特開2018-161957(P2018-161957A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東精工株式会社の特許一覧 ▶ 新居浜マリーナサービス株式会社の特許一覧

特開2018-161957気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶
<>
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000003
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000004
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000005
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000006
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000007
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000008
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000009
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000010
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000011
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000012
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000013
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000014
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000015
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000016
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000017
  • 特開2018161957-気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-161957(P2018-161957A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/38 20060101AFI20180921BHJP
【FI】
   B63B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-59928(P2017-59928)
(22)【出願日】2017年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517105629
【氏名又は名称】新居浜マリーナサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】倉内 亮平
(72)【発明者】
【氏名】谷村 竜一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正蔵
(72)【発明者】
【氏名】長井 弘志
(72)【発明者】
【氏名】松田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】筒井 壽博
(57)【要約】
【課題】海水または真水の動圧を利用して気泡を発生させてこの気泡により船舶航行時の摩擦抵抗を低減させる省エネルギー化装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る省エネルギー化装置4は、船尾側に取水口5aを開口させるための取水配管6と、この取水配管6を通じて取水される水に微小気泡を混合して微小気泡混合体を生成するエジェクタ13と、前記エジェクタ13により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口8aを後進方向に開口させるための吐出配管9とを船舶本体1Aに外付け可能としたことを特徴としている。この構成により、船舶本体1Aに改造を加えることなく船舶に取付け可能で、かつ船舶航行時に摩擦抵抗低減効果をもたらす微小気泡が効果的に吐出されるユニット構造の省エネルギー化装置を提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船尾側において取水口を前進方向に開口させるための取水配管と、この取水配管を通じて取水される水に微小気泡を混合して微小気泡混合体を生成する混合気体生成部と、前記混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口を前記取水口よりも船首側の船底において後進方向に開口させるための吐出配管とを船舶本体に外付け可能としたことを特徴とする気泡を用いた省エネルギー化装置。
