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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-163074(P2018-163074A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】油圧センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20180921BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
   G01L19/00 101
   F16J15/06 C
   F16J15/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-60989(P2017-60989)
(22)【出願日】2017年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 朝華
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊晃
【テーマコード(参考)】
2F055
3J040
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF43
2F055GG11
2F055HH03
3J040AA17
3J040BA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】油圧センサの取り付け時にシール部材の脱落を抑制でき、油圧制御装置の組立性を向上できる油圧センサ取付構造を提供する。
【解決手段】油路ボディ10と、センサケース40と、油路ボディと10センサケース40との間を密封するシール部材24とを備え、油路ボディ10は、油圧センサの少なくとも一部が上部ボディ11と下部ボディ12との間に配置された状態で油圧センサを収容する収容穴部14を有する。センサケース40は、少なくとも一部が収容穴部14の小径穴部14aに挿入される柱状部41と、柱状部41から径方向外側に突出し、収容穴部14の大径穴部14cに挿入されるフランジ部42を有する。シール部材24は、フランジ部42の上側において柱状部41を囲む環状であり、収容穴部14の内側面とセンサケース40との間を密封する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルが流れる油路を内部に有する油路ボディに、前記油路内を流れるオイルの圧力を計測する油圧センサを取り付ける油圧センサ取付構造であって、
前記油路ボディは、下部ボディと、前記下部ボディの上下方向上側に重ねて配置される上部ボディと、を有し、
前記下部ボディは、前記下部ボディの上面に前記油路と繋がる油路開口部を有し、
前記油圧センサは、センサ本体と、前記センサ本体を覆うセンサケースと、を有し、
前記センサケースは、前記下部ボディの上面に設置され、かつ、前記センサケースの下面に、前記センサケースが前記下部ボディの上面に設置された状態において前記油路開口部と繋がるセンシング穴を有し、
前記油圧センサ取付構造は、
前記油路ボディと、
前記センサケースと、
前記油路ボディと前記センサケースとの間を密封するシール部材と、
を備え、
前記油路ボディは、前記油圧センサの少なくとも一部が上下方向において前記上部ボディと前記下部ボディとの間に配置された状態で前記油圧センサを収容する収容穴部を有し、
前記収容穴部は、
小径穴部と、
前記小径穴部よりも上下方向下側に配置され、内径が前記小径穴部よりも大きい大径穴部と、
を有し、
前記センサケースは、
上下方向に延びる中心軸に沿って配置され、少なくとも一部が前記小径穴部に挿入される柱状部と、
前記柱状部から径方向外側に突出し、前記大径穴部に挿入されるフランジ部と、
を有し、
前記フランジ部は、前記上部ボディの上下方向下側に対向して配置され、
前記シール部材は、前記フランジ部の上下方向上側において前記柱状部を囲む環状であり、前記収容穴部の内側面と前記センサケースとの間を密封する、油圧センサ取付構造。
【請求項2】
前記柱状部の外径は、前記小径穴部の内径よりも小さく、
前記フランジ部の外径は、前記小径穴部の内径よりも大きく、前記大径穴部の内径よりも小さい、請求項1に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項3】
