と集中管理装置MC9とを備えている。また、太陽光発電システムPVS9と電力系統Aとの連系点には、逆電力継電器51が設置されている。集中管理装置MC9は、連系点電力が目標電力となるように、抑制指標pr
を用いた最適化問題に基づいて、個別目標電力を算出し、個別出力電力を制御する。このように構成された太陽光発電システムPVS9において、逆電力継電器51によって逆潮流が検出される前に、抑制指標pr
前記目標電力算出手段は、前記解列回避値を用いた前記個別目標電力の算出を所定時間継続した後、前記指標受信手段が受信した前記指標を用いた前記個別目標電力の算出を再開する、
請求項2に記載の電力システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の電力システムの実施の形態について説明する。当該電力システムは、電力系統に連系された系統連系システムを備えており、当該系統連系システムが太陽光発電システムである場合を例に説明する。なお、以下の説明において、連系点における電力が正の場合、太陽光発電システムから電力系統に電力が出力されている(逆潮流している)ものとする。一方、連系点における電力が負の値の場合、電力系統から太陽光発電システムに電力が出力されているものとする。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1の全体構成を示している。同図に示すように、太陽光発電システムPVS1は、複数台の太陽電池SP
i(i=1,2,・・・,n;nは正の整数)、複数台のパワーコンディショナPCS
i、および、集中管理装置MC1を有して構成される。太陽光発電システムPVS1は、系統連系型の逆潮流システムである。
【0017】
複数台の太陽電池SP
iはそれぞれ、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する。各太陽電池SP
iは、直列・並列に接続された複数個の太陽電池パネルを含んで構成されている。太陽電池パネルは、例えば、シリコンなどの半導体で生成された太陽電池セルを複数個接続したものを、屋外で利用できるように樹脂や強化ガラスなどで保護したものである。太陽電池SP
iは発電した電力(直流電力)を、パワーコンディショナPCS
iに出力する。なお、太陽電池SP
iによって発電可能な電力の最大量を太陽電池SP
iの発電量P
iSPとする。
【0018】
複数台のパワーコンディショナPCS
iはそれぞれ、太陽電池SP
iが発電した電力(直流電力)を交流電力に変換する。そして、変換した交流電力を電力系統Aに出力する。各パワーコンディショナPCS
iは、例えば、インバータ回路、変圧器、および、制御回路などを含んでいる。インバータ回路は、太陽電池SP
iから入力される直流電力を電力系統Aと同期がとれた交流電力に変換する。変圧器は、インバータ回路から出力される交流電圧を昇圧(または降圧)する。制御回路は、インバータ回路などを制御する。各パワーコンディショナPCS
iは、インバータ回路などの制御により、自装置(パワーコンディショナPCS
i)の出力電力である個別出力電力P
ioutを制御する。なお、パワーコンディショナPCS
iは、上記のように構成されたものに限定されない。
【0019】
各パワーコンディショナPCS
iから出力される有効電力をP
iout、無効電力をQ
ioutとすると、各パワーコンディショナPCS
iからP
iout+jQ
ioutの複素電力が出力されている。したがって、複数台のパワーコンディショナPCS
iと電力系統Aとの連系点には、Σ
iP
iout+jΣ
iQ
ioutの複素電力が出力されている。すなわち、連系点における電力は、各パワーコンディショナPCS
iの出力電力の総和である。なお、連系点における電力を連系点電力P(t)とする。本実施形態においては、連系点における電圧変動抑制などに主に活用される無効電力Q
ioutの出力制御については、特に考慮しない。すなわち、連系点電力P(t)は、連系点における有効電力P
ioutの総和(Σ
iP
iout)としている。よって、各パワーコンディショナPCS
iが制御する個別出力電力は有効電力P
ioutであるので、個別出力電力をP
ioutとする。
【0020】
集中管理装置MC1は、複数台のパワーコンディショナPCS
iを集中管理する。集中管理装置MC1は、例えば無線通信により、各パワーコンディショナPCS
iとの間で、各種情報の送受信を行う。なお、無線通信ではなく、有線通信であってもよい。
【0021】
このように構成された太陽光発電システムPVS1において、集中管理装置MC1は、所定の調整対象電力を監視し、当該調整対象電力と調整対象電力の目標値である目標電力とに基づいて、調整対象電力を目標電力にするための指標を算出する。そして、これを各パワーコンディショナPCS
iに送信する。各パワーコンディショナPCS
iは、集中管理装置MC1から指標を受信し、受信した指標に基づいて、個別出力電力P
ioutの目標値である個別目標電力P
irefを算出する。そして、算出した個別目標電力P
irefに基づいて、個別出力電力P
ioutを制御する。当該指標は、調整対象電力を目標電力にするための情報であり、個別目標電力P
irefを算出するための情報である。
【0022】
近年、電力系統Aに連系する太陽光発電システムが増えてきており、電力系統Aへの電力の供給が需要に比べて過多となる可能性がある。この供給過多の状態を解消するために、電力会社などから各太陽光発電システムに個々の出力電力を抑制するように指示されることが考えられる。このとき、各太陽光発電システムは、この出力抑制指示に従い、出力電力を抑制する必要がある。本実施形態においては、電力会社からの出力抑制指示として、太陽光発電システムPVS1全体の出力電力の上限値である出力指令値P
Cが指示されるものとする。したがって、太陽光発電システムPVS1は、太陽光発電システムPVS1全体の出力電力を出力指令値P
Cに一致させる必要がある。
【0023】
そこで、本実施形態に係る太陽光発電システムPVS1は、上記指標を用いて各パワーコンディショナPCS
iが分散的に制御して、太陽光発電システムPVS1全体の出力電力を出力指令値P
Cに一致させている。これを「出力抑制制御」という。なお、太陽光発電システムPVS1において、各パワーコンディショナPCS
iの個別出力電力P
ioutはすべて連系点(電力系統A)に出力されるので、太陽光発電システムPVS1は連系点電力P(t)を太陽光発電システムPVS1全体の出力電力とみなして、出力抑制制御を行う。すなわち、太陽光発電システムPVS1は、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させている。なお、本実施形態に係る出力抑制制御で用いる指標を抑制指標prとする。具体的には、太陽光発電システムPVS1において、集中管理装置MC1は、連系点電力P(t)を監視し、連系点電力P(t)と出力指令値P
Cとに基づいて、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cにするための抑制指標prを算出する。そして、これを各パワーコンディショナPCS
iに送信する。各パワーコンディショナPCS
iは、集中管理装置MC1から抑制指標prを受信し、受信した抑制指標prに基づいて、個別目標電力P
irefを算出する。そして、算出した個別目標電力P
irefに基づいて、個別出力電力P
ioutを制御する。これにより、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させている。よって、上記調整対象電力として連系点電力P(t)を用い、上記目標電力として出力指令値P
Cを用いている。
【0024】
図2は、
図1に示す太陽光発電システムPVS1の出力抑制制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図2においては、太陽電池SP
iの図示を省略している。当該出力抑制制御に関する制御系として、
図2に示すように、各パワーコンディショナPCS
iは、受信部11、目標電力算出部12、および、出力制御部13を含んでいる。また、集中管理装置MC1は、目標電力設定部21、連系点電力検出部22、指標算出部23、および、送信部24を含んでいる。
【0025】
受信部11は、集中管理装置MC1から送信される抑制指標prを受信する。受信部11は、例えば無線通信により、集中管理装置MC1から抑制指標prを受信する。なお、無線通信ではなく、有線通信であってもよい。
【0026】
目標電力算出部12は、受信部11が受信した抑制指標prに基づき、自装置(パワーコンディショナPCS
i)の個別目標電力P
irefを算出する。具体的には、目標電力算出部12は、下記(8)式に示す制約付き最適化問題を解くことで、個別目標電力P
irefを算出する。当該(8)式において、P
ilmtは、各パワーコンディショナPCS
iの定格出力(出力限界)を表わし、w
iは、パワーコンディショナPCS
iの有効電力抑制に関する重みを表わしている。この有効電力抑制に関する重みw
iは、目標電力算出部12に記憶されている。また、有効電力抑制に関する重みw
iは、ユーザが手動で設定することができる。あるいは、各パワーコンディショナPCS
iが、パワーコンディショナPCS
iの状況(温度、気候、無効電力量など)に応じて、自動的に設定するようにしてもよい。なお、この下記(8)式についての詳細は、後述する。
【数1】
【0027】
出力制御部13は、上記インバータ回路を制御して、個別出力電力P
ioutを制御する。出力制御部13は、個別出力電力P
ioutを、目標電力算出部12が算出した個別目標電力P
irefにする。
【0028】
目標電力設定部21は、連系点電力P(t)の目標値を設定する。本実施形態においては、目標電力設定部21は、出力抑制制御における目標電力を設定する。具体的には、目標電力設定部21は、電力会社から指令される上記出力指令値P
Cを取得し、当該出力指令値P
Cを目標電力として設定する。目標電力設定部21は、例えば、無線通信により電力会社から出力指令値P
Cを取得する。なお、出力指令値P
Cを電力会社から直接取得するものに限定されない。例えば、管理者が所定のコンピュータに電力会社から指令される出力指令値P
Cを手入力で入力し、目標電力設定部21が前記コンピュータから出力指令値P
Cを取得する構成であってもよい。あるいは、他の通信装置を中継して、電力会社から指令される出力指令値P
Cを取得する構成であってもよい。目標電力設定部21は、設定した目標電力(出力指令値P
C)を指標算出部23に出力する。
【0029】
目標電力設定部21は、電力会社からの出力抑制の指令がないとき、指標算出部23に指令がないことを伝達する。「電力会社からの出力抑制の指令がないとき」とは、太陽光発電システムPVS1の出力を抑制せず、太陽電池SP
iが発電した電力を最大限に出力できるときである。例えば、各パワーコンディショナPCS
iが最大電力点追従制御により最大電力点で動作するときに、最大限に出力できる。本実施形態においては、目標電力設定部21は、電力会社からの出力抑制の指令がないとき、目標電力として、数値−1を指標算出部23に出力する。なお、指標算出部23に指令がないことを伝達することができれば、その手法は限定されない。例えば、目標電力設定部21は、出力抑制の指令の有無を示すフラグ情報を電力会社等から取得し、これを指標算出部23に伝達するようにしてもよい。当該フラグ情報は、例えば、出力抑制の指令がない場合「0」であり、出力抑制の指令がある場合「1」である。なお、出力抑制の指令がある場合(フラグ情報が「1」の場合)には、当該フラグ情報とともに出力指令値P
Cを取得する。
【0030】
本実施形態においては、目標電力設定部21が出力指令値P
Cを取得する場合を例に説明するが、これに限定されない。具体的には、出力指令値P
Cの代わりに出力抑制率[%]の情報を取得するようにしてもよい。このとき、目標電力設定部21は、取得した出力抑制率[%]と太陽光発電システムPVS1全体の定格出力(すなわち、各パワーコンディショナPCS
iの定格出力の合計)Σ
iP
ilmtとに基づき、出力指令値P
Cを算出する。例えば、目標電力設定部21は、出力抑制率として20%である指令を取得したとき、太陽光発電システムPVS1の定格出力Σ
iP
ilmtの80%(=100−20)を出力指令値P
Cとして算出する。そして、算出した出力指令値P
Cを目標電力として指標算出部23に出力する。
【0031】
連系点電力検出部22は、連系点電力P(t)を検出する。そして、検出した連系点電力P(t)を指標算出部23に出力する。なお、連系点電力検出部22を、集中管理装置MC1とは別の検出装置として構成してもよい。この場合、当該検出装置(連系点電力検出部22)が、無線通信または有線通信により、連系点電力P(t)の検出値を集中管理装置MC1に送信する。
【0032】
指標算出部23は、連系点電力P(t)を目標電力にするための指標を算出する。本実施形態においては、目標電力として出力指令値P
Cが入力されるので、指標算出部23は、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cにするための抑制指標prを算出する。指標算出部23は、ラグランジュ乗数をλ、勾配係数をε、時間をtとして、下記(9)式および下記(10)式に基づき、抑制指標prを算出する。ただし、指標算出部23は、出力指令値P
Cとして、電力会社からの出力抑制の指令がないことを表わす数値−1を入力された場合、ラグランジュ乗数λを「0」とする。すなわち、抑制指標prを「0」と算出する。なお、下記(9)式において、個別出力電力P
ioutおよび出力指令値P
Cが、時間tに対して変化する値であるため、それぞれ個別出力電力をP
iout(t)、出力指令値をP
C(t)と記載している。これらの下記(9)式および下記(10)式の詳細は、後述する。
【数2】
【0033】
送信部24は、指標算出部23が算出した抑制指標prを各パワーコンディショナPCS
iに送信する。
【0034】
次に、太陽光発電システムPVS1が行う出力抑制制御において、パワーコンディショナPCS
iによる個別目標電力P
irefの算出に上記(8)式が用いられる理由と、集中管理装置MC1による抑制指標prの算出に上記(9)式および上記(10)式が用いられる理由とを説明する。
【0035】
太陽光発電システムPVS1は、出力抑制制御において、以下の3つの目標を達成するように構成されている。1つ目の目標(目標1−1)は、「各パワーコンディショナPCS
iが分散的に個別目標電力を算出する」ことである。2つ目の目標(目標1−2)は、「太陽光発電システムPVS1の連系点における出力電力(連系点電力)を電力会社からの出力指令値(目標電力)に一致させる」ことである。そして、3つ目の目標(目標1−3)は、「パワーコンディショナPCS
i毎に、出力抑制量を調整できるようにする」ことである。なお、出力抑制量とは、パワーコンディショナPCS
iが出力可能な最大電力値と個別出力電力P
ioutとの差である。前記出力可能な最大電力値は、太陽電池SP
iの発電量P
iSP>定格出力P
ilmtの場合には、パワーコンディショナPCS
iの定格出力P
ilmtである。一方、太陽電池SP
iの発電量P
iSP≦定格出力P
ilmtの場合には、太陽電池SP
iの発電量P
iSPである。
【0036】
まず、集中管理装置MC1が、集中的に個別目標電力P
irefを求める場合の制約付き最適化問題を考える。そうすると、下記(11)式が得られる。ここで、上記するように、P
irefは、各パワーコンディショナPCS
iの個別目標電力を表わし、P
ilmtは、各パワーコンディショナPCS
iの定格出力(出力限界)を表わし、P
Cは、電力会社から指令される出力指令値を表わしている。なお、下記(11)式の最適解である個別目標電力P
irefを(P
iref)
*とする。下記(11)式において、(11a)式は、個別出力電力P
ioutの出力抑制量の最小化、(11b)式は、定格出力P
ilmtによる制約、(11c)式は、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させることをそれぞれ表わしている。
【数3】
【0037】
これは、集中管理装置MC1が、上記(11)式から個別目標電力(P
iref)
*を求める場合を示している。したがって、上記(11)式の場合、各パワーコンディショナPCS
iが分散的に個別目標電力(P
iref)
*を算出していないため、目標1−1を達成していない。
【0038】
続いて、各パワーコンディショナPCS
iが分散的に個別目標電力P
irefを求める場合の制約付き最適化問題を考える。そうすると、下記(12)式が得られる。
【数4】
【0039】
しかし、上記(12)式の最適解である個別目標電力は、各パワーコンディショナPCS
iが分散的に求めた個別目標電力P
irefであるが、上記(11c)式が考慮されていない。したがって、連系点電力P(t)を電力会社からの出力指令値P
Cに一致させる目標1−2を達成できない。
【0040】
そこで、次の手法により、目標1−2を達成させることを考える。すなわち、各パワーコンディショナPCS
iが、集中管理装置MC1から受信する抑制指標prに基づき、分散的に個別目標電力P
irefを算出する。これにより、目標1−2を達成させる。各パワーコンディショナPCS
iが、抑制指標prを用いて、分散的に個別目標電力P
irefを求める場合の制約付き最適化問題は、上記(8)式で表わすことができる。なお、上記(8)式の最適解である個別目標電力P
irefを(P
iref)
♭とする。
【0041】
ここで、上記(11)式により得られる最適解(P
iref)
*と、上記(8)式により得られる最適解(P
iref)
♭とが一致することで、連系点電力P(t)を電力会社からの出力指令値P
Cに一致させることができる。すなわち、各パワーコンディショナPCS
iが分散的に最適化問題を解いた場合であっても、目標1−2を達成することができる。したがって、定常状態の最適性に着目し、(P
iref)
*=(P
iref)
♭となる抑制指標prを考える。そのために、上記(11)式および上記(8)式のKKT(Karush-Kuhn-Tucker)条件を考える。これにより、上記(11)式のKKT条件から下記(13)式が得られ、上記(8)式のKKT条件から下記(14)式が得られる。なお、μは所定のラグランジュ乗数である。
【数5】
【0042】
これら上記(13)式および上記(14)式から、pr=λ(上記(10)式)とすることで、2つの最適解(P
iref)
*、(P
iref)
♭が一致することが分かる。したがって、集中管理装置MC1がラグランジュ乗数λを算出し、算出したラグランジュ乗数λを抑制指標prとして、各パワーコンディショナPCS
iに提示(送信)することで、各パワーコンディショナPCS
iがそれぞれ、上記(8)式から個別目標電力(P
iref)
♭を算出することができる。これにより、各パワーコンディショナPCS
iが分散的に個別目標電力P
irefを求めた場合であっても、連系点電力P(t)と電力会社からの出力指令値P
Cとを一致させることができる。すなわち、目標1−2を達成できる。
【0043】
続いて、集中管理装置MC1によるラグランジュ乗数λの算出方法について、説明する。集中管理装置MC1がラグランジュ乗数λを求めるために、まず、h
1,i=−P
iref、h
2,i=P
iref−P
ilmtとし、各パワーコンディショナPCS
iの不等式制約をまとめてh
j,i(j=1,2、i=1,・・・,n)とする。そして、上記(11)式の双対問題である下記(15)式を考える。
【数6】
【0044】
ここで、各パワーコンディショナPCS
iによって求められる最適解(P
iref)
♭が決定されると仮定すると、下記(16)式となり、ラグランジュ乗数λに対する最大化問題の形となる。この下記(16)式に対し勾配法を適用すると、下記(17)式となる。なお、εは勾配係数を表わし、τは時間変数を表わす。
【数7】
【0045】
上記(17)式において、(P
iref)
♭を対応する各パワーコンディショナPCS
iの個別出力電力P
ioutで置き換える。さらに、集中管理装置MC1は、各パワーコンディショナPCS
iの個別出力電力P
ioutを個別に観測せず、連系点電力P(t)=Σ
iP
ioutを観測する。また、電力会社から逐次出力指令値P
Cを取得しているとする。そうすると、上記(9)式が得られる。よって、集中管理装置MC1は、連系点電力P(t)と電力会社からの出力指令値P
Cとに基づき、ラグランジュ乗数λを算出できる。そして、上記(10)式に基づき、算出したラグランジュ乗数λを抑制指標prとする。
【0046】
以上のことから、本実施形態においては、各パワーコンディショナPCS
iは、個別目標電力P
irefを算出するときに、上記(8)式に示す最適化問題を用いている。また、集中管理装置MC1は、抑制指標prを算出するために、上記(9)式および上記(10)式を用いている。
【0047】
次に、上記のように構成された太陽光発電システムPVS1において、上記3つの目標を達成し、適切に動作していることをシミュレーションによって検証した。
【0048】
シミュレーションでは、10台のパワーコンディショナPCS
i(i=1〜10;PCS
1〜PCS
10)を有する太陽光発電システムPVS1を想定した。
【0049】
電力系統A(連系点電圧)のモデルは、下記(18)式とした。下記(18)式において、R=R
L×L,X=X
L×Lであり、R
Lは配電線の単位長さ当たりの抵抗成分、X
Lは配電線の単位長さ当たりのリアクタンス成分、Lは配電線の長さ、V
1は上位系統電圧を表わしている。本シミュレーションにおいては、上位系統電圧V
1を6600[V]、配線線の単位長さ当たりの抵抗成分R
Lを0.220[Ω/km]、配電線の単位長さ当たりのリアクタンス成分X
Lを0.276[Ω/km]、配電線の長さLを5[km]とした。
【数8】
【0050】
パワーコンディショナPCS
iは、
図3に示すモデルのものを想定し、個別出力電力P
ioutを個別目標電力P
irefに制御するために、PI制御を行っているものとした。パワーコンディショナPCS
iの電流制御系は、有効・無効電力制御系に比べ、非常に高速に応答するように設計されている。ここでは、事前に適切な制御系設計がなされているとし、K=1,T=10
-4の1次遅れ系で実現している。電流制御系の上位制御系となる電力制御系は、ステップ応答が1[s]以内に収束する程度の時定数を想定し、K
