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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-163060(P2018-163060A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】歯車測定機
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/20 20060101AFI20180921BHJP
【FI】
   G01B5/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-60782(P2017-60782)
(22)【出願日】2017年3月27日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名 JIMTOF2016 第28回 日本国際工作機械見本市 主催者名 一般社団法人日本工作機械工業会 株式会社東京ビッグサイト 開催日 平成28年11月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000205568
【氏名又は名称】大阪精密機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】金 明洙
(72)【発明者】
【氏名】原田 淳
(72)【発明者】
【氏名】姜 大晟
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA61
2F062BB08
2F062BC71
2F062CC22
2F062CC27
2F062EE01
2F062FF17
2F062HH01
2F062HH12
(57)【要約】
【課題】小モジュールの被測定歯車を精度よく、容易に測定できる歯車測定機を提供する。
【解決手段】歯車測定機は、先端側に軸方向に対して所定の傾斜角度に傾斜した傾斜面13aを備えた測定子13を用いる。測定子13の軸方向が被測定歯車12の歯たけ方向に対して所定の角度に傾斜した状態に測定ホルダにより測定子13の基端側を保持する。溝幅が狭い小モジュールの被測定歯車12であっても、測定子13が被測定歯車12の歯面17a,17bの一方に対して先端で接触し、かつ、反対側に位置する歯面17a,17bの他方に対して接触しないようにすることができる。小モジュールの被測定歯車12を、容易に、かつ、安定して測定可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定歯車をこの被測定歯車の回転軸を中心として回転させる回転部と、
柱状の測定子、及び、この測定子の基端側を保持する測定ホルダを備えた測定部と、
前記回転部による前記被測定歯車の回転に連動して、前記測定子の先端側が前記被測定歯車の歯面に接触した状態を維持するように前記測定ホルダを移動させる移動部とを具備し、
前記測定子は、先端側に軸方向に対して所定の傾斜角度に傾斜した傾斜面を備え、
前記測定ホルダは、前記測定子の軸方向が前記被測定歯車の歯たけ方向に対して所定の角度に傾斜した状態に前記測定子の基端側を保持している
ことを特徴とする歯車測定機。
【請求項2】
測定子は、一対設けられ、
測定ホルダは、前記測定子を互いの傾斜面が対向するように保持している
ことを特徴とする請求項1記載の歯車測定機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定子の先端側を被測定歯車の歯面に接触させて被測定歯車を測定する歯車測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯車を測定する際には、測定子を検出器の変位検出部に取り付け、歯車の歯すじ歯面に平行になるように取り付けて、歯面の間に設置する。そして、測定子を歯車歯面に接触させた後、軸方向、または、軸断面方向に創成運動を行うことで、歯車歯面と理論形状との差を誤差として感知し、その値を出力する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−150304号公報(第1−5頁、第1図−第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状の測定子は、基端側から先端側へと徐々に細くなり先端に接触部を備える、略円錐状のものを用いる。この構成の場合、接触部を直径0.2mmまでしか加工できないため、モジュール0.2mm以下の歯車測定が困難である。例えば、歯車の基準円での溝幅は、モジュール0.2mmで約0.314mmであり、モジュール0.1mmで約0.157mmであるため、測定子の接触部を物理的に歯溝に入れることができない。
