【課題】本発明は、部門間取引に係る物品についての会計データを作成するに際し、ユーザの手間を軽減することができる会計データ作成装置、会計データ作成方法、及び会計データ作成プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る会計データ作成装置は、部門間取引に係る物品についての会計データを作成するための装置である。この会計データ作成装置の制御部は、部門間取引に係る取引対象物品を部門外の調達先から調達したときの調達情報に基づき、第1の部門で計上すべき売上に関する部門間売上データを会計データの1つとして作成し、かつ、第1の部門とは別の第2の部門で計上すべき仕入に関する部門間仕入データとして、部門間売上データと収支が一致する部門間仕入データを会計データの1つとして作成する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.構成]
本実施形態に係る会計データ作成装置を含む会計データ作成システムの構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、会計データ作成装置を含む会計データ作成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す会計データ作成システム1000は、情報処理装置としての会計データ作成装置100と、サーバ200と、会計データ作成装置100及びサーバ200を通信可能に接続するネットワーク300とを含んでいる。
【0021】
会計データ作成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、部門間取引に係る物品についての会計データを作成するための情報処理装置である。この会計データ作成装置100は、例えば、営業部門又は営業事務部門といった、事業者において部門間取引に関わる部署に1台設置されている。なお、会計データ作成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。また、会計データ作成装置100は、会計データ作成システム1000内において複数台設置されていてもよく、複数台の会計データ作成装置100の間で同期をとることで1台の会計データ作成装置100として機能してもよい。
【0022】
会計データ作成装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108とを備えている。会計データ作成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、会計データ作成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、会計データ作成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。したがって、通信インターフェース部104は、他の部署に備え付けの情報処理装置からの入力情報、部門間取引対象物品の調達先(仕入先、得意先)からの入力情報等を、ネットワーク300又はネットワーク300及びサーバ200を介して受け付けることが可能に構成されているとともに、所定の情報処理装置や、調達先に対して所定の情報を出力することが可能に構成されている。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラム(本発明のプログラムを含む)が記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、この記憶部106には、本発明のプログラムを実施するために用いられる各種のデータが書き出し/読み出し可能に格納されている。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0026】
制御部102は、会計データ作成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0027】
さらに
図1を参照しながら、記憶部106及び制御部102の構成について詳述する。
【0028】
記憶部106は、
図1に示されるように、調達情報記憶領域106aと、部門間取引設定マスタ記憶領域106bと、追加計上情報記憶領域106cと、部門外仕入データ記憶領域106dと、部門間売上データ記憶領域106eと、部門間仕入データ記憶領域106fとを含む。
【0029】
調達情報記憶領域106aは、調達情報を含むデータを記憶するための領域であり、必要に応じて出力可能に調達情報を含むデータを保持する。調達情報を含むデータの一例は、調達先から仕入れた物品に関する仕入データである。
【0030】
