【解決手段】実施形態によれば、サスペンションアッセンブリは、支持板と、支持板に設置された配線部材と、を備えている。配線部材は、支持板に固定される金属板80と、金属板に重ねて設けられた絶縁層82と、絶縁層上に設けられ複数の配線および接続端子を形成する導電層と、導電層に重ねて設けられたカバー層84と、を有している。配線部材は、接続端部48cを有し、この接続端部は、導電層により形成された複数の接続端子50を有し、接続端子の端子面は、カバー層84で覆われている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下図面を参照しながら、実施形態に係るディスク装置ついて説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
(第1の実施形態)
ディスク装置として、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)について詳細に説明する。
図1は、トップカバーを外して示す第1の実施形態に係るHDDの分解斜視図である。
HDDは、偏平なほぼ矩形状の筐体10を備えている。この筐体10は、上面の開口した矩形箱状のベース12と、複数のねじ13によりベース12にねじ止めされてベース12の上端開口を閉塞するトップカバー14と、を有している。ベース12は、トップカバー14と隙間を置いて対向する矩形状の底壁12aと、底壁の周縁に沿って立設された側壁12bとを有し、例えば、アルミニウムにより一体に成形されている。側壁12bは、互いに対向する一対の長辺壁13aと互いに対向する一対の短辺壁13bとを含んでいる。側壁12bの上端面に、ほぼ矩形枠状の固定リブ12cが突設されている。固定リブ12cは、側壁12bと一体に成形され、側壁12bの一部を構成している。
【0009】
トップカバー14は、例えば、ステンレスにより矩形板状に形成されている。トップカバー14は、ベース12の固定リブ12cに対応する形状および寸法を有している。トップカバー14は、固定リブ12cの内側で、ベース12の側壁12b上に配置され、ベース12の上部開口を閉塞している。
【0010】
筐体10内には、記録媒体としての複数の磁気ディスク18、および磁気ディスク18を支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ19が設けられている。スピンドルモータ19は、底壁12a上に配設されている。各磁気ディスク18は、例えば、直径88.9mm(3.5インチ)に形成され、その上面または下面に磁気記録層を有している。各磁気ディスク18は、スピンドルモータ19の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね20によりクランプされ、ハブに固定されている。これにより、各磁気ディスク18は、ベース12の底壁12aと平行に位置した状態に支持されている。そして、各磁気ディスク18は、スピンドルモータ19により所定の回転数で回転される。
尚、
図1に示すように、本実施形態において例えば5枚の磁気ディスク18が筐体10内に収容されるが、磁気ディスク18の枚数はこれに限られない。また、単一の磁気ディスク18が筐体10内に収容されても良い。
【0011】
筐体10内には、磁気ディスク18に対して情報の記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド17、これらの磁気ヘッド17を磁気ディスク18に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリ(アクチュエータ)22が設けられている。また、筐体10内には、キャリッジアッセンブリ22を回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)24、磁気ヘッド17が磁気ディスク18の最外周に移動した際、磁気ヘッド17を磁気ディスク18から離間したアンロード位置に保持するランプロード機構25、および変換コネクタ等の電子部品が実装された基板ユニット(FPCユニット)21が設けられている。
キャリッジアッセンブリ22は、回転自在な軸受ユニット28と、軸受ユニット28から延出した複数のアーム32を有するアクチュエータブロック29と、各アーム32から延出したサスペンションアッセンブリ30と、を有し、各サスペンションアッセンブリ30の先端部に磁気ヘッド17が支持されている。磁気ヘッド17は、リード素子、ライト素子等を含んでいる。
