【実施例1】
【0038】
本発明の実施例1について、
図1〜
図5を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における検査モジュールを説明する図である。
図2は、本発明の実施例1における検査モジュール内部の構成を説明する図である。
図3は、本発明の実施例1における検査モジュール内部における外観検査部周辺の構成を説明する図であり、(a)は、+Y方向から視た図、(b)は、−Z方向から視た図である。
図4は、本発明の実施例1における検査モジュール群を説明する図である。
図5は、本発明の実施例1における検査モジュール群の制御構成を説明する図である。
【0039】
(検査モジュール)
検査モジュール100は、
図1に示すように、一つの筐体131を有しており、正面、左側面、右側面、裏面、及び上面に壁面を備えている。
図1(a)は、検査モジュール100の正面図、
図1(b)は、検査モジュール100の左側面図、
図1(c)は、検査モジュール100の右側面図、
図1(d)は、検査モジュール100の上面図である。検査モジュール100の正面には、
図1(a)に示すように、操作パネル107、非常ボタン108、及び不良排出部106を備えている。検査モジュール100の左側面には、後述する検査モジュール群において良品の固形製剤Tを受入れる良品受入部103が設けられ、右側面には、良品の固形製剤Tを排出する良品排出部104が設けられている。検査モジュール100の上面には、固形製剤Tを受入れる材料受入部101が設けられている。また、検査モジュール100の内部には、筐体131の一方の側面(実施例1においては、左側面)に設けた良品受入部103から他方の側面(実施例1においては、右側面)に設けた良品排出部104まで良品の固形製剤Tを一方向(実施例1においては、正面視左から右方向)に搬送する搬送部102や後述する外観検査部60(
図2参照)等を備えている。
【0040】
固形製剤Tは、検査モジュール100上面の材料受入部101に供給される。供給された固形製剤Tは、外観検査部60で外観検査を行ない、良品の固形製剤を良品固形製剤合流部17から搬送部102に合流させる。搬送部102に合流された良品の固形製剤Tは、筐体131の右側面に搬送され、良品排出部104から検査モジュール100外に排出される。排出された良品の固形製剤Tは、良品収納部105に収納される。
【0041】
搬送部102は、コンベアで構成されており、筐体131の左側面の良品受入部103から右側面の良品排出部104に向かって上向きに傾斜して、筐体131の少し外まで延びている。この搬送部102が筐体131の少し外まで延びていることによって、検査モジュール100の外部に設けた良品収納部105に良品の固形製剤Tを容易に収納することができる。また、搬送部102が良品受入部103から良品排出部104に向かって上向きに傾斜して設けられていることによって、後述するように、下流側に連結した検査モジュール100の搬送部102の始端部の上方に当該搬送部102の終端部を配置することができ、スムーズに固形製剤Tを上流から下流の搬送部102に搬送することができる。そして、良品受入部103は、上流の検査モジュール100の搬送部102の終端部が入り込めるような大きさで筐体131の壁面がくり抜かれている。また、良品排出部104は、搬送部102が筐体131の外部まで延びるような大きさに壁面がくり抜かれている。良品収納部105は、任意の材質からなる容器で、良品の固形製剤Tが収納されても安定を保つように固定されている。
【0042】
固形製剤Tは、上述のように、材料受入部101から供給されるが、
図1に示すように、ホッパ112とコンベアからなる材料搬送部111を設けて、ホッパ112に供給した固形製剤Tを材料搬送部111経由で材料受入部101に供給するように構成してもよい。
【0043】
不良排出部106は、外観検査部60が不良と判別した不良の固形製剤Tを検査モジュール100の筐体131外に排出するように構成されており、図示しない不良収納箱を筐体131の外部に設置することによって、当該検査モジュールにおける不良の固形製剤Tを収納することができる。
【0044】
操作パネル107は、タッチパネルで構成され、所定の個所を指で触れることによって検査モジュール100に指示を与えることができるとともに、撮像部の撮像画像を表示できる。また、検査データを入力又は確認できるとともに、稼働率や外観良品率等の生産データを表示させて確認することができる。非常ボタン108は、非常時に押すことにより、検査モジュール100の主電源を切って動作を止めることができる。
【0045】
次に、検査モジュール100内部の外観検査部60等について説明する。
【0046】