【0005】
そこで、例えばモジュール0.5mm以下などの小モジュールを測定する場合、先端を斜めにカットした測定子を使用する。この場合、測定子の先端が斜めにカットされていることにより、両歯面を同時に測定できない。そのため、片歯面の測定が終了した後、測定子を反転する必要がある。しかしながら、先端を直径0.2mmまでカットすると、測定子を目視で正確に位置合わせすることが困難であり、反転したときに角度位置がずれると、測定子幅が広がって歯車との干渉が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小モジュールの被測定歯車を精度よく、容易に測定できる歯車測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の歯車測定機は、被測定歯車をこの被測定歯車の回転軸を中心として回転させる回転部と、柱状の測定子、及び、この測定子の基端側を保持する測定ホルダを備えた測定部と、前記回転部による前記被測定歯車の回転に連動して、前記測定子の先端側が前記被測定歯車の歯面に接触した状態を維持するように前記測定ホルダを移動させる移動部とを具備し、前記測定子は、先端側に軸方向に対して所定の傾斜角度に傾斜した傾斜面を備え、前記測定ホルダは、前記測定子の軸方向が前記被測定歯車の歯たけ方向に対して所定の角度に傾斜した状態に前記測定子の基端側を保持しているものである。
【0008】
請求項2記載の歯車測定機は、請求項1記載の歯車測定機において、測定子は、一対設けられ、測定ホルダは、前記測定子を互いの傾斜面が対向するように保持しているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の歯車測定機によれば、先端側に軸方向に対して所定の傾斜角度に傾斜した傾斜面を備えた測定子を用い、この測定子の軸方向が被測定歯車の歯たけ方向に対して所定の角度に傾斜した状態に測定ホルダにより測定子の基端側を保持することで、例えば溝幅が狭い小モジュールの被測定歯車であっても、測定子が被測定歯車の一方の歯面に対して先端で接触し、かつ、反対側の他方の歯面に対して接触しないようにすることができ、小モジュールの被測定歯車を、容易に、かつ、安定して測定可能となる。
【0010】
請求項2記載の歯車測定機によれば、請求項1記載の歯車測定機の効果に加えて、測定ホルダに一対の測定子を、互いの傾斜面が対向するように保持することで、一方の測定子による測定が終了した後、他方の測定子の先端を接触させるように移動部によって測定部を移動させることにより、測定子を反転させる作業をすることなく、一対の測定子によって歯面を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の歯車測定機の被測定歯車の一方の測定子での測定状態を、一部を拡大して模式的に示す一部を切り欠いた平面図である。
図2】同上歯車測定機の被測定歯車の他方の測定子での測定状態を、一部を拡大して模式的に示す一部を切り欠いた平面図である。
図3】同上歯車測定機の被測定歯車の一方の測定子での測定状態を示す平面図である。
図4】同上歯車測定機の一部の被測定歯車の他方の測定子での測定状態を示す平面図である。
図5】同上歯車測定機の被測定歯車の測定状態を示す側面図である。
図6】同上歯車測定機の測定子を示す斜視図である。
図7】同上歯車測定機の測定ホルダを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0013】
図3ないし図5において、11は歯車測定機(歯車試験機)を示す。この歯車測定機11は、被測定歯車12の形状を測定子(触針)13により測定する接触式歯車測定機である。
【0014】
ここで、図1及び図2に示すように、被測定歯車12は、円形状の歯車本体16と、この歯車本体16の外周から突出することで歯車本体16の外周に凹凸形状を構成する複数の歯17とを備えている。この被測定歯車12は、例えば金属製のものや、合成樹脂製のものが用いられる。なお、この被測定歯車12としては、通常の平歯車やはすば歯車などの他に、例えば歯車を加工するためのホブカッタなどの切削工具などを用いることもできる。
