【解決手段】切削加工装置1は、板状のワークWを保持して一方向に移送する移送装置4と、ワークWの一方の面側に配置され、ワークWを切削加工する切削工具Tを装着可能であり、一方向と直交する直交方向に移動可能な切削加工ヘッド6と、ワークWの他方の面側に配置され、切削加工ヘッド6と独立して直交方向に移動可能であり、切削加工により生じた切屑Cを吸引する吸引装置7と、吸引装置7を切削加工ヘッド6と対向するように位置させる制御部8と、を備える。
前記吸引装置は、吸引ノズルと、前記吸引ノズルに吸引力を発生させる吸引駆動部と、前記吸引ノズルから吸引した物体を回収する回収部と、を備える、請求項1に記載の切削加工装置。
前記制御部は、前記レーザ加工後に前記切削加工装置に移送された前記ワークに対して、前記切削加工ヘッドによる前記切削加工前から、前記吸引装置による吸引を実行させる、請求項6に記載の板材加工システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印の先の側を+側(例、+X側)と称し、その反対側を−側(例、−X側)と称する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る切削加工装置を示す斜視図である。
図2は、切削加工装置の+Z側から見た上面図である。本実施形態の切削加工装置1は、金属製の板状のワークWに対して、切削加工を行う。切削加工装置1は、
図1及び
図2に示すように、フレーム2、固定テーブル3(
図2参照)、移送装置4、切削加工ヘッド駆動部5、切削加工ヘッド6、吸引装置7、及び制御部8(
図1参照)を備える。なお、
図1においては、説明を分かりやすくするため、固定テーブル3の図示を省略している。
【0017】
フレーム2は、鉛直方向に起立しかつX方向に伸びる板状の部材である。フレーム2は、切削加工装置1の各部を支持する。フレーム2は、切削加工ヘッド駆動部5、切削加工ヘッド6等を支持する。フレーム2には、開口部2aが設けられる。開口部2aは、ワークWが通過可能な大きさに形成される。開口部2aは、ワークWの移送経路として用いられる。また、開口部2aは、ワークWの他に、後に説明する移送装置4の一部、及びフォーク装置28が通過可能に形成される。
【0018】
図2に示す固定テーブル3は、ワークWを支持する。固定テーブル3は、切削加工装置1の+Y側及び−Y側に配置される。各固定テーブル3(+Y側及び−Y側の固定テーブル3)は、それぞれ、ワークWを支持する上面が、ほぼ水平で且つほぼ同様の高さに配置される。各固定テーブル3は、例えば、X方向に延びる基部3aと、Y方向に延びる複数の棒状部3bと、を備える。基部3aは、棒状部3bを支持する。棒状部3bは、上面でワークWを支持する。棒状部3bの上面には、不図示のブラシ部やフリーボールベアリング(ボールが全方向に転動可能)が所定間隔で設けられ、ワークWを移送する際の抵抗を低減し、ワークWの下面に傷が付くのを抑制してもよい。なお、固定テーブル3は、複数の棒状部3bを持つものに代えて、板状のものでもよい。
【0019】
移送装置4は、ワークWを保持して、一方向(Y方向)に移送する。移送装置4は、ワークWを、開口部2aを介してY方向に移送する。移送装置4は、ワークWを保持するワークホルダ4aを有し、ワークホルダ4aでワークWを保持して移送する。ワークホルダ4aは、移送装置4の+Y側に、X方向に間隔を空けて3箇所に設けられる。各ワークホルダ4aは、不図示の駆動装置によりワークWの端部を挟み込んで把持または解放する。移送装置4は、不図示の駆動装置及びガイドにより、Y方向に移動する。なお、ワークホルダ4aの個数は任意である。また、各ワークホルダ4aは、X方向の任意の位置に移動し、ワークホルダ4a同士のX方向の間隔を変化するようにしてもよい。また、ワークホルダ4aは、ワークWを把持するものに代えて、ワークWの一部を吸着するものが使用されてもよい。
【0020】
図3は、切削加工ヘッド駆動部及び切削加工ヘッドを−Y方向から見た正面図である。切削加工ヘッド駆動部5は、切削加工ヘッド6を、X方向、及びZ方向に移動させる。切削加工ヘッド駆動部5は、制御部8に接続され、制御部8の制御により、切削加工ヘッド6を、X方向の所定位置、及びZ方向の所定位置に所定の速度で移動させる。切削加工ヘッド駆動部5は、切削加工ヘッド6を支持する支持部10、支持部10をX方向に駆動するX方向駆動部11、及び切削加工ヘッド6を支持部10に対してZ方向に駆動するZ方向駆動部12を備える。
