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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-162821(P2018-162821A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20180921BHJP
   G05D 7/00 20060101ALI20180921BHJP
   F16H 61/00 20060101ALN20180921BHJP
【FI】
   F15B11/02 M
   G05D7/00 A
   F16H61/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-59728(P2017-59728)
(22)【出願日】2017年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 守
(72)【発明者】
【氏名】小杉 寛明
(72)【発明者】
【氏名】金原 邦男
【テーマコード(参考)】
3H089
3J552
5H307
【Fターム(参考)】
3H089AA24
3H089BB27
3H089DA02
3H089DA13
3H089DB43
3H089DB48
3H089EE15
3H089EE23
3H089GG02
3J552NA01
3J552PA67
3J552QA03A
3J552QA06A
3J552QA30A
3J552QA42B
3J552QA45A
3J552SA59
3J552VA50Z
5H307AA11
5H307BB07
5H307CC11
5H307DD11
5H307DD12
5H307EE02
5H307EE09
5H307EE17
5H307EE22
5H307ES02
5H307GG03
5H307JJ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全吐出状態と半吐出状態とを切り換えることが可能で、小型で製造コストを低減できる油圧制御装置を
提供する。
【解決手段】オイルポンプ20と制御対象ОCとオイルタンクOTとの間に第1弁装置41、第2弁装置42、第3弁装置43、第4弁装置44を設け、各弁装置の流路は、各部油路内の圧力により開閉が行われる構成とする。全吐出状態は第1弁装置が開、第2弁装置、第3弁装置が閉の状態であり、半吐出状態は第1弁装置が閉、第2弁装置、第3弁装置が開の状態となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象を油圧により制御する油圧制御装置であって、
第1吐出ポートおよび第2吐出ポートを有するオイルポンプと、
オイルタンクから前記オイルポンプに吸入されるオイルが通る入力側油路と、
前記第1吐出ポートから吐出されたオイルが流入し、前記制御対象に油圧を供給する第1出力側油路と、
前記第2吐出ポートから吐出されたオイルが流入する第2出力側油路と、
前記第1出力側油路と前記第2出力側油路とを繋ぐ第1接続油路と、
前記第2出力側油路と前記入力側油路とを繋ぐ第2接続油路と、
前記第1接続油路に設けられる第1弁装置と、
前記第2接続油路に設けられる第2弁装置と、
前記第1出力側油路における前記第1接続油路が接続される部分よりも前記制御対象側の部分と前記第2弁装置とを繋ぐ第3接続油路と、
を備え、
前記第1弁装置は、
前記第1接続油路が接続された部分における前記第2出力側油路内の第2出力油圧の値から、前記第1接続油路が接続された部分における前記第1出力側油路内の第1出力油圧の値を減じた第1値が、0よりも大きい第1閾値以上の場合に、前記第1接続油路内における前記第2出力側油路から前記第1出力側油路へのオイルの流れを許容する開状態となり、
前記第1値が前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第1接続油路内における前記第2出力側油路と前記第1出力側油路との間のオイルの流れを遮断する閉状態となり、
前記第2弁装置は、
前記第3接続油路内の油圧が第2閾値以上の場合に、前記第2接続油路内における前記第2出力側油路から前記入力側油路へのオイルの流れを許容する開状態となり、
前記第3接続油路内の油圧が第2閾値よりも小さい場合に、前記第2接続油路内における前記第2出力側油路と前記入力側油路との間のオイルの流れを遮断する閉状態となり、
前記第2弁装置が前記閉状態において、前記第1値は前記第1閾値以上であり、前記第1弁装置は前記開状態である、油圧制御装置。
【請求項2】
前記第3接続油路に設けられる第3弁装置をさらに備え、
前記第3弁装置は、
前記第3接続油路が接続された部分における前記第1出力側油路内の第3出力油圧が第3閾値以上の場合に、前記第3接続油路内における前記第1出力側油路から前記第2弁装置へのオイルの流れを許容する開状態となり、
前記第3出力油圧が前記第3閾値よりも小さい場合に、前記第3接続油路内における前記第1出力側油路と前記第2弁装置との間のオイルの流れを遮断する閉状態となる、請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記第1弁装置は、
第1方向に延びる第1スプール穴部と、
前記第1方向に延び、前記第1スプール穴部の内部に前記第1方向に移動可能に配置される第1スプールバルブと、
前記第1スプールバルブを前記第1方向一方側から前記第1方向他方側に押す第1弾性部材と、
を有し、
前記第1スプール穴部の内部のうち前記第1スプールバルブの前記第1方向一方側に位置する部分には、前記第1出力側油路からのオイルが流入し、
