【課題】電子カルテおよび指示書を作成するための入力作業を一元化し、効率よく情報管理を行える情報管理装置、情報管理プログラム、情報管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】カルテ処理部11が種類特定情報に基づいて、管理する種類毎にカルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報の中から医療情報を特定し、医療情報処理部12が、種類特定情報に基づいて特定された医療情報をカルテ情報と関連させて記憶手段に転記する。
前記補助情報には、担当医または病院が使用した実績のある医療補助情報と、使用実績を問わない医療補助情報とが含まれることを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【背景技術】
【0002】
近年、病院では電子カルテが広く利用されている。この電子カルテは、これまで医師が紙カルテに記載していた患者の主訴、現病歴、既往歴、処置、経過などの診療録を電子化して一元管理するものである。この電子カルテを利用することで、紙カルテのような物理的な管理が不要となるので、紙カルテの紛失がなくなる、紙カルテの収納スペースが不要になるなどの利点がある。
【0003】
また、電子化された電子カルテは容易に検索ができるので、患者のカルテを素早く表示することができる。これにより従来の紙カルテでは大きな負担であったカルテ出しや搬送、片付けなどの手間が不要となり、その結果、患者の待ち時間が短縮され、待合室や駐車場の混雑防止につなげることができる。
【0004】
この電子カルテに患者の情報を医師が入力には、まず医師が患者を診察し、病状を判断した結果、患者の病名や処置を電子カルテに入力している。例えば、医師が患者に診断に基づいて薬を処方する場合、患者の個人情報や病名をはじめ、処方する薬の薬剤名、分量、用法、用量などの情報を医師が電子カルテに入力している。
【0005】
一方、患者が受付から会計完了に至るまでに医師が行う仕事は、患者の診療録を電子カルテに入力する以外にも、例えば、その患者に関わる医療行為等の指示、または医療行為等を指示するための指示書を作成する作業などがある。
【0006】
具体的には、医師は患者を診察し、病状を判断し、必要に応じて検査のオーダー、薬の処方、保険者へ請求する診療報酬請求、また医事会計に必要な情報から構成された各指示情報により指示書が発行される。これらの各指示情報の作成作業は、事務的な作業が多く定型化が可能であったため、電子カルテよりも比較的早期から、電子化されたオーダエントリシステムと呼ばれるシステムが病院で実用化されている。
【0007】
例えば、医師が薬剤師に対して薬の処方を指示する場合、医師はオーダエントリシステムを利用して、薬剤師へ薬の処方を指示する指示書である処方せんを作成している。オーダエントリシステムへの入力は、患者の電子カルテに入力した患者の診療録の内容に基づいて、患者の個人情報、薬剤名、分量、用法、用量、処方した病院の情報などの情報を医師が入力する。入力された指示情報は薬局に伝達され、薬局で処方せんとして発行される。
【0008】
このように、病院では電子カルテやオーダエントリシステムを平行して運用することで、電子化された患者の診療録や処方せんなどの指示情報を利用できるので、紙媒体で情報を伝達する場合と比較して、情報の紛失や、情報の伝達時間が短縮されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、オーダエントリシステムに入力する指示情報は、電子カルテに入力した情報と重複した情報を入力するため、重複した入力作業は医師に多くの負担をかけるだけでなく、患者の待ち時間の増加の原因となっていた。また重複した入力作業を行うことで、電子カルテとオーダエントリシステムとに生じる情報の不整合が、医療事故につながる恐れがあった。
【0011】
重複した情報の具体例として、上述の例のように医師は、患者の個人情報、病名、処方する薬の薬剤名、分量、用法、用量などを電子カルテに入力している。次にこの電子カルテに入力した情報に基づいて、医師は、患者の個人情報、薬剤名、分量、用法、用量、処方した病院の情報などの情報をオーダエントリシステムに入力して処方せんを発行する。
【0012】