PP=K
PQ=1.0×10
-7、K
IP=K
IQ=1.2×10
-3としている。なお、K
PPは有効電力の比例ゲイン、K
PQは無効電力の比例ゲイン、K
IPは有効電力の積分ゲイン、K
IQは無効電力の積分ゲインを表わしている。有効・無効電力制御系のステップ応答を
図4に示す。
【0051】
図5〜
図11は、上記に示したモデルの太陽光発電システムPVS1を用いて、複数の条件下でシミュレーションを行ったときの結果を示している。なお、各パワーコンディショナPCS
iは、接続される太陽電池SP
iの発電量P
iSPが定格出力P
ilmtより大きい場合には、パワーコンディショナPCS
iの定格出力P
ilmtに抑制するものとする。
【0052】
ケース1として、10台のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
10がすべて同じ条件である場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション1−1とする。シミュレーション1−1において、10台のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
10はすべて、定格出力P
ilmtが500[kW]、有効電力抑制に関する重みw
iが1.0、太陽電池SP
iの発電量P
iSPが600[kW]であるとした。また、電力会社からの出力指令値P
Cは、0≦t<60[s]では指令がなく、60≦t[s]では3000[kW]であるとした。なお、「出力指令値P
Cの指令がない」ときには、上記するように出力指令値P
Cとして、指令がないことを表わす数値−1を用いた。その他、勾配係数εを0.025、集中管理装置MC1が行う抑制指標prの更新と各パワーコンディショナPCS
iが行う個別目標電力P
irefの更新との各サンプリング時間を1[s]とした。また、各パワーコンディショナPCS
iはすべて、力率1(無効電力目標値=0[kvar])で運転しているものとした。
図5は、シミュレーション1−1におけるシミュレーション結果を示している。
【0053】
図5(a)〜(e)は、各パワーコンディショナPCS
iの、太陽電池SP
iの発電量P
iSP(一点鎖線)、定格出力P
ilmt(実線)、個別目標電力P
iref(破線)、および、個別出力電力P
iout(実線)を示している。
図5(a)は、パワーコンディショナPCS
1,PCS
2について、
図5(b)は、パワーコンディショナPCS
3,PCS
4について、
図5(c)は、パワーコンディショナPCS
5,PCS
6について、
図5(d)は、パワーコンディショナPCS
7,PCS
8について、
図5(e)は、パワーコンディショナPCS
9,PCS
10について、図示している。なお、
図5(a)〜(e)において、理解の便宜上、個別目標電力P
iref(破線)を少し上方にずらして記載している。
図5(f)は、各パワーコンディショナPCS
1〜PCS
10の個別出力電力P
1out〜P
10outを1つのグラフに示したものである。
図5(g)は、連系点電力P(t)(実線)および電力会社からの出力指令値P
C(破線)を示している。なお、
図5(g)において、理解の便宜上、出力指令値P
Cの指令がない場合、各パワーコンディショナのPCS
1〜PCS
10の定格出力P
1lmt〜P
10lmtの合計値を出力指令値P
Cとして記載している。
図5(h)は、指標算出部23が算出するラグランジュ乗数λを示している。そして、
図5(i)は、指標算出部23が算出する抑制指標prを示している。
【0054】
図5から次のことが確認できる。すなわち、シミュレーション開始から出力抑制指令があるまでの期間(0≦t<60[s])では、
図5(a)〜(e)が示すように、各パワーコンディショナPCS
1〜PCS
10の個別出力電力P
1out〜P
10outが、個別目標電力P
1ref〜P
10refの500[kW]に達するまで、太陽電池SP
iの発電量P
1SP〜P
10SPに応じて上昇している。そして、個別目標電力P
1ref〜P
10refの500[kW]に達すると、それ以後、個別出力電力P
1out〜P
10outは、個別目標電力P
1ref〜P
10refの500[kW]に制御されていることが確認できる。また、出力指令値P
Cの指令後(60≦t[s])では、
図5(h)および
図5(i)が示すように、ラグランジュ乗数λおよび抑制指標prが更新されていることが確認できる。そして、各パワーコンディショナPCS
1〜PCS
10は、この抑制指標prの更新に基づき、
図5(a)〜(e)が示すように、個別目標電力P
1ref〜P
10refを変更している。よって、個別出力電力P
1out〜P
10outが抑制され、個別目標電力P
1ref〜P
10refに追従していることが確認できる。これにより、
図5(g)が示すように、連系点電力P(t)が抑制され、定常状態で出力指令値P
Cに一致していることが確認できる。
【0055】
ケース2として、10台のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
10のうち2台のパワーコンディショナPCS
5,PCS
6に設定される有効電力抑制に関する重みw
5,w
6が他のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
4,PCS
7〜PCS
10のそれと異なる場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション1−2とする。シミュレーション1−2において、2台のパワーコンディショナPCS
5,PCS
6の有効電力抑制に関する重みw
iを2.0とした。その他の条件は、上記シミュレーション1−1と同じである。
図6は、シミュレーション1−2におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図6(a)〜(i)はそれぞれ、上記シミュレーション1−1における
図5(a)〜(i)に対応した図である。
【0056】
図6から次のことが確認できる。すなわち、
図6(a)〜(e)が示すように、
図5に示すシミュレーション1−1と比較し、有効電力抑制に関する重みw
iを変えたパワーコンディショナPCS
5,PCS
6の出力抑制量が、その他のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
4,PCS
7〜PCS
10の出力抑制量の半分になっていることが確認できる。このとき、
図6(h)および
図6(i)が示すように、集中管理装置MC1が算出するラグランジュ乗数λおよび抑制指標prも上記シミュレーション1−1における値(
図5(h)および
図5(i)参照)と異なっていることも確認できる。したがって、有効電力抑制に関する重みw
iを調整することによって、出力抑制量に差を持たせることが可能である。さらに、
図6が示すように、パワーコンディショナPCS
5,PCS
6の出力抑制量を小さくした分、その他のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
4,PCS
7〜PCS
10の出力抑制量を上記シミュレーション1−1の場合よりも大きくすることで、
図6(g)に示すように、連系点電力P(t)が、定常状態で出力指令値P
Cに一致していることが確認できる。したがって、太陽光発電システムPVS1は、パワーコンディショナPCS
iに設定された有効電力抑制に関する重みw
iを考慮して、適切に動作を行っているといえる。
【0057】
ケース3として、10台のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
10のうち2台のパワーコンディショナPCS
5,PCS
6の有効電力抑制に関する重みw
5,w
6を途中で変化させた場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション1−3とする。シミュレーション1−3において、2台のパワーコンディショナPCS
5,PCS
6の有効電力抑制に関する重みw
5,w
6を、開始時点(0[s])では、w
5=w
6=1.0とし、120[s]経過後に、w
5=w
6=2.0に変化させた。すなわち、60≦t<120[s]では、上記シミュレーション1−1のように各パワーコンディショナPCS
1〜PCS
10の有効電力抑制に関する重みw
1〜w
10はすべて1.0であるが、120≦t[s]では、上記シミュレーション1−2のようにパワーコンディショナPCS
5,PCS
6の有効電力抑制に関する重みw
5,w
6を2.0に変化させた。その他の条件は、上記シミュレーション1−1と同じである。
図7は、シミュレーション1−3におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図7(a)〜(i)はそれぞれ、上記シミュレーション1−1における
図5(a)〜(i)に対応した図である。
【0058】
図7から次のことが確認できる。すなわち、パワーコンディショナPCS
5,PCS
6の有効電力抑制に関する重みw
5,w
6を2.0に変化させる前(60≦t<120[s])では、上記シミュレーション1−1と同じ結果であり、パワーコンディショナPCS
5,PCS
6の有効電力抑制に関する重みw
5,w
6を2.0に変化させた後(120≦t[s])では、上記シミュレーション1−2と同じ結果となっていることが確認できる。したがって、このように有効電力抑制に関する重みw
iを途中で調整(変更)しても、継続して、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させることが可能である。
【0059】
ケース4として、2台のパワーコンディショナ毎(PCS
1とPCS
2,PCS
3とPCS
4,PCS
5とPCS
6,PCS
7とPCS
8,PCS
9とPCS
10)に、太陽電池SP
iの発電量P
iSPが異なる場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション1−4とする。シミュレーション1−4において、2台のパワーコンディショナ毎(PCS
1とPCS
2,PCS
3とPCS
4,PCS
5とPCS
6,PCS
7とPCS
8,PCS
9とPCS
10)の太陽電池SP
iの発電量P
iSPをそれぞれ、P
1SP,P
2SP=600[kW]、P
3SP,P
4SP=500[kW]、P
5SP,P
6SP=400[kW]、P
7SP,P
8SP=300[kW]、P
9SP,P
10SP=200[kW]とした。その他の条件は、上記シミュレーション1−1と同じである。
図8は、シミュレーション1−4におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図8(a)〜(i)はそれぞれ、上記シミュレーション1−1における
図5(a)〜(i)に対応した図である。
【0060】
図8から次のことが確認できる。すなわち、
図8(a)〜(e)が示すように、個別目標電力P
irefが太陽電池SP
iの発電量P
iSP以上である場合、出力抑制を行っていないことが確認できる。また、
図8(f)が示すように、定格出力P
ilmtが同一のパワーコンディショナPCS
1〜PCS
10で太陽電池SP
iの発電量P
iSPが異なる場合、太陽電池SP
iの発電量P
iSPの少ないパワーコンディショナPCS
7〜PCS
10は出力抑制を行っていないことが確認できる。さらに、
図8(g)が示すように、連系点電力P(t)が抑制され、定常状態で出力指令値P
Cに一致していることが確認できる。したがって、太陽光発電システムPVS1は、太陽電池SP
iの発電量P
iSPを考慮して、適切に動作を行っているといえる。
【0061】
ケース5として、2台のパワーコンディショナ毎(PCS
1とPCS
2,PCS
3とPCS
4,PCS
5とPCS
6,PCS
7とPCS
8,PCS
9とPCS
10)に、定格出力P
ilmtが異なる場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション1−5とする。シミュレーション1−5において、2台のパワーコンディショナ毎(PCS
1とPCS
2,PCS
3とPCS
4,PCS
5とPCS
6,PCS
7とPCS
8,PCS
9とPCS
10)の定格出力P
ilmtをそれぞれ、P
1lmt,P
2lmt=500[kW]、P
3lmt,P
4lmt=400[kW]、P
5lmt,P
6lmt=300[kW]、P
7lmt,P
8lmt=200[kW]、P
9lmt,P
10lmt=100[kW]とした。また、電力会社からの出力指令値P
Cとして、0≦t<60[s]では指令がなく、60≦t[s]では2000[kW]とし、太陽電池SP
iの発電量P
iSPをそれぞれ、定格出力P
ilmt+100[kW]とした。その他の条件は、上記シミュレーション1−1と同じである。
図9は、シミュレーション1−5におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図9(a)〜(i)はそれぞれ、上記シミュレーション1−1における
図5(a)〜(i)に対応した図である。
【0062】
図9から次のことが確認できる。すなわち、
図9(f)が示すように、定格出力P
ilmtが異なる場合、出力抑制量は、各パワーコンディショナPCS
1〜PCS
10で等しいことが確認できる。また、
図9(g)が示すように連系点電力P(t)が抑制され、定常状態で出力指令値P
Cに一致していることが確認できる。したがって、太陽光発電システムPVS1は、パワーコンディショナPCS
iの定格出力P
ilmtを考慮して、適切に動作を行っているといえる。
【0063】
ケース6として、上記サンプリング時間を長くした場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション1−6とする。シミュレーション1−6において、上記サンプリング時間を60[s]=1[min]とした。また、勾配係数εを0.0005とし、電力会社からの出力指令値P
Cとして、0≦t<5[min]では指令がなく、5≦t[min]では3000[kW]とした。その他の条件は、上記シミュレーション1−1と同じである。
図10は、シミュレーション1−6におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図10(a)〜(i)はそれぞれ、上記シミュレーション1−1における
図5(a)〜(i)に対応した図である。
【0064】
図10から次のことが確認できる。すなわち、
図10(g)が示すように、上記サンプリング時間を長くした場合、連系点電力P(t)が出力指令値P
Cに追従するための時間が上記シミュレーション1−1より長くなるものの、連系点電力P(t)が抑制され、定常状態で出力指令値P
Cに一致していることが確認できる。
【0065】
ケース7として、上記サンプリング時間を上記ケース6におけるサンプリング時間よりもさらに長くした場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション1−7とする。シミュレーション1−7において、上記サンプリング時間を180[s]=3[min]とした。また、勾配係数εを0.0003とし、電力会社からの出力指令値P
Cとして、0≦t<5[min]では指令がなく、5≦t[min]では3000[kW]とした。その他の条件は、上記シミュレーション1−1と同じである。
図11は、シミュレーション1−7におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図11(a)〜(i)はそれぞれ、上記シミュレーション1−1における
図5(a)〜(i)に対応した図である。
【0066】
図11から次のことが確認できる。すなわち、
図11(g)が示すように、サンプリング時間を上記シミュレーション1−6よりも長くした場合においても、連系点電力P(t)が抑制され、定常状態で出力指令値P
Cに一致していることが確認できる。
【0067】
上記
図5〜
図11毎の結果に加え、
図5〜
図11を対比することで、次のことが確認できる。すなわち、各図の(h)および(i)が示すように、ラグランジュ乗数λおよび抑制指標prは、パワーコンディショナPCS
1〜PCS
10の、太陽電池SP
iの発電量P
iSP、定格出力P
ilmt、有効電力抑制に関する重みw
i、および、出力指令値P
Cなどに基づき、異なる値が算出されていることが確認できる。また、各図の(a)〜(e)が示すように、抑制指標prの更新に応じて、個別目標電力P
irefが更新されていることを確認できる。そして、パワーコンディショナPCS
1〜PCS
10は、この個別目標電力P
irefに応じて、個別出力電力P
ioutを制御している。よって、各図の(g)が示すように、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させていることが確認できる。以上のことから、上記(9)式および上記(10)式を用いて集中管理装置MC1が算出した抑制指標prが適切な値であるといえる。
【0068】
上記シミュレーション1−1ないしシミュレーション1−7の結果から、太陽光発電システムPVS1において、各パワーコンディショナPCS
iがそれぞれ、集中管理装置MC1から受信する抑制指標prに基づき、分散的に個別目標電力P
irefを算出している。よって、上記目標1−1を達成している。また、連系点電力P(t)が抑制され、出力指令値P
Cに一致している。よって、上記目標1−2を達成している。そして、各種条件に応じて、パワーコンディショナPCS
i毎に個別出力電力P
ioutが変化している。すなわち、各種条件に応じて、パワーコンディショナPCS
i毎に出力抑制量が変化している。よって、上記目標1−3を達成している。以上のことから、太陽光発電システムPVS1は、上記3つの目標を達成していることが分かる。
【0069】
以上で説明したように、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1において、集中管理装置MC1は、電力会社からの出力指令値P
Cおよび検出した連系点電力P(t)から、上記(9)式および上記(10)式を用いて、抑制指標prを算出し、これを各パワーコンディショナPCS
iに送信している。また、各パワーコンディショナPCS
iは、受信した抑制指標prに基づき、分散的に上記(8)式の最適化問題を解くことで、個別目標電力P
irefを算出し、そして、個別出力電力P
ioutを個別目標電力P
irefに制御している。これにより、集中管理装置MC1は、上記(9)式および上記(10)式に示す簡単な計算だけとなる。したがって、太陽光発電システムPVS1において、集中管理装置MC1の処理負荷を低減させることができる。また、各パワーコンディショナPCS
iが、抑制指標prに基づき分散的に個別目標電力P
irefを算出し、個別出力電力P
ioutを制御する場合であっても、連系点電力P(t)を電力会社からの出力指令値P
Cに一致させることができる。すなわち、太陽光発電システムPVS1は、連系点電力P(t)を目標電力に一致させることができる。
【0070】
次に、第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2について説明する。なお、上記第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1と同一あるいは類似のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。
図12は、太陽光発電システムPVS2の全体構成を示している。
図12に示すように、太陽光発電システムPVS2は、複数台の太陽電池SP
i(i=1,2,・・・,n;nは正の整数)、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi、複数台の蓄電池B
k(k=1,2,・・・,m;mは正の整数)、複数台のパワーコンディショナPCS
Bk、および、集中管理装置MC2を有して構成される。太陽光発電システムPVS2は、系統連系型の逆潮流システムである。
【0071】
上記第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1においては、太陽電池SP
iを接続した複数台のパワーコンディショナPCS
iで構成された場合を例に説明した。しかし、このような太陽光発電システムPVS1の場合、天候変動による出力への影響が大きい。そこで、太陽光発電システムPVS2は、天候変動などによる出力変動を抑制させるために、上記太陽光発電システムPVS1と比較して、蓄電池B
kを接続したパワーコンディショナPCS
Bkをさらに備えている。
【0072】
複数台のパワーコンディショナPCS
PViはそれぞれ、上記第1実施形態のパワーコンディショナPCS
iと同様に構成される。すなわち、各パワーコンディショナPCS
PViは、太陽電池SP
iが発電した電力(直流電力)を交流電力に変換し、変換した交流電力を電力系統Aに出力する。
【0073】
複数台の蓄電池B
kはそれぞれ、繰り返し、充電により電力を蓄えることができる電池である。蓄電池B
kは、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池などの二次電池である。また、電気二重層コンデンサなどのコンデンサを用いてもよい。蓄電池B
kは、蓄積された電力を放電して、直流電力をパワーコンディショナPCS
Bkに供給する。
【0074】
複数台のパワーコンディショナPCS
Bkはそれぞれ、蓄電池B
kから入力される直流電力を交流電力に変換して出力するものである。さらに、各パワーコンディショナPCS
Bkは、電力系統Aや各パワーコンディショナPCS
PViから入力される交流電力を直流電力へ変換し、蓄電池B
kに供給する。すなわち、蓄電池B
kを充電する。各パワーコンディショナPCS
Bkは、蓄電池B
kの充電および放電を制御している。したがって、蓄電池B
kの充電を行う充電回路および蓄電池B
kの放電を行う放電回路として機能する。
【0075】
各パワーコンディショナPCS
PViから出力される有効電力をP
PViout、無効電力をQ
PVioutとすると、各パワーコンディショナPCS
PViからP
