【解決手段】コネクタ10は、第1ハウジング1、複数の第1コンタクト3、及び、一対のロックレバー5・5を備える。FPC7fは、一対の凹部7d・7dと突片7e・7e両側縁に有する。第1ハウジング1は、FPC7fを挿入自在な開口1hを有する。第1コンタクト3は、FPC7fの導体パターン7wに接触できる。ロックレバー5は、係止爪片51を有する。FPC7fを開口1hに挿入したときは、FPC7fの側縁が係止爪片51をその板厚方向から押して、FPC7fの進入を許容できる。係止爪片51が凹部7dに嵌合したロック状態では、突片7eが係止爪片51を面方向から押圧して、FPC7fを第1ハウジング1から引き抜きできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図18は、従来技術による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
図19は、従来技術による電気コネクタの構成を示す正面図である。
図20は、従来技術による電気コネクタの構成を示す平面図である。
【0010】
図21は、従来技術による電気コネクタに備わるロックレバーの構成を示す斜視図である。
図22は、従来技術による電気コネクタに適用されるFPCの構成を示す平面図である。
【0011】
図23は、従来技術による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、FPCを電気コネクタに挿入した状態図である。
図24は、従来技術による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、ロックレバーの係止爪がFPCの凹部に係止した状態図である。
【0012】
図25は、従来技術による電気コネクタの構成を示す横断面図であり、ロックレバーの係止爪がFPCの凹部に係止した状態図である。
図26は、従来技術による電気コネクタの構成を示す横断面図であり、FPCの凹部に連続した突片が変形した状態図である。
【0013】
なお、本願の
図18と
図19は、特許文献1の
図1と
図2に相当している。又、本願の
図20と
図21は、特許文献1の
図4と
図9に相当している。更に、本願の
図22は、特許文献1の
図7に相当している。
【0014】
又、本願の
図23と
図24は、特許文献1の
図10と
図11(a)に相当している。本願の
図25と
図26は、特許文献1の
図12と
図14に相当している。
【0015】
図18から
図26を参照すると、従来技術による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、直方体状のハウジング91と複数のベローズ形のコンタクト92を備えている。又、コネクタ9は、一対の補強タブ93a・93bとロックレバー94を備えている。
【0016】
図23又は
図24を参照すると、コネクタ9は、プリント基板9pの一方の面に実装できる。
図18又は
図23及び
図24を参照すると、ハウジング91は、その前面に開口した挿入開口91aを有している。又、ハウジング91は、挿入開口91aに連通したFPC収容室91rを有している。
図18又は
図22を参照して、FPC8fは、挿入開口91aからFPC収容室91rに挿入できる。
【0017】
図23を参照すると、複数のコンタクト92は、FPC収容室91rに並設配置している。FPC8fをFPC収容室91rに挿入すると、FPC8fの他方の面に露出した導体パターン81cとコンタクト92の接点を接触できる。コンタクト92の基端部は、プリント基板9pの一方の面にハンダ接合している。これにより、コネクタ9は、FPC8fとプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0018】
図22を参照すると、FPC8fは、一対の方形の凹部8d・8dを端末の両側縁に切り欠いている。又、FPC8fは、凹部8dに連続した突片8eを端末に形成している。
図22から
図24を参照すると、FPC8fは、その端末の一方の面に補強板81fを接着している。又、FPC8fは、その端末の他方の面に複数の導体パターン81cを露出している。
【0019】
図23又は
図24を参照すると、FPC8fは、複数の導体パターン81cの両面を被覆した一組の絶縁層81i・81iを有している。一方の絶縁層81iは、補強板81fに連続している。他方の絶縁層81iには、グランドパターン81gを形成している。
【0020】
図18から
図20及び
図23又は
図24を参照すると、一対の補強タブ93a・93bは、ハウジング91の両端部に組み込まれている。一対の補強タブ93a・93bは、それらの一部がハウジング91の底面から露出している。一対の補強タブ93a・93bの一部をプリント基板9pの一方の面にハンダ接合することで、プリント基板9pに対するコネクタ9の接合強度を補強できる。
【0021】
図23又は
図24を参照すると、一対の補強タブ93a・93bは、FPC収容室91rに向かって反転したグラウンド端子931を有している。
図23を参照して、FPC8fをFPC収容室91rに挿入すると、FPC8fの他方の面に露出したグランドパターン81gとグラウンド端子931を接触できる。
【0022】
図21又は
図24を参照すると、ロックレバー94は、帯状の金属板を成形して門形に形成している。ロックレバー94は、平坦な天板からなる操作レバー94rを中央部に有している。又、ロックレバー94は、対向配置した一対の弾性アーム94a・94aを有している。
【0023】
図21又は
図24を参照すると、弾性アーム94aは、その板厚面から直角三角形状に突出した係止爪94nを中間部に形成している。又、弾性アーム94aは、その先端部から弾性アーム94aの基端部に向って反転した圧入片94bを有している。
【0024】
図21又は
図24を参照すると、一対の圧入片94b・94bは、ハウジング91の背面から前面に向かって、ハウジング91に圧入できる。そして、一対の圧入片94b・94bがハウジング91に固定されることで、一対の弾性アーム94a・94aを撓み可能にハウジング91に保持できる。
【0025】
図23を参照して、FPC8fをFPC収容室91rに挿入すると、FPC8fの先端縁が係止爪94nの斜面に沿ってスライドすることで、弾性アーム94aを押し下げることができる。
図22を参照して、FPC8fの突片8eが係止爪94nを乗り越えると、弾性アーム94aが復帰して、係止爪94nを凹部8dに係合できる(
図24又は
図25参照)。これにより、コネクタ9に対してFPC8fを抜け止めできる。
【0026】
図24を参照して、操作レバー94rを押下することで、弾性アーム94aを押し下げることができ、係止爪94nと凹部8dの係合を解除できる。そして、コネクタ9からFPC8fを引き抜くことができる。