ここで電子カルテに入力する情報と、オーダエントリシステムに入力する情報とを比較すると、患者の個人情報、病名、薬剤名、分量、用法、用量が重複していることがわかる。このように医師は、患者の電子カルテに記入した情報のうち特定の情報を、処方せんを発行するために、重複してオーダエントリシステムに入力していることになる。
【0013】
この電子カルテとオーダエントリシステムとは、医師が使用する同一の端末上で操作することが多いが、電子カルテとオーダエントリシステムとが切り離されたシステムであるため、重複する情報を個々のシステムに入力しなくてはならない。この重複作業は医師に多くの負担をかけていた。
【0014】
具体的には、医師は患者の診療録を入力するために、電子カルテの画面を表示し、診療録を電子カルテに入力する。次に医師は処方せんを発行するために、オーダエントリシステムの画面に切り替えて、先ほど電子カルテに入力した薬剤名などの情報をオーダエントリシステムに入力している。このため、重複する情報は画面を切り替えて個々のシステムに入力しなくてはならなかった。
【0015】
また、重複した情報を個々のシステムに繰り返して入力することで、入力の手間が増えるだけでなく、入力間違いなども増えてしまう恐れがあった。
例えば、電子カルテに入力された処方薬剤名と、オーダエントリシステムに入力された薬剤名とを間違って異なる薬剤名を入力してしまうことも考えられる。この場合、電子カルテに記録された処方薬剤名と、オーダエントリシステムにより発行された処方せんの処方薬剤名とが異なることとなり、薬局で医師が電子カルテに記録した薬とは異なった薬が患者に処方されることになり重大な医療事故となってしまう。このように重複した入力作業は、カルテとオーダエントリシステムとの情報に不整合を生じさせ、医療事故につながる恐れがあった。
【0016】
このような情報の不整合による医療事故は、確認作業を行うことで未然に事故を防ぐことができる場合もある。例えば、オーダエントリシステムに病名まで入力し、発行される処方せんに病名まで記載する。これにより、処方せんを受け取った薬剤師は、病名と、その病気に処方される薬や用法などが適切か、または入力間違いではないかどうかを確認することができる。このとき病名に対する処方薬が適切でない場合、医師に処方薬が適切であるか確認することでチェックを行うことができる。しかし、これでは医師が重複して入力する情報が増えるだけで、入力作業を軽減することはできなかった。
【0017】
そこで、重複した情報の入力作業を軽減する方法として、電子カルテやオーダエントリシステムのデータベースを一元化することで、重複する入力作業を一元化することも考えられる。
【0018】
しかし実際は、紙カルテしか存在しなかった時代に、紙カルテの情報と処方せんなどの指示書とは全く別の書類に記載されていたため、その扱いが電子カルテやオーダエントリシステムにも引き継がれており、データベースの一元化には至っていない。
【0019】
また、前述の通りオーダエントリシステムは電子カルテよりも比較的早期に実用化されている。電子カルテへの入力は、指示書を作成するためにオーダエントリシステムへ行う入力作業よりも前の工程であり、先に実用化されたオーダエントリシステムに前工程の電子カルテを組み込んでデータベースを一元化するのは困難であり、これらの理由でデータベースの一元化は実現化されていなかった。
【0020】
さらに、指示書を作成するためのオーダエントリシステムは、指示する部門毎に別々の管理がされていることが多く、処方せん管理、レセプト管理、検査管理、放射線か管理など複数のデータベースで管理されているため、データベースの一元化はより一層困難であった。
【0021】
以上ように、電子カルテとオーダエントリシステムとの入力作業に生じる重複した入力作業は、医師に多くの負担となっている。またこのような重複した入力作業で生じる各システム間の情報の不整合は医療事故につながる恐れがあった。
【0022】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、電子カルテおよび指示書を作成するための入力作業に生じる重複した入力作業を軽減する情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明では上記問題を解決するために、医師が電子カルテに入力したカルテ情報から、医師が医療関係者に対して指示をするための指示情報に必要な医療情報を特定する情報処理装置において、特定する前記医療情報の種類毎に前記カルテ情報から前記医療情報を特定するための種類特定情報と、前記種類特定情報によって特定された特定医療情報を抽出するための抽出手段とを備えることを特徴とする情報処理装置が提供される。