PViout+jQ
PVioutの複素電力が出力されている。また、各パワーコンディショナPCS
Bkから出力される有効電力をP
Bkout、無効電力をQ
Bkoutとすると、各パワーコンディショナPCS
BkからP
Bkout+jQ
Bkoutの複素電力が出力されている。したがって、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkと電力系統Aとの連系点には、(Σ
iP
PViout+Σ
kP
Bkout)+j(Σ
iQ
PViout+Σ
kQ
Bkout)の複素電力が出力されている。すなわち、連系点電力P(t)は、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの出力電力の総和である。なお、本実施形態においても、連系点における電圧変動抑制などに主に活用される無効電力Q
PViout,Q
Bkoutの出力制御については、特に考慮しない。すなわち、連系点電力P(t)は、連系点における有効電力P
PViout,P
Bkoutの総和(Σ
iP
PViout+Σ
kP
Bkout)としている。よって、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが制御する個別出力電力は、それぞれ有効電力P
PViout,P
Bkoutとなる。そこで、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力をP
PVioutとし、各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力をP
Bkoutとする。
【0076】
集中管理装置MC2は、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkを集中管理する。集中管理装置MC2は、例えば無線通信により、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkとの間で、各種情報の送受信を行う。なお、無線通信ではなく、有線通信であってもよい。
【0077】
このように構成された太陽光発電システムPVS2において、集中管理装置MC2は、所定の調整対象電力を監視し、当該調整対象電力と調整対象電力の目標値である目標電力とに基づいて、調整対象電力を目標電力に一致させるための指標を算出する。そして、これを各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkに送信する。各パワーコンディショナPCS
PVi(PCS
Bk)はそれぞれ、集中管理装置MC2から指標を受信し、受信した指標に基づいて、個別出力電力P
PViout(P
Bkout)の目標値である個別目標電力P
PViref(P
Bkref)を算出する。そして、算出した個別目標電力P
PViref(P
Bkref)に基づいて、個別出力電力P
PViout(P
Bkout)を制御する。当該指標は、調整対象電力を目標電力にするための情報であり、個別目標電力P
PViout(P
Bkout)を算出するための情報である。
【0078】
太陽光発電システムPVS2においても、電力会社から出力電力の抑制が指示されるものとする。そこで、本実施形態に係る太陽光発電システムPVS2は、上記指標を用いて各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に制御して、太陽光発電システムPVS2全体の出力電力を出力指令値P
Cに一致させている。すなわち、太陽光発電システムPVS2も出力抑制制御を行っている。具体的には、太陽光発電システムPVS2において、集中管理装置MC2は、連系点電力P(t)を監視し、連系点電力P(t)と出力指令値P
Cとに基づいて、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させるための指標を算出する。そして、これを各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkに送信する。本実施形態に係る出力抑制制御において、各パワーコンディショナPCS
PViに送信する指標を抑制指標pr
PVとし、各パワーコンディショナPCS
Bkに送信する指標を充放電指標pr
Bとする。よって、抑制指標pr
PVは、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cにするための情報であり、個別目標電力P
PVirefを算出するための情報である。また、充放電指標pr
Bは、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cにするための情報であり、個別目標電力P
Bkrefを算出するための情報である。さらに、蓄電池B
kをどれくらい充電するか放電するかを決定するための情報でもある。各パワーコンディショナPCS
PViは、集中管理装置MC2から受信する抑制指標pr
PVに基づき、個別目標電力P
PVirefを算出する。そして、算出した個別目標電力P
PVirefに基づいて、個別出力電力P
PVioutを制御する。各パワーコンディショナPCS
Bkは、集中管理装置MC2から受信する充放電指標pr
Bに基づき、個別目標電力P
Bkrefを算出する。そして、算出した個別目標電力P
Bkrefに基づいて、個別出力電力P
Bkoutを制御する。これにより、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させている。
【0079】
図13は、
図12に示す太陽光発電システムPVS2の出力抑制制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図13において、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。当該出力抑制制御に関する制御系として、
図13に示すように、各パワーコンディショナPCS
PViは、受信部11、目標電力算出部12’、および、出力制御部13を含んでいる。また、各パワーコンディショナPCS
Bkは、受信部31、目標電力算出部32、および、出力制御部33を含んでいる。そして、集中管理装置MC2は、目標電力設定部21、連系点電力検出部22、指標算出部23’、および、送信部24’を含んでいる。
【0080】
目標電力算出部12’は、受信部11が受信した抑制指標pr
PVに基づき、自装置(パワーコンディショナPCS
PVi)の個別目標電力P
PVirefを算出する。具体的には、目標電力算出部12’は、下記(19)式に示す制約付き最適化問題を解くことで、個別目標電力P
PVirefを算出する。したがって、目標電力算出部12’は、第1実施形態に係る目標電力算出部12と比較し、個別目標電力P
PVirefを算出するための最適化問題の演算式が異なっている。当該(19)式において、w
PViは、パワーコンディショナPCS
PViの有効電力抑制に関する重みを表わしており、設計値である。また、P
φiは、パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutの抑制を優先するか否かを示す設計パラメータ(以下、「優先度パラメータ」という。)を示しており、設計値である。当該優先度パラメータP
φiを小さくすると、蓄電池B
kの充電量を少なくし、個別出力電力P
PVioutが抑制され易くなる。一方、当該優先度パラメータP
φiを大きくすると、蓄電池B
kの充電量を多くし、個別出力電力P
PVioutが抑制され難くなる。よって、優先度パラメータP
φiは、蓄電池B
kの充電を優先するか否かを示す設計パラメータであるとも言える。さらに、この優先度パラメータP
φiによって、パワーコンディショナPCS
PViの定格出力による出力限界とは別に、パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutの疑似的な出力限界が設定されていると考えられる。そのため、優先度パラメータP
φiは、疑似有効出力限界とも言える。上記重みw
PViおよび上記優先度パラメータP
φiはユーザが設定可能である。この下記(19)式についての詳細は、後述する。
【数9】
【0081】
受信部31は、上記第1実施形態に係る受信部11と同様に構成され、集中管理装置MC2から送信される充放電指標pr
Bを受信する。
【0082】
目標電力算出部32は、受信部31が受信した充放電指標pr
Bに基づき、自装置(パワーコンディショナPCS
Bk)の個別目標電力P
Bkrefを算出する。具体的には、目標電力算出部32は、下記(20)式に示す最適化問題を解くことで、個別目標電力P
Bkrefを算出する。当該(20)式において、P
Bklmtは、各パワーコンディショナPCS
Bkの定格出力(出力限界)を表わしている。w
Bkは、パワーコンディショナPCS
Bkの有効電力に関する重みを表わしている。上記重みw
Bkは、ユーザが設定可能である。また、α
k,β
kは、蓄電池B
kの残量によって調整できる調整パラメータを表わしている。なお、この下記(20)式についての詳細は、後述する。
【数10】
【0083】
出力制御部33は、上記第1実施形態に係る出力制御部13と同様に構成される。出力制御部33は、蓄電池B
kの放電および充電を制御することで、個別出力電力P
Bkoutを、目標電力算出部32が算出した個別目標電力P
Bkrefにする。具体的には、目標電力算出部32によって算出された個別目標電力P
Bkrefが正の値の場合、蓄電池B
kに蓄積された電力(直流電力)を交流電力に変換し、電力系統Aに供給する。すなわち、パワーコンディショナPCS
Bkを放電回路として機能させる。一方、個別目標電力P
Bkrefが負の値の場合、パワーコンディショナPCS
PViから出力された交流電力の少なくとも一部を直流電力に変換し、蓄電池B
kに供給する。すなわち、パワーコンディショナPCS
Bkを充電回路として機能させる。
【0084】
指標算出部23’は、連系点電力P(t)を目標電力にするための指標を算出する。本実施形態においては、目標電力として出力指令値P
Cが入力されるので、指標算出部23’は、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cにするための抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。指標算出部23’は、ラグランジュ乗数をλ、勾配係数をε、時間をtとして、下記(21)式および下記(22)式に基づき、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。ただし、指標算出部23’は、目標電力設定部21からの出力指令値P
Cとして、電力会社からの出力抑制の指令がないことを表わす数値−1を入力された場合、ラグランジュ乗数λを「0」とする。すなわち、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bをともに「0」と算出する。なお、下記(21)式において、個別出力電力P
PViout,P
Bkoutおよび出力指令値P
Cが、時間tに対して変化する値であるため、それぞれ個別出力電力をP
PViout(t),P
Bkout(t)および出力指令値をP
C(t)と記載している。これらの下記(21)式および下記(22)式の詳細は、後述する。
【数11】
【0085】
送信部24’は、指標算出部23’が算出した抑制指標pr
PVをパワーコンディショナPCS
PViに送信し、指標算出部23’が算出した充放電指標pr
BをパワーコンディショナPCS
Bkに送信する。
【0086】
次に、太陽光発電システムPVS2が行う出力抑制制御において、パワーコンディショナPCS
PViによる個別目標電力P
PVirefの算出に上記(19)式が用いられる理由、パワーコンディショナPCS
Bkによる個別目標電力P
Bkrefの算出に上記(20)式が用いられる理由、および、集中管理装置MC2による抑制指標pr
PV,充放電指標pr
Bの算出に上記(21)式および上記(22)式が用いられる理由を説明する。
【0087】
太陽光発電システムPVS2は、出力抑制制御において、以下の5つの目標を達成するように構成されている。1つ目の目標(目標2−1)は、「各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に個別目標電力を算出する」ことである。2つ目の目標(目標2−2)は、「太陽電池に接続されたパワーコンディショナPCS
PViの出力電力をできる限り抑制しない」ことである。3つ目の目標(目標2−3)は、「蓄電池は、連系点電力が出力指令値(目標電力)よりも大きい場合には充電し、不足している場合には放電する」ことである。4つ目の目標(目標2−4)は、「太陽光発電システムPVS2の連系点における出力電力(連系点電力)を電力会社からの出力指令値(目標電力)に一致させる」ことである。そして、5つ目の目標(2−5)は、「パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk毎に、出力抑制量を調整できるようにする」ことである。
【0088】
まず、集中管理装置MC2が集中的に個別目標電力P
PViref,P
Bkrefを求める場合の制約付き最適化問題を考える。そうすると、下記(23)式が得られる。ここで、上記するように、P
PViref,P
Bkrefはそれぞれ、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの個別目標電力を表わし、P
PVilmt,P
Bklmtはそれぞれ、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの定格出力(出力限界)を表わし、P
φiは優先度パラメータを表わす。なお、下記(23)式の最適解である個別目標電力P
PViref,P
Bkrefをそれぞれ、(P
PViref)
*,(P
Bkref)
*とする。下記(23)式において、(23a)式は、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutの出力抑制量の最小化および各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutの出力量の最小化、(23b)式は、各パワーコンディショナPCS
PViの定格出力P
PVilmtによる制約、(23c)式は、各パワーコンディショナPCS
Bkの定格出力P
Bklmtによる制約、(23d)式は、各蓄電池B
kの残量制約、(23e)式は、連系点電力P(t)を出力指令値P
Cに一致させることを、それぞれ表わしている。
【数12】
【0089】
これは集中管理装置MC2が、上記(23)式から個別目標電力(P
PViref)
*,(P
Bkref)
*を求める場合を示している。したがって、上記(23)式の場合、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に個別目標電力(P
PViref)
*,(P
Bkref)
*を算出していないため、目標2−1を達成していない。
【0090】
続いて、各パワーコンディショナPCS
PViが分散的に個別目標電力P
PVirefを求める場合の制約付き最適化問題を考える。そうすると、下記(24)式が得られる。
【数13】
【0091】
同様に、各パワーコンディショナPCS
Bkが分散的に個別目標電力P
Bkrefを求める場合の制約付き最適化問題を考える。そうすると、下記(25)式が得られる。
【数14】
【0092】
しかし、上記(24)式の最適解である個別目標電力は、各パワーコンディショナPCS
PViが分散的に求めた個別目標電力P
PVirefであるが、上記(23e)式が考慮されていない。同様に、上記(25)式の最適解である個別目標電力は、各パワーコンディショナPCS
Bkが分散的に求めた個別目標電力P
Bkrefであるが、上記(23e)式が考慮されていない。したがって、連系点電力P(t)を電力会社からの出力指令値P
Cに一致させる目標2−4を達成できない。
【0093】
そこで、次に手法により、目標2−4を達成させることを考える。すなわち、各パワーコンディショナPCS
PViが、集中管理装置MC2から受信する抑制指標pr
PVに基づき、分散的に個別目標電力P
PVirefを算出し、また、各パワーコンディショナPCS
Bkが集中管理装置MC2から受信する充放電指標pr
Bに基づき、分散的に個別目標電力P
Bkrefを算出する。これにより、目標2−4を達成させる。各パワーコンディショナPCS
PViが、抑制指標pr
PVを用いて、分散的に個別目標電力P
PVirefを求める場合の制約付き最適化問題は、上記(19)式で表わすことができる。なお、上記(19)式の最適解である個別目標電力P
PVirefを(P
PViref)
♭とする。同様に、各パワーコンディショナPCS
Bkが、充放電指標pr
Bを用いて、分散的に個別目標電力P
Bkrefを求める場合の制約付き最適化問題は、上記(20)式で表わすことができる。なお、上記(20)式の最適解である個別目標電力P
Bkrefを(P
Bkref)
♭とする。
【0094】
ここで、上記(23)式により得られる最適解(P
PViref)
*と、上記(19)式により得られる最適解(P
PViref)
♭とが一致し、かつ、上記(23)式により得られる最適解(P
Bkref)
*と、上記(20)式により得られる最適解(P
Bkref)
♭とが一致することで、連系点電力P(t)を電力会社からの出力指令値P
Cに一致させることができる。すなわち、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に最適化問題を解いた場合であっても、目標2−4を達成することができる。したがって、定常状態の最適性に着目し、(P
PViref)
*=(P
PViref)
♭となる抑制指標pr
PV、および、(P
Bkref)
*=(P
Bkref)
♭となる充放電指標pr
Bを考える。そのために、上記(23)式、上記(19)式、および、上記(20)式のKKT条件を考える。これにより、上記(23)式のKKT条件から下記(26)式が得られ、上記(19)式のKKT条件から下記(27)式が得られ、上記(20)式のKKT条件から下記(28)式が得られる。なお、μ,νは所定のラグランジュ乗数である。
【数15】
【0095】
これら上記(26)式、上記(27)式、および、上記(28)式から、pr
PV=pr
B=λ(上記(22)式)とすることで、(P
PViref)
*と(P
PViref)
♭、また、(P
Bkref)
*と(P
Bkref)
♭が一致することが分かる。したがって、集中管理装置MC2がラグランジュ乗数λを算出し、算出したラグランジュ乗数λを抑制指標pr
PVとして、各パワーコンディショナPCS
PViに提示(送信)することで、各パワーコンディショナPCS
PViがそれぞれ、上記(19)式から個別目標電力(P
PViref)
♭を算出することができる。同様に、集中管理装置MC2は、算出したラグランジュ乗数λを充放電指標pr
Bとして、各パワーコンディショナPCS
Bkに提示(送信)することで、各パワーコンディショナPCS
Bkがそれぞれ、上記(20)式から個別目標電力(P
Bkref)
♭を算出することができる。これにより、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に個別目標電力P
PViref,P
Bkrefを求めた場合であっても、連系点電力P(t)と電力会社からの出力指令値P
Cとを一致させることができる。すなわち、目標2−4を達成できる。
【0096】
続いて、集中管理装置MC2によるラグランジュ乗数λの算出方法について、説明する。ラグランジュ乗数λを求めるために、まず、h
11,i=−P
PViref、h
12,i=P
PViref−P
PVilmtとし、各パワーコンディショナPCS
PViの不等式制約をまとめてh
1x,i≦0(x=1,2、i=1,・・・,n)とする。また、同様に、h
21,k=−P
Bklmt−P
Bkref、h
22,k=P
Bkref−P
Bklmt、h
23,k=α
k−P
Bkref、h
24,k=P
Bkref−β
kとし、各パワーコンディショナPCS
Bkの不等式制約をまとめてh
2y,k≦0(y=1,2,3,4、k=1,・・・,m)とする。そして、上記(23)式の双対問題である下記(29)式を考える。
【数16】
【0097】
ここで、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkによって求められる最適解(P
PViref)
♭,(P
Bkref)
♭が決定されると仮定すると、下記(30)式となり、ラグランジュ乗数λに対する最大化問題の形となる。この下記(30)式に対し勾配法を適用すると、下記(31)式となる。なお、εは勾配係数を表わし、τは時間変数を表わす。
【数17】
【0098】
上記(31)式において、(P
PViref)
♭を対応するパワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutで置き換え、(P
Bkref)
♭を対応するパワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutで置き換える。さらに、集中管理装置MC2は、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを個別に観測せず、連系点電力P(t)=Σ
iP
PViout+Σ
kP
Bkoutを観測する。また、電力会社から逐次出力指令値P
Cを取得しているとする。そうすると、上記(21)式が得られる。よって、集中管理装置MC2は、連系点電力P(t)と電力会社からの出力指令値P
Cとに基づき、ラグランジュ乗数λを算出できる。そして、上記(22)式に基づき、算出したラグランジュ乗数λを抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとする。
【0099】
以上のことから、本実施形態においては、各パワーコンディショナPCS
PViは、個別目標電力P
PVirefを算出するときに、上記(19)式に示す最適化問題を用いている。また、各パワーコンディショナPCS
Bkは、個別目標電力P