【0027】
図25を参照すると、操作レバー94rを押下することを失念して、又は、操作レバー94rを十分に押し下げない状態で(
図24参照)、コネクタ9からFPC8fを引き抜くと、突片8eには過剰な曲げ応力が作用する。
【0028】
図26を参照すると、ハウジング91のFPC収容室91rには、FPC8fを抜去方向に引っ張ることで、係止爪94nに当接してFPC8fの挿入方向に変形した突片8eが入り込む逃げ部91eをハウジング91の奥壁91w側に有しているので、FPC8fを抜去時にFPC8fの損傷を抑制できる、としている。
【0029】
図18から
図26を参照すると、従来技術によるコネクタ9は、FPC8fの端末に形成した突片8eの曲げ強度が比較的強くないことを前提にしている。この場合、FPC8fをFPC収容室91rに挿入すると(
図24参照)、突片8eが係止爪94nを押し下げることなく、突片8eが変形して、係止爪94nを乗り越えることが考えられる。これにより、係止爪94nが凹部8dに嵌合したときに(
図24又は
図25参照)、聴覚又は触覚によるクリック感が十分に得られない心配がある。
【0030】
又、従来技術によるコネクタ9は、突片8eを変形させて、コネクタ9からFPC8fを引き抜くので、突片8eに好ましくない残留応力が発生する心配がある。
【0031】
FPCなどの接続部材を電気コネクタに挿入したときは、板状の接続部材がロックしたクリック感を得られると共に、接続部材を変形させることなく、電気コネクタから接続部材を容易に引き抜くことができる、ロック機構を備えた電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0032】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、板状の接続部材とプリント基板を電気的に接続する電気コネクタであって、板状の接続部材がロックしたクリック感を得られると共に、接続部材を変形させることなく、接続部材を引き抜きできるロック機構を備えた電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明者は、板状の接続部材とプリント基板を電気的に接続する電気コネクタであって、接続部材が挿入自在な開口を一方の端部に開口したハウジング、ハウジングの開口に臨んで並設配置され、接続部材と電気的に接続自在な複数の板状のコンタクト、及び、ハウジングに片持ち状に支持し、接続部材の両端縁に形成した凹部に嵌合自在な台形台板状の係止爪片をハウジングの内部に対向配置した一対のロックレバーで電気コネクタを構成し、接続部材をハウジングの開口に挿入したときは、接続部材の側縁が係止爪片をその板厚方向から押して、接続部材の進入を許容し、係止爪片が接続部材の凹部に嵌合したロック状態では、凹部に連続した突片が係止爪片を面方向から押圧しているので、接続部材を変形することなく、接続部材を引き抜きできると考え、これに基づいて、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0034】
(1)本発明による電気コネクタは、一対の方形の凹部を端部の両側縁に切り欠いた板状の接続部材とプリント基板を電気的に接続する電気コネクタであって、前記プリント基板の一方の面に配置され、前記接続部材が挿入自在な開口を一方の端部に開口した直方体状の第1ハウジングと、前記第1ハウジングの開口に臨んで並設配置され、前記接続部材と電気的に接続自在な複数の第1コンタクトと、前記第1ハウジングに片持ち状に支持され、前記第1ハウジングの内部に対向配置した一対のロックレバーと、を備え、前記ロックレバーは、前記接続部材の凹部に嵌合自在な台形台板状の係止爪片を有し、前記接続部材を前記第1ハウジングの開口に挿入したときは、前記接続部材の側縁が前記係止爪片をその板厚方向から押して、前記接続部材の進入を許容し、前記係止爪片が前記接続部材の凹部に嵌合したロック状態では、前記凹部に連続した突片が前記係止爪片を面方向から押圧して、前記接続部材を前記第1ハウジングから引き抜きできる。
【0035】
(2)前記ロックレバーは、基端部に形成し、前記第1ハウジングの底面側から圧入できる圧入片と、前記圧入片から延伸した延伸片と、前記延伸片の先端部から反転し、前記圧入片に向かって、前記延伸片と略平行に延びる弾性片と、を有し、前記圧入片は、前記プリント基板の一方の面にハンダ接合自在なリード片を底部に有し、前記弾性片は、前記係止爪片を先端部から連続して配置していることが好ましい。
【0036】
(3)前記第1ハウジングは、前記係止爪片の挙動を前記係止爪片の板厚方向から観察容易な切り欠きを底部側に切り欠いていることが好ましい。
【0037】
(4)前記接続部材は、前記プリント基板の一方の面に対して、垂直方向から前記第1ハウジングに挿入できるようにしてもよい。
【0038】
(5)前記接続部材は、前記プリント基板の一方の面に対して、水平方向から前記第1ハウジングに挿入できるようにしてもよい。
【0039】
(6)本発明による電気コネクタは、一対の方形の凹部を端部の両側縁に切り欠いた板状の接続部材とプリント基板を電気的に接続する電気コネクタであって、前記プリント基板の一方の面に配置され、前記接続部材が挿入自在な開口を一方の端部に開口した直方体状の第2ハウジングと、前記第2ハウジングの開口の一方の面を開閉自在に一方の端部を前記第2ハウジングと回動自在に連結した開閉レバーと、前記第2ハウジングの開口に臨んで並設配置され、前記接続部材と電気的に接続自在な複数の第2コンタクトと、前記第2ハウジングに片持ち状に支持し、前記第2ハウジングの内部に対向配置した一対のロックレバーと、を備え、前記ロックレバーは、前記接続部材の凹部に嵌合自在な台形台板状の係止爪片を有し、前記接続部材を前記第2ハウジングの開口に挿入したときは、前記接続部材の側縁が前記係止爪片をその板厚方向から押して、前記接続部材の進入を許容し、前記係止爪片が前記接続部材の凹部に嵌合したロック状態では、前記凹部に連続した突片が前記係止爪片を面方向から押圧して、前記接続部材を前記第2ハウジングから引き抜きできる。
【発明の効果】
【0040】
本発明による電気コネクタは、接続部材をハウジングの開口に挿入したときは、接続部材の側縁が係止爪片をその板厚方向から押して、接続部材の進入を許容し、係止爪片が接続部材の凹部に嵌合したときには、係止爪片が復帰して、聴覚又は触覚によるクリック感を得ることができる。一方、係止爪片が接続部材の凹部に嵌合したロック状態では、凹部に連続した突片が係止爪片を面方向から押圧しているので、接続部材を変形することなく、接続部材を引き抜きできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、接続部材を挿入する前の電気コネクタを正面側から観た状態図である。
