(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-161043(P2018-161043A)
(43)【公開日】2018年10月11日
(54)【発明の名称】インバータシステム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20180914BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/48 E
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-30712(P2018-30712)
(22)【出願日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0035038
(32)【優先日】2017年3月21日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョチン
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA02
5H770AA05
5H770BA01
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA19
5H770LA02Z
(57)【要約】
【課題】スイッチング素子のスイッチング損失を低減し、出力電流のリプルを低減するインバータシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、三相交流電圧を直流電圧に変換する整流部と、直流電圧を直流リンク電圧に平滑する直流リンクコンデンサと、直流リンク電圧を交流電圧に変換し、交流電圧をモータに出力するインバータ部と、インバータ部の動作を制御する制御部とを含み、制御部は、インバータ部の動作中過負荷が印加されると、インバータ部が設定されたゼロベクトル状態に転換されるように制御する、インバータシステムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流電圧を直流電圧に変換する整流部と、
前記直流電圧を直流リンク電圧に平滑する直流リンクコンデンサと、
前記直流リンク電圧を交流電圧に変換し、前記交流電圧をモータに出力するインバータ部と、
前記インバータ部の動作を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記インバータ部の動作中過負荷が印加されると、前記インバータ部が設定されたゼロベクトル状態に転換されるように制御する、インバータシステム。
【請求項2】
前記インバータ部は、上位スイッチ及び前記上位スイッチと並列連結された下位スイッチをそれぞれ含む3つのレッグを含み、
前記制御部は、前記過負荷印加時、前記3つのレッグに対応するベクトルに応じてゼロベクトルを選択し、前記ゼロベクトルに基づいて、前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチ及び前記下位スイッチを前記ゼロベクトル状態に転換されるように制御する、請求項1に記載のインバータシステム。
【請求項3】
前記ゼロベクトルは、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチのスイッチング状態においてスイッチング転換回数が最も少ないベクトルである、請求項2に記載のインバータシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチが前記ゼロベクトル状態であり、前記過負荷が解除されると、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチが前記ゼロベクトル状態から正常状態に転換されるように制御する、請求項2に記載のインバータシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,1,1]、[1,0,1]または[1,1,0]である場合、前記ゼロベクトルを[1,1,1]に選択し、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチのみがオンとなる前記ゼロベクトル状態に転換されるように制御する、請求項2に記載のインバータシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,0,1]、[0,1,0]または[1,0,0]である場合、前記ゼロベクトルを[0,0,0]に選択し、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチ及び前記下位スイッチがオフとなる前記ゼロベクトル状態に転換されるように制御する、請求項2に記載のインバータシステム。
【請求項7】
インバータ部の動作中過負荷が印加されると、前記インバータ部の状態に応じて設定されたゼロベクトルを選択するステップと、
前記ゼロベクトルに応じて前記インバータ部をゼロベクトル状態に転換するステップと、
前記過負荷の印加が解除されると、前記インバータ部を前記ゼロベクトル状態から正常状態に転換するステップと、
を含む、インバータシステムの制御方法。
【請求項8】
前記インバータ部は、入力された直流リンク電圧を交流電圧に変換して出力する上位スイッチ及び前記上位スイッチと並列連結された下位スイッチをそれぞれ含む3つのレッグを含み、
前記ゼロベクトルを選択するステップは、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチのスイッチング状態においてスイッチング転換回数が最も少ない前記ゼロベクトルを選択する、請求項7に記載のインバータシステムの制御方法。
【請求項9】
前記ゼロベクトルを選択するステップは、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,1,1]、[1,0,1]または[1,1,0]である場合、前記ゼロベクトルを[1,1,1]に選択する、請求項8に記載のインバータシステムの制御方法。
【請求項10】
前記ゼロベクトル状態に転換するステップは、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチのみがオンとなる前記ゼロベクトル状態に転換する、請求項9に記載のインバータシステムの制御方法。
