、選択出力回路23Aが、フリップフロップ29、30と、セレクタ31とを備えている。フリップフロップ29は、AND回路21の出力信号S
1の論理値をクロック信号CLKに同期してラッチし、ラッチした論理値を有する出力信号S
5をデータ出力から出力する。フリップフロップ30は、OR回路22の出力信号S
2の論理値をクロック信号CLKに同期してラッチし、ラッチした論理値を有する出力信号S
6をデータ出力から出力する。セレクタ31は、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じてフリップフロップ29、30の出力信号S
5、S
6のうちの一方を選択する。
【0048】
ここで、フリップフロップ29、30の出力信号S
5、S
6は、それぞれ、AND回路21、OR回路22の出力信号S
1、S
2の論理値をラッチすることで生成される信号であるから、本実施形態においても、出力ノード5の論理値に応じて、AND回路21、OR回路22の出力信号S
1、S
2が選択されることになる。本実施形態では、セレクタ31は、出力ノード5の論理値が“low”である場合にフリップフロップ29の出力信号S
5を選択し、“high”である場合にフリップフロップ30の出力信号S
6を選択する。セレクタ31によって選択された出力信号は、デジタル受信信号D
Rxとして出力ノード5に出力される。
【0049】
ノイズ検出回路24Aは、XOR回路32を備えている。XOR回路32は、フリップフロップ29の出力信号S
5の論理値とフリップフロップ30の出力信号S
6の論理値の排他的論理和である論理値を有する出力信号をノイズ検出出力6に出力するように構成されている。XOR回路32から出力される出力信号が、ノイズ検出信号S
NOISEとして用いられる。
【0050】
図4は、第2の実施形態のデジタル信号伝送装置10Aの動作を示すタイミングチャートである。第2の実施形態のデジタル信号伝送装置10Aの動作は、セレクタ25の出力信号S
3及びXOR回路27の出力信号S
4がフリップフロップ26、28にラッチされる代わりに、AND回路21及びOR回路22の出力信号S
1、S
2がフリップフロップ29、30にラッチされることを除けば、第1の実施形態のデジタル信号伝送装置10の動作と実質的に同じである。
【0051】
時刻t
1において、正極性のコモンモードノイズが印加されたとする。この場合、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“high”になる。しかしながら、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“low”のまま維持される。フリップフロップ29、30は、それぞれ、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、AND回路21、OR回路22の出力信号S
1、S
2をラッチし、それぞれ、出力信号S
5、S
6を出力する。セレクタ31は、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じてAND回路21の出力信号S
1に対応するフリップフロップ29の出力信号S
5を選択する。結果として、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)は、コモンモードノイズによって影響されず、“low”に維持される。
【0052】
一方で、OR回路22の出力信号S
2の論理値が一時的に“high”になったときにフリップフロップ30がOR回路22の出力信号S
2をラッチするので、フリップフロップ30の出力信号S
6は、“high”になる。これにより、XOR回路32から出力されるノイズ検出信号S
NOISEが、“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
1においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0053】
その後、時刻t
2において、負極性のコモンモードノイズが印加されたとする。この場合も、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“high”になる。しかしながら、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“low”のまま維持される。フリップフロップ29、30は、それぞれ、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、AND回路21、OR回路22の出力信号S
1、S
2をラッチし、それぞれ、出力信号S
5、S
6を出力する。セレクタ31は、出力ノード5の論理値に応じてAND回路21の出力信号S
1に対応するフリップフロップ29の出力信号S
5を選択する。結果として、出力ノード5の論理値は、コモンモードノイズによって影響されず、“low”に維持される。
【0054】
一方で、OR回路22の出力信号S
2の論理値が一時的に“high”になったときにフリップフロップ30がOR回路22の出力信号S
2をラッチするので、フリップフロップ30の出力信号S
6は、“high”になる。これにより、XOR回路32から出力されるノイズ検出信号S
NOISEが、“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
1においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0055】
その後、時刻t
3においてデジタル送信信号D
Txが“low”から“high”に遷移したとする。このとき、信号線3、4によって伝送される第1デジタル送信信号D、第2デジタル送信信号/Dが、それぞれ、“high”、“low”に遷移する。受信回路2においては、第1デジタル送信信号D、第2デジタル送信信号/Dに応じて、出力信号S
1、S
2が“low”から“high”に遷移する。
【0056】
その後、時刻t
4においてクロック信号CLKが立ち上がると、フリップフロップ29、30が出力信号S
1、S
2の論理値をラッチし、出力信号S
5、S
6の両方の論理値が“high”になる。このとき、出力信号S
5、S
6の両方の論理値が“high”になるので、デジタル受信信号D
Rxが“low”から“high”に遷移する。
【0057】
この状態において、時刻t
5において、正極性のコモンモードノイズが印加されたとする。この場合、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“low”になる。しかしながら、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“high”のまま維持される。フリップフロップ29、30は、それぞれ、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、AND回路21、OR回路22の出力信号S