これにより、種類特定情報が、特定する医療情報の種類毎にカルテ情報から医療情報を特定し、抽出手段が、種類特定情報によって特定された特定医療情報を抽出する。
【0024】
また、本発明では、医師が電子カルテに入力したカルテ情報から、医師が医療関係者に対して指示をするための指示情報に必要な医療情報を特定する情報処理プログラムにおいて、コンピュータを、特定する前記医療情報の種類毎に前記カルテ情報から前記医療情報を特定するための種類特定情報、前記種類特定情報によって特定された特定医療情報を抽出するための抽出手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラムが提供される。
これにより、種類特定情報が、特定する医療情報の種類毎にカルテ情報から医療情報を特定し、抽出手段が、種類特定情報によって特定された特定医療情報を抽出する。
【0025】
また、本発明では、医師が電子カルテに入力したカルテ情報から、医師が医療関係者に対して指示をするための指示情報に必要な医療情報を特定する情報処理方法において、種類特定情報が、特定する前記医療情報の種類毎に前記カルテ情報から前記医療情報を特定するステップと、抽出手段が、前記種類特定情報によって特定された特定医療情報を抽出するステップとを備えることを特徴とする情報管理方法が提供される。
これにより、種類特定情報が、特定する医療情報の種類毎にカルテ情報から医療情報を特定し、抽出手段が、種類特定情報によって特定された特定医療情報を抽出する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法によれば、種類特定情報が、特定する医療情報の種類毎にカルテ情報から医療情報を特定し、抽出手段が、種類特定情報によって特定された特定医療情報を抽出するので、カルテ情報から指示情報の作成に必要な特定医療情報を抽出して再利用できるので、医師の重複した入力作業を軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施例に係る情報管理装置の構成および機能構成を示す図である。
図1に示すように、情報管理装置1は、カルテ処理部11と医療情報処理部12とを備えている。また情報管理装置1には、入力部2、記憶部3、表示部4、送信部5とが接続されている。
【0029】
カルテ処理部11は、入力部2から入力された患者に関わる情報、および記憶部3に記憶された薬剤等の情報に基づき、カルテ情報を作成し、記憶部3にカルテ情報を記憶させる。またカルテ処理部11が作成したカルテ情報が確定されると、カルテ処理部11は確定されたカルテ情報を医療情報処理部12に送信する。
【0030】
医療情報処理部12は、カルテ処理部11からカルテ情報を受信し、後に医師が出力する指示情報、例えば処方せん情報や検査依頼情報などの指示情報とカルテ情報とに共通する医療情報を特定すると共に、カルテ情報に関連づけて記憶部3に転記する。
【0031】
また医療情報処理部12が医療情報を記憶部3に転記すると、情報管理装置1に接続された表示部4に、情報管理装置1がカルテ情報および医療情報を表示する。
また送信部5は情報管理装置1に接続され、カルテ情報と医療情報とからなる指示情報を医師が記憶部3から呼び出し、指示情報を出力する部署などの出力先に、例えば処方せん情報や検査依頼情報などの指示情報を送信する。
【0032】
図2は、カルテ情報を入力するための入力画面に、医師が情報を入力した状態を示す図である。
図2に示すように、この入力画面は、患者情報欄21、カルテ情報入力欄22、病名欄23、および処方薬欄24により構成されている。
【0033】
患者情報欄21に表示されている情報は、後述する
図14および
図15の患者情報の内容である。
カルテ情報入力欄22は、カルテ情報を入力する欄である。このカルテ情報入力欄22の右下には、入力されたカルテ情報の内容を確定するための確定ボタン26が表示されており、確定ボタン26がクリックされるとカルテ情報の内容が確定される。
【0034】