【0012】
ベース12の底壁12aの外面には、図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。プリント回路基板は、スピンドルモータ19の動作を制御するとともに、基板ユニット21を介してVCM24および磁気ヘッド17の動作を制御する。
【0013】
図2は、キャリッジアッセンブリおよびFPCユニットを有するヘッドアクチュエータアッセンブリを示す斜視図である。
図1および
図2に示すように、キャリッジアッセンブリ22は、回転自在な軸受ユニット28と、軸受ユニット28を収納したアクチュエータブロック29と、このアクチュエータブロック29から延出する6本のアーム32と、各アーム32に取付けられたサスペンションアッセンブリ30と、サスペンションアッセンブリ30に支持された磁気ヘッド17とを備えている。軸受ユニット28は、磁気ディスク18の外周縁近傍でベース12の底壁12aに立設される枢軸と、枢軸に取り付けられた複数の軸受と、を有している。軸受ユニット28の複数の軸受は、アクチュエータブロック29に形成された透孔内に嵌合されている。これにより、キャリッジアッセンブリ22は、軸受ユニット28の枢軸の回りで、回動自在に底壁12a上に支持されている。
【0014】
図2に示すように、6本のアーム32は、アクチュエータブロック29から同一方向に延出しているとともに、互いに隙間を置いて、平行に設けられている。各アーム32は延出端側の先端部32aを有し、この先端部32aには、円形のかしめ孔40を有する座面41が上下面に形成されている。
本実施形態において、6本のアーム32はアクチュエータブロック29と一体に形成されている。各アーム32は、例えば、ステンレス、アルミニウム等により細長い平板状に形成され、軸受ユニット28の枢軸と直交する方向に延出している。なお、アーム32は、それぞれ独立して形成され、軸受ユニット28に積層配置される構成としてもよい。
【0015】
アクチュエータブロック29は、アーム32と反対の方向へ延出する支持フレーム36を有し、この支持フレーム36により、VCM24の一部を構成するボイスコイル34が支持されている。
図1に示すように、ボイスコイル34は、ベース12上にその1つが固定された一対のヨーク38間に位置し、これらのヨーク38、および何れかのヨークに固定された磁石とともにVCM24を構成している。
【0016】
図3および
図4は、サスペンションアッセンブリ30の下面側(ヘッド側)および上面側(ヘッド面の反対面側)をそれぞれ示す斜視図である。本実施形態において、キャリッジアッセンブリ22は、10個のサスペンションアッセンブリ30を有し、全てのサスペンションアッセンブリ30は同一の構成を有している。複数のサスペンションアッセンブリ30は、
図3に示すように、磁気ヘッド17を上向き(第2方向)に支持するアップヘッド(第2)サスペンションアッセンブリ30aと、
図4に示すように、磁気ヘッド17を下向き(第2方向と反対の第1方向)に支持するダウンヘッド(第1)サスペンションアッセンブリ30bと、を含んでいる。これらのアップヘッドサスペンションアッセンブリ30aおよびダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30bは、同一構造のサスペンションアッセンブリ30を上下向きを変えて配置することにより構成される。なお、サスペンションアッセンブリ30と、このサスペンションアッセンブリ30に搭載された磁気ヘッド17と、を有するアッセンブリを、ヘッドサスペンションアッセンブリと称している。
【0017】
図3および
図4に示すように、サスペンションアッセンブリ30は、ほぼ矩形状のベースプレート44と、細長い板ばね状のロードビーム46と、細長い帯状のフレキシャ(配線部材)48と、を有している。ロードビーム46は、その基端部がベースプレート44の端部に重ねて固定されている。ロードビーム46は、ベースプレート44から延出し、延出端に向かって先細に形成されている。ベースプレート44およびロードビーム46は、例えば、ステンレスにより形成されている。例えば、ベースプレート44の板厚は、150μm程度に、ロードビーム46の板厚は、25〜30μm程度に形成されている。
【0018】
ベースプレート44は、第1表面44aおよび反対側の固定面となる第2表面44bを有している。ベースプレート44は、その基端部に円形の開口およびこの開口の周囲に位置する円環状の突起部51を有し、この突起部51は、ベースプレート44の第2表面44bから突出している。