【請求項11】
前記ゼロベクトルを選択するステップは、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,0,1]、[0,1,0]または[1,0,0]である場合、前記ゼロベクトルを[0,0,0]に選択する、請求項8に記載のインバータシステムの制御方法。
【請求項12】
前記ゼロベクトル状態に転換するステップは、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチ及び前記下位スイッチがオフとなる前記ゼロベクトル状態に転換する、請求項11に記載のインバータシステムの制御方法。
【請求項13】
前記過負荷の印加が解除されないと、前記ゼロベクトル状態を維持するステップをさらに含む、請求項7に記載のインバータシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータシステム及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インバータは、商用交流電源を入力にして直流電源に変換してから、これを電動機に適合した交流電源に再変換して電動機に供給する電力変換装置である。このようなインバータは、電動機を効率的に制御することで、電動機の消耗電力を減らしエネルギー効率を上げる。
【0003】
従来のインバータシステムでは、インバータに過負荷が印加されてインバータが過電流を出力することになると、インバータの制御部はインバータのスイッチング素子の出力ゲートを全て遮断することになる。
【0004】
このとき、インバータのスイッチング素子のスイッチング変換が発生するが、オン状態にあるスイッチング素子の個数が多いほどスイッチング変換時に発生するスイッチング損失が大きくなる問題点がある。
【0005】
また、スイッチング素子を全てオフさせる場合、インバータの出力電流のリプルが大きくなる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、インバータ部に過負荷印加時、インバータ部に含まれたスイッチング素子のスイッチング損失を低減し、出力電流のリプルを低減するインバータシステム及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインバータシステムは、三相交流電圧を直流電圧に変換する整流部と、前記直流電圧を直流リンク電圧に平滑する直流リンクコンデンサと、前記直流リンク電圧を交流電圧に変換し、前記交流電圧をモータに出力するインバータ部と前記インバータ部の動作を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記インバータ部の動作中過負荷が印加されると、前記インバータ部が設定されたゼロベクトル状態に転換されるように制御することができる。
【0008】
前記インバータ部は、上位スイッチ及び前記上位スイッチと並列連結された下位スイッチをそれぞれ含む3つのレッグを含み、前記制御部は、前記過負荷印加時、前記3つのレッグに対応するベクトルに応じてゼロベクトルを選択し、前記ゼロベクトルに基づいて、前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチ及び前記下位スイッチを前記ゼロベクトル状態に転換されるように制御することができる。
【0009】
前記ゼロベクトルは、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチのスイッチング状態においてスイッチング転換回数が最も少ないベクトルである。
【0010】
前記制御部は、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチが前記ゼロベクトル状態であり、前記過負荷が解除されると、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチが前記ゼロベクトル状態から正常状態に転換されるように制御することができる。
【0011】
前記制御部は、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,1,1]、[1,0,1]または[1,1,0]である場合、前記ゼロベクトルを[1,1,1]に選択し、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチのみがオンとなる前記ゼロベクトル状態に転換されるように制御することができる。
【0012】
前記制御部は、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,0,1]、[0,1,0]または[1,0,0]である場合、前記ゼロベクトルを[0,0,0]に選択し、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチ及び前記下位スイッチがオフとなる前記ゼロベクトル状態に転換されるように制御することができる。
【0013】
本発明のインバータシステムの制御方法は、インバータ部の動作中過負荷が印加されると、前記インバータ部の状態に応じて設定されたゼロベクトルを選択するステップと、前記ゼロベクトルに応じて前記インバータ部をゼロベクトル状態に転換するステップと、前記過負荷の印加が解除されると、前記インバータ部を前記ゼロベクトル状態から正常状態に転換するステップとを含むことができる。
【0014】
前記インバータ部は、入力された直流リンク電圧を交流電圧に変換して出力する上位スイッチ及び前記上位スイッチと並列連結された下位スイッチをそれぞれ含む3つのレッグを含み、前記ゼロベクトルを選択するステップは、前記上位スイッチ及び前記下位スイッチのスイッチング状態においてスイッチング転換回数が最も少ない前記ゼロベクトルを選択することができる。
【0015】
前記ゼロベクトルを選択するステップは、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,1,1]、[1,0,1]または[1,1,0]である場合、前記ゼロベクトルを[1,1,1]に選択することができる。
【0016】
前記ゼロベクトル状態に転換するステップは、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチのみがオンとなる前記ゼロベクトル状態に転換することができる。