前記第1スプール穴部の内部のうち前記第1スプールバルブの前記第1方向他方側に位置する部分には、前記第2出力側油路からのオイルが流入し、
前記第1スプールバルブは、前記第2出力側油路から前記第1出力側油路に流れるオイルが通る第1連結油路部を有する、請求項1または2に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記第1接続油路のうち前記第1出力側油路と前記第1弁装置とを繋ぐ部分と、前記第1スプール穴部の内部のうち前記第1スプールバルブの前記第1方向一方側に位置する部分とを繋ぐ第1分岐油路をさらに備え、
前記第1スプール穴部の内部のうち前記第1スプールバルブの前記第1方向一方側に位置する部分には、前記第1分岐油路を介して、前記第1出力側油路からのオイルが流入する、請求項3に記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記第3接続油路と繋がり、前記制御対象の部分に潤滑油としてオイルを供給する供給油路をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項6】
前記第3接続油路と前記入力側油路とを繋ぐ第4接続油路と、
前記第4接続油路に設けられる第4弁装置と、
をさらに備え、
前記第4弁装置は、
前記第3接続油路内の油圧が第4閾値以上の場合に、前記第4接続油路内における前記第3接続油路から前記入力側油路へのオイルの流れを許容する開状態となり、
前記第3接続油路内の油圧が第4閾値よりも小さい場合に、前記第4接続油路内における前記第3接続油路と前記入力側油路との間のオイルの流れを遮断する閉状態となる、請求項1から5のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項7】
前記第2吐出ポートから吐出されるオイルの油圧は、前記第1吐出ポートから吐出されるオイルの油圧よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項8】
前記第2弁装置は、
第2方向に延びる第2スプール穴部と、
前記第2方向に延び、前記第2スプール穴部の内部に前記第2方向に移動可能に配置される第2スプールバルブと、
前記第2スプールバルブに対して前記第2方向一方側から前記第2方向他方側に弾性力を加える第2弾性部材と、
を有し、
前記第2スプール穴部の内部のうち前記第2スプールバルブの前記第2方向一方側に位置する部分には、前記第3接続油路からのオイルが流入し、
前記第2スプールバルブは、前記第2出力側油路から前記入力側油路に流れるオイルが通る第2連結油路部を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全吐出モードと半吐出モードとが切り換えられる油圧供給システムが知られている。特許文献1には、全吐出モードと半吐出モードとをソレノイドバルブを用いて切り換える構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−057559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなソレノイドバルブは比較的コストが高いため、全吐出モードと半吐出モードとの切り換えにソレノイドバルブを用いると、油圧供給システムの製造コストが増大する問題があった。また、ソレノイドバルブは、差圧で動くスプールバルブ等に比べて配置上の制約が大きく、油圧供給システムが大型化しやすい問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、全吐出状態と半吐出状態とを切り換えることが可能な油圧制御装置であって、小型で、かつ、製造コストを低減できる油圧制御装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の油圧制御装置の一つの態様は、制御対象を油圧により制御する油圧制御装置であって、第1吐出ポートおよび第2吐出ポートを有するオイルポンプと、オイルタンクから前記オイルポンプに吸入されるオイルが通る入力側油路と、前記第1吐出ポートから吐出されたオイルが流入し、前記制御対象に油圧を供給する第1出力側油路と、前記第2吐出ポートから吐出されたオイルが流入する第2出力側油路と、前記第1出力側油路と前記第2出力側油路とを繋ぐ第1接続油路と、前記第2出力側油路と前記入力側油路とを繋ぐ第2接続油路と、前記第1接続油路に設けられる第1弁装置と、前記第2接続油路に設けられる第2弁装置と、前記第1出力側油路における前記第1接続油路が接続される部分よりも前記制御対象側の部分と前記第2弁装置とを繋ぐ第3接続油路と、を備え、前記第1弁装置は、前記第1接続油路が接続された部分における前記第2出力側油路内の第2出力油圧の値から、前記第1接続油路が接続された部分における前記第1出力側油路内の第1出力油圧の値を減じた第1値が、0よりも大きい第1閾値以上の場合に、前記第1接続油路内における前記第2出力側油路から前記第1出力側油路へのオイルの流れを許容する開状態となり、前記第1値が前記第1閾値よりも小さい場合に、前記第1接続油路内における前記第2出力側油路と前記第1出力側油路との間のオイルの流れを遮断する閉状態となり、前記第2弁装置は、前記第3接続油路内の油圧が第2閾値以上の場合に、前記第2接続油路内における前記第2出力側油路から前記入力側油路へのオイルの流れを許容する開状態となり、前記第3接続油路内の油圧が第2閾値よりも小さい場合に、前記第2接続油路内における前記第2出力側油路と前記入力側油路との間のオイルの流れを遮断する閉状態となり、前記第2弁装置が前記閉状態において、前記第1値は前記第1閾値以上であり、前記第1弁装置は前記開状態である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、全吐出状態と半吐出状態とを切り換えることが可能な油圧制御装置であって、小型で、かつ、製造コストを低減できる油圧制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の油圧制御装置を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態の油圧制御装置を模式的に示す図である。
