特開2018-161804(P2018-161804A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENラミナテックの特許一覧

<>
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000003
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000004
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000005
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000006
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000007
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000008
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000009
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000010
  • 特開2018161804-貼合装置および貼合方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-161804(P2018-161804A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】貼合装置および貼合方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20180921BHJP
   B65H 39/16 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
   B29C63/02
   B65H39/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-60440(P2017-60440)
(22)【出願日】2017年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】317010495
【氏名又は名称】株式会社SCREENラミナテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植村 光生
【テーマコード(参考)】
3F050
4F211
【Fターム(参考)】
3F050BB07
3F050BE16
3F050LA16
3F050LB08
4F211AD08
4F211AP04
4F211AP06
4F211AP08
4F211AR04
4F211AR07
4F211AR09
4F211SA07
4F211SC05
4F211SC06
4F211SD01
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】貼り合わせ対象の部材に剪断力による破損が生じるのを防ぐことができる貼合装置および貼合方法を提供する。
【解決手段】貼合装置1Aは、第1貼合ローラ10と、第2貼合ローラ20と、第1貼合ローラ10の上流側に配置された進入角度調整ローラ30と、進入角度調整ローラ30を昇降させる昇降部31とを備える。第2部材F2は、進入角度調整ローラ30および第1貼合ローラ10に架けられている。制御ユニットは、第2部材F2の厚みに基づいて昇降部31を制御することにより、第1部材F1に対する第2部材F2の角度θを調整するよう構成されている。また、制御ユニットは、第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の周速が一致するように第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20のモータを制御するよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貼合ローラと該第1貼合ローラから上下方向に離間して配置された第2貼合ローラとの間隙に、所定の形状を有する第1部材を断続的に進入させるとともに、フィルム状を有する第2部材を連続的に進入させていくことにより、前記第1部材と前記第2部材とを貼り合わせていく貼合方法であって、
前記第2部材の厚みまたは剛性に基づいて前記第2部材の前記進入の角度を調整する進入角度調整工程と、
前記間隙における前記第1貼合ローラおよび前記第2貼合ローラの周速が一致するように前記第1貼合ローラおよび前記第2貼合ローラを回転させるローラ駆動工程と、