本発明の実施例1における検査モジュール100は、ディスクの側面円周上に設けた吸着孔に固形製剤Tを吸着して移送する構成を採用している。
図2、
図3に示すように、固形製剤Tは、固形製剤投入部15、パーツフィーダ14、ディスク13、ディスク12、ディスク11、不良分離部16、良品固形製剤合流部17を経由するように構成されている。また、ディスク11の回転に伴い固形製剤Tは外観検査部60を経由する。ディスク11は、主面をX−Y平面と平行に設けられ、ディスク12は、ディスク11と直交かつ側面同士が近接するようにY−Z平面と平行に設けられ、ディスク13はディスク12と直交かつ側面同士が近接するようにX−Z平面と平行に設けられている。ディスク11、ディスク12、ディスク13は、それぞれ回転可能であるとともに、側面円周上に複数の吸着孔を備え、この吸着孔に固形製剤Tを吸着保持して回転方向に移送することができる。
【0047】
そして、材料受入部101から固形製剤投入部15を経由して、固形製剤Tがパーツフィーダ14に投入されると、パーツフィーダ14が振動又は回転することによって、固形製剤Tが次第に水平方向(X−Z平面)に整列させられる。整列させられた固形製剤Tはパーツフィーダ14の最終端において、ディスク13の側面円周上に設けられた吸着孔にその側面を吸着される。ディスク13の側面円周上の吸着孔に吸着保持された固形製剤Tはディスク13のθ方向(
図2参照)への回転に伴って、ディスク12に近づくようにX−Z平面(
図2参照)において回転させられる。そして、ディスク12に近接移動した固形製剤Tは、ディスク12における近接した吸着孔の吸着を開始するとともに、ディスク13の当該吸着孔の吸着を解除して、固形製剤Tの第1面を当該吸着孔に吸着させる。ディスク12は、-θ方向(
図2参照)に回転することにより、吸着保持した固形製剤Tをディスク11に近接するようにY−Z平面(
図2参照)において回転させられる。そして、ディスク11に近接移動した固形製剤Tは、ディスク11における近接した吸着孔の吸着を開始するとともに、ディスク12における当該吸着孔の吸着を解除して、その側面をディスク11の当該吸着孔に吸着保持させる。ディスク11に吸着保持された固形製剤Tは、ディスク11の回転に伴ってθ方向(
図2参照)にX−Y平面(
図2参照)において回転させられる。このように、ディスク13の吸着孔に吸着された固形製剤Tは、ディスク13からディスク12へ、またディスク12からディスク11へと、ディスク11、12、13が回転をしながら移送される(
図2参照)。
【0048】
ディスク11に吸着保持された固形製剤Tは、ディスク11のθ方向への回転に伴い、外観検査部60の撮像部61及び撮像部71が撮像できる位置に到達する。外観検査部60は、外観検査工程を実行して、固形製剤Tの第1面を撮像部61が撮像し第2面を撮像部71が撮像して、異物付着、割れ、又は欠け等を検出する。撮像部61、71は、それぞれCMOSセンサで構成されるとともに、固形製剤Tの第1面又は第2面を照明する照明部を有している。各照明部は、ストロボ発光が可能で回転移動中の固形製剤Tを瞬間的に照明して、各CMOSセンサはぶれのない画像を撮像することができる。
【0049】
外観検査部60における外観検査の結果、不良と判別した固形製剤Tは、不良分離部16にて分離し不良排出部106より外部に排出する。また、良品と判別した固形製剤Tはディスク11の回転方向端部付近にて、良品固形製剤合流部17に導き、搬送部102に合流させて良品排出部104へと一方向に搬送する。
【0050】
なお、実施例1における検査モジュール100は、ディスクの円周面に設けた吸着孔に固形製剤を吸着して移送するディスク式を採用したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、円筒状のドラムの円周面に設けた吸着孔に固形製剤の主面を吸着して移送するドラム式を採用してもよいし、その他、適切な方式を採用することができる。
【0051】
また、実施例1においては、撮像部61、71をそれぞれCMOSセンサで構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、CCDセンサで構成してもよい。
【0052】
さらに、実施例1においては、固形製剤Tの第1面及び第2面の外観を検査するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1面及び第2面に加えて側周面の外観を検査するように構成してもよい。
【0053】
(検査モジュール群)
検査モジュール100の1台当たりの生産能力(検査能力)は、およそ10万錠/時間である。生産能力を拡大するには、検査モジュール100を増設する必要がある。その際、単に増設しただけでは、材料供給や良品の固形製剤Tの回収、また、検査データの入力及び管理、生産データの集計等の手間が増えて効率が悪くなる。本発明の検査モジュール群は、これらの課題を解決することができる。