確定ボタン26がクリックされカルテ情報の内容が確定されると、それ以降はカルテ情報の改ざんを防止するため、カルテ情報の内容が変更されると変更された内容が変更履歴として記憶部3に記録される。
病名欄23は病名を表示するための欄であり、この病名欄23の内容は、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報から転記されるものである。また、医師がこの病名欄23に新たな情報を入力することも可能である。なお、転記の処理については後述する。
【0035】
処方薬欄24は処方する薬剤の名称等を表示するための欄であり、この処方薬欄24の内容は、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報から転記されるものである。また、医師がこの処方薬欄24に新たな情報を入力することも可能である。なお、転記の処理については後述する。
【0036】
図2では、入力画面に複数のカルテ情報入力欄22が表示されており、そのうち最上段のカルテ情報入力欄22に、医師が「#」と入力し、その後に患者の病名および症状を入力し、次の行に医師が「rp」と入力した後に改行キーを押した状態である。
【0037】
ここでカルテ情報入力欄22に入力される「#」や「rp」などの記号は、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報から、転記する医療情報を特定し、転記する医療情報の転記先を特定するための種類特定情報である。
【0038】
具体的には、医師が入力するカルテ情報と、医師が出力する処方せんや検査依頼などの情報には、重複する病名や薬剤名などが含まれており、この重複する病名や薬剤名などの医療情報をカルテ情報から種類特定情報が特定し、種類特定情報の記号によって病名欄23や処方薬欄24などの転記先を特定して転記して記憶される。なお、詳しい転記の処理については後述する。
【0039】
図3は、入力画面に医師が薬剤名の一部を入力した状態を示す図である。
図3に示すように、
図2で医師が入力した「rp」の後に「あせと」(薬剤の名称の先頭三文字)を入力し、改行キーを押した状態である。
【0040】
図4は、入力画面に入力支援欄が表示された状態を表した図である。
図4に示すように、
図3で医師が入力した「rp」の後に「あせと」と入力したときに、カルテ情報入力欄22に入力支援欄25が表示される。
入力支援欄25とは、医師が情報の入力を間違えないように、更には入力が容易に行えるようにするための欄である。
【0041】
例えば、
図4のように「あせと」と入力した場合は、記憶部3に記憶された薬剤等の情報に基づいて、入力支援欄25に入力支援情報である「アセトアミノフェン」という文字列が表示される。
【0042】
これにより医師は「アセトアミノフェン」が表示された部分をクリックするだけで「アセトアミノフェン」という文字数の多い薬剤名を容易にカルテ情報入力欄22入力できる。
【0043】
ここでカルテ情報入力欄22に入力された種類特定情報「rp」は、種類特定情報「rp」の後に入力される情報が薬剤名であることを判別して入力支援欄25に薬剤名の入力支援情報を表示すると共に、種類特定情報「rp」の後に入力される薬剤名が転記される医療情報の種類、つまり処方薬欄24に転記することを示す役割を果たすものである。
【0044】
図5は、入力支援欄の詳細を示す図である。
図5に示すように、入力支援欄25は、カルテ情報入力欄22に入力された「あせと」というキーワードで記憶部3から抽出された薬剤名の一覧が表示されている。
なお、ここには「よく使う薬剤」のリストと、「全検索により抽出された薬剤」のリストが含まれているが、リストの詳細については後述する。
【0045】
図6は、入力支援欄から所定の情報が選択された状態を示す図である。
図6に示すように、入力支援欄25には薬剤名の一覧が表示されており、医師が1つの薬剤「アセトロードA錠」を「全検索により抽出された薬剤」のリストから入力マウスでクリックして選択している状態である。なお、選択はマウスだけではなく、キーボードを操作して選択してもよい。
【0046】
図7は、カルテ入力欄に入力されたカルテ情報の確定処理を行う様子を示す図である。
図7に示すように、カルテ情報入力欄22には、
図6で薬剤「アセトロードA錠」が選択されたことで「あせと」の表示が「アセトロードA錠」に更新され、更には、カルテ情報の内容を確定するために、医師が確定ボタン26をクリックした状態である。