Bkrefを算出するときに、上記(20)式に示す最適化問題を用いている。そして、集中管理装置MC2は、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出するときに、上記(21)式および上記(22)式を用いている。
【0100】
次に、上記のように構成された太陽光発電システムPVS2において、上記5つの目標を達成し、適切に動作していることをシミュレーションによって検証した。
【0101】
シミュレーションでは、太陽電池SP
iが接続されたパワーコンディショナPCS
PViを5台(i=1〜5;PCS
PV1〜PCS
PV5)と、蓄電池B
kが接続されたパワーコンディショナPCS
Bkを5台(k=1〜5;PCS
B1〜PCS
B5)と、を有する太陽光発電システムPVS2を想定した。
【0102】
また、本シミュレーションにおいては、蓄電池B
kのモデルは、d/dt(x
k)=−K
kP
Bkout,s
k=x
kとした。ここで、s
kは、蓄電池B
kの充電電力量を表わし、K
Kは、蓄電池B
kの特性を表わしている。さらに、蓄電池B
kの残量によって調整できる調整パラメータα
k,β
kは、表1のように設定した。当該表1において、SOC
kは、各蓄電池B
Bkの充電率(State Of Charge)[%]を示しており、充電電力量[kWh]をS
k,蓄電池B
kの最大容量[kWh]をS
kmaxとして、SOC
k=(S
k/S
kmax)×100により算出される。
【表1】
【0103】
最適化問題に関するパラメータである各パワーコンディショナPCS
PViの優先度パラメータ(疑似有効出力限界)P
φiは1000[kW]とした。その他、電力系統A(連系点電圧)のモデル(上記(18)式参照)および各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのモデル(
図3および
図4参照)は、上記第1実施形態に係るシミュレーション時のものと同様とした。
【0104】
図14〜
図16は、上記に示したモデルの太陽光発電システムPVS2を用いて、複数の条件下でシミュレーションを行ったときの結果を示している。
【0105】
ケース1として、5台のパワーコンディショナPCS
PV1〜PCS
PV5がすべて同じ条件であり、5台のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5がすべて同じ条件である場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション2−1とする。シミュレーション2−1において、5台のパワーコンディショナPCS
PV1〜PCS
PV5はすべて、定格出力P
PVilmtが500[kW]、有効電力抑制に関する重みw
PViが1.0、太陽電池SP
iの発電量P
iSPが600[kW]であるとした。また、5台のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5はすべて、定格出力P
PVilmtが500[kW]、有効電力抑制に関する重みw
PViが1.0であるとした。蓄電池B
1〜B
5の最大容量S
1max〜S
5maxはすべて500[kWh]であるとした。そして、電力会社からの出力指令値P
Cは、0≦t<60[s]では指令がなく、60≦t[s]では1500[kW]であるとした。なお、「出力指令値P
Cの指令がない」ときには、上記するように出力指令値P
Cとして、指令がないことを表わす数値−1を用いた。その他、勾配係数εを0.05、集中管理装置MC2が行う抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの更新と各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが行う個別目標電力P
PViref,P
Bkrefの更新との各サンプリング時間を1[s]とした。また、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkはすべて、力率1(無効電力目標値=0[kvar])で運転しているものとした。
図14は、シミュレーション2−1におけるシミュレーション結果を示している。
【0106】
図14(a)は、太陽電池SP
iの発電量P
iSPを示している。
図14(b)は、各パワーコンディショナPCS
PViの個別目標電力P
PVirefを示している。
図14(c)は、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutを示している。
図14(d)は、連系点電力P(t)(実線)および電力会社からの出力指令値P
C(破線)を示している。
図14(e)は、各パワーコンディショナPCS
Bkの個別目標電力P
Bkrefを示している。
図14(f)は、各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutを示している。
図14(g)は、指標算出部23’が算出する抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを示している。
【0107】
図14から次のことが確認できる。すなわち、
図14(b)および
図14(c)が示すように、出力指令値P
Cの指令後(60≦t[s])であっても、個別目標電力P
PV1ref〜P
PV5refが500[kW]のままであり、個別出力電力P
PV1out〜P
PV5outが抑制されていないことが確認できる。また、
図14(e)および
図14(f)が示すように、各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
B1out〜P
B5outが、0[kW]から負(マイナス)に遷移していることが確認できる。これは、パワーコンディショナPCS
Bkに電力が入力されていることを表わしており、各パワーコンディショナPCS
Bkに入力される電力を用いて、蓄電池B
kを充電している。また、
図14(d)が示すように、連系点電力P(t)は、出力指令値P
Cと一致していることも確認できる。したがって、太陽光発電システムPVS2は、電力会社から出力指令値P
Cが指令されたとき、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutを抑制せず、蓄電池B
kの充電に用いていることが確認できる。
【0108】
ケース2として、5台のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5のうち1台のパワーコンディショナPCS
B5に接続された蓄電池B
5の最大容量S
5maxが他のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B4に接続された蓄電池B
1〜B
4のそれと異なる場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション2−2とする。シミュレーション2−2において、1台のパワーコンディショナPCS
B5に接続された蓄電池B
5の最大容量S
5maxを3[kWh]とした。その他の条件は、上記シミュレーション2−1と同じとした。
図15は、シミュレーション2−2におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図15において、
図15(a)〜(g)は、上記シミュレーション2−1における
図14(a)〜(g)に対応した図である。
【0109】
図15から次のことが確認できる。すなわち、
図15(a)〜(c)が示すように、上記シミュレーション2−1と同様に、出力指令値P
Cの指令後(60≦t[s])であっても、個別目標電力P
PV1ref〜P
PV5refは抑制されていないことが確認できる。また、
図15(e)および
図15(f)が示すように、各パワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5の個別出力電力P
B1out〜P
B5outが、0[kW]から負(マイナス)に遷移していることが確認できる。したがって、上記シミュレーション2−1と同様に、各パワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5は、入力される電力を用いて、蓄電池B
kを充電している。また、
図15(e)および
図15(f)が示すように、110≦t[s]で、パワーコンディショナPCS
B5の個別出力電力P
B5outが0(ゼロ)となり、その他のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B4の個別出力電力P
B1out〜P
B4outがさらに低下している(入力電力が増加している)。これは、蓄電池B
5の最大容量S
5maxが3[kWh]であり、他の蓄電池B
1〜B
4より低いため、t=110[s]で、蓄電池B
5が他の蓄電池B
1〜B
4より先に充電が完了したことを表わしている。よって、蓄電池B
5の充電が完了したため、パワーコンディショナPCS
B5への電力の入力を停止し、充電を停止していることを表わしている。そして、当該パワーコンディショナPCS
B5に入力していた分の電力を他のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B4に分配したため、その他のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B4の個別出力電力P
B1out〜P
B4outがさらに低下している(入力される電力が増加している)。さらに、
図15(d)が示すように、蓄電池B
5の充電停止に伴い、一時的に連系点電力P(t)が出力指令値P
Cより大きくなっている。しかし、定常状態では、連系点電力P(t)は、出力指令値P
Cと一致していることも確認できる。したがって、太陽光発電システムPVS2は、各蓄電池B
kの性能を考慮して、適切に動作を行っているといえる。
【0110】
ケース3として、5台のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5のうち1台のパワーコンディショナPCS
B5に設定される有効電力に関する重みw
B5が他のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B4に設定されるそれと異なる場合を、シミュレーションした。当該シミュレーションをシミュレーション2−3とする。シミュレーション2−3において、上記1台のパワーコンディショナPCS
B5の有効電力に関する重みw
B5を2.0とした。すなわち、他のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B4のそれと比較し、充電量を半分にすることを表わしている。その他の条件は、上記シミュレーション2−1と同じとした。
図16は、シミュレーション2−3におけるシミュレーション結果を示している。なお、
図16において、
図16(a)〜(g)は、上記シミュレーション2−1における
図14(a)〜(g)に対応した図である。
【0111】
図16から次のことが確認できる。すなわち、
図16(a)〜(c)が示すように、上記シミュレーション2−1と同様に、出力指令値P
Cの指令後(60≦t[s])であっても、個別目標電力P
PV1ref〜P
PV5refは抑制していないことが確認できる。また、
図15(e)および
図15(f)より、パワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5の個別出力電力P
B1out〜P
B5outが、0[kW]から負(マイナス)に遷移していることが確認できる。したがって、上記シミュレーション2−1と同様に、各パワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B5は、入力される電力を用いて、蓄電池B
kを充電している。また、
図16(e)および
図16(f)が示すように、有効電力に関する重みw
B5が異なるパワーコンディショナPCS
B5の充電量(パワーコンディショナPCS
B5への入力電力)が、その他のパワーコンディショナPCS
B1〜PCS
B4の半分になっていることが確認できる。そして、
図16(d)が示すように、連系点電力P(t)が、定常状態で出力指令値P
Cと一致していることも確認できる。したがって、太陽光発電システムPVS2は、パワーコンディショナPCS
Bkに設定された有効電力に関する重みw
Bkを考慮して、適切に動作を行っているといえる。
【0112】
上記
図14〜
図16毎の結果に加え、
図14〜
図16を対比することで、次のことが確認できる。すなわち、各図の(g)が示すように、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bが、各パワーコンディショナPCS
PV1〜PCS
PV5,PCS
B1〜PCS
B5の、太陽電池SP
iの発電量P
iSP、蓄電池B
kの性能、定格出力P
PVilmt,P
Bklmt、有効電力抑制に関する重みw
PVi、有効電力に関する重みw
Bk、および、出力指令値P
Cなどに基づき、異なる値が算出されていることが確認できる。そして、各図の(b)および(e)が示すように、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの更新に応じて、個別目標電力P
PViref,P
Bkrefが更新されていることが確認できる。各パワーコンディショナPCS
PV1〜PCS
PV5,PCS
B1〜PCS
B5は、この個別目標電力P
PViref,P
Bkrefに応じて、個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを制御している。よって、各図の(d)が示すように、連系点電力P(t)が出力指令値P
Cに一致していることが確認できる。以上のことから、上記(21)式および上記(22)式を用いて集中管理装置MC2が算出した抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bが適切な値であるといえる。
【0113】
上記シミュレーション2−1ないしシミュレーション2−3の結果から、太陽光発電システムPVS2において、各パワーコンディショナPCS
PViがそれぞれ、集中管理装置MC2から受信する抑制指標pr
PVに基づき、分散的に個別目標電力P
PVirefを算出している。また、各パワーコンディショナPCS
Bkがそれぞれ、集中管理装置MC2から受信する充放電指標pr
Bに基づき、分散的に個別目標電力P
Bkrefを算出している。よって、上記目標2−1を達成している。また、各パワーコンディショナPCS
PViは、個別出力電力P
PVioutをできる限り抑制せず、連系点電力P(t)が出力指令値P
Cより超過している分を、各パワーコンディショナPCS
Bkに入力し、蓄電池B
kの充電に利用している。よって、上記目標2−2および上記目標2−3を達成している。また、連系点電力P(t)が出力指令値P
Cに一致している。よって、上記目標2−4を達成している。そして、各種条件に応じて、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk毎に個別出力電力P
PViout,P
Bkoutが変化している。すなわち、各種条件に応じて、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk毎に出力抑制量が変化している。よって、上記目標2−5を達成している。以上のことから、太陽光発電システムPVS2は、上記5つの目標を達成していることが分かる。
【0114】
以上で説明したように、第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2において、集中管理装置MC2は、電力会社からの出力指令値P
Cおよび検出した連系点電力P(t)から抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。そして、抑制指標pr
PVを各パワーコンディショナPCS
PViに送信し、充放電指標pr
Bを各パワーコンディショナPCS
Bkに送信している。また、各パワーコンディショナPCS
PViは、受信した抑制指標pr
PVに基づき、分散的に上記(19)式の最適化問題を解くことで、個別目標電力P
PVirefを算出する。そして、個別出力電力P
PVioutを当該個別目標電力P
PVirefに制御している。さらに、各パワーコンディショナPCS
Bkは、受信した充放電指標pr
Bに基づき、分散的に上記(20)式の最適化問題を解くことで、個別目標電力P
Bkrefを算出する。そして、個別出力電力P
Bkoutを当該個別目標電力P
Bkrefに制御している。これにより、集中管理装置MC2は、上記(21)式および上記(22)式に示す簡単な計算だけとなる。したがって、太陽光発電システムPVS2において、集中管理装置MC2の処理負荷を低減させることができる。また、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkがそれぞれ、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bに基づき分散的に個別目標電力P
PViref,P
Bkrefを算出し、個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを制御する場合であっても、連系点電力P(t)を電力会社からの出力指令値P
Cに一致させることができる。
【0115】
上記第1実施形態においては、有効電力抑制に関する重みw
iを考慮し、上記第2実施形態においては、有効電力抑制に関する重みw
PViおよび有効電力に関する重みw
Bkを考慮した場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、上記第1実施形態において、目標1−3の「パワーコンディショナPCS
i毎に、出力抑制量を調整できるようにする」を考慮する必要がなければ、パワーコンディショナPCS
i毎に設定される上記有効電力抑制に関する重みw
iをすべて同じ値(例えば「1」)にしてもよい。また同様に、上記第2実施形態において、目標2−5の「パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk毎に、出力抑制量を調整できるようにする」を考慮する必要がなければ、パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk毎に設定される上記有効電力抑制に関する重みw
PViおよび有効電力に関する重みw
Bkをすべて同じ値(例えば「1」)にしてもよい。
【0116】
上記第2実施形態においては、目標電力算出部12’が上記(19)式のように優先度パラメータP
φiを用いて、個別目標電力P
PVirefを算出した場合を例に説明したが、上記第1実施形態における上記(8)式のように、定格出力P
PVilmtを用いても良い。この場合、個別出力電力P
PVioutの抑制を優先するか蓄電池B
kの充放電(個別出力電力P
Bkout)での対応を優先するかは、有効電力抑制に関する重みw
PViおよび有効電力に関する重みw
Bkで調整すればよい。
【0117】
上記第2実施形態においては、目標電力算出部12’が解く最適化問題は、上記(19)式に限定されない。例えば、上記(19)式の代わりに、下記(19’)式を用いてもよい。下記(19’)式は、上記(19)式と比較して、下記(19c’)式に示す各パワーコンディショナPCS
PViの出力電流制約が追加されている。なお、下記(19’)式において、Q
PViは各パワーコンディショナPCS
PViの無効電力、S
PVidは各パワーコンディショナPCS
PViの出力可能な最大の皮相電力、V
0は設計時における連系点の基準電圧、V
PViは各パワーコンディショナPCS
PViにおける連系点の電圧をそれぞれ示している。また、下記(19’)式において、下記(19c’)式に示す各パワーコンディショナPCS
PViの出力電流制約の代わりに、下記(19d’)式に示すパワーコンディショナPCS
PViの定格容量制約を用いてもよい。
【数18】
【0118】
上記第2実施形態においては、目標電力算出部32が解く最適化問題は、上記(20)式に限定されない。例えば、上記(20)式の代わりに、下記(20’)式を用いてもよい。下記(20’)式は、上記(20)式と比較して、下記(20a’)に示す評価関数において、蓄電池B
kのSOCに応じた重みw
SOCkが追加されている。この重みw
SOCkは、下記(32)式で算出される。当該(32)式において、A
SOCはw
SOCkのオフセット、K
SOCは重みw
SOCkのゲイン、sは重みw
SOCkのオン/オフスイッチ(例えば、オンのとき1,オフのとき0)、SOC
kは現在の蓄電池B
kのSOC、SOC
dは基準となるSOCをそれぞれ示している。さらに、制約条件に、下記(20c’)式に示す蓄電池B
kのCレート制約および下記(20e’)式に示す各パワーコンディショナPCS
Bkの出力電流制約が追加されている。Cレートとは、蓄電池B
kの有する全容量に対する充電時あるいは放電時の電流の相対的な比率であり、蓄電池B
kの有する全容量を1時間で充電あるいは放電するときを1Cとしたものである。本実施形態においては、充電側のCレートを充電レートC
rateMとし放電側のCレートを放電レートC
ratePとし、これらは予め所定の値(例えば、ともに0.3C)が設定されている。なお、下記(20’)式において、P
SMklmtは−C
rateM×WH
Slmt(WH
Slmtは蓄電池B
kの定格出力容量)で求められる蓄電池B
kの充電定格出力、P
SPklmtはC
rateP×WH
Slmtで求められる蓄電池B
kの放電定格出力、Q
Bkは各パワーコンディショナPCS
Bkの無効電力、S
Bkdは各パワーコンディショナPCS
Bkの出力可能な最大の皮相電力、V
Bkは各パワーコンディショナPCS
Bkにおける連系点の電圧をそれぞれ示している。さらに、蓄電池B
kの充電定格出力P
SMklmtは、補正開始SOCをSOC
C、SOCの充電制限閾値をcMAXとして、下記(33)式に示すSOCに応じた蓄電池充電量補正が考慮されている。当該蓄電池充電量補正は、補正開始SOCまでは、通常通りの運転を行い、補正開始SOCからSOC上限までは、SOC上限で出力が0となるように一次関数的に出力を補正するようにしている。また、下記(20’)式において、下記(20e’)に示す各パワーコンディショナPCS