【0054】
実施例1における検査モジュール群1000は、3台の検査モジュール100A、100B、100Cを
図4における左側から右側へと一方向に連結して構成されていて、生産能力をおよそ30万錠/時間に拡大することができる。すなわち、検査モジュール100Aが一方向の最上流に位置し、その下流に検査モジュール100B、一方向における最下流に検査モジュール100Cが連結されている。検査モジュール100A、100B、100Cは、前述の検査モジュール100と同じ構成を備えているが、それぞれの搬送部102の一方向終端部は筐体131よりも外側に少し延びることにより、一方向における下流に配置された検査モジュール100内に入り込み、当該下流の検査モジュール100における搬送部102の始端部の上方に重なっている。これにより、最上流の検査モジュール100Aにおける搬送部102Aで一方向に搬送される良品の固形製剤Tは、下流の検査モジュール100Bにおける搬送部102Bに搬送される。同様に、検査モジュール100Bにおける搬送部102Bで一方向に搬送される良品の固形製剤Tは、最下流の検査モジュール100Cにおける搬送部102Cに搬送される。そして、検査モジュール100Cにおける搬送部102Cで一方向に搬送される良品の固形製剤Tは、検査モジュール100Cの下流に設けた良品収納部105に収納される。すなわち、検査モジュール群1000の全ての検査モジュール100における良品の固形製剤Tは、一の良品収納部105に収納される。
【0055】
検査モジュール群1000における材料供給と良品の固形製剤Tの収納は、次のように行う。すなわち、ホッパ112に1時間に最大30万錠の固形製剤Tを供給すると、
図4に示すように、コンベアで構成される材料搬送部111A、材料搬送部111B、材料搬送部111Cを介して、検査モジュール100A、検査モジュール100B、検査モジュール100Cのそれぞれに供給することができる。材料搬送部111A、材料搬送部111B、材料搬送部111Cは、それぞれ一方向に沿って上向きに傾斜して設けられており、また、材料搬送部111Aの一方向終端部は材料搬送部111Bの一方向始端部の上方に重なり、材料搬送部111Bの一方向終端部は材料搬送部111Cの一方向始端部の上方に重なっている。
【0056】
ホッパ112に供給された固形製剤Tは、材料搬送部111Aにより
図4の矢印の方向、すなわち一方向に搬送されて終端部に到達する。材料搬送部111Aの終端部に到達した固形製剤Tは、図示しないロータリーアクチュエータによって、一部は検査モジュール100Aの材料受入部101Aに供給され、残りは材料搬送部111Bに供給される。材料受入部101Aに供給された固形製剤Tは、検査モジュール100Aにおいて、外観検査部60による外観検査工程を実行して、良品の固形製剤Tを搬送部102Aにより検査モジュール100Bの搬送部102Bへと一方向に搬送する。
【0057】
材料搬送部111Bに供給された固形製剤Tは、材料搬送部111Bにより一方向に搬送されてその終端部に到達する。材料搬送部111Bの終端部に到達した固形製剤Tは、図示しないロータリーアクチュエータによって、一部は検査モジュール100Bの材料受入部101Bに供給され、残りは材料搬送部111Cに供給される。材料受入部101Bに供給された固形製剤Tは、検査モジュール100Bにおいて、外観検査部60による外観検査工程を実行して、良品の固形製剤Tを検査モジュール100Aから搬送された良品の固形製剤Tといっしょに搬送部102Bにより検査モジュール100Cの搬送部102Cへと一方向に搬送する。
【0058】
材料搬送部111Cに供給された固形製剤Tは、材料搬送部111Cにより一方向に搬送されてその終端部に到達する。材料搬送部111Cの終端部に到達した固形製剤Tは、検査モジュール100Cの材料受入部101Cに供給される。材料受入部101Cに供給された固形製剤Tは、検査モジュール100Cにおいて、外観検査部60による外観検査工程を実行して、良品の固形製剤Tを検査モジュール100A及び検査モジュール100Bから搬送された良品の固形製剤Tといっしょに搬送部102Cにより一方向に搬送して検査モジュール100Cの良品排出部104Cから排出して良品収納部105に収納する。つまり、全ての検査モジュール100における良品の固形製剤Tを一方向における最下流の検査モジュール100の搬送部102から下流側に設けた一の良品収納部105に収納する。
【0059】
