【解決手段】スプールバルブに、入力ポートと出力ポートとの間を開閉する弁部42を備え、弁部は、径方向外側面に設けられる径方向位置変化部43を有し、第1接続油路が接続された部分における第2出力側油路内の第2出力油圧の値から、第1接続油路が接続された部分における第1出力側油路内の第1出力油圧の値を減じた第1値が、0よりも大きい閾値以上の場合に、入力ポートと出力ポートとの間を開いて、第1接続油路内における第2出力側油路から第1出力側油路へのオイルの流れを許容し、第1値が閾値よりも小さい場合に、入力ポートと出力ポートとの間を閉じて、第1接続油路内における第2出力側油路と第1出力側油路との間のオイルの流れを遮断する。径方向位置変化部は、軸方向に延び、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって、径方向位置が径方向内側に変化する。
前記油路構成部の径方向外側面は、前記径方向位置変化部の軸方向他方側の端部と径方向において同じ位置、または前記径方向位置変化部の軸方向他方側の端部よりも径方向内側に位置する、請求項2に記載のスプールバルブ。
前記径方向位置変化部は、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって径方向内側に位置する向きに傾斜する第1傾斜部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
前記径方向位置変化部の軸方向一方側の端部には、前記弁部の径方向外側面から軸方向他方側に向かって径方向内側に窪む段差が設けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
前記径方向位置変化部の軸方向一方側の端部における周方向の寸法は、軸方向他方側に向かうに従って大きくなる、請求項1から9のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1および
図2に示す本実施形態の油圧制御装置10は、制御対象OCを油圧により制御する。油圧制御装置10は、例えば、車両に搭載される。制御対象OCは、例えば、車両の自動変速機等である。油圧制御装置10は、第1オイル供給源21と、第2オイル供給源22と、第1入力側油路37と、第2入力側油路38と、第1出力側油路31と、第2出力側油路32と、第1接続油路33と、第2接続油路34と、分岐油路36と、調圧装置50と、電磁弁60と、弁装置40と、を備える。
【0010】
第1オイル供給源21および第2オイル供給源22は、例えば、車両のエンジンによって駆動されてオイルOを送るポンプである。第1オイル供給源21は、オイルタンクOTからオイルOを吸入し、第1のオイル流量特性を有するオイルOを吐出する。第2オイル供給源22は、オイルタンクOTからオイルOを吸入し、第2のオイル流量特性を有するオイルOを吐出する。第2のオイル流量特性を有するオイルOの油圧は、第1のオイル流量特性を有するオイルOの油圧よりも大きい。
【0011】
第1入力側油路37は、オイルOが貯留されるオイルタンクOTから第1オイル供給源21に吸入されるオイルOが通る油路である。第1入力側油路37のオイルタンクOT側の端部には、オイルタンクOTに貯留されるオイルO内に配置されるストレーナSが接続される。第2入力側油路38は、オイルOが貯留されるオイルタンクOTから第2オイル供給源22に吸入されるオイルOが通る油路である。第2入力側油路38のオイルタンクOT側の端部には、オイルタンクOTに貯留されるオイルO内に配置されるストレーナSが接続される。
【0012】
第1出力側油路31は、第1オイル供給源21から吐出されたオイルOが流入する油路である。第1出力側油路31は、第1オイル供給源21と制御対象OCとを繋ぐ。第1出力側油路31は、制御対象OCにオイルOの油圧を供給する。第2出力側油路32は、第2オイル供給源22から吐出されたオイルOが流入する油路である。第1接続油路33は、第1出力側油路31と第2出力側油路32とを繋ぐ油路である。第2接続油路34は、第2出力側油路32とオイルタンクOTとを繋ぐ油路である。分岐油路36は、第1出力側油路31のうち第1接続油路33が接続された部分よりも第1オイル供給源21側の部分と弁装置40とを繋ぐ油路である。