【0021】
支持部10は、フレーム2の−Y側の面に設けられる一対のX方向ガイド14を介してフレーム2に支持される。支持部10は、フレーム2に対してX方向に移動可能である。支持部10は、X方向駆動部11によりX方向に移動する。切削加工ヘッド6は、支持部10のX方向の移動により、支持部10と一体となって、移送装置4によるワークWの移送方向(Y方向)と直交する方向(X方向)に移動する。X方向駆動部11は、例えば、モータ等のアクチュエータである。X方向駆動部11は、制御部8に接続され、駆動が制御される。
【0022】
切削加工ヘッド6は、ワークWの上面側(ワークWの一方の面側)に配置される。切削加工ヘッド6は、支持部10の−Y側の面に設けられるZ方向ガイド(図示せず)を介して、支持部10に支持される。切削加工ヘッド6は、支持部10に対してZ方向に移動可能である。Z方向駆動部12は、例えば、モータ等のアクチュエータである。Z方向駆動部12は、制御部8に接続され、駆動が制御される。
【0023】
切削加工ヘッド6は、ワークWを切削加工する切削工具Tを装着可能である。切削加工ヘッド6は、4つの加工ヘッド16を備える。4つの加工ヘッド16は、それぞれ、+Z側、−Z側、+X側、−X側に突出して設けられる。各加工ヘッド16は、切削工具Tを装着可能な工具ホルダ17を備えている。各工具ホルダ17には、タップ等の切削工具Tが装着される。
【0024】
−Z側の加工ヘッド16は、ワークWの切削加工に用いられる。切削加工ヘッド6は、
図3に示すように、不図示の駆動機構により、支持部10に対してY方向と平行な方向の軸周りに回転する。この回転は、4つの加工ヘッド16から切削加工に用いる加工ヘッド16を選択する際に用いられる。切削加工に用いる加工ヘッド16は、−Z側に配置する。
【0025】
次に、切削加工ヘッド6の切削加工時の動作について説明する。
図4は、切削加工ヘッド駆動部及び切削加工ヘッドを−X方向から見た側面図である。切削加工ヘッド6による切削加工に先だち、制御部8の制御により、ワークWにおける切削加工が施されるY方向の位置が、移送装置4によるワークWのY方向の移動により位置決めされる。続いて、
図3に示すように、制御部8の制御により、切削加工ヘッド駆動部5がX方向の所定位置に支持部10を移動し、切削加工ヘッド6がワークWにおける切削加工が施されるX方向の位置に位置決めされる。これにより、切削加工ヘッド6のワークWに対するX方向の位置及びY方向の位置が位置決めされる。
【0026】
上記の切削加工ヘッド6の位置決めの後、−Z側の加工ヘッド16が、工具駆動部18(
図3参照)の駆動により、切削工具Tを装着した工具ホルダ17がZ方向と平行な軸周りに回転しながら、切削加工ヘッド駆動部5の駆動により下方向(−Z方向)に移動する。これにより、切削工具Tが、ワークWに接触した状態を保ちながら回転して、ワークWに対する切削加工が行われる。なお、切削加工ヘッド6は、制御部8に接続され、切削加工時の工具ホルダ17の回転数、及び加工ヘッド16の下方向の移動量、移動速度(送り)が制御部8により制御される。
【0027】
なお、上記した切削加工ヘッド駆動部5、及び切削加工ヘッド6は、それぞれ、一例であって、他の形態であってもよい。例えば、加工ヘッド16の数は、1つでもよいし、8つでもよい。
【0028】
次に、吸引装置について説明する。
図5は、吸引装置を示す斜視図である。
図6は、切削加工ヘッド及び吸引装置を−Y側から見た図である。
図7は、切削加工ヘッド及び吸引装置を−X側から見た図である。
【0029】
吸引装置7は、切削加工により生じた切屑C(
図8参照)を吸引する。吸引装置7は、
図6に示すように、ワークWの下面側(ワークWの他方の面側)に配置される。吸引装置7は、切屑Cをワークの下面側から吸引する。吸引装置7は、
図5に示すように、ベース7a、支柱7b、吸引ノズル7c、吸引駆動部7d、回収部7e、及び昇降駆動部7f(
図6参照)を備える。
【0030】
ベース7aは、