前記収容穴部は、前記小径穴部と前記大径穴部との上下方向の間において前記小径穴部と前記大径穴部とを繋ぐ中径穴部を有し、
前記中径穴部の内径は、前記小径穴部の内径よりも大きく、前記大径穴部の内径よりも小さく、
前記シール部材は、前記中径穴部に嵌め込まれる、請求項1または2に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項4】
前記柱状部は、前記中径穴部に通され、
前記中径穴部の内周面と前記柱状部の外周面との径方向の間には、第1隙間が設けられ、
前記第1隙間の径方向の寸法は、変形していない状態における前記シール部材の径方向の寸法よりも小さい、請求項3に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項5】
前記フランジ部は、前記中径穴部と前記大径穴部との間の第1段差部における上下方向下向きの第1段差面と、上下方向に対向し、
前記第1段差面と、前記小径穴部と前記中径穴部との間の第2段差部における上下方向下向きの第2段差面と、の間の上下方向の寸法は、前記シール部材の上下方向の寸法よりも大きい、請求項3または4に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項6】
前記中径穴部の上下方向下側の端部は、上下方向上側から上下方向下側に向かって内径が大きくなる拡径部である、請求項3から5のいずれか一項に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項7】
前記収容穴部は、前記上部ボディの下面から上下方向上側に窪む穴である、請求項1から6のいずれか一項に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項8】
前記柱状部は、径方向外側面に前記シール部材が嵌め込まれる溝部を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項9】
前記シール部材は、Oリングである、請求項1から8のいずれか一項に記載の油圧センサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧センサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧センサを備える油圧制御装置が知られている。特許文献1では、油路が設けられたコントロールバルブに油圧センサが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−174991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような油圧センサをコントロールバルブに取り付ける方法としては、コントロールバルブが有する2つの油路ボディの間に油圧センサを挟み込む方法がある。そのような方法を用いる場合、例えば、上側の油路ボディに設けられた貫通孔に油圧センサを挿入した後に、上側の油路ボディの下面に下側の油路ボディを固定し、油圧センサを挟み込む。
【0005】
ここで、油圧センサの下面には、油圧センサと下側の油路ボディとの間を密封するシール部材が設けられる。2つの油路ボディの間に油圧センサを挟み込む場合、下側の油路ボディを上側の油路ボディに固定するまでの間に、油圧センサの下面からシール部材が脱落する場合があった。そのため、上側の油路ボディを上下反転させて、下側の油路ボディを固定する必要があった。したがって、油圧センサの取り付けに手間が掛かり、油圧制御装置の組立性が低下する問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて、油圧センサの取り付け時にシール部材の脱落を抑制でき、油圧制御装置の組立性を向上できる油圧センサ取付構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の油圧センサ取付構造の一つの態様は、オイルが流れる油路を内部に有する油路ボディに、前記油路内を流れるオイルの圧力を計測する油圧センサを取り付ける油圧センサ取付構造であって、前記油路ボディは、下部ボディと、前記下部ボディの上下方向上側に重ねて配置される上部ボディと、を有し、前記下部ボディは、前記下部ボディの上面に前記油