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特開2018-161671ヘリカルギヤの成形金型及びヘリカルギヤの成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-161671(P2018-161671A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】ヘリカルギヤの成形金型及びヘリカルギヤの成形装置
(51)【国際特許分類】
   B21K 1/30 20060101AFI20180921BHJP
   B21J 13/03 20060101ALI20180921BHJP
   B21J 13/02 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
   B21K1/30 D
   B21J13/03
   B21J13/02 Z
   B21J13/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-60805(P2017-60805)
(22)【出願日】2017年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000238360
【氏名又は名称】武蔵精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】澤田 雅民
(72)【発明者】
【氏名】吉村 光彦
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087AA08
4E087CA15
4E087EC43
4E087EC50
4E087ED22
4E087HA04
(57)【要約】
【課題】セグメントダイスの傾きを防止し、歯形の精度を高めることができるヘリカルギヤの成形金型及び成形装置を提供する。
【解決手段】保持リング40におけるダイス保持面41の凹ガイド面42を凹斜面とし、セグメントダイス30における被保持面32の凸ガイド面33を凸斜面としたので、凹斜面と凸斜面とが互いに係合することでセグメントダイス30がガイドされる。
【効果】保持リング40のダイス保持面41とセグメントダイス30の被保持面32との間にガタつきが生じず、ヘリカルギヤ成形時に歯形のねじれ角に基づく反力がセグメントダイス30に作用しても、セグメントダイス30が傾くことが無いため、結果、歯形の精度を高めることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯成形部を有する複数のセグメントダイスと、それら複数のセグメントダイスを円周状に保持するダイス保持面を有する保持リングとを備え、前記ダイス保持面を円錐状テーパ面としたヘリカルギヤの成形金型であって、
前記ダイス保持面と該ダイス保持面に保持される前記セグメントダイスの被保持面とのいずれか一方に、前記ダイス保持面の母線に沿って延びる凹ガイド面を設け、
前記ダイス保持面と前記被保持面とのいずれか他方に、前記凹ガイド面に係合する凸ガイド面を設け、
前記ダイス保持面の母線に垂直な断面において、前記凹ガイド面を凹斜面又は凹曲面とし、前記凸ガイド面を凸斜面又は凸曲面としたことを特徴とするヘリカルギヤの成形金型。
【請求項2】
請求項1記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記凹ガイド面及び凸ガイド面をV字断面としたことを特徴とするヘリカルギヤの成形金型。
【請求項3】
請求項2記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記被保持面の全面を前記凹ガイド面又は凸ガイド面とし、
これに係合する前記凸ガイド面又は凹ガイド面を円周状に並べて前記ダイス保持面を構成したことを特徴とするヘリカルギヤの成形金型。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記凹ガイド面のテーパ角及び前記凸ガイド面のテーパ角を鈍角としたことを特徴とするヘリカルギヤの成形金型。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記凹ガイド面又は凸ガイド面が正面に向くように前記セグメントダイスを正投影視した場合に、前記凹ガイド面の谷線又は前記凸ガイド面の稜線を前記歯成形部の歯すじ方向中央で前記歯成形部と交叉するようにしたことを特徴とするヘリカルギヤの成形金型。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の前記ヘリカルギヤの成形金型を備えたヘリカルギヤの成形装置であって、
前記被保持面が前記ダイス保持面に当接するように、前記セグメントダイスを付勢する付勢部材を備えていることを特徴とするヘリカルギヤの成形装置。
【請求項7】
請求項6記載のヘリカルギヤの成形装置において、
前記付勢部材を隣り合うセグメントダイスの間に配置したことを特徴とするヘリカルギヤの成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリカルギヤを成形する成形金型及び成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリカルギヤを成形する手法の一つに、鍛造成形がある(例えば、特許文献1(図6図8)参照)。
【0003】
特許文献1に示される技術では、分割された複数のスライドコア(セグメントダイス)を環状(円周状)の案内筒で保持し、案内筒の円錐状テーパ面に沿ってスライドコアを摺動させることで歯形を成形する。
