特開2018-162220(P2018-162220A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-162220(P2018-162220A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】毛髪用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20180921BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20180921BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61Q5/00
   A61K8/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-59432(P2017-59432)
(22)【出願日】2017年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】中西 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 義宣
(72)【発明者】
【氏名】菅原 康之
(72)【発明者】
【氏名】町田 逸人
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽子
(72)【発明者】
【氏名】森野 志歩
(72)【発明者】
【氏名】中澤 菜摘
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC482
4C083AC662
4C083AC692
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD301
4C083AD302
4C083AD491
4C083AD492
4C083CC31
4C083CC33
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
【課題】毛髪のトリートメント効果に優れ、良好な手触りを長期間持続させることができる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩及びフィトステロール又はその誘導体を含有することを特徴とする毛髪用化粧料、並びに1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩を含有する化粧料とフィトステロール又はその誘導体を含有する化粧料を組み合わせた多剤式毛髪用化粧料が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩及び(B)フィトステロール又はその誘導体を含有することを特徴とする毛髪用化粧料。
【請求項2】
前記フィトステロール誘導体が、フィトステロールとダイマー酸とのエステルである請求項1に記載の毛髪用化粧料。
【請求項3】
(A)1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩を含有する化粧料と(B)フィトステロール又はその誘導体を含有する化粧料を組み合わせた多剤式毛髪用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪中にはステロール類、セラミド類、及び脂肪酸などの脂質が存在するが、パーマネントウエーブ処理、染毛処理などの化学的処理によりダメージを受けることにより、これらの脂質が毛髪から失われることが知られている。
【0003】
従来、ダメージを受けた毛髪をケアする目的で、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアマスク、多剤式ヘアトリートメント等の毛髪用化粧料が用いられている。このような毛髪用化粧料には、カチオン性界面活性剤の他、毛髪から失われた脂質を補ったりトリートメント効果を高めたりするために、高級アルコール、流動パラフィン、エステル油、ステロール類、脂質、シリコーン油、天然高分子、合成高分子又はこれらの誘導体が配合されている。これらの成分が使用中の湯または水によるすすぎ後も毛髪の表面に物理的又は電荷的に吸着し、または浸透することにより、トリートメント効果とキューティクルの剥離防止効果が得られることが知られている。
【0004】
ステロール類は優れた使用感を有することから、従来多くの化粧料に配合されており、近年では安全性等の面から、特に植物由来のステロール類であるフィトステロールが用いられる傾向が高い。これらのフィトステロールは生体内に含まれる脂質であるコレステロールと類似の分子構造を有することから、皮膚や毛髪の湿潤保持や肌質、髪質の改善のために用いられている。しかし、ステロール類の融点は100℃以上と高く油性成分との混和性や溶解性が悪いという問題がある。
【0005】
これを改善するために、フィトステロールにプロピレンオキサイドを付加させた誘導体を配合した化粧料が知られており、このようなプロピレンオキサイドを付加させたフィトステロールの誘導体は使用感が良好であるだけでなく、化粧料や組成物中に安定に配合できることが知られている(特許文献1)。
【0006】