材料搬送部111A、材料搬送部111B、及び材料搬送部111Cの上方には各材料搬送部と同等の長さを有した図示しないミラーが設置され、このミラーに材料搬送部が反射されてオペレータは自身よりも上にある材料搬送の状態を確認することができる。これにより、材料の過不足等を目で見て確認することができる。
【0060】
検査モジュール100A、100B、100Cのそれぞれにおける外観検査工程で不良と判別された固形製剤Tは、各検査モジュール100A、100B、100C前面に設けた不良排出部106A、106B、106Cより外部に排出する。それぞれの不良排出部106A、106B、106Cの外側に図示しない不良収納部を設けることによって、不良の固形製剤Tを収納することができる。このように、不良の固形製剤Tを各検査モジュール100A、100B、100Cごとに回収することにより、検査モジュール毎に過検出等の傾向分析を効果的に行うことができる。
【0061】
なお、実施例1においては、一方向上流側における検査モジュール100から下流側に連結した検査モジュール100へと良品の固形製剤Tを搬送するために、搬送部102が筐体131の少し外まで延びている構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、一方向上流側における検査モジュール100と下流側に連結した検査モジュール100との間に、搬送部102とは別の延長搬送部を設けるように構成してもよい。また、一方向最下流の検査モジュール100の下流にもこの延長搬送部を設けて、検査モジュール100の外部に設けた良品収納部105に良品の固形製剤Tを収納するようにしてもよい。
【0062】
図5に示すように、実施例1における各検査モジュール100A、100B、100Cは、それぞれ制御部121A、121B、121Cを備えている。制御部121A、121B、121Cはそれぞれの操作パネル107A、107B、107Cと電気的に接続されていて、操作の内容を把握することができる。また、各検査モジュール100A、100B、100Cにおける検査データの入力及び編集をそれぞれの操作パネル107A、107B、107Cを介して制御部121A、121B、121Cで行うことができる。また、稼働率等の生産データを各操作パネル107A、107B、107Cに表示することができる。
【0063】
各搬送部102A、102B、102Cへの電源供給は、各制御部121A、121B、121Cとは別系統としているため、いずれかの検査モジュール100がメンテナンス中であっても各搬送部102A、102B、102Cは稼働して下流へ良品の固形製剤Tを搬送することができる。また、材料搬送部111A、111B、111Cへの電源供給も、各制御部121A、121B、121Cとは別系統であり、いずれかの検査モジュール100がメンテナンス中であっても材料搬送部111A、111B、111Cは稼働して下流へ固形製剤Tを搬送することができる。
【0064】
なお、実施例1においては、検査モジュール100を3台連結して検査モジュール群1000を構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、2台の検査モジュール100で検査モジュール群を構成してもよいし、4台以上の検査モジュール100で検査モジュール群を構成してもよい。連結する検査モジュール100の台数によって生産能力(検査能力)を増減させることができる。また、連結している検査モジュール100のうち任意の検査モジュール100における生産(検査)を停止させることによって生産能力(検査能力)を減らすことができる。この場合は、材料搬送部111及び搬送部102の電源を通電することにより停止中の検査モジュール100においても固形製剤Tを搬送することができる。
【0065】
また、実施例1においては、左から右を一方向として、正面視最も左側の検査モジュールを最上流とし、正面視最も右側の検査モジュールを最下流としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、右から左を一方向として、正面視最も右側の検査モジュールを最上流とし、正面視最も左側の検査モジュールを最下流としてもよい。
【0066】
また、実施例1においては、全ての検査モジュール100が固形製剤Tの第1面及び第2面の外観を検査するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、少なくも一の検査モジュール100が固形製剤Tの第1面及び第2面に加えて、側周面の外観検査をするように構成してもよい。3台のうち、1台又は2台の検査モジュール100が側周面の外観検査をすることにより、側周面の外観の抜き取り検査をすることができる。また、3台全ての検査モジュール100で側周面の外観検査をすることにより、第1面及び第2面に加えて側周面の外観検査をすることができる。つまり、外観検査する固形製剤Tの場所は、検査モジュール100毎に任意に設定することができる。