【0013】
調圧装置50は、第1出力側油路31における第1接続油路33が接続された部分よりも制御対象OC側に接続される。調圧装置50は、第1出力側油路31内のオイルOの油圧を所定の圧力に調整する。調圧装置50は、例えば、レギュレータバルブである。
【0014】
電磁弁60は、第2接続油路34に設けられる。電磁弁60は、第2接続油路34内のオイルOの流れを許容と遮断との間で切り換える。
図1においては、電磁弁60によって第2接続油路34内のオイルOの流れが遮断された状態を示す。
図2においては、電磁弁60によって第2接続油路34内のオイルOの流れが許容された状態を示す。電磁弁60によって許容される第2接続油路34内のオイルOの流れは、第2出力側油路32からオイルタンクOTに向かうオイルOの流れである。
【0015】
弁装置40は、第1接続油路33に設けられる。弁装置40が設けられることで、第1接続油路33は、第1部分33aと、第2部分33bとに分断される。第1部分33aは、第1出力側油路31と弁装置40とを繋ぐ油路である。第2部分33bは、第2出力側油路32と弁装置40とを繋ぐ油路である。弁装置40は、スプール穴部40aと、軸方向に延びる中心軸Jを中心とするスプールバルブ40bと、弾性部材40cと、を有する。
【0016】
本実施形態において中心軸Jは、
図1および
図2における左右方向に延びる。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、軸方向における
図1および
図2の左側を単に「左側」と呼び、軸方向における
図1および
図2の右側を単に「右側」と呼ぶ。左側は、軸方向一方側に相当し、右側は、軸方向他方側に相当する。なお、左側および右側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0017】
スプール穴部40aは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる。スプール穴部40aの軸方向両側の端部は、閉塞される。スプール穴部40aの軸方向と直交する断面形状は、円形状である。スプール穴部40aは、径方向内側面に、入力ポート41aと、出力ポート41bと、第1接続ポート41cと、第2接続ポート41dと、を有する。
【0018】
入力ポート41aは、第2部分33bを介して第2出力側油路32と繋がる。これにより、入力ポート41aを介して第2部分33bからスプール穴部40a内にオイルOが流入する。出力ポート41bは、第1部分33aを介して第1出力側油路31と繋がる。これにより、出力ポート41bを介してスプール穴部40a内から第1部分33aにオイルOが流出する。入力ポート41aは、出力ポート41bよりも左側に配置される。入力ポート41aおよび出力ポート41bは、それぞれ周方向の一周に亘って設けられる円環状である。入力ポート41aの軸方向の寸法および出力ポート41bの軸方向の寸法は、後述する径方向位置変化部43の軸方向の寸法よりも小さい。
【0019】
第1接続ポート41cは、入力ポート41aよりも左側に配置される。第1接続ポート41cは、後述する弁部42の左側の端面とスプール穴部40aの左側の端面との間の第1隙間40dに開口する。第1接続ポート41cには、分岐油路36が接続される。これにより、第1隙間40dには、分岐油路36および第1接続ポート41cを介して第1出力側油路31内のオイルOが流入する。第1接続ポート41cは、周方向の一周に亘って設けられる円環状である。
【0020】