部門間取引設定マスタ記憶領域106bは、後述する部門間取引設定マスタを記憶するための領域である。追加計上情報記憶領域106cは、後述する追加計上情報を記憶するための領域である。部門間取引設定マスタに追加計上情報を含ませる場合には、部門間取引設定マスタ記憶領域106bと追加計上情報記憶領域106cは統合されていてもよい。
【0031】
部門外仕入データ記憶領域106dは、後述する部門外仕入データを記憶するための領域である。部門外仕入データは、会計データ作成装置100によって作成され、出力可能に部門外仕入データ記憶領域106dに保持される。
【0032】
部門間売上データ記憶領域106eは、後述する部門間売上データを記憶するための領域である。部門間売上データは、会計データ作成装置100によって作成され、出力可能に部門間売上データ記憶領域106eに保持される。
【0033】
部門間仕入データ記憶領域106fは、後述する部門外仕入データを記憶するための領域である。部門間仕入データは、会計データ作成装置100によって作成され、出力可能に部門間仕入データ記憶領域106fに保持される。
【0034】
制御部102は、
図1に示されるように、複数のモジュールを備えている。
図1に示す例では、制御部102は、部門外仕入データ作成部102aと、部門間売上データ作成部102bと、部門間仕入データ作成部102cとを備えている。
【0035】
部門外仕入データ作成部102aは、調達情報に基づき、調達先から第1の部門への取引対象物品の仕入に関する部門外仕入データを作成する部門外仕入データ作成手段として機能するモジュールである。部門外仕入データ作成部102aは、部門外仕入データの作成に際し、必要に応じて、部門間取引設定マスタを参照する。
【0036】
部門間売上データ作成部102bは、部門間取引に係る取引対象物品を部門外の調達先から調達したときの調達情報に基づき、第1の部門で計上すべき売上に関する部門間売上データを会計データの1つとして作成する部門間売上データ作成手段として機能するモジュールである。部門間売上データ作成部102bは、部門間売上データの作成に際し、必要に応じて、部門間取引設定マスタ及び追加計上情報を参照する。
【0037】
部門間仕入データ作成部102cは、第1の部門とは別の第2の部門で計上すべき仕入に関する部門間仕入データとして、対応する部門間売上データと収支が一致する部門間仕入データを会計データの1つとして作成する部門間仕入データ作成手段として機能するモジュールである。部門間仕入データ作成部102cは、部門間仕入データの作成に際し、必要に応じて、部門間取引設定マスタ及び追加計上情報を参照する。
【0038】
[2.処理]
次に、
図1に示す会計データ作成システム1000において実行される会計データ作成方法を例示的に説明する。
【0039】
図2は、
図1の会計データ作成システム1000において、会計データ作成装置100が実行する会計データ作成方法の処理手順を示すフローチャートである。この
図2に示す処理は、概略的には、部門間取引に係る物品につき、部門間売上データと部門間仕入データを会計データとして自動的に作成するというものであり、本処理の大部分は、会計データ作成装置100の制御部102において実行される。以下では、部門外から調達した物品につき、第1の部門の第2の部門に対する部門間売上データを作成し、第2の部門の第1の部門に対する部門間仕入データを作成する場合を例に挙げて説明する。
【0040】
図2において、まず、ステップS201では、会計データ作成装置100は、部門間取引設定マスタの構築を受け付ける。
【0041】
ここで、部門間取引設定マスタについて説明する。部門間取引設定マスタとは、物品を特定するための物品情報と、物品の部門間取引上の売上を計上すべき売上計上部門を特定可能な売上計上部門情報と、物品の部門間取引上の仕入を計上すべき仕入計上部門を特定可能な仕入計上部門情報とが互いに関連付けられているマスタをいう。売上計上部門の一例は、営業事務部門であり、仕入計上部門の一例は、営業部門である。ここで、売上計上部門情報及び仕入計上部門情報は、いずれも、初期設定ではNullであってもよく、この場合には、後述するように部門間取引の内容が定まってから代入される。一方で、売上計上部門情報及び仕入計上部門情報として、売上計上部門と仕入計上部門の複数の組み合わせを予め設定しておいてもよく、この場合には、部門間取引の内容が定まったときに、対応する売上計上部門と仕入計上部門の組み合わせに関する部門間取引設定マスタが参照されることになる。
【0042】
また、部門間取引設定マスタは、追加計上情報を含むものであってもよい。追加計上情報とは、売上計上部門において追加して計上すべき情報である。追加計上情報の一例は、振替利益率であるが、これに限られることはなく、任意に設定可能である。例えば、追加計上情報として、部門間取引に係る物品の数が100個までは第1の振替利益率を適用し、100個を超えたら第2の振替利益率を適用するようにしてもよい。