【0067】
さらに、検査モジュール群1000の最上流の検査モジュール100Aの上流側に、固形製剤Tを生産する工程を連結することができる。具体的には、造粒装置、整粒装置、乾燥装置、打錠装置の各工程を連結しておき、打錠装置で打錠された固形製剤Tをホッパ112に供給するようにすることにより、造粒から外観検査までをライン化して連続生産することができる。
【0068】
このように、実施例1においては、固形製剤の外観検査を行なう検査モジュールを一方向に複数連結した検査モジュール群であって、前記検査モジュールの各々は、固形製剤の外観検査を行なう外観検査部と、良品の固形製剤を前記一方向に搬送する搬送部と、を備えるとともに、前記一方向における上流側の検査モジュールの前記搬送部は、前記一方向における下流側に連結した検査モジュールの前記搬送部に良品の固形製剤を搬送するとともに、前記一方向における最下流の検査モジュールの前記搬送部は全ての検査モジュールにおける良品の固形製剤を搬送して一の良品収納部に収納することを特徴とする検査モジュール群により、良品の一括回収が可能となり効率が向上するとともに、錠剤などの固形製剤の外観検査に対する需要の増減に対応しやすくすることができる。
【0069】
また、検査モジュールを一方向に複数連結して固形製剤の外観検査を行なう固形製剤検査方法であって、前記検査モジュールの各々において、固形製剤の外観検査を行なう外観検査工程と、良品の固形製剤を前記一方向に搬送する搬送工程と、を備えて、全ての検査モジュールにおける良品の固形製剤を一の良品収納部に収納することを特徴とする固形製剤検査方法により、良品の一括回収が可能となり効率が向上するとともに、錠剤などの固形製剤の外観検査に対する需要の増減に対応しやすくすることができる。
【実施例2】
【0070】
本発明における実施例2は、検査モジュールの各々は、さらに、固形製剤に文字等を印刷する印刷部を備えた点で実施例1と異なっている。実施例2について、
図6、
図7を参照して説明する。
図6は、本発明の実施例2における検査モジュール内部の構成を説明する図である。
図7は、本発明の実施例2における検査モジュール内部における外観検査部周辺の構成を説明する図である。
【0071】
実施例2における検査モジュール150は、外観検査部60に加えて印刷検査部40と印刷部20とを備えており、前述の複数の検査モジュール100に替えて複数の検査モジュール150により検査モジュール群を形成する。検査モジュール150における印刷部20、印刷検査部40等について説明する。
【0072】
検査モジュール150において、固形製剤Tは、固形製剤投入部15、パーツフィーダ14、ディスク13、ディスク12、ディスク11、不良分離部16、良品固形製剤合流部17を経由するように構成されている。また、ディスク11の回転に伴い、固形製剤Tは外観検査部60、印刷装置20、印刷検査部40を順次経由する。ディスク11は、主面をX−Y平面と平行に設けられ、ディスク12は、ディスク11と直交かつ側面同士が近接するようにY−Z平面と平行に設けられ、ディスク13はディスク12と直交かつ側面同士が近接するようにX−Z平面と平行に設けられている。ディスク11、ディスク12、ディスク13は、それぞれ回転可能であるとともに、側面円周上に複数の吸着孔を備え、この吸着孔に固形製剤Tを吸着保持して回転方向に移送することができる。
【0073】
ディスク11に吸着保持された固形製剤Tは、ディスク11のθ方向への回転に伴い、まず外観検査部60の撮像部61及び撮像部71が撮像できる位置に到達する。外観検査部60は、外観検査工程を実行して、固形製剤Tの第1面を撮像部61が撮像し第2面を撮像部71が撮像し、第1面及び第2面における異物付着、割れ、又は欠け等の外観検査を行なう。また、外観検査に先立ち、固形製剤Tの外形に基づいて基準位置である中心位置を検出する。
【0074】
印刷検査部40は、印刷検査工程を実行して、固形製剤Tの第1面を撮像部41が撮像し第2面を撮像部51が撮像して、固形製剤Tに印刷された文字等の位置ずれ、かすれ、滲み等を検出する。撮像部41、51、61、71は、それぞれCMOSセンサで構成されるとともに、固形製剤Tの第1面又は第2面を照明する照明部を有している。各照明部は、ストロボ発光が可能で回転移動中の固形製剤Tを瞬間的に照明して、各CMOSセンサはぶれのない画像を撮像することができる。
【0075】