第2接続ポート41dは、スプール穴部40aにおける右側の端部に配置される。第2接続ポート41dは、後述する摺動部45の右側の端面とスプール穴部40aの右側の端面との間の第2隙間40eに開口する。第2接続ポート41dには、第2出力側油路32の第2オイル供給源22と逆側の端部が接続される。これにより、第2隙間40eには、第2接続ポート41dを介して第2出力側油路32内のオイルOが流入する。
【0021】
スプールバルブ40bは、スプール穴部40a内を軸方向に移動可能である。
図3に示すように、スプールバルブ40bは、軸方向に延びる多段の円柱状である。スプールバルブ40bは、左側から右側に向かって順に、第1支持部47と、弁部42と、油路構成部44と、摺動部45と、第2支持部46と、を備える。
【0022】
第1支持部47は、右側から左側に向かうに従って外径が小さくなるテーパ部47aと、テーパ部47aの左側の端部に繋がる先端部47bと、を有する。先端部47bは、スプールバルブ40bの左側の端部である。
図1に示すように、先端部47bの左側の端面は、スプール穴部40aの左側の端面に接触可能である。第1支持部47の外径は、スプール穴部40aの内径よりも小さい。
【0023】
弁部42は、第1支持部47の右側の端部に繋がる。弁部42は、弁部42の径方向外側面に設けられる径方向位置変化部43を有する。径方向位置変化部43は、軸方向に延び、左側から右側に向かって、径方向位置が径方向内側に変化する。径方向位置変化部43は、弁部42の右側の端部まで延びる。これにより、径方向位置変化部43の右側の端部は、連結油路35に繋がる。本実施形態において径方向位置変化部43は、弁部42の周方向の一部に設けられる。そのため、径方向位置変化部43が設けられることで、弁部42の周方向の一部が径方向内側に窪む。そして、上述したように、径方向位置変化部43は、軸方向に延びる。そのため、本実施形態においては、径方向位置変化部43が設けられることで、弁部42の径方向外側面には、径方向内側に窪み軸方向に延びる溝42aが設けられる。溝42aの径方向の寸法は、左側から右側に向かって大きくなる。溝42aの内部は、径方向位置変化部43とスプール穴部40aの径方向内側面との間の径方向の隙間である。
【0024】
図3から
図5に示すように、径方向位置変化部43は、周方向に沿って複数設けられる。これにより、弁部42の径方向外側面には、周方向に沿って複数の溝42aが設けられる。複数の径方向位置変化部43は、周方向に沿って等間隔に配置される。径方向位置変化部43の数は、特に限定されず、本実施形態では例えば4つである。径方向位置変化部43の形状の詳細については、後述する。
【0025】
図1および
図2に示すように、弁部42における径方向位置変化部43以外の部分において、弁部42の外径は、スプール穴部40aの内径とほぼ同じである。弁部42における径方向位置変化部43以外の部分は、スプールバルブ40bが軸方向に移動する際に、スプール穴部40aの径方向内側面に対して摺動する。
【0026】
油路構成部44は、弁部42の右側の端部に繋がる。油路構成部44の外径は、弁部42の外径および第1支持部47の外径よりも小さい。
図3に示すように、油路構成部44の径方向外側面は、径方向位置変化部43の右側の端部よりも径方向内側に位置する。油路構成部44の外径は、例えば、軸方向に沿って一様である。
図1に示すように、油路構成部44は、スプール穴部40aの径方向内側面との径方向の間に入力ポート41aと出力ポート41bとを繋ぐ連結油路35を構成する。連結油路35は、油路構成部44の径方向外側を囲む円環状である。なお、
図1は、連結油路35が入力ポート41aと出力ポート41bとを繋ぐ状態を示す。
図2は、連結油路35が入力ポート41aと出力ポート41bとを繋いでいない状態を示す。
【0027】
摺動部45は、油路構成部44の右側の端部に繋がる。摺動部45の外径は、スプール穴部40aの内径とほぼ同じである。摺動部45は、スプールバルブ40bが軸方向に移動する際に、スプール穴部40aの径方向内側面に対して摺動する。第2支持部46は、摺動部45の右側の端部に繋がる。第2支持部46は、スプールバルブ40bの右側の端部である。第2支持部46の外径は、摺動部45の外径よりも小さい。