【0043】
さらに、部門間取引設定マスタは、調達先情報を含むものであってもよい。調達先情報とは、物品の調達先に関する情報である。調達先の一例は、社外の仕入先及び当該仕入先の担当者である。ここで、調達先情報は、初期設定ではNullであってもよく、この場合には、後述するように部門間取引の内容が定まってから代入される。一方で、調達先情報として、例えば調達先と売上計上部門の組み合わせを設定しておいてもよく、この場合には、部門間取引の内容が定まったときに、対応する調達先と売上計上部門の組み合わせに関する部門間取引設定マスタが参照されることになる。このように部門間取引設定マスタが調達先情報を含むことにより、例えば、調達先ごとに追加計上情報としての振替利益率を設定することも可能となる。
【0044】
図3は、
図2のステップS201で構築された部門間取引設定マスタの構成例を模式的に示す図である。
図3に示すように、部門間取引設定マスタは、物品情報としての品種コードと、売上計上部門情報としての社内売上用得意先コードと、仕入計上部門情報としての社内仕入用仕入先コードとを少なくとも含み、さらに、追加計上情報としての振替利益率に関する情報と、調達先情報としての仕入先の担当者コード及び仕入部門コードとを含む。また、
図3に示す部門間取引設定マスタは、品種コードに対応する物品を取り扱う部門に関する情報として営業部門コードも含む。
図3に示す部門間取引設定マスタによれば、営業部門が仕入先から物品を調達し(社外仕入)、調達した物品を営業部門が取り扱い、営業事務部門と営業部門との間で部門間取引によって社内計上すること、さらに、社内計上に際し、営業事務部門が仕入計上し、営業部門が振替利益率を加味した上で売上計上するように設定されていることになる。このように社内で部門間取引を行うことで、営業部門の実績をカウントできるだけでなく、社外仕入の管理を行っている営業事務部門も、実績をカウントできるようになる。
【0045】
図2に戻り、次に、ステップS202では、調達情報があるかどうかを判別する。このステップS202の判別は、例えば、
図4に示されるような仕入入力画面が起動され、当該仕入入力画面を介して調達情報としての仕入情報が入力されるかどうかを判別することによって行われる。これに代えて、ステップS202の判別のために、既存の調達情報の読み出しが指定されたかどうかを判別してもよい。調達情報がない場合には(ステップS202でNo)待機し、一方、調達情報がある場合には(ステップS202でYes)、ステップS203に進む。
【0046】
続くステップS203では、調達情報を取得する。
図5は、
図2のステップS203で取得される調達情報を含むデータの一例を模式的に示す図である。
図5に示す調達情報を含むデータは、
図4に示したような仕入入力画面を介して入力される仕入データである。
図5に示されるように、調達情報を含むデータは、仕入先に関する情報、物品を特定するための品種コード及び商品コード等の情報を含んでおり、さらに、調達(仕入)を担当した担当者及び担当者が属する部門に関する情報を含んでいる。
【0047】
引き続き、ステップS204では、取得した調達情報から特定される物品が、当該調達情報が部門間取引の対象として設定されている物品(取引対象物品)であるかどうかを判別する(ステップS204)。このステップS204の判別は、具体的には、調達情報から特定される物品につき、ステップS201で構築された部門間取引設定マスタを検索して、当該物品に関する物品情報が部門間取引設定マスタに設定されているかどうかを判別することにより行われる。
【0048】
ステップS204の判別の結果、取引対象物品である場合には(ステップS204でYes)、以下に説明する部門間取引に関する会計データの作成に関する一連の処理(ステップS205〜S209)を実行する。一方、取引対象物品でない場合には(ステップS204でNo)、ステップS205〜S209の一連の処理をスキップして、ステップS210に進み、部門外仕入データの作成(すなわち、通常の仕入データの作成)を行う。
【0049】
取引対象物品である場合(ステップS204でYes)、まず、ステップS205〜S207では、それぞれ、部門間取引設定マスタから、調達情報から特定される物品について設定されている第1の部門情報、第2の部門情報及び追加計上情報を取得する。これにより、部門間取引を行う2つの部門として定まることになる。具体的には、第1の部門情報に対応する部門が部門間取引上の売上計上部門として定まり、かつ、第2の部門情報に対応する部門が部門間取引上の仕入計上部門として定まることとなる。
【0050】