図3図3は、本実施形態の油圧制御装置を模式的に示す図である。
図4図4は、本実施形態におけるオイルの流量と油圧との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図3に示す本実施形態の油圧制御装置10は、制御対象OCを油圧により制御する。油圧制御装置10は、例えば、車両に搭載される。制御対象OCは、例えば、車両の自動変速機等である。油圧制御装置10は、オイルポンプ20と、入力側油路30と、第1出力側油路31と、第2出力側油路32と、第1接続油路33と、第2接続油路34と、第3接続油路35と、第4接続油路36と、供給油路37と、排出油路38と、第1弁装置41と、第2弁装置42と、第3弁装置43と、第4弁装置44と、を備える。
【0010】
オイルポンプ20は、例えば、車両のエンジンによって駆動されてオイルOを送るポンプである。オイルポンプ20は、第1吐出ポート21および第2吐出ポート22を有する。オイルポンプ20が駆動されることで、第1吐出ポート21および第2吐出ポート22からオイルOが吐出される。本実施形態において第2吐出ポート22から吐出されるオイルOの油圧は、第1吐出ポート21から吐出されるオイルOの油圧よりも大きい。
【0011】
入力側油路30は、オイルOが貯留されるオイルタンクOTからオイルポンプ20に吸入されるオイルOが通る油路である。入力側油路30のオイルタンクOT側の端部には、オイルタンクOTに貯留されるオイルO内に配置されるストレーナSが接続される。
【0012】
第1出力側油路31は、第1吐出ポート21から吐出されたオイルOが流入する油路である。第1出力側油路31は、第1吐出ポート21と制御対象OCとを繋ぐ。第1出力側油路31は、制御対象OCにオイルOの油圧を供給する。第2出力側油路32は、第2吐出ポート22から吐出されたオイルOが流入する油路である。
【0013】
第1接続油路33は、第1出力側油路31と第2出力側油路32とを繋ぐ油路である。第2接続油路34は、第2出力側油路32と入力側油路30とを繋ぐ油路である。第3接続油路35は、第1出力側油路31における第1接続油路33が接続される部分よりも制御対象OC側、すなわち図示右側の部分と第2弁装置42とを繋ぐ油路である。
【0014】
第4接続油路36は、第3接続油路35と入力側油路30とを繋ぐ油路である。本実施形態において第4接続油路36は、入力側油路30側の部分において第2接続油路34と合流して、入力側油路30に接続される。なお、第2接続油路34と第4接続油路36とは、それぞれ別々に入力側油路30に接続されてもよい。
【0015】
供給油路37は、第3接続油路35と繋がる油路である。供給油路37は、第3接続油路35から制御対象OCの部分OCaまで延び、制御対象OCの部分OCaに潤滑油としてオイルOを供給する。部分OCaは、例えば、車両の自動変速機のギア等である。これにより、オイルポンプ20から吐出されるオイルOの一部を利用して、部分OCaの潤滑性を向上できる。
【0016】
排出油路38は、部分OCaに供給されたオイルOをオイルタンクOTに戻す油路である。なお、例えば、オイルタンクOTが部分OCaの下側に配置されている等の場合には、排出油路38を設けずに、部分OCaに供給されたオイルOが落下して直接オイルタンクOTに戻る構成としてもよい。
【0017】
第1弁装置41は、第1接続油路33に設けられる。第1弁装置41が設けられることで、第1接続油路33は、第1部分33aと、第2部分33bとに分断される。第1部分33aは、第1出力側油路31と第1弁装置41とを繋ぐ油路である。第2部分33bは、第2出力側油路32と第1弁装置41とを繋ぐ油路である。第1弁装置41は、第1スプール穴部41aと、第1スプールバルブ41bと、第1弾性部材41cと、を有する。
【0018】
第1スプール穴部41aは、図1から図3における左右方向に延びる。すなわち、本実施形態において各図における左右方向は、第1スプール穴部41aの延びる第1方向に相当する。第1スプール穴部41aの断面形状は、例えば、円形状である。なお、以下の説明においては、図1から図3における左右方向を単に「左右方向」と呼ぶ。また、図1から図3における左右方向の左側を単に「左側」と呼び、図1から図3における左右方向の右側を単に「右側」と呼ぶ。左側は、第1方向一方側に相当し、右側は、第1方向他方側に相当する。なお、左右方向、左側および右側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0019】
第1スプールバルブ41bは、左右方向に延びる円柱状である。第1スプールバルブ41bは、第1スプール穴部41aの内部に左右方向に移動可能に配置される。第1スプールバルブ41bは、第1連結油路部41dを有する。第1連結油路部41dは、第1部分33aと、第2部分33bと、を接続可能である。図1に示すように、第1連結油路部41dが第1部分33aと第2部分33bとを接続した場合、第1連結油路部41d内を、第2出力側油路32から第1出力側油路31に流れるオイルOが通る。第1弾性部材41cは、第1スプール穴部41aの内部のうち第1スプールバルブ41bの左側に位置する部分に配置される。第1弾性部材41cは、第1スプールバルブ41bを左側から右側に押す。