【0017】
前記ゼロベクトルを選択するステップは、前記3つのレッグに対応するベクトルが[0,0,1]、[0,1,0]または[1,0,0]である場合、前記ゼロベクトルを[0,0,0]に選択することができる。
【0018】
前記ゼロベクトル状態に転換するステップは、前記ゼロベクトルに応じて前記3つのレッグのそれぞれに含まれた前記上位スイッチ及び前記下位スイッチがオフとなる前記ゼロベクトル状態に転換することができる。
【0019】
本発明のインバータシステムの制御方法は、前記過負荷の印加が解除されないと、前記ゼロベクトル状態を維持するステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のインバータシステム及びその制御方法は、インバータ部に過負荷印加時、インバータ部に含まれた上位スイッチ及び下位スイッチのスイッチング状態においてスイッチング転換回数が最も少ないゼロベクトルを選択し、ゼロベクトルに応じて上位スイッチ及び下位スイッチがゼロベクトル状態に転換されるように制御することで、上位スイッチ及び下位スイッチのスイッチング転換による損失及び電流リプルを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のインバータシステムの概略的な構成図である。
【
図2】
図1に示された制御部のベクトル制御方式を説明するための一例示図である。
【
図3】本発明のインバータシステムの制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の構成及び効果を十分に理解できるように、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。なお、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、他の多様な形態で具現または多様な変更を加えることができる。ただし、本実施例に対する説明は、本発明の開示が完全となるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に発明の範疇を分かりやすいように提供されるものである。添付された図面において、構成要素は説明の便宜を図りその大きさを実際より拡大図示したものであり、各構成要素の比率は、誇張または縮小されることがある。
【0023】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例によって本発明を詳しく説明する。
【0024】
図1は、本発明のインバータシステムの概略的な構成図である。
【0025】
図1を参照すると、インバータ1は、整流部10、直流リンクコンデンサ20、インバータ部30及び制御部40を含むことができる。
【0026】
整流部10は、入力された三相交流電圧を直流電圧に変換することができる。
【0027】
実施例で、整流部10は、複数のダイオードを含み、複数のスイッチ素子が適用されるが、これに限定されるものではない。
【0028】
直流リンクコンデンサ20は、整流部10で整流された直流電圧を平滑した直流リンク電圧をインバータ部30に出力することができる。
【0029】
インバータ部30は、直流リンクコンデンサ20から出力された直流リンク電圧を所定の大きさ及び周波数の交流電圧に変換して電動機2に出力することができる。
【0030】
インバータ部30は、交流電圧を出力する3つのレッグを含み、3つのレッグのそれぞれは、上位スイッチ30a及び上位スイッチ30aと並列連結された下位スイッチ30bを含むことができる。
【0031】
即ち、3つのレッグのそれぞれは、U相、V相及びW相に対する交流電圧を電動機2に出力することができる。
【0032】
制御部40は、インバータ部30を可変電圧可変周波数(Variable Voltage Variable Frequency;VVVF)方式またはベクトル制御方式で制御することができる。
【0033】
実施例で、制御部40は、ベクトル制御方式でインバータ部30に含まれた3つのレッグのそれぞれの上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bをオンまたはオフとなるように制御することができる。このようなベクトル制御方式において、制御部40は、インバータ部30の上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bのスイッチ状態を、後述する
図2に示したベクトル図によって制御することができる。
【0034】
図2は、
図1に示した制御部のベクトル制御方式を説明するための一例示図である。
【0035】
図2は、制御部40のベクトル制御方式を説明するためのベクトル図である。
【0036】
図2を参照すると、制御部40は、基準電圧がAであり、正常状態である場合、インバータ部30のU相、V相及びW相のそれぞれに該当する交流電圧を出力する3つのレッグのそれぞれに対応するベクトルを[1,1,0]に維持されるように制御信号を出力することができる。
【0037】
即ち、ベクトルが[1,1,0]である場合、制御部40は、3つのレッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bに対するオンまたはオフ状態を制御する制御信号を、上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bに出力することができる。
【0038】
ここで、制御部40は、ベクトルが[1,1,0]である場合、「1」に該当する3つのレッグのうちU相及びV相交流電圧を出力する2つのレッグに含まれた上位スイッチ30aをオン状態及び下位スイッチ30bをオフ状態に維持されるように制御することができる。
【0039】
また、制御部40は、「0」に該当する3つのレッグのうちW相交流電圧を出力する1つのレッグに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bがオフ状態に維持されるように制御することができる。
【0040】
制御部40は、インバータ部30が正常状態での動作中過負荷が印加されると、
図2に示されたベクトル図において、現在の3つのレッグのそれぞれに対応するベクトルを確認し、3つのレッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bのスイッチング転換回数が最も少ないゼロベクトルを選択することができる。