を備え、
前記第2部材が前記第1貼合ローラに架けられていることを特徴とする貼合方法。
【請求項2】
前記第1貼合ローラおよび前記第2貼合ローラの径が同一であることを特徴とする請求項1に記載の貼合方法。
【請求項3】
前記進入角度調整工程において、前記第2部材の厚みが大きいほど前記間隙における前記第1部材に対する前記第2部材の角度を小さくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貼合方法。
【請求項4】
前記進入角度調整工程において、前記第2部材の剛性が高いほど前記間隙における前記第1部材に対する前記第2部材の角度を小さくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貼合方法。
【請求項5】
前記ローラ駆動工程において、前記第1貼合ローラおよび前記第2貼合ローラの周速を検知することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の貼合方法。
【請求項6】
前記ローラ駆動工程において、前記周速が所定値となるように前記第1貼合ローラを回転させるとともに、前記第1貼合ローラのモータが発生しているのと同一のトルクを発生するように前記第2貼合ローラのモータを制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の貼合方法。
【請求項7】
前記ローラ駆動工程において、前記第1貼合ローラの外周に接する第1伝達ローラと、前記第1伝達ローラおよび前記第2貼合ローラの外周に接する第2伝達ローラとを用いて、前記第1貼合ローラの回転を前記第2貼合ローラに伝達することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の貼合方法。
【請求項8】
所定の形状を有する第1部材と連続したフィルム状を有する第2部材とを貼り合わせていく貼合装置であって、
第1貼合ローラと、
前記第1貼合ローラから上下方向に離間して配置された第2貼合ローラと、
前記第1部材を水平方向に搬送することにより、該第1部材を前記第1貼合ローラと前記第2貼合ローラとの間隙に進入させるコンベアと、
前記第1貼合ローラの上流側に配置された進入角度調整ローラと、
前記第1貼合ローラの回転を駆動する第1モータと、
前記第2貼合ローラの回転を駆動する第2モータと、
前記進入角度調整ローラを昇降させる昇降部と、
前記第1モータ、前記第2モータおよび前記昇降部を制御する制御ユニットと、
を備え、
前記第2部材は、前記進入角度調整ローラおよび前記第1貼合ローラに架けられるとともに、前記第1貼合ローラの回転にしたがって前記間隙に進入し、
前記制御ユニットは、前記第2部材の厚みまたは剛性に基づいて前記昇降部を制御し、前記間隙における前記第1部材に対する前記第2部材の角度を調整するよう構成されるとともに、前記間隙における前記第1貼合ローラおよび前記第2貼合ローラの周速が一致するように前記第1モータおよび前記第2モータを制御するよう構成されている
ことを特徴とする貼合装置。
【請求項9】
前記第1貼合ローラおよび前記第2貼合ローラの径が同一であることを特徴とする請求項8に記載の貼合装置。
【請求項10】
前記制御ユニットは、前記第2部材の厚みが大きいほど前記間隙における前記第1部材に対する前記第2部材の角度が小さくなるように前記昇降部を制御するよう構成されていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の貼合装置。
【請求項11】
前記制御ユニットは、前記第2部材の剛性が高いほど前記間隙における前記第1部材に対する前記第2部材の角度が小さくなるように前記昇降部を制御するよう構成されていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の貼合装置。
【請求項12】
前記第1貼合ローラおよび前記第2貼合ローラの周速を検知する検知器を備え、
前記制御ユニットは、前記検知器によって検知された前記周速に基づいて前記第1モータおよび前記第2モータを制御するよう構成されていることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載の貼合装置。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記第1貼合ローラの前記周速が所定値となるように前記第1モータを制御するとともに、前記第1モータが発生しているのと同一のトルクを発生するように前記第2モータを制御するよう構成されていることを特徴とする請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の貼合装置。