続いて、ステップS208では、ステップS205で取得した第1の部門情報に対応する部門を売上計上部門として部門間売上データを作成する。部門間売上データは、後述する部門間仕入データと収支が一致するデータであるが、含まれる項目名等は、部門間仕入データとは異なる。部門間売上データの作成の具体例については
図6を用いて説明する。
【0051】
図6は、
図2のステップS208で部門間売上データが作成されるまでの手順を説明するために用いられる図である。
図6に模式的に示される3つのデータのうち、2つのデータは、
図3に示した部門間取引設定マスタと
図5に示した調達情報を含むデータであり、残りの1つのデータは、ステップS208で作成される部門間売上データである。
【0052】
部門間売上データの作成に際し、まず、調達情報を含むデータが読み出されて(ステップS203)、調達された物品を特定するための情報と、調達を担当した調達担当部門に関する情報とが読み出される。
図6に示す例では品種コードと営業部門コードが取得される。
【0053】
続いて、取得した品種コードと営業部門コードの組み合わせに関する部門間取引設定マスタを読み出し、少なくとも、第1の部門情報としての部門間取引上の売上計上部門情報を取得する(ステップS205)。
図6に示す例では、社内売上用得意先コードが取得される。なお、取得した品種コードと営業部門コードの組み合わせに関する部門間取引設定マスタが存在しない場合には、品種コードと営業部門コードの欄がNullの部門間取引設定マスタに取得した品種コードと営業部門コードをセットし、新たな部門間取引設定マスタを構築してもよい。
【0054】
そして、部門間売上データのデフォルトデータに、取得した情報をセットすることにより、部門間売上データが作成される。部門間売上データの作成のために、予め変更した項目名のところに取得した情報をセットするようにしてもよいし、取得した情報に対応する項目名を適宜変更してもよい。また、部門間売上データのデフォルトデータに設けられた項目に応じて、調達情報を含むデータ及び部門間取引設定マスタから必要な情報が読み出されてセットされる。
図6に示す例では、調達先に関する情報は、部門間売上データの得意先に関する項目に反映され、追加計上情報としての振替利益率に関する情報は、必要な計算を行った上で、部門間売上データの売上単価に関する項目に反映される。また、調達情報と追加計上情報を用いることで、作成対象の部門間売上データにおける売上金額も算出される。なお、ステップS208で作成される部門間売上データは、ステップS206で取得した第2の部門情報(すなわち、部門間取引上の仕入計上部門情報)を含んでいる必要はない。このようにして、部門間売上データの作成を完了する。
【0055】
図2に戻り、ステップS209では、ステップS206で取得した第2の部門情報に対応する部門を仕入計上部門として部門間仕入データを作成する。部門間仕入データは、部門間売上データと収支が一致するデータであるが、含まれる項目名等は、部門間売上データとは異なる。部門間仕入データの作成の具体例については
図7を用いて説明する。
【0056】
図7は、
図2のステップS209で部門間仕入データが作成されるまでの手順を説明するために用いられる図である。
図7に模式的に示される3つのデータのうち、2つのデータは、
図3に示した部門間取引設定マスタと
図5に示した調達情報を含むデータであり、残りの1つのデータは、ステップS209で作成される部門間仕入データである。
【0057】
部門間仕入データの作成に際し、まず、調達情報を含むデータが読み出されて(ステップS203)、調達された物品を特定するための情報と、調達を担当した調達担当部門に関する情報とが読み出される。
図7に示す例では品種コードと営業部門コードが取得される。
【0058】
続いて、取得した品種コードと営業部門コードの組み合わせに関する部門間取引設定マスタを読み出し、少なくとも、第2の部門情報としての部門間取引上の仕入計上部門情報を取得する(ステップS206)。
図7に示す例では、社内売上用仕入先コードが取得される。なお、取得した品種コードと営業部門コードの組み合わせに関する部門間取引設定マスタが存在しない場合には、品種コードと営業部門コードの欄がNullの部門間取引設定マスタに取得した品種コードと営業部門コードをセットし、新たな部門間取引設定マスタを構築してもよい。
【0059】
そして、部門間仕入データのデフォルトデータに、取得した情報をセットすることにより、部門間仕入データが作成される。部門間仕入データの作成のために、予め変更した項目名のところに取得した情報をセットするようにしてもよいし、取得した情報に対応する項目名を適宜変更してもよい。また、部門間仕入データのデフォルトデータに設けられた項目に応じて、調達情報を含むデータ及び部門間取引設定マスタから必要な情報が読み出されてセットされる。