図3に示すように、第2支持部46は、扁平の円柱状である。
図2に示すように、第2支持部46の右側の端面は、スプール穴部40aの右側の端面に接触可能である。
【0028】
弾性部材40cは、スプール穴部40aの内部のうち弁部42の左側に位置する部分、すなわち第1隙間40dに配置される。弾性部材40cは、スプールバルブ40bを左側から右側に押す。弾性部材40cは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる圧縮コイルバネである。弾性部材40cの左側の端部は、スプール穴部40aの左側の端面に支持される。弾性部材40cの右側の端部は、弁部42の左側の端面に支持される。弾性部材40cの右側の端部には、第1支持部47が挿入される。弾性部材40cは、スプールバルブ40bに対して右向きに力を加える。
【0029】
スプールバルブ40bは、分岐油路36から第1隙間40dに流入する第1出力側油路31内のオイルOの第1出力油圧P1によって加えられる右向きの力と弾性部材40cによる右向きの力とを足し合わせた力と、第2出力側油路32から第2隙間40eに流入する第2出力側油路32内のオイルOの第2出力油圧P2によって加えられる左向きの力との釣り合いに応じて軸方向に移動する。スプールバルブ40bが軸方向に移動することで、弁部42が軸方向に移動し、入力ポート41aと出力ポート41bとの間を開閉する。
【0030】
弁部42が入力ポート41aと出力ポート41bとの間を開いた状態とは、
図1に示すように第1部分33aと第2部分33bとが連結油路35によって連結され、第1接続油路33内における第2出力側油路32から第1出力側油路31へのオイルOの流れを許容する開状態である。弁部42が入力ポート41aと出力ポート41bとの間を閉じた状態とは、
図2に示すように弁部42によって入力ポート41aが閉塞されて第1部分33aと第2部分33bとが切断され、第1接続油路33内における第2出力側油路32と第1出力側油路31との間のオイルOの流れを遮断する閉状態である。このように、弁装置40は、スプールバルブ40bの軸方向の移動に伴って、開状態と閉状態との間で状態が変化する。
【0031】
具体的に、例えば、
図1に示す開状態において第2出力油圧P2が小さくなると、スプールバルブ40bに加えられる左向きの力が、スプールバルブ40bに加えられる右向きの力よりも小さくなり、スプールバルブ40bが右向きに移動する。スプールバルブ40bが右向きに移動すると弾性部材40cの弾性力は小さくなるため、スプールバルブ40bに加えられる右向きの力は小さくなる。スプールバルブ40bは、右側への移動とともに小さくなる右向きの力が、小さくなった第2出力油圧P2による左向きの力と釣り合う位置まで、右向きに移動する。
【0032】
第2出力油圧P2が小さくなって第2出力油圧P2の値から第1出力油圧P1の値を減じた第1値が閾値よりも小さくなると、弁部42は、
図2に示す位置まで右向きに移動し、入力ポート41aを閉塞して弁装置40を閉状態とする。すなわち、弁部42は、第1値が閾値よりも小さい場合に、入力ポート41aと出力ポート41bとの間を閉じて、第1接続油路33内における第2出力側油路32と第1出力側油路31との間のオイルOの流れを遮断する。
【0033】
一方、閉状態において第2出力油圧P2が大きくなって第1値が閾値以上となると、弁部42は、
図2に示す位置よりも左側に移動し、入力ポート41aの一部が径方向位置変化部43と径方向に対向する。これにより、入力ポート41aと出力ポート41bとが径方向位置変化部43とスプール穴部40aの径方向内側面との間の径方向の隙間、すなわち溝42aを介して繋がり、弁装置40が開状態となる。すなわち、弁部42は、第1値が閾値以上の場合に、入力ポート41aと出力ポート41bとの間を開いて、第1接続油路33内における第2出力側油路32から第1出力側油路31へのオイルOの流れを許容する。閾値は、0よりも大きい。すなわち、弁装置40が開状態である場合、第2出力油圧P2は、第1出力油圧P1よりも大きい。これにより、弁装置40が開状態になることで、第1接続油路33を介して、第2出力側油路32から第1出力側油路31にオイルOが流入する。閾値は、弁装置40が開状態にある場合に弾性部材40cがスプールバルブ40bに加える右向きの弾性力の値以下である。