図2ないし
図4に示すように、ベースプレート44は、基端部の第2表面44b側がアーム32の先端部32aの座面41上に重ねて配置される。アーム32に形成されたかしめ孔40にベースプレート44の突起部51を嵌合し、この突起部51をかしめることで、ベースプレート44はアーム32の先端部32aに締結されている。ベースプレート44の第1表面44aは、磁気ディスク18の表面と対向する側に位置している。
【0019】
ロードビーム46は、第1表面46aおよび反対側の第2表面46bを有している。ロードビーム46の基端部は、第2表面46b側をベースプレート44の先端部の第1表面44a側に重ねて配置され、複数個所を溶接することによりベースプレート44に固定されている。ロードビーム46の第1表面46aが磁気ディスク18の表面に対向する。ロードビーム46の基端部の幅は、ベースプレート44の先端部の幅とほぼ等しく形成されている。
【0020】
サスペンションアッセンブリ30のフレキシャ48は、ベースとなるステンレス等の金属板(裏打ち層)と、この金属板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された複数の配線(配線パターン)を構成する導電層と、導電層を覆うカバー層(保護層、絶縁層)と、を有し、細長い帯状の積層板をなしている。フレキシャ48の積層構造については、後で詳細に説明する。
【0021】
フレキシャ48は、ロードビーム46の第1表面46a上およびベースプレート44の第1表面44a上に取付けられた先端側部分48aと、ベースプレート44の側縁から外側に延出し、更に、ベースプレート44の側縁およびアーム32に沿ってアーム32の基端部まで延びる基端側部分48bと、を有している。フレキシャ48は、金属板側がロードビーム46の第1表面46a上およびベースプレート44の第1表面44a上に貼付あるいはピボット溶接されている。フレキシャ48は、ロードビーム46上に位置する先端部と、この先端部に形成された変位自在なジンバル部(弾性支持部)52と、有している。磁気ヘッド17はジンバル部52に搭載されている。フレキシャ48の配線は、磁気ヘッド17のリード素子、ライト素子、ヒータ、その他の部材に電気的に接続されている。
【0022】
フレキシャ48の基端側部分48bは、ベースプレート44の側縁から外側へ出た後、この側縁およびアーム32の一側縁に沿って、アーム32の基端まで延びている。基端側部分48bの一端にフレキシャ48の接続端部(テール接続端子部)48cが形成されている。接続端部48cは、細長い矩形状に形成されている。接続端部48cは、基端側部分48bに対して直角に折り曲げられ、アーム32に対してほぼ垂直に位置している。接続端部48cには複数、例えば、9個の接続端子(接続パッド)50が設けられている。これらの接続端子50は、フレキシャ48の配線にそれぞれ接続されている。すなわち、フレキシャ48の複数の配線は、フレキシャ48のほぼ全長に亘って延び、一端は磁気ヘッド17に電気的に接続され、他端は、接続端部48cに設けられた接続端子(接続パッド)50に接続されている。
【0023】
図2に示すように、キャリッジアッセンブリ22では、最上部のアーム32の先端部32aの下面側の座面41に最上部のダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30bのベースプレート44が固定されている。上から2番目、3番目、4番目、および5番目のアーム32には、先端部32aの上下の両座面41に、それぞれアップヘッドサスペンションアッセンブリ30aおよびダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30bが固定されている。更に、最下部のアーム32の先端部32aの上面側の座面41にアップヘッドサスペンションアッセンブリ30aのベースプレート44が固定されている。
【0024】