図5に示すように、吸引装置7の最下部に配置され、吸引装置7を支持する。ベース7aは、X方向に沿って配置されるガイド19により、X方向に移動可能に支持される(
図1参照)。
【0031】
支柱7bは、ベース7aの−Y側に配置され、鉛直方向に延びている。
図7に示すように、支柱7bの+Y側には、鉛直方向に沿って形成されるガイド7gが設けられる。吸引ノズル7c、吸引駆動部7d、及び回収部7eは一体に形成されている。一体となった吸引ノズル7c、吸引駆動部7d、及び回収部7eは、ガイド7gを介して、鉛直方向に移動可能に、支柱7bに支持される。
【0032】
吸引ノズル7cは、切屑Cを吸引する。吸引ノズル7cは、ワークWに対して開口する開口である。吸引ノズル7cは、ベース7aの+Y側に配置される。吸引ノズル7cは、ワークWの下部の近傍に配置可能である。吸引ノズル7cが配置されるY方向の位置は、
図7に示すように、切削加工ヘッド6に装着された切削工具Tの直下に配置される。
【0033】
吸引ノズル7cは、直交方向(X方向)に延びた帯形状である。吸引ノズル7cが帯形状である場合、開口の面積が小さいので、小さい吸引力で効果的に切屑Cを吸引することができる。また、吸引ノズル7cがX方向に延びた帯形状である場合、切削加工ヘッド6の移動方向に沿って延びるので、切屑Cを吸引する際の切削加工ヘッド6に対する吸引ノズル7cの相対位置の許容範囲を広くすることができる。例えば、この許容範囲は、吸引ノズル7cのX方向の長さに相当する。したがって、吸引ノズル7cがX方向に延びた帯形状である場合、吸引ノズル7cのX方向の長さが長いので、上記の許容範囲が広くなる。この場合、吸引装置7で切屑Cを吸引する際に、制御部8により、吸引ノズル7cの位置を厳密に制御しなくても、切屑Cを吸引することができる。また、この場合、切削加工時における切削加工ヘッド6のX方向の移動量が比較的小さいとき(例、吸引ノズル7cのX方向の長さより小さいとき)、吸引ノズル7cを移動させなくても、切屑Cを吸引することができ、ワークWの加工時間を短縮することができる。
【0034】
吸引駆動部7dは、吸引ノズル7cに吸引力を発生させる。吸引駆動部7dは、吸引ノズル7cと連結される。吸引駆動部7dは、例えば、排気ファンなどの排気装置である。吸引駆動部7dの駆動により、気体が排気口7h(
図5参照)から排気され、吸引ノズル7cに吸引力が発生する。
【0035】
回収部7eは、吸引ノズル7cから吸引した切屑Cを回収する。回収部7eは、吸引駆動部7dの下流に配置される。吸引ノズル7cから吸引された切屑Cは、回収部7eに回収される。回収部7eは、吸引装置7から取り外し可能である(
図5参照)。回収部7eは、取り外しを容易にするため、把持部7j(持ち手)が設けられている。このように回収部7eが、吸引装置7から取り外し可能である場合、回収した切屑Cを容易に処理することができる。
【0036】
昇降駆動部7fは、
図7に示すように、一体となった吸引ノズル7c、吸引駆動部7d、及び回収部7eを昇降させる。昇降駆動部7fは、例えば、モータなどのアクチュエータである。昇降駆動部7fの駆動により、吸引ノズル7cは、ワークWに近接した位置P1とワークWから退避した位置P2との間を移動可能である。このように、吸引ノズル7cが、ワークWに近接した位置P1とワークWから退避した位置P2との間を移動可能である場合、吸引ノズル7cがワークWに近接した位置P1に移動できるので、切屑Cを効果的に吸引することができる。また、吸引ノズル7cがワークWから退避した位置P2に移動できるので、ワークWの近傍のスペースを有効に活用することができる。例えば、吸引ノズル7cがワークWから退避した位置P2では、吸引ノズル7cの上端が開口部2aの下端よりも低い位置に配置される。この場合、後に説明するフォーク装置28を、開口部2aを介して容易に移動させることができる。
【0037】
吸引装置7は、切削加工ヘッド6と独立した駆動機構を有し、切削加工ヘッド6と独立して移動する。吸引装置7は、上記のようにX方向に移動可能なベース7aに支持され、移送装置4の移送方向(一方向、Y方向)と直交する方向(X方向)に移動可能である。吸引装置7は、不図示の駆動装置によりX方向に移動する。この駆動装置は、例えば、モータ等のアクチュエータである。吸引装置7は、制御部8に接続され、吸引駆動部7dの駆動、X方向の移動、上記の吸引ノズル7cの移動(昇降)等が制御される。