路と繋がる油路開口部を有し、前記油圧センサは、センサ本体と、前記センサ本体を覆うセンサケースと、を有し、前記センサケースは、前記下部ボディの上面に設置され、かつ、前記センサケースの下面に、前記センサケースが前記下部ボディの上面に設置された状態において前記油路開口部と繋がるセンシング穴を有し、前記油圧センサ取付構造は、前記油路ボディと、前記センサケースと、前記油路ボディと前記センサケースとの間を密封するシール部材と、を備え、前記油路ボディは、前記油圧センサの少なくとも一部が上下方向において前記上部ボディと前記下部ボディとの間に配置された状態で前記油圧センサを収容する収容穴部を有し、前記収容穴部は、小径穴部と、前記小径穴部よりも上下方向下側に配置され、内径が前記小径穴部よりも大きい大径穴部と、を有し、前記センサケースは、上下方向に延びる中心軸に沿って配置され、少なくとも一部が前記小径穴部に挿入される柱状部と、前記柱状部から径方向外側に突出し、前記大径穴部に挿入されるフランジ部と、を有し、前記フランジ部は、前記上部ボディの上下方向下側に対向して配置され、前記シール部材は、前記フランジ部の上下方向上側において前記柱状部を囲む環状であり、前記収容穴部の内側面と前記センサケースとの間を密封する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、油圧センサの取り付け時にシール部材の脱落を抑制でき、油圧制御装置の組立性を向上できる油圧センサ取付構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の油圧センサ取付構造を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態の油圧センサ取付構造を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態の油圧センサ取付構造を示す図であって、図2におけるIII−III断面図である。
図4図4は、本実施形態の油圧センサ取付構造の一部を示す断面図である。
図5図5は、本実施形態の他の一例である油圧センサ取付構造の一部を示す断面図である。
図6図6は、本実施形態の他の一例である油圧センサ取付構造の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図においてZ軸方向は、上下方向Zとする。Z軸方向の正の側は、上下方向上側とする。Z軸方向の負の側は、上下方向下側とする。以下の説明においては、上下方向上側を単に「上側」と呼び、上下方向下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1から図4に示す本実施形態の油圧センサ取付構造30は、油圧制御装置1におけるコントロールバルブの油路ボディ10に油圧センサ20を取り付ける。図1は、油圧センサ20が油路ボディ10に取り付けられる前の状態を示す。図2から図4は、油圧センサ取付構造30によって油圧センサ20が油路ボディ10に取り付けられた状態を示す。なお、油圧センサ取付構造30によって油圧センサ20が油路ボディ10に取り付けられた状態を「取付状態」と呼ぶ。以下の説明において、特に断りが無い場合には、各部の相対的な位置関係は、取付状態における位置関係とする。
【0012】
油圧センサ取付構造30は、油路ボディ10と、油圧センサ20のセンサケース40と、シール部材24と、を備える。図3に示すように、油路ボディ10は、オイルが流れる油路10aを内部に有する。油圧センサ20は、油路10a内を流れるオイルの圧力を計測する。油路ボディ10は、下部ボディ12と、下部ボディ12の上側に重ねて配置された上部ボディ11と、を有する。
【0013】
下部ボディ12は、下部ボディ本体12aと、下部ボディ本体12aの上側に重ねて配置されたセパレートプレート12bと、を有する。下部ボディ本体12aには、油路10aの一部が設けられる。セパレートプレート12bは、上下方向Zと直交する板状である。図示は省略するが、油路10aの一部は、下部ボディ本体12aの上面に設けられた上下方向Zと直交する方向に延びる溝の開口がセパレートプレート12bによって閉塞されて構成される。
【0014】