10個のサスペンションアッセンブリ30は、6本のアーム32から延出し、互いにほぼ平行に向き合って、かつ、所定の間隔を置いて、並んで配置されている。これらのサスペンションアッセンブリ30は、5つのダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30bと5つのアップヘッドサスペンションアッセンブリ30aとを構成している。各組のダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30bとアップヘッドサスペンションアッセンブリ30aとは、所定の間隔を置いて互いに平行に位置し、これらのサスペンションアッセンブリ30に支持された磁気ヘッド17は、互いに向かい合って位置している。これらの磁気ヘッド17は、対応する磁気ディスク18の両面に対向して位置する。
【0025】
図2に示すように、FPCユニット21は、ほぼ矩形状のベース部60、ベース部60の一側縁から延出した細長い帯状の中継部62、中継部62の先端部に連続して設けられたほぼ矩形状の接合部64を一体に有している。これらベース部60、中継部62、接合部64は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)により形成されている。フレキシブルプリント回路基板は、ポリイミド等の絶縁層と、この絶縁層上に形成され、配線、接続パッド等を形成する導電層と、導電層を覆う保護層とを有している。
ベース部60の一方の表面(外面)上に、図示しない変換コネクタ、複数のコンデンサ63等の電子部品が実装され、図示しない配線に電気的に接続されている。ベース部60の他方の表面(内面)に、補強板として機能する2枚の金属板70、71がそれぞれ貼付されている。ベース部60は、金属板70と金属板71との間の部分で180度、折曲げられ、金属板70、71が互いに対向するように重ね合わされている。ベース部60は、筐体10の底壁12a上に配置され、2つのねじにより底壁12aにねじ止めされる。ベース部60上の変換コネクタは、筐体10の底面側に設けられる制御回路基板に接続される。
中継部62は、ベース部60の第1側縁からこの第1側縁に対してほぼ垂直に延出し、更に、ほぼ直角に向きを変えてキャリッジアッセンブリ22に向かって延びている。
【0026】
図5は、FPCユニットとの接合部を拡大して示す側面図である。図に示すように、接合部64は、アクチュエータブロック29の高さ(厚さ)とほぼ等しい幅を有する矩形状に形成されている。接合部64は、サスペンションアッセンブリ30の接続端部48cに対応する10個の接続パッド群72を有している。各接続パッド群72は、1列に並んで設けられた例えば9個の接続パッド73を有し、各接続パッド73は、配線を介してベース部60に電気的に接続されている。接合部64上にヘッドIC(ヘッドアンプ)74が実装され、配線を介して接続パッド73およびベース部60に接続されている。更に、接合部64は、ボイスコイル34を接続するための2つの接続パッド75を有している。接続パッド73、75の各々には、ハンダ88が盛られている接合部64の内面(裏面)には、補強板として、例えば、アルミニウムからなる裏打ち板が貼付されている。
このように構成された接合部64は、キャリッジアッセンブリ22の第1側面に固定され、ここでは、アクチュエータブロック29の第1側面にねじ止め固定されている。
【0027】
図6は、キャリッジアッセンブリとFPCユニットとの接合部を拡大して示す側面図である。
図2および
図6に示すように、10本のサスペンションアッセンブリ30の接続端部48cは、キャリッジアッセンブリ22の第1側面側に引出され、FPCユニット21の接合部64に接合されている。詳細には、各接続端部48cの接続端子50は、第1接合部64の対応する接続パッド群72の接続パッド73にハンダ88等により電気的かつ機械的に接合されている。また、接合部64の接続パッド75には、ボイスコイル34の配線が接続されている。
これにより、10個の磁気ヘッド17は、フレキシャ48の配線、接続端部48c、FPCユニット21の接合部64、中継部62を通して、ベース部60に電気的に接続される。更に、ベース部60は、変換コネクタを介して、筐体10の底面側のプリント回路基板に接続される。
【0028】
次に、フレキシャ48の接続端部48cの積層構成について詳細に説明する。
図7は、接続端部48cの一部を拡大して示す平面図、
図8Aは、
図7の線A−Aに沿った接続端部の断面およびFPCユニットの接合部の断面を示す断面図である。
図7および
図8Aに示すように、フレキシャ48および接続端部48cは、ベースとなるステンレス等の金属板(裏打ち層)80と、この金属板80に重ねて形成された絶縁層82と、例えば、絶縁層82に重ねて形成され複数の配線(配線パターン)を構成する導電層83、例えば、銅箔層と、導電層83を覆うカバー層(絶縁層)84と、を有し、細長い帯状の積層板をなしている。