印刷部20は、固形製剤Tの第1面に文字等を印刷するインクジェットからなる印刷ヘッド21と固形製剤Tの第2面に文字等を印刷するインクジェットからなる印刷ヘッド31とを有し、印刷工程を実行する。インクジェット21、31は、ディスク11の回転方向と直交する方向に列状に複数のインク吐出口を有し、ディスク11の回転と同期して2次元の任意パターンを印刷することができる。印刷ヘッド21及び印刷ヘッド31は、図示しない文字等印刷制御部から所定の文字等の印刷パターンを印刷ヘッド21及び印刷ヘッド31に送信するように構成されている。そして送信された印刷パターンに基づいて、印刷ヘッド21及び印刷ヘッド31がインク吐出口からインクを吐出して印刷する。固形製剤Tに文字等PMを印刷した例を
図8に示す。
【0076】
印刷検査部40における印刷検査、又は外観検査部60における外観検査の結果、いずれかで不良と判別した不良の固形製剤Tを不良分離部16にて分離し不良排出部106より外部に排出する。また、印刷検査部40における印刷検査及び外観検査部60における外観検査の結果、いずれも良品と判別した良品の固形製剤Tはディスク11の回転方向端部付近にて、良品固形製剤合流部17に導き、搬送部102に合流させて良品排出部104へと一方向に搬送する。なお、外観検査部60にて不良と判別した固形製剤Tは、印刷部20において印刷せず、また、印刷検査部60において印刷検査することなく、不良分離部16にて分離し不良排出部106より外部に排出する。
【0077】
また、実施例2においては、撮像部41、51、61、71をそれぞれCMOSセンサで構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、CCDセンサで構成してもよい。
【0078】
さらに、実施例2においては、固形製剤Tの第1面及び第2面に文字等を印刷するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、固形製剤Tの第1面又は第2面にのみ文字等を印刷するように構成してもよい。また、固形製剤Tの第1面及び第2面に加えて側周面にも文字等を印刷するように構成してもよいし、側周面のみに文字等を印刷するように構成してもよい。固形製剤Tの側周面に文字等を印刷する場合は、印刷検査工程において側周面の印刷文字等を検査するように構成すするようにしてもよい。
【0079】
なお、実施例2においては、固形製剤Tへの文字等の印刷後に印刷検査工程を実行する印刷検査部40を備えるように構成したが、印刷検査部40は必ずしも必要ではなく、印刷不良率が極めて低い場合等は、外観検査部60と印刷部20とを備えるように構成してもよい。
【0080】
このように、実施例2においては、前記検査モジュールの各々は、さらに、固形製剤に文字等を印刷する印刷部を備えたことにより、検査のみではなく印刷機能も含むことができ、文字等印刷に対する需要の増減にも対応しやすくすることができる。
【0081】
また、前記検査モジュールの各々は、さらに、固形製剤に文字等を印刷する印刷工程を備えたことにより、検査のみではなく印刷機能も含むことができ、文字等印刷に対する需要の増減にも対応しやすくすることができる。
【実施例3】
【0082】
本発明における実施例3は、検査モジュール群においてマスター検査モジュールを指定するマスター指定部を備えてマスター指定工程を実行する点で、実施例1、実施例2と異なっている。次に、実施例3について
図9を参照して説明する。
図9は、本発明の実施例3における検査モジュール群の制御構成を説明する図である。
【0083】
図9に示すように、実施例3の検査モジュール群2000における各検査モジュール200A、200B、200Cは、それぞれ制御部121A、121B、121Cに電気的に接続されたマスター指定部222A,222B、222Cを備えており、それぞれマスター指定工程を実行することができる。マスター指定部222A,222B、222Cには、それぞれ図示しないデータ管理部及びデータ表示部を備えている。データ管理部は、データ管理工程を実行して、全ての検査モジュール200における検査データ及び生産データ等のデータを管理する。データ表示部は、データ表示工程を実行して、操作パネル107A、107B、107Cのタッチパネルを操作して表示指定された内容が制御部121A、121B、121Cに伝えられると、制御部121A、121B、121Cが記憶している表示指定されたデータを操作パネル107A、107B、107Cに表示させる。また、各制御部121A、121B、121Cは、互いに通信ケーブル224で電気的に接続されて双方向に通信が可能であり、それぞれの検査データ、生産データ等のデータを送信又は受信することができる。
【0084】