【0015】
そして、図3ないし図5に示す歯車測定機11は、本実施の形態において、例えばコンピュータ内蔵数値制御(CNC)駆動される、CNC式歯車測定機であり、所定のコンピュータプログラムにより作動される測定子13によって、被測定歯車12の歯形及び歯すじなどを自動的に測定可能となっている。この歯車測定機11は、回転部21を備えている。また、この歯車測定機11は、移動部22を備えている。さらに、この歯車測定機11は、測定機構部23を備えている。また、この歯車測定機11は、図示しないが、操作盤を備えている。そして、この歯車測定機11は、図示しないコンピュータと接続可能となっている。
【0016】
回転部21は、後述するZ軸(上下)方向に沿う1軸の主軸27を定位置に備え、この主軸27が挿通されて保持された被測定歯車12を、この被測定歯車12の回転軸を中心として回転させるものである。この回転部21は、移動部22の側方の位置に、支柱状に配置されている。また、この回転部21による被測定歯車12の回転及びその位置(角度)は、例えば図示しないパルスモータなどの回転駆動部により制御される。そして、回転部21の回転角度、すなわち被測定歯車12の回転角度は、主軸27に設けられた図示しないロータリエンコーダなどにより検出される。
【0017】
移動部22は、回転部21による被測定歯車12の回転に連動して、測定子13の先端側が被測定歯車12の歯面に接触した状態を維持するように測定機構部23を移動させるものである。この移動部22は、例えばパルスモータなどの駆動部を備え、これら駆動部により、測定機構部23をX軸(被測定歯車12に対して接離する方向である前後)、Y軸(被測定歯車12に対して略平行な軸直方向である左右)、Z軸(被測定歯車12の軸方向(歯すじ方向)である上下)の直交3軸に移動可能としている。
【0018】
測定機構部23は、被測定歯車12を測定し、その測定結果をコンピュータなどに出力するものである。この測定機構部23は、測定機構部本体としての検出器31を備えている。また、この測定機構部23は、測定部32を備えている。
【0019】
検出器31は、測定子13の先端が被測定歯車12に当接した状態を感知する接触センサや、移動部22による測定子13(測定機構部23)の先端位置を測定する例えばリニアエンコーダなどを内蔵し、被測定歯車12の歯面と理論形状との差を誤差として感知して、それらの値をコンピュータなどに出力するように構成されている。
【0020】
測定部32は、上記測定子13を備えている。また、この測定部32は、測定ホルダ34を備えている。
【0021】
測定子13は、本実施の形態では、一対備えられている。各測定子13は、軸方向に対して所定の傾斜角度で傾斜した傾斜面13a(図6)を先端側に備え、被測定歯車12に接触する先端の半径が例えば0.025mm、直径が2mm程度の、細長い柱状(円柱状)に形成された汎用のものである。すなわち、各測定子13は、先端側が斜めにカットされて形成された、いわゆる半欠け測定子である。傾斜面13aの角度は、本実施の形態において、例えば軸方向に対して12°に設定されている。また、各測定子13は、先端側と基端側との間に、フランジ部(鍔部)13bを備えている。このフランジ部13bは、各測定子13の先端の位置を測定ホルダ34に対して所定の位置に位置決めするとともに、測定ホルダ34に対する各測定子13の角度を安定させるためのものである。
【0022】
測定ホルダ34は、一対の測定子13を被測定歯車12の歯たけ方向である前後方向に対して所定の角度で傾斜状に保持するものである。この測定ホルダ34は、例えばアルミニウムなどの金属により形成されている。この測定ホルダ34は、本体部36を備えている。また、この測定ホルダ34は、保持部37を備えている(図7)。
【0023】
本体部36は、X軸(前後)方向に沿って略直線状に設けられている。この本体部36には、例えば中央部に、例えばねじなどの固定部材38が螺合される穴部36aが先端部から基端部に亘って設けられ、この固定部材38によって基端部が検出器31に固定されている。
【0024】