Bkの出力電流制約の代わりに、下記(20f’)式に示す各パワーコンディショナPCS
Bkの定格容量制約を用いてもよい。
【数19】
【0119】
なお、以下に説明する他の実施形態に係る太陽光発電システムにおいて、目標電力算出部12’は、個別目標電力P
PVirefを算出する際に、上記(19)式あるいは上記(19’)式のいずれの最適化問題を用いてもよい。同様に、目標電力算出部32は、個別目標電力P
Bkrefを算出する際に、上記(20)式あるいは上記(20’)式のいずれの最適化問題を用いてもよい。
【0120】
次に、第3実施形態に係る太陽光発電システムPVS3について説明する。なお、以下の説明においては、上記第1実施形態および第2実施形態と同一あるいは類似のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。
図17は、太陽光発電システムPVS3の全体構成を示している。同図に示すように、太陽光発電システムPVS3は、複数台の太陽電池SP
i、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi、複数台の蓄電池B
k、複数台のパワーコンディショナPCS
Bk、集中管理装置MC3、および、電力負荷Lを有して構成される。したがって、上記第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2と比較して、電力負荷Lをさらに備えている点で異なる。
【0121】
電力負荷Lは、供給される電力を消費するものであり、例えば、工場や一般家庭などである。電力負荷Lは連系点に接続されており、電力系統A、各パワーコンディショナPCS
PVi、および、各パワーコンディショナPCS
Bkから電力が供給される。
【0122】
このような太陽光発電システムPVS3において、太陽電池SP
iが発電し、各パワーコンディショナPCS
PViから出力される電力(各個別出力電力P
PVioutの総和ΣP
PViout)は、蓄電池B
kの充電や電力負荷Lによって消費されるが、これらにより消費されなかった余剰電力は電力系統Aに逆潮流する。このように余剰電力が逆潮流しているときにおいても、電力会社から出力抑制を指示されると、電力会社からの出力指令値P
Cを超えないようにする必要がある。この余剰電力は連系点電力検出部22によって検出される連系点電力P(t)とみなせるので、太陽光発電システムPVS3は、上記第2実施形態と同様に、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを用いた出力抑制制御を行う。すなわち、連系点電力P(t)を目標電力(出力指令値P
C)にしている。これにより、余剰電力が出力指令値P
Cを超えないようにしている。
【0123】
図18は、
図17に示す太陽光発電システムPVS3の出力抑制制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図18においては、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。また、それぞれ1台目のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのみ記載している。同図に示すように、第3実施形態に係る各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk、および、集中管理装置MC3の構成は、上記第2実施形態に係る各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk、および、集中管理装置MC2の構成(
図13参照)とそれぞれ同じである。
【0124】
本実施形態に係る太陽光発電システムPVS3によれば、集中管理装置MC3は、電力会社からの出力指令値P
Cおよび連系点電力P(t)に基づいて、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出している。このとき、集中管理装置MC3は、上記(21)式および上記(22)式を用いて、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。そして、各パワーコンディショナPCS
PViは、抑制指標pr
PVに基づいて、分散的に個別目標電力P
PVirefを算出している。また、各パワーコンディショナPCS
Bkは、充放電指標pr
Bに基づいて、分散的に個別目標電力P
Bkrefを算出している。これにより、集中管理装置MC3の処理負荷を低減させることができる。また、連系点電力P(t)、すなわち、電力系統Aに逆潮流させる余剰電力を出力指令値P
Cに制御することができる。よって、電力系統Aに逆潮流させる余剰電力が電力会社からの出力指令値P
Cを超えないようにできる。
【0125】
上記第3実施形態においては、第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2に対して、電力負荷Lを追加した場合を例に説明したが、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1に電力負荷Lを追加した場合も、抑制指標prを用いて、出力抑制制御を行うことができる。この場合も、連系点電力P(t)を目標電力(出力指令値P
C)にしつつ、集中管理装置MC1の処理負荷を低減させることができる。
【0126】
次に、第4実施形態に係る太陽光発電システムPVS4について説明する。太陽光発電システムPVS4の全体構成は、上記第3実施形態に係る太陽光発電システムPVS3(
図17参照)と略同じである。
【0127】
上記第3実施形態においては、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PViout(太陽電池SP
iの発電量P
iSP)が電力負荷Lの消費電力より上回っている場合を説明した。第4実施形態においては、反対に、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PViout(太陽電池SP
iの発電量P
iSP)の総和ΣP
PVioutが電力負荷Lの消費電力より下回っているものとする。すなわち、太陽電池SP
iの発電量P
iSPでは足りない不足電力の一部あるいは全部が電力系統Aから供給されている。当該不足電力は、個別出力電力P
PVioutの総和ΣP
PVioutと消費電力との差である。
【0128】
このような太陽光発電システムPVS4において、不足電力を電力系統Aから供給するためには、電力会社から電力を買う(買電する)必要がある。そして、買電した分、電力会社に電気料金を支払う。電気料金には基本料金と従量制料金とが含まれている。基本料金は、連系点に設けられた電力メーターによって、例えば30分ごとの電力使用量が記録され、その最大値(ピーク値)で決まる。具体的には、電力使用量のピーク値が高い場合に基本料金は高くなり、電力使用量のピーク値が低い場合に基本料金は安くなる。
【0129】
そこで、第4実施形態に係る太陽光発電システムPVS4は、上記抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを用いて各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に制御して、電力系統Aから供給される電力(買電電力)のピーク値を抑える。これを「ピークカット制御」という。なお、買電電力は、電力系統Aから太陽光発電システムPVS4に供給される電力すなわち太陽光発電システムPVS4が電力系統Aから得た(買電した)電力の大きさである。上記するように連系点電力P(t)は、太陽光発電システムPVS4から電力系統Aに出力される場合(逆潮流の場合)を正の値としている。よって、電力系統Aから太陽光発電システムPVS4に入力される場合、連系点電力P(t)は負の値になる。買電電力を制御するピークカット制御の場合は、目標値を負の値として、連系点電力P(t)が当該目標値を下回らないように制御している。太陽光発電システムPVS4は、ピークカット制御において、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutを制御して、太陽電池SP
iによって発電された電力をすべて出力する。また、各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutを制御し、必要に応じて蓄電池B
kに蓄積された電力を放電する。このようにして、電力負荷Lの消費電力の一部を、太陽電池SP
iによって発電された電力および蓄電池B
kに蓄積された電力で補填することで、上記買電電力の上昇を抑えている。
【0130】
図19は、太陽光発電システムPVS4のピークカット制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図19においては、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。また、それぞれ1台目のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのみ記載している。太陽光発電システムPVS4は、当該ピークカット制御の制御系として、上記第3実施形態に係る太陽光発電システムPVS3と比較して、集中管理装置MC3の代わりに、集中管理装置MC4を備えている点で異なる。
【0131】
集中管理装置MC4において、目標電力設定部21は、買電電力の上限値に基づいて、当該上限値を負の値としたピークカット目標値P
cutを目標電力として設定する。このピークカット目標値P
cutは、連系点電力P(t)の目標値であり、負の値である。ピークカット目標値P
cutは、ユーザが自由に指定できる。目標電力設定部21は、設定した目標電力(ピークカット目標値P
cut)を指標算出部23’に出力する。したがって、本実施形態においては、目標電力として、上記出力指令値P
Cの代わりに、ピークカット目標値P
cutを用いている。
【0132】
また、集中管理装置MC4において、指標算出部23’は、連系点電力P(t)と、目標電力設定部21から入力されるピークカット目標値P
cutとを用いて、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。すなわち、本実施形態においては、指標算出部23’は、連系点電力P(t)をピークカット目標値P
cutにするための抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。このとき、指標算出部23’は、上記(21)式における出力指令値P
C(t)の代わりにピークカット目標値P
cutを用いて、ラグランジュ乗数λを算出する。そして、上記(22)式により、算出したラグランジュ乗数λを充放電指標pr
Bとして算出する。なお、抑制指標pr
PVについては、各パワーコンディショナPCS
PViから太陽電池SP
iによって発電された電力がすべて出力されるように、固定値「0」が用いられる。よって、指標算出部23’は、充放電指標pr
Bのみを算出しているともいえる。指標算出部23’は、算出した抑制指標pr
PVを、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
PViに送信する。また、算出した充放電指標pr
Bを、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
Bkに送信する。
【0133】
このように構成された太陽光発電システムPVS4において、集中管理装置MC4は、連系点電力検出部22によって検出される連系点電力P(t)を監視する。そして、連系点電力P(t)がピークカット目標値P
cut以下となった場合に、指標算出部23’により連系点電力P(t)をピークカット目標値P
cutにするための抑制指標pr
PV(=0)および充放電指標pr
Bを算出する。各パワーコンディショナPCS
PViはそれぞれ、集中管理装置MC4が算出した抑制指標pr
PVを用いた最適化問題に基づいて、個別目標電力P
PVirefを算出し、個別出力電力P
PVioutが個別目標電力P
PVirefとなるように制御している。また、各パワーコンディショナPCS
Bkはそれぞれ、集中管理装置MC4が算出した充放電指標pr
Bを用いた最適化問題に基づいて、個別目標電力P
Bkrefを算出し、個別出力電力P
Bkoutを個別目標電力P
Bkrefに制御する。これらにより、連系点電力P(t)がピークカット目標値P
cut以下である場合に、太陽電池SP
iによって発電された電力はすべて出力され、かつ、蓄電池B
kに蓄積された電力は放電される。その結果、連系点電力P(t)が上昇し、連系点電力P(t)がピークカット目標値P
cutとなる。したがって、連系点電力P(t)がピークカット目標値P
cut以下となることを抑制して、太陽光発電システムPVS4は上記ピーク値を抑制している。
【0134】
なお、集中管理装置MC4は、連系点電力P(t)が設定されたピークカット目標値P
cut以下である場合に、これをピークカット目標値P
cutに制御している。そのため、連系点電力P(t)の検出間隔や抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出間隔によっては、瞬時的にピークカット目標値P
cut以下になる。したがって、買電電力の上限値を設定するときに、ユーザが所望する上限値より所定量小さい値を設定するとよい。これにより、ピークカット目標値P
cutが実際の目標値より大きい値に設定されるため、瞬時的に連系点電力P(t)が低下してもピークカット目標値P
cut以下になることを抑制することができる。
【0135】
以上のことから、本実施形態に係る太陽光発電システムPVS4によれば、連系点電力P(t)の目標電力として、出力指令値P
Cの代わりにピークカット目標値P
cutを用いた場合であっても、連系点電力P(t)を目標電力(ピークカット目標値P
cut)に一致させることができる。さらに、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に個別目標電力P
PViref,P
Bkrefを求めることで、集中管理装置MC4の処理負荷を低減させることができる。
【0136】
上記第4実施形態において、ピークカット制御中は、蓄電池B
kの放電が優先されるため、蓄電池B
kに蓄積された電力は減少する。そのために、所定の充電条件を満たしたときに、電力系統Aから供給される電力の一部を用いて、蓄電池B
kの充電を行うようにしてもよい。このような充電条件としては、例えば、連系点電力P(t)がピークカット目標値P
cutより閾値以上大きい場合などが挙げられる。このようにすることで、次のピークカット制御に備えて、蓄電池B
kを充電しておくことができる。
【0137】
このような蓄電池B
kの充電制御において、所定の時間帯毎に、充電の有無や充電速度を変更するようにしてもよい。例えば、所定の時間帯毎に、充電モードを設定可能にしておく。そして、当該充電モードに応じて、蓄電池B
kの充電を制御する。このような充電モードとしては、例えば、充電無モード、通常充電モード、および、低速充電モードがある。充電無モードは、充電を行わないモードである。通常充電モードは、所定の充電速度(通常速度)で充電するモードである。低速充電モードは、通常速度より遅い所定の速度(低速度)で充電するモードである。なお、充電モードはこれらに限定されない。ユーザは集中管理装置MC4のユーザインタフェースなどにより充電モードの設定を行うことができ、図示しないモード設定部がユーザの操作指示に応じて充電モードを設定する。上記所定の時間帯とは、1日を複数個に分けた所定の期間であり、例えば、1時間毎に分けた場合、24個の時間帯毎に設定可能であり、30分毎に分けた場合、48個の時間帯毎に設定可能である。なお、朝、昼、夕、晩、深夜などの時間帯に分けてもよい。さらに、1日単位ではなく、1週間単位で所定の時間帯を設けてもよい。
【0138】
具体的には、集中管理装置MC4は、上記モード設定部によって設定された充電モードの設定情報を、送信部24’を介して各パワーコンディショナPCS
Bkそれぞれに送信する。そして、受信部31を介してこれを受信した各パワーコンディショナPCS
Bkは、設定されている充電モードに対応付けられた上記充電レートC
rateMを用いて上記(20c’)式に示す蓄電池B
kのCレート制約(充電定格出力P
SMklmt)を変更する。例えば、通常充電モードに対する充電レートC
rateMには0.3を、低速充電モードに対する充電レートC
rateMには0.1を、充電なしモードに対する充電レートC
rateMには0をそれぞれ設定する。そして、各パワーコンディショナPCS
Bkは、上記(20’)式に示す最適化問題に基づいて、個別目標電力P
Bkrefを求めることで、充電モードの設定に応じて蓄電池B
kの充電の有無および充電速度を変更することができる。なお、低速充電モードが連続して設定されている時間帯において、蓄電池B
kが満充電するように、充電速度を可変にしてもよい。例えば、深夜0時から朝6時まで連続して「低速充電モード」が設定されている場合、6時間かけて蓄電池B
kが満充電となるように、充電速度を設定する。詳細には、充電レートC
rateMを1/6(≒0.167)にする。ただし、通常速度を超えないようにすることが望ましい。このようにすることで、充電モードに応じて、適宜蓄電池B
kの充電の有無や充電速度を変更することができる。したがって、時間帯によって(買電の)上記従量制料金の電力量単価が変わる場合において、例えば、電力量単価が安い時間帯に買電電力を多くし、電力量単価が高い時間帯に買電電力を少なくすることができる。
【0139】
上記第4実施形態においては、太陽電池SP
iが接続された複数台のパワーコンディショナPCS
PViを備えている場合を例に説明したが、これらを備えていなくてもよい。すなわち、蓄電池B
kが接続された複数台のパワーコンディショナPCS
Bkと電力負荷Lと集中管理装置MC4とで構成されるものでもよい。
【0140】
次に、第5実施形態に係る太陽光発電システムPVS5について説明する。太陽光発電システムPVS5の全体構成は、上記第3実施形態に係る太陽光発電システムPVS3(
図17参照)と略同じであり、その図示を省略する。上記第3実施形態においては、余剰電力を逆潮流させることが可能であったが、第5実施形態においては、逆潮流が禁止されているものとする。
【0141】
逆潮流が禁止されている太陽光発電システムPVS5では、電力系統Aへの連系点に逆電力継電器51を設ける必要がある。この逆電力継電器51は、リレーの一種である。逆電力継電器51は、太陽光発電システムPVS5から電力系統Aに逆潮流が発生したことを検出すると、太陽光発電システムPVS5を電力系統Aから解列する。例えば、逆電力継電器51は、連系点電力P(t)を検出し、当該連系点電力P(t)に基づいて逆潮流の発生を検出する。そして、逆潮流の発生を検出した場合、連系点に設けられた図示しない遮断器を遮断することで、太陽光発電システムPVS5を電力系統Aから解列する。一度、解列すると、復帰するのに、専門の業者を呼ぶ必要があるため時間がかかる。例えば工場の休止日などにより、電力負荷Lの低負荷時には、電力負荷Lの消費電力は低下する。したがって、工場の休止日に天気が晴れた場合には、太陽電池SP
iの発電量P
iSPが電力負荷Lの消費電力を超える場合があり、このとき、逆潮流が発生する。
【0142】
そこで、第5実施形態に係る太陽光発電システムPVS5において、上記抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを用いて各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に制御して、逆潮流の発生を抑制する。これを「逆潮流回避制御」という。なお、連系点電力P(t)が正の値である場合、逆潮流が発生しているので、逆潮流の発生を抑制するためには、連系点電力P(t)が正の値にならないように、負の値を維持すればよい。太陽光発電システムPVS5は、逆潮流回避制御において、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutを抑制する。また、パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutを制御して蓄電池B
kを充電する。このようにして、常に電力系統Aから太陽光発電システムPVS5に電力を供給させている。したがって、連系点電力P(t)が、正の値にならないように、負の値を維持している。これにより、逆潮流の発生が抑制される。
【0143】
図20は、太陽光発電システムPVS5の逆潮流回避制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図20においては、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。また、それぞれ1台目のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのみ記載している。太陽光発電システムPVS5は、当該逆潮流回避制御の制御系として、上記第3実施形態に係る太陽光発電システムPVS3と比較して、集中管理装置MC3の代わりに、集中管理装置MC5を備えている点で異なる。
【0144】
集中管理装置MC5において、目標電力設定部21は、逆潮流の発生を抑制するための逆潮流回避目標値P
RPRを目標電力として設定する。この逆潮流回避目標値P
RPRは、連系点電力P(t)の目標値であり、負の値である。逆潮流回避目標値P
RPRは、ユーザが自由に指定できる。目標電力設定部21は、設定した目標電力(逆潮流回避目標値P
RPR)を指標算出部23’に出力する。
【0145】
また、集中管理装置MC5において、指標算出部23’は、連系点電力P(t)と、目標電力設定部21から入力される逆潮流回避目標値P
RPRとを用いて、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。すなわち、本実施形態においては、指標算出部23’は、連系点電力P(t)を逆潮流回避目標値P
RPRにするための抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。具体的には、指標算出部23’は、上記(21)式における出力指令値P