【0034】
第2出力油圧P2の変化は、電磁弁60によって第2接続油路34が開閉されることで生じる。すなわち、電磁弁60によって、第2接続油路34が
図1に示す閉じられた状態から、
図2に示す開かれた状態となると、第2接続油路34を介して第2出力側油路32内のオイルOがオイルタンクOTに流れて第2出力側油路32内のオイルOの油圧が低下する。これにより、第2出力油圧P2が低下する。第2出力油圧P2の低下度合いは、第2接続油路34の開口度が大きくなるほど、大きくなる。したがって、電磁弁60に供給する電流値を調整することで、第2接続油路34の開口度を調整して、第2出力油圧P2を制御することができる。これにより、電磁弁60によって、弁装置40の開閉状態を切り換えることができる。
【0035】
弁装置40が開状態の場合には、
図1に示すように第2出力側油路32内のオイルOが第1接続油路33を介して第1出力側油路31に合流するため、油圧制御装置10は、第1オイル供給源21から吐出されたオイルOと第2オイル供給源22から吐出されたオイルOとが制御対象OCに供給される全吐出状態ADとなる。
【0036】
一方、弁装置40が閉状態の場合には、
図2に示すように第2出力側油路32内のオイルOが第1出力側油路31に合流せず、第2接続油路34からオイルタンクOTへと流れる。そのため、油圧制御装置10は、第1オイル供給源21から吐出されたオイルOのみが制御対象OCに供給される半吐出状態HDとなる。
【0037】
上述したように本実施形態では電磁弁60によって弁装置40の開閉状態を切り換えることができるため、電磁弁60によって油圧制御装置10の状態を全吐出状態ADと半吐出状態HDとの間で切り換えることができる。
【0038】
油圧制御装置10の状態が全吐出状態ADから半吐出状態HDに切り換わると、第1出力側油路31内を流れるオイルOの流量が急激に低下するため、第1出力側油路31内のオイルOの油圧が急激に低下しやすい。そのため、調圧装置50は、例えば調圧装置50内の弁体を急激に移動させて、第1出力側油路31内のオイルOの油圧を上昇させる。このとき、油圧を急激に変化させようとするため、第1出力側油路31内のオイルOの油圧が、調圧装置50によって調圧する目標値よりも上昇しやすい。そして、調圧装置50は、上昇し過ぎた油圧を低下させるために、再び弁体を急激に移動させる。これにより、再び第1出力側油路31内のオイルOの油圧が目標値よりも低くなる場合がある。
【0039】
このように、油圧制御装置10の状態が全吐出状態ADから半吐出状態HDに切り換わると、調圧装置50の弁体が、第1出力側油路31内のオイルOの油圧を上昇および低下させる向きに交互に移動することで振動するチャタリングが生じる場合がある。チャタリングが生じると、第1出力側油路31内のオイルOの油圧が上昇と低下とを繰り返して不安定になるため、制御対象OCへの油圧の供給が不安定になる。
【0040】
これに対して、本実施形態によれば、左側から右側に向かって径方向位置が径方向内側に変化する径方向位置変化部43が設けられるため、弁装置40の開閉状態が切り換わった際の第1出力側油路31内のオイルOの流量の変化を小さくできる。具体的には、弁装置40が閉状態から開状態に切り換わる場合においては、入力ポート41aが弁部42によって閉塞された状態から径方向位置変化部43の左側の端部と対向する状態に変化する。径方向位置変化部43の左側の端部は径方向位置が比較的径方向外側に位置するため、径方向位置変化部43の左側の端部とスプール穴部40aの径方向内側面との間の径方向の隙間は比較的小さい。したがって、入力ポート41aから径方向位置変化部43の左側の端部を介してスプール穴部40a内に流入するオイルOの流量は比較的小さい。これにより、弁部42が開状態に切り換わった直後において、入力ポート41aから出力ポート41bへと流れるオイルOの流量の増加量を小さくでき、第1出力側油路31内のオイルOの流量変化を小さくできる。