【0038】
次に、切削加工ヘッド6及び吸引装置7による1回の切削加工の動作について説明する。
図8は、切削加工ヘッド及び吸引装置の切削加工の動作を示す図である。切削加工ヘッド6及び吸引装置7は、制御部8の制御により、以下の動作を実行する。
【0039】
吸引装置7は、切削加工ヘッド6による切削加工が行われるとき、切削加工ヘッド6と対向する位置に配置される。この際、吸引装置7の吸引ノズル7cは、ワークWに近接する位置P1に配置される。吸引装置7は、切削加工ヘッド6による切削工具Tの回転及び下降の動作に先立ち、吸引ノズル7cによる吸引を開始する。吸引装置7の吸引動作の開始後、制御部8の制御により、切削加工ヘッド6による切削工具Tを回転しながら下降する動作が開始して切削加工が行われる。切削加工時に発生する切屑Cは、
図8に示すように、ワークWに近接する位置P1に配置される吸引ノズル7cにより吸引される。この場合、吸引ノズル7cとワークWとの距離が近いので、切屑Cが吸引ノズル7c外に飛散するのを抑制し、吸引ノズル7cで効果的に吸引することができる。吸引装置7により吸引された切屑Cは、回収部7eに回収される。吸引装置7による吸引の動作は、切削加工ヘッド6の切削加工の動作が終了した後、所定の時間まで続けられる。吸引装置7による吸引動作が終了し、切削加工ヘッド6及び吸引装置7による1回の切削加工の動作が終了となる。切削加工ヘッド6及び吸引装置7は、上記の切削加工の動作を繰り返して行う。
【0040】
このように本実施形態の吸引装置7は、吸引ノズル7cと、吸引駆動部7dと、回収部7eと、を備えるので、切削加工時に発生するワークWの切屑Cを効果的に除去し、回収することができる。また、吸引装置7は、切削加工ヘッド6と独立した構成であるので、加工ヘッド16に影響を与えずに、切屑Cを効果的に除去することができる。
【0041】
ところで、上記したように、タップ加工の場合、
図8に示すように、切削工具TがワークWを貫通して加工するので、切屑CがワークWの下面側(−Z側)に発生することが多い。本実施形態の吸引装置7は、ワークWの下面側に設けられ、ワークWの下方の切屑Cを効果的に除去することができるので、タップ加工に好適に用いることができる。
【0042】
なお、上記した吸引装置7は一例であって、他の形態であってもよい。例えば、吸引ノズル7cの形状は、任意に設定可能である。
図9は、吸引装置の他の例を示す図である。例えば、吸引ノズル7cは、
図9に示すように、円形状でもよい。吸引ノズル7cが円形状である場合、開口の面積が小さいので、小さい吸引力で効果的に切屑Cを吸引することができる。また、吸引ノズル7cが円形状の場合、切削加工が施される加工点を小さい面積で覆うことができ、開口の面積を小さくすることができるので、小さい吸引力で効果的に切屑Cを吸引することができる。また、上記した吸引ノズル7cは、回収部7eあるいはベース7aに対して+Y側に突出していたが、吸引ノズル7cは、回収部7eあるいはベース7aの上方に配置してもよい。
【0043】
次に制御部8について説明する。制御部8は、切削加工装置1の各部を制御する。制御部8は、切削加工ヘッド駆動部5、切削加工ヘッド6、吸引装置7の各動作を制御する。例えば、制御部8は、上記のように、吸引装置7を切削加工ヘッド6と対向するように位置させる。制御部8は、例えば、CPU、メインメモリ、ハードディスクなどの記憶装置、有線あるいは無線の通信装置、各種外部機器(装置)と通信に用いる入出力インターフェース、キーボードあるいはマウスなどの入力装置、及びディスプレイなどの表示装置、及び切削加工装置1の動作及びデータ処理に必要な各種プログラムを実行可能なコンピュータ装置により構成される。
【0044】
次に、切削加工装置1の動作に基づいて、本実施形態の切削加工方法について説明する。
図10は、切削加工装置の動作を示すフローチャートである。本切削加工方法は、ステップS1において、移送装置4によりワークWを一方向に移送(移動)する。例えば、制御部8は、上記のように、移送装置4をY方向に移動させる。例えば、制御部8は、上記のように、移送装置4をY方向に所定量で移動させ、ワークWにおける切削加工が施されるY方向の位置を位置決めする。
【0045】