C(t)の代わりに逆潮流回避目標値P
RPRを用いて、ラグランジュ乗数λを算出する。そして、上記(22)式により、算出したラグランジュ乗数λを抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとして算出する。指標算出部23’は、算出した抑制指標pr
PVを、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
PViに送信する。また、算出した充放電指標pr
Bを、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
Bkに送信する。
【0146】
このように構成された太陽光発電システムPVS5において、集中管理装置MC5は、連系点電力検出部22によって検出される連系点電力P(t)を監視する。そして、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値P
RPR以上となった場合に、指標算出部23’により連系点電力P(t)を逆潮流回避目標値P
RPRにするための抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。各パワーコンディショナPCS
PViはそれぞれ、集中管理装置MC5が算出した抑制指標pr
PVを用いた最適化問題に基づいて、個別目標電力P
PVirefを算出し、個別出力電力P
PVioutを個別目標電力P
PVirefに制御する。また、各パワーコンディショナPCS
Bkはそれぞれ、集中管理装置MC5が算出した充放電指標pr
Bを用いた最適化問題に基づいて、個別目標電力P
Bkrefを算出し、個別出力電力P
Bkoutを個別目標電力P
Bkrefに制御する。これらにより、連系点電力P(t)を逆潮流回避目標値P
RPRに制御して、逆潮流の発生を抑制している。すなわち、逆潮流によって逆電力継電器51が動作することを抑制している。
【0147】
なお、逆潮流回避目標値P
RPRの設定値が0である(あるいは0に近い)と、連系点電力P(t)の検出間隔や抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出間隔によっては、瞬時的に連系点電力P(t)が上昇した場合に、連系点電力P(t)が正の値となり、逆潮流が発生する可能性がある。そのため、設定される逆潮流回避目標値P
RPRが0より所定量小さい値以下にするとよい。これにより、逆潮流回避目標値P
RPRが0より小さくなるため、瞬時的に連系点電力P(t)が上昇しても0を超えることを抑制することができる。したがって、逆潮流が発生することを抑制することができる。
【0148】
以上のことから、本実施形態に係る太陽光発電システムPVS5によれば、連系点電力P(t)の目標電力として、出力指令値P
Cの代わりに逆潮流回避目標値P
RPRを用いた場合であっても、連系点電力P(t)を目標電力(逆潮流回避目標値P
RPR)に一致させることができる。さらに、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に個別目標電力P
PViref,P
Bkrefを求めることで、集中管理装置MC5の処理負荷を低減させることができる。
【0149】
上記第5実施形態において、逆潮流回避制御中は、蓄電池B
kの充電が優先されるため、蓄電池B
kに電力が蓄積されていく。そのため、所定の放電条件を満たしたときに、蓄電池B
kの放電を行うようにしてもよい。このような放電条件としては、例えば、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値P
RPRより閾値以上小さい場合などが挙げられる。このようにすることで、次の逆潮流回避制御に備えて、蓄電池B
kを放電しておくことができる。
【0150】
このような蓄電池B
kの放電制御において、上記所定の時間帯毎に、放電をするか否かを変更するようにしてもよい。例えば、上記所定の時間帯毎に、放電モードを設定可能にしておく。そして、当該放電モードに応じて、蓄電池B
kを放電するか否かを制御する。このような放電モードとしては、例えば、放電有モードと放電無モードとがある。放電有モードは、放電を行うモードである。放電無モードは、放電を行わないモードである。なお、放電モードはこれらに限定されない。ユーザは集中管理装置MC5のユーザインタフェースなどにより放電モードの設定を行うことができ、図示しないモード設定部がユーザの操作指示に応じて放電モードを設定する。このときの所定の時間帯は、上記ピークカット制御における所定の時間帯と同じであっても異なっていてもよい。
【0151】
具体的には、集中管理装置MC5は、上記モード設定部によって設定された放電モードの設定情報を、送信部24’を介して各パワーコンディショナPCS
Bkそれぞれに送信する。そして、受信部31を介してこれを受信した各パワーコンディショナPCS
Bkは、設定されている放電モードに対応付けられた上記放電レートC
ratePを用いて上記(20c’)式に示す蓄電池B
kのCレート制約(放電定格出力P
SPklmt)を変更する。例えば、放電有モードに対する放電レートC
ratePには0.3を、放電無モードに対する放電レートC
ratePには0をそれぞれ設定する。そして、パワーコンディショナPCS
Bkは、上記(20’)式に示す最適化問題に基づいて、個別目標電力P
Bkrefを求めることで、放電モードの設定に応じて蓄電池B
kを放電するか否かを変更することができる。このようにすることで、放電モードに応じて、適宜蓄電池B
kを放電するか否かを変更することができる。したがって、必要に応じて蓄電池B
kを放電させず、電力を蓄積させておくことができる。
【0152】
上記第5実施形態においては、逆電力継電器51は、太陽光発電システムPVS5を電力系統Aから解列する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkを電力系統Aから解列するものであってもよい。すなわち、もし逆電力継電器51によって解列されても、電力負荷Lは電力系統Aに接続されたままにしてもよい。例えば、上記遮断器が、
図20に示す接続線の位置BP1に設置されるか、
図20に示す接続線の位置BP2(各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの出力端付近それぞれ)に設置されることで、逆電力継電器51は、電力負荷Lを残したまま、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkを電力系統Aから解列することができる。
【0153】
上記第5実施形態においては、蓄電池B
kが接続された複数台のパワーコンディショナPCS
Bkを備えている場合を例に説明したが、これらを備えていなくてもよい。すなわち、太陽電池SP
iが接続された複数台のパワーコンディショナPCS
PViと電力負荷Lと集中管理装置MC5とで構成されるものでもよい。この場合、太陽光発電システムPVS5は、逆潮流回避制御を行うとき、パワーコンディショナPCS
PViからの個別出力電力P
PVioutの抑制のみで、連系点電力P(t)を設定された逆潮流回避目標値P
RPRにしている。
【0154】
上記第3実施形態ないし第5実施形態においてはそれぞれ、出力抑制制御、ピークカット制御、逆潮流回避制御を個々に実装した太陽光発電システムPVS3,PVS4,PVS5について説明したが、これらの各種制御を組み合わせることも可能である。この場合、集中管理装置が適宜いずれの制御を行うかを切り替えるようにすればよい。例えば、ユーザの操作に応じて切り替えるようにしてもよいし、状況(連系点電力P(t)の正負(逆潮流中か否か)、逆潮流が禁止されているか、電力負荷Lの電力消費履歴や稼働日など)に応じて自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0155】
次に、第6実施形態に係る太陽光発電システムPVS6について説明する。上記第1実施形態ないし第5実施形態においては、連系点電力検出部22が検出する連系点電力P(t)を太陽光発電システムPVS1〜PVS5全体の出力電力とみなした。しかし、連系点電力P(t)に限らず、各パワーコンディショナPCS
iあるいは各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkからそれぞれ個別出力電力P
ioutあるいは個別出力電力P
PViout,P
Bkoutの総和(以下、「システム総出力」という。)を算出し、これを太陽光発電システム全体の出力電力とみなすことも可能である。したがって、太陽光発電システムPVS6は、当該システム総出力が目標電力となるように制御する。よって、上記調整対象電力としてシステム総出力を用いている。
【0156】
図21は、太陽光発電システムPVS6の全体構成を示している
図21に示すように、太陽光発電システムPVS6は、複数台の太陽電池SP
i、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi、複数台の蓄電池B
k、複数台のパワーコンディショナPCS
Bk、および、集中管理装置MC6を有して構成される。
【0157】
第6実施形態に係る太陽光発電システムPVS6は、連系点電力P(t)を検出せず、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの個別出力電力P
PViout,P
Bkoutのすべての総和(システム総出力P
total(t))を算出する。そして、当該システム総出力P
total(t)を太陽光発電システムPVS6全体の出力電力として電力会社から指示される出力指令値P
Cに一致させるように制御している。すなわち、太陽光発電システムPVS6は、連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力P
total(t)を用いて出力抑制制御を行う。
【0158】
図22は、
図21に示す太陽光発電システムPVS6の出力抑制制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図22においては、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。また、それぞれ1台目のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのみ記載している。太陽光発電システムPVS6は、当該出力抑制制御の制御系として、上記第2実施形態に係る集中管理装置MC2の代わりに、集中管理装置MC6を備えている点で異なる。また、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの構成も異なる。
【0159】
本実施形態においては、各パワーコンディショナPCS
PViはそれぞれ、出力電力検出部14および送信部15をさらに備えており、各パワーコンディショナPCS
Bkはそれぞれ、出力電力検出部34および送信部35をさらに備えている。また、集中管理装置MC6は、連系点電力検出部22および指標算出部23’の代わりに、受信部61と総出力算出部62と指標算出部63とを備えている。
【0160】
出力電力検出部14は、各パワーコンディショナPCS
PViに備えられており、自装置の個別出力電力P
PVioutを検出する。出力電力検出部34は、各パワーコンディショナPCS
Bkに備えられており、自装置の個別出力電力P
Bkoutを検出する。
【0161】
送信部15は、出力電力検出部14が検出した個別出力電力P
PVioutを集中管理装置MC6に送信する。送信部35は、出力電力検出部34が検出した個別出力電力P
Bkoutを集中管理装置MC6に送信する。
【0162】
受信部61は、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkから送信される個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを受信する。
【0163】
総出力算出部62は、受信部61が受信した個別出力電力P
PViout,P
Bkoutの総和であるシステム総出力P
total(t)を算出する。本実施形態においては、総出力算出部62は、入力されるすべての個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを加算したシステム総出力P
total(t)を算出する。
【0164】
指標算出部63は、総出力算出部62が算出したシステム総出力P
total(t)を、目標電力にするための指標を算出する。本実施形態においては、目標電力として出力指令値P
Cが入力されるので、指標算出部63は、システム総出力P
total(t)を出力指令値P
Cにするための抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。このとき、指標算出部63は、上記(21)式における連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力P
total(t)を用いて、ラグランジュ乗数λを算出する。そして、上記(22)式により、算出したラグランジュ乗数λを抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとして算出する。算出された抑制指標pr
PVは、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
PViに送信される。また、算出された充放電指標pr
Bはそれぞれ、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
Bkに送信される。
【0165】
本実施形態に係る太陽光発電システムPVS6によれば、調整対象電力として、上記第2実施形態における連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力P
total(t)を用いた場合であっても、システム総出力P
total(t)を目標電力(出力指令値P
C)にすることができる。さらに、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkが分散的に個別目標電力P
PViref,P
Bkrefを求めるため、集中管理装置MC6の処理負荷を低減させることができる。
【0166】
上記第6実施形態においては、第2実施形態に係る太陽光発電システムPVS2に対して、システム総出力P
total(t)を出力指令値P
Cに制御する場合を例に説明したが、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1において同様にしてもよい。すなわち、第1実施形態に係る太陽光発電システムPVS1において、連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力P
total(t)を出力指令値P
Cに制御した場合も、抑制指標prを用いて、出力抑制制御を行うことができる。この場合も、システム総出力P
total(t)を目標電力(出力指令値P
C)にしつつ、集中管理装置の処理負荷を低減させることができる。
【0167】
次に、第7実施形態に係る太陽光発電システムPVS7について説明する。なお、上記第6実施形態と同一あるいは類似のものついては、同じ符号を付してその説明を省略する。
図23は、太陽光発電システムPVS7の全体構成を示している。同図に示すように、太陽光発電システムPVS7は、複数台の太陽電池SP
i、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi、複数台の蓄電池B
k、複数台のパワーコンディショナPCS
Bk、集中管理装置MC7、および、電力負荷Lを有して構成される。したがって、上記第6実施形態に係る太陽光発電システムPVS6と比較して、電力負荷Lをさらに備えている点で異なる。
【0168】
図24は、
図23に示す太陽光発電システムPVS7の出力抑制制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図24においては、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。また、それぞれ1台目のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのみ記載している。同図に示すように、第7実施形態に係る各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk、および、集中管理装置MC7の構成は、上記第6実施形態に係る各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk、および、集中管理装置MC6の構成(
図22参照)とそれぞれ同じである。
【0169】
本実施形態に係る太陽光発電システムPVS7においても、上記第6実施形態と同様に、算出したシステム総出力P
total(t)に基づいて、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを用いた出力抑制制御を行うことができる。したがって、上記第6実施形態と同様に、システム総出力P
total(t)を目標電力(出力指令値P
C)にしつつ、集中管理装置MC7の処理負荷を低減させることができる。
【0170】
上記第7実施形態においては、上記第6実施形態に係る太陽光発電システムPVS6に対して、電力負荷Lを追加した場合を例に説明したが、太陽光発電システムPVS1に対して、電力負荷Lを追加し、かつ、連系点電力P(t)の代わりにシステム総出力P
total(t)を出力指令値P
Cに制御する太陽光発電システムにおいても、上記抑制指標prを用いて、出力抑制制御を行うことができる。この場合も、システム総出力P
total(t)を目標電力(出力指令値P
C)にするとともに、集中管理装置の処理負荷を低減させることができる。
【0171】
次に、第8実施形態に係る太陽光発電システムPVS8について説明する。太陽光発電システムPVS8の全体構成は、上記第7実施形態に係る太陽光発電システムPVS7(
図23参照)と略同じである。上記第6実施形態および第7実施形態においては、システム総出力P
total(t)に対して各種目標電力を設定したが、本実施形態においては、複数台のパワーコンディショナを複数のグループに分け、当該グループ毎に目標電力を設定している。以下の説明においては、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkを、複数台のパワーコンディショナPCS
PViの集合である第1パワーコンディショナ群G
PVと複数台のパワーコンディショナPCS
Bkの集合である第2パワーコンディショナ群G
Bとの2つグループに分けた場合を例に説明する。
【0172】
第8実施形態に係る太陽光発電システムPVS8は、上記第1パワーコンディショナ群G
PVと上記第2パワーコンディショナ群G
Bとにおいて、それぞれ目標電力を設定し、第1パワーコンディショナ群G
PVの総出力電力および第2パワーコンディショナ群G
Bの総出力電力がそれぞれ上記目標電力になるように制御する。この制御を「スケジュール制御」という。なお、第1パワーコンディショナ群G
PVの総出力電力は、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutの総和ΣP
PVioutであり、以下、第1群総出力P
GPVとする。また、第2パワーコンディショナ群G
Bの総出力電力は、各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutの総和ΣP
Bkoutであり、以下、第2群総出力P
GBとする。
【0173】
図25は、太陽光発電システムPVS8のスケジュール制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図25においては、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。また、それぞれ1台目のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのみ記載している。当該スケジュール制御に関する制御系として、上記第7実施形態に係る太陽光発電システムPVS7と比較して、次の点で異なる。すなわち、集中管理装置MC8は、総出力算出部62の代わりに総出力算出部62’を、また、指標算出部63の代わりに指標算出部63’を備えている。
【0174】
集中管理装置MC8においては、目標電力設定部21は、第1群総出力P
GPVの目標値である第1群目標値P
TPVおよび第2群総出力P
GBの目標値である第2群目標値P
TBを目標電力として設定する。第1群目標値P
TPVおよび第2群目標値P
TBは、上記所定の時間帯毎に設定可能である。これらの目標値は、ユーザが自由に指定できる。目標電力設定部21は、設定した目標電力(第1群目標値P
TPVおよび第2群目標値P
TB)を指標算出部63’に出力する。
【0175】
総出力算出部62’は、第1群総出力P
GPVおよび第2群総出力P
GBをそれぞれ算出する。具体的には、総出力算出部62’は、受信部61が受信したパワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutを加算し、第1群総出力P
GPVを算出する。また、総出力算出部62’は、受信部61が受信したパワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutを加算し、第2群総出力P
GBを算出する。
【0176】
指標算出部63’は、総出力算出部62’が算出した第1群総出力P
GPVを、目標電力設定部21から入力される第1群目標値P
TPVにするための抑制指標pr
PVを算出する。このとき、指標算出部63’は、下記(34)式を用いて、抑制指標pr
PVを算出する。なお、下記(34)式において、λ
PVは複数台のパワーコンディショナPCS
PViに対するラグランジュ乗数、ε
PVは複数台のパワーコンディショナPCS
PViに対する勾配係数を示している。また、第1群総出力P
GPVおよび第1群目標値P
TPVが時間tに対して変化する値であるため、それぞれ第1群総出力をP