【0020】
油圧制御装置10は、第1接続油路33のうち第1出力側油路31と第1弁装置41とを繋ぐ部分、すなわち第1部分33aと、第1スプール穴部41aの内部のうち第1スプールバルブ41bの左側に位置する部分とを繋ぐ第1分岐油路33cをさらに備える。第1スプール穴部41aの内部のうち第1スプールバルブ41bの左側に位置する部分には、第1分岐油路33cを介して、第1出力側油路31からのオイルOが流入する。これにより、第1スプール穴部41aの内部のうち第1スプールバルブ41bの左側に位置する部分に第1出力側油路31内のオイルOを導くための油路の全長を、第1弁装置41が配置される位置によらず一定にしやすい。
【0021】
第1スプール穴部41aの内部のうち第1スプールバルブ41bの右側に位置する部分には、第2出力側油路32の第2吐出ポート22側と逆側の端部が接続される。これにより、第1スプール穴部41aの内部のうち第1スプールバルブ41bの右側に位置する部分には、第2出力側油路32からのオイルOが流入する。
【0022】
これにより、第1スプールバルブ41bは、第1分岐油路33cから第1スプール穴部41a内に流入する第1出力側油路31内のオイルOの第1出力油圧P1によって加えられる右向きの力と第1弾性部材41cによる右向きの力とを足し合わせた力と、第2出力側油路32から第1スプール穴部41a内に流入する第2出力側油路32内のオイルOの第2出力油圧P2によって加えられる左向きの力との釣り合いに応じて左右方向に移動する。
【0023】
第1出力油圧P1は、第1接続油路33が接続された部分における第1出力側油路31内の油圧に相当する。第2出力油圧P2は、第1接続油路33が接続された部分における第2出力側油路32内の油圧に相当する。第1スプールバルブ41bが左右方向に移動することで、第1連結油路部41dが左右方向に移動し、第1部分33aと第2部分33bとが連結された状態と切断された状態との間で変化する。
【0024】
第1弁装置41において、第1部分33aと第2部分33bとが連結された状態は、第1接続油路33内における第2出力側油路32から第1出力側油路31へのオイルOの流れを許容する開状態である。第1弁装置41において、第1部分33aと第2部分33bとが切断された状態は、第1接続油路33内における第2出力側油路32と第1出力側油路31との間のオイルOの流れを遮断する閉状態である。すなわち、第1弁装置41は、第1スプールバルブ41bの左右方向の移動に伴って、開状態と閉状態との間で状態が変化する。図1および図2では、第1弁装置41が開状態である場合を示し、図3では、第1弁装置41が閉状態である場合を示す。
【0025】
具体的に、例えば、図1に示す開状態において第2出力油圧P2が小さくなると、第1スプールバルブ41bに加えられる左向きの力が、第1スプールバルブ41bに加えられる右向きの力よりも小さくなり、第1スプールバルブ41bが右向きに移動する。第1スプールバルブ41bが右向きに移動すると第1弾性部材41cの弾性力は小さくなるため、第1スプールバルブ41bに加えられる右向きの力は小さくなる。第1スプールバルブ41bは、右側への移動とともに小さくなる右向きの力が、小さくなった第2出力油圧P2による左向きの力と釣り合う位置まで、右向きに移動する。
【0026】
図1に示す開状態から第1スプールバルブ41bが右向きに移動すると、第1連結油路部41dがずれて、第1接続油路33が徐々に遮断される。そして、第1弁装置41は、第2出力油圧P2の値から第1出力油圧P1の値を減じた第1値が第1閾値よりも小さい場合に、第1接続油路33を完全に遮断して図3に示す閉状態となる。
【0027】
一方、閉状態において第2出力油圧P2が大きくなると、上述した場合と逆に、第1スプールバルブ41bが左向きに移動する。そして、第1弁装置41は、第1値が第1閾値以上の場合に、開状態となる。第1閾値は、0よりも大きい。すなわち、第1弁装置41が開状態である場合、第2出力油圧P2は、第1出力油圧P1よりも大きい。これにより、第1弁装置41が開状態になることで、第1接続油路33を介して、第2出力側油路32から第1出力側油路31にオイルOが流入する。第1閾値は、第1弁装置41が開状態にある場合に第1弾性部材41cが第1スプールバルブ41bに加える右向きの弾性力の値以下である。
【0028】
第2弁装置42は、第2接続油路34に設けられる。第2弁装置42が設けられることで、第2接続油路34は、第1部分34aと、第2部分34bとに分断される。第1部分34aは、第2出力側油路32と第2弁装置42とを繋ぐ油路である。第2部分34bは、入力側油路30と第2弁装置42とを繋ぐ油路である。第2弁装置42は、第2スプール穴部42aと、第2スプールバルブ42bと、第2弾性部材42cと、を有する。
【0029】
第2スプール穴部42aは、左右方向に延びる。すなわち、本実施形態において各図における左右方向は、第2スプール穴部42aの延びる第2方向に相当する。本実施形態では、第1方向と第2方向とは、平行な方向である。また、左側は、第2方向一方側に相当し、右側は、第2方向他方側に相当する。
【0030】
第2スプールバルブ42bは、左右方向に延びる円柱状である。第2スプールバルブ42bは、第2スプール穴部42aの内部に左右方向に移動可能に配置される。第2スプールバルブ42bは、第2連結油路部42dを有する。第2連結油路部42dは、第1部分34aと、第2部分34bと、を接続可能である。図3に示すように、第2連結油路部42dが第1部分34aと第2部分34bとを接続した場合、第2連結油路部42d内を、第2出力側油路32から入力側油路30に流れるオイルOが通る。第2弾性部材42cは、第2スプール穴部42aの内部のうち第2スプールバルブ42bの左側に位置する部分に配置される。第2弾性部材42cは、第2スプールバルブ42bを左側から右側に押す。