ステップS2において、移送装置4により移送されたワークWの一方の面側(上面側)において、ワークWを切削加工する切削工具Tを装着した切削加工ヘッド6をワークWの加工位置に向けて一方向(Y方向)と直交する直交方向(X方向)に移動させる。例えば、制御部8は、上記のように、切削加工ヘッド駆動部5をX方向に移動させ、切削加工ヘッド6をワークWの加工位置に向けてX方向に移動させる。例えば、制御部8は、上記のように、切削加工ヘッド駆動部5をX方向に所定量で移動させ、切削加工ヘッド6を、ワークWにおける切削加工が施されるX方向の位置を位置決めする。
【0046】
ステップS3において、吸引装置7を直交方向(X方向)に移動させて切削加工ヘッド6と対向するように位置させる。例えば、制御部8は、上記のように、吸引装置7をX方向に所定量で移動させ、吸引装置7を切削加工ヘッド6と対向する位置に移動させる。
【0047】
ステップS4において、吸引ノズル7cをワークWに近接する位置P1に移動する。例えば、制御部8は、上記のように、吸引装置7の吸引ノズル7c、吸引駆動部7d及び回収部7e等をZ方向に所定量で移動させ、吸引ノズル7cをワークWに近接する位置P1に移動させる。
【0048】
ステップS5において、切削工具Tを回転しながら下降する。例えば、制御部8は、上記のように、工具駆動部18及び切削加工ヘッド駆動部5を駆動させ、切削工具Tを装着した工具ホルダ17がZ方向と平行な軸周りに所定の回転数で回転させながら、切削加工ヘッド6が下方(−Z方向)に所定量でさせることにより、切削工具Tを回転しながら下降させる。これにより、切削工具Tが、ワークWに接触した状態を保ちながら回転して、ワークWに対する切削加工が行われる。
【0049】
ステップS6において、吸引装置7による吸引を行い、切削加工により生じる切屑Cを吸引する。例えば、制御部8は、上記のように、吸引駆動部7dを駆動させ、吸引ノズル7cによる吸引をさせる。この際、切削加工時に発生する切屑Cは、ワークWに近接する位置P1に配置される吸引ノズル7cにより吸引される。これにより、切屑Cを効果的に除去し、回収することができる。また、切削加工では、切削工具T及びワークWの加工部位に熱が生じる。本実施形態では、切削工具Tによる切削加工の際、吸引装置7がワークWに近接する位置P1で吸引を行うので、切削工具T及び加工部位が冷却される。これにより、熱による切削工具Tのダメージを抑制することができ、切削工具Tの寿命を延ばすことができる。
【0050】
ステップS7において、ワークWの加工動作が完了したかを判定する。例えば、制御部8は、加工プログラムの実行状態に基づいて、ワークWの加工動作が完了したかを判定する。制御部8がワークWの加工動作が完了していないと判定した場合(ステップS7のNO)、ステップS1に戻り、上記の切削加工の動作を繰り返して行う。制御部8がワークWの加工動作が完了したと判定した場合(ステップS7のYES)、終了する。
【0051】
なお、上記した切削加工装置1の動作及び本実施形態の切削加工方法は、一例であり、他の形態であってもよい。例えば、上記したステップS1〜S8を実施する順番は、上記した順番に限定されず、任意に設定可能である。
【0052】
例えば、上記したステップS1〜S3を実施する順番は、上記した順番に限定されず、任意に設定可能である。例えば、ステップS1〜S3を実施する順番は、ステップS1、S3、S2の順番で行ってもよいし、ステップS2、S1、S3の順番で行ってもよいし、ステップS3、S1、S2の順番で行ってもよいし、ステップS3、S2、S1の順番で行ってもよいし、これらのステップS1〜S3のうちの2つのステップまたはすべてのステップを同時に(並行して)行ってもよい。ステップS1〜S3のうちの2つ以上のステップを同時に行う場合、動作時間を短縮することができる。
【0053】
また、例えば、上記したステップS5、S6を実施する順番は、上記した順番に限定されず、任意に設定可能である。例えば、ステップS5、S6は、同時に(並行して)行ってもよいし、ステップS6をステップS5の前に行ってもよい。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の切削加工装置1及び切削加工方法は、切削加工時に発生するワークWの切屑Cを効果的に除去することができる。