保持部37は、測定子13の基端側を保持するものである。この保持部37は、測定子13に対応して、測定子13毎に設けられている。したがって、本実施の形態において、この保持部37は、一対設けられている。これら保持部37,37は、本体部36の先端部に対して例えば左右にそれぞれ突設されている。したがって、測定部32は、平面視で略T字状をなしている。そして、各保持部37は、測定子13が取り付けられる取付面37aをそれぞれ備えている。また、各保持部37は、測定子13の基端側が挿入される取付穴部37bをそれぞれ備えている。そして、各保持部37には、各測定子13を抜け止めする抜け止め部材39がそれぞれ取り付けられている。
【0025】
取付面37aは、被測定歯車12の軸直方向と軸方向とにより形成される平面であるY−Z平面に対して被測定歯車12とは反対方向に所定の角度、本実施の形態では例えば10°傾斜した平面状に設けられている。各取付面37aは、本体部36から離れるほど被測定歯車12から離れるように傾斜している。このため、取付面37a,37aは、平面視で被測定歯車12から離れる方向に拡開するハ字状に配置されている。
【0026】
取付穴部37bは、取付面37aに対して略垂直な方向に沿って設けられている。この取付穴部37bは、測定子13のフランジ部13bよりも径寸法が小さく設定されている。このため、この取付穴部37bには、測定子13のフランジ部13bよりも基端側のみが挿入され、フランジ部13bが取付穴部37bの縁部にて取付面37aに当接することで、測定子13が取付面37aに対して略垂直な方向に軸方向を沿わせるように測定ホルダ34に対して位置決め及び角度決めされる。換言すれば、本実施の形態では、取付面37aの角度により、測定ホルダ34により保持される測定子13の角度が設定される。この角度は、大きすぎると測定子13が被測定歯車12の測定対象の歯17に隣接する歯17と接触し、小さすぎると歯面の形状によっては測定子13の先端が歯面に接触しない部分が生じる場合があるため、それらの間で設定することが好ましい。本実施の形態において、この角度は、測定子13の傾斜面13aの傾斜角度より小さく設定されている。
【0027】
抜け止め部材39は、例えばねじなどであり、取付穴部37b内へと先端側が進退可能に保持部37に取り付けられている。そして、この抜け止め部材39の締め付け及び緩めによって、取付穴部37bに挿入された測定子13の基端側の固定及び固定の解除が可能となっている。
【0028】
なお、この測定部32(測定ホルダ34)を使用できるようにするために、上記コンピュータプログラムには、歯車測定機11の原点を左右の測定子13,13それぞれに持たせ、これら測定子13,13の位置補正を可能とすることが好ましい。
【0029】
操作盤は、測定開始を指示するスタートボタンなどを備えている。また、この操作盤は、操作により例えば移動部22によって測定機構部23(測定子13)を測定位置に移動させることが可能である。
【0030】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0031】
まず、測定実施前の準備として、歯車測定機11は、被測定歯車12を回転部21の主軸27に取り付ける。
【0032】
また、歯車測定機11は、測定ホルダ34に対して一対の測定子13,13を取り付けた測定部32を移動部22に取り付ける。各測定子13は、測定ホルダ34の取付穴部37bに基端側を挿入し、フランジ部13bを取付面37aに当接させた状態で、抜け止め部材39を締め付けることで、取付面37aに対して略垂直な方向に沿って測定ホルダ34に保持固定される。
【0033】
この結果、測定ホルダ34により、測定子13の軸方向が被測定歯車12の歯たけ方向に対して所定の角度に傾斜した状態に測定子13の基端側が保持される。また、一対の測定子13,13が、互いの傾斜面13a,13aが対向するようにY軸方向に対称に配置される。この状態で、一対の測定子13,13は、軸方向が被測定歯車12に向かって互いに拡開するようにハ字状に配置される。したがって、測定子13,13は、被測定歯車12の歯すじ歯面に平行になるように取り付けられる。
【0034】
そして、各種入力設定を行い、操作盤のスタートボタンを操作することで、被測定歯車12の測定動作を開始する。
【0035】