【請求項2】
船尾に外付け可能なチャンバタンクを有し、このチャンバタンクに取水配管の一端と混合気体生成部と吐出配管の一端とこの吐出配管に微小気泡混合体を送る吐出ポンプとを内設して、このチャンバタンク内に混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を一時的に貯留可能としたことを特徴とする請求項1に記載の気泡を用いた省エネルギー化装置。
【請求項3】
前記吐出配管は、接着平面と突条とを有する横断面略三角形状の水平配管を持つことを特徴とする請求項1または2に記載の気泡を用いた省エネルギー化装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の省エネルギー化装置を船舶本体に取り付けてなることを特徴とする船舶。
【請求項5】
取水口を有する取水配管と、この取水配管に取付けられる主開閉弁と、取水配管に取付けられて水に微小気泡を混合して微小気泡混合体を生成する混合気体生成部と、混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口を有する吐出配管と、取水配管の一端、混合気体生成部、吐出配管の一端およびこの吐出配管に微小気泡混合体を送る吐出ポンプ並びに満水を検知する満水検知センサが内部に配置されて混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を一時的に貯留可能なチャンバタンクと、このチャンバタンク内に配置されて取水口からの水、チャンバタンク内の微小気泡混合体の何れかを取り込む吸水ポンプとを備え、前記取水配管はこの吸水ポンプ停止時に取水口からの水を混合気体生成部に取り込む動圧配管を有するとともに、満水検知センサの満水検出により動圧配管を閉状態に保持してチャンバタンク内の微小気泡混合体を取水配管に送るように吸水ポンプを駆動する制御部を有することを特徴とする気泡を用いた省エネルギー化装置。
【請求項6】
請求項5に記載の省エネルギー化装置を船舶本体に備えていることを特徴とする船舶。
【請求項7】
前記取水配管は船尾側に取水口を、取水口と吸水ポンプとの間に主開閉弁を有し、前記吐出口を取水口より前進側に位置させ、さらに前記チャンバタンクを船尾側に外付けしていることを特徴とする請求項6に記載の船舶。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の航行により取り込まれる海水または真水にその動圧を利用して気泡を混合し、当該気泡により船舶航行時の摩擦抵抗を低減させる気泡を用いた省エネルギー化装置および同装置を備えた船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、喫水線下における船舷・船底の接水面と海水との間に発生する摩擦抵抗を低減させて船舶の省エネルギー化を図る手段として、船舷・船底を微小気泡( マイクロパプル) で覆うことが有効であると知られている。この省エネルギー化手段の一例として、特許第4503688号公報に記載の船舶における摩擦抵抗低減装置(以下、摩擦低減装置という)がある。この摩擦低減装置54は、図15に示すように船舶51の喫水線下にある船首に設けた海水の取水口55aとこの取水口55aより後方かつ喫水線下の船底に設けた海水・微小気泡の噴出口58aとを結ぶ送水管56に、軸線が喫水線より上になる迂回送水管56aを設けて、この迂回送水管56aにエジェクタ63を設けた構成となっている。また、前記エジェクタ63は、図16に示すように船舶51の航行によって取水口55aから自然に流入する海水を迂回送水管56aに送り込み、大気圧下で海水に空気を混合して微小気泡を発生させる構成を備えている。これにより、摩擦低減装置54は船底に設けた噴出口58aから海水および微小気泡を噴出して微小気泡により船舷または船底を広く覆って、摩擦抵抗低減効果を発揮し、船舶51の省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
また、前記摩擦低減装置54では、船舶51が停止状態にあると前記海水の流入が期待できないことから、船舶51が前進し始める停止状態から海水の流入を促すために、取水口55aと迂回送水管56aとを結ぶ前部送水管56bに吸水ポンプ(図示せず)が配置されている。この吸水ポンプにあっては、船舶が一定の速度に達して取水口55aから自然な海水の永続的な流入が確保されるまで駆動され、当該流入が確保された段階で停止またはそのまま駆動し続けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4503688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の摩擦低減装置54によれば、船舶が前進し始める停止状態はもちろんながら通常航行時においても、船舷・船底の接水面と海水との間に発生する摩擦抵抗が微小気泡により低減され、所定の摩擦抵抗低減効果が得られ、当該摩擦低減装置54を備える船舶にあっては、省エネルギー化を図ることが可能となっている。
【0006】
