【解決手段】操作領域を有し、交流信号発生部が発生した交流信号が供給される導電板と、前記導電板に対して対向するように配される電極と、前記導電板と前記電極との間に介在される弾性体とを有する感圧式静電スイッチである。
前記コントローラは、初期状態において前記電極で検出される検出信号のレベルと、前記導電板に対する操作がなされた操作状態において前記電極で検出される検出信号のレベルとに基づいて、前記操作がなされた操作箇所を検出する検出部を有する
請求項5に記載の感圧式静電スイッチ。
前記検出部は、初期状態において複数の前記電極のそれぞれで検出される検出信号のうち、レベル変化が最も大きい検出信号が検出された電極に対応する領域を、前記操作箇所として検出する
請求項6に記載の感圧式静電スイッチ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。説明は以下の順序で行う。
<1.第1実施形態>
<2.第2実施形態>
<3.変形例>
但し、以下に示す実施形態等は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明は例示された構成に限定されるものではない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置、上下左右等の方向の記載等は特に限定する旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがあり、また、図示が煩雑となることを防止するために、参照符号の一部のみを図示する場合もある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複する説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一つの部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一つの部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0011】
<1.第1実施形態>
「感圧式静電スイッチの全体構成について」
図2Aは、本発明の第1実施形態に係る感圧式静電スイッチ(感圧式静電スイッチ10)の外観例を示す斜視図である。
図2Aに示すように、感圧式静電スイッチ10は、例えば全体として薄板状を成している。
【0012】
図2Bは、感圧式静電スイッチ10の構成例を説明するための図(断面的に示した図)である。感圧式静電スイッチ10は、導電板20と、回路基板30と、弾性体40とを有している。導電板20の一面が操作領域面21aとされており、
図2Bの上方から指、ペン等の操作体により操作領域面21aに対する押圧操作(押下操作)がなされる。導電板20には、具体的な操作領域を示す加工が施されており、これらが参照符号22a、22b・・22eにより適宜簡略化されて示されている。
【0013】
回路基板30には、所定数(本実施形態では、5個)の電極31(31a、31b・・31e)が形成されており、これらの電極31が導電板20の対向面21b(操作領域面21aと反対側の面)と対向するように配されている。
【0014】
導電板20と回路基板30との間に弾性体40が介在している。弾性体40には、例えば開口41(41a、41b・・41e)が形成されている。本実施形態における感圧式静電スイッチ10は、導電板20と弾性体40とが両面等テープ等により接着されており、導電板20が弾性体40により支持された構成を成している。
【0015】
「導電板について」
次に、感圧式静電スイッチ10の各部について
図3A乃至
図3Cを参照して詳細に説明する。
図3Aは、第1実施形態に係る導電板20を示す図である。導電板20は、アルミニウム、ステンレス等の金属から構成されており、全体として薄板状を成す金属板である。導電板20は、押圧操作により対向面21b側がやや凸になるように撓む程度の厚み(例えば、0.3〜0.5mm(ミリメートル))とされている。
【0016】
感圧式静電スイッチ10の用途に応じた加工が導電板20に対して施されることで、ユーザは具体的な操作領域及びその操作領域を押下したときに実行される処理を認識することができる。