下部ボディ12は、下部ボディ12の上面12cに油路10aと繋がる油路開口部12dを有する。本実施形態において下部ボディ12の上面12cは、セパレートプレート12bの上面である。油路開口部12dは、セパレートプレート12bを上下方向Zに貫通する。図1に示すように、本実施形態において油路開口部12dは、上下方向Zに延びる中心軸Jを中心とする円形状である。以下の説明においては、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0015】
上部ボディ11は、収容穴部14を有する。すなわち、油路ボディ10は、収容穴部14を有する。図3に示すように、本実施形態において収容穴部14は、上部ボディ11の下面から上側に窪む穴である。収容穴部14は、上部ボディ11を上下方向Zに貫通する。収容穴部14の内縁は、上下方向Zに沿って視て、中心軸Jを中心とする円形状である。収容穴部14は、油圧センサ20の少なくとも一部が上下方向Zにおいて上部ボディ11と下部ボディ12との間に配置された状態で油圧センサ20を収容する。
【0016】
収容穴部14は、小径穴部14aと、中径穴部14bと、大径穴部14cと、を有する。小径穴部14aは、上部ボディ11の上面に開口する。小径穴部14aは、上部ボディ11の上面から下側に延びる。中径穴部14bは、小径穴部14aの下側の端部に繋がる。中径穴部14bの内径は、小径穴部14aの内径よりも大きく、大径穴部14cの内径よりも小さい。図4に示すように、中径穴部14bの下側の端部は、上側から下側に向かって内径が大きくなる拡径部14dである。拡径部14dの内周面は、上側から下側に向かうに従って漸次内径が大きくなるテーパ面である。
【0017】
大径穴部14cは、中径穴部14bの下側の端部に繋がる。すなわち、中径穴部14bは、小径穴部14aと大径穴部14cとの上下方向Zの間において小径穴部14aと大径穴部14cとを繋ぐ。大径穴部14cは、小径穴部14aよりも下側に配置され、内径が小径穴部14aよりも大きい。図3に示すように、大径穴部14cは、上部ボディ11の下面に開口する。大径穴部14cの上下方向Zの寸法は、中径穴部14bの上下方向Zの寸法よりも大きい。小径穴部14aの上下方向Zの寸法は、大径穴部14cの上下方向Zの寸法よりも大きい。
【0018】
図4に示すように、中径穴部14bと大径穴部14cとの間には、第1段差部15aが設けられる。第1段差部15aは、上側から下側に向かって内径が大きくなる段差である。第1段差部15aにおける下向きの第1段差面15cは、上下方向Zと直交する円環状の平坦面である。小径穴部14aと中径穴部14bとの間には、第2段差部15bが設けられる。第2段差部15bは、上側から下側に向かって内径が大きくなる段差である。第2段差部15bにおける下向きの第2段差面15dは、上下方向Zと直交する円環状の平坦面である。小径穴部14aの内周面と中径穴部14bの内周面との径方向の距離L4は、中径穴部14bの内周面と大径穴部14cの内周面との径方向の距離L3よりも小さい。
【0019】
図3に示すように、油圧センサ20は、センサケース40と、センサ本体21と、ダイヤフラム23と、を有する。センサケース40は、センサ本体21を覆う。センサケース40は、下部ボディ12の上面12cに設置される。センサケース40は、柱状部41と、フランジ部42と、を有する。
【0020】
柱状部41は、上下方向Zに延びる中心軸Jに沿って配置され、上端には、端子部22が設けられ、内部に配置された配線によってセンサ本体21と端子部22との電気的な接続がされている。図1に示すように、本実施形態において柱状部41は、円柱状である。柱状部41は、例えば、樹脂製である。図3に示すように、柱状部41は、少なくとも一部が小径穴部14aに挿入される。本実施形態において柱状部41は、大径穴部14c、中径穴部14bおよび小径穴部14aに通される。柱状部41の上端部は、上部ボディ11の上面よりも上側に突出する。
【0021】
柱状部41の外径は、小径穴部14aの内径および中径穴部14bの内径よりも小さい。中径穴部14bの内周面と柱状部41の外周面との径方向の間には、第1隙間S1が設けられる。小径穴部14aの内周面と柱状部41の外周面との径方向の間には、第2隙間S2が設けられる。柱状部41の下面には、柱状部41の下面から上側に窪み、後述する収容空間40dと繋がるセンシング穴45が設けられる。すなわち、センサケース40は、センサケース40の下面に、センシング穴45を有する。センシング穴45は、センサケース40が下部ボディ12の上面12cに設置された状態において油路開口部12dと繋がる。センシング穴45の内径は、油路開口部12dの内径よりも大きい。