【0029】
接続端部48cには、複数の透孔86が所定の間隔で接続端部48cの長手方向に並んで形成されている。隣合う2つ透孔86間に、導電層83からなる接続端子50がそれぞれ設けられている。各接続端子50は、配線を介して中継部に接続されている。各接続端子50の中央部に、中心孔87が貫通形成されている。各接続端子50は、接合部64に対向する第1端子面と、この第1端子面と反対側の第2端子面と、を有している。カバー層84は、導電層83および接続端子50の第1端子面の全面あるいは大部分に重ねて設けられている。本実施形態では、カバー層84は、各接続端子50の両側縁よりも外側に位置し、かつ、中心孔87の周縁よりも内側に延出している。これにより、カバー層84は、接続端子50の第1端子面の全面を覆っている。
【0030】
図8Aに示すように、接続端部48cは、カバー層84側が接合部64に対向した状態で配置されている。また、各接続端子50は、その中心孔87が接合部64の接続パッド73およびハンダ88と対向した状態に配置されている。ハンダ接合する前の状態において、接続端部48cは、カバー層84がハンダ88に対向あるいは接触する。そのため、導電層あるいは接続端子50がハンダ88に直接、接触することがない。
【0031】
図8Bは、ハンダ88を加熱溶融し、接続端部48cを接合部64に電気的に接続および機械的に接合した状態を示す断面図である。図に示すように、ハンダ88は、接続端部48cの透孔86および中心孔87を通って、接続端子50の第2端子面側に回り込み、接続端子50に接合している。これにより、接続端部48cの各接続端子50は、接合部64の接続パッド72に電気的かつ機械的に接続され、必要な導通と機械的強度が得られる。このようにして、磁気ヘッド17は、フレキシャ48を介して、FPCユニット21に電気的に接続される。なお、ハンダ88の加熱融解に際しては、接続端部48cの透孔86及び中心孔87越しにレーザー光を照射し、非接触でハンダを加熱融解する方法を用いており、半田ゴテ等の金属ツールが接続端子50に直接接触することはない。
【0032】
図1に示すように、上記のように構成されたキャリッジアッセンブリ22をベース12上に組み込んだ状態において、軸受ユニット28は、その枢軸の下端部がベース12に固定され、スピンドルモータ19のスピンドルとほぼ平行に立設されている。各磁気ディスク18は2本のサスペンションアッセンブリ30間に位置する。HDDの動作時、サスペンションアッセンブリ30に取付けられた磁気ヘッド17は、磁気ディスク18の上面および下面にそれぞれ対向する。FPCユニット21のベース部60は、ベース12の底壁12aに固定されている。
【0033】
以上のように構成されたHDDおよびサスペンションアッセンブリ30によれば、FPCユニット21の接合部64に電気的に接続されるフレキシャ48の接続端部48cにおいて、接合部64の接続パッドおよびハンダ88と対向する接続端子50の端子面の全面あるいは大部分をカバー層84で覆っている。これにより、接合前の状態において、接続端子50がハンダ88に接触することがなく、また、
図8Cに示すように、組立工程において、複数の接続端部48cが重なり合った場合でも、接続端子50が他の接続端部48cの金属板80に接触することがない。これにより、金属同士(あるいは金属間)の物理的な接触によるESDの発生を抑制し、磁気ヘッド素子のダメージを大幅に低減あるいは防止することが可能となる。
【0034】
次に、他の実施形態に係るHDDの配線部材について説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係るフレキシャの接続端部の一部を拡大して示す平面図、
図9Aは、
図8の線B−Bに沿った接続端部の断面およびFPCユニットの接合部の断面を示す断面図である。
図8および
図9Aに示すように、フレキシャ48および接続端部48cは、ベースとなるステンレス等の金属板(裏打ち層)80と、この金属板80上に形成された絶縁層82と、例えば、絶縁層82上に形成された複数の配線(配線パターン)を構成する導電層83、例えば、銅箔層と、導電層83を覆うカバー層(絶縁層)84と、を有し、細長い帯状の積層板をなしている。
【0035】
接続端部48cには、複数の透孔86が所定の間隔で接続端部48cの長手方向に並んで形成されている。隣合う2つ透孔86間に、導電層83からなる接続端子50がそれぞれ設けられている。各接続端子50は、配線を介して中継部に接続されている。各接続端子50の中央部に、中心孔87が貫通形成されている。