歯車測定機11は、所定のプログラムに従い、検出器31により一方の測定子13の先端の現在位置を確認し、被測定歯車12(主軸27)の中心のX座標(固定)、Y座標(固定)、Z座標(可変)に基づき、移動部22により測定機構部23を移動させ、一方の測定子13の先端を被測定歯車12の歯溝に挿入し、この先端を被測定歯車12の歯17の歯面17a,17bの一方、例えば歯面17aに対して接触させる。すなわち、Y軸方向の一側に位置する測定子13の先端を、Y軸方向の他側から被測定歯車12の歯面17aに対して接触させる。なお、この移動部22による測定機構部23(測定子13)の移動は、マニュアル操作によって行うこともできる。
【0036】
この状態で、歯車測定機11は、回転部21が被測定歯車12を回転させ、この回転に連動して、移動部22が測定機構部23を移動させ、測定ホルダ34とともに一方の測定子13の先端を被測定歯車12の歯17の一方の歯面17aに接触させた状態を維持しつつ(図1及び図3)、被測定歯車12の軸方向、または、軸断面方向に創成運動させる。検出器31では、例えば被測定歯車12の歯面17aと予めコンピュータなどにより入力された被測定歯車12の理論形状との差を誤差として検出し、その値を出力する。
【0037】
一方の測定子13による一方の歯面17aの測定が終了すると、次いで、歯車測定機11は、移動部22が測定機構部23を一旦X軸方向に後退させた後、Y軸方向に移動させ、他方の測定子13の先端を被測定歯車12の歯溝に挿入し、この先端を被測定歯車12の歯17の歯面17a,17bの他方、例えば歯面17bに対して接触させる。すなわち、Y軸方向の他側に位置する測定子13の先端を、Y軸方向の一側から被測定歯車12の歯面17bに対して接触させる。この移動部22による測定機構部23(測定子13)の移動も、マニュアル操作によって行うこともできる。そして、歯車測定機11は、測定ホルダ34とともに他方の測定子13の先端を被測定歯車12の歯17の他方の歯面17bに接触させた状態を維持しつつ(図2及び図4)、被測定歯車12の軸方向、または、軸断面方向に創成運動させる。検出器31では、例えば被測定歯車12の歯面17bと予めコンピュータなどにより入力された被測定歯車12の理論形状との差を誤差として検出し、その値を出力する。
【0038】
上述したように、上記一実施の形態では、先端側に軸方向に対して所定の傾斜角度に傾斜した傾斜面13aを備えた、すなわち先端側を斜めにカットした測定子13を用い、この測定子13の軸方向が被測定歯車12の歯たけ方向(X軸方向)に対して所定の角度に傾斜した状態に測定ホルダ34により測定子13の基端側を保持する。このため、例えば溝幅が狭い小モジュールの被測定歯車12であっても、測定子13が被測定歯車12の歯面17a,17bの一方に対して先端で接触し、かつ、反対側に位置する歯面17b,17aの他方に対して接触しないようにすることができ(図1及び図2)、小モジュールの被測定歯車12を、容易に、かつ、安定して測定可能となる。
【0039】
具体的に、先端半径が0.025mm、直径が2mm、傾斜面13aの角度が12°の測定子13を用い、測定ホルダ34による測定子13の傾斜角度を10°に設定した歯車測定機11では、モジュール0.1mmの被測定歯車12の測定が可能になった。
【0040】
また、先端に傾斜面13aを有する、すなわち先端をカットした形状の測定子13を用いる場合、被測定歯車12の各歯17の歯面17a,17bを測定するためには、歯面17a,17bの一方を測定した後、測定子13の向きを反転させて歯面17a,17bの他方を測定する必要がある。そこで、本実施の形態では、測定ホルダ34に一対の測定子13,13を、互いの傾斜面13a,13aが対向するように対称な位置で保持することで、一方の測定子13による測定が終了した後、他方の測定子13の先端を接触させるように移動部22によって測定部32を移動させることにより、測定子13を反転させる作業をすることなく、一対の測定子13,13によって歯面17a,17bを測定できる。この結果、手動での測定子13の反転位置合わせ作業が不要になるとともに、特に測定子13の先端が細い場合に手動での反転位置合わせ時に生じやすい角度位置のずれなどが生じない。したがって、操作性を向上できるとともに、測定子13の先端を被測定歯車12の歯面17a,17bに対して安定的に接触させることができ、検査データの安定性を向上できる。
【符号の説明】
【0041】
11 歯車測定機
12 被測定歯車
13 測定子
13a 傾斜面
21 回転部
22 移動部
32 測定部
34 測定ホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7