【0022】
フランジ部42は、柱状部41から径方向外側に突出する。本実施形態においてフランジ部42は、柱状部41の下端部に設けられる。図1に示すように、フランジ部42は、柱状部41を周方向に囲む円環状である。フランジ部42は、例えば、金属製である。図3に示すように、フランジ部42は、大径穴部14cに挿入される。フランジ部42は、上部ボディ11の下側に対向して配置される。より詳細には、図4に示すように、フランジ部42は、第1段差面15cと、上下方向Zに対向する。フランジ部42の上面は、第1段差面15cと接触する。
【0023】
フランジ部42の上下方向Zの寸法は、例えば、下部ボディ12の上面12cと第1段差面15cとの上下方向Zの間の寸法よりも小さい。フランジ部42は、油路開口部12dから収容穴部14内に流入するオイルによって上向きの力を受けて、第1段差面15cに下側から押し付けられる。フランジ部42の外径は、小径穴部14aの内径および中径穴部14bの内径よりも大きく、大径穴部14cの内径よりも小さい。フランジ部42の径方向の寸法L2は、小径穴部14aの内周面と大径穴部14cの内周面との径方向の距離L5よりも大きい。フランジ部42の径方向の寸法L2は、柱状部41の外周面とフランジ部42の外周面との径方向の距離である。フランジ部42と大径穴部14cの内周面との径方向の間には、第3隙間S3が設けられる。
【0024】
図3に示すように、本実施形態においてセンサケース40は、上側ケース40aと蓋部40bと下側ケース40cとの3つの部材から構成される。上側ケース40aは、柱状部41の上部を構成する部分である。上側ケース40aは、例えば、樹脂製の単一部材である。下側ケース40cは、柱状部41の下部を構成する部分である。フランジ部42は、下側ケース40cに設けられる。下側ケース40cは、例えば、金属製の単一部材である。蓋部40bは、上側ケース40aと下側ケース40cとに接触した状態で上下方向Zに挟まれる。
【0025】
下側ケース40cと蓋部40bとの上下方向Zの間には、収容空間40dが設けられる。収容空間40dは、ダイヤフラム23によって上下方向Zに仕切られる。収容空間40dの下部には、センシング穴45の上端が開口する。センサ本体21は、収容空間40dの上部内において蓋部40bの下面に設置される。収容空間40dの上部内には、圧力伝達用液が充填される。取付状態においては、油路開口部12dと繋がったセンシング穴45を介して、収容空間40dの下部にオイルが流入する。収容空間40dの下部に流入したオイルの圧力は、ダイヤフラム23および圧力伝達用液を介してセンサ本体21に加えられる。これにより、油路10a内のオイルの油圧をセンサ本体21によって計測できる。
【0026】
図1および図3に示すように、シール部材24は、フランジ部42の上側において柱状部41を囲む環状である。本実施形態においてシール部材24は、Oリングである。そのため、シール部材24を安価にでき、油圧制御装置1の製造コストを低減できる。シール部材24は、油路ボディ10とセンサケース40との間を密封する。より詳細には、シール部材24は、収容穴部14の内側面とセンサケース40との間を密封する。
【0027】
なお、本明細書において「収容穴部の内側面」とは、収容穴部内に露出する面を含む。例えば、本実施形態において収容穴部14の内側面は、小径穴部14aの内周面と、中径穴部14bの内周面と、大径穴部14cの内周面と、第1段差面15cと、第2段差面15dと、を含む。
【0028】
図4に示すように、本実施形態においてシール部材24は、中径穴部14bに嵌め込まれる。シール部材24は、第1隙間S1に配置され、中径穴部14bの内周面と柱状部41の外周面とに接触した状態で径方向に挟まれる。第1隙間S1の径方向の寸法L1は、変形していない状態におけるシール部材24の径方向の寸法よりも小さい。そのため、中径穴部14bに嵌め込まれたシール部材24は、中径穴部14bの内周面と柱状部41の外周面とによって径方向に圧縮されて、弾性変形する。これにより、シール部材24が中径穴部14bの内周面と柱状部41の外周面とに密着し、シール部材24によって油路ボディ10とセンサケース40との間をより精度よく密封することができる。
【0029】