従来の毛髪用化粧料においては、使用時の感触は良いが仕上げ時の感触が低下するもの、毛髪に潤い感や柔軟性は付与するがべたつきが生じてしまうものがあった。また、フィトステロールやその誘導体を配合したものでも、根元に対する感触は良いが毛先に対する作用が十分でないため指通りが悪かったり、さらには、仕上げ時の良好な質感がその後十分に持続しないものが多く、ダメージが大きい毛髪には作用が十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−105630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、毛髪のトリートメント効果に優れ、良好な手触りを長期間持続させることができる毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のアルギン酸オリゴ糖又はその塩と、フィトステロール又はその誘導体との組み合わせにより、毛髪のト
リートメント効果が増強されるばかりでなく、その効果が持続することを見出し、この知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩及びフィトステロール又はその誘導体を含有することを特徴とする毛髪用化粧料を提供する。
【0011】
本発明において、フィトステロール誘導体がフィトステロールとダイマー酸とのエステルであるものは、特に好ましい。
【0012】
また、本発明は、1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩を含有する化粧料とフィトステロール又はその誘導体を含有する化粧料を組み合わせた多剤式毛髪用化粧料も提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、毛髪のトリートメント効果に優れ、パーマや染毛などの化学的処理によるダメージが大きい毛髪に対しても優れた修復効果を発揮し、かつ、良好な手触りを長期間持続させることができる毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の毛髪用化粧料は、(A)1質量%水溶液としたときの20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩(以下、「(A)成分」ということもある)と、(B)フィトステロール又はその誘導体(以下、「(B)成分」ということもある)とを含有する。
【0015】
本発明においては、アルギン酸オリゴ糖又はその塩の1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であることが重要であり、この粘度を超えると、毛髪用化粧料としたときに、毛髪表面にアルギン酸オリゴ糖又はその塩が残留しやすくなり、硬く乾燥したような手触りとなって、かえって感触が悪くなる。また、前記粘度は、好ましくは、1.0〜50mPa・s、より好ましくは、1.0〜20mPa・s、さらに好ましくは、1.0〜10mPa・sである。
【0016】
本発明において、アルギン酸オリゴ糖又はその塩の1質量%水溶液の粘度は、以下のようにして測定する。すなわち、JIS Z 8803(2011)に準拠し、測定装置としてB型粘度計(例えば、東機産業株式会社製の商品名「BL型粘度計」)を用いて、温度20℃、回転数60rpmの条件で、粘度に応じて精度良く測定するためにローター番号を後述の範囲で適宜変更して測定する。
【0017】
<回転数60rpmでのローター番号とその測定範囲>
BLアダプタ 0〜10 mPa・s
No.1ローター 0〜100 mPa・s
No.2ローター 0〜500 mPa・s
No.3ローター 0〜2,000 mPa・s
No.4ローター 0〜10,000 mPa・s
【0018】
アルギン酸又はその塩は、β−D-マンヌロン酸とα−L−グルロン酸とを構成要素として含む高分子であり、例えば、昆布、わかめなどの褐藻類から抽出される。本発明におけるアルギン酸オリゴ糖又はその塩は、このような高分子量のアルギン酸又はその塩を、酵素分解処理、あるいは、酸もしくはアルカリにより加水分解処理することで得られるが、その製法はこれに限らない。アルギン酸オリゴ糖は分子量が小さいと粘度が低くなる傾
向があるので、アルギン酸の分解の程度を加減することで所望の粘度範囲のものを得ることができる。
アルギン酸オリゴ糖の塩としては、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を挙げることができ、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩であることが好ましい。
【0019】
本発明において、(B)成分として用いられるフィトステロールとは、植物性ステロール類の総称をいい、例えば、スチグマスタノール((22E)-スチグマスタ−5,22−ジエン−3β−オール)、カンペステロール(カンペスタ−5−エン−3β−オール)、β−シトステロール(スチグマスタ−5−エン−3β−オール)、ブラシカステロール((22E)−エルゴスタ−5,22−ジエン−3β−オール)などを挙げることができる。このようなフィトステロールは小麦胚芽などの植物体から、抽出、精製したものを用いることができる。
【0020】
また、本発明において、フィトステロールの誘導体としては、前記フィトステロールと炭素数3〜40の飽和又は不飽和の脂肪酸、ダイマー酸又はアミノ酸とのモノあるいはジエステル、前記フィトステロールの配糖体(グリコシド)を挙げることができる。
前記炭素数3〜40の脂肪酸は、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよく、また、炭化水素基の一部がヒドロキシ基で置換されていてもよい。