図3Aは、感圧式静電スイッチ10が、オーディオの再生態様を変化させるスイッチとして使用される場合の導電板20に施される加工例を示している。例えば、オーディオを再生/再生停止するためのボタンを模したボタン加工22aと、オーディオ再生を早送りするためのボタンを模したボタン加工22bと、次の曲(トラック)に遷移するための曲送りボタンを模したボタン加工22cと、オーディオ再生を戻すためのボタンを模したボタン加工22dと、前の曲(トラック)に遷移するための曲戻しボタンを模したボタン加工22eが導電板20に対して施されている。
【0017】
本実施形態では、導電板20に貫通孔を形成することで各ボタン加工22が施されている。この貫通孔を介して後述する発光素子が発光した光をユーザが視認することができる。すなわち、導電板20が有するボタン加工22が光透過部として機能している。
【0018】
「回路基板について」
次に、第1実施形態に係る回路基板30について説明する。
図3Bは、第1実施形態に係る回路基板30を示す図である。回路基板30には、導電板20における操作領域と対向する位置若しくは当該位置の近傍の位置に矩形状の電極31が形成されている。
【0019】
さらに、本実施形態に係る回路基板30には発光素子が設けられている。発光素子は、例えばLED(Light Emitting Diode)から構成されており、例えば導電板20における操作箇所に対応した数の5個のLED32(32a、32b・・32e)が回路基板30に設けられている。LED32は、LED32が発光(出射)した光が開口41及びボタン加工22を介してユーザが視認できる位置に設けられており、一例として電極31の近傍に設けられている。例えば、略矩形の電極31aの中央にLED32aが設けられている。同様に、他の電極の略中央にLEDがそれぞれ設けられている。LED32は、マイクロコンピュータ等の図示しない制御回路に接続されており、当該制御回路によりLED32を点灯/消灯させる制御が行われる。
【0020】
「弾性体について」
次に、第1実施形態に係る弾性体40について説明する。
図3Cは、第1実施形態に係る弾性体40を示す図である。弾性体40は、厚みが1.0〜数mm程度の薄板状のゴムシート等により構成されている。弾性体40は、押圧操作に応じて局所的に変形し、押圧操作後に変形箇所が復元するものであればゴムに限定されるものではない。弾性体40には、導電板20における操作領域に対応する位置に円形の開口41が形成されている。
【0021】
図4は、上述した導電板20、回路基板30及び弾性体40が積層するように配置され一体化された感圧式静電スイッチ10を導電板20側から見た図である。例えば、導電板20におけるボタン加工22aが施された位置と対向する位置に電極31a及びLED32aが配されており、ボタン加工22aと電極31a等との間に弾性体40の開口41aが位置している。また、例えば、導電板20におけるボタン加工22bが施された位置と対向する位置に電極31b及びLED32bが配されており、ボタン加工22bと電極31b等との間に弾性体40の開口41bが位置している。他の箇所についても同様である。ボタン加工22の箇所に対する押圧操作がなされると、押圧操作がなされた箇所の直下に位置するLED32が発光する。LED32からの光が開口41及びボタン加工22を透過する。ユーザは、この光を視認することで入力が受け付けられたことを認識することができ、感圧式静電スイッチ10を照光式スイッチとして動作させることが可能となっている。
【0022】
「感圧式静電スイッチの電気的な構成について」
図5は、感圧式静電スイッチ10の電気的な構成例を示す図である。接地電位(グランド)とした低圧基準電源線GNDと高圧基準電源線VCCが、コントローラとしてのSoC(System on Chip)50に接続されている。SoC50は、例えば回路基板30に実装されたチップ上にCPU(Central Processing Unit)51等が集積された集積回路である。
【0023】