検査モジュール200A、200B、200Cのうち、いずれかの検査モジュール200における操作パネル107を操作して、マスター指定の動作を選択するとマスター指定部222(222A、222B、222C)がマスター指定工程を実行して、任意の検査モジュール200をマスター検査モジュールに指定することができる。マスター指定部222(222A、222B、222C)がマスター指定工程を実行すると、操作者がマスター指定を許可された者かどうかの判断を行った後、指定された検査モジュール200をマスターとして決定し、該当の検査モジュール200に通信によって指示を行う。指定された検査モジュール200のマスター指定部222は、自身の制御部121にマスターである旨を記憶させる。
【0085】
マスター検査モジュールに指定された検査モジュール200は、データ管理部がデータ管理工程を実行して検査データ(印刷工程がある場合は印刷データ及び検査データ)を集中し一括管理する。すなわち、全ての検査モジュール200は、通信ケーブル224で接続されており、マスター検査モジュールのデータ管理部から制御部121を経由して、マスター検査モジュール以外の各スレーブ検査モジュールの制御部121に、検査データを送信する。この際、印刷工程がある場合は印刷データも送信する。また、検査モジュール200A、200B、200Cの稼働率、良品率、生産数、不良数等の生産データを各スレーブ検査モジュールの制御部121からマスター検査モジュールの制御部121へ送信してマスター検査モジュールにおけるデータ表示部がデータ表示工程を実行してそれらの一括表示を行う。
【0086】
検査データは、マスター検査モジュールを含むいずれかの検査モジュール200において、対象となる固形製剤Tを撮像部41、51、61、71で撮像して当該検査モジュール200の操作パネル107に表示された撮像画面をみながら作成する。検査データをスレーブ検査モジュールで作成した場合はマスター検査モジュールに送信し、マスター検査モジュールで作成した場合はそのまま、マスター検査モジュールの制御部121に記憶し管理するとともに、各スレーブ検査モジュールに検査データを送信する。検査データを編集するときは、マスター検査モジュールの操作パネル107に表示して修正、削除、追加を行った後、自身の制御部121に記憶するとともに、各スレーブ検査モジュールに送信する。これにより、全ての検査モジュールにおける検査データを一括して管理することができ、検査モジュール群2000を効率的に運用することができる。
【0087】
なお、実施例3においては、検査データを検査モジュール群2000のいずれかの検査モジュール200で作成するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、データ管理部の管理のもと、USBメモリ又は外部コンピュータよりマスター検査モジュールの制御部121に一括して全ての検査モジュール200の検査データを入力するように構成してもよい。これは、別の検査モジュール群や外部コンピュータで作成された検査データを使用する場合に有効である。また、印刷工程がある場合は印刷データも作成又は入力するように構成するとよい。
【0088】
稼働率、良品率、生産数、不良数等の生産データを表示させる場合は、マスター検査モジュールの操作パネル107を操作することにより、データ表示部がデータ表示工程を実行する。データ表示工程では、各スレーブ検査モジュールの当該データを受信するとともに、自身の制御部121に格納されている当該データを集計して、操作パネル107に表示させる。また、集計したこれらのデータを外部のUSBメモリへの書き込みや外部コンピュータへの送信をすることができる。これにより、全ての検査モジュールにおける生産データを一括して表示することができ、検査モジュール群2000を効率的に運用することができる。
【0089】
なお、実施例3においては、マスター指定部222を全ての検査モジュール200に備えるように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、検査モジュール群2000における最上流の検査モジュール200のみにマスター指定部222を備えるようにして、最上流の検査モジュール200をマスター検査モジュールとしてもよいし、最上流の検査モジュール200のみにこだわらず任意の検査モジュール200にマスター指定部222を備えるようにしてもよい。すなわち、少なくとも一の検査モジュール200にマスター指定部222を備えるようにすればよい。
【0090】
このように、実施例3においては、任意の検査モジュールをマスター検査モジュールとして指定するマスター指定部を少なくとも一の検査モジュールに備えたことにより、新たにコンピュータを増設することなく、容易に全ての検査モジュールの管理を集中して行うことができる。
【0091】
また、任意の検査モジュールをマスター検査モジュールとして指定するマスター指定工程を少なくとも一の検査モジュールに備えたことにより、新たにコンピュータを増設することなく、容易に全ての検査モジュールの管理を集中して行うことができる。