また、スライドコアは背面に被案内突起を一体的に備えており、この被案内突起を案内筒の案内溝に係合させることで、スライドコアの摺動をガイドするようにしている。
【0004】
このような構造において、スライドコアが円滑に摺動するためには、案内溝と被案内突起との間にクリアランス(隙間)が必要となる。クリアランスが不足すると、スライドコアの動きが悪くなり、最悪の場合はスライドコアが摺動不能になる。
一方、クリアランスが大きすぎると、ヘリカルギヤ成形時に歯形のねじれ角に基づく反力がスライドコアに作用することにより、クリアランスの分だけスライドコアが傾き、歯形の精度を悪くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−110913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、セグメントダイスの傾きを防止し、歯形の精度を高めることができるヘリカルギヤの成形金型及び成形装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、歯成形部を有する複数のセグメントダイスと、それら複数のセグメントダイスを円周状に保持するダイス保持面を有する保持リングとを備え、前記ダイス保持面を円錐状テーパ面としたヘリカルギヤの成形金型であって、
前記ダイス保持面と該ダイス保持面に保持される前記セグメントダイスの被保持面とのいずれか一方に、前記ダイス保持面の母線に沿って延びる凹ガイド面を設け、
前記ダイス保持面と前記被保持面とのいずれか他方に、前記凹ガイド面に係合する凸ガイド面を設け、
前記ダイス保持面の母線に垂直な断面において、前記凹ガイド面を凹斜面又は凹曲面とし、前記凸ガイド面を凸斜面又は凸曲面としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記凹ガイド面及び凸ガイド面をV字断面としたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記被保持面の全面を前記凹ガイド面又は凸ガイド面とし、
これに係合する前記凸ガイド面又は凹ガイド面を円周状に並べて前記ダイス保持面を構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記凹ガイド面のテーパ角及び前記凸ガイド面のテーパ角を鈍角としたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項2〜4のいずれか1項記載のヘリカルギヤの成形金型において、
前記凹ガイド面又は凸ガイド面が正面に向くように前記セグメントダイスを正投影視した場合に、前記凹ガイド面の谷線又は前記凸ガイド面の稜線を前記歯成形部の歯すじ方向中央で前記歯成形部と交叉するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載の前記ヘリカルギヤの成形金型を備えたヘリカルギヤの成形装置であって、
前記被保持面が前記ダイス保持面に当接するように、前記セグメントダイスを付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項6記載のヘリカルギヤの成形装置において、
前記付勢部材を隣り合うセグメントダイスの間に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、ダイス保持面の母線に垂直な断面において、凹ガイド面を凹斜面又は凹曲面とし、凸ガイド面を凸斜面又は凸曲面としたので、凹斜面と凸斜面又は凹曲面と凸曲面とが互いに係合することでセグメントダイスがガイドされる。よって、保持リングのダイス保持面とセグメントダイスの被保持面との間にガタつきが生じず、ヘリカルギヤ成形時に歯形のねじれ角に基づく反力がセグメントダイスに作用しても、セグメントダイスが傾くことが無いため、結果、歯形の精度を高めることができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、凹ガイド面及び凸ガイド面をV字断面としたので、凸ガイド面による楔作用を利用して、セグメントダイスの傾きを確実に防止することができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、被保持面の全面を凹ガイド面又は凸ガイド面とし、これに係合する凸ガイド面又は凹ガイド面を円周状に並べてダイス保持面を構成したので、両ガイド面の面積を極力大きくとることができ、各ガイド面が受ける面圧を下げることができる。よって、凹ガイド面及び凸ガイド面の耐久性を向上させることができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、凹ガイド面のテーパ角及び凸ガイド面のテーパ角を鈍角としたので、凸ガイド面の過度の楔作用を抑え、セグメントダイスを保持リングに対してスムーズに摺動させることができる。
【0018】
請求項5に係る発明では、セグメントダイスにおける凹ガイド面の谷線又は凸ガイド面の稜線を歯成形部の歯すじ方向中央で歯成形部と交叉するようにしたので、ヘリカルギヤ成形時にセグメントダイスが歯成形部から受ける反力を、谷線又は稜線を境にガイド面へ左右均等に作用させることができる。結果、セグメントダイスの傾きを確実に防止することができると共に、セグメントダイスを保持リングに対してスムーズに摺動させることができる。
【0019】