SoC50は、その機能として上述したCPU51の他に、アナログマルチプレクサ52と、増幅回路53と、A/D(Analog to Digital)54と、交流信号発生部としての発振回路55とを有している。CPU51は、SoC50の各機能を制御するとともに、導電板20において操作がなされた箇所を検出する検出部として機能する。アナログマルチプレクサ52は、電極31a〜31eにおいて検出される交流信号(電圧信号)を選択的に増幅回路53に供給するものである。増幅回路53は、アナログマルチプレクサ52から入力される交流信号を所定の増幅率でもって増幅し、A/D54に出力する回路である。A/D54は、増幅回路53から供給される交流信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、CPU51に出力する回路である。発振回路55は、交流信号(例えば、方形波)S1を生成、出力する回路である。交流信号の周波数は、例えば、90〜100kHz程度である。なお、図示はしていないが、上述したLED32の点灯/消灯を制御する制御回路をSoC50が有する構成としてもよい。
【0024】
SoC50(具体的には発振回路55)が導電板20と接続されており、発振回路55から出力された交流信号S1が導電板20に供給されるように構成されている。
【0025】
「感圧式静電スイッチの動作例」
次に、
図5に加え、
図6〜
図8も参照して、感圧式静電スイッチ10の動作例について説明する。
図5では、導電板20と各電極31との間の静電容量C(Ca、Cb、Cc、Cd、Ce)が模式的に示されている。静電容量C[F(ファラド)]は、下記の数式(1)により求めることができる。
【0027】
なお、数式(1)におけるSは電極の面積[m
2]、dは金属板間距離[m]を示している。またε
0は真空の誘電率(8.854・10
-12)であり、ε
rは比誘電率であり空気の場合は、ε
r≒1.0である。
【0028】
数式(1)において、S、ε
0、ε
rは一定の値である。押圧操作により距離dのみが変化し、この変化により静電容量Cも変化する。
【0029】
図6に示すように、例えば、導電板20におけるボタン加工22aが施された操作領域に対して押圧操作がなされたとする。この押圧操作は、導電板20を所定以上撓ますことができる程度の力を必要とする操作である。このように感圧式静電スイッチ10は、近接または触れるだけでは反応しないスイッチである。
【0030】
導電板20における押圧操作がなされた箇所(以下、操作箇所と適宜称する)が撓み、それに連動して操作箇所の下方付近に位置する弾性体40が撓む。導電板20における操作箇所が撓むことで、当該操作箇所と電極31aとの間の距離が変化し、その間の静電容量が変化する。具体的には、数式(1)における距離dが小さくなることから静電容量Caが増加する。
【0031】
図7は、感圧式静電スイッチ10の等価回路である。本実施形態における感圧式静電スイッチ10は、導電板20に対して交流信号S1が供給されており、導電板20が電気的に振動されている。信号レベル(交流電圧)がV
Pの交流信号S1が導電板20及び電極31間の静電容量Cを介して電極31で受けられ、SoC50に入力される。SoC50に入力された交流信号の信号レベルであるV
OがCPU51により検出される。
図7の回路における抵抗Rは、終端抵抗である。
【0032】
図7の回路に流れる電流を電流i
1とすると、電流i
1は、下記の数式(2)で表すことができる。なお、jは虚数単位、ωは各周波数2πf(fは周波数)である。
【0034】
SoC50に入力される交流信号の信号レベルをV
oとすると、V
oは下記の数式(3)により表すことができる。
【0036】
数式(3)を変形することにより下記の数式(4)が導かれる。
【0038】
数式(2)及び数式(4)により下記の数式(5)が導かれる。
【0040】
数式(5)を変形することにより下記の数式(6)が導かれる。
【0042】
数式(6)から、静電容量Cが大きくなると、CPU51で検出される交流信号の信号レベルであるV
Oが大きくなる。
【0043】
図8は、電極31で検出される交流信号を模式的に示した図である。
図8Aは、初期状態において、例えば電極31aで検出される交流信号(検出信号)を示している。なお、初期状態とは、導電板20に対して操作や人体の接近がなされていない状態である。
【0044】
図8Bは、電極31aに対応する操作領域(ボタン加工22aの箇所)に対する押下操作がなされた操作状態において、電極31aで検出される交流信号(検出信号)を示している。上述したように、押下操作に応じて導電板20及び電極31a間の静電容量Caが増加する。静電容量Caの増加に伴って、
図8Bに示すように電極31aで検出される交流信号の信号レベルが初期状態で検出される交流信号の信号レベルより大きくなる。CPU51は、この信号レベルの変化(増加)を検出することによりボタン加工22aの箇所を押下操作がなされた操作箇所として検出する。