【
図2】第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、接続部材を挿入する前の電気コネクタを背面側から観た状態図である。
【
図3】第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、接続部材を挿入した電気コネクタを正面側から観た状態図である。
【
図4】第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図5】第1実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、
図5(A)は、電気コネクタの正面図、
図5(B)は、電気コネクタの平面図、
図5(C)は、電気コネクタの左側面図、
図5(D)は、電気コネクタの背面図、
図5(E)は、電気コネクタの下面図、
図5(F)は、
図5(A)のW−W矢視断面図、
図5(G)は、
図5(A)のX−X矢視断面図、
図5(H)は、
図5(A)のY−Y矢視断面図、
図5(J)は、
図5(A)のZ−Z矢視断面図である。
【
図6】第1実施形態による電気コネクタに備わる第1ハウジングの構成を示す図であり、
図6(A)は、第1ハウジングの正面図、
図6(B)は、第1ハウジングの平面図、
図6(C)は、第1ハウジングの背面図、
図6(D)は、第1ハウジングの下面図、
図6(E)は、
図6(A)のX−X矢視断面図、
図6(F)は、
図6(A)のY−Y矢視断面図、
図6(G)は、
図6(A)のZ−Z矢視断面図である。
【
図7】第1実施形態による電気コネクタに備わる第1ハウジングの構成を示す斜視図であり、
図7(A)は、第1ハウジングを上面及び背面から観た状態図、
図7(B)は、第1ハウジングを下面及び正面から観た状態図である。
【
図8】第1実施形態による電気コネクタに備わる第1コンタクトの構成を示す図であり、
図8(A)は、R型第1コンタクトの構成を示す正面図、
図8(B)は、L型第1コンタクトの構成を示す正面図である。
【
図9】第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーの構成を示す図であり、
図9(A)は、ロックレバーの正面図、
図9(B)は、ロックレバーの平面図、
図9(C)は、ロックレバーの右側面図、
図9(D)は、ロックレバーの背面図、
図9(D)は、ロックレバーの下面図、
図9(F)は、ロックレバーの斜視図である。
【
図10】第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーが作動する前の状態図であり、
図10(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図10(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図10(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図10(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【
図11】第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーが変位した状態図であり、
図11(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図11(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図11(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図11(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【
図12】第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーに接続部材がロックした状態図であり、
図12(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図12(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図12(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図12(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【
図13】第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーから接続部材を引き抜く途中の状態図であり、
図13(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図13(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図13(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図13(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【
図14】本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図14(A)は、接続部材を電気コネクタに挿抜可能な状態図、
図14(B)は、接続部材を第2コンタクトに接触させるために、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【
図15】第2実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図15(A)は、接続部材を電気コネクタに挿入した状態図、
図15(B)は、接続部材を電気コネクタに挿入した状態で、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【
図16】第2実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図16(A)は、仮想の接続部材を電気コネクタに挿入した状態図、
図16(B)は、仮想の接続部材を電気コネクタに挿入した状態で、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【
図17】第2実施形態による電気コネクタの構成を示す右側面図であり、
図17(A)は、接続部材を電気コネクタに挿抜可能な状態図、