【0031】
第2スプール穴部42aの内部のうち第2スプールバルブ42bの右側に位置する部分には、第3接続油路35の第1出力側油路31側と逆側の端部が接続される。これにより、第2スプール穴部42aの内部のうち第2スプールバルブ42bの右側に位置する部分には、第3接続油路35からのオイルOが流入する。
【0032】
これにより、第2スプールバルブ42bは、第2弾性部材42cによる右向きの力と、第3接続油路35から第2スプール穴部42a内に流入するオイルOの油圧によって加えられる左向きの力との釣り合いに応じて左右方向に移動する。第2スプールバルブ42bが左右方向に移動することで、第2連結油路部42dが左右方向に移動し、第1部分34aと第2部分34bとが連結された状態と切断された状態との間で変化する。
【0033】
第2弁装置42において、第1部分34aと第2部分34bとが連結された状態は、第2接続油路34内における第2出力側油路32から入力側油路30へのオイルOの流れを許容する開状態である。第2弁装置42において、第1部分34aと第2部分34bとが切断された状態は、第2接続油路34内における第2出力側油路32と入力側油路30との間のオイルOの流れを遮断する閉状態である。すなわち、第2弁装置42は、第2スプールバルブ42bの左右方向の移動に伴って、開状態と閉状態との間で状態が変化する。図1および図2では、第2弁装置42が閉状態である場合を示し、図3では、第2弁装置42が開状態である場合を示す。
【0034】
第2弁装置42は、第3接続油路35内の油圧が第2閾値以上の場合に、開状態となる。第2弁装置42は、第3接続油路35内の油圧が第2閾値よりも小さい場合に、閉状態となる。第2閾値は、0よりも大きい。第2閾値は、第2弁装置42が開状態にある場合に第2弾性部材42cが第2スプールバルブ42bに加える右向きの弾性力の値以下である。言い換えれば、第2閾値は、第2弁装置42が閉状態から開状態へと切り換わった直後の第2弾性部材42cの弾性力と同じである。
【0035】
第3弁装置43は、第3接続油路35に設けられる。第3弁装置43が設けられることで、第3接続油路35は、第1部分35aと、第2部分35bとに分断される。第1部分35aは、第1出力側油路31と第3弁装置43とを繋ぐ油路である。第2部分35bは、第3弁装置43と第2弁装置42とを繋ぐ油路である。第2部分35bには、供給油路37が接続される。第3弁装置43は、第3スプール穴部43aと、第3スプールバルブ43bと、を有する。
【0036】
第3スプール穴部43aは、左右方向に延びる。第3スプールバルブ43bは、左右方向に延びる円柱状である。第3スプールバルブ43bは、第3スプール穴部43aの内部に左右方向に移動可能に配置される。第3スプールバルブ43bは、第3連結油路部43dを有する。第3連結油路部43dは、第1部分35aと、第2部分35bと、を接続可能である。図2に示すように、第3連結油路部43dが第1部分35aと第2部分35bとを接続した場合、第3連結油路部43d内を、第1出力側油路31から第2弁装置42に流れるオイルO、第1出力側油路31から第4弁装置44に流れるオイルO、および第1出力側油路31から供給油路37に流れるオイルOが通る。
【0037】
油圧制御装置10は、第3接続油路35のうち第1出力側油路31と第3弁装置43とを繋ぐ部分、すなわち第1部分35aと、第3スプール穴部43aの内部のうち第3スプールバルブ43bの左側に位置する部分とを繋ぐ第2分岐油路35cをさらに備える。第3スプール穴部43aの内部のうち第3スプールバルブ43bの左側に位置する部分には、第2分岐油路35cを介して、第1出力側油路31からのオイルOが流入する。第3スプール穴部43aの内部のうち第3スプールバルブ43bの右側に位置する部分には、油圧源APからのオイルOが流入する。
【0038】
これにより、第3スプールバルブ43bは、第2分岐油路35cから第3スプール穴部43a内に流入する第1出力側油路31内のオイルOの油圧によって加えられる右向きの力と、油圧源APから第3スプール穴部43a内に流入するオイルOの油圧によって加えられる左向きの力との釣り合いに応じて左右方向に移動する。第3スプールバルブ43bが左右方向に移動することで、第3連結油路部43dが左右方向に移動し、第1部分35aと第2部分35bとが連結された状態と切断された状態との間で変化する。
【0039】
第3弁装置43において、第1部分35aと第2部分35bとが連結された状態は、第3接続油路35内における第1出力側油路31から第2弁装置42へのオイルOの流れを許容する開状態である。第3弁装置43において、第1部分35aと第2部分35bとが切断された状態は、第3接続油路35内における第1出力側油路31と第2弁装置42との間のオイルOの流れを遮断する閉状態である。すなわち、第3弁装置43は、第3スプールバルブ43bの左右方向の移動に伴って、開状態と閉状態との間で状態が変化する。図1では、第3弁装置43が閉状態である場合を示し、図2および図3では、第3弁装置43が開状態である場合を示す。
【0040】
第3弁装置43は、第3接続油路35が接続された部分における第1出力側油路31内の第3出力油圧P3が第3閾値以上の場合に、開状態となる。第3弁装置43は、第3出力油圧P3が第3閾値よりも小さい場合に、閉状態となる。第3閾値は、0よりも大きい。第3閾値は、油圧源APから供給されるオイルOの油圧に応じて変化する。
【0041】