しかしながら、当該摩擦低減装置54を船舶51に取付けるとなると、船首に海水の取水口55aを設け、取水口55aより後方かつ喫水線下の船底に海水・微小気泡の噴出口58aを設ける一方、その間を接続する迂回送水管56aおよびエジェクタ63等を船体内に設けなければならない。そのため、船舶を大幅に改造しなければならず、省エネルギー化に要する費用が過大となってしまうという問題が生じている。
【0007】
また、当該摩擦低減装置54では船舶51が前進し始める停止状態から海水の流入を促すために吸水ポンプを配置していることから、船舶51の航行により取水される海水の動圧が所定の動圧になると、吸水ポンプをそのまま継続して駆動するか、停止させるかの選択がされている。これにより、吸水ポンプによって取水される海水を利用して微小気泡を生成したリ、船舶51の航行にともなって取水される海水を利用して、微小気泡を生成したりしている。そのため、吸水ポンプを継続利用する場合には吸水ポンプを駆動するための燃料の消費が増大してしまって、この燃料消費増が省エネルギー化を減じてしまうという問題が生じている。また、吸水ポンプを停止させて船舶の航行にともなって取り込まれる海水を利用する場合には、海水に混合される微小気泡の量も海水の動圧により決まるので、その量を多くすることができず、微小気泡による摩擦抵抗低減効果を十分高めることができない。そのために、やはり省エネルギー化の実効が図れないという問題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る省エネルギー化装置は、上記問題を解決するために発明されたもので、船尾側において取水口を前進方向に開口させるための取水配管と、この取水配管を通じて取水される水に微小気泡を混合して微小気泡混合体を生成する混合気体生成部と、前記混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口を前記取水口よりも船首側の船底において後進方向に開口させるための吐出配管とを船舶本体に外付け可能としたことを特徴としている。なお、「船底」には「船舷」も含まれる。この構成により、船舶本体に改造を加えることなく船舶に取付け可能で、かつ船舶航行時に摩擦抵抗低減効果をもたらす微小気泡が効果的に吐出されるユニット構造の省エネルギー化装置を提供することができる。
【0009】
この場合、前述の構成に加えて、船尾に外付け可能なチャンバタンクを有し、このチャンバタンクに取水配管の一端と混合気体生成部と吐出配管の一端とこの吐出配管に微小気泡混合体を送る吐出ポンプとを内設して、このチャンバタンク内に混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を一時的に貯留可能とすることが望ましい。この構成により、船舶航行時の摩擦抵抗を低減できる微小気泡混合体が生成される省エネルギー化装置を船舶に取付けるに際して、チャンバタンクを船尾に取付けるとともに、吐出配管を船底に取付けるだけでよく、船舶に特別な改造を加えることなく、簡単かつ安価に行うことができる。また、前記チャンバタンクは微小気泡混合体を貯留できるので、予め貯留しておくことで微小気泡混合体の安定した供給が可能になるとともに、これを循環させるように吸水ポンプを配置すれば、当該混合体に混合される微小気泡の量を循環サイクルのなかで増大させて気泡による船舶航行時の摩擦抵抗低減効果を増大させることが可能な省エネルギー化装置を提供することができる。
【0010】
本発明に係る省エネルギー化装置の吐出配管は、船底との接着時に十分な接着面積を確保し、船舶航行時に水圧が接着平面に加わるようにするとともに船舶の安定を図るために、接着平面と突条とを有する横断面略三角形状の水平配管を持つことが望ましい。
【0011】
本発明に係る船舶は、前述の省エネルギー化装置の何れかを船舶本体に取付けることによって簡易に所期の効果が奏されるものとなる。
【0012】
本発明に係るもう一つの気泡を用いた省エネルギー化装置は、取水口を有する取水配管と、この取水配管に取付けられる主開閉弁と、取水配管に取付けられて水に微小気泡を混合して微小気泡混合体を生成する混合気体生成部と、混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口を有する吐出配管と、取水配管の一端、混合気体生成部、吐出配管の一端およびこの吐出配管に微小気泡混合体を送る吐出ポンプ並びに満水を検知する満水検知センサが内部に配置されて混合気体生成部により生成される微小気泡混合体を一時的に貯留可能なチャンバタンクと、このチャンバタンク内に配置されて取水口からの水、チャンバタンク内の微小気泡混合体の何れかを取り込む吸水ポンプとを備え、前記取水配管はこの吸水ポンプ停止時に取水口からの水を混合気体生成部に取り込む動圧配管を有するとともに、満水検知センサの満水検出により動圧配管を閉状態に保持してチャンバタンク内の微小気泡混合体を取水配管に送るように吸水ポンプを駆動する制御部を有することを特徴としている。この構成により、チャンバタンクを船尾または船内の何れに取付けてもよく、チャンバタンク内が満水になると、吸水ポンプを駆動して微小気泡混合体を循環させたり、吸水ポンプを停止して取水口から水を取り込んだりして、微小気泡の量を増大させ、あるいは船舶航行時の吸水ポンプの駆動を限定することができ、総じて燃料の消費を軽減でき、走行速度の向上にも寄与する省エネルギー化装置を提供することができる。