図17(B)は、接続部材を第2コンタクトに接触させるために、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【
図18】従来技術による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
【
図19】従来技術による電気コネクタの構成を示す正面図である。
【
図20】従来技術による電気コネクタの構成を示す平面図である。
【
図21】従来技術による電気コネクタに備わるロックレバーの構成を示す斜視図である。
【
図22】従来技術による電気コネクタに適用されるFPCの構成を示す平面図である。
【
図23】従来技術による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、FPCを電気コネクタに挿入した状態図である。
【
図24】従来技術による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、ロックレバーの係止爪がFPCの凹部に係止した状態図である。
【
図25】従来技術による電気コネクタの構成を示す横断面図であり、ロックレバーの係止爪がFPCの凹部に係止した状態図である。
【
図26】従来技術による電気コネクタの構成を示す横断面図であり、FPCの凹部に連続した突片が変形した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0043】
[第1実施形態]
(電気コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
【0044】
図1は、本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、接続部材を挿入する前の電気コネクタを正面側から観た状態図である。
【0045】
図2は、第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、接続部材を挿入する前の電気コネクタを背面側から観た状態図である。
【0046】
図3は、第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、接続部材を挿入した電気コネクタを正面側から観た状態図である。
図4は、第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【0047】
図5は、第1実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、
図5(A)は、電気コネクタの正面図、
図5(B)は、電気コネクタの平面図、
図5(C)は、電気コネクタの左側面図、
図5(D)は、電気コネクタの背面図、
図5(E)は、電気コネクタの下面図、
図5(F)は、
図5(A)のW−W矢視断面図、
図5(G)は、
図5(A)のX−X矢視断面図、
図5(H)は、
図5(A)のY−Y矢視断面図、
図5(J)は、
図5(A)のZ−Z矢視断面図である。
【0048】
図6は、第1実施形態による電気コネクタに備わる第1ハウジングの構成を示す図であり、
図6(A)は、第1ハウジングの正面図、
図6(B)は、第1ハウジングの平面図、
図6(C)は、第1ハウジングの背面図、
図6(D)は、第1ハウジングの下面図、
図6(E)は、
図6(A)のX−X矢視断面図、
図6(F)は、
図6(A)のY−Y矢視断面図、
図6(G)は、
図6(A)のZ−Z矢視断面図である。
【0049】
図7は、第1実施形態による電気コネクタに備わる第1ハウジングの構成を示す斜視図であり、
図7(A)は、第1ハウジングを上面及び背面から観た状態図、
図7(B)は、第1ハウジングを下面及び正面から観た状態図である。
【0050】
図8は、第1実施形態による電気コネクタに備わる第1コンタクトの構成を示す図であり、
図8(A)は、R型第1コンタクトの構成を示す正面図、
図8(B)は、L型第1コンタクトの構成を示す正面図である。
【0051】
図9は、第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーの構成を示す図であり、
図9(A)は、ロックレバーの正面図、
図9(B)は、ロックレバーの平面図、
図9(C)は、ロックレバーの右側面図、
図9(D)は、ロックレバーの背面図、
図9(D)は、ロックレバーの下面図、
図9(F)は、ロックレバーの斜視図である。
【0052】
(全体構成)
図1から
図9を参照すると、本発明の第1実施形態による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、直方体状の第1ハウジング1、複数の板状の第1コンタクト3、及び、一対のベローズ形のロックレバー5・5を備えている。
【0053】
図1又は
図2を参照すると、コネクタ10は、板状の接続部材(以下、FPCという)7fとプリント基板9pを電気的に接続できる。FPC7fは、その端部の両側縁に一対の方形の凹部7d・7dを切り欠いている。又、FPC7fは、凹部7dに連続した突片7eを端末に形成している。そして、FPC7fは、その端部の他方の面Rfに複数の導体パターン7wを露出させている。
【0054】
図1から
図3を参照すると、第1ハウジング1は、プリント基板9pに配置されている。
図1又は
図2及び
図4を参照すると、第1ハウジング1は、横長の開口1hを一方の端部に開口している。
図1から
図3を参照すると、第1ハウジング1の開口1hには、FPC7fの端部を挿入できる。
【0055】
図1から
図5を参照すると、複数の第1コンタクト3は、第1ハウジング1の開口1hに臨んで並設配置されている。複数の第1コンタクト3は、FPC7fと電気的に接続できる。つまり、
図2又は
図8を参照して、第1コンタクト3は、その接点3sが導体パターン7wに接触することで、FPC7fと電気的に接続できる。
【0056】
図1から
図5を参照すると、ロックレバー5は、第1ハウジング1に片持ち状に支持されている。又、一対のロックレバー5・5は、第1ハウジング1の内部に対向配置している。
図4又は
図9を参照すると、ロックレバー5は、台形台板状の係止爪片51を有している。係止爪片51は、FPC7fの凹部7dに嵌合できる(
図1又は
図2参照)。
【0057】
図11を参照して、FPC7fを第1ハウジング1の開口1hに挿入したときは、FPC7fの側縁が係止爪片51をその板厚方向から押して、FPC7fの進入を許容できる。
【0058】
一方、
図12を参照して、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したロック状態では、凹部7dに連続した突片7eが係止爪片51を面方向から押圧して、FPC7fを第1ハウジング1から引き抜きできる(