図7に示す例では、追加計上情報としての振替利益率に関する情報は、必要な計算を行った上で、部門間仕入データの仕入単価に関する項目に反映される。また、調達情報と追加計上情報を用いることで、作成対象の部門間仕入データにおける仕入金額も算出される。なお、ステップS209で作成される部門間仕入データは、ステップS205で取得した第1の部門情報(すなわち、部門間取引上の売上計上部門情報)を含んでいる必要はない。このようにして、部門間仕入データの作成を完了する。
【0060】
図2に戻り、さらに、ステップS210では、部門外仕入データを作成する。部門外仕入データは部門間取引が関与しないいわゆる通常の仕入データであるが、本実施形態では、取得した情報を用いて部門外仕入データの作成が行われる。この部門外仕入データの作成の具体例については
図8を用いて説明する。
【0061】
図8は、
図2のステップS210で部門外仕入データが作成されるまでの手順を説明するために用いられる図である。
図8に模式的に示される3つのデータのうち、2つのデータは、
図3に示した部門間取引設定マスタと
図5に示した調達情報を含むデータであり、残りの1つのデータは、ステップS210で作成される部門外仕入データである。
【0062】
部門外仕入データの作成に際し、まず、調達情報を含むデータが読み出されて(ステップS203)、調達された物品を特定するための情報と、調達を担当した調達担当部門に関する情報とが読み出される。
図8に示す例では品種コードと営業部門コードが取得される。
【0063】
続いて、取得した品種コードと営業部門コードの組み合わせに関する部門間取引設定マスタを読み出し、部門外仕入データのデフォルトデータに必要な情報を取得する。
図8に示す例では、調達先に関する情報として、仕入先及びその担当部門に関する情報が取得される。そして、取得した情報を部門外仕入データのデフォルトデータにセットする。これにより、部門外仕入データが作成される。部門外仕入データの作成のために、予め変更した項目名のところに取得した情報をセットするようにしてもよいし、取得した情報に対応する項目名を適宜変更してもよい。また、部門外仕入データのデフォルトデータに設けられた項目に応じて、調達情報を含むデータ及び部門間取引設定マスタから必要な情報が読み出されてセットされる。なお、ステップS210で作成される部門外仕入データは、ステップS205で取得した第1の部門情報及びステップS206で取得した第2の部門情報を含んでいる必要はない。そのため、部門外仕入データは、部門間取引設定マスタを読み出すことなく、調達情報を含むデータから直接的に作成されてもよい。このようにして、部門外仕入データの作成を完了する。
【0064】
図2に戻り、その後、ステップS211では、他の部門間取引対象物品があるかどうかを判別する。他の部門間取引対象物品がある場合には(ステップS211でYes)、ステップS205に戻って、ステップS205〜S210の一連の処理を行う。一方、他の部門間取引対象物品がない場合には(ステップS211でNo)、本処理を完了する。
【0065】
以上詳細に説明したように、
図2に示した会計データ作成方法の処理によれば、部門間取引に係る物品についての会計データを作成するに際し(ステップS204でYes)、部門間取引に係る取引対象物品を部門外の調達先から調達したときの調達情報に基づき、第1の部門で計上すべき売上に関する部門間売上データが作成され(ステップS208)、かつ、第1の部門とは別の第2の部門で計上すべき仕入に関する部門間仕入データとして、部門間売上データと収支が一致する部門間仕入データが作成される(ステップS209)。これら部門間売上データ及び部門間仕入データは会計データの1つとして用いることができるものである。このように、部門間売上データ及び部門間仕入データが調達情報に基づき自動的に作成されるので、部門間取引に係る物品についての会計データを作成するに際し、会計処理後に振替を行う必要がなく、ユーザの手間を軽減することができる。また、
図2の処理によれば、会計処理後に振替を行う必要がないので、部門間取引に係る売上計上部門及び仕入計上部門の実績を部門間売上データ及び部門間仕入データからリアルタイムで把握することができる。
【0066】
また、
図2の処理によれば、調達情報が物品を特定するための物品情報を含んでおり、この調達情報から取引対象物品の物品情報を取得して(ステップS203)、物品を特定するための物品情報と、物品の部門間取引上の売上を計上すべき売上計上部門を特定可能な売上計上部門情報と、物品の部門間取引上の仕入を計上すべき仕入計上部門を特定可能な仕入計上部門情報とが互いに関連付けられている部門間取引設定マスタを参照することにより、取引対象物品の売上計上部門情報を取得し(ステップS205)、取得した売上計上部門情報に対応する売上計上部門が第1の部門として設定された売上データが部門間売上データとして作成される(ステップS208)。このように部門間取引設定マスタを用いることにより、部門間売上データを速やかに作成することができる。また、