GPV(t)、第1群目標値をP
TPV(t)と記載している。よって、指標算出部63’は、上記(9)式において、連系点電力P(t)の代わりに第1群総出力P
GPV(t)を、出力指令値P
C(t)の代わりに第1群目標値P
TPV(t)を用いて、ラグランジュ乗数λ
PVを算出する。そして、算出したラグランジュ乗数λ
PVを抑制指標pr
PVとする。指標算出部63’は、算出した抑制指標pr
PVを、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
PViに送信する。
【数20】
【0177】
また、指標算出部63’は、総出力算出部62’が算出した第2群総出力P
GBを、目標電力設定部21から入力される第2群目標値P
TBにするための充放電指標pr
Bを算出する。このとき、指標算出部63’は、下記(35)式を用いて、充放電指標pr
Bを算出する。なお、下記(35)式において、λ
Bは複数台のパワーコンディショナPCS
Bkに対するラグランジュ乗数、ε
Bは複数台のパワーコンディショナPCS
Bkに対する勾配係数を示している。また、第2群総出力P
GBおよび第2群目標値P
TBが時間tに対して変化する値であるため、それぞれ第2群総出力をP
GB(t)、第2群目標値をP
TB(t)と記載している。よって、指標算出部63’は、上記(9)式において、連系点電力P(t)の代わりに第2群総出力P
GB(t)を、出力指令値P
C(t)の代わりに第2群目標値P
TB(t)を用いて、ラグランジュ乗数λ
Bを算出する。そして、算出したラグランジュ乗数λ
Bを充放電指標pr
Bとする。指標算出部63’は、算出した充放電指標pr
Bを、送信部24’を介して、各パワーコンディショナPCS
Bkに送信する。
【数21】
【0178】
このように構成された太陽光発電システムPVS8において、集中管理装置MC8は、各パワーコンディショナPCS
PViから個別出力電力P
PVioutを入手し、第1群総出力P
GPVを算出する。そして、算出した第1群総出力P
GPVが第1群目標値P
TPVとなるように、上記(34)式を用いて、抑制指標pr
PVを算出する。算出された抑制指標pr
PVは、各パワーコンディショナPCS
PViに送信される。各パワーコンディショナPCS
PViはそれぞれ、受信した抑制指標pr
PVを用いて、個別目標電力P
PVirefを算出し、個別出力電力P
PVioutが個別目標電力P
PVirefとなるように制御する。また、集中管理装置MC8は、パワーコンディショナPCS
Bkから個別出力電力P
Bkoutを入手し、第2群総出力P
GBを算出する。そして、算出した第2群総出力P
GBが第2群目標値P
TBとなるように、上記(35)式を用いて、充放電指標pr
Bを算出する。算出された充放電指標pr
Bは、各パワーコンディショナPCS
Bkに送信される。各パワーコンディショナPCS
Bkはそれぞれ、受信した充放電指標pr
Bを用いて、個別目標電力P
Bkrefを算出し、個別出力電力P
Bkoutが個別目標電力P
Bkrefとなるように制御する。これらにより、第1群総出力P
GPVが第1群目標値P
TPVとなり、また、第2群総出力P
GBが第2群目標値P
TBとなる。
【0179】
以上のことから、本実施形態に係る太陽光発電システムPVS8によれば、第1パワーコンディショナ群G
PVおよび第2パワーコンディショナ群G
B毎に目標電力(第1群目標値P
TPVおよび第2群目標値P
TB)を設定して、第1群総出力P
GPVを第1群目標値P
TPVに、そして、第2群総出力P
GBを第2群目標値P
TBにすることができる。また、パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkがそれぞれ、抑制指標pr
PV,充放電指標pr
Bに基づいて、分散的に個別目標電力P
PViref,P
Bkrefを算出するので、集中管理装置MC8の処理負荷を低減させることができる。
【0180】
上記第8実施形態においては、第1パワーコンディショナ群G
PVおよび第2パワーコンディショナ群G
B毎に目標電力(第1群目標値P
TPVおよび第2群目標値P
TB)を設定した場合を例に説明したが、いずれか一方のみであってもよい。
【0181】
上記第8実施形態においては、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkを、複数台のパワーコンディショナPCS
PViの集合である第1パワーコンディショナ群G
PVと複数台のパワーコンディショナPCS
Bkの集合である第2パワーコンディショナ群G
Bとの2つのグループに分けた場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、第1パワーコンディショナ群G
PVをさらに複数のグループに分割して、当該グループ毎に目標電力を設定するようにしてもよい。なお、第2パワーコンディショナ群G
Bについても同様である。また、1つのグループに1台以上のパワーコンディショナPCS
PViおよび1台以上のパワーコンディショナPCS
Bkの両方が含むようにグループ分けして、当該グループ毎に目標電力を設定するようにしてもよい。この場合、上記(21)式および上記(22)式を用いて、グループ毎に、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出すればよい。
【0182】
上記第8実施形態においては、複数のグループに分ける場合を説明したが、複数のグループに分けず、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkを1つのグループとして、スケジュール制御をしてもよい。すなわち、ユーザが所定の時間帯毎にシステム総出力P
total(t)の目標値を自由に設定し、システム総出力P
total(t)を当該目標値に一致させるように制御してもよい。なお、このように1つのグループとしてスケジュール制御を行う場合は、システム総出力P
total(t)ではなく、連系点電力P(t)を用いてもよい。つまり、上記第1実施形態ないし上記第5実施形態に係る太陽光発電システムPVS1〜PVS5において、目標電力として、所定の時間帯毎に連系点電力P(t)の目標値を自由に設定し、連系点電力P(t)を当該目標値に一致させるようにしてもよい。
【0183】
上記第7実施形態および第8実施形態においてはそれぞれ、出力抑制制御、スケジュール制御を個々に実装した太陽光発電システムPVS7,PVS8について説明したが、これらを組み合わせることも可能である。この場合、集中管理装置が適宜いずれの制御を行うかを切り替えるようにすればよい。例えば、ユーザの操作に応じて切り替えるようにしてもよいし、状況(電力会社から抑制指示を受けているか、第1群目標値P
TPVや第2群目標値P
TBが設定されているかなど)に応じて自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0184】
上記第7実施形態および第8実施形態においては、集中管理装置MC7,MC8が、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkから個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを入手する構成を備えた場合を例に説明したが、さらに、電力負荷Lの消費電力を、電力負荷Lから入手する構成を追加してもよい。このように電力負荷Lの消費電力が入手可能な場合、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkから入手した個別出力電力P
PViout,P
Bkoutと電力負荷Lから入手した消費電力との総和を算出することで、連系点電力P(t)を推算することができる。したがって、連系点電力検出部22を備えていなくても、上記第3実施形態に係る出力抑制制御、上記第4実施形態に係るピークカット制御、および、上記第5実施形態に係る逆潮流回避制御を行うことができる。
【0185】
上記第3実施形態ないし第5実施形態においてはそれぞれ、連系点電力P(t)に基づいて、出力抑制制御、ピークカット制御、逆潮流回避制御を行う場合を例に説明し、上記第7実施形態および第8実施形態においてはそれぞれ、システム総出力P
total(t),第1群総出力P
GPVおよび第2群総出力P
GBに基づいて、出力抑制制御、スケジュール制御を行う場合を例にそれぞれ説明したが、これに限定されない。連系点電力P(t)を検出する手段(連系点電力検出部22)およびパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkからそれぞれ個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを入手する手段の両方を備えておき、出力抑制制御、ピークカット制御、逆潮流回避制御、および、スケジュール制御を複合的に制御するようにしてもよい。
【0186】
次に、第9実施形態に係る太陽光発電システムPVS9について説明する。当該太陽光発電システムPVS9は、逆潮流が禁止されているものとする。このように逆潮流が禁止されている場合、上記第5実施形態で説明したように、逆電力継電器51を設置する必要がある。そして、上記第5実施形態においては当該逆電力継電器51が動作するのを抑制するために、逆潮流回避制御を行っている。しかし、急激に連系点電力P(t)が上昇したとき、逆潮流が発生する可能性がある。例えば、逆潮流回避目標値P
RPRの設定値が0(あるいは0に近い)であり、かつ、連系点電力P(t)の検出間隔や抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出間隔が長い場合、上記抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの変更による制御では、急激な連系点電力P(t)の上昇に対応できない。その結果、連系点電力P(t)が正の値となり、逆潮流が発生する。これにより、逆電力継電器51は、逆潮流を検出して、太陽光発電システムを電力系統Aから解列する。そこで、上記第5実施形態においては、逆潮流回避目標値P
RPRの設定を0より所定量小さい値以下にすることで逆潮流の発生をより回避する手法を示した。しかし、逆潮流回避制御中は、連系点電力P(t)が上記逆潮流回避目標値P
RPRに一致するように制御される。したがって、当該手法では、連系点電力P(t)が0より所定量小さい値以下(逆潮流回避目標値P
RPR)となり、その分買電電力が多くなる。よって、逆潮流回避目標値P
RPRは、極力0に近い方がよい。
【0187】
そこで、第9実施形態に係る太陽光発電システムPVS9は、上記第5実施形態に示した手法とは異なる手法にて、上記のような急激な連系点電力P(t)の上昇に対しても電力系統Aから解列されることを回避している。
【0188】
図26は、太陽光発電システムPVS9の全体構成を示している。同図に示すように、太陽光発電システムPVS9は、複数台の太陽電池SP
i、複数台のパワーコンディショナPCS
PVi、複数台の蓄電池B
k、複数台のパワーコンディショナPCS
Bk、集中管理装置MC9、電力負荷L、および、補助用継電器52を有して構成される。また、太陽光発電システムPVS9は電力系統Aに連系しており、当該太陽光発電システムPVS9と電力系統Aとの連系点には逆電力継電器51が設置されている。したがって、逆電力継電器51は、逆潮流を検出すると、太陽光発電システムPVS9を電力系統Aから解列する。なお、本実施形態においても上記第5実施形態と同様に、逆電力継電器51は、逆潮流を検出した場合、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkを電力系統Aから解列するものであってもよい。すなわち、もし逆電力継電器51によって解列されても、電力負荷Lは電力系統Aに接続されたままにしてもよい。なお、各太陽電池SP
iおよび各パワーコンディショナPCS
PViが、本発明の「太陽光発電装置」および「分散型電源」に相当する。また、各蓄電池B
kおよび各パワーコンディショナPCS
Bkが、本発明の「蓄電装置」および「分散型電源」に相当する。そして、太陽光発電システムPVS9と逆電力継電器51とを含めたものが、本発明の「電力システム」に相当する。
【0189】
補助用継電器52は、逆潮流を検出して動作するリレー装置である。補助用継電器52は、図示しない電気接点を有している。当該電気接点は、連系点電力P(t)が閾値以上になった場合に逆潮流の発生を検出して動作する。例えば、当該閾値として0を設定する。なお、0より所定量小さい値(ただし逆潮流回避目標値P
RPRより大きい値)であってもよい。補助用継電器52は、電気接点が動作すると、電気接点が動作したこと示す接点信号を各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk、および、集中管理装置MC9に送信する。本実施形態においては、逆電力継電器51は逆潮流の状態が約50ms継続した場合に逆潮流を検出するのに対して、補助用継電器52(電気接点)は逆潮流の状態が約10ms継続した場合に逆潮流を検出している。すなわち、逆電力継電器51が逆潮流を検出する時間(逆潮流検出時間)より、補助用継電器52の逆潮流検出時間を短く設定している。これにより、補助用継電器52は逆電力継電器51よりも早く逆潮流を検出することができる。
【0190】
太陽光発電システムPVS9は、連系点に設置された補助用継電器52を用いて、急激な連系点電力P(t)の上昇に対しても電力系統Aから解列されることを回避する。具体的には、太陽光発電システムPVS9は、逆潮流が発生して補助用継電器52が動作すると、そのことを各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bk、および、集中管理装置MC9に知らせる。そして、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを強制的に低下させる。これにより、連系点電力P(t)が低下する。したがって、逆潮流が解消され、上記解列を回避している。この制御を「解列回避制御」という。
【0191】
図27は、
図26に示す太陽光発電システムPVS9の解列回避制御に関する制御系の機能構成を示している。なお、
図27においては、太陽電池SP
iおよび蓄電池B
kの図示を省略している。また、それぞれ1台目のパワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkのみ記載している。太陽光発電システムPVS9は、解列回避制御を行うために、上記第5実施形態に係る太陽光発電システムPVS5と比較して、集中管理装置MC5の代わりに集中管理装置MC9を備えている点で異なる。集中管理装置MC9は、集中管理装置MC5と比較して、受信部25をさらに備え、指標算出部23’の代わりに指標算出部23”を備えている。また、各パワーコンディショナPCS
PViは、受信部11の代わりに受信部11’を備え、目標電力算出部12’の代わりに目標電力算出部12”を備えている。各パワーコンディショナPCS
Bkは、受信部31の代わりに受信部31’を備え、目標電力算出部32の代わりに目標電力算出部32’を備えている。
【0192】
受信部25は、補助用継電器52から送信される接点信号を受信する。受信部25は、受信した接点信号を指標算出部23”に出力する。なお、当該受信部25が、本発明の「集中管理装置用接点信号受信手段」に相当する。
【0193】
指標算出部23”は、通常時、上記指標算出部23’と同様に、連系点電力P(t)を目標電力にするための指標を算出する。本実施形態においては、目標電力として逆潮流回避目標値P
RPRが入力されているので、指標算出部23”は、連系点電力P(t)を逆潮流回避目標値P
RPRにするための抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出する。ただし、指標算出部23”は、受信部25から接点信号が入力されたときには、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出を停止する。そして、予め設定される解列回避値を抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとする。当該解列回避値は、逆電力継電器51によって解列されることを回避するための設定値である。解列回避値は、各パワーコンディショナPCS
PViにその個別出力電力P
PVioutを抑制させ、かつ、各パワーコンディショナPCS
Bkに蓄電池B
kを充電させるように設定されている。すなわち、解列回避値は、連系点電力P(t)を小さくするように設定されている。なお、解列回避値の具体的な設定値については後述する。また、指標算出部23”は、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとして解列回避値を用いてから、所定時間(例えば、120[s])経過すると、通常時の抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出処理を再開する。すなわち、上記逆潮流回避制御に戻る。このとき、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの初期値をともに解列回避値として、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出を再開する。
【0194】
受信部11’は、集中管理装置MC9から送信される抑制指標pr
PVを受信し、また、補助用継電器52から送信される接点信号を受信する。受信部11’は、受信した抑制指標pr
PVおよび接点信号を目標電力算出部12”に出力する。なお、当該受信部11’が、本発明の「指標受信手段」および「分散型電源用接点信号受信手段」に相当する。
【0195】
目標電力算出部12”は、通常時、上記目標電力算出部12’と同様に、受信部11’が受信した抑制指標pr
PVに基づき、自装置(パワーコンディショナPCS
PVi)の個別目標電力P
PVirefを算出する。ただし、目標電力算出部12”は、受信部11’から接点信号が入力されたときには、受信部11’が受信した抑制指標pr
PVではなく、予め設定されている解列回避値を抑制指標pr
PVとする。すなわち、上記(19)式に示す最適化問題において、解列回避値を抑制指標pr
PVとして個別目標電力P
PVirefを算出する。上記するように、解列回避値は、連系点電力P(t)を小さくするように設定されているので、当該算出される個別目標電力P
PVirefは小さくなる。したがって、個別出力電力P
PVioutも小さくなる。なお、当該解列回避値は、指標算出部23”に設定されているものと同じである。目標電力算出部12”は、抑制指標pr
PVとして解列回避値を用いてから、所定時間(例えば、60[s])経過すると、通常時の個別目標電力P
PVirefの算出処理に戻る。なお、目標電力算出部12”が解列回避値を用いる上記所定時間と、指標算出部23”が解列回避値を用いる上記所定時間とでは、前者を短く設定する。
【0196】
受信部31’は、集中管理装置MC9から送信される充放電指標pr
Bを受信し、また、補助用継電器52から送信される接点信号を受信する。受信部31’は、受信した充放電指標pr
Bおよび接点信号を目標電力算出部32’に出力する。なお、当該受信部31’も、本発明の「指標受信手段」および「分散型電源用接点信号受信手段」に相当する。
【0197】
目標電力算出部32’は、通常時、上記目標電力算出部32と同様に、受信部31’が受信した充放電指標pr
Bに基づき、自装置(パワーコンディショナPCS
Bk)の個別目標電力P
Bkrefを算出する。ただし、目標電力算出部32’は、受信部31’から接点信号が入力されたときには、受信部31’が受信した充放電指標pr
Bではなく、予め設定されている解列回避値を充放電指標pr
Bとする。すなわち、上記(20)式に示す最適化問題において、解列回避値を充放電指標pr
Bとして個別目標電力P
Bkrefを算出する。上記するように、解列回避値は、連系点電力P(t)を小さくするように設定されているので、算出される個別目標電力P
Bkrefは小さくなる。したがって、個別出力電力P
Bkoutも小さくなる。なお、当該解列回避値は、指標算出部23”に設定されているものと同じである。目標電力算出部32’は、充放電指標pr
Bとして解列回避値を用いてから、所定時間(例えば、60[s])経過すると、通常時の個別目標電力P
Bkrefの算出処理に戻る。なお、目標電力算出部12”が解列回避値を用いる上記所定時間と、目標電力算出部32’が解列回避値を用いる上記所定時間とは、同じである。
【0198】
次に、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkおよび集中管理装置MC9に設定される解列回避値について説明する。
【0199】
本実施形態においては、各パワーコンディショナPCS
PViの有効電力抑制に関する重みw
PVi(上記(19a)式参照)および各パワーコンディショナPCS
Bkの有効電力に関する重みw
Bk(上記(20a)式参照)が以下に示すように設定されている。
【0200】
具体的には、各パワーコンディショナPCS
PViの有効電力抑制に関する重みw
PViとして、下記(37)式で算出される値を用いる。下記(37)式において、pr
PVlmtは、抑制指標限界を示している。当該抑制指標限界pr
PVlmtは、個別出力電力P
PVioutを0にするときの抑制指標、すなわち、個別出力電力P
PVioutを100%抑制するときの抑制指標である。また、P
PVilmtは、上記各パワーコンディショナPCS
PViの定格出力である。なお、各パワーコンディショナPCS
PViの定格出力P
PVilmtの代わりに、疑似有効出力限界P
φiを用いてもよい。すなわち、下記(37’)式で算出される値を用いてもよい。
w
PVi=pr
PVlmt/(2×P
PVilmt)・・・(37)
w
PVi=pr
PVlmt/(2×P
φi)・・・(37’)
【0201】
図28(a)は、上記(37)式を用いて有効電力抑制に関する重みw
PViを設定したときの、抑制指標pr
PVと個別出力電力P
PVioutとの関係を示している。
図28(a)において、実線は定格出力P
PVilmtが500kWのパワーコンディショナPCS
PViのときを、破線は定格出力P