図13参照)。
【0059】
第1実施形態によるコネクタ10は、FPC7fを第1ハウジング1の開口1hに挿入したときは、FPC7fの側縁が係止爪片51をその板厚方向から押して、FPC7fの進入を許容し、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したときには、係止爪片51が急激に復帰して、聴覚又は触覚によるクリック感を得ることができる。
【0060】
一方、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したロック状態では、凹部7dに連続した突片7eが係止爪片51を面方向から押圧しているので、FPC7fを変形することなく、FPC7fを引き抜きできる。
【0061】
図1から
図3を参照すると、第1実施形態によるコネクタ10は、プリント基板9pの一方の面に対して、FPC7fを垂直方向から第1ハウジング1に挿入できる、いわゆる、垂直取付形コネクタを開示したが、ロックレバーの基端部の形状を変更することで、プリント基板9pの一方の面に対して、FPC7fを水平方向から第1ハウジング1に挿入できる、いわゆる、水平取付形コネクタにコネクタ10を変更できる。
【0062】
第1実施形態は、板状の接続部材として平形柔軟ケーブルを適用する例を開示したが、板状の接続部材として硬質のプリント基板を適用することもできる。更に、板状の接続部材としてICチップを内蔵するカードを適用することもできる。
【0063】
(第1ハウジングの構成)
次に、第1実施形態による第1ハウジング1の構成を説明する。
図1から
図7を参照して、第1ハウジング1は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましく、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、直方体状の第1ハウジング1を得ることができる。
【0064】
図5又は
図7を参照すると、第1ハウジング1は、櫛歯状に形成した溝1dを底部から切り欠いている。これらの溝1dは、開口1hと連通している(
図6(E)又は
図6(F)参照)。又、これらの溝1dには、後述する第1コンタクト3aの接続アーム31を収容でき(
図8(A)参照)、後述する第1コンタクト3bの接続アーム32を収容できる(
図8(B)参照)。
【0065】
又、
図6(E)を参照すると、第1ハウジング1は、圧入穴11hを底部から穿設している。圧入穴11hには、後述する第1コンタクト3aの圧入片31pを圧入できる(
図5(G)又は
図8(A)参照)。そして、第1コンタクト3aを第1ハウジング1に固定できる。
【0066】
同様に、
図6(F)を参照すると、第1ハウジング1は、圧入穴12hを底部から穿設している。圧入穴12hには、後述する第1コンタクト3bの圧入片32pを圧入できる(
図5(H)又は
図8(B)参照)。そして、第1コンタクト3bを第1ハウジング1に固定できる。
【0067】
図7(B)を参照すると、第1ハウジング1は、一対のロックレバー収容室15h・15hを両端部に有している。一対のロックレバー収容室15h・15hは、第1ハウジング1の底面に向って矩形に開口している。ロックレバー収容室15hには、ロックレバー5を第1ハウジング1の底面側から挿入できる。
【0068】
図6又は
図7を参照すると、第1ハウジング1は、一対のスリット15s・15sを両端部に有している。一対のスリット15s・15sは、第1ハウジング1の底面から穿設している。スリット15sには、ロックレバー5の基端部に形成した一対の脚片5f・5fを挿入できる(
図4又は
図9参照)。
【0069】
又、
図1から
図3及び
図7(A)を参照すると、ロックレバー収容室15hは、その一部が第1ハウジング1の上面に向って矩形に開口した窓15wを形成している。窓15wを介して、ロックレバー5の上部を観察できる。
【0070】
図1から
図3及び
図7(B)を参照すると、第1ハウジング1は、一対の切り欠き15k・15kを底部側に切り欠いている。切り欠き15kは、ロックレバー収容室15hに連通すると共に、第1ハウジング1の前面側に開放している。ロックレバー収容室15hにロックレバー5を収容した状態では、切り欠き15kを介して、係止爪片51の挙動を係止爪片15の板厚方向から観察できる(
図1又は
図3及び
図5(A)参照)。
【0071】
(第1コンタクトの構成)
次に、第1実施形態による第1コンタクト3の構成を説明する。
図4又は
図8を参照して、第1コンタクト3は、導電性を有する金属板からなることが好ましく、導電性を有する金属板を打ち抜き成形して、所望の形状の板状の第1コンタクト3を得ることができる。
【0072】
図4又は
図8を参照すると、第1コンタクト3は、R型第1コンタクト3a(
図8(A)参照)とL型第1コンタクト3b(
図8(B)参照)で構成している。第1コンタクト3aと第1コンタクト3bは、第1ハウジング1の内部に交互に配置されている。
【0073】
図8(A)を参照すると、第1コンタクト3aは、接続アーム31と圧入片31pを有している。圧入片31pに対して、接続アーム31は対向配置されている。接続アーム31は、接点3sを先端部に有している。
【0074】
図5(G)又は
図6(E)及び
図8(A)を参照すると、圧入片31pは、圧入穴11hに圧入できる。圧入片31pを圧入穴11hに圧入した状態では、接続アーム31の接点3sを溝1dの底面に対向配置できる。第1ハウジング1の開口1hにFPC7fを挿入すると、接続アーム31の接点3sを導体パターン7wに接触できる(
図2参照)。
【0075】
図8(A)を参照すると、第1コンタクト3aは、接続アーム31と反対側にリード片31rを形成している。リード片31rの底面をプリント基板9pの一方の面にハンダ接合することで(
図1又は
図3参照)、FPC7fとプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0076】
図8(B)を参照すると、第1コンタクト3bは、接続アーム32と圧入片32pを有している。圧入片32pに対して、接続アーム32は対向配置されている。接続アーム32は、接点3sを先端部に有している。
【0077】
図5(H)又は
図6(F)及び
図8(B)を参照すると、圧入片32pは、圧入穴12hに圧入できる。圧入片32pを圧入穴12hに圧入した状態では、接続アーム32の接点3sを溝1dの底面に対向配置できる。第1ハウジング1の開口1hにFPC7fを挿入すると、接続アーム32の接点3sを導体パターン7wに接触できる(
図2参照)。
【0078】
図8(B)を参照すると、第1コンタクト3bは、接続アーム32に隣接してリード片32rを形成している。リード片32rの底面をプリント基板9pの一方の面にハンダ接合することで(