請求項6に係る発明では、被保持面が保持リングのダイス保持面に当接するようにセグメントダイスを付勢する付勢部材を備えているので、凹ガイド面と凸ガイド面とを常に接触させ続けることができ、ヘリカルギヤ成形時の全工程において、上述した成形金型の機能を発揮させることができる。
【0020】
請求項7に係る発明では、付勢部材を隣り合うセグメントダイスの間に配置したので、デッドスペースを有効に利用し、成形装置の小型、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るヘリカルギヤの成形装置の断面図である。
図2図1の2−2線断面図である。
図3】セグメントダイスの正面図、側面図及び背面図である。
図4】保持リングの断面図である。
図5】セグメントダイスの変更例を示す図である。
図6】セグメントダイスの更なる変更例を示す図である。
図7】セグメントダイスの更なる変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0023】
図1に示すように、本発明に係るヘリカルギヤの成形装置10(以下、単に成形装置10と記す。)は、成形金型20を用いてヘリカルギヤ(はすば歯車)12を成形するための装置である。
成形金型20は、複数のセグメントダイス30、30と、それら複数のセグメントダイス30、30を摺動可能に保持する保持リング40とからなる。
【0024】
成形装置10は、保持リング40を固定するボルスター11と、セグメントダイス30を下方から支える昇降可能なダイプレート13と、このダイプレート13を上方へ付勢する圧縮ばね14と、ボルスター11及びダイプレート13を貫通するノックアウト15と、ヘリカルギヤ12を上方から抑えるインナーパンチ16と、セグメントダイス30を上方から押圧するアウターパンチ17とを備えている。
【0025】
以下、成形装置10の主要素の構造を詳しく説明する。
【0026】
図2図1の2−2線断面図である。
図2に示すように、セグメントダイス30は、円筒状のダイスを周方向に複数個(例えば、12個)に等分割してなるものであり、正面に歯成形部31を有し、背面に被保持面32を有している。被保持面32はV字断面の凸斜面とされ、保持リング40の凹ガイド面42に係合する凸ガイド面33を構成する。
【0027】
保持リング40は、複数のセグメントダイス30を円周状に保持するものであり、セグメントダイス30の被保持面32を保持するダイス保持面41を有している。ダイス保持面41はV字断面の凹斜面とされ、セグメントダイス30の凸ガイド面33に対応する凹ガイド面42を構成する。
【0028】
凸ガイド面33及び凹ガイド面42のテーパ角θは等しく、いずれも鈍角(90°を超え、180°未満の角度)となっている。なお、(内角+外角)=360°と定義した場合に、テーパ角θは内角に相当する。
【0029】
隣り合うセグメントダイス30の間には、付勢部材45が配置されている。付勢部材45の例としては圧縮コイルばねが挙げられる。
付勢部材45は、セグメントダイス30に対して、隣り合うセグメントダイス30を互いに引き離すように付勢する。この付勢により、付勢部材45を通る仮想円46の径が拡がり、この作用により、被保持面32がダイス保持面41に当接するようにセグメントダイス30が保持リング40側へ付勢される。
【0030】
図3(a)はセグメントダイス30の正面図であり、図3(b)はセグメントダイス30の側面図、図3(c)はセグメントダイス30の背面図である。
【0031】
図3(c)に示すように、セグメントダイス30の背面は段差の無い一様な面となっており、セグメントダイス30の背面全体が被保持面32とされている。その上で、凸ガイド面33が被保持面32の全面にわたって設けられている。このように、セグメントダイス30の背面全体を被保持面32とし、被保持面32の全面にわたって凸ガイド面33を設けることで、凸ガイド面33の面積を極力大きくとることができ、凸ガイド面33が受ける単位面積当たりの力(面圧)を下げることができる。
【0032】
図3(a)に示すように、歯成形部31は、ねじれ角分だけ鉛直軸36に対して傾斜している。そして、凸ガイド面33が正面に向くようにセグメントダイス30を正投影視した場合に、凸ガイド面33の稜線37は鉛直軸36と重なっており、この稜線37は、歯成形部31の歯すじ31aの高さ方向中央C(略中央を含む。)で歯成形部31と交叉している。
なお、図3(b)に示すように、セグメントダイス30の上部には、付勢部材(図2、符号45)を収納する凹部35が設けられている。
【0033】
図4(a)は保持リング40の断面図であり、図4(b)は図4(a)のb−b線断面図である。
【0034】
図4(a)に示すように、保持リング40の内周面には、下方へ向かうほど縮径する円錐状テーパ面が形成されており、この円錐状テーパ面がダイス保持面41となる。以降、ダイス保持面41に沿って上下方向へ延びる線43をダイス保持面41の母線43と呼ぶ。この母線43は、ダイス保持面41を正投影視した場合に、図3(a)の鉛直線36と重なる。
【0035】
図4(b)に示すように、ダイス保持面41は、凹ガイド面42を円周状に並べて構成される。
【0036】
以上の構成からなる成形装置10の作用を、図1に基づいて説明する。
図1にて、アウターパンチ17及びインナーパンチ16が上昇した状態では、圧縮ばね14の付勢作用によりダイプレート13が上昇し、このダイプレート13と共にセグメントダイス30、30が上昇する。セグメントダイス30、30は、保持リング40のダイス保持面41に沿って上昇すると共に、付勢部材45の付勢作用により保持リング40側へ付勢される。
【0037】