【0013】
本発明に係るもう一つの船舶は、前述の省エネルギー化装置を船舶本体に取付けることによって、取付位置の如何によらず、燃料消費を有効に軽減することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る他の船舶は、前述のもう一つの船舶の構成に加え、前記取水配管は船尾側に取水口を、取水口と吸水ポンプとの間に主開閉弁を有し、前記吐出口を取水口より前進側に位置させ、さらに前記チャンバタンクを船尾側に外付けしていることを特徴としている。この構成により、トータルの燃料消費をさらに低減でき、走行速度の向上にも寄与する船舶を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した本発明によれば、船舶の航行により取水される海水または真水にその動圧を利用して気泡を混合して、当該気泡により船舶航行時の摩擦抵抗を有効に低減でき、その結果、船舶の燃費や走行性能を向上させることができ、既存の船舶本体等にも簡単に後付け可能な、気泡を用いた新規有用な省エネルギー化装置および船舶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る省エネルギー化装置の内部構造を説明する概略説明図。
図2】本発明に係る船舶の正面図。
図3】本発明に係る船舶の底面図。
図4】本発明に係る船舶の拡大側面図。
図5】本発明に係る省エネルギー化装置の要部拡大平面図。
図6】本発明に係るエジェクタの構造を説明する断面図。
図7図3の一部を省略したA−A線拡大断面図。
図8図3のB−B線拡大断面図。
図9】本発明に係る省エネルギー化装置の配管図。
図10】本発明に係る省エネルギー化装置の制御部の動作状態を説明するタイムチャート。
図11】本発明に係る省エネルギー化装置の配管内における吸水ポンプ駆動時の海水および空気の流れを説明する流路図。
図12】本発明に係る省エネルギー化装置の配管内における吸水ポンプ停止時の海水および空気の流れを説明する流路図。
図13】本発明に係る省エネルギー化装置の配管内における吸水ポンプ停止時で、吐出ポンプ駆動時の海水および空気の流れを説明する流路図。
図14】本発明に係る省エネルギー化装置の配管内における吸水ポンプおよび吐出ポンプ駆動時の海水および空気の流れを説明する流路図。
図15】従来の摩擦抵抗低減装置を備える船舶の要部説明図。
図16図15のC部拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る気泡を利用した省エネルギー化装置(以下、省エネ化装置という)および当該省エネ化装置を備える船舶(以下、本船舶という)を図面に基づき説明する。図2ないし図4に示すように、1は本船舶であり、船首で鋭角に連なる右舷1aおよび左舷1bを備える船舷、これら両舷1a,1bを船尾でほぼ直立して繋ぐ船尾肋板1c、前記両舷1a,1bおよび船尾肋板1cを繋ぐ船底1d、並びに前記両舷1a,1bおよび船尾肋板1cの上面を覆う上甲板1eからなる船舶本体1Aを有している。また、本船舶1は前記両舷1a,1b、船底1dおよび船尾肋板1c並びに上甲板1eにより囲まれる空間を区切る隔壁(図示せず)を有し、これら隔壁により区切られる隔室を持つ船首部1A1、中間部1A2および船尾部1A3でなる構造を有している。前記船首部1A1の上甲板1eには、係船装置(図示せず)が配置されており、また中間部1A2の隔室には船底1dから船尾部1A3の後方に延びるスクリュウシャフト2に回転を与えるエンジン(図示せず)の機関室部(図示せず)および後記舵を操作する操舵部(図示せず)が配置されている。前記スクリュウシャフト2の先端にはスクリュウ2aが取付けられており、エンジンの駆動により正転、または逆転して本船舶1を前進または後進させる推進力が得られるように構成されている。前記船尾部1A3には、船尾肋板1cの後方に延びる舵1fが取付けられており、操舵部での操作により角度を変えることができるように構成されている。
【0018】
前記本船舶1の船尾部1A3には、省エネ化装置4が取付けられている(図2ないし図4参照)。この省エネ化装置4は、図1に示すように船尾側にあって海中または水中に位置しかつ海水または真水(以下、海水という)を取水する取水口5aを前進方向に開口させるための取水配管6と、この取水配管6を通じて取水される海水に空気を混合して微小気泡混合体を生成する混合気体生成部の一例のエジェクタ13と、前記取水口5aより前進側にあってエジェクタ13により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口8aを前記取水口5aよりも船首側の船底1dにおいて後進方向に開口させるための吐出配管9とを備え、これらは船舶本体1Aに外付け可能となっている(図中、後記チャンバタンク10を介して外付けされている)。この構成により、省エネ化装置4は、本船舶1に取付けられるに際しては、前記取水配管6と、吐出配管9を船舶本体1Aに外付けするだけでよく、船舶本体1Aに特別な改造を加える必要がないばかりか、船舶航行時の摩擦抵抗低減効果をもたらす微小気泡が効果的に吐出されるユニット構造が得られる。