1、S
2をラッチし、それぞれ、出力信号S
5、S
6を出力する。セレクタ31は、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じてOR回路22の出力信号S
2に対応するフリップフロップ30の出力信号S
6を選択する。結果として、出力ノード5の論理値(デジタル受信信号D
Rxの論理値)は、コモンモードノイズによって影響されず、“high”に維持される。
【0058】
一方で、AND回路21の出力信号S
1の論理値が一時的に“low”になったときにフリップフロップ29がAND回路21の出力信号S
1をラッチするので、フリップフロップ29の出力信号S
5は、“low”になる。これにより、XOR回路32から出力されるノイズ検出信号S
NOISEが、“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
5においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0059】
その後、時刻t
6において、負極性のコモンモードノイズが印加されたとする。この場合も、AND回路21の出力信号S
1は、コモンモードノイズによって影響を受けて一時的に“low”になる。しかしながら、OR回路22の出力信号S
2は、コモンモードノイズによる影響を受けず、“high”のまま維持される。フリップフロップ29、30は、それぞれ、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、AND回路21、OR回路22の出力信号S
1、S
2をラッチし、それぞれ、出力信号S
5、S
6を出力する。セレクタ31は、出力ノード5の論理値に応じてOR回路22の出力信号S
2に対応するフリップフロップ30の出力信号S
6を選択する。結果として、出力ノード5の論理値は、コモンモードノイズによって影響されず、“high”に維持される。
【0060】
一方で、AND回路21の出力信号S
1の論理値が一時的に“low”になったときにフリップフロップ29がAND回路21の出力信号S
1をラッチするので、フリップフロップ29の出力信号S
5は、“low”になる。これにより、XOR回路32から出力されるノイズ検出信号S
NOISEが、“high”になる。このようにして生成されたノイズ検出信号S
NOISEをモニタすることで、時刻t
6においてコモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知できる。
【0061】
第2の実施形態のデジタル信号伝送装置10Aは、第1の実施形態のデジタル信号伝送装置10と同様に、正極性、負極性の両方のコモンモードノイズについて、コモンモードノイズの影響を抑制しながらデジタル信号を伝送することができる。加えて、本実施形態のデジタル信号伝送装置10Aも、コモンモードノイズが信号線3、4に印加されたことを検知することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態のデジタル信号伝送装置10Bの構成を示す回路図である。第3の実施形態のデジタル信号伝送装置10Bは、第1の実施形態のデジタル信号伝送装置10及び第2の実施形態のデジタル信号伝送装置10Aと類似した構成を有しているが、受信回路2Bの構成、より具体的には、選択出力回路23B及びノイズ検出回路24Bの構成が変更されている。第3の実施形態では、受信回路2Bが、クロック信号CLKを用いずにデジタル信号を受信可能であるように構成されている。
【0063】
詳細には、選択出力回路23Bは、(順序回路ではなく)組み合わせ回路として構成されており、セレクタ25を備えている。セレクタ25は、出力ノード5の論理値に応じて、出力信号S
1と出力信号S
2のうちの一方を選択し、選択した出力信号をデジタル受信信号D
Rxとして出力する。本実施形態では、セレクタ25は、出力ノード5の論理値が“low”である場合にAND回路21の出力信号S
1を選択し、“high”である場合にOR回路22の出力信号S
2を選択する。
【0064】
ノイズ検出回路24Bは、XOR回路27とラッチ回路33とを備えている。XOR回路27は、AND回路21の出力信号S
1の論理値とOR回路22の出力信号S
2の論理値の排他的論理和である論理値を有する出力信号S
4を出力するように構成されている。ラッチ回路33は、クロスカップルされたNAND回路33a、33bを備えている。NAND回路33aは、XOR回路27の出力信号S
4が入力される第1入力とNAND回路33bの出力が接続される第2入力とを備えている。NAND回路33bは、NAND回路33aの出力が接続される第1入力とリセット信号Resetが入力される第2入力とを備えている。NAND回路33aの出力が、ノイズ検出出力6に接続されている。ラッチ回路33は、出力信号S
4の論理値が“high”になると出力信号の論理値が“high”になり、その後、リセット信号Resetが“high”になるまで、出力信号が“high”である状態を維持するように構成されている。ラッチ回路33の出力信号が、ノイズ検出信号S
NOISEとして用いられる。なお、このような構成のノイズ検出回路24Bは、第1の実施形態、第2の実施形態において、ノイズ検出回路24、24Aの代わりに用いてもよい。
【0065】
第3の実施形態のデジタル信号伝送装置10Bも、AND回路21の出力信号S
1とOR回路22の出力信号S
2とを、出力ノード5の論理値(即ち、デジタル受信信号D
Rxの論理値)に応じて選択する構成を採用することで、コモンモードノイズの極性に関わらず、第1デジタル送信信号D及び第2デジタル送信信号/Dを正しく受信できる。
【0066】
加えて、第3の実施形態のデジタル信号伝送装置10Bは、受信回路2Bにおいてクロック信号CLKを用いずにデジタル信号を伝送可能である。このような特徴は、本実施形態のデジタル信号伝送装置10Bをクロック信号伝送装置として用いる場合に特に有利である。本実施形態のデジタル信号伝送装置10Bは、送信回路1においてデジタル送信信号D
Txとしてクロック信号を与えることにより、クロック信号の伝送が可能である。クロック信号CLKを用いてデジタル信号を受信すると、受信回路から出力されるデジタル受信信号のタイミングは、クロック信号CLKのタイミングに影響されることになる。本実施形態のデジタル信号伝送装置10Bは、受信回路2Bにおいてクロック信号CLKを用いないので、クロック信号の伝送に好適である。この場合、送信回路1は、第1デジタル送信信号Dとして第1クロック信号を信号線3に出力し、第2デジタル送信信号/Dとして該第1のクロック信号と相補の第2クロック信号を信号線4に出力する。受信回路2Bは、デジタル受信信号D
Rxとして、該第1及び第2クロック信号に同期した出力クロック信号を出力する。
【0067】
上記には、発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。