・この状態で、被成形品であるヘリカルギヤ12をダイプレート13上に載せ、上方からインナーパンチ16で抑える。
・この状態で、アウターパンチ17及びインナーパンチ16を下降させると、セグメントダイス30、30とヘリカルギヤ12とダイプレート13とが一緒に下降する。このときに、セグメントダイス30、30は保持リング40のダイス保持面41に沿って水平に前進し、ヘリカルギヤ12の歯形を成形する。
【0038】
・成形後、アウターパンチ17及びインナーパンチ16を上昇させると、圧縮ばね14の付勢作用によりダイプレート13が上昇し、このダイプレート13と共にセグメントダイス30、30が保持リング40のダイス保持面41に沿って上昇する。
このとき、セグメントダイス30、30がヘリカルギヤ12に食い付くが、付勢部材45の付勢作用によりヘリカルギヤ12から強制的に分離される。
・最後にノックアウト15を上昇させ、成形済みのヘリカルギヤ12を払い出す。
【0039】
次に変更例を説明する。なお、変更例において図2と共通する要素は、図2の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、凸ガイド面33及び凹ガイド面42は、円弧断面であってもよい。
【0040】
また、図6に示すように、凸ガイド面33及び凹ガイド面42は、台形断面であってもよい。
また、図7に示すように、セグメントダイス30の被保持面32側に凹ガイド面42を設け、保持リング40のダイス保持面41側に凸ガイド面33を設けてもよい。
【0041】
以上に述べたヘリカルギヤの成形金型20によれば、次に述べる効果が発揮される。
【0042】
保持リング40のダイス保持面41とセグメントダイス30の被保持面32とのいずれか一方に凹ガイド面42を設け、ダイス保持面41と被保持面32とのいずれか他方に凸ガイド面33を設けてなる成形金型20において、凹ガイド面42を凹斜面とし、凸ガイド面33を凸斜面としたので、凹斜面と凸斜面とが互いに係合することでセグメントダイス30がガイドされる。よって、ダイス保持面41と被保持面32との間にガタつきが生じず、ヘリカルギヤ成形時に歯形のねじれ角に基づく反力がセグメントダイス30に作用しても、セグメントダイス30が傾くことが無いため、結果、歯形の精度を高めることができる。
【0043】
また、被保持面32の全面を凸ガイド面33とし、これに係合する凹ガイド面42を円周状に並べてダイス保持面41を構成することで、両ガイド面33、42の面積を極力大きくとることができ、各ガイド面33、42が受ける面圧を下げることができる。よって、凹ガイド面42及び凸ガイド面33の耐久性を向上させることができる。
【0044】
凹ガイド面42及び凸ガイド面33は、断面V字、断面円弧状、断面台形状のいずれでも良いが、断面V字が好ましい。すなわち、凹ガイド面42及び凸ガイド面33はV字断面であることが推奨され、これにより、凸ガイド面33による楔作用を利用して、セグメントダイス30の傾きを確実に防止することができる。
【0045】
更に好ましくは、凹ガイド面42のテーパ角θ及び凸ガイド面33のテーパ角θを鈍角とすることが推奨される。鈍角であれば、凸ガイド面33の過度の楔作用が抑えられ、セグメントダイス30を保持リング40に対してスムーズに摺動させることができる。
【0046】
更に好ましくは、凸ガイド面33が正面に向くようにセグメントダイス30を正投影視した場合に、凸ガイド面33の稜線37を歯成形部31の歯すじ方向中央Cで歯成形部31と交叉するようにすることが推奨される。
これにより、ヘリカルギヤ成形時、セグメントダイス30が歯成形部31から受ける反力を、稜線37を境に凸ガイド面33へ左右均等に作用させることができる。結果、セグメントダイス30の傾きを確実に防止することができると共に、セグメントダイス30を保持リング40に対してスムーズに摺動させることができる。
【0047】
以上、成形金型20について述べたが、成形装置10にあっても、次に述べる効果が発揮される。
【0048】
ヘリカルギヤの成形金型20を備えた成形装置10において、セグメントダイス30の被保持面が保持リング40のダイス保持面41に当接するようにセグメントダイス30を付勢する付勢部材45を備えているので、凹ガイド面42と凸ガイド面33とを常に接触させ続けることができ、ヘリカルギヤ成形時の全工程において、上述した成形金型20の機能を発揮させることができる。
【0049】
成形装置10において、付勢部材45の配置形態は任意であるが、隣り合うセグメントダイス30、30の間に配置することが好ましい。これにより、デッドスペースを有効利用し、成形装置10の小型、軽量化を図ることができる。
【0050】
付勢部材45は、シリンダユニット、ゴムブロック、スポンジブロックなどであってもよいが、好ましくは圧縮コイルばねとする。圧縮コイルばねは安価であり、成形装置10の設備コストの低減に寄与する。
【0051】
尚、ヘリカルギヤの成形装置10の構成は、図1に限定されるものではなく、構造を変更することは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、ヘリカルギヤの鍛造成形に好適である。
【符号の説明】
【0053】
10…成形装置、12…ヘリカルギヤ、20…成形金型、30…セグメントダイス、31…歯成形部、31a…歯すじ、32…被保持面、33…凸ガイド面、37…凸ガイド面の稜線、40…保持リング、41…ダイス保持面、42…凹ガイド面、43…ダイス保持面の母線、45…付勢部材、θ…テーパ角、C…歯すじ方向の中央。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7