【0045】
なお、押下操作がなされた際の導電板20の変形(撓み)により電極31aの周囲の電極(例えば、電極31bや電極31d)で検出される交流信号の信号レベルも大きくなり得る。しかしながら、操作に応じて導電板20が最も変形した箇所の電極(本例では電極31a)の交流信号のレベル変化が最も大きくなる。CPU51は、アナログマルチプレクサ52を制御して電極31を切り替え、各電極における交流信号のレベル変化を検出する。そして、レベル変化が最も大きくなる交流信号、換言すれば、信号レベルが最も増加した交流信号が検出された電極に対応する箇所を操作箇所と判断する。以上が第1実施形態における感圧式静電スイッチ10の動作例である。
【0046】
「効果」
第1実施形態によれば、例えば、下記の効果が得られる。導電板20と回路基板30との間に弾性体40が介在しない場合には、操作箇所と電極31との間の静電容量の変化が小さくその変化を検出することが困難である。しかしながら、弾性体40を介在させることにより、押圧操作がなされたことによる操作箇所と他の箇所との相対的な位置の変位を大きくすることができ、操作箇所における静電容量の変化を大きくすることができる。したがって、操作箇所と電極31との間の静電容量の変化を確実に検出することができ、当該操作箇所を正確に特定することができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、操作領域(ボタン加工22a)に対応した位置、具体的には、ボタン加工22aの直下に開口41aが位置し、スペースが形成された構成としている。このため、操作箇所が他の箇所に比べてより撓むようにすることができる。このため、操作箇所と他の箇所との相対的な位置の変位をより大きくすることができ、操作箇所における静電容量の変化をより大きくすることができる。
【0048】
操作箇所が検出されると、図示しない制御回路によりLED32aを発光(点灯)させる制御が実行される。弾性体40には開口41aが形成され、且つ、導電板20には貫通孔であるボタン加工22aが形成されているので、LED32aが発光した光をユーザが視認することができ、あたかもボタン加工22aが点灯したように感じることができる。
【0049】
第1実施形態に係る感圧式静電スイッチによれば、操作領域に金属等から成る導電板を使用することができる。このため、美観、デザイン性、質感等を従来よりも向上させることができ、タッチスイッチとしての用途を拡大することができる。また、導電板を撓ますことができる程度の一定以上の力が入力操作に必要とされるため、指等を不用意に近づけることにより誤入力がなされてしまうことを防止することができる。さらに、上述した第1実施形態で説明された作用効果を奏するために特別な部品を多数使用する必要もなく、シンプルな構成の感圧式静電スイッチにより本発明を実現することができる。また、操作領域に金属等から成る導電板を使用した感圧式静電スイッチにおける新たな駆動方法を提供することができる。
【0050】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した事項は、特に断らない限り第2実施形態に適用することができる。第2実施形態は、第1実施形態における導電板20に対する操作体の接近をより効果的に検出するための構成を有する感圧式静電スイッチの例である。
【0051】
「電気的な構成について」
図9は、第2実施形態に係る感圧式静電スイッチ(感圧式静電スイッチ10A)の電気的な構成例を示している。感圧式静電スイッチ10Aの構成において、第1実施形態に係る感圧式静電スイッチ10の構成と異なる点は、SoC50の発振回路55と導電板20との間に、交流信号S1に対するインピーダンスを増加させる素子が接続されている点である。本実施形態では、交流信号S1に対するインピーダンスを増加させる素子として抵抗R
Iが使用されている。
【0052】
感圧式静電スイッチ10Aの基本的な動作(操作箇所を検出する動作)は、感圧式静電スイッチ10と同様であるので重複した説明を省略する。感圧式静電スイッチ10Aは、導電板20に対する操作体の接近を検出する。本実施形態では、操作体として例えば人体HA(具体的には手)を例に説明するが、スタイラスペン等であってもよい。
【0053】