【請求項14】
前記第1貼合ローラの外周に接する第1伝達ローラと、
前記第1伝達ローラおよび前記第2貼合ローラの外周に接する第2伝達ローラと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項8〜請求項13のいずれか一項に記載の貼合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対をなす2つの貼合ローラの間隙に2つの部材を進入させていくことにより該2つの部材を貼り合わせる貼合装置および貼合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種光学表示装置の製造では、通常、パネル状またはフィルム状を有する第1部材とフィルム状を有する第2部材との貼り合わせ工程が1回ないし複数回行われる。第1部材としては、液晶デバイス、有機ELデバイスおよびこれらとともに使用されるタッチパネル等がある。また、第2部材としては、偏光フィルム、保護フィルム等がある。
【0003】
図9に、貼り合わせ工程で使用される従来の貼合装置を示す。同図に示すように、従来の貼合装置100は、液晶デバイスP(第1部材)と光学フィルムF(第2部材)とを貼り合わせる装置であって、第1貼合ローラ101と、第1貼合ローラ101の下方に離間して配置された第2貼合ローラ102と、セパレータS付き光学フィルムF(以下、まとめて「フィルムF’」という)の供給源となるフィルムロール103と、フィルムF’の張力を調整する張力調整部104と、第1貼合ローラ101および第2貼合ローラ102の間隙に向かって先細った剥離部105と、剥離部105の先端において光学フィルムFから剥がされたセパレータSを回収するセパレータ回収ロール106と、液晶デバイスPを水平方向に搬送する搬送部107とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−118580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような装置では、貼り合わせの際に、第1部材(液晶デバイスP)の内部に水平方向の剪断力がしばしば発生し、これにより第1部材が破損することがある。剪断力による破損の問題は、第1部材が、近年開発が進められている折り曲げ可能なフレキシブル液晶表示装置向けのフィルム状デバイスのような機械的強度が比較的低い部材である場合に、特に顕著となる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、貼り合わせ対象の部材に剪断力による破損が生じるのを防ぐことができる貼合装置および貼合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る貼合方法は、第1貼合ローラと該第1貼合ローラから上下方向に離間して配置された第2貼合ローラとの間隙に、所定の形状を有する第1部材を断続的に進入させるとともに、フィルム状を有する第2部材を連続的に進入させていくことにより、第1部材と第2部材とを貼り合わせていく貼合方法であって、第2部材の厚みまたは剛性に基づいて第2部材の進入の角度を調整する進入角度調整工程と、間隙における第1貼合ローラおよび第2貼合ローラの周速が一致するように第1貼合ローラおよび第2貼合ローラを回転させるローラ駆動工程と、を備え、第2部材が第1貼合ローラに架けられていることを特徴とする。
【0008】
上記貼合方法は、第1貼合ローラおよび第2貼合ローラの径が同一であることが好ましい。
【0009】
上記貼合方法は、進入角度調整工程において、第2部材の厚みが大きいほど間隙における第1部材に対する第2部材の角度を小さくしてもよいし、第2部材の剛性が高いほど間隙における第1部材に対する第2部材の角度を小さくしてもよい。
【0010】
上記貼合方法は、ローラ駆動工程において、第1貼合ローラおよび第2貼合ローラの周速を検知してもよい。
【0011】
上記貼合方法は、ローラ駆動工程において、周速が所定値となるように第1貼合ローラを回転させるとともに、第1貼合ローラのモータが発生しているのと同一のトルクを発生するように第2貼合ローラのモータを制御してもよい。
【0012】