第3弁装置43が開状態となると、第1出力側油路31内のオイルOの一部が第3接続油路35内に流出し、第3出力油圧P3が低下する。そのため、第3出力油圧P3、すなわち第1出力側油路31内の油圧が目標とする値以上になった場合に、第1出力側油路31内の油圧を低下させて調整することができる。これにより、第1出力側油路31によって制御対象OCに加えられる油圧を一定に調整しやすい。また、油圧源APから供給されるオイルOを調整することで、第3閾値を調整できるため、第1出力側油路31から制御対象OCに加えられる油圧を容易に変更できる。
【0042】
第4弁装置44は、第4接続油路36に設けられる。第4弁装置44が設けられることで、第4接続油路36は、第1部分36aと、第2部分36bとに分断される。第1部分36aは、第3接続油路35の第2部分35bのうち供給油路37が接続される部分よりも第2弁装置42側の部分と第4弁装置44とを繋ぐ油路である。第2部分36bは、第4弁装置44と入力側油路30とを繋ぐ油路である。第2部分36bは、入力側油路30側の部分において第2接続油路34の第2部分34bと合流して、入力側油路30に接続される。第4弁装置44は、第4スプール穴部44aと、第4スプールバルブ44bと、第4弾性部材44cと、を有する。
【0043】
第4スプール穴部44aは、左右方向に延びる。第4スプールバルブ44bは、左右方向に延びる円柱状である。第4スプールバルブ44bは、第4スプール穴部44aの内部に左右方向に移動可能に配置される。第4スプールバルブ44bは、第4連結油路部44dを有する。第4連結油路部44dは、第1部分36aと、第2部分36bと、を接続可能である。図3に示すように、第4連結油路部44dが第1部分36aと第2部分36bとを接続した場合、第4連結油路部44d内を、第3接続油路35から入力側油路30に流れるオイルOが通る。第4弾性部材44cは、第4スプール穴部44aの内部のうち第4スプールバルブ44bの左側に位置する部分に配置される。第4弾性部材44cは、第4スプールバルブ44bを左側から右側に押す。
【0044】
油圧制御装置10は、第3接続油路35のうち第2弁装置42と第3弁装置43とを繋ぐ部分、すなわち第2部分35bと、第4スプール穴部44aの内部のうち第4スプールバルブ44bの右側に位置する部分とを繋ぐ第3分岐油路35eをさらに備える。第4スプール穴部44aの内部のうち第4スプールバルブ44bの右側に位置する部分には、第3分岐油路35eを介して、第3接続油路35からのオイルOが流入する。
【0045】
これにより、第4スプールバルブ44bは、第4弾性部材44cによる右向きの力と、第3分岐油路35eから第4スプール穴部44a内に流入するオイルOの油圧によって加えられる左向きの力との釣り合いに応じて左右方向に移動する。第4スプールバルブ44bが左右方向に移動することで、第4連結油路部44dが左右方向に移動し、第1部分36aと第2部分36bとが連結された状態と切断された状態との間で変化する。
【0046】
第4弁装置44において、第1部分36aと第2部分36bとが連結された状態は、第4接続油路36内における第3接続油路35から入力側油路30へのオイルOの流れを許容する開状態である。第4弁装置44において、第1部分36aと第2部分36bとが切断された状態は、第4接続油路36内における第3接続油路35と入力側油路30との間のオイルOの流れを遮断する閉状態である。すなわち、第4弁装置44は、第4スプールバルブ44bの左右方向の移動に伴って、開状態と閉状態との間で状態が変化する。図1および図2では、第4弁装置44が閉状態である場合を示し、図3では、第4弁装置44が開状態である場合を示す。
【0047】
第4弁装置44は、第3接続油路35内の油圧が第4閾値以上の場合に、開状態となる。第4弁装置44は、第3接続油路35内の油圧が第4閾値よりも小さい場合に、閉状態となる。第4閾値は、0よりも大きい。第4閾値は、第4弁装置44が開状態にある場合に第4弾性部材44cが第4スプールバルブ44bに加える右向きの弾性力の値以下である。本実施形態において第4閾値は、例えば、第2閾値よりも大きい。
【0048】
本実施形態の油圧制御装置10によれば、第1吐出ポート21から吐出されるオイルOと第2吐出ポート22から吐出されるオイルOとの両方が制御対象OCに供給される全吐出状態ADと、第1吐出ポート21から吐出されるオイルOのみが制御対象OCに供給される半吐出状態HDと、をオイルポンプ20が吐出するオイルOの流量Qに応じて自動的に切り換えることができる。図1および図2では、油圧制御装置10が全吐出状態ADである場合を示し、図3では、油圧制御装置10が半吐出状態HDである場合を示す。
【0049】
流量Qが制御対象OCに供給される目標値に到達するまでの間においては、油圧制御装置10は、図1に示す全吐出状態ADとなる。図1に示す全吐出状態ADでは、第1弁装置41は開状態であり、第2弁装置42は閉状態であり、第3弁装置43は閉状態であり、第4弁装置44は閉状態である。これにより、第1接続油路33を介して、第2出力側油路32内のオイルOが第1出力側油路31に合流して、オイルポンプ20から吐出されたオイルOのすべてが制御対象OCに供給される。
【0050】
流量Qが制御対象OCに供給される目標値を超えると、第1出力側油路31における第3出力油圧P3が上昇して第3閾値以上となり、第1出力側油路31内の油圧を一定に維持するために、第3弁装置43が開状態となる。これにより、油圧制御装置10は、図2に示す全吐出状態ADとなる。図2に示す全吐出状態ADでは、第1弁装置41は開状態であり、第2弁装置42は閉状態であり、第3弁装置43は開状態であり、第4弁装置44は閉状態である。これにより、オイルポンプ20から吐出されるオイルOのうちの一部は、制御対象OCに供給されずに、第1出力側油路31から第3接続油路35に流れ、部分OCaに供給される。図1および図2において示すように、第2弁装置42が閉状態において、第2出力油圧P2から第1出力油圧P1を減じた第1値は第1閾値以上であり、第1弁装置41は閉状態である。