【0055】
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図11は、第2実施形態に係る板材加工システムを示す上面図である。板材加工システムSYSは、第1実施形態の切削加工装置1と、ワークWをレーザ加工するレーザヘッド20を有するレーザ加工装置Lと、を備え、切削加工装置1は、移送装置4によりレーザ加工装置LからワークWを移送する途中に配置される。
【0056】
板材加工システムSYSは、ワークWに対してレーザ加工装置Lの第1加工領域R1でレーザ加工を行い、切削加工装置1の加工領域(第2加工領域)R2で切削加工を行う。レーザ加工装置Lは、フレーム21に開口部21cを備える。切削加工装置1は、開口部2aを備える。移送装置4は、ワークホルダ4aによりワークWを把持して、レーザ加工装置Lの開口部21c及び切削加工装置1の開口部2aを介して、レーザ加工装置Lと切削加工装置1との間においてワークWを移送する。
【0057】
レーザ加工装置Lは、
図11に示すように、第1加工領域R1において、ワークWに対してレーザ加工を施すことにより、ワークWの一部を所望の形状の製品に切断する。レーザ加工装置Lは、フレーム21と、レーザヘッド20と、ヘッド駆動部23と、加工パレット24と、を備える。
【0058】
レーザヘッド20は、下方にレーザ光を射出する射出部(不図示)を有する。レーザヘッド20は、光ファイバなどの光伝送体(不図示)を介してレーザ光源(不図示)に接続される。レーザ光源としては、例えばファイバーレーザなどの固体レーザの光源が用いられる。これにより、例えば炭酸ガスレーザなどに比べて熱密度の高いレーザ光が得られるため、高速で切断等を行うことが可能となる。
【0059】
レーザヘッド20は、ヘッド駆動部23により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。なお、レーザヘッド20がX方向及びY方向に移動する範囲を含んで第1加工領域R1が設定される。レーザ加工装置Lは、第1加工領域R1に配置されたワークWに対してレーザヘッド20を移動させて加工を行うので、ワークWの加工を高速で行うことができる。
【0060】
ヘッド駆動部23は、ガントリー23aと、スライダ23bと、昇降部23cとを有する。ガントリー23aは、Y方向に沿って配置され、一対のガイドレール23d上に配置される。一対のガイドレール23dは、第1加工領域R1をY方向に挟んでX方向に沿って互いに平行に配置されるように、後述するメインフレーム21aの上面側に形成される。ヘッド駆動部23は、例えばボールねじ機構など、ガントリー23aをX方向に移動させる不図示の駆動機構を有する。ガントリー23aは、この駆動機構により、ガイドレール23dに沿ってX方向に移動可能である。
【0061】
ガントリー23aの上面(+Z側の面)には、ガイド23eが設けられる。ガイド23eは、Y方向に沿って形成され、スライダ23bを案内する。スライダ23bは、ガントリー23aの上面から−X側の面にわたって配置される。ヘッド駆動部23は、例えばボールねじ機構など、スライダ23bをY方向に移動させる不図示の駆動機構を有する。スライダ23bは、この駆動機構により、ガイド23eに沿ってY方向に移動可能である。なお、スライダ23bを案内するガイドが、ガントリー23aの−X側の面に形成されてもよい。
【0062】
スライダ23bの−X側の面には、ガイド23fが設けられる。ガイド23fは、上下方向に沿って形成され、昇降部23cを案内する。昇降部23cは、スライダ23bの−X側の面上に配置される。ヘッド駆動部23は、例えばボールねじ機構など、昇降部23cを上下方向に移動させる不図示の駆動機構を有する。昇降部23cは、この駆動機構により、ガイド23fに沿って上下方向に移動可能である。
【0063】