上記貼合方法は、ローラ駆動工程において、第1貼合ローラの外周に接する第1伝達ローラと、第1伝達ローラおよび第2貼合ローラの外周に接する第2伝達ローラとを用いて、第1貼合ローラの回転を第2貼合ローラに伝達してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る貼合装置は、所定の形状を有する第1部材と連続したフィルム状を有する第2部材とを貼り合わせていく貼合装置であって、第1貼合ローラと、第1貼合ローラから上下方向に離間して配置された第2貼合ローラと、第1部材を水平方向に搬送することにより、該第1部材を第1貼合ローラと第2貼合ローラとの間隙に進入させるコンベアと、第2貼合ローラの上流側に配置された進入角度調整ローラと、第1貼合ローラの回転を駆動する第1モータと、第2貼合ローラの回転を駆動する第2モータと、進入角度調整ローラを昇降させる昇降部と、第1モータ、第2モータおよび昇降部を制御する制御ユニットと、を備え、記第2部材は、進入角度調整ローラおよび第1貼合ローラに架けられるとともに、第1貼合ローラの回転にしたがって間隙に進入し、制御ユニットは、第2部材の厚みまたは剛性に基づいて昇降部を制御し、間隙における第1部材に対する第2部材の角度を調整するよう構成されるとともに、間隙における第1貼合ローラおよび第2貼合ローラの周速が一致するように第1モータおよび第2モータを制御するよう構成されていることを特徴とする。
【0014】
上記貼合装置は、第1貼合ローラおよび第2貼合ローラの径が同一であってもよい。
【0015】
上記貼合装置は、制御ユニットが、第2部材の厚みが大きいほど間隙における第1部材に対する第2部材の角度が小さくなるように昇降部を制御するよう構成されていてもよいし、第2部材の剛性が高いほど間隙における第1部材に対する第2部材の角度が小さくなるように昇降部を制御するよう構成されていてもよい。
【0016】
上記貼合装置は、第1貼合ローラおよび第2貼合ローラの周速を検知する検知器を備えるとともに、制御ユニットが、検知器によって検知された周速に基づいて第1モータおよび第2モータを制御するよう構成されていてもよい。
【0017】
上記貼合装置は、制御ユニットが、第1貼合ローラの周速が所定値となるように第1モータを制御するとともに、第1モータが発生しているのと同一のトルクを発生するように第2モータを制御するよう構成されていてもよい。
【0018】
上記貼合装置は、第1貼合ローラの外周に接する第1伝達ローラと、第1伝達ローラおよび第2貼合ローラの外周に接する第2伝達ローラとをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、貼り合わせ対象の部材に剪断力による破損が生じるのを防ぐことができる貼合装置および貼合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施例に係る貼合装置の概略的な構成を示した図である。
図2】第1実施例に係る貼合装置の制御ブロック図である。
図3】第1実施例に係る貼合装置における、第1部材に対する第2部材の角度と進入角度調整ローラの位置との関係を示した図である。
図4】第1実施例に係る貼合装置の第1貼合ローラおよび第2貼合ローラ、並びにその周辺の構成を示す側面図(A)および斜視図(B)である。
図5】本発明の第2実施例に係る貼合装置の概略的な構成を示した図である。
図6】第2実施例に係る貼合装置の制御ブロック図である。
図7】本発明の第3実施例に係る貼合装置の概略的な構成を示した図である。
図8】第3実施例に係る貼合装置の制御ブロック図である。
図9】従来の貼合装置の概略的な構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る貼合装置および貼合方法の実施例について説明する。
【0022】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る貼合装置1Aを示す。同図に示すように、貼合装置1Aは、対をなす2つの貼合ローラの間隙に所定の形状を有する第1部材F1を断続的に進入させるとともに、第2部材F2を連続的に進入させていくことにより、両者を貼り合わせていく装置である。第1部材F1は、フレキシブル液晶表示装置向けのフィルム状デバイスであり、その厚みは50μmである。第2部材F2は、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる100μm厚の保護フィルムである。なお、フィルム状デバイスは、それ単体では取り扱いが難しいので、ガラスからなる0.5mm厚の支持体Bに重ね合わされた状態で供給される。
【0023】
貼合装置1Aは、第1貼合ローラ10、モータ11およびトルク検知器12を備えている。第1貼合ローラ10は、直径300mmの比較的大径のローラである。第1貼合ローラ10の中心軸は、直接的に、または適当なギアを介して間接的にモータ11の出力に接続されている。トルク検知器12は、既知の方法でモータ11が発生しているトルクを検知するとともに、それに応じた信号を後述する制御ユニット90に出力する。
