【解決手段】スクリーン印刷版10は、金属メッシュ部13と、金属メッシュ部13の片面に当該金属メッシュ部13と一体に設けられた金属マスク部14とを備えている。また、金属マスク部14は開口部14aを有しており、開口部14aの外側端14a2から金属メッシュ部13までの寸法を充填深さとしたとき、この充填深さは、開口部14aの中央領域に対応する部分が最も大きくなっている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、
図1〜
図3を用いて、本発明を適用したスクリーン印刷版10の全体構成について説明する。なお、
図1〜
図3は、(1)金属マスク部14が金属プレートによって構成されているタイプと(2)金属マスク部14’が電着金属によって構成されているタイプの両方に共通する図として描いている。
【0012】
このスクリーン印刷版10は、矩形状の版枠部11と、版枠部11に外周部分を固着された補助メッシュ部12と、補助メッシュ部12に外周部分を固着された金属メッシュ部13と、金属メッシュ部13の片面に当該金属メッシュ部13と一体に設けられた金属マスク部14または14’と、金属メッシュ部13の不使用部分に設けられた乳剤部(図示省略)とを備えている。
【0013】
版枠部11は、ステンレスやアルミニウム合金等の金属から成る。補助メッシュ部12は、ポリエステルやポリアリレート等の合成樹脂線を格子状に編み込んだものによって構成されている。補助メッシュ部12は、金属メッシュ部13に張力を付与する役目を果たすものであるが、必ずしも必要なものではない。すなわち、補助メッシュ部12を排除して、サイズが大きな金属メッシュ部13の外周部分を版枠部11に直接固着してもよい。なお、金属メッシュ部13と金属マスク部14および14’の構成については後に説明する。
【0014】
次に、
図3〜
図6を用いて、金属マスク部14が金属プレートによって構成されているタイプの要部構成とその製造方法例と効果について順に説明する。
【0015】
金属メッシュ部13は、金属メッシュ13aと、金属メッシュ13aの表面に設けられた電着金属13bとから構成されており、多数の孔13cを有している。金属メッシュ13aは、ステンレスやタングステン等の金属線を格子状に編み込んだものによって構成されている。
図3〜
図5に示した金属メッシュ13aはカレンダー加工が施されたものであるため、厚さ方向両面それぞれにおいて金属線が交差する箇所に平面部(符号省略)が形成されている。このカレンダー加工は、金属メッシュ13aの厚さt1aを小さくすることを主たる目的として使用される周知の工法であるため、金属メッシュ13aを構成する金属線の線径が小さく、かつ、金属メッシュ13a自体の厚さt1aが小さい場合には必ずしも必要なものではない。
【0016】
カレンダー加工の有無に拘わらず、金属メッシュ13aを構成する金属線の線径は好ましくは13〜20μmの範囲内にあり、オープニングは好ましくは20〜35μmの範囲内にあり、金属メッシュ13aの厚さt1aは好ましくは15〜30μmの範囲内にある。また、電着金属13bは、ニッケルやニッケル合金等の金属から成り、その厚さ(符号省略)は好ましくは0.3〜2μmの範囲内にある。
【0017】
金属マスク部14は、金属プレートによって構成されており、印刷パターンに対応した開口部14aを有している。この金属マスク部14を構成する金属プレートは、金属メッシュ13aの表面に設けられた電着金属13bによって金属メッシュ部13に接合されている。金属マスク部14を構成する金属プレートは、ニッケルやニッケル合金等から成る。この金属プレートの厚さt1b(金属マスク部14の厚さに相当)は、好ましくは0.3〜4μmの範囲内にある。ちなみに、金属マスク部14の厚さt1bは、0.3〜4μmの範囲内で定める他、0.3〜2.5μmの範囲内で定めてももよいし、0.3〜1.5μmの範囲内で定めてもよい。なお、
図3には、図示の便宜上、金属マスク部14を構成する金属プレートに外形が矩形を成す開口部14aを描いているが、開口部14aの外形には印刷パターンに対応した種々の形状が採用可能である。
【0018】
図4および
図5から分かるように、金属マスク部14の開口部14aの内面と、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側(
図4および
図5の上端側)に在る部分とによって、充填空間FSが形成されている。また、開口部14aの外側端14a2(
図4および