【0041】
そして、径方向位置変化部43の径方向位置は左側から右側に向かって径方向内側となるため、弁部42が右側に移動するのに従って、径方向位置変化部43における入力ポート41aが対向する部分の径方向位置が径方向内側になる。これにより、径方向位置変化部43とスプール穴部40aの径方向内側面との間の径方向の隙間が徐々に大きくなる。すなわち、本実施形態では溝42aの径方向の寸法が大きくなる。したがって、入力ポート41aから溝42aを介して出力ポート41bへと流れるオイルOの流量を徐々に増加させることができ、第1出力側油路31内の流量を徐々に増加させることができる。このようにして、第1出力側油路31内のオイルOの流量が急激に変化することを抑制しつつ、油圧制御装置10の状態を半吐出状態HDから全吐出状態ADへと切り換えることができる。
【0042】
一方、弁部42が左側に移動するのに従って、径方向位置変化部43における入力ポート41aが対向する部分の径方向位置は径方向外側になる。これにより、本実施形態では溝42aの径方向の寸法が小さくなる。したがって、入力ポート41aから溝42aを介して出力ポート41bへと流れるオイルOの流量を徐々に減少させることができ、第1出力側油路31内のオイルOの流量を徐々に減少させることができる。
【0043】
そして、弁装置40が開状態から閉状態に切り換わる際には、入力ポート41aが径方向位置変化部43の左側の端部と対向した状態から弁部42によって閉塞される状態に変化する。上述したように入力ポート41aが径方向位置変化部43の左側の端部と対向した状態では、入力ポート41aから出力ポート41bへと流れるオイルOの流量は小さい。そのため、弁装置40が閉状態に切り換わって入力ポート41aから第1出力側油路31にオイルOが流れなくなっても、第1出力側油路31内におけるオイルOの流量の減少量を小さくできる。このようにして、第1出力側油路31内のオイルOの流量が急激に変化することを抑制しつつ、油圧制御装置10の状態を全吐出状態ADから半吐出状態HDへと切り換えることができる。
【0044】
以上により、本実施形態によれば、半吐出状態HDと全吐出状態ADとを切り換える際に、第1出力側油路31内のオイルOの流量が急激に変化することを抑制できるため、第1出力側油路31内のオイルOの油圧が急激に変化することを抑制できる。これにより、チャタリングが生じることを抑制できるスプールバルブ40bが得られる。
【0045】
本実施形態では、弁部42の右側の端部に繋がる油路構成部44が連結油路35を構成するため、径方向位置変化部43の右側の端部を連結油路35に繋げて、入力ポート41aから溝42aに流入するオイルOを連結油路35内に流しやすい。これにより、入力ポート41aから径方向位置変化部43を介してスプール穴部40a内へオイルOを流入させやすい。
【0046】
また、本実施形態では、油路構成部44の径方向外側面が径方向位置変化部43の右側の端部よりも径方向内側に位置する。そのため、径方向位置変化部43に沿って流れるオイルOが、径方向位置変化部43と油路構成部44との接続部において阻害されることを抑制できる。これにより、径方向位置変化部43に沿って流れるオイルOを連結油路35に滑らかに流入させることができる。したがって、入力ポート41aから径方向位置変化部43を介してスプール穴部40a内へオイルOをより流入させやすい。
【0047】
図1および