【0024】
貼合装置1Aは、第2貼合ローラ20およびモータ21をさらに備えている。第2貼合ローラ20の径は、第1貼合ローラ10の径と同一である。第2貼合ローラ20の中心軸は、直接的に、または適当なギアを介して間接的にモータ21の出力に接続されている。
【0025】
第2貼合ローラ20は、0.5mmの間隙Gが形成されるように第1貼合ローラ10の下方に配置されている。第2貼合ローラ20は、膨らんだラバーシリンダによって支持されている。第1部材F1(50μm厚)、第2部材F2(100μm厚)および支持体B(0.5mm厚)が間隙Gを通過するとき、第2貼合ローラ20は、ラバーシリンダが縮むことにより第1部材F1および第2部材F2の厚みの分だけ沈み込む。これにより、第1部材F1および第2部材F2に過大な力が加わることが防がれる。
【0026】
図4に示すように、貼合装置1Aは、図1には図示されていない第1伝達ローラ13および第2伝達ローラ22をさらに備えている。第1伝達ローラ13は、第1貼合ローラ10の外周に接するように配置されている。また、第2伝達ローラ22は、第1伝達ローラ13および第2貼合ローラ20の外周に接するように配置されている。第1伝達ローラ13および第2伝達ローラ22の径は同一である。
【0027】
図4(B)に示すように、第1伝達ローラ13および第2伝達ローラ22は、第1部材F1、第2部材F2および支持体Bが通過する領域Aを避けるように、第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の一方の端部の近傍に配置されている。貼合装置1Aは、2組以上の第1伝達ローラ13および第2伝達ローラ22を備えていてもよい。
【0028】
貼合装置1Aは、進入角度調整ローラ30およびスライダ31(昇降部)をさらに備えている。スライダ31は、進入角度調整ローラ30を昇降させるためのものである。進入角度調整ローラ30およびスライダ31は、第1貼合ローラ10の上流側に配置されている。
【0029】
図1から明らかなように、第2部材F2は、進入角度調整ローラ30および第1貼合ローラ10に架けられている。このため、スライダ31が進入角度調整ローラ30を昇降させると、間隙Gにおける第1部材F1に対する第2部材F2の角度θは、比較的大きなθ1(図3(A)参照)となったり、比較的小さなθ2(図3(B)参照)となったりする。また、第1貼合ローラ10が回転すると、それにしたがって第2部材F2が間隙Gに進入していく。
【0030】
貼合装置1Aは、第1コンベア40をさらに備えている。第1コンベア40は、貼合ローラ10,20の上流側に並んで配置された複数の搬送ローラ41と、これらに架けられた搬送ベルト42とを有している。第1コンベア40は、第1部材F1(支持体B)を水平方向に搬送することにより、第1部材F1(支持体B)を間隙Gに進入させる。
【0031】
貼合装置1Aは、第2コンベア50をさらに備えている。第2コンベア50は、貼合ローラ10,20の下流側に並んで配置された複数の搬送ローラ51と、これらに架けられた搬送ベルト52とを有している。第2コンベア50は、間隙Gにおいて貼り合わされた第1部材F1(支持体B)および第2部材F2を次工程に搬送する。この搬送の間に、第2部材F2は、第1部材F1に対応した寸法にカットされる。
【0032】
貼合装置1Aは、第2部材F2の供給源となるフィルムロール70およびモータ71をさらに備えている。フィルムロール70の中心軸は、直接的に、または適当なギアを介して間接的にモータ71の出力に接続されている。第2部材F2は、セパレータSに貼り合わされた状態、すなわちフィルムF3の状態でフィルムロール70に巻かれている。
【0033】
貼合装置1Aは、フィルム繰出しローラ60、モータ61およびローラ62,63をさらに備えている。フィルム繰出しローラ60の中心軸は、直接的に、または適当なギアを介して間接的にモータ61の出力に接続されている。フィルム繰出しローラ60が回転すると、フィルムロール70からフィルムF3が繰り出される。フィルムF3は、フィルム繰出しローラ60およびローラ63の間を通過する際に、第2部材F2とセパレータSとに分離される。
【0034】
貼合装置1Aは、第1ダンサー部72をさらに備えている。第1ダンサー部72は、フィルムロール70およびフィルム繰出しローラ60の間におけるフィルムF3の張力を調整するためのもので、第1ダンサーロール73、ローラ74,75およびロール位置検知器76を有している。ロール位置検知器76は、第1ダンサーロール73の位置を検知するとともに、それに応じた信号を後述する制御ユニット90に出力する。