図2参照)、FPC7fとプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0079】
(ロックレバーの構成)
次に、第1実施形態によるロックレバー5の構成を説明する。
図4又は
図9を参照すると、ロックレバー5は、幅広の圧入片5p、延伸片5d、及び、弾性片5eを有している。圧入片5pは、ロックレバー5の基端部に形成している。圧入片5pは、第1ハウジング1の底面側からロックレバー収容室15hに圧入できる。
【0080】
又、
図4又は
図9を参照すると、圧入片5pは、相反する向きに向かう一対の脚片5f・5fを底部に有している。一対の脚片5f・5fは、第1ハウジング1の底部に形成したスリット15sに挿入できる(
図6又は
図7参照)。
【0081】
図1から
図3を参照すると、脚片5fの底面は、プリント基板9pの一方の面にハンダ接合できる。脚片5fの底面をプリント基板9pの一方の面にハンダ接合することで、プリント基板9pに対する第1ハウジング1の接合強度を補強できる。つまり、第1実施形態によるロックレバー5は、いわゆる、補強タブを兼用している。
【0082】
図4又は
図9を参照すると、延伸片5dは、圧入片5pから延伸している。弾性片5eは、延伸片5dの先端部から反転している。又、弾性片5eは、圧入片5pに向かって、延伸片5dと略平行に延びている。そして、弾性片5eは、係止爪片51を先端部から連続して配置している。
【0083】
図4又は
図5(A)を参照すると、一対のロックレバー5・5は、それらの係止爪片51・51が第1ハウジング1の内部で対向配置されている。
【0084】
図9(C)又は
図9(F)を参照すると、係止爪片51は、弾性片5eの先端部から略直角に屈曲し、更に、略直角に屈曲して、圧入片5pと略平行に延びている。又、係止爪片51は、その基端部から先端部側に向かって幅方向に拡大する一対の傾斜辺51s・51sを両側縁に形成している。傾斜辺51sには、FPC7fの先端縁を係止爪片51の板厚方向から当接できる(
図10(D)参照)。
【0085】
更に、
図4又は
図9を参照すると、係止爪片51は、その中間部から圧入片5pに向かって下り傾斜した傾斜面511を形成している。
【0086】
(電気コネクタの作用)
次に、第1実施形態によるコネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0087】
図10は、第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーが作動する前の状態図であり、
図10(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図10(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図10(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図10(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【0088】
図11は、第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーが変位した状態図であり、
図11(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図11(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図11(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図11(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【0089】
図12は、第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーに接続部材がロックした状態図であり、
図12(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図12(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図12(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図12(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【0090】
図13は、第1実施形態による電気コネクタに備わるロックレバーから接続部材を引き抜く途中の状態図であり、
図13(A)は、電気コネクタの要部を拡大した平面図、
図13(B)は、電気コネクタの要部を拡大した正面図、
図13(C)は、電気コネクタの要部を拡大した斜視図、
図13(D)は、電気コネクタの要部を拡大した縦断面図である。
【0091】
図10を参照して、FPC7fを第1ハウジング1の開口1hに挿入すると、FPC7fの先端縁を係止爪片51の板厚方向から係止爪片51の傾斜辺51sに当接できる(
図10(D)参照)。FPC7fを第1ハウジング1の開口1hに挿入すると、突片7eの先端縁を係止爪片51の板厚方向から係止爪片51の傾斜辺51sに当接できるということもできる(
図10(D)参照)。
【0092】
図10に示した状態から、FPC7fを第1ハウジング1の開口1hの奥部に更に挿入すると、FPC7fの側縁が係止爪片51をその板厚方向から押して、弾性片5eを捩った状態で(
図11(A)参照)、FPC7fを第1ハウジング1の開口1hの奥部に進行できる(
図11参照)。
【0093】
図11に示した状態から、FPC7fを第1ハウジング1の開口1hの奥部に更に挿入し、FPC7fの先端縁が開口1hの奥壁に当接した状態では、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合することで、FPC7fを第1ハウジング1にロックできる(
図12参照)。
図12を参照して、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したときには、係止爪片51が急激に復帰して、聴覚又は触覚によるクリック感を得ることができる。
【0094】
図12を参照して、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したロック状態から、FPC7fを第1ハウジング1から引き抜くと、突片7eの角部が係止爪片51の傾斜面511にスライドすることで、係止爪片51を圧入片5pに向かって移動できる(
図13(B)参照)。
【0095】