【0019】
この外付け構造の省エネ化装置4の一例として、ボルトなどの締結具(図示せず)によりシール部(図示せず)を介して本船舶1の船尾肋板1cに取付けられるチャンバタンク10を有する省エネ化装置4について説明する(図1および図5参照)。このチャンバタンク10は、その底部には前記取水口5aを持つ取水部5を有し、この取水部5には前記取水配管6の一端がフィルタ5bを介して連結されている。
【0020】
前記取水配管6は、チャンバタンク10内でその底部および側部に沿って上部に持ち上げられ、その一端がチャンバタンク10内の上方位置にとどまるように内設されている。この取水配管6の一端には主開閉弁11を介して吸水ポンプ12およびエジェクタ13が接続されており、これら吸水ポンプ12およびエジェクタ13はチャンバタンク10に内設されている。前記吸水ポンプ12は、取水口5aから取水される海水をエジェクタ13に送る作用をなし、その吐出量は当該吸水ポンプ12の燃料消費と本船舶1の航行開始時にチャンバタンク10に微小気泡混合体を貯留するに要する時間とを考慮して決定される。
【0021】
また、前記主開閉弁11と吸水ポンプ12との間には、第1ストレーナ14aと第1逆止弁14bと第1開閉弁14cとを備える循環配管14が接続されている。前記ストレーナ14aは、後記吐出水位近くに配置されており、後記満水検出後吸水ポンプ12の駆動時にチャンバタンク10内の微小気泡混合体を確実に回収してエジェクタ13に送ることができるように構成されている。これにより、吸水ポンプ12はその駆動によりチャンバタンク10外の海水、チャンバタンク10内の微小気泡混合体の何れかをエジェクタ13に送ることができる。
【0022】
さらに、前記主開閉弁11とエジェクタ13との間には、第1三方弁6aおよび第2三方弁6bを介して吸水ポンプ12と並列に動圧配管15が配置されている。この構成により、吸水ポンプ12の停止時に本船舶1の航行にともなって取水口5aから取水される海水の動圧が所定値に達すると前記第1・第2三方弁6a,6bが切り替わって当該海水をエジェクタ13に送ることができる。
【0023】
前記エジェクタ13は、図6に示すように吸水ポンプ12または動圧配管15から送られる海水が流入する流入口13a1を持つ上流側エジェクタ本体13a、微小気泡混合体を生成するデフューザ13bが取付けられた下流側エジェクタ本体13cおよび噴射ノズル13dからなっている。前記噴射ノズル13dは、上・下流側エジェクタ本体13a、13cに挟持されるフランジ部13d1と、上流側エジェクタ本体13aに嵌合する筒部13d2と、外周が先細りに形成された先端部13d3とからなっている。この噴射ノズル13dには筒部13d2から先端部13d3に延びる流通穴13d4が穿設されており、この流通穴13d4は上流側で前記流入口13a1と連通する十分な断面積を有し、先端部13d3内ではその断面積が徐々に小さくなるように形成されている。これにより、前記上流側エジェクタ本体13aの流入口13a1から流れ込む海水が先端部13d3から高速噴射される構成が得られる。
【0024】
前記下流側エジェクタ本体13cには、空気室13c1とこれに交差する方向に延びて連通する空気通過穴13c2とが穿設されており、空気室13c1には前記デフューザ13bの一部が突出ている。また、前記空気通過穴13c2にはチャンバタンク10外に突出する吸気口13d6(図5参照)を有する空気取込配管13d5(図1参照)が接続され、大気圧下の空気が取込可能に構成されている。
【0025】
前記デフューザ13bは、上流側が面取りされかつ全長にわたって延びるテーパ様穴13b1を有し、このテーパ様穴13b1の断面積が下流に向かうに従って徐々に大きくなっており、テーパ様穴13b1を通過する海水の速度が低下するとともに高圧となるように構成されている。前記デフューザ13bの上流側には、前記噴射ノズル13dの先端部13d3の一部がテーパ様穴13b1の内壁から所定の間隙をおいて挿入されており、空気室13c1とテーパ様穴13b1とが連通する構成が得られている。この構成により、噴射ノズル13dの先端部13d3から高速噴射される際に、先端部13d3の周囲に大きな負圧が発生し、デフューザ13bと噴射ノズル13dとの間隙を経由して前記吸気口から大気圧下の空気を吸い込み、高速噴射される海水に空気を混合させる。また、この空気が混合する海水はデフューザ13bのテーパ様穴13b1内を通過する際に高圧下に晒されることから、海水に混合する空気が微小気泡となって微小気泡混合体が生成される。
【0026】
前記チャンバタンク10内には、図9に示すように低水位検知センサ16と中水位検知センサ17と満水検知センサ18とが取付けられており、低水位検知センサ16はチャンバタンク10内の水位が微小気泡混合海水を吐出できる最低限の水位(以下、吐出水位という)を検出するように構成されている。また、前記中水位検知センサ17は満水検知センサ18が満水検出後にチャンバタンク10内の水位が中水位以下になるタイミングを検出するように構成されている。さらに、前記満水検知センサ18はチャンバタンク10内の水位の満水を検出するように構成されている。
【0027】