【0035】
貼合装置1Aは、セパレータSを回収するためのセパレータ回収ロール80およびモータ81をさらに備えている。セパレータ回収ロール80の中心軸は、直接的に、または適当なギアを介して間接的にモータ81の出力に接続されている。
【0036】
貼合装置1Aは、第2ダンサー部82およびローラ87をさらに備えている。ローラ87は、セパレータSの進行方向を変えるためのものである。また、第2ダンサー部82は、ローラ87およびセパレータ回収ロール80の間におけるセパレータSの張力を調整するためのもので、第2ダンサーロール83、ローラ84,85およびロール位置検知器86を有している。ロール位置検知器86は、第2ダンサーロール83の位置を検知するとともに、それに応じた信号を後述する制御ユニット90に出力する。
【0037】
貼合装置1Aは、図1には図示されていない制御ユニット90およびユーザインタフェース装置92をさらに備えている(図2参照)。
【0038】
ユーザインタフェース装置92は、タッチパネル付きディスプレイからなる。ユーザは、ユーザインタフェース装置92に表示されるボタンに触れることにより、貼り合わせを開始させたり、貼り合わせを停止させたりすることができる。言い換えると、ユーザは、ユーザインタフェース装置92を介して、貼り合わせの開始および停止を指令することができる。また、ユーザは、ユーザインタフェース装置92を介して貼合条件を入力することができる。入力された貼合条件は、制御ユニット90のメモリ91に格納される。貼合条件には、第2部材F2の厚みが含まれる。
【0039】
制御ユニット90は、マイクロプロセッサ等からなる。図2に示すように、制御ユニット90は、ユーザインタフェース装置92に入力された貼り合わせ開始の指令を受け取ると、メモリ91に格納されている貼合条件および各種検知器12,76,86の検知結果に基づいて、各部11,21,31,40,50,61,71,81を制御する。
【0040】
具体的には、制御ユニット90は、第1貼合ローラ10の周速が所定の値となるようにモータ11を制御するとともに、該制御においてモータ11が発生しているのと同一のトルクを発生するように第2貼合ローラ20のモータ21を制御する。このとき、制御ユニット90は、トルク検知器12の検知結果を参照する。この制御は、第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の周速を一致させることを狙ったものであるが、この制御だけでは両者に微小な差異が生じる可能性がある。第1伝達ローラ13および第2伝達ローラ22は、第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の周速に差異が生じかけた場合に、第1貼合ローラ10の回転を第2貼合ローラ20に伝達することにより差異が生じるのを防ぐ役割を担っている。
【0041】
また、制御ユニット90は、メモリ91に格納されている第2部材F2の厚みに基づいてスライダ31を制御する。より詳しくは、制御ユニット90は、第2部材F2の厚みが比較的小さい場合は、進入角度調整ローラ30の位置が高くなるようにスライダ31を制御する(図3(A)参照)。逆に言うと、制御ユニット90は、第2部材F2の厚みが比較的大きい場合は、進入角度調整ローラ30の位置が低くなるようにスライダ31を制御する(図3(B)参照)。
【0042】
厚みが小さい第2部材F2は、進入角度調整ローラ30および第1貼合ローラ10の間で撓みが生じやすい。この点、本実施例に係る貼合装置1Aでは、第2部材F2の厚みが小さい場合に、制御ユニット90によって角度θが大きくされ、第1貼合ローラ10に対する第2部材F2の巻き付きが強められるので、撓みの発生が抑制される。
【0043】
一方、厚みが大きい第2部材F2は、反り癖がつきやすい。この点、本実施例に係る貼合装置1Aでは、第2部材F2の厚みが大きい場合に、制御ユニット90によって角度θが小さくされ、第1貼合ローラ10に対する第2部材F2の巻き付きが弱められるので、反り癖がついてしまうことが抑制される。
【0044】
さらに、制御ユニット90は、第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の回転に同期するように、第1コンベア40、第2コンベア50、フィルム繰出しローラ60のモータ61、フィルムロール70のモータ71およびセパレータ回収ロール80のモータ81を制御する。ただし、制御ユニット90は、フィルムロール70のモータ71を制御する際に、ロール位置検知器76の検知結果を加味する。同様に、制御ユニット90は、セパレータ回収ロール80のモータ81を制御する際に、ロール位置検知器86の検知結果を加味する。