図13を参照して、FPC7fの突片7eが係止爪片51を面方向から押圧した状態から、FPC7fを第1ハウジング1から引き抜いて、FPC7fの先端縁が係止爪片51に接触しない状態では、係止爪片51を初期の状態に復帰できる(
図10参照)。
【0096】
図10から
図13を参照すると、ロックレバー5に備わる係止爪片51は、FPC7fを第1ハウジング1に挿入する「行き行程」と、FPC7fを第1ハウジング1から引き抜く「帰り行程」では、その挙動が異なる不可逆な機構になっている。
【0097】
図12を参照して、FPC7fを第1ハウジング1に挿入する「行き行程」では、弾性片5eの捩りを伴う強い力を必要としているので、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したときには、係止爪片51を急激に復帰でき、聴覚又は触覚によるクリック感を得ることができる。
【0098】
一方、
図13を参照して、FPC7fを第1ハウジング1から引き抜く「帰り行程」では、係止爪片51を圧入片5pに向かって移動する曲げ応力が弾性片5eに作用するので、比較的弱い力でFPC7fを第1ハウジング1から引き抜くことができる。これにより、従来技術による電気コネクタと比べて、接続部材の損傷を抑制できる。
【0099】
[第2実施形態]
(電気コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
【0100】
本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図14(A)は、接続部材を電気コネクタに挿抜可能な状態図、
図14(B)は、接続部材を第2コンタクトに接触させるために、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【0101】
図15は、第2実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図15(A)は、接続部材を電気コネクタに挿入した状態図、
図15(B)は、接続部材を電気コネクタに挿入した状態で、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【0102】
図16は、第2実施形態による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図16(A)は、仮想の接続部材を電気コネクタに挿入した状態図、
図16(B)は、仮想の接続部材を電気コネクタに挿入した状態で、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【0103】
図17は、第2実施形態による電気コネクタの構成を示す右側面図であり、
図17(A)は、接続部材を電気コネクタに挿抜可能な状態図、
図17(B)は、接続部材を第2コンタクトに接触させるために、開閉レバーを傾倒した状態図である。
【0104】
(全体構成)
図14から
図17を参照すると、本発明の第2実施形態による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)20は、直方体状の第2ハウジング2と開閉レバー6を備えている。又、コネクタ20は、複数の板状の第2コンタクト4と一対のベローズ形のロックレバー5・5を備えている。
【0105】
図14から
図16を参照すると、コネクタ20は、板状の接続部材(以下、FPCという)7fとプリント基板9pを電気的に接続できる。
図1又は
図2を参照すると、FPC7fは、その端部の両側縁に一対の方形の凹部7d・7dを切り欠いている。又、FPC7fは、凹部7dに連続した突片7eを端末に形成している。そして、FPC7fは、その端部の他方の面Rfに複数の導体パターン7wを露出させている。
【0106】
図14から
図17を参照すると、第2ハウジング2は、プリント基板9pに配置されている。
図14から
図16を参照すると、第2ハウジング2は、横長の開口2hを一方の端部に開口している。
図15又は
図16を参照すると、第2ハウジング2の開口2hには、FPC7fの端部を挿入できる。
【0107】
図14から
図17を参照すると、開閉レバー6は、第2ハウジング2の一方の端部と回動自在に連結している。開閉レバー6は、第2ハウジング2の開口2hの一方の面を開閉できる。
【0108】
図14(A)又は
図15(A)及び
図16(A)を参照して、開閉レバー6を一方の方向に回動して、第2ハウジング2に対して、開閉レバー6を閉じた状態では、FPC7fに強い力を要することなく、FPC7fを開口2hに挿入できる。つまり、第2実施形態によるコネクタ20は、ZIFコネクタである。
【0109】
図14(B)又は
図15(B)及び
図16(B)を参照して、FPC7fを開口2hに挿入して、開閉レバー6を他方の方向に回動した状態では、FPC7fを介して、開閉レバー6の隅部6tが第2コンタクト4の接点4sを押圧するので、第2コンタクト4は、その接点3sが導体パターン7wに接触することで、FPC7fと電気的に接続できる。
【0110】
図14から
図16を参照すると、複数の第2コンタクト4は、第2ハウジング2の開口2hに臨んで並設配置されている。複数の第2コンタクト4は、FPC7fと電気的に接続できる。つまり、
図15又は
図16を参照して、第2コンタクト4は、その接点4sが導体パターン7wに接触することで(
図2参照)、FPC7fと電気的に接続できる。
【0111】
図1から
図5を援用すると、ロックレバー5は、第2ハウジング2に片持ち状に支持されている。又、一対のロックレバー5・5は、第2ハウジング2の内部に対向配置している。
図14から
図16を参照すると、ロックレバー5は、台形台板状の係止爪片51を有している。係止爪片51は、FPC7fの凹部7dに嵌合できる(
図1又は
図2参照)。
【0112】
図11を援用して、FPC7fを第2ハウジング2の開口2hに挿入したときは、FPC7fの側縁が係止爪片51をその板厚方向から押して、FPC7fの進入を許容できる。
【0113】
一方、
図12を援用して、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したロック状態では、凹部7dに連続した突片7eが係止爪片51を面方向から押圧して、FPC7fを第2ハウジング2から引き抜きできる(
図15(A)又は
図16(A)参照)。
【0114】
第2実施形態によるコネクタ20は、FPC7fを第2ハウジング2の開口2hに挿入したときは、FPC7fの側縁が係止爪片51をその板厚方向から押して、FPC7fの進入を許容し、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したときには、係止爪片51が急激に復帰して、聴覚又は触覚によるクリック感を得ることができる。