「感圧式静電スイッチの動作例」
図10は、感圧式静電スイッチ10Aの導電板20に人体HAが接近した場合の等価回路を示している。
図10に示す回路を参照して、感圧式静電スイッチ10Aの動作例について説明する。人体HAは、体を通じて接地されているとみなすことができる。交流信号S1の信号レベルをV
Iとし、導電板20に接近した人体HAと導電板20との間に生じる浮遊容量を浮遊容量C
Mとすると、抵抗R
I及び浮遊容量C
Mを介して人体HA側に流れる電流i
2は、下記の数式(7)により表すことができる。
【0055】
また、導電板20における電圧V
pは、下記の数式(8)により表すことができる。
【0057】
数式(8)を変形することにより、下記の数式(9)が導かれる。
【0059】
数式(7)及び数式(9)により、下記の数式(10)が導かれる。
【0061】
数式(10)を変形することにより、下記の数式(11)が導かれる。
【0063】
数式(11)より、人体HAが導電板20に近づき浮遊容量C
Mが増加すると、導電板20における交流信号の信号レベルであるV
Pが小さくなる。これに伴って、第1実施形態で説明した数式(5)に基づいて、CPU51で検出される交流信号の信号レベルであるV
Oも小さくなる。すなわち、CPU51が、初期状態(人体HAが導電板に近づいておらず、V
I=V
Pの状態)で検出される交流信号の信号レベルの低下を検出することにより、人体HAが導電板20に接近したことを検出することができる。反対に、一度低下した交流信号の信号レベルが回復したことをもって、導電板20から人体HAが離れたことを検出することができる。なお、外乱ノイズ等を考慮して、CPU51は、閾値以上の信号レベルの低下があった場合に人体HAが導電板20に接近したと判断するようにしてもよい。
【0064】
感圧式静電スイッチ10Aは、導電板20に対する人体HAの接近に応じた処理を行う。例えば、CPU51は、導電板20に人体HAが接近したことを検出すると、LED32の制御回路を動作させて、LED32(例えば、5個全てのLED32a〜32e)を一時的に発光させる処理を行う。これにより、導電板20に手を近づけたユーザは、感圧式静電スイッチ10Aが反応したことを認識することができる。
【0065】
他の処理例として、導電板20に対する人体HAの接近に応じて感圧式静電スイッチ10Aの動作状態が遷移するようにしてもよい。例えば、SoC50が有する機能のうち最低限の機能のみを動作させた状態(スリープ状態)から、SoC50が有する各機能を動作させた状態(ウェイクアップ状態)に状態遷移させる処理が、導電板20に対する人体HAの接近をトリガーとして行われてもよい。これにより感圧式静電スイッチ10Aの省電力化を図ることができる。
【0066】
以上説明した第2実施形態によれば、操作領域を有する導電板に対する人体の接近を検出することができる。なお、第1実施形態に係る感圧式静電スイッチにおいても同様にして導電板に対する人体の接近を検出することができるものの、抵抗R
Iを挿入することにより電極で検出される交流信号のレベル変化をより正確に検出することができる。
【0067】
「応用例」
本発明は、上述した感圧式静電スイッチ10、10Aを備える電気装置として実現することができる。感圧式静電スイッチ10、10Aが組み込まれる電気装置としては、例えば、一定以上の力での押圧操作が必要とされる装置、換言すれば、安全性等の観点から近接または触れるだけで入力がなされてしまうのが不向きな機器を挙げることができる。このような電気装置として、具体的には、冷蔵庫、ガスやIH型キッチン、電子レンジ等の調理機器、ポット、車載装置、照明機器、扇風機等の空調機器、食器乾燥機等を挙げることができる。
【0068】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく各種の変形が可能である。
【0069】
導電板20は、金属板に限定されることはない。例えば、
図11に示すように、薄板状の絶縁部材23と当該絶縁部材23における少なくとも電極31と対向する箇所に形成された導電層24とを備えたものでもよい。導電層24は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜により形成することができる。導電層24が発振回路55に接続される。なお、