上記レーザヘッド20は、昇降部23cの下部に保持される。ガントリー23aがX方向に移動することでレーザヘッド20、スライダ23b及び昇降部23cが一体となりX方向に移動する。スライダ23bがY方向に移動することでレーザヘッド20及び昇降部23cが一体となりY方向に移動する。昇降部23cが上下方向に移動することでレーザヘッド20が上下方向に移動する。これにより、レーザヘッド20は、第1加工領域R1の上方をX方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。なお、ヘッド駆動部23は、上記した構成に限定されない。例えば、ロボットアームによりレーザヘッド20をX、Y、Z方向に移動させるものでもよい。また、レーザヘッド20を移動させる代わりに、ワークWを移動させてもよいし、レーザヘッド20及びワークWの双方を移動させてもよい。
【0064】
加工パレット24は、ベースプレート24a及び支持プレート(支持部)24bを有する。支持プレート24bは、矩形状のベースプレート24aの上面に立った状態でX方向に沿って配置される。支持プレート24bは、その上端部でワークWの下面を支持する。支持プレート24bは、X方向に並んで複数設けられる。各支持プレート24bの上端部は、例えば鋸歯状に形成される。これにより、各支持プレート24bは、ワークWに対する接触面積を小さくし、レーザ加工によってワークWが支持プレート24bに溶着することを抑制することができる。各支持プレート24bの上端部は、ベースプレート24aからの高さが(Z方向の位置)が同一となるように形成される。
【0065】
複数の支持プレート24bの上には、ワークWが載置される。各支持プレート24bの上端部の高さがほぼ同一であるため、ワークWは、ほぼ水平に載置される。なお、各支持プレート24bの上端部は、図示のような鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状や波形状としてもよい。また、加工パレット24は、複数の支持プレート24bを用いることに限定されず、例えば、複数のピンがベースプレート24a上に起立した状態で配置されたものでもよい。また、加工パレット24は、下面に不図示の車輪を備え、不図示の駆動装置によってX方向に走行可能でもよい。
【0066】
第1加工領域R1は、フレーム21により囲まれた状態で設定される。
図11に示すように、フレーム21は、上下方向に起立しかつX方向に伸びる板状の2つのメインフレーム21aと、2つのメインフレーム21aの下部において両者を連結する下部フレーム21bと、を備える。メインフレーム21aは、第1加工領域R1の+Y側及び−Y側のそれぞれに、X方向に沿って配置され、ヘッド駆動部23を支持する。下部フレーム21bは、第1加工領域R1の下部に配置され、加工パレット24を支持する。なお、フレーム21の構成は任意であり、メインフレーム21aや下部フレーム21b形状、大きさ及び数は、任意である。また、フレーム21は、加工パレット24を昇降させるための昇降装置を備えてもよい。
【0067】
−Y側に配置されたメインフレーム21aは、ワークW及び後述する移送装置4の一部が通過可能な開口部21cを備える。ワークWは、この開口部21cを介して、移送装置4により、第1加工領域R1と第2加工領域R2との間を移送される。開口部21cは、−Y方向から見てX方向に長い矩形状であって、Y方向に貫通する形状である。なお、開口部21cの形状は、ワークW及び移送装置4の一部、後述するフォーク装置28の一部が通過可能であれば特に限定するものではなく、任意の形状とすることができる。
【0068】
移送装置4は、
図11に示すように、レーザ加工装置L及び切削加工装置1に跨ってワークWをY方向に移送する。移送装置4は、第1実施形態と同様である。移送装置4は、ワークホルダ4aによってワークWを保持した状態でY方向に移動することにより、ワークWをY方向に移送する。第2加工領域R2は、移送装置4によるワークWの移送経路の一部に配置される。これにより、移送装置4は、ワークWを第1加工領域R1及び第2加工領域R2のそれぞれに移送できる。また、移送装置4は、ワークホルダ4aにより第1加工領域R1のワークWを保持する。これにより、レーザ加工装置Lにおいてレーザ加工時にワークWの位置ズレを防止し、レーザヘッド20による加工位置の精度を確保することができる。
【0069】
切削加工装置1は、+Y側の固定テーブル3を除いて、第1実施形態と同様である。切削加工装置1は、移送装置4によって第2加工領域R2に位置決めされたワークWに対して切削加工を行う。板材加工システムSYSの制御部は、レーザ加工装置Lによるレーザ加工後に切削加工装置1に移送されたワークWに対して、切削加工ヘッド6による切削加工前から、吸引装置7による吸引を実行させる。この場合、レーザ加工時に発生したスラグなどの異物を切削加工前に除去することができるので、異物による切削加工の不良を抑制することができる。