【0047】
図8は、カルテ情報が確定された後の状態を示す図である。
図8に示すように、
図7で確定ボタン26がクリックされたことで、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報が確定され、カルテ情報内に記載された種類特定情報に基づいて、特定された医療情報が病名欄23や処方薬欄24に転記される。
【0048】
図9は、カルテ情報の入力方法の一例を示す図である。
例えば患者に複数の薬剤を処方する場合、種類特定情報で特定される薬剤名を複数入力することになるが、薬剤名を入力するたびに種類特定情報「rp」を入力するのは手間である。
【0049】
そこで、
図9に示すように、カルテ情報入力欄22に同一の種類特定情報で特定される情報が複数入力できる入力枠27が新たに表示される。この入力枠27に、「あせと」や「かろな」のように、複数の情報を入力することで、入力枠27入力された情報はすべて直前に入力された種類特定情報「rp」であると認識され、入力支援欄25により入力支援情報が表示されたり、確定ボタン26による確定後に種類特定情報で指定された転記先に、複数の情報を転記したりすることができる。これにより医師の入力の手間が軽減される。
【0050】
図10は、入力支援欄により入力枠27内のカルテ情報が更新された様子を示す図である。
図10に示すように、
図9においてカルテ情報入力欄22には新たな入力枠27に入力された「あせと」および「かろな」のうち、入力支援欄25で所定の情報が選択されたことで、「あせと」の表示が「アセトロードA錠」に更新されている。
【0051】
次に、記憶部3に記憶されている各情報について説明する。
図11は、更新前の薬剤変換テーブルを示す図である。
図11に示すように、記憶部3に記憶される薬剤変換テーブルは、変換元ワード、薬剤名(変換後ワード)、薬剤コード、および使用頻度を関連づけたものであり、複数の入力支援情報を含む薬剤変換テーブル(補助情報)である。
【0052】
この薬剤変換テーブルは、変換元ワードと薬剤名とを関連づけるだけでなく、医師がこれまでに使用した実績のない薬剤を新たに処方した場合、その処方実績を追加したり更新したりするテーブルである。これにより、処方実績がある薬剤だけを表示したり、使用頻度によって表示順序を変更したりすることができる。
【0053】
変換元ワードは、入力支援情報から薬剤名を抽出する際に使用されるキーワードであり、「アセト」など薬剤名の一部を登録したものである。またこの変換元ワードが変換元となり、正式な薬剤名(変換後ワード)に変換される。
【0054】
薬剤コードは、薬剤を特定する記号や数字である。
使用頻度は、その医師または病院が過去に使用した回数を表すものである。
なお、この薬剤変換テーブルには、この医師または病院において過去に使用された実績がある薬剤のみが入力されている。
【0055】
また、このテーブルには、「アセトアミノフェン」と同一成分の薬剤「カロナール」「アンビバ」などを、「アセトアミノフェン」と同じ変換元ワードで登録することができる。これにより、「アセトアミノフェン」と同一成分の薬剤を入力支援情報のリストに表示することができる。
【0056】
図12は、薬剤マスタファイルを示す図である。
図12に示すように、記憶部3に記憶される薬剤マスタファイルは、薬剤名と薬剤コードとを関連づけたものであり、複数の入力支援情報を含む薬剤マスタファイル(補助情報)である。この薬剤マスタファイルには、使用実績の有無を問わず多種多様な薬剤が入力されている。
【0057】
図13は、更新後の薬剤変換テーブルを示す図である。
図13に示すように、薬剤変換テーブルには、薬剤名「アセトロードA錠」が追加され、使用頻度が「1」となっている。
【0058】
図14は、患者情報に関連づけられた、カルテ情報が確定、また各医療情報が転記される前の状態を示す図である。
図14に示すように、記憶部3に記憶される患者情報には、同じく記憶部3に記憶されるカルテ情報と、例えば病名情報や処方薬情報などの医療情報とが関連づけられている。
【0059】
患者情報は、患者ID、氏名、性別、生年月日、年齢、担当医等を関連づけたものである。
カルテ情報には、カルテ情報入力欄22に入力される情報が記録される。医療情報は、例えば病名情報や処方薬情報などの情報であって、この医療情報には、カルテ情報入力欄22に入力された情報のうち、種類特定情報によって特定された情報が、特定された転記先の医療情報に転記される情報である。