前記チャンバタンク10は、図1図2および図9に示すようにその底部から一端がチャンバタンク10に内設されかつ下方に突出る4本の垂直配管19とこの垂直配管19それぞれに連なる水平配管20とからなる吐出配管9を有している。前記垂直配管19には第2開閉弁21が接続されており、この第2開閉弁21の開閉によりチャンバタンク10内の微小気泡混合体の排出が制御されるように構成されている。また、前記垂直配管19は本船舶1の船尾肋板1cに固定可能に構成されており、その長さを船尾肋板1cの高さに応じて選択できるように構成されている。さらに、前記垂直配管19には第2ストレーナ22および第2逆止弁23を介してチャンバタンク10に内設された吐出ポンプ24が接続されており、この吐出ポンプ24により微小気泡混合体が垂直配管19に排出される。この吐出ポンプ24は、その吐出量が本船舶1の通常航行時に取水口5aから自然に流入する海水の量よりも少なくなるように選択される。
【0028】
前記垂直配管19には、それぞれ船底位置で船底1dに固定されて船底1dの中央付近まで伸びる水平配管20が連結されている。この水平配管20は、本船舶1の全長に応じて選択され、航行時の摩擦抵抗を最大限低減できる位置に微小気泡混合体を突出させることができる。また、これら水平配管20のうち中央側の2本は他の2本よりも前進方向にわずかに突出ており、本船舶1の航行時に吐出ノズル8により発生する波を押し分けることができるように構成されている。
【0029】
前記水平配管20は、図7および図8に示すように接着平面20aと突条20bとを有する横断面略三角形状をなしており、接着平面20aは例えばシリコン樹脂系接着剤により本船舶1の船底1dまたは船舷1a,1bとの十分な接着力が得られるに必要な接着面積を有している(図4参照)。また、前記突条20bは本船舶1の航行時の摩擦抵抗の軽減、本船舶1の安定、さらに水圧が接着平面20aに加わって剥がれ難くするに最適な構造となっている。
【0030】
前記水平配管20の先端には、図7および図8に示すように吐出ノズル8が取付けられており、この吐出ノズル8は前記水平配管20の横断面よりも大きくしかも水平配管20との接続側で面積が最大となって当該接続側から離れるにしたがって小さくなる横断面三角形状をなしている(図4および図7参照)。また、この吐出ノズル8には前記水平配管20に連なる直進通孔20cとこれに連なり後進方向に戻る折返し通孔20dとが形成されており、この折返し通孔20dの端部が吐出口8aとなって後進方向に向かって開口する構造となっている(図7参照)。これにより、微小気泡混合体を吐出する吐出口8aを後進方向に開口させるための吐出配管9が得られる。
【0031】
前記主開閉弁11、第1・第2開閉弁14c,21、吸水・吐出ポンプ12,24並びに各水位検知センサ16,17.18は、チャンバタンク10内に配置される防水構造の制御部25に接続されている(図2参照)。この制御部25は、図10に示すタイムチャートに従って前述の主開閉弁11などを駆動するように構成されている。すなわち、この制御部25は、電源が入ると、
【0032】
1)主開閉弁11は開放状態に、第1開閉弁14cおよび第2開閉弁21は閉止状態に保持された状態で、吸水ポンプ12を駆動する(この時、第1・第2三方弁6a、6bは吸水ポンプ12側を開放状態。図11参照)。
【0033】
2)取水配管6内の海水の動圧が所定動圧に達すると、吸水ポンプ12が停止する(この時、第1・第2三方弁6a、6bは動圧配管15側を開放状態に切り替わる。図12参照)。
【0034】
3)チャンバタンク10内の水位が上昇してチャンバタンク10内の水位が吐出水位になって低水位検知センサ16が作動すると、第2開閉弁21を開放し、吐出ポンプ24を駆動する(図13参照)。
【0035】
4)チャンバタンク10内の水位が上昇するのを待ち、これが中水位を超えて満水となって、満水検知センサ18が作動すると、主開閉弁11を閉止状態に切り替えるとともに、循環配管14の第1開閉弁14cを開放状態に切り替えて、さらに吸水ポンプ12を駆動する(この時、第1・第2三方弁6a、6bは吸水ポンプ12側を開放状態に切り替わる。図14参照)。
【0036】
5)チャンバタンク10内の水位が中水位まで下がって、これを中水位検知センサ17が検出すると、吸水ポンプ12を停止させるとともに、主開閉弁11を開放状態に、また第1開閉弁14cを閉止状態に切り替える(この時、第1・第2三方弁6a、6bは動圧配管15側を開放状態に切り替わる。図12参照)。
【0037】
6)電源がオフでない時、4)に戻る。
【0038】
7)電源がオフの時、主開閉弁11を開状態に保持するとともに、吸水ポンプ12、吐出ポンプ24を停止し、さらに第2開閉弁21を閉止状態に保持する。
という上記構成を備えている。
【0039】
上記本船舶に取付けられる省エネ化装置にあっては、チャンバタンク10がボルトにより本船舶1の船尾部1A3の船尾肋板1cに固定され、続いて吐出配管9を構成する4本の垂直配管19が船尾肋板1cの高さに併せて選択され、これが船尾肋板1cに固定される。さらに、この垂直配管19には船底1dにシリにコン樹脂接着剤で貼付された水平配管20が連接されれば、省エネ化装置4は喫水線下の本船舶1の船舶本体1Aに微小気泡混合体を吐出することができる。これにより、本船舶1の船舶本体1Aに特別な改造を加える必要がなくて、しかも本船舶の航行時の摩擦抵抗低減効果をもたらす微小気泡が効果的に吐出されるユニット構造の省エネルギー化装置4を提供することができる。