図5の下端)から金属メッシュ部13までの寸法を充填深さとしたとき、この充填深さは、開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)が最も大きくなっている。詳しく述べれば、充填深さは、開口部14aの周辺領域に対応する部分(充填深さD1bおよびD2bを参照)から開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)に向かって徐々に大きくなっている。ちなみに、充填深さの最大値(充填深さD1aおよびD2aを参照)と最小値(充填深さD1bおよびD2bを参照)との比率は、好ましくは1.2≦最大値/最小値≦2.0の範囲内にある。
【0019】
また、
図4および
図5から分かるように、先に述べた充填深さの変化は、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の厚さ(符号省略)を、開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)で最も小さくすることによって為し得ている。具体的には、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の厚さ(符号省略)を、開口部14aの周辺領域に対応する部分(充填深さD1bおよびD2bを参照)から開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)に向かって徐々に小さくすることによって為し得ている。より具体的には、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の電着金属13bの厚さ(符号省略)を、開口部14aの周辺領域に対応する部分(充填深さD1bおよびD2bを参照)から開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)に向かって徐々に小さくすることによって為し得ている。
【0020】
ここで、
図6を用いて、
図4および
図5に示した形態を得るための製造方法例について説明する。なお、ここで説明する製造方法をあくまでも一例であって、
図4および
図5に示した形態を得るための製造方法を制限するものではない。
【0021】
ステンレス等の金属から成る基板15を用意し、基板15の一面に、金属マスク部14の開口部14aのパターンを反転した態様のレジストパターン16を形成する(
図6(A)を参照)。このレジストパターン16の形成は、ネガ型のフォトレジストシートを基板15の一面に貼り付けるか、あるいは、ポジ型またはネガ型のフォトレジスト剤を基板15の一面に塗工した後、フォトリソグラフィ法によって不必要部分を排除する方法によって行う。
【0022】
そして、レジストパターン16の表面を凸曲面状に加工する(
図6(A)を参照)。この加工には、ブラシ研磨やブラスト研磨等の研磨手法の他、前記のフォトリソグラフィ法においてネガ型のフォトレジストシートやフォトレジスト剤を使用する場合に、現像によるレジストパターン16の膨潤状態の変化を利用して表面を凸曲面状に仕上げる手法等が採用できる。
【0023】
そして、電気鋳造法によって、基板15の一面のレジストパターン16が存在しない部分に金属マスク部14を構成する金属プレートを形成する(
図6(B)を参照)。なお、
図6(B)には金属マスク部14を構成する金属プレートの厚さをレジストパターン16の周辺部分の厚さよりも大きく描いているが、同金属プレートの厚さはレジストパターン16の周辺部分の厚さと同じでもよい。
【0024】
そして、レジストパターン16および金属マスク部14を構成する金属プレートの上に金属メッシュ13aを載せ(
図6(C)を参照)、電気鋳造法によって、金属メッシュ13aの表面に電着金属13bを形成する。この電気鋳造により、金属メッシュ13aの表面に電着金属13bが形成されるとともに、電着金属13bによって金属マスク部14を構成する金属プレートが金属メッシュ部13に接合される(
図4および
図5を参照)。
【0025】
そして、金属マスク部14を構成する金属プレートが接合された金属メッシュ部13を基板15から抜き出す。この抜き出し時にレジストパターン16も一緒に抜き出された場合には、抜き出し後にレジストパターン16を排除する。以上で、
図4および
図5に示した形態が得られる。
【0026】
金属マスク部14が金属プレートによって構成されているタイプのスクリーン印刷版10によれば、以下の効果を得ることができる。
【0027】