図2の処理によれば、調達情報と、売上計上部門において追加して計上すべき追加計上情報に基づいて、作成対象の部門間売上データにおける売上金額も算出される(ステップS208)。このように、部門間売上データに追加計上情報を反映させることができるので、会計処理後の振替にともなうユーザの手間を軽減することができる。なお、部門間売上データを作成する観点からは、部門間取引設定マスタは、物品情報と、売上計上部門情報とを含んでいればよい。
【0067】
また、
図2の処理によれば、調達情報が物品を特定するための物品情報を含んでおり、この調達情報から取引対象物品の物品情報を取得して(ステップS203)、物品を特定するための物品情報と、物品の部門間取引上の売上を計上すべき売上計上部門を特定可能な売上計上部門情報と、物品の部門間取引上の仕入を計上すべき仕入計上部門を特定可能な仕入計上部門情報とが互いに関連付けられている部門間取引設定マスタを参照することにより、取引対象物品の仕入計上部門情報を取得し(ステップS206)、取得した仕入計上部門情報に対応する仕入計上部門が第2の部門として設定された仕入データが部門間仕入データとして作成される(ステップS209)。このように部門間取引設定マスタを用いることにより、部門間仕入データを速やかに作成することができる。また、
図2の処理によれば、調達情報と、仕入計上部門において追加して計上すべき追加計上情報に基づいて、作成対象の部門間仕入データにおける仕入金額も算出される(ステップS209)。このように、部門間仕入データに追加計上情報を反映させることができるので、会計処理後の振替にともなうユーザの手間を軽減することができる。なお、部門間仕入データを作成する観点からは、部門間取引設定マスタは、物品情報と、仕入計上部門情報とを含んでいればよい。
【0068】
また、
図2の処理によれば、調達情報が調達先に関する調達先情報を含んでおり、かつ、部門間取引設定マスタが物品の調達先に関する調達先情報を含むことが好ましい。これにより、部門間取引以外の情報も併せて管理することができる。さらに、
図2の処理によれば、調達情報に基づき、調達先から第1の部門への取引対象物品の仕入に関する部門外仕入データが作成される(ステップS210)。これにより、ユーザは、部門間取引に係る売上データ及び仕入データだけでなく、部門間取引以外の仕入データも会計データとして得ることができる。
【0069】
なお、
図2において、ステップS201の部門間取引設定マスタの構築の受け付けは、ステップS202の判別に先立って行われている必要はなく、割り込み処理等により任意のタイミングで行うことができる。また、
図2の処理において、ステップS205〜S210の一連の処理は、複数の部門間取引対象物品について並行して行ってもよい。また、既に仕入データが存在する場合には、
図2の処理において、ステップS210の処理を省略可能に構成してもよい。また、
図2の処理を利用することにより、既存の仕入データを調達情報を含むデータとして用いることにより(ステップS203)、部門間売上データ及び部門間仕入データを作成するための処理が実施されてもよいし(ステップS208,S209)、既存の仕入データのフォーマットを整えるための処理が実施されてもよい(ステップS210)。すなわち、
図2に示す処理の全部又は一部は、会計処理後の振替処理に代わる処理としても利用できる。
【0070】
また、上述した実施形態では、営業事務部門及び営業部門間の部門間取引について例を挙げて説明したが、部門間取引の例はこれらに限られることはなく、会計上の計上部門が互いに異なる2部門間の取引であればよい。したがって、部門間取引は、1社内の2部門間取引に限られず、グループ会社の2グループ間取引であってもよい。
【0071】
[3.具体例]
次に、上述した実施形態の具体例を
図9〜
図12を用いて説明する。
【0072】
図9は、
図2のステップS201で構築された部門間取引設定マスタの具体例を模式的に示す図である。
図9に示されるように、営業部門コードが同じであっても取り扱う品種に応じて部門間取引設定マスタを用意することが可能である。これにより、品種ごとに追加計上情報を設定することが可能となる。
【0073】
図10は、
図2のステップS203で取得した調達情報を含むデータの具体例を模式的に示す図であり、
図10(a)は、調達情報を含むデータのヘッダ部分を、
図10(b)は、調達情報を含むデータの明細部分を示す。