前記ダイマー酸とは、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸を分子間重合反応により二量化して得られる公知の二塩基酸、及び、これを水素添加して得られる水添加二塩基酸をいう。このようなダイマー酸としては、例えば、ダイマージリノール酸、水添ダイマージリノール酸等を挙げることができる。
前記アミノ酸としては、アラニン、グルタミン酸、N−アシルアラニン、N−アシル(炭素数8〜20)−N−アルキル(炭素数1〜4)アラニン、N―アシル(炭素数8〜20)グルタミン酸等を挙げることができる。
【0021】
このようなフィトステロール誘導体としては、例えば、酪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ノナン酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、分岐脂肪酸(C12−31)フィトステリル、分岐脂肪酸(C10−40)フィトステロールエステルズ;ダイマージリノール酸ジフィトステリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスフィトステリル;ミリストイルメチル−β−アラニンフィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジフィトステリル、ラウロイルグルタミン酸フィトステリル;フィトステリルグルコシド、フィトステリルグルコシド/グルコシルセラミド等を挙げることができる。
【0022】
このような(B)成分としては、毛髪用化粧料としたときの毛髪のトリートメント効果及びその持続性の観点から、フィトステロールとダイマー酸とのエステル(モノ又はジエステル)であることが好ましい。
【0023】
本発明においては、(A)成分と(B)成分とは、それぞれ、1種を用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明の毛髪用化粧料においては、(A)成分の配合量が0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%、もっとも好ましくは0.1〜0.5質量%である。
【0025】
また、毛髪用化粧料における(B)成分の配合量は、(A)成分の配合量を100質量部として、0.6〜30000質量部が好ましく、より好ましくは5〜9000質量部、
さらに好ましくは15〜4000質量部である。なお、毛髪用化粧料中の(B)成分の配合量は、0.03〜3質量%程度となるようにすることが好ましい。
【0026】
本発明の毛髪用化粧料は、(A)成分と(B)成分とを別々に含む化粧料を組み合わせた多剤式毛髪用化粧料であってもよい。この場合、(A)成分を含む化粧料(A剤とする)と(B)成分を含む化粧料(B剤とする)を毛髪に適用する順番としては、特に制限はなく、A剤の後にB剤を使用してもよいし、B剤の後にA剤を使用してもよいが、毛髪のトリートメント効果及びその持続性の点から、A剤の後にB剤を使用することがより好ましい。
【0027】
本発明の毛髪用化粧料には上記の(A)成分及び(B)成分の他に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤または両性界面活性剤などの界面活性剤、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマーまたは両性ポリマーなどの水溶性ポリマー、天然抽出油、高級脂肪酸、炭化水素、エステル油、グリセライド、ワックス、高級アルコール類、脂肪酸アミドまたは各種変性シリコーンオイルなどの油分、コラーゲン加水分解物、ケラチン加水分解物、絹加水分解物またはエラスチン加水分解物などの蛋白質加水分解物あるいはその誘導体、さらには保湿剤、低級アルコール、増粘剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、顔料、染料、香料、動物エキス、植物エキスなど、従来用いられている化合物を適宜配合することができる。
【0028】
本発明の毛髪用化粧料の形態としては、毛髪に適用できる剤型であれば特に制限はないが、例えば、シャンプー、リンスオフトリートメント、スタイリング剤、リーブオントリートメント、多剤式トリートメント、パーマ剤、染毛剤、毛髪前後処理剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
【0030】
実施例及び比較例
表1〜表3に記載した処方に従い、実施例1〜14及び比較例1〜7のリンスオフトリートメント、実施例15〜18及び比較例8の多剤式毛髪用化粧料を調製した。
【0031】
なお、表中の成分は次の通りである。
(1)ベヘントリモニウムクロリド: ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド
(2)ステアルトリモニウムクロリド: オクタデシトリメチルアンモニウムクロリド
(3)ジメチコン: 高重合ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度20000〜60000mPa・s)
(4)アモジメチコン: アミノ変性シリコーンオイル(25℃における粘度50000〜100000mPa・s、アミノ基含有量0.25〜0.35質量%)
(5)ラウロイルメチルアラニンNa: N−ドデカノイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム
【0032】
<評価方法>
(1)評価用ウィッグの作製
ウィッグ(トリプル・カット:レジーナ社製)を必要数用意し、これらの毛髪に、日華化学社製「デミ ブリーチパウダー(商品名)」、「アソート アリア C 12/LT(商品名)」、「アソート アリア C OX−6.0(商品名)」を1:1:6の質量比で用事調製したもの160gを塗布し、32℃で30分加温した。その後、10質量%ラウレス硫酸ナトリウム水溶液を用いてウィッグの毛髪を洗浄し乾燥させ、ヘアカラーに
よる化学的処理によって損傷を受けさせた評価用ウィッグを作製した。
【0033】
(2)リンスオフトリートメントの性能評価試験
評価用ウィッグによる評価の際には、それらの毛髪に比較例1〜7、及び実施例1〜14のリンスオフトリートメントで処理するようにした。
また、比較例1〜7、及び実施例1〜14のリンスオフトリートメントについて、これら薬剤のすすぎ時の感触のなめらかさ、ドライ中の指通り感の良さ、ドライ後のしっとり感、ドライ後のなめらかさ、ドライ後のべたつき感の無さ、しっとり感の経日での持続性の6項目について評価を行った。評価は、10名の専門パネルによる官能評価により行った。具体的には、以下に示す評価点基準に従い各専門パネルが採点し、以下の総合評価基準に従い、得られた評価点の合計値からリンスオフトリートメントの性能を評価した。尚、しっとり感の経日での持続性については、処理後の評価ウィッグについて、10質量%ラウレス硫酸ナトリウム水溶液で洗浄してすすぎ、乾燥する一連の操作を10回繰り返した後に、前記の性能評価試験を実施した。
【0034】
[評価点基準]
5点:非常によい、4点:よい、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い。
[各試験項目の総合評価基準]
評価5:点数の合計が40点以上
評価4:点数の合計が30点以上40点未満
評価3:点数の合計が25点以上30点未満
評価2:点数の合計が20点以上25点未満
評価1:点数の合計が20点未満
[リンスオフトリートメントの性能総合評価基準]
◎:各評価項目の総合評価の合計が20点以上
○:各評価項目の総合評価の合計が15点以上20点未満
△:各評価項目の総合評価の合計が10点以上15点未満
×:各評価項目の総合評価の合計が10点未満
【0035】
(3)多剤式毛髪用化粧料の性能評価試験
評価用ウィッグによる評価の際には、それらの毛髪に比較例8、及び実施例15〜18の多剤式毛髪用化粧料で処理するようにした。
また、比較例8、及び実施例15〜18の多剤式毛髪用化粧料について、これらの薬剤で処理したときの薬剤のすすぎ時の感触のなめらかさ、ドライ中の指通り感の良さ、ドライ後のしっとり感、ドライ後のなめらかさ、ドライ後のべたつき感の無さ、しっとり感の経日での持続性の6項目について評価を行った。評価は、10名の専門パネルによる官能評価により行った。具体的には、以下に示す評価点基準に従い各専門パネルが採点し、以下の総合評価基準に従い、得られた評価点の合計値から多剤式毛髪処理剤化粧料の性能を評価した。尚、しっとり感の経日での持続性については、処理後の評価ウィッグについて、10質量%ラウレス硫酸ナトリウム水溶液で洗浄してすすぎ、乾燥する一連の操作を10回繰り返した後に、前記の性能評価試験を実施した。
【0036】
[評価点基準]
5点:非常によい、4点:よい、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い。
[各試験項目の総合評価基準]
評価5:点数の合計が40点以上
評価4:点数の合計が30点以上40点未満
評価3:点数の合計が25点以上30点未満
評価2:点数の合計が20点以上25点未満
評価1:点数の合計が20点未満
[多剤式毛髪処理剤化粧料の性能総合評価基準]
◎:各評価項目の総合評価の合計が20点以上
○:各評価項目の総合評価の合計が15点以上20点未満
△:各評価項目の総合評価の合計が10点以上15点未満
×:各評価項目の総合評価の合計が10点未満
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
(A)1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩及び(B)フィトステロール又はその誘導体を含む本発明のリンスオフトリートメント、並びに(A)1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・s以下であるアルギン酸オリゴ糖又はその塩を含有する化粧料と(B)フィトステロール又はその誘導体を含有する化粧料を組み合わせた本発明の多剤式毛髪用化粧料は、染毛によってダメージを受けた毛髪に対して十分なトリートメント効果を発揮し、かつ、その効果は持続されていた。
【0041】
一方、いずれか片方のみを配合したトリートメントや、両方を配合する場合であっても、アルギン酸オリゴ糖又はその塩として、1質量%水溶液の20℃における粘度が80mPa・sを超えるアルギン酸又はその塩を用いたトリートメントは、染毛によってダメージを受けた毛髪に対して十分なトリートメント効果を付与できず、毛髪の手触りが劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、毛髪のトリートメント効果に優れ、パーマや染毛などの化学的処理によるダメージが大きい毛髪に対しても優れた修復効果を発揮し、かつ、良好な手触りを長期間持続させることができる毛髪化粧料を提供することができる。