【0051】
第3弁装置43が開状態となった後においては、流量Qの上昇とともに、第1出力側油路31から第3接続油路35に流れるオイルOの量が増加する。これにより、図4に示すように、供給油路37内のオイルOの油圧である潤滑圧PLが流量Qの増加に伴って上昇する。図4では、潤滑圧PLが流量Qの増加に伴って線形的に上昇する例を示している。潤滑圧PLは、第3接続油路35内の油圧に相当する。なお、図4において縦軸は油圧Pを示し、横軸は流量Qを示す。図4では、第1出力油圧P1が一定に維持される場合について示している。
【0052】
さらに流量Qが増加して、潤滑圧PLが第2閾値Paになる第1流量Q1以上となると、図3に示すように、第2弁装置42が開状態となる。これにより、第2出力側油路32内のオイルOの一部が第2接続油路34に流れ、入力側油路30に合流する。そのため、第2出力側油路32の第2出力油圧P2が低下する。第2弁装置42の開度は、潤滑圧PLが大きくなるのに従って大きくなる。そのため、第2出力油圧P2は、第2弁装置42が開状態となった後、流量Qの増加とともに減少する。図4では、第2出力油圧P2が、例えば、流量Qの増加に対して線形的に減少する例を示している。
【0053】
ここで、第2弁装置42が開状態となっても、第2出力油圧P2の値から第1出力油圧P1の値を減じた第1値が第1閾値以上であれば、第1弁装置41は開状態のままであり、全吐出状態ADが維持される。
【0054】
また、第2弁装置42が開状態となると、第2出力側油路32から第1出力側油路31に合流するオイルOの量が減少する。そのため、流量Qが、第2弁装置42が開状態となる第1流量Q1以上の範囲においては、流量Qが第1流量Q1より小さい範囲よりも、流量Qの増加に対する潤滑圧PLの上昇度合いが小さくなる。
【0055】
さらに流量Qが増加して、第2出力油圧P2が切換圧Pbになる第2流量Q2よりも大きくなると、第2出力油圧P2が切換圧Pbよりも小さくなって、図3に示すように、第1弁装置41が閉状態となる。切換圧Pbは、第1出力油圧P1よりも大きい。切換圧Pbの値から第1出力油圧P1の値を減じた値ΔPは、第1閾値に相当する。すなわち、第2出力油圧P2が切換圧Pbよりも小さくなることは、第2出力油圧P2の値から第1出力油圧P1の値を減じた第1値が第1閾値よりも小さくなることに相当する。
【0056】
第1弁装置41が閉状態となると、第2出力側油路32内のオイルOのすべてが第2接続油路34に流れ、入力側油路30に合流する。これにより、第1出力側油路31内に流れるオイルOは、第1吐出ポート21から吐出されたオイルOのみとなり、油圧制御装置10は、半吐出状態HDとなる。
【0057】
その後、さらに流量Qが増加して、潤滑圧PLが第4閾値以上となると、第4弁装置44が開状態となる。これにより、油圧制御装置10は、図3に示す状態となる。第4弁装置44が開状態となると、第3接続油路35内のオイルOの一部が第4接続油路36に流れ、入力側油路30に合流する。
【0058】
以上のようにして、本実施形態によれば、オイルポンプ20の流量Qが増加すると、自動的に各弁装置の開閉状態が切り換わり、油圧制御装置10を全吐出状態ADと半吐出状態HDとの間で切り換えることができる。
【0059】
例えば、供給油路37から部分OCaに潤滑油として供給されるオイルOの量が多くなると、オイルタンクOTに排出油路38を通って戻されるオイルOの量が多くなる。潤滑油として使用されたオイルOは、微小な金属片等の不純物を含みやすいため、オイルタンクOTからオイルポンプ20に吸引されるオイルOは、ストレーナSを介して吸引される。ここで、ストレーナSを介してオイルOを吸引する場合、ストレーナSを介さずにオイルOを吸引する場合に比べてオイルポンプ20の仕事量が増加する。したがって、供給油路37から部分OCaに潤滑油として供給されるオイルOの量が多くなると、オイルポンプ20の仕事量が増加して、オイルポンプ20の効率が低下する問題があった。
【0060】
これに対して、上述したようにして、オイルポンプ20の流量Qが増加した場合に、第1出力側油路31内に第1吐出ポート21から吐出されるオイルOのみが流れる半吐出状態HDとすることで、全吐出状態ADである場合に比べて、第1出力側油路31から第3接続油路35に流れるオイルOの量を低減することができる。したがって、供給油路37から部分OCaに供給されるオイルOの量が増加することを抑制でき、オイルポンプ20の効率が低下することを抑制できる。
【0061】
なお、半吐出状態HDにおいて、第2出力側油路32あるいは第3接続油路35から入力側油路30に合流するオイルOはストレーナSを介さずにオイルポンプ20に吸入される。そのため、第2出力側油路32あるいは第3接続油路35から入力側油路30に合流したオイルOを吸引する際のオイルポンプ20の仕事量は、ストレーナSを介してオイルOを吸引する場合に比べて小さい。
【0062】
本実施形態によれば、上述したようにして、全吐出状態ADと半吐出状態HDとを切り換えることができる。オイルポンプ20の流量Qが比較的少ない場合には、第1出力側油路31に接続された第3接続油路35内の油圧は比較的低いため第2弁装置42は閉状態であり、第2弁装置42が閉状態においては、第1弁装置41は開状態である。そのため、第2出力側油路32から第1出力側油路31へとオイルOが流れ、油圧制御装置10は、第1出力側油路31に第1吐出ポート21および第2吐出ポート22からのオイルOの両方が流れる全吐出状態ADとなる。