(E1)金属マスク部14の開口部14aの外側端14a2から金属メッシュ部13までの寸法を充填深さとしたとき、この充填深さは、開口部14aの中央領域に対応する部分が最も大きくなっている。そのため、導体ペースト印刷において目標印刷厚さが小さくなった場合でも、印刷ペーストの中央部分の実印刷厚さが他の部分に比べて小さくなるバラツキを生じることを抑制して、実印刷厚さが極力均一となるペースト印刷を行うことができる。
【0028】
(E2)前記充填深さが、金属マスク部14の開口部14aの周辺領域に対応する部分から開口部14aの中央領域に対応する部分に向かって大きくなっている。そのため、印刷ペーストの実印刷厚さが中央部分から周辺部分に向かって徐々に大きくなるバラツキを生じるようなケースでも、このようなバラツキを生じることを抑制して、実印刷厚さが極力均一となるペースト印刷を行うことができる。
【0029】
(E3)前記充填深さの変化を、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の厚さを開口部14aの中央領域に対応する部分で最も小さくすることによって、具体的には、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の厚さを開口部14aの周辺領域に対応する部分から開口部14aの中央領域に対応する部分に向かって小さくすることによって為し得ている。すなわち、金属マスク部14の開口部14aそれ自体に手を加えていないので、印刷ペーストの外形にバラツキを生じる懸念は生じない。特に、前記充填深さの変化を、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の電着金属13bの厚さを開口部14aの周辺領域に対応する部分から開口部14aの中央領域に対応する部分に向かって徐々に小さくすることによって為し得るようにすれば、金属メッシュ13aの厚さが部分的に小さくなることによる強度低下や耐久性低下等の問題を生じることもない。
【0030】
次に、
図3および
図7〜
図9を用いて、金属マスク部14’が電着金属によって構成されているタイプの要部構成とその製造方法例と効果について順に説明する。
【0031】
金属メッシュ部13は、金属メッシュ13aと、金属メッシュ13aの表面に設けられた電着金属13bとから構成されており、多数の孔13cを有している。金属メッシュ13aは、ステンレスやタングステン等の金属線を格子状に編み込んだものによって構成されている。
図3、
図7及び
図8に示した金属メッシュ13aはカレンダー加工が施されたものであるため、厚さ方向両面それぞれにおいて金属線が交差する箇所に平面部(符号省略)が形成されている。このカレンダー加工は、金属メッシュ13aの厚さt2aを小さくすることを主たる目的として使用される周知の工法であるため、金属メッシュ13aを構成する金属線の線径が小さく、かつ、金属メッシュ13a自体の厚さt2aが小さい場合には必ずしも必要なものではない。
【0032】
カレンダー加工の有無に拘わらず、金属メッシュ13aを構成する金属線の線径は好ましくは13〜20μmの範囲内にあり、オープニングは好ましくは20〜35μmの範囲内にあり、金属メッシュ13aの厚さt2aは好ましくは15〜30μmの範囲内にある。また、電着金属13bは、ニッケルやニッケル合金等の金属から成り、その厚さ(符号省略)は好ましくは0.3〜2μmの範囲内にある。
【0033】
金属マスク部14’は、電着金属によって構成されており、印刷パターンに対応した開口部14aを有している。この金属マスク部14’を構成する電着金属は、金属メッシュ13aの表面に設けられた電着金属13bと同じ金属から成り、当該電着金属13bと連続している。すなわち、金属マスク部14’を構成する電着金属は、金属メッシュ13aの表面に電着金属13bを形成するときに同時に形成されたものである。この電着金属の厚さt2b(金属マスク部14’の厚さに相当)は、好ましくは0.3〜4μmの範囲内にある。ちなみに、金属マスク部14’の厚さt2bは、0.3〜4μmの範囲内で定める他、0.3〜2.5μmの範囲内で定めてももよいし、0.3〜1.5μmの範囲内で定めてもよい。なお、
図3には、図示の便宜上、金属マスク部14’を構成する電着金属に外形が矩形を成す開口部14aを描いているが、開口部14aの外形には印刷パターンに対応した種々の形状が採用可能である。
【0034】
図7および
図8から分かるように、金属マスク部14’の開口部14aの内面と、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側(
図7および
図8の上端側)に在る部分とによって、充填空間FS’が形成されている。また、開口部14aの外側端14a2(