図11に示すように、導電層24は、絶縁部材23の電極31と対向する対向面全体にわたって形成されていてもよい。絶縁部材23は、板状、フィルム状その形状は任意の形状とすることができる。なお、この場合、絶縁部材23をガラス、アクリル等の光透過性部材により構成することにより、導電板20全体を光透過部として機能させることができる。すなわち、光透過部は導電板20に形成された貫通孔に限定されるものではない。また、導電板20が光透過部を有しない構成でもよい。
上述した実施形態において、導電板20における操作領域の数は適宜、変更することができる。また、導電板20における操作領域を識別するための手段(識別手段)は、ボタン加工22のような貫通孔に限定されることはなく、装飾シート等を貼付するようにしてもよいし、導電板20をプレス加工してもよいし、これらを組み合わせたものでもよい。また、導電板20における操作領域は、上述した識別手段を含んでいなくてもよいし、導電板20全体が操作領域とされていてもよい。識別手段は、矩形、三角等の単純な形状でもよく、操作領域を押下したときに実行される処理を示すものでなくてもよい。
【0070】
上述した実施形態では、回路基板30における電極31を略矩形の形状として示しているが、円形、楕円形、三角形等、その形状は適宜変更することができる。
上述した実施形態では、導電板20における操作領域(ボタン加工22)の数と電極31の個数とが一致しているが、それらの数が必ずしも一致している必要はない。複数の電極が1つの操作領域に対応するようにしてもよい。
回路基板30に設けられる発光素子の種類や個数、発光態様は適宜変更することができ、また、発光素子が回路基板30に設けられていなくてもよい。また、発光素子が操作の有無に関わらず電源がオンされたときから常に点灯するようにしてもよい。
【0071】
弾性体40の開口41は、円形に限らず
図12Aに示すように矩形でもよいし、楕円形、三角形等、その形状は適宜、変更することができる。また。開口41に代えて、導電板20から回路基板30に向かう方向に凹となる凹部が弾性体40に形成されていてもよいし、
図12Bに示すように、それら開口や凹部がない一様な平面のものでもよい。
弾性体40は、ゴムに限定されることはなく、バネ、スポンジ等を使用することも可能である。例えば、弾性体40として複数のバネが使用される場合には、それら複数のバネを電極31の近傍にそれぞれ配設するようにしてもよい。
【0072】
上述した感圧式静電スイッチ10、10Aは、オン/オフのスイッチに限定されるものはない。例えば、導電板20の撓み量に応じた静電容量の変化を段階的に検出し、静電容量の段階的な変化に伴う信号レベルの変化に応じて、LED32の発光強度や色等が段階的に変化するようにしてもよい。
【0073】
また、上述した感圧式静電スイッチ10、10Aは、操作領域を一列に配置しているが、操作領域を複数の列に、すなわち、2次元的に配置してもよい。
【0074】
感圧式静電スイッチ10、10Aの形状は薄板状に限定されることはなく、円筒形、球形等適宜な形状により構成することもできるし、それに応じて導電板20等の形状も適宜な形状により構成することができる。また、感圧式静電スイッチ10、10Aを縦向きや斜めに配置して水平方向や斜め方向に押圧操作がなされるようにしてもよい。この場合、感圧式静電スイッチ10、10Aの各構成(導電板20、回路基板30及び弾性体40等)が所定の支持部材により支持される構成でもよい。
【0075】
回路基板30にバイブレータやアクチュエータを配設し、押圧操作に応じて当該操作がなされた箇所を振動等させるフィードバック動作が行われるようにしてもよい。
【0076】
上述した実施形態において、導電板20に供給される交流信号は矩形波に限定されるものではなく、サイン波(sin波)等であってもよい。また、SoC50が有する機能が追加されてもよく、例えば、SoC50が積分回路の機能を有していてもよい。さらに、第2実施形態において、抵抗R
Iは、インダクタ等の他の素子やこれらの素子を組み合わせたものであってもよい。
【0077】
上述の実施形態及び変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよく、公知のもので置き換えることも可能である。また、実施形態及び変形例における構成、方法、工程、形状、材料及び数値などは、技術的な矛盾が生じない範囲において、互いに組み合わせることが可能である。