【0060】
図15は、患者情報に関連づけられた、カルテ情報が確定され、各医療情報が転記された後の状態を示す図である。
図15に示すように、カルテ情報入力欄22の確定ボタン26がクリックされると、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報が記憶部3に記録され、カルテ情報に入力された種類特定情報によって医療情報処理部12が情報を特定し、種類特定情報で特定された情報が転記先の医療情報に転記されて更新される。
【0061】
具体的には、種類特定情報「#」が入力された「急性上気道炎」は病名情報に転記され、種類特定情報「rp」が入力された「アセトロードA錠」は、処方薬データに転記される。
【0062】
なお、医療情報転記される情報は、カルテ情報内で特定された処方薬名などの情報だけでなく、薬剤変換テーブルや薬剤マスタファイルなどに構成された薬剤コードなどの情報も関連づけて転記することもできる。
【0063】
図16は、転記先特定ファイルを示す図である。
図16に示すように、転記先特定ファイルは、種類特定情報と転記する転記先の医療情報とが関連づけられているものである。また、入力支援情報を表示するための種類特定情報を関連づけることもできる。
【0064】
このように、カルテ情報と指示情報とに共通される医療情報を、あらかじめ種類特定情報で特定し、転記先を指定しておくことで、医療情報処理部12が自動でカルテ情報のなかから医療情報を判別し、転記先の医療情報に転記して情報を管理することができる。
【0065】
その後、送信部5が必要な医療情報を記憶部3から呼び出し、指示情報を出力する部署に指示情報を送信することができる。これにより電子カルテおよび指示書を作成するための入力作業で、重複する情報の入力作業を一元化できるので作業を効率化ができる。
【0066】
なお、転記する転記先の医療情報と関連づけられて転記先特定ファイルに記憶される種類特定情報は、「rp」などの記号のことであり、これらの記号は任意の記号で登録することができる。これらの種類特定情報として登録する記号を、医師などの医療関係者がカルテ記載や情報整理に習慣的に使用する特有のキーワードである「rp」や「do」などを種類特定情報として登録することで、医師などの医療関係者が電子カルテにカルテ情報を自然に入力するだけで、記載する流れの中で支持情報に必要な医療情報を抽出し、支持情報を出力することができる。
【0067】
次に、本実施例の処理手順について説明する。
図17は、本実施例の情報管理装置が行う処理を示すフローチャートである。以下、
図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0068】
〔ステップS1〕カルテ処理部11は、カルテ情報を記憶させる。具体的には、確定ボタン26がクリックされることで、カルテ処理部11がカルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報を記憶部3に記憶させ、カルテ処理部11はカルテ情報を医療情報処理部12に送信する。
【0069】
〔ステップS2〕医療情報処理部12は医療情報を転記する。具体的には、確定されたカルテ情報から、カルテ情報に入力された種類特定情報に基づいて、医療情報処理部12が医療情報を特定し、特定された医療情報を種類特定情報で特定された記憶部3の転記先に医療情報処理部12が転記する。
【0070】
より具体的には、カルテ情報入力欄22に入力された種類特定情報「rp」に基づいて、転記先の医療情報「処方薬情報」に種類特定情報「rp」の後に入力された「アセトロードA錠」を転記する。これにより記憶部3に記憶される医療情報である「処方薬情報」にカルテ情報に関連して「アセトロードA錠」が記憶される。
【0071】
なお、医療情報に記憶された病名情報や処方薬情報は、関係各所の機器に指示情報として送信される。例えば、処方薬情報は、処方せん情報として薬剤の調剤部の機器に送信され、これにより調剤処理が円滑に行われる。
【0072】
〔ステップS3〕情報管理装置1が表示部4にカルテ情報および医療情報を表示する。具体的には、確定されたカルテ情報と、転記された医療上とを情報管理装置1が表示部4に表示情報を出力することで、表示部4に確定後のカルテ情報および各医療情報が表示される。