なお、本明細書において「シール部材が変形していない状態」とは、例えば、シール部材が油圧センサに装着される前の状態と、シール部材が油圧センサに装着され、かつ、油圧センサが収容穴部に挿入されていないときのシール部材の状態と、を含む。すなわち、変形していない状態のシール部材24の径方向の寸法とは、図1に示すような油圧センサ20が収容穴部14に挿入される前において、シール部材24が柱状部41の周りを囲んで油圧センサ20に取り付けられた状態におけるシール部材24の径方向の寸法を含む。
【0030】
図4に示すように、シール部材24は、フランジ部42の上面と第2段差面15dとの上下方向Zの間に配置される。第1段差面15cと第2段差面15dとの間の上下方向Zの寸法Hは、シール部材24の上下方向Zの寸法よりも大きい。そのため、シール部材24とフランジ部42の上面との上下方向Zの間と、シール部材24と第2段差面15dとの上下方向Zの間と、の少なくとも一方には隙間が設けられる。これにより、フランジ部42が収容穴部14内に流入したオイルによって第1段差面15cに上向きに押し付けられても、シール部材24がフランジ部42の上面と第2段差面15dとによって上下方向Zに圧縮されることを抑制できる。したがって、シール部材24がフランジ部42によって上下方向Zに過剰に押し潰されることを抑制でき、シール部材24が破損することを抑制できる。図4では、シール部材24は第2段差面15dと接触し、シール部材24とフランジ部42の上面との間に隙間が設けられる。
【0031】
なお、本明細書において「シール部材の上下方向Zの寸法」は、変形していない状態におけるシール部材の上下方向Zの寸法と、シール部材が収容穴部に収容されて径方向に圧縮された状態におけるシール部材の上下方向Zの寸法と、を含む。シール部材24が中径穴部14bの内周面と柱状部41の外周面とによって径方向に圧縮されて弾性変形すると、シール部材24の径方向の寸法が小さくなる一方で、シール部材24の上下方向Zの寸法は、大きくなる。本実施形態において、第1段差面15cと第2段差面15dとの間の上下方向Zの寸法Hは、このように径方向に圧縮されて上下方向Zに大きくなったシール部材24の上下方向Zの寸法よりも大きい。
【0032】
まず、取付者は、図1に示すように油圧センサ20の柱状部41にシール部材24を嵌め合わせて装着する。この状態においてシール部材24は、例えば、フランジ部42の上面と接触する。そして、取付者は、シール部材24が装着された油圧センサ20を収容穴部14に挿入する。具体的には、取付者は、図1に示すように柱状部41の上部を収容穴部14に下側から挿入する。柱状部41の上部、すなわちセンサケース40の上部は、大径穴部14cおよび中径穴部14bを介して、小径穴部14aに挿入される。取付者は、大径穴部14cにフランジ部42が挿入され、フランジ部42の上面が第1段差面15cと接触するまで、油圧センサ20を収容穴部14内に下側から押し込む。
【0033】
油圧センサ20が収容穴部14に押し込まれることで、柱状部41に装着されたシール部材24が中径穴部14bに挿入されて嵌め込まれる。このとき、中径穴部14bの下側の端部は拡径部14dであるため、拡径部14dの内周面に沿ってシール部材24を中径穴部14b内に導きやすい。これにより、油圧センサ20を収容穴部14内に挿入した際に、シール部材24を中径穴部14b内に嵌め込みやすい。
【0034】
次に、取付者は、図2および図3に示すように、上部ボディ11と下部ボディ12とを、下部ボディ12の上面12cが上部ボディ11の下面と接触した状態で固定する。これにより、下部ボディ12によって収容穴部14の下側の開口が閉塞され、油圧センサ20が下部ボディ12の上面12cによって下側から支持される。以上により、油圧センサ取付構造30によって、油圧センサ20が油路ボディ10に取り付けられる。
【0035】
本実施形態によれば、シール部材24はフランジ部42の上側において柱状部41を囲むため、シール部材24の下側への移動がフランジ部42によって抑制される。これにより、油圧センサ20を上部ボディ11の収容穴部14に挿入した後、上部ボディ11と下部ボディ12とを固定する前の状態において上部ボディ11の上下を反転させなくとも、シール部材24が油圧センサ20から脱落することを抑制できる。そのため、油圧センサ20の取り付けの手間を低減できる。したがって、本実施形態によれば、油圧センサ20の取り付け時にシール部材24の脱落を抑制でき、油圧制御装置1の組立性を向上できる油圧センサ取付構造30が得られる。