【0070】
また、板材加工システムSYSは、フォーク装置28を備える。フォーク装置28は、レーザ加工装置Lの第1加工領域R1において加工パレット24上のワークWを受け取って、支持テーブルとして機能する。フォーク装置28は、基部28aと、腕部28bとを有する。基部28aは、X方向に延びて形成される。腕部28bは、棒状であり、基部28aの上面にX方向に複数並んで設けられる。フォーク装置の腕部28bと上記した固定テーブル3の棒状部3bとは、交互に配置される。フォーク装置28の腕部28bの上面には、不図示のブラシ部あるいはフリーボールベアリングが所定間隔で設けられ、ワークWの移送時の抵抗を低減してワークWの下面に傷が付くのを抑制してもよい。
【0071】
フォーク装置28は、不図示の駆動装置及び不図示のガイドを備え、フォーク装置28の少なくとも一部が待機領域R3(
図11参照)から第1加工領域R1に対して進退可能である。本実施形態では、吸引ノズル7cが、フォーク装置28が進退する際、ワークWから退避した位置P2に移動する。これにより、フォーク装置28は、待機領域R3から第1加工領域R1に対して、容易に進退可能である。待機領域R3は、第1加工領域R1の−Y側に配置されている。
【0072】
板材加工システムSYSは、不図示の制御部を有する。制御部は、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、ハードディスク等の記憶装置を備える。記憶装置は、各種制御に必要なプログラム等が記憶される。この制御部は、例えば、レーザ加工装置Lのレーザヘッド20の位置やレーザの出力、フォーク装置28の駆動、移送装置4の駆動、切削加工装置1の各動作等を制御する。
【0073】
次に、板材加工システムSYSの動作を説明する。ワークWを載置した加工パレット24がレーザ加工装置Lに搬入される。加工パレット24は、例えば、外部から−X方向に走行してワークWを搬入する。加工パレット24に載置されたワークWは、第1加工領域R1に配置される。
【0074】
次に、移送装置4は、+Y方向に移動して、ワークホルダ4aによりワークWの−Y側の端部を把持する。続いて、レーザ加工装置Lは、第1加工領域R1に配置されたワークWをレーザ加工する。レーザ加工装置Lは、レーザヘッド20をワークWに対して相対的に移動させ、レーザ光を照射することによりワークWを加工する。なお、レーザ加工時において、ワークホルダ4aでワークWを把持せずに、移送装置4を−Y側に移動させてもよい。次に、フォーク装置28を待機領域R3から+Y方向に移動させて、腕部28bをワークWの下方に配置する。
【0075】
次に、加工パレット24を下降させる。これにより、ワークWは加工パレット24の支持プレート24b上から腕部28b上に移載される。なお、本実施形態では、フォーク装置28がワークWを加工パレット24から受け取るが、これに限定されない。例えば、ワークWの下方に配置された他の支持装置が上昇しつつ加工パレット24が下降し、この支持装置上にワークWを移載してもよい。次に、ワークWは、移送装置4によって、ワークWの移送途中に設定された第2加工領域R2に配置される。ワークWは、所定部分が第2加工領域R2において位置決めされ、切削加工装置1によって切削加工される。
【0076】
切削加工装置1による切削加工の後、ワークWは、待機領域R3に移送された後、他の搬送装置によって外部に搬送されてもよく、また、再度+Y方向に移送されてレーザ加工装置Lによってレーザ加工が行われてもよい。また、再度レーザ加工を行ったワークWは、加工パレット24に載置された状態でレーザ加工装置Lの外側に搬送されてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の板材加工システムSYSは、切削加工時に発生するワークWの切屑Cを効果的に除去することができる。
【0078】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。