【0073】
より具体的には、情報管理装置1は、カルテ情報と各医療情報との内容を、接続された表示モニタなどで同時に閲覧できる表示画面(画面の切替を行う必要のない表示画面)を作成し、これを表示モニタ等に表示する。このように、医師はカルテ情報と医療情報とが同時に閲覧・入力できるので、情報入力の負担が軽減される。
【0074】
さらに画面の切換を行う必要のない表示画面で、カルテ情報の入力により各医療情報が転記されるので、情報の入力はキーボードからの入力のみで完結することができる。これにより、医師はキーボードとマウスコントローラーとの持ち替えが軽減され、視点の変更にかかる時間も軽減されるので、医師は情報の入力作業にかかる負担が軽減される。
【0075】
図18は、本実施例のカルテ処理部が行う処理を示すフローチャートである。以下、
図18に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
〔ステップS1−1〕カルテ処理部11は、入力支援情報を呼び出す種類特定情報を検知し、種類特定情報の有無を判断する。具体的には、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報と転記先特定ファイルに記録された種類特定情報の記号とを照合し、カルテ情報に入力支援情報を表示する種類特定情報の有無を判断する。
【0076】
より具体的には、医師はカルテ情報入力欄22に薬剤名の一覧が表示される種類特定情報「rp」を入力し、その後改行キーを押す。カルテ処理部11は、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報から薬剤名の一覧を呼び出す種類特定情報「rp」が存在するか否かを検知する。
【0077】
カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報から種類特定情報が存在すると判断したときは、処理をSTEP1−2に進め、存在しないと判断したときは、STEP1−1の処理を繰り返す。
【0078】
〔ステップS1−2〕カルテ処理部11は、入力支援情報を呼び出す。具体的には、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報から薬剤名の一覧が表示される種類特定情報「rp」が存在すると特定したときに、薬剤変換テーブルおよび薬剤マスタファイルを補助記憶装置から主記憶装置(補助記憶装置より記憶容量が小さく、アクセス処理を高速に行える記憶装置)に転送する。
【0079】
このように、入力支援情報を呼び出す種類特定情報が検知したときに、種類特定情報に合致した補助情報を補助記憶装置から主記憶装置に転送するので、処理を高速化することができる。すなわち、本発明では、薬剤に関するデータのみならず、様々なデータを大量に扱うのであるが、最初から多種類の大量のデータを主記憶装置に保存すると、処理が遅くなってしまう。
【0080】
よって、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報で検知された種類特定情報に応じて、その都度補助情報を主記憶装置に転送することにより、コンピュータの処理負担の軽減と処理速度の高速化とを図っている。
【0081】
〔ステップS1−3〕カルテ処理部11は、情報の抽出を行う。具体的には、カルテ情報入力欄22に入力されたキーワードを条件に、入力支援情報からキーワードに合致した情報をカルテ処理部11が抽出する。
【0082】
より具体的には、カルテ情報入力欄22に薬剤名の一覧が表示される種類特定情報「rp」に入力されたキーワード「あせと」に基づいて、薬剤変換テーブルを検索し、キーワード「あせと」に該当する「アセトアミノフェン」を入力支援情報からカルテ処理部11が抽出する。
【0083】
更に「アセトアミノフェン」同一成分のカロナールやアンビバなども薬剤変換テーブルに記憶された変換元ワードとキーワード「あせと」とに基づいてカルテ処理部11が抽出する。なお、抽出された薬剤が多数ある場合は、使用頻度の高い薬剤を数個抽出する。
【0084】
また、カルテ処理部11は、「あせと」に基づいて薬剤マスタファイルを検索し、「あせと」の文字を含む薬剤名を抽出する。なお、抽出された薬剤が多数ある場合は、先に検索された薬剤数個を抽出する。