【0036】
また、収容穴部14に油圧センサ20が挿入されると、シール部材24によって、収容穴部14の内側面とセンサケース40との間が密封される。そのため、収容穴部14の内側面とシール部材24との間、およびセンサケース40とシール部材24との間に摩擦力が生じて、油圧センサ20が収容穴部14内に保持されやすい。これにより、上部ボディ11と下部ボディ12とを固定する前の状態において上部ボディ11の上下を反転させなくとも、収容穴部14から油圧センサ20が脱落することを抑制できる。したがって、油圧センサ20の取り付けの手間をより低減でき、油圧制御装置1の組立性をより向上できる。
【0037】
本実施形態では、シール部材24が嵌め込まれる中径穴部14bが設けられるため、上述したようにして、シール部材24が上下方向Zに過剰に押し潰されることを抑制しつつ、シール部材24を径方向に圧縮弾性変形させやすい。シール部材24が径方向に圧縮弾性変形することで、シール部材24の弾性力が中径穴部14bの内周面と柱状部41の外周面とに加えられ、中径穴部14bの内周面とシール部材24との間の摩擦力、および柱状部41の外周面とシール部材24との間の摩擦力が大きくなる。したがって、油圧センサ20をより収容穴部14内に保持しやすく、上部ボディ11と下部ボディ12とを固定する前の状態において、油圧センサ20が脱落することをより抑制できる。
【0038】
また、本実施形態によれば、収容穴部14は、上部ボディ11の下面から上側に窪む穴であるため、下部ボディ12の構成を変更することなく油圧センサ取付構造30を設けることができる。また、本実施形態のように、セパレートプレート12bを設けやすい。セパレートプレート12bを比較的面精度に優れた板状とすることで、セパレートプレート12bの上面と上部ボディ11の下面とを接触させて、セパレートプレート12bの上面と上部ボディ11の下面との間を密封することができる。これにより、油路開口部12dから収容穴部14内に流入するオイルが、セパレートプレート12bの上面と上部ボディ11の下面との間から径方向外側に漏れることを抑制できる。
【0039】
また、本実施形態によれば、フランジ部42の外径は、小径穴部14aの内径よりも大きく、大径穴部14cの内径よりも小さい。そのため、フランジ部42が大径穴部14cから上側に抜けることを阻止しつつ、フランジ部42を大径穴部14c内に容易に挿入できる。
【0040】
油圧センサ20を収容穴部14に挿入した際においては、中径穴部14bに嵌め込まれたシール部材24がフランジ部42の上面と接触した状態のままである場合がある。しかし、取付状態においては、フランジ部42と大径穴部14cとの隙間を介して、中径穴部14bに下側からオイルが流入する。そのため、シール部材24は、オイルの油圧によって押し上げられて、第2段差面15dに押し付けられる。これにより、シール部材24には、径方向に拡がる向きに力が加えられる。したがって、シール部材24を中径穴部14bの内周面と柱状部41の外周面とに、より押し付けることができ、シール部材24と中径穴部14bの内周面および柱状部41の外周面との密着力を向上できる。そのため、シール部材24によって油路ボディ10とセンサケース40との間をより精度よく密封することができる。
【0041】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0042】
油路開口部12dは、取付状態においてセンシング穴45と繋がるならば、中心軸Jが通る位置になくてもよい。すなわち、上記実施形態において、油路開口部12dおよびセンシング穴45の位置が、中心軸Jに対してずれていてもよい。また、センサケース40は、単一の部材であってもよい。セパレートプレート12bは、設けられなくてもよい。また、フランジ部42は、柱状部41から径方向外側に突出するならば、環状でなくてもよい。フランジ部42は、周方向の一部において設けられなくてもよい。また、フランジ部42は、周方向に沿って離散的に複数設けられてもよい。
【0043】
収容穴部14は、上部ボディ11と下部ボディ12とに跨って設けられてもよい。この場合、例えば、下部ボディ12の上面12cに下側に窪む凹部が設けられ、この凹部にフランジ部42が挿入されてもよい。また、収容穴部14は、上側に開口しなくてもよい。すなわち、収容穴部14は、上部ボディ11の下面から上側に窪む有底の穴であってもよい。