【0115】
一方、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したロック状態では、凹部7dに連続した突片7eが係止爪片51を面方向から押圧しているので、FPC7fを変形することなく、FPC7fを引き抜きできる。
【0116】
図14から
図17を参照すると、第2実施形態によるコネクタ20は、プリント基板9pの一方の面に対して、FPC7fを垂直方向から第2ハウジング2に挿入できる、いわゆる、垂直取付形コネクタを開示したが、ロックレバーの基端部の形状を変更することで、プリント基板9pの一方の面に対して、FPC7fを水平方向から第2ハウジング2に挿入できる、いわゆる、水平取付形コネクタにコネクタ20を変更できる。
【0117】
第2実施形態は、板状の接続部材として平形柔軟ケーブルを適用する例を開示したが、板状の接続部材として硬質のプリント基板を適用することもできる。更に、板状の接続部材としてICチップを内蔵するカードを適用することもできる。
【0118】
(第2ハウジングの構成)
次に、第2実施形態による第2ハウジング2の構成を説明する。
図14から
図17を参照して、第2ハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましく、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、直方体状の第2ハウジング2を得ることができる。
【0119】
図14から
図16を参照すると、第2ハウジング2は、櫛歯状に形成した溝を底部から切り欠いている。これらの溝は、開口2hと連通している。又、これらの溝には、後述する第2コンタクト4aの接続アーム(図示せず)を収容でき、後述する第2コンタクト4bの接続アーム42を収容できる。
【0120】
又、
図14から
図16を参照すると、第2ハウジング2は、圧入穴を底部から穿設している。この圧入穴には、後述する第2コンタクト4aの圧入片(図示せず)を圧入でき、第2コンタクト4aを第2ハウジング2に固定できる。
【0121】
同様に、
図14から
図16を参照すると、第2ハウジング2は、圧入穴を底部から穿設している。この圧入穴には、後述する第2コンタクト4bの圧入片42pを圧入できる。そして、第2コンタクト4bを第2ハウジング2に固定できる。
【0122】
(第2コンタクトの構成)
次に、第2実施形態による第2コンタクト4の構成を説明する。
図14から
図16を参照して、第2コンタクト4は、導電性を有する金属板からなることが好ましく、導電性を有する金属板を打ち抜き成形して、所望の形状の板状の第2コンタクト4を得ることができる。
【0123】
図14から
図16を参照すると、第2コンタクト4は、R型第2コンタクト4aとL型第2コンタクト4bで構成している。第2コンタクト4aと第2コンタクト4bは、第2ハウジング2の内部に交互に配置されている。なお、第2コンタクト4aと第2コンタクト4bは、略同様に構成しているので、以下、第2コンタクト4bを代表して、第2コンタクト4の構成を説明する。
【0124】
図14から
図16を参照すると、第2コンタクト4bは、接続アーム42と圧入片42pを有している。圧入片42pに対して、接続アーム42は対向配置されている。接続アーム42は、接点4sを先端部に有している。
【0125】
図14から
図16を参照すると、圧入片42pは、第2ハウジング2に設けた圧入穴に圧入できる。圧入片42pを前記圧入穴に圧入した状態では、接続アーム42の接点4sを溝の底面に対向配置できる。第2ハウジング2の開口2hにFPC7fを挿入し、開閉レバー6を他方の方向に回動すると(
図15(B)又は
図16(B)参照)、接続アーム42の接点4sを導体パターン7wに接触できる(
図2参照。
【0126】
図14から
図16を参照すると、第2コンタクト4bは、接続アーム42に隣接してリード片42rを形成している。リード片42rの底面をプリント基板9pの一方の面にハンダ接合することで、FPC7fとプリント基板9pを電気的に接続できる。なお、第2コンタクト4aは、接続アーム(図示せず)と反対側にリード片41rを形成している。
【0127】
又、
図14から
図16を参照すると、圧入片42pは、鉤状のフック部42hを先端部に形成している。圧入片42pの先端部は、開閉レバー6に形成した櫛歯状の溝に挿入できる。又、フック部42hは、開閉レバー6に形成した係止爪61と回動自在に連結している。
【0128】
(開閉レバーの構成)
次に、第2実施形態による開閉レバー6の構成を説明する。
図14から
図17を参照して、開閉レバー6は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましく、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、直方体状の開閉レバー6を得ることができる。
【0129】
図17を参照すると、開閉レバー6は、一対の円柱状の回動軸6d・6dを両端部に有している。これらの回動軸6d・6dは、第2ハウジング2の両端部に設けたU字状の切り欠きに回動自在に支持されている。
【0130】
又、
図14から
図17を参照すると、回動軸6dの仮想の回動中心とフック部42hの仮想の回動中心は、同軸上に配置されている。
【0131】
図14(A)又は
図15(A)及び
図16(A)を参照して、開閉レバー6を一方の方向に回動すると、開閉レバー6の起立姿勢を維持できる。一方、
図14(B)又は
図15(B)及び
図16(B)を参照して、開閉レバー6を一方の方向に回動すると、開閉レバー6の傾倒姿勢を維持できる。
【0132】
(電気コネクタの作用)
次に、第2実施形態によるコネクタ20の動作を説明しながら、コネクタ20の作用及び効果を説明する。
【0133】
第2実施形態によるコネクタ20は、第1実施形態によるコネクタ10と略同様に動作するので、詳細な説明は省略するが、
図15(A)又は
図16(A)を参照すると、FPC7fを第2ハウジング2に挿入する「行き行程」では、弾性片5eの捩りを伴う強い力を必要としているので、係止爪片51がFPC7fの凹部7dに嵌合したときには、係止爪片51を急激に復帰でき、聴覚又は触覚によるクリック感を得ることができる。
【0134】
一方、
図15(A)又は
図16(A)を参照して、FPC7fを第2ハウジング2から引き抜く「帰り行程」では、係止爪片51を圧入片5pに向かって移動する曲げ応力が弾性片5eに作用するので、比較的弱い力でFPC7fを第2ハウジング2から引き抜くことができる。これにより、従来技術による電気コネクタと比べて、接続部材の損傷を抑制できる。