図10(b)に示されるように、調達情報を含むデータは、品種ごとに明細が作成されていることが好ましい。
【0074】
図11は、
図2のステップS208で作成された部門間売上データの具体例を模式的に示す図であり、
図11(a)は、部門間売上データのヘッダ部分を、
図11(b)は、部門間売上データの明細部分を示す。
図11に示す部門間売上データは、
図9に示した部門間取引設定マスタを用いて
図10に示した調達情報を含むデータに基づき作成されたものである。
図9に示した部門間取引設定マスタのように、品種ごとに異なる追加計上情報を設定することで、部門間売上データに含まれる単価に関する情報にも反映させることができる。また、
図11に示されるように、部門間売上データは、部門間取引に関する会計データであるため、消費税は反映されない。
【0075】
図12は、
図2のステップS209で作成された部門間仕入データの具体例を模式的に示す図であり、
図12(a)は、部門間仕入データのヘッダ部分を、
図12(b)は、部門間仕入データの明細部分を示す。
図12に示す部門間仕入データは、
図9に示した部門間取引設定マスタを用いて
図10に示した調達情報を含むデータに基づき作成されたものである。
図9に示した部門間取引設定マスタのように、品種ごとに異なる追加計上情報を設定することで、部門間仕入データに含まれる単価に関する情報にも反映させることができる。また、
図12に示されるように、部門間仕入データは、部門間取引に関する会計データであるため、消費税は反映されない。
【0076】
図13は、
図2のステップS210で作成された部門外仕入データの具体例を模式的に示す図であり、
図13(a)は、部門外仕入データのヘッダ部分を、
図13(b)は、部門外仕入データの明細部分を示す。
図13に示す部門外仕入データは、
図9に示した部門間取引設定マスタを用いて
図10に示した調達情報を含むデータに基づき作成されたものである。
図13に示されるように、部門外仕入データには、追加計上情報は反映されず、消費税は反映される。
【0077】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態の具体例によれば、品種ごとに部門間売上データ、部門間仕入データ、及び、部門外仕入データを取得することができる。すなわち、本具体例によれば、部門間取引及び部門外取引を品種で管理することができる。また、本具体例によれば、消費税等の税金金額を、部門外取引に関する会計データと部門間取引に関する会計データとで適切に管理することができる。
【0078】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0079】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0080】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0081】
また、会計データ作成装置100及び会計データ作成システム1000に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0082】
例えば、会計データ作成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて会計データ作成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0083】
また、このコンピュータプログラムは、会計データ作成装置100に対して任意のネットワーク(例えばネットワーク300)を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0084】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明した処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0085】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0086】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0087】
また、会計データ作成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、会計データ作成装置100は、当該装置に本明細書で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0088】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。