【0045】
以上のように、第1実施例に係る貼合装置1Aによる貼合方法は、間隙Gにおける第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の周速が一致するように第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20を回転させるローラ駆動工程を含んでいる。また、本実施例では、このローラ駆動工程が、周速が所定値となるように第1貼合ローラ10を回転させるとともに、第1貼合ローラ10を駆動するモータ11が発生しているのと同一のトルクを発生するように第2貼合ローラ20を駆動するモータ21を制御するよう構成されている。さらに、本実施例では、このローラ駆動工程が、第1貼合ローラ10の外周に接する第1伝達ローラ13と、第1伝達ローラ13および第2貼合ローラ20の外周に接する第2伝達ローラ22とを用いて、第1貼合ローラ10の回転を第2貼合ローラ20に伝達するよう構成されている。
【0046】
したがって、本実施例によれば、貼合ローラ10,20の周速のズレに起因する水平方向の剪断力が生じることによる第1部材F1の破損を防ぐことができる。
【0047】
また、第1実施例に係る貼合装置1Aによる貼合方法は、第2部材F2の厚みに基づいて該第2部材F2の進入の角度を調整する進入角度調整工程を含んでいる。また、本実施例では、この進入角度調整工程が、第2部材F2の厚みが大きいほど間隙Gにおける第1部材F1に対する第2部材F2の角度θを小さくするよう構成されている。
【0048】
したがって、本実施例によれば、貼り合わせの直前で第2部材F2に撓みが生じたり、第2部材F2に反り癖がついたりするのを防ぐことができる。
【0049】
[第2実施例]
図5に、本発明の第2実施例に係る貼合装置1Bを示す。図1との比較から明らかなように、本実施例に係る貼合装置1Bは、トルク検知器12の代わりに、第1貼合ローラ10の周速を検知するための周速検知器14および第2貼合ローラ20の周速を検知するための周速検知器23を備えている点において貼合装置1Aと相違している。また、貼合装置1Bは、第1伝達ローラ13および第2伝達ローラ22を備えていない点においても貼合装置1Aと相違している。
【0050】
周速検知器14は、第1貼合ローラ10の外周に周方向に沿って等間隔に貼り付けられた、または埋め込まれた磁性体が単位時間あたりに幾つ通過したのかを検知することにより第1貼合ローラ10の周速を検知するとともに、それに応じた信号を後述する制御ユニット90に出力する。
【0051】
同様に、周速検知器23は、第2貼合ローラ20の外周に周方向に沿って等間隔に貼り付けられた、または埋め込まれた磁性体が単位時間あたりに幾つ通過したのかを検知することにより第2貼合ローラ20の周速を検知するとともに、それに応じた信号を後述する制御ユニット90に出力する。
【0052】
図6に示すように、貼合装置1Bの制御ユニット90は、ユーザインタフェース装置92に入力された貼り合わせ開始の指令を受け取ると、メモリ91に格納されている貼合条件および各種検知器14,23,76,86の検知結果に基づいて、各部11,21,31,40,50,61,71,81を制御する。
【0053】
具体的には、制御ユニット90は、第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の周速が所定の値となるようにモータ11およびモータ21を制御する。このとき、制御ユニット90は、周速検知器14および周速検知器23の検知結果を参照する。
【0054】
制御ユニット90によるその他の制御は、第1実施例と同様である。
【0055】
以上のように、第2実施例に係る貼合装置1Bによる貼合方法は、間隙Gにおける第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の周速が一致するように第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20を回転させるローラ駆動工程を含んでいる。したがって、本実施例によれば、第1実施例と同様、貼合ローラ10,20の周速のズレに起因する水平方向の剪断力が生じることによる第1部材F1の破損を防ぐことができる。
【0056】
[第3実施例]
図7に、本発明の第3実施例に係る貼合装置1Cを示す。図1との比較から明らかなように、本実施例に係る貼合装置1Cは、フィルム厚検知器64をさらに備えている点において貼合装置1Aと相違している。