【0085】
〔ステップS1−4〕カルテ処理部11は、抽出結果を表示する。具体的には、カルテ情報入力欄22に薬剤名の一覧が表示される種類特定情報「rp」に入力されたキーワード「あせと」に基づいて、薬剤変換テーブルから抽出された抽出結果を「よく使う薬剤」として、また薬剤マスタファイルから抽出された抽出結果を「全検索により抽出された薬剤」としてカルテ処理部11が表示部4に出力し、入力支援欄25として表示させる。
【0086】
〔ステップS1−5〕カルテ処理部11は、入力支援欄25に表示された情報が選択されたか否かの判断を行う。入力支援欄25に表示された情報が選択されたと判断したときは、処理をSTEP1−6に進め、選択がされていないときはSTEP1−5の処理を繰り返し、バックスペースキーやキャンセルボタンなどをクリックすることで選択がキャンセルされたときは処理をSTEP1−3へ進める。
【0087】
〔ステップS1−6〕カルテ処理部11は、入力支援欄25で選択された情報でカルテ情報内のキーワードを更新する。具体的には、カルテ情報入力欄22に薬剤名の一覧が表示される種類特定情報「rp」に入力されたキーワード「あせと」を「アセトロードA錠」に更新する。これにより、医師は正確な薬剤名を確実に入力できる。
【0088】
〔ステップS1−7〕カルテ処理部11は、カルテ情報が確定されたか否かの判断を行う。具体的には、カルテ情報入力欄22に表示された確定ボタン26がクリックされたか否かで、カルテ情報入力欄22に入力されたカルテ情報が確定されたか否かの判断をカルテ処理部11が行う。
カルテ情報が確定されたと判断したときは処理をSTEP2に進め、カルテ情報が確定されていない場合は処理をSTEP1−1に進める。
【0089】
本実施例では、特定の例に基づいて本発明の内容を説明したが、本発明はこれに限るものではない。また、本実施例の処理内容を1台のコンピュータで行ってもよいし、情報の送受信が可能な複数のコンピュータで行ってもよい。
【0090】
この実施例は本発明の範囲を限定するものではない。本実施例で説明した各処理はどの装置で行ってもよい。
また、本実施例で説明したシステム構成(ハードウェア構成)は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成があることは言うまでもない。
【0091】
更に、本実施例で説明したデータ構成は一例であり、用途や目的に応じて様々なデータ構成があることは言うまでもない。なお、上記実施例では、薬剤を入力する際に、補助情報や入力支援情報を使用していたが、補助情報や入力支援情報を使用するのは薬剤には限らない。病名や様々オーダー情報を入力する際にも補助情報や入力支援情報を使用することが出来る。
【0092】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、本発明に係る装置が有すべき機能の処理内容を記述した本発明に係るプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述した本発明に係るプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、HDD、FD、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録装置には、 MO(Magneto Optical disk)などがある。
【0093】
本発明に係るプログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0094】
本発明に係るプログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置から本発明に係るプログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行する。
【0095】
なお、コンピュータは、可搬型記録媒体からそのプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0096】
なお、本発明は、上述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および 応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。