特開2018-162095(P2018-162095A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2018162095-樹脂製容器 図000003
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  • 特開2018162095-樹脂製容器 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-162095(P2018-162095A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20180921BHJP
【FI】
   B65D1/02 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-60891(P2017-60891)
(22)【出願日】2017年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】武田 知己
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真也
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033CA05
3E033DA03
3E033DB10
3E033DC10
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】減圧吸収部の面積が小さくとも、熱間充填後の内圧変動や内容液の容積変動等による容器変形に耐えることが可能であり、尚且つ座屈変形が生じ難い樹脂製容器を提供すること。
【解決手段】キャップが着脱自在な口部2と、口部2に連設される肩部3と、肩部3に連設される胴部4と、胴部4に連設され最下部に位置する底部5とを備え、胴部4に陥没形成される減圧吸収部9が、横断面において容器外側に凸となる膨らみ領域11を備え、膨らみ領域11の高さ方向の長さが20mm〜40mmである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップが着脱自在な口部と、該口部に連設される肩部と、該肩部に連設される胴部と、該胴部に連設され最下部に位置する底部とを備え、
前記胴部に陥没形成される減圧吸収部が、横断面において容器外側に凸となる膨らみ領域を備え、
前記膨らみ領域の高さ方向の長さが20mm〜40mmであることを特徴とする樹脂製容器。
【請求項2】
前記膨らみ領域の横断面形状の曲率半径が40mm〜160mmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧吸収部を備える樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂製容器として、例えば、特許文献1に示すように、胴部の上側と下側のそれぞれに減圧吸収部を備えるペットボトルが知られている。減圧吸収部は、ペットボトルの側面から一段低く陥没形成され、熱間充填後の内圧変動や内容液の容積変動等に対応して湾曲変位することにより、ペットボトルの容器変形を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−299758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のペットボトルでは、例えばデザイン性を重視するような形状をとる場合、減圧吸収部を設ける領域が狭く限られてしまうことがある。そのため、減圧吸収部の面積が小さくなり、特にその高さ方向の長さが短くなると、減圧吸収性能が低下するという問題が生じる。また従来のペットボトルでは、その上下方向から衝撃や荷重が加えられた際、減圧吸収部における平面状のパネルが容器外側に湾曲変位し、これにより容器の内圧が低下して座屈変形が生じる場合が多い。
【0005】
従って、本発明の目的は、減圧吸収部の面積が小さくとも、内容液の容積変動等による容器変形に耐えることが可能であり、尚且つ座屈変形が生じ難い樹脂製容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂製容器の特徴構成は、キャップが着脱自在な口部と、該口部に連設される肩部と、該肩部に連設される胴部と、該胴部に連設され最下部に位置する底部とを備え、前記胴部に陥没形成される減圧吸収部が、横断面において容器外側に凸となる膨らみ領域を備え、前記膨らみ領域の高さ方向の長さが20mm〜40mmである点にある。
【0007】
本発明の樹脂製容器のさらなる特徴構成は、前記膨らみ領域の横断面形状の曲率半径が40mm〜160mmである点にある。
【発明の効果】
【0008】
本構成によれば、減圧吸収部の膨らみ領域が容器外側に膨らんでいる分、平面状のパネルを有する従来の減圧吸収部と比べて減圧吸収代が大きくなるため、より高い減圧吸収性能が発揮される。
【0009】
また、本構成によれば、減圧吸収部の膨らみ領域が容器外側に最初から膨らんでいるため、上下方向から衝撃や荷重が加えられても、膨らみ領域が容器外側に湾曲変位し難い。このため、容器の内圧が低下し難く、座屈変形も生じ難い。
【0010】
従って本構成によれば、より高い減圧吸収性能と座屈変形強度とを確保することができるため、減圧吸収部の面積をより小さく、特に、膨らみ領域の高さ方向の長さを20mm〜40mmという、従来の減圧吸収部における平面状のパネルの高さ方向の長さよりも短くすることが可能となる。
【0011】
また特に、膨らみ領域の横断面形状の曲率半径を40mm〜160mmとした場合、減圧吸収性能と座屈変形強度とがさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】樹脂製容器の側面図である。
図2図1の矢視線II−IIにおける樹脂製容器の縦断面図である。
図3図1の矢視線III−IIIにおける樹脂製容器の横断面図である。