図2に示すように、径方向位置変化部43は、軸方向に沿って直線状に延びる。そのため、径方向位置変化部43を作りやすい。本実施形態においては、弁部42の径方向外側面に溝42aを作ることで、径方向位置変化部43を作ることができる。また、入力ポート41aから径方向位置変化部43を介してスプール穴部40a内に流入するオイルOを径方向位置変化部43に沿って流しやすい。
【0048】
図4に示すように、径方向位置変化部43は、左側から右側に向かって順に連続して、第1平坦部43aと、第1傾斜部43bと、第2平坦部43cと、第2傾斜部43dと、第3平坦部43eと、を有する。第1平坦部43a、第2平坦部43cおよび第3平坦部43eは、軸方向に平行な部分である。第1平坦部43a、第2平坦部43cおよび第3平坦部43eの径方向外側面は、径方向と直交する平坦面である。
【0049】
第1平坦部43aは、径方向位置変化部43の左側の端部である。第3平坦部43eは、径方向位置変化部43の右側の端部である。第1平坦部43aの軸方向の寸法は、第2平坦部43cの軸方向の寸法および第3平坦部43eの軸方向の寸法よりも小さい。第2平坦部43cの軸方向の寸法と第3平坦部43eの軸方向の寸法とは、ほぼ同じである。第2平坦部43cは、第1平坦部43aよりも径方向内側に位置する。第3平坦部43eは、第2平坦部43cよりも径方向内側に位置する。第1平坦部43aは、径方向位置変化部43のうちで最も径方向外側に位置する部分である。第3平坦部43eは、径方向位置変化部43のうちで最も径方向内側に位置する部分である。
【0050】
第1傾斜部43bは、第1平坦部43aと第2平坦部43cとを繋ぐ。第1傾斜部43bは、左側から右側に向かって径方向内側に位置する向きに傾斜する。そのため、第1傾斜部43bにおいては、左側から右側に向かって径方向位置変化部43とスプール穴部40aの径方向内側面との間の径方向の隙間が徐々に大きくなる。これにより、入力ポート41aと第1傾斜部43bとが互いに対向した状態で軸方向に相対移動することで、入力ポート41aから溝42aに流入するオイルOの流量を滑らかに変化させることができる。したがって、第1出力側油路31内の流量が急激に変化することをより抑制でき、チャタリングが生じることをより抑制できる。第1傾斜部43bの径方向外側面は、左側から右側に向かうに従って径方向内側に位置する平坦な傾斜面である。第1傾斜部43bの軸方向の寸法は、各平坦部の軸方向の寸法よりも大きい。
【0051】
第2傾斜部43dは、第2平坦部43cと第3平坦部43eとを繋ぐ。第2傾斜部43dは、左側から右側に向かって径方向内側に位置する向きに傾斜する。第2傾斜部43dの径方向外側面は、左側から右側に向かうに従って径方向内側に位置する平坦な傾斜面である。第2傾斜部43dは、第1傾斜部43bよりも右側に配置される。第2傾斜部43dの軸方向の寸法は、第1傾斜部43bの軸方向の寸法よりも大きい。第2傾斜部43dの軸方向に対する傾きは、第1傾斜部43bの軸方向に対する傾きよりも大きい。そのため、入力ポート41aと第2傾斜部43dとが互いに対向した状態で軸方向に相対移動する場合に、入力ポート41aと第1傾斜部43bとが互いに対向した状態で軸方向に相対移動する場合に比べて、溝42aに流入するオイルOの流量変化の度合いを大きくできる。
【0052】
これにより、弁装置40が閉状態から開状態に切り換わった直後においては、第1傾斜部43bによって比較的ゆっくりと第1出力側油路31内のオイルOの流量を増加させつつ、弁装置40が閉状態から開状態に切り換わって暫くした後には、第2傾斜部43dによって比較的早く第1出力側油路31内のオイルOの流量を増加させることができる。弁装置40が閉状態から開状態に切り換わって暫くした後には、第1出力側油路31内の油圧変化も安定しやすいため、比較的早く第1出力側油路31内のオイルOの流量を増加させてもチャタリングが生じにくい。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、チャタリングが生じることを抑制しつつ、第1出力側油路31内のオイルOの流量を迅速に増加させることができる。また、弁装置40が開状態から閉状態に切り換わる際には、第1出力側油路31内のオイルOの流量を迅速に減少させた後に、チャタリングが生じることを抑制しつつ弁装置40を閉状態に切り換えることができる。