本実施形態において、カバー層84は、導電層83の配線部分の全面に重ねて設けられている。また、接続端子50は、ハンダ88に対向する第1端子面と、この第1端子面と反対側の第2端子面とを有している。接続端子50の第1端子面において、カバー層84に、浮島状あるいはドット状に設けられ、端子面の半分以上をムラなく覆っている。接続端子の第2端子面は、露出している。
【0036】
図9Aに示すように、接続端部48cは、カバー層84側が接合部64に対向した状態で配置されている。また、各接続端子50は、その中心孔87が接合部64の接続パッド72およびハンダ88と対向した状態に配置されている。ハンダ接合する前の状態において、接続端部48cは、カバー層84がハンダ88に対向あるいは接触する。そのため、導電層あるいは接続端子50がハンダ88に接触することがない。
【0037】
図10Bは、ハンダ88を加熱溶融し、接続端部48cを接合部64に電気的に接続および機械的に接合した状態を示す断面図である。図に示すように、ハンダ88は、接続端部48cの透孔86および中心孔87を通って、接続端子50の第2端子面側に回り込み、接続端子50に接合している。また、接続端子50の第1端子面側において、ハンダ88は、浮島状のカバー層84の間に流れ端子面に接合する。これにより、接続端部48cの各接続端子50は、接合部64の接続パッド72に第1端子面と第2端子面の両面で、電気的かつ機械的に接続され、必要な導通と機械的強度が得られる。
第2の実施形態において、HDDの他の構成は、前述した第1の実施形態に係るHDDと同一である。
【0038】
以上のように構成された第2の実施形態によれば、接合部64の接続パッドおよびハンダ88と対向する接続端子50の端子面の大部分を島状のカバー層84で覆っている。これにより、接合前の状態において、接続端子50がハンダ88に接触することがなく、また、
図10Cに示すように、組立工程において、複数の接続端部48cが重なり合った場合でも、接続端子50が他の接続端部48cの金属板80に接触することがない。これにより、金属同士(あるいは金属間)の物理的な接触によるESDの発生を抑制し、磁気ヘッド素子のダメージを大幅に低減あるいは防止することが可能となる。第2の実施形態では、接続端子50の端子面上に設けられたカバー層84を多数の島状あるいはドット状とすることにより、端子面に対するハンダの濡れ性が向上する。これにより、接続端部48cを一層安定して接合部64に電気的かつ機械的に接合することができる。
なお、第2の実施形態において、端子面上に設けられたカバー層の形状は、円形のドット状に限らず、他の任意の形状としてもよい。
【0039】
本発明は上記実施形態あるいは変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
磁気ディスクは5枚に限らず、4枚以下あるいは6枚以上としてもよく、サスペンションアッセンブリの数および磁気ヘッドの数も磁気ディスクの設置枚数に応じて増減すればよい。サスペンションアッセンブリの接続端部において、接続端子の数は9に限らず、必要に応じて増減可能である。ディスク装置を構成する要素の材料、形状、大きさ等は、上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて種々変更可能である。
次に、他の実施形態に係るHDDの配線部材について説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
Aに示すように、フレキシャ48および接続端部48cは、ベースとなるステンレス等の金属板(裏打ち層)80と、この金属板80上に形成された絶縁層82と、例えば、絶縁層82上に形成された複数の配線(配線パターン)を構成する導電層83、例えば、銅箔層と、導電層83を覆うカバー層(絶縁層)84と、を有し、細長い帯状の積層板をなしている。
Aに示すように、接続端部48cは、カバー層84側が接合部64に対向した状態で配置されている。また、各接続端子50は、その中心孔87が接合部64の接続パッド72およびハンダ88と対向した状態に配置されている。ハンダ接合する前の状態において、接続端部48cは、カバー層84がハンダ88に対向あるいは接触する。そのため、導電層あるいは接続端子50がハンダ88に接触することがない。