図7および
図8の下端)から金属メッシュ部13までの寸法を充填深さとしたとき、この充填深さは、開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)が最も大きくなっている。詳しく述べれば、充填深さは、開口部14aの周辺領域に対応する部分(充填深さD1bおよびD2bを参照)から開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)に向かって徐々に大きくなっている。ちなみに、充填深さの最大値(充填深さD1aおよびD2aを参照)と最小値(充填深さD1bおよびD2bを参照)との比率は、好ましくは1.2≦最大値/最小値≦2.0の範囲内にある。
【0035】
また、
図7および
図8から分かるように、先に述べた充填深さの変化は、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の厚さ(符号省略)を、開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)で最も小さくすることによって為し得ている。具体的には、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の厚さ(符号省略)を、開口部14aの周辺領域に対応する部分(充填深さD1bおよびD2bを参照)から開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)に向かって徐々に小さくすることによって為し得ている。より具体的には、金属メッシュ部13の開口部14aの内側端14a1側に在る部分の電着金属13bの厚さ(符号省略)を、開口部14aの周辺領域に対応する部分(充填深さD1bおよびD2bを参照)から開口部14aの中央領域に対応する部分(充填深さD1aおよびD2aを参照)に向かって徐々に小さくすることによって為し得ている。
【0036】
ここで、
図9を用いて、
図7および
図8に示した形態を得るための製造方法例について説明する。なお、ここで説明する製造方法をあくまでも一例であって、
図7および
図8に示した形態を得るための製造方法を制限するものではない。
【0037】
ステンレス等の金属から成る基板15を用意し、基板15の一面に、金属マスク部14’の開口部14aのパターンを反転した態様のレジストパターン16’を形成する(
図9(A)を参照)。このレジストパターン16’の形成は、ネガ型のフォトレジストシートを基板15の一面に貼り付けるか、あるいは、ポジ型またはネガ型のフォトレジスト剤を基板15の一面に塗工した後、フォトリソグラフィ法によって不必要部分を排除する方法によって行う。
【0038】
そして、レジストパターン16’の表面を凸曲面状に加工する(
図9(A)を参照)。この加工には、ブラシ研磨やブラスト研磨等の研磨手法の他、前記のフォトリソグラフィ法においてネガ型のフォトレジストシートやフォトレジスト剤を使用する場合に、現像によるレジストパターン16’の膨潤状態の変化を利用して表面を凸曲面状に仕上げる手法等が採用できる。
【0039】
そして、レジストパターン16’の上に金属メッシュ13aを載せ(
図9(B)を参照)、電気鋳造法によって、金属メッシュ13aの表面に電着金属13bを形成する。この電気鋳造により、金属メッシュ13aの表面に電着金属13bが形成されるとともに、金属マスク部14’を構成する電着金属が電着金属13bと連続して形成される(
図7および
図8を参照)。
【0040】
そして、金属マスク部14’を構成する電着金属を有する金属メッシュ部13を基板15から抜き出す。この抜き出し時にレジストパターン16’も一緒に抜き出された場合には、抜き出し後にレジストパターン16’を排除する。以上で、
図7および
図8に示した形態が得られる。
【0041】
金属マスク部14’が電着金属によって構成されているタイプのスクリーン印刷版10によって得られる効果は、金属マスク部14が金属プレートによって構成されているタイプのスクリーン印刷版10によって得られる効果と同じであるため、その記載を省略する。
【0042】
次に、
図10を用いて、前記スクリーン印刷版10(金属マスク部14が金属プレートによって構成されているタイプ、または、金属マスク部14’が電着金属によって構成されているタイプ)を使用した電子部品の製造方法例について説明する。なお、ここで説明する製造方法をあくまでも一例であって、電子部品の製造方法を制限するものではない。
【0043】