【0054】
第2平坦部43cは、第1傾斜部43bと第2傾斜部43dとを繋ぐ平坦部である。第2平坦部43cは軸方向に沿って径方向位置が変化しない。そのため、入力ポート41aと第2平坦部43cとが互いに対向した状態で軸方向に相対移動する際には、入力ポート41aから溝42a内に流入するオイルOの流量が変化しない。これにより、第1傾斜部43bによって第1出力側油路31内のオイルOの流量が増加して第1出力側油路31内のオイルOの油圧変化が生じた場合であっても、入力ポート41aと第2平坦部43cとが軸方向に相対移動する間に、第1出力側油路31内のオイルOの油圧を安定させることができる。したがって、第1出力側油路31内の油圧が安定した状態で、第2傾斜部43dによって迅速に第1出力側油路31内のオイルOの流量を増加させることができる。これにより、チャタリングが生じることをより抑制できる。
【0055】
径方向位置変化部43の左側の端部には、弁部42の径方向外側面から右側に向かって径方向内側に窪む段差43fが設けられる。そのため、入力ポート41aから溝42aに流入するオイルOに金属片等が混入する場合に、段差43fによって金属片等が弁部42の径方向外側面とスプール穴部40aの径方向内側面との間に噛み込むことを抑制できる。段差43fの径方向の寸法は、オイルOに混入する金属片等の大きさよりも大きい。
【0056】
図1および
図2に示すように、径方向位置変化部43の左側の端部における周方向の寸法は、右側に向かうに従って大きくなる。そのため、入力ポート41aと第1傾斜部43bとが互いに対向した状態で軸方向に相対移動する際に、第1出力側油路31内のオイルOの流量変化をより緩やかにできる。本実施形態では、径方向位置変化部43の左側の端部は、径方向外側から視て左側に凸となる円弧状である。そのため、入力ポート41aと第1傾斜部43bとが互いに対向した状態で軸方向に相対移動する際に、第1出力側油路31内のオイルOの流量変化をさらに緩やかにできる。また、径方向位置変化部43を切削加工によって作る場合に、径方向位置変化部43を容易に作りやすい。
【0057】
また、本実施形態によれば、径方向位置変化部43が周方向に沿って複数設けられるため、オイルOの流量を好適に変化させやすい。また、複数の径方向位置変化部43が周方向に沿って等間隔に配置されるため、弁部42の径方向外側面に周方向に沿って等間隔に溝42aが設けられる。これにより、溝42aに流入するオイルOからスプールバルブ40bに加えられる径方向の力を周方向に沿って均等に加えやすい。これにより、スプールバルブ40bがスプール穴部40aの径方向内側面に径方向に押し付けられることを抑制でき、スプールバルブ40bが軸方向に摺動しにくくなることを抑制できる。
【0058】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。径方向位置変化部43は、弁部42の周方向の一周に亘って設けられてもよい。この場合、弁部42の径方向外側面に溝42aは設けられず、径方向位置変化部43において弁部42の外径が左側から右側に向かって小さくなる。径方向位置変化部43は、左側から右側に向かって径方向位置が径方向内側に変化すれば、径方向位置の変化の仕方は特に限定されない。径方向位置変化部43の径方向位置は、階段状に変化してもよい。径方向位置変化部43は、各平坦部を有しなくてもよい。また、油路構成部44の径方向外側面は、径方向位置変化部43の右側の端部と径方向において同じ位置にあってもよい。この場合であっても、径方向位置変化部43からのオイルOを連結油路35内に流しやすい。
【0059】
また、上述した本実施形態の油圧制御装置および弁装置の用途は特に限定されない。また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。