【0041】
ゼロベクトルは、正常状態での上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bのスイッチング状態からゼロベクトル状態に転換されるようにするためのベクトルである。
【0042】
上述したように、制御部40は、正常状態での3つのレッグのそれぞれに対応するベクトルが[1,1,0]であるとき過負荷が印加されると、3つのレッグのそれぞれに対応するゼロベクトルを[1,1,1]に選択することができる。
【0043】
以後、制御部40は、ゼロベクトルが[1,1,1]である場合、3つのレッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30aのみがオンとなるゼロベクトル状態に転換されるように制御することができる。
【0044】
図3は、本発明のインバータシステムの制御方法を説明するためのフローチャートとして、
図1のインバータシステムにおいて制御部40がインバータ部30を制御することを示すものである。
【0045】
図3を参照すると、制御部40は、インバータ1の運転のために、インバータ部30をベクトル制御方式によって動作するように制御信号を出力することができる(S31)。
【0046】
以後、制御部40は、インバータ部40に過負荷が印加されると(S32)、インバータ部40の状態に応じて設定されたゼロベクトルを選択することができる(S33)。
【0047】
即ち、制御部40は、インバータ部40に過負荷が印加されると、インバータ部30に含まれた三相レッグのそれぞれに対応するベクトルに応じて設定されたゼロベクトルを選択することができる。
【0048】
例えば、制御部40は、三相レッグのそれぞれに対応するベクトルが[0,1,1]、[1,0,1]または[1,1,0]である場合、三相レッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bのスイッチング転換回数が最も少ないゼロベクトルを[1,1,1]に選択することができる。
【0049】
また、制御部40は、3つのレッグに対応するベクトルが[0,0,1]、[0,1,0]または[1,0,0]である場合、三相レッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bのスイッチング転換回数が最も少ないゼロベクトルを[0,0,0]に選択することができる。
【0050】
即ち、インバータ部30のスイッチング素子のスイッチング動作中、例えばV相電流が過負荷動作電流に到達した場合、制御部40は、スイッチング素子のスイッチング状態を確認し、[0,1,0]状態である場合、[1,1,1]ゼロベクトルの方がスイッチング状態の変化がより少ないと決定し、スイッチング素子のスイッチング状態をゼロベクトルに該当する[1,1,1]となるように制御することができる。
【0051】
これによれば、従来のスイッチング素子をモードオフ状態である[0,0,0]に状態を転換していたことに比べて50%のスイッチング損失を減らすことができ、過負荷状態が維持された後解除される場合、スイッチング損失の低減によって電流のリプルを減らすことができる。
【0052】
ここで、ゼロベクトル[0,0,0]及び[1,1,1]は、
図2の原点Bに該当するベクトルとして、実際同一に出力が発生しない状態である。
【0053】
制御部40は、ゼロベクトルに応じて3つのレッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bのスイッチング状態をゼロベクトル状態に転換することができる(S34)。
【0054】
即ち、制御部40は、ゼロベクトルが[1,1,1]に選択すると、3つのレッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bのうち上位スイッチ30aのみがオンとなるゼロベクトル状態に転換されるように制御することができる。
【0055】
即ち、制御部40は、ゼロベクトルが[1,1,1]に選択すると、正常状態において3つのレッグのうちベクトルが「0」に該当するレッグに含まれた上位スイッチ30aのみがオフからオンに転換されるようにすることで、ゼロベクトル状態に転換することができ、スイッチング転換回数が1回へと減るように制御することができる。
【0056】
また、制御部40は、ゼロベクトルが[0,0,0]に選択すると、3つのレッグのそれぞれに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bを全てオフとなるゼロベクトル状態に転換されるように制御することができる。
【0057】
即ち、制御部40は、ゼロベクトルが[0,0,0]に選択すると、正常状態において3つのレッグのうちベクトルが「1」に該当するレッグに含まれた上位スイッチ30aのみがオンからオフに転換されるようにすることで、ゼロベクトル状態に転換することができ、スイッチング転換回数が1回へと減るように制御することができる。
【0058】
以後、制御部40は、インバータ部30に過負荷の印加の有無を判断し(S35)、過負荷の印加が解除されると、3つのレッグに含まれた上位スイッチ30a及び下位スイッチ30bがゼロベクトル状態から正常状態に転換されるように制御することができる(S36)。
【0059】
(S35)ステップの判断の結果、制御部40は、インバータ部30に過負荷の印加が解除されないと、ゼロベクトル状態が維持されるように制御することができる(S37)
本発明の一実施例の制御方法によれば、インバータの過負荷状態によって過電流が出力される場合、該スイッチング状態で最も変化が少ないゼロベクトルを選定し、該ゼロベクトルでインバータ部30のスイッチング素子をオンまたはオフすることで、スイッチング損失を減らし、電流リプルを減らすことができる。
【0060】
以上、本発明の実施例を説明したが、これは例示に過ぎず、本発明の技術分野で通常の知識を有した者であれば、これから多様な変形及び均等範囲の実施例が可能であることを理解できるだろう。よって、本発明の技術的保護範囲は、添付される特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0061】
1:インバータ、2:電動機、10:整流部、20:直流リンクコンデンサ、30:インバータ部、40:制御部。