【0040】
また、前述の本船舶1にあっては、航行開始時に制御部25の電源が入ると、図10および図11に示すように主開閉弁11は開放状態に、第1開閉弁14cおよび第2開閉弁21は閉止状態に保持された状態で、吐出ポンプ24が停止された状態で、吸水ポンプ12が駆動される。これにより、チャンバタンク10外の海水が取水口5aから取水され、取水配管6を通ってエジェクタ13に送られる。この海水がエジェクタ3の噴射ノズル13dを通過する際に、噴射ノズル13dから高速噴射されることとなって、噴射ノズル13dの先端部13d3の周囲に大きな負圧が生じる(図6参照)。そのため、大気圧下の空気がチャンバタンク10外に突出する吸気口13d6を備える空気取込配管13d5を介して噴射ノズル13dの先端部13d3とデフューザ13bとの間隙から吸い込まれる。この時、この空気が噴射ノズル13dの先端部13d3から高速噴射される海水と混合し、この海水がデフューザ13bのテーパ様穴13b1を通過する際に、テーパ様穴13b1の作用により減速されてその圧力が上昇(すなわち、速度エネルギーが圧力エネルギーに変換される)する。この海水の圧力上昇により、海水に含まれる空気が微小気泡となり、海水に微小気泡が混合する微小気泡混合体が生成される。この微小気泡混合体がデフューザ13bからチャンバタンク10内に噴射され、チャンバタンク10内に一時的に貯留される。
【0041】
その後、本船舶1の速度が所定速度になって、前記取水口5aから取水される海水の動圧が高くなると、図12に示すように第1・第2三方弁6a,6bが動圧配管15側を開状態にするように切り替わるとともに、吸水ポンプ12が停止する。これにより、取水口5aから自然流入する海水が動圧配管15を通ってエジェクタ13に送られ、吸水ポンプ12の駆動時と同様にエジェクタ13により微小気泡混合体が生成されてチャンバタンク10内に一時的に貯留される。
【0042】
図13に示すように、前記チャンバタンク10内の水位が上昇して吐出水位に達し、これが低水位検知センサ16により検出されると、第2開閉弁21が開放状態に切り替えられるとともに、吐出ポンプ24が駆動される。これにより、微小気泡混合体が垂直配管19に送られ、水平配管20内を通って吐出ノズル8の吐出口8aから本船舶1の後進方向に向かって船舶本体1Aの接水面を覆うように吐出される。この時の微小気泡によって、本船舶1は海中航行する時にはその摩擦抵抗を低減することができる。
【0043】
前記取水口5aから取水される海水によって、微小混合体を生成する間に、チャンバタンク10内の水位が上昇して中水位を超える。この時、中水位検知センサ17が中水位を検出するが、この時には中水位検知センサ17から検出信号は出力されない。
【0044】
図14に示すように、前記チャンバタンク10内の水位がさらに上昇して満水になると、これを満水検知センサ18が検出し、主開閉弁11が閉止状態に切り替えられる。同時に、第2開閉弁21が開状態に切り替えられるとともに、吸水ポンプ12が駆動され、循環配管14を通って微小気泡混合体がエジェクタ13に回収され、微小気泡混合体が再生成される。これにより、当該混合体に混入する微小気泡の量が増大し、本船舶1の航行時の摩擦抵抗低減効果を増大させることができる。
【0045】
この間、主開閉弁11が閉止状態に保持されるので、チャンバタンク10内の微小気泡混合体は漸減し、チャンバタンク10内の水位が中水位以下になると、これが中水位検知センサ17により検出され、主開閉弁11が開状態に切り替えられるとともに、第1開閉弁14cが閉止状態に切り替えられ、さらに吸水ポンプ12が停止する。これにより、取水口5aから自然流入して取水される海水が動圧配管15を通ってエジェクタ13に送られ、微小気泡混合体が生成されて、チャンバタンク10に一時貯留される。これにより、取水口5aから所定動圧の海水が得られる時には、吸水ポンプ12の駆動を制限しながら、微小気泡混合体を生成し、これを吐出口8aから排出することができる。
【0046】
前記水平配管20の先端の吐出口8aから排出される微小気泡は、本船舶1の喫水線下の中央部付近から本船舶1の後進方向に吐出されるため、この微小気泡混合体は本船舶1の航行にともなって、本船舶1の中央から後方の船舶本体1Aを覆うことができるので、船舶航行時には本船舶1の接水面の摩擦抵抗は低減され、本船舶1の省エネルギー化を進めることができる。
【0047】
なお、省エネ化装置4はチャンバタンク10を有するものに限定されるものではなく、チャンバタンク10を使用せずに、船尾側の海水を取水する取水配管6にエジェクタ13および吐出配管9を直接本船舶1の船舶本体1Aに取付けることもできる。
【0048】
以上のとおり、本発明の気泡を用いた省エネルギー化装置4は、船尾側において取水口5aを前進方向に開口させるための取水配管6と、この取水配管6を通じて取水される水に微小気泡を混合して微小気泡混合体を生成するエジェクタ13と、前記エジェクタ13により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口8aを前記取水口5aよりも船首側の船底1dにおいて後進方向に開口させるための吐出配管9とを船舶本体1Aに外付け可能としたことを特徴としている。この構成により、船舶本体1Aに改造を加えることなく本船舶1に取付け可能で、かつ船舶航行時に摩擦抵抗低減効果をもたらす微小気泡が効果的に吐出されるユニット構造の省エネルギー化装置4を提供することができる。