【0044】
また、第1段差面15cと第2段差面15dとの間の上下方向Zの寸法Hは、変形していない状態のシール部材24の上下方向Zの寸法より大きく、径方向に圧縮弾性変形されたシール部材24の上下方向Zの寸法以下であってもよい。また、第1段差面15cと第2段差面15dとの間の上下方向Zの寸法Hは、変形していない状態のシール部材24の上下方向Zの寸法以下であってもよい。この場合においては、第1隙間S1の径方向の寸法L1は、変形していない状態のシール部材24の径方向の寸法以上であってもよいし、第1段差面15cと第2段差面15dとに上下方向Zに圧縮されて径方向に大きくなったシール部材24の径方向の寸法より大きくてもよい。また、第1段差面15cと第2段差面15dとのうちの少なくとも一方は、上下方向Zに対して傾く傾斜面であってもよい。
【0045】
また、油圧センサ取付構造は、図5に示す油圧センサ取付構造130のような構成であってもよい。図5に示すように、油圧センサ取付構造130の上部ボディ111において、収容穴部114は、中径穴部14bを有しない。収容穴部114は、小径穴部14aの下側の端部に大径穴部14cが繋がって構成される。これにより、小径穴部14aと大径穴部14cとの間には、上側から下側に向かって内径が大きくなる段差部115が設けられる。フランジ部42の上面は、段差部115の下向きの段差面115cに接触する。段差面115cは、上下方向Zと直交する平坦面である。なお、段差面115cは、上下方向Zに対して傾く傾斜面であってもよい。
【0046】
油圧センサ120においてセンサケース140の柱状部141は、径方向外側面にシール部材124が嵌め込まれる溝部141aを有する。そのため、シール部材124が柱状部141から外れることを抑制できる。図示は省略するが、溝部141aは、柱状部141の径方向外側面に周方向の一周に亘って設けられる円環状である。溝部141aに嵌め込まれたシール部材124は、小径穴部14aの内周面と溝部141aの底面とに接触した状態で挟まれて、径方向に圧縮弾性変形する。これにより、シール部材124は、小径穴部14aの内周面と柱状部141の外周面との間を密封する。
【0047】
なお、シール部材が嵌め込まれる溝部は、フランジ部の上面に設けられてもよい。この場合、シール部材は、例えば、段差面と溝部の底面とに接触した状態で上下方向Zに挟まれる。
【0048】
また、油圧センサ取付構造は、図6に示す油圧センサ取付構造230のような構成であってもよい。図6に示すように、油圧センサ取付構造230の油圧センサ220においてセンサケース240のフランジ部242は、上面が傾斜面242aである。傾斜面242aは、径方向内側から径方向外側に向かうに従って漸次下側に位置する傾斜面である。傾斜面242aは、円環状のテーパ面である。
【0049】
シール部材224は、傾斜面242aと段差面115cとに接触した状態で上下方向Zに挟まれる。これにより、シール部材224は、上下方向Zに圧縮弾性変形する。また、シール部材224は、傾斜面242aから径方向外側に力を受ける。これにより、シール部材224は、大径穴部14cの内周面に径方向内側から押し付けられ、径方向に圧縮弾性変形する。
【0050】
また、上述した実施形態の油圧センサ取付構造によって油圧センサを取り付けることができる油路ボディは、内部にオイルが流れる油路を有していればよく、特に限定されない。上記実施形態の油圧センサ取付構造は、例えば、電動オイルポンプに対する油圧センサの取付構造に適用されてもよい。
【0051】
上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0052】
10…油路ボディ、10a…油路、11,111…上部ボディ、12…下部ボディ、12d…油路開口部、14,114…収容穴部、14a…小径穴部、14b…中径穴部、14c…大径穴部、14d…拡径部、15a…第1段差部、15b…第2段差部、15c…第1段差面、15d…第2段差面、20,120,220…油圧センサ、21…センサ本体、24,124,224…シール部材、30,130,230…油圧センサ取付構造、40,140,240…センサケース、41,141…柱状部、42,242…フランジ部、45…センシング穴、141a…溝部、J…中心軸、S1…第1隙間、Z…上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6