【0063】
一方、オイルポンプ20の流量Qが比較的大きくなり、第1出力側油路31に接続された第3接続油路35内の油圧が第2閾値Pa以上となると、第2弁装置42が開状態となり、第2出力側油路32から入力側油路30へとオイルOが流れる。そのため、第2出力側油路32内の第2出力油圧P2が低下する。そして、第2出力油圧P2から第1出力油圧P1を減じた第1値が第1閾値よりも小さくなると、第1弁装置41は閉状態となる。これにより、油圧制御装置10は、第1出力側油路31に第1吐出ポート21から吐出されるオイルOのみが流れる半吐出状態HDとなる。
【0064】
このようにして、本実施形態によれば、ソレノイドバルブを用いずに、オイルポンプ20の流量Qの変化に伴って、自動的に全吐出状態ADと半吐出状態HDとを切り換えることができる。したがって、全吐出状態ADと半吐出状態HDとを切り換えることが可能な油圧制御装置であって、小型で、かつ、製造コストを低減できる油圧制御装置10が得られる。
【0065】
また、本実施形態によれば、第1弁装置41が第1弾性部材41cを有するため、第1スプールバルブ41bの左右方向の位置が、第2出力油圧P2の大きさに応じて決まる。そのため、第2出力油圧P2の大きさによって、第1弁装置41の開度を変化させることができ、第2出力油圧P2の低下に伴って、徐々に第1弁装置41を閉じることができる。これにより、全吐出状態ADと半吐出状態HDとが切り換わる際に、第1出力側油路31内のオイルOの流量が急激に変化することを抑制でき、第1出力側油路31内の油圧が急激に変化することを抑制できる。したがって、全吐出状態ADと半吐出状態HDとが切り換わる際においても、制御対象OCに供給する油圧を安定させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、第4弁装置44によって第3接続油路35内のオイルOの一部を入力側油路30に合流させることができるため、供給油路37から部分OCaに供給されるオイルOの量が増加することをより抑制できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、第2吐出ポート22から吐出されるオイルOの油圧が、第1吐出ポート21から吐出されるオイルOの油圧よりも大きいため、第2出力油圧P2を第1出力油圧P1よりも大きくすることが容易である。したがって、第1弁装置41が開状態において、第2出力側油路32から第1出力側油路31へと容易にオイルOを流すことができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、第2弁装置42が第2弾性部材42cを有するため、第2スプールバルブ42bの左右方向の位置が、第3接続油路35内の油圧の大きさに応じて決まる。そのため、第3接続油路35内の油圧の大きさによって、第2弁装置42の開度を変化させることができ、流量Qの増加に伴って、徐々に第2弁装置42を開くことができる。これにより、第2出力油圧P2の値が急激に低下することを抑制でき、全吐出状態ADと半吐出状態HDとを緩やかに切り換えることができる。したがって、全吐出状態ADと半吐出状態HDとが切り換わる際においても、制御対象OCに供給する油圧を安定させることができる。また、第2弾性部材42cから第2スプールバルブ42bに加えられる弾性力を変化させることで、第2閾値Paを変化させることができる。そのため、第2弾性部材42cを交換することで、第2弁装置42を閉状態から開状態へと変化させるために必要な第3接続油路35内の油圧を容易に変更することができる。
【0069】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。各弁装置の構成は、上述したように動作するならば、特に限定されない。また、第3弁装置43および第4弁装置44の少なくとも一方は、設けられなくてもよい。また、第1弁装置41が開状態において、第2出力油圧P2を第1出力油圧P1よりも大きくできるならば、第2吐出ポート22から吐出されるオイルOの油圧が、第1吐出ポート21から吐出されるオイルOの油圧より小さくてもよい。この場合、例えば、第1吐出ポート21から吐出されたオイルOの油圧を減少させる構成、あるいは第2吐出ポート22から吐出されたオイルOの油圧を上昇させる構成が設けられる。また、各弁装置におけるスプールバルブの延びる方向は、互いに異なってもよい。すなわち、第1方向と第2方向とは、互いに平行でなくてもよい。
【0070】
また、上記実施形態の油圧制御装置10の用途は、特に限定されず、車両以外に搭載されてもよい。また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0071】
10…油圧制御装置、20…オイルポンプ、21…第1吐出ポート、22…第2吐出ポート、30…入力側油路、31…第1出力側油路、32…第2出力側油路、33…第1接続油路、33c…第1分岐油路、34…第2接続油路、35…第3接続油路、36…第4接続油路、37…供給油路、41…第1弁装置、41a…第1スプール穴部、41b…第1スプールバルブ、41c…第1弾性部材、41d…第1連結油路部、42…第2弁装置、42a…第2スプール穴部、42b…第2スプールバルブ、42c…第2弾性部材、42d…第2連結油路部、43…第3弁装置、44…第4弁装置、O…オイル、OC…制御対象、OCa…部分(制御対象の部分)、OT…オイルタンク、P1…第1出力油圧、P2…第2出力油圧、P3…第3出力油圧、Pa…第2閾値、ΔP…値(第1閾値)
図1
図2
図3
図4