【0049】
この場合、前述の構成に加えて、船尾に外付け可能なチャンバタンク10を有し、このチャンバタンク10に取水配管6の一端とエジェクタ13と吐出配管9の一端とこの吐出配管9に微小気泡混合体を送る吐出ポンプ24とを内設して、このチャンバタンク10内にエジェクタ13により生成される微小気泡混合体を一時的に貯留可能とする構成を採用している。
【0050】
この構成により、本船舶1の航行時の摩擦抵抗を低減できる微小気泡混合体が生成される省エネルギー化装置4を本船舶1に取付けるに際して、チャンバタンク10を船尾に取付けるとともに、吐出配管9を船底1dに取付けるだけでよく、本船舶1に特別な改造を加えることなく、簡単かつ安価に行うことができる。また、前記チャンバタンク10は微小気泡混合体を貯留できるので、予め貯留しておくことで微小気泡混合対の安定した供給が可能になるとともに、これを循環させるように吸水ポンプ12を配置すれば、当該混合体に混合される微小気泡の量を循環サイクルのなかで増大させて気泡による本船舶1の航行時の摩擦抵抗低減効果を増大させることが可能な省エネルギー化装置4を提供することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る省エネルギー化装置4の吐出配管9は、接着平面20aと突条20bとを有する横断面略三角形状の水平配管20を持つ構成を採用している。この構成により、船底1dまたは船舷1a,1bとの接着時に十分な接着面積を確保し、本船舶1の航行時に水圧が接着平面20aに加わるようにするとともに本船舶1の安定を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る船舶は、前述の省エネルギー化装置4の何れかを船舶本体1Aに取付けてなる構成であってもよいが、本実施形態では全てを船舶本体1Aに取り付ける構成を採用している。このため、簡易かつ極めて効果的に所期の効果が奏されるものとなる。
【0053】
また、本実施形態に係るもう一つの気泡を用いた省エネルギー化装置4は、取水口5aを有する取水配管6と、この取水配管6に取付けられる主開閉弁11と、取水配管6に取付けられて水に微小気泡を混合して微小気泡混合体を生成するエジェクタ13と、エジェクタ13により生成される微小気泡混合体を吐出する吐出口8aを有する吐出配管9と、取水配管6の一端、エジェクタ13、吐出配管9の一端およびこの吐出配管9に微小気泡混合体を送る吐出ポンプ24並びに満水を検知する満水検知センサ18が内部に配置されてエジェクタ13により生成される微小気泡混合体を一時的に貯留可能なチャンバタンク10と、このチャンバタンク10内に配置されて取水口5aからの水、チャンバタンク10内の微小気泡混合体の何れかを取り込む吸水ポンプ12とを備え、前記取水配管6はこの吸水ポンプ12の停止時に取水口5aからの水をエジェクタ13に取り込む動圧配管15を有するとともに、満水検知センサ18の満水検出により動圧配管15を閉状態に保持してチャンバタンク10内の微小気泡混合体を取水配管6に送るように吸水ポンプ12を駆動する制御部25を有することを特徴としている。
【0054】
この構成により、チャンバタンク10を船尾または船内の何れに取付けてもよく、チャンバタンク10内が満水になると、吸水ポンプ12を駆動して微小気泡混合体を循環させたり、吸水ポンプ12を停止して取水口5aから水を取り込んだりして、微小気泡の量を増大させ、あるいは本船舶1の航行時に吸水ポンプ12の駆動を限定することができ、総じて燃料の消費を軽減でき、走行速度の向上にも寄与する省エネルギー化装置4を提供することができる。
【0055】
本実施形態に係るもう一つの船舶は、前述の省エネルギー化装置4を船舶本体1に取付けることによって、取付位置の如何によらず、燃料消費を有効に軽減することができる。
【0056】
本実施形態に係る他の船舶は、前述のもう一つの船舶の構成に加え、前記取水配管6は船尾側に取水口5aを、取水口5aと吸水ポンプ12との間に主開閉弁11を有し、前記吐出口9を取水口5aより前進側に位置させ、さらに前記チャンバタンク10を船尾側に外付けていることを特徴としている。この構成により、トータルの燃料消費をさらに軽減でき、走行速度の向上にも寄与する船舶を提供することができる。
【0057】
なお、前記省エネ化装置4の混合気体生成部はエジェクタ13に限定されるものではなく、他の機器で生成される気泡を海水に混合させる装置であってもよい。また、本発明の各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…省エネ化装置を備える船舶、
1A…船舶本体,
4…省エネルギー化装置、
5a…取水口、
6…取水配管、
8a…吐出口、
9…吐出配管、
10…チャンバタンク、
13…エジェクタ、
18…満水検知センサ、

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16