PVilmtが250kWのパワーコンディショナPCS
PViのときを、一点鎖線は定格出力P
PVilmtが100kWのパワーコンディショナPCS
PViのときをそれぞれ示している。また、上記(37)式における上記抑制指標限界pr
PVlmtを100とした。
【0202】
図28(a)が示すように、抑制指標pr
PVが0から100(抑制指標限界pr
PVlmt)の間で20上昇する毎に、定格出力P
PVilmtが500kWの場合100kW、定格出力P
PVilmtが250kWの場合50kW、定格出力P
PVilmtが100kWの場合20kWずつ低下している。これは、各パワーコンディショナPCS
PViの定格出力P
PVilmtの20%ずつ低下していることになる。すなわち、各パワーコンディショナPCS
PViの定格出力P
PVilmtに対する割合で個別出力電力P
PVioutを抑制している。したがって、同じ抑制指標pr
PVの変化量であっても、各パワーコンディショナPCS
PViの定格出力P
PVilmtに応じて個別出力電力P
PVioutの抑制量が変化している。また、各パワーコンディショナPCS
PViはともに、抑制指標pr
PVが上記抑制指標限界pr
PVlmtのときに、個別出力電力P
PVioutが0となっている。すなわち、100%抑制している。さらに、抑制指標pr
PVが0のときに、個別出力電力P
PVioutが定格出力P
PVilmtとなっている。すなわち、最大限出力可能な電力が出力されている。そして、
図28(a)に示すように、抑制指標pr
PVが0から抑制指標限界pr
PVlmt(100)の間では、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutが線形的に変化している。なお、各パワーコンディショナPCS
PViは、その定格出力P
PVilmt以上の電力を出力できないため、抑制指標pr
PVが負の値であるときは一定値(定格出力P
PVilmt)となっている。
【0203】
同様に、各パワーコンディショナPCS
Bkの有効電力に関する重みw
Bkとして、下記(38)式で算出される値を用いる。下記(38)式において、pr
Blmtは、充放電指標限界を示している。当該充放電指標限界pr
Blmtは、最大限出力可能な電力で蓄電池B
kを充放電するときの充放電指標、すなわち、個別出力電力P
Bkoutが定格出力P
Bklmtの100%で充放電するときの充放電指標である。また、w
SOCkは、上記蓄電池B
kのSOCに応じた重みを示しており、P
Bkmaxは、蓄電池B
kにおける各種制約を考慮したときに最大限出力可能な電力(以下、「制約最大出力」という。)を示している。当該制約最大出力P
Bkmaxは、上記蓄電池B
kの充電定格出力P
SMklmt、上記蓄電池B
kの放電定格出力P
SPklmtおよびパワーコンディショナPCS
Bkの定格出力P
Bklmtに基づいて設定される。具体的には、充電定格出力P
SMklmtの正負の符号を反転させた値と放電定格出力P
SPklmtの値とを比較し、いずれか大きい方の値を求める。そして、この大きい方の値と、定格出力P
Bklmtの値とを比較し、いずれか小さい方の値を制約最大出力P
Bkmaxとして設定する。
w
Bk=pr
Blmt/(2×w
SOCk×P
Bkmax)・・・(38)
【0204】
図28(b)は、上記(38)式を用いて有効電力に関する重みw
Bkを設定したときの、充放電指標pr
Bと個別出力電力P
Bkoutとの関係を示している。
図28(b)において、実線は定格出力P
Bklmtが500kWのパワーコンディショナPCS
Bkのときを、破線は定格出力P
Bklmtが250kWのパワーコンディショナPCS
Bkのときを、一点鎖線は定格出力P
Bklmtが100kWのパワーコンディショナPCS
Bkのときをそれぞれ示している。また、上記(38)式における上記充放電指標限界pr
Blmtを100とした。
【0205】
図28(b)が示すように、充放電指標pr
Bが−100(充放電指標限界pr
Blmtを負の値にしたもの)から100(充放電指標限界pr
Blmt)の間で20上昇する毎に、定格出力P
Bklmtが500kWの場合100kW、定格出力P
Bklmtが250kWの場合50kW、定格出力P
Bklmtが100kWの場合20kWずつ低下している。これは、各パワーコンディショナPCS
Bkの定格出力P
Bklmtの20%ずつ低下していることになる。すなわち、各パワーコンディショナPCS
Bkの定格出力P
Bklmtに対する割合で個別出力電力P
Bkoutを制御している。したがって、同じ充放電指標pr
Bの変化量であっても、パワーコンディショナPCS
Bkの定格出力P
Bklmtに応じて、蓄電池B
kの充放電量が変化している。また、各パワーコンディショナPCS
Bkはともに、充放電指標pr
Bが充放電指標限界pr
Blmtを負の値にしたもの(−pr
Blmt)であるときに、定格出力P
Bklmtと同じ値の個別出力電力P
Bkoutで蓄電池B
kを放電する。一方、充放電指標pr
Bが充放電指標限界pr
Blmtであるときに、定格出力P
Bklmtと同じ値の個別出力電力P
Bkoutで蓄電池B
kを充電している。すなわち、最大限出力可能な電力で蓄電池B
kを充放電している。さらに、充放電指標pr
Bが0のときに、個別出力電力P
Bkoutが0になっている。そして、
図28(b)に示すように、個別出力電力P
Bkoutが線形的に変化している。
【0206】
本実施形態において、解列回避値は、上記抑制指標限界pr
PVlmtおよび上記充放電指標限界pr
Blmtに基づいて設定されている。具体的には、抑制指標限界pr
PVlmtおよび充放電指標限界pr
Blmtを同じ値Xにし、そして、解列回避値としてこの値Xを設定する。例えば、抑制指標限界pr
PVlmtおよび充放電指標限界pr
Blmtをともに100に設定したとき、解列回避値も100に設定する。これにより、補助用継電器52が動作し、接点信号が送信されると、各パワーコンディショナPCS
PViの出力を100%抑制し、また、各パワーコンディショナPCS
Bkがその定格出力P
Bklmtの100%で蓄電池B
kを充電することができる(
図28参照)。すなわち、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを最大限低下させて、連系点電力P(t)を低下させることができる。
【0207】
このように構成された太陽光発電システムPVS9において、連系点電力P(t)が逆潮流しないように、上記第5実施形態と同様に、連系点電力P(t)を逆潮流回避目標値P
RPRに制御する。このときに、連系点電力P(t)が急激に上昇して、連系点電力P(t)が0以上となった場合、補助用継電器52は、逆潮流を検出する。そして、接点信号を各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkおよび集中管理装置MC9のそれぞれに送信する。各パワーコンディショナPCS
PViは、接点信号を受信すると、所定時間(例えば60[s])の間、解列回避値を抑制指標pr
PVとして個別目標電力P
PVirefを算出する。同様に、各パワーコンディショナPCS
Bkは、接点信号を受信すると、所定時間(例えば60[s])の間、解列回避値を充放電指標pr
Bとして個別目標電力P
Bkrefを算出する。また、集中管理装置MC9は、接点信号を受信すると、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出を停止し、解列回避値を抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとして、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkに送信する。これにより、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutおよび各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutがともに低下する。したがって、連系点電力P(t)が低下し、逆潮流を解消することができる。
【0208】
なお、本実施形態においては、各パワーコンディショナPCS
Bkは、接点信号を受信して、解列回避値を充放電指標pr
Bとする場合を例に説明したが、これに限定されない。具体的には、補助用継電器52は、各パワーコンディショナPCS
Bkに、接点信号を送信せず、各パワーコンディショナPCS
Bkは接点信号を受信しないようにしてもよい。この場合、各パワーコンディショナPCS
Bkは、常時、集中管理装置MC9から受信する充放電指標pr
Bを用いた個別目標電力P
Bkoutの算出を継続する。あるいは、各パワーコンディショナPCS
Bkは、接点信号を受信しても、充放電指標pr
Bとして解列回避値を用いずに、常時、集中管理装置MC9から受信する充放電指標pr
Bを用いた個別目標電力P
Bkoutの算出を継続するようにしてもよい。これらの場合であっても、集中管理装置MC9が接点信号を受信することで、解列回避値を充放電指標pr
Bとして送信するので、各パワーコンディショナPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutは低下する。
【0209】
図29は、解列回避制御を行わない場合と行った場合とにおけるシミュレーション結果を示している。すなわち、第5実施形態に係る太陽光発電システムPVS5と第9実施形態に係る太陽光発電システムPVS9とを想定してシミュレーションしたときの結果を示している。なお、当該シミュレーションにおいては、逆電力継電器51を備えておらず、逆潮流が発生しても解列されないものとしている。また、当該シミュレーションにおいては、補助用継電器52から各パワーコンディショナPCS
Bkには接点信号が送信されていないものとしている。すなわち、各パワーコンディショナPCS
Bkは、接点信号を受信せず、常時、集中管理装置MC9から受信する充放電指標pr
Bに基づいて個別目標電力P
Bkrefを算出しているものとしている。
図29(a)は、解列回避制御を行わない場合を示している。
図29(b)は、解列回避制御を行った場合を示している。
図29(c)は、
図29(b)における一部を拡大したものである。
図29(a)と
図29(b)において、日射量の変動は同じである。
【0210】
解列回避制御を行わない場合(太陽光発電システムPVS5の場合)、
図29(a)に示すように、日射変動が激しい期間T1において、逆潮流回避制御が追い付かず、連系点電力P(t)が0kWを超えていることが分かる。このとき、逆潮流が発生しているので、本来なら、逆電力継電器51が逆潮流を検出して、電力系統Aから解列してしまう。一方、解列回避制御を行った場合(太陽光発電システムPVS9の場合)、
図29(b)および
図29(c)に示すように、期間T1において、連系点電力P(t)が0kWを超えていないことが分かる。これは、太陽光発電システムPVS9は、解列回避制御によって、連系点電力P(t)が0kWを超えないように制限していることを示している。したがって、逆電力継電器51によって、逆潮流は検出されず、電力系統Aから解列されない。また、各図において、期間T1以降においては、逆潮流回避制御により、連系点電力P(t)が逆潮流回避目標値P
RPRに一致していることが分かる。
【0211】
以上のことから、本実施形態に係る太陽光発電システムPVS9によれば、逆潮流が発生しても、逆電力継電器51が逆潮流を検出する前に、補助用継電器52が検出して動作することで、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutおよび各パワーコンディショナのPCS
Bkの個別出力電力P
Bkoutをともに低下させることができる。これにより、連系点電力P(t)が低下して、逆潮流を解消することができる。したがって、逆電力継電器51によって太陽光発電システムPVS9が電力系統Aから解列されることを回避することができる。また、逆潮流回避制御において、逆潮流回避目標値P
RPRを極力0に近い値にすることができるため、買電電力を小さくすることができる。
【0212】
上記第9実施形態においては、補助用継電器52を備える場合を説明したが、集中管理装置MC9の処理時間が逆電力継電器51の逆潮流検出時間より短い場合には、補助用継電器52を備えなくてもよい。この場合、補助用継電器52を備える代わりに、集中管理装置MC9において、次の処理を行う。すなわち、指標算出部23”は、連系点電力検出部22から入力される連系点電力P(t)が閾値を超えた場合に、解列回避値を抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとする。なお、この閾値は、補助用継電器52に設定された逆潮流を検出するための閾値と同じにすればよい。そして、抑制指標pr
PV(充放電指標pr
B)として解列回避値が各パワーコンディショナPCS
PVi(PCS
Bk)に送信され、各パワーコンディショナPCS
PVi(PCS
Bk)が受信した抑制指標pr
PV(充放電指標pr
B)(解列回避値)を用いて個別目標電力P
PViref(P
Bkref)の算出処理を行うことで、連系点電力P(t)を低下させることができる。これにより、逆電力継電器51によって逆潮流が検出される前に逆潮流を解消することができる。したがって、逆電力継電器51による解列を回避することができる。なお、集中管理装置MC9の処理時間は、連系点電力P(t)の検出時間(検出間隔)、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの算出時間、および、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bの送信時間(送信間隔)などに依存する。よって、これらを短くすることで、集中管理装置MC9の処理時間を短くすることができる。
【0213】
上記第9実施形態においては、補助用継電器52は、接点信号を各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkおよび集中管理装置MC9のそれぞれに送信する場合を説明したが、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkだけに送信するようにしてもよい。すなわち、集中管理装置MC9には送信しなくてもよい。この場合、指標算出部23”は、連系点電力P(t)と逆潮流回避目標値P
RPRとに基づいて、抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを算出し続けるが、各パワーコンディショナPCS
PVi(PCS
Bk)は、受信した接点信号に基づいて、集中管理装置MC9から受信した抑制指標pr
PV(充放電指標pr
B)ではなく、解列回避値を用いて最適化問題を解く。これにより、連系点電力P(t)が低下する。したがって、接点信号を集中管理装置MC9に送信しなくても、連系点電力P(t)を低下させることができる。また、反対に集中管理装置MC9にだけ送信し、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkには送信しないようにしてもよい。この場合、指標算出部23”は、受信した接点信号に基づいて、解列回避値を抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bとする。そして、抑制指標pr
PV(充放電指標pr
B)として解列回避値が各パワーコンディショナPCS
PVi(PCS
Bk)に送信され、各パワーコンディショナPCS
PVi(PCS
Bk)が受信した抑制指標pr
PV(充放電指標pr
B)(解列回避値)を用いて個別目標電力P
PViref(P
Bkref)の算出処理を行うことで、連系点電力P(t)を低下させることができる。したがって、接点信号を各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkに送信しなくても、連系点電力P(t)を低下させることができる。ただし、集中管理装置MC9にだけ送信する場合には、上記と同様に集中管理装置MC9の処理時間が逆電力継電器51の逆潮流検出時間よりも短い必要がある。以上のことから、これらの場合であっても、逆電力継電器51によって逆潮流が検出される前に逆潮流を解消することができるので、上記解列を回避することができる。
【0214】
上記第9実施形態においては、解列回避値を上記抑制指標限界pr
PVlmtおよび上記充放電指標限界pr
Blmtに基づいて設定されている場合を説明したが、連系点電力P(t)を低下させる値であれば、これに限定されない。例えば、解列回避制御において、各パワーコンディショナPCS
Bkは、電力系統A側に電力を出力しなければよい。すなわち、個別出力電力P
Bkoutを0以下の値にすればよいため、各パワーコンディショナPCS
Bkに対する解列回避値は0以上の値であればよい。また、予め設定されているのではなく、そのときの状況から求めるようにしてもよい。例えば、現在の個別出力電力P
PViout,P
Bkoutを所定量(例えば50%など)低下させる抑制指標pr
PVおよび充放電指標pr
Bを求め、これを解列回避値として用いてもよい。
【0215】
上記第9実施形態においては、逆潮流回避制御によって連系点電力P(t)を逆潮流回避目標値P
RPRに制御しているときに、逆潮流が発生する場合を説明したが、これに限定されない。すなわち、連系点電力P(t)(あるいはシステム総出力P
total(t))の目標電力が逆潮流回避目標値P
RPR以外であるときにも、逆潮流が発生する可能性がある。例えば、上記第4実施形態に示したピークカット制御において、連系点電力P(t)をピークカット目標値P
cutに制御しているときに、電力負荷Lが急激に低下すると、各パワーコンディショナPCS
PVi,PCS
Bkの個別出力電力P
PViout,P
Bkoutの合計値が電力負荷Lの消費電力を上回ってしまう場合がある。この場合、逆潮流が発生する。もし、太陽光発電システムPVS4において、逆潮流が禁止され、逆電力継電器51を備えている場合、逆電力継電器51によって解列される。したがって、ピークカット制御においても逆潮流が禁止されている場合、太陽光発電システムに補助用継電器52を追加して、ピークカット制御を行うとともに解列回避制御を行うようにしてもよい。なお、ピークカット制御中は、抑制指標pr
PVを「0」にして、太陽電池SP
iによって発電された電力をすべて出力しているため、解列回避制御からピークカット制御に戻るときに、抑制指標pr
PVが急激に変化する(例えば100から0に瞬時的に変化する)。この急激な抑制指標pr
PVの変化により、各パワーコンディショナPCS
PViの個別出力電力P
PVioutの制御が不安定になる可能性があるため、抑制指標pr
PVを解列回避値から徐々に(例えば5分程度かけて)「0」にするとよい。同様に、上記第8実施形態に示した太陽光発電システムPVS8においても、逆潮流が禁止されている場合、補助用継電器52を追加して、スケジュール制御を行うとともに解列回避制御を行うようにしてもよい。以上のことから、逆潮流が禁止されている太陽光発電システムにおいて、補助用継電器52を追加して解列回避制御を行うようにしてもよい。
【0216】
上記第9実施形態においては、補助用継電器52の逆潮流検出時間を逆電力継電器51の逆潮流検出時間より短くすることで、補助用継電器52が逆電力継電器51よりも早く逆潮流を検出する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、補助用継電器52の電気接点に設定される上記閾値(逆潮流の状態であると判断する閾値)を、逆電力継電器51が逆潮流の状態であると判断する閾値より小さくしてもよい。ただし、補助用継電器52の電気接点に設定される閾値は逆潮流回避目標値P
RPRより大きい値にしておく。この場合、連系点電力P(t)が逆電力継電器51の閾値より先に補助用継電器52の閾値を超えるので、補助用継電器52は逆電力継電器51よりも早く逆潮流を検出することができる。
【0217】
上記第9実施形態においては、蓄電装置(蓄電池B
kおよびパワーコンディショナPCS
Bk)を備えた場合を説明したが、これを備えていない太陽光発電システムであっても、解列回避制御を適用することができる。
【0218】
上記第1実施形態ないし第9実施形態においては、上記系統連系システムが太陽光発電システムである場合を例に説明したが、これに限られない。上記系統連系システムは、他の発電システムであってもよい。他の発電システムとしては、例えば、風力発電システムや燃料電池による発電システム、回転機形の発電機による発電システム、ネガワット取引を行うアグリゲータによる、需要家の負荷を管理する仮想的な発電システムなどが考えられる。なお、アグリゲータは、ネガワット取引により、節約できた電力を発電した電力とみなしているので、実際に発電を行っているのではない。これらの発電システムの場合でも、集中管理装置は、連系点電力を検出するか個別出力電力の総和を算出して調整対象電力とし、指標を算出して各電力装置に送信する。そして、各発電システムの電力装置は、受信した指標を用いた最適化問題に基づいて、自装置の個別目標電力を算出し、当該個別目標電力となるように個別出力電力を制御する。太陽光発電システム、風力発電システムや燃料電池による発電システムの場合、電力装置は、パワーコンディショナである。また、回転機形の発電機による発電システムの場合、電力装置は、発電機およびこれを制御する制御装置である。また、アグリゲータによる発電システムの場合、電力装置は、需要家の負荷およびこれを制御する制御装置である。なお、アグリゲータによる発電システムにおいては、節約できた電力を発電した電力とみなしているので、需要家の負荷の通常の消費電力から削減した電力が個別出力電力になる。また、上記系統連系システムは、上記した発電システムを併用したものとしてもよい。例えば、太陽光発電システムに回転機形の発電機を追加して、集中管理装置が太陽光発電システムの各パワーコンディショナおよび発電機の制御装置に指標を送信して全体の出力を制御する構成としてもよい。
【0219】
本開示に係る電力システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載の内容を逸脱しなければ、各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。