前記スクリーン印刷版10を使用して電子部品、例えば積層セラミックコンデンサを製造するときには、最初に、
図10(A)に示した帯状の第1グリーンシートGS1を作製するとともに、
図10(B)に示した帯状の第2グリーンシートGS2を作製する。
【0044】
第1グリーンシートGS1は、チタン酸バリウム等の誘電体セラミックス粉末を含むセラミックスラリーを、帯状のキャリアフィルムの表面に連続塗工して乾燥することによって作製することができる。また、第2グリーンシートGS2は、前記スクリーン印刷版10を使用して、ニッケル等の金属粉末を含む導体ペーストを、第1グリーンシートGS1の表面に印刷して乾燥し、未焼成導体層UCLの群を等間隔で形成することによって作製することができる。
【0045】
第2グリーンシートGS2を作製するときに使用する前記スクリーン印刷版10は、
図10(B)に示した未焼成導体層UCLの群の印刷パターンに対応した複数の開口部14aを有している。
図10(B)には未焼成導体層UCLの群を千鳥配列で形成したものを示したが、当該未焼成導体層UCLの群はマトリックス配列で形成してもよい。
【0046】
第1グリーンシートGS1および第2グリーンシートGS2を作製した後は、第1グリーンシートGS1から
図10(A)に破線で示したシート部分を抜き出すとともに、第2グリーンシートGS2から
図10(B)に破線で示したシート部分を抜き出して、これらを適宜積み重ねて熱圧着し、
図10(C)に示した未焼成積層シートULSを作製する。
【0047】
そして、未焼成積層シートULSを
図10(C)に破線で示した切断ラインに沿って格子状に切断して、
図10(D)に示した未焼成部品本体UCBを作製する。
図10(D)から分かるように、未焼成積層シートULS内の未焼成導体層UCLは切断により二分されるため、二分された未焼成導体層UCLの端縁が各未焼成部品本体UCBの切断面に露出する。
【0048】
そして、多数個の未焼成部品本体UCBを焼成炉に投入し、前記誘電体セラミックス粉末および前記金属粉末に応じた雰囲気および温度プロファイルにて一括で焼成を行って、導体層CLを内蔵した部品本体CB(
図10(E)を参照)を作製する。なお、焼成後の部品本体CBには必要に応じてバレル研磨を施してもよい。
【0049】
そして、部品本体CBの相対する端部に前記同様の導体ペーストを塗布し焼き付け処理を施して、
図10(E)に示した外部電極EEを作製する。部品本体CBの相対する端面には内部の導体層CLが交互に露出しているため、
図10(E)にあっては左側の外部電極EEは上から奇数番目の導体層CLの端縁と接続し、右側の外部電極EEは上から偶数番目の導体層CLの端縁と接続する。
【0050】
なお、
図10(E)には、外部電極EEの形態として、部品本体CBの端面と当該端面に隣接する4側面の一部を連続して覆う5面タイプのものを例示したが、当該外部電極EEの形態には、部品本体CBの端面と当該端面に隣接する2側面(
図10(E)の上下面)の一部を連続して覆う3面タイプのものや、部品本体CBの端面と当該端面に隣接する1側面(
図10(E)の下面)の一部を連続して覆う2面タイプのもの等を適宜採用してもよい。
【0051】
また、外部電極EEが焼き付け処理によって作製される場合には、
図10(D)に示した未焼成部品本体UCBの相対する端部に前記同様の導体ペーストを塗布してから、焼成炉に投入してもよい。このようにれば、外部電極EEを作製するステップを、部品本体CBを作製するステップの焼成プロセスを利用して当該ステップと同時に行うことができる。
【0052】
前記スクリーン印刷版10(金属マスク部14が金属プレートによって構成されているタイプ、または、金属マスク部14’が電着金属によって構成されているタイプ)は、先に述べた積層セラミックコンデンサの製造に限らず、積層セラミックインダクタや積層セラミックバリスタ等の他の電子部品の製造にも使用することができる。すなわち、スクリーン印刷法による導体ペースト印刷を用いて導体層を作製する電子部品であれば、当該電子部品の製造に前記スクリーン印刷版10を使用することができる。
【0053】
また、前記スクリーン印刷版10によれば、導体ペースト印刷において目標印刷厚さが小さくなった場合でも、印刷ペーストの中央部分の実印刷厚さが他の部分に比べて小さくなるバラツキを生じることを抑制して、実印刷厚さが極力均一となるペースト印刷を行うことができる。つまり、積層セラミックコンデンサ等の電子部品の製造に前記スクリーン印刷版10を使用すれば、厚さが小さな導体層をその厚さにバラツキを生じることなく作製して高品質の電子部品を製造できることになる。