図4】樹脂製容器のその他の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態〕
以下、本発明に係る樹脂製容器の好適な実施の形態として、飲料等の液体が充填されるプラスチックボトル1を図面に基づいて説明する。
【0014】
まず、本明細書で用いる各種の用語について以下のとおり定義する。
本明細書中において「上下方向」とは、図1のプラスチックボトル1(以下、ボトル1と略称する)の中心軸X−Xの方向を意味する。特に図1図2及び図4において、上方とは、図面の上端側を指し、下方とは図面の下端側を指す。
「横方向」又は「水平方向」とは、中心軸X−X方向に直交する方向を意味する。
「周方向」とは、横断面形状の輪郭に沿う方向を意味する。
「径方向」とは、中心軸X−Xを円の中心として考えた場合におけるその円の半径方向を意味する。
「高さ」とは、中心軸X−X方向に沿う長さを意味する。
「深さ」とは、径方向に沿う長さを意味する。
「横断面形状」とは、中心軸X−Xに直交する平面(横断面)におけるボトル1の断面形状を意味する。
「縦断面形状」とは、中心軸X−Xに沿う平面(縦断面)におけるボトル1の断面形状を意味する。
【0015】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係るボトル1は、上方から順に、キャップが着脱自在な口部2と、口部2に連設される肩部3と、肩部3に連設される胴部4と、胴部4に連設され最下部に位置する底部5とを備える。また本実施形態に係るボトル1は、横断面が略円形の円筒状の容器である。
【0016】
ボトル1は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、二軸延伸ブロー成形法などの公知の成形法によって製造することができる。
【0017】
ボトル1に充填される液体としては、特に限定されるものではなく、例えば、飲料水、茶、果汁、コーヒー、ココア、清涼飲料水、アルコール飲料、乳飲料、スープなどの飲料や、ソースや醤油などの液体調味料といったものが挙げられる。またボトル1の内容量についても特に限定されるものではなく、充填する液体の種類等に応じて、数百ミリリットル単位の比較的小容量のものから、数リットル単位の比較的大容量のものに至るまで任意に適用して良い。尚、ボトル1を飲料用ボトルとして適用する場合は、内容量を350mL〜700mLとすることが望ましい。
【0018】
(口部)
口部2は、上端が開口する円筒で構成される部分であり、飲料等の注ぎ口として機能する。口部2の外周面には雄ネジ部が形成されており、図示しないキャップが着脱自在に螺合固定される。
【0019】
(肩部)
肩部3は、その上端から下方に向けて連続して拡径してなる、略円錐状に構成される部分である。尚、本実施形態における肩部3の側面には、多面壁が区画形成されている。
【0020】
(胴部)
胴部4は、上側にラベル部6を備え、下側に把持部7を備える。また本実施形態における胴部4には、強度を補強するために3つの周溝8が設けられている。
【0021】
ラベル部6の外周面には飲料の銘柄等を表示するラベルを設けることができる。ラベルとしては、例えば、印刷適性を有する熱収縮性のフィルム材(シュリンクフィルム)や、ロールラベル等を使用することができる。所望の印刷が施された熱収縮性のフィルム材を筒状にしてボトル1に被せ、これを加熱してボトル1の側面に密着するように収縮させることによって装着する。
【0022】
ラベル部6には、複数の減圧吸収部9が、周方向に所定の間隔で陥没形成されている。減圧吸収部9は、その内側面10によって囲まれている部分に、容器外側に凸となる膨らみ領域11を備える。膨らみ領域11の高さ方向の長さは、20mm〜40mm、好ましくは20mm〜30mmであることが望ましい。本実施形態における膨らみ領域11は略正方形状であり、その高さ方向の長さは、約23mmである。
【0023】
図3に示されるように、膨らみ領域11の横断面形状は、容器外側に凸となるように円弧状に湾曲している。減圧吸収部9による減圧吸収が生じる前の通常状態のボトル1における膨らみ領域11の横断面形状の曲率半径は、40mm(40R)〜160mm(160R)であることが望ましい。また、通常状態のボトル1における膨らみ領域11の膨らみ量B1は、1mm以下であることが望ましく、より望ましくは約0.5mmである。
【0024】
図1及び図2に示されるように、把持部7は、上下方向両端から中央にかけて連続して縮径するくびれ形状をなし、側面に多面壁が区画形成されている
【0025】
(底部)
図1及び図2に示すように、底部5は、ボトル1を立てたときに設置面と接する底面13と、底面13の内縁から中心軸X−Xに向かってなだらかに盛りあがる隆起部14と、隆起部14の中心部に形成される上方に突出する円形の窪み15と、窪み15から周壁12にわたる縦溝部16と、底面13の周縁から上方に拡開するように立ち上がる周壁12とを備えて構成されている。
【0026】
縦溝部16は、底壁13の窪み15から放射状に周方向に等間隔で複数設けられている。縦溝部16は、底部5の強度を補強する補強リブとして機能する。
【0027】
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態における減圧吸収部9の膨らみ領域11の形状については、例えば図4に示されるように、より大きい面積を備える縦長の略長方形状としても良い。この実施形態における膨らみ領域11の高さ方向の長さは、約28mmである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の樹脂製容器は、飲料類や調味料などを密封充填する容器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ボトル
2 口部
3 肩部
4 胴部
5 底部
6 ラベル部
7 把持部
8 周溝
9 減圧吸収部
10 内側面
11 膨らみ領域
12 周壁
13 底面
14 隆起部
15 窪み
16 縦溝部
図1
図2
図3
図4