【0057】
フィルム厚検知器64は、第2部材F2を透過してきた光の強度等に基づいて第2部材F2の厚みを検知するとともに、それに応じた信号を後述する制御ユニット90に出力する。
【0058】
図8に示すように、貼合装置1Cの制御ユニット90は、ユーザインタフェース装置92に入力された貼り合わせ開始の指令を受け取ると、各種検知器12,64,76,86の検知結果に基づいて、各部11,21,31,40,50,61,71,81を制御する。
【0059】
具体的には、制御ユニット90は、フィルム厚検知器64によって検知された第2部材F2の厚みに基づいてスライダ31を制御する。より詳しくは、制御ユニット90は、第2部材F2の厚みが比較的小さい場合は、進入角度調整ローラ30の位置が高くなるようにスライダ31を制御する(図3(A)参照)。逆に言うと、制御ユニット90は、第2部材F2の厚みが比較的大きい場合は、進入角度調整ローラ30の位置が低くなるようにスライダ31を制御する(図3(B)参照)。
【0060】
制御ユニット90によるその他の制御は、第1実施例と同様である。
【0061】
以上のように、第3実施例に係る貼合装置1Cによる貼合方法は、第2部材F2の厚みに基づいて該第2部材F2の進入の角度を調整する進入角度調整工程を含んでいる。したがって、本実施例によれば、貼り合わせの直前で第2部材F2に撓みが生じたり、第2部材F2に反り癖がついたりするのを防ぐことができる。
【0062】
[変形例]
本発明に係る貼合装置および貼合方法は、実施例の構成に限定されるものではない。以下、本発明に係る貼合装置および貼合方法の変形例を例示する。
【0063】
貼合装置1A,1Cに備えられた第1伝達ローラ13および第2伝達ローラ22は、省略することができる。この場合は、第2貼合ローラ20のモータ21のトルクを第1貼合ローラ10のモータ11のトルクに一致させる制御のみで第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の周速が一致させられる。
【0064】
貼合装置1A,1B,1Cに備えられた昇降部としてのスライダ31は、進入角度調整ローラ30を昇降させ得る他の部材(例えば、シリンダ)に置き換えることができる。
【0065】
貼合装置1A,1B,1Cに備えられた第1貼合ローラ10および第2貼合ローラ20の径は、同一でなくてもよい。
【0066】
貼合装置1Bに備えられた周速検知器14,23の検知方式、および貼合装置1Cに備えられたフィルム厚検知器64の検知方式は、他の方式に置き換えることができる。
【0067】
第1部材F1は、支持体Bに貼り合わされていなくてもよい。
【0068】
ユーザは、ユーザインタフェース装置92を介して第2部材F2の剛性に関する値を貼合条件として入力してもよい。この場合、制御ユニット90は、第2部材F2の剛性値が比較的小さい場合は、進入角度調整ローラ30の位置が高くなるようにスライダ31を制御する(図3(A)参照)。逆に言うと、制御ユニット90は、第2部材F2の剛性値が比較的大きい場合は、進入角度調整ローラ30の位置が低くなるようにスライダ31を制御する(図3(B)参照)。
【0069】
ユーザは、ユーザインタフェース装置92を介して第1部材F1、第2部材F2および支持体Bの厚み貼合条件として入力してもよい。この場合、制御ユニット90は、これらの厚みに基づいて第1貼合ローラ10および/または第2貼合ローラ20を上下動させ、間隙Gの寸法を調整することが好ましい。
【符号の説明】
【0070】
1A,1B,1C 貼合装置
10 第1貼合ローラ
11 モータ
12 トルク検知器
13 第1伝達ローラ
14 周速検知器
20 第2貼合ローラ
21 モータ
22 第2伝達ローラ
23 周速検知器
30 進入角度調整ローラ
31 スライダ(昇降部)
40 第1コンベア
41 搬送ローラ
42 搬送ベルト
50 第2コンベア
51 搬送ローラ
52 搬送ベルト
60 フィルム繰出しローラ
61 モータ
62,63 ローラ
64 フィルム厚検知器
70 フィルムロール
71 モータ
72 第1ダンサー部
73 第1ダンサーロール
74,75 ローラ
76 ロール位置検知器
80 セパレータ回収ロール
81 モータ
82 第2ダンサー部
83 第2ダンサーロール
84,85 ローラ
86 ロール位置検知器
87 ローラ
90 制御ユニット
91 メモリ
92 ユーザインタフェース装置
B 支持体
F1 第1部材
F2 第2部材
G 間隙
S セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9