【解決手段】実施形態の自覚式検眼装置は、複数の部分領域が予め設定された視標表示領域を含み各部分領域に視標を表示可能な視標表示部と、部分領域を選択するための部分領域選択指示と、視標の呈示対象を左、右及び両被検眼のうちから選択するための呈示対象選択指示とを受け付けるユーザインターフェイスと、選択された呈示対象に対する視標を選択された部分領域に表示させるように視標表示部を制御する視標表示制御部とを有する。ユーザインターフェイスは、表示部と、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とが受け付けられたことに対応し、いずれかの部分領域に新たに表示された視標の呈示対象が左、右及び両被検眼のうちのいずれであるかを表す検査情報を表示部に表示させる検査情報表示制御部とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈第1の実施形態〉
[構成]
第1の実施形態に係る自覚式検眼装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る自覚式検眼装置の外観を表す模式図である。
図2は、本実施形態に係る自覚式検眼装置の構成を表すブロック図である。
図3は、駆動機構11及び視標表示部2の概略を表す模式図である。自覚式検眼装置は、検眼ユニット1、視標表示部2及び操作装置3を有する。例えば、自覚式検眼装置は、検眼テーブル4に備えられる。
【0012】
検眼テーブル4は、検眼ユニット1の支持や操作装置3の載置のための机である。例えば、検眼テーブル4には、支柱5が立った状態で設けられる。支柱5は、その長手方向に伸縮可能に構成される。支柱5は、横アーム6を支持する。横アーム6は、支柱5と反対側の端部(先端部と称する)において、検眼ユニット1を懸架する。横アーム6の先端部には、操作アーム7が、この先端部から突出するように設けられる。操作アーム7は、検者による操作を受け、横アーム6及び検眼ユニット1と共に、支柱5の軸回り方向(矢印a,b方向)に回動可能である。なお、検眼テーブル4の近傍には、被検者SU用の椅子8が備えられてもよい。
【0013】
(検眼ユニット1)
検眼ユニット1は、検眼窓9に複数の光学素子10を選択的に配置可能である。被検眼は、検眼窓9に臨んで配置される。それにより、被検眼は、配置された光学素子10を介して視標を見ることができる。検眼ユニット1は、左被検眼EL用の左被検眼ユニット1Lと右被検眼ER用の右被検眼ユニット1Rとを備える。左被検眼ユニット1L及び右被検眼ユニット1Rは、水平方向(
図1に示す矢印A1方向)にそれぞれスライド可能に備えられる。
【0014】
左被検眼ユニット1Lは、左被検眼用検眼窓9Lを備える。左被検眼ユニット1Lは、左被検眼用検眼窓9Lに左被検眼用光学素子10Lを選択的に配置可能である。右被検眼ユニット1Rは、右被検眼用検眼窓9Rを備える。右被検眼ユニット1Rは、右被検眼用検眼窓9Rに右被検眼用光学素子10Rを選択的に配置可能である。左被検眼ユニット1L及び右被検眼ユニット1Rは、個別に動作可能に構成される。検眼ユニット1は、複数の光学素子10と駆動機構11とを有する。
【0015】
(光学素子10)
複数の光学素子10(10L,10R)は、被検眼の視機能を検査するための各種レンズ及び偏光フィルタからなる集合である。例えば、複数の光学素子10は、球面レンズ、円柱レンズ、累進レンズ及びプリズムレンズのうち少なくとも1つを含む。複数の光学素子10は、検眼パラメータの種別ごとに組分けされる。偏光フィルタは、左被検眼用偏光フィルタ及び右被検眼用偏光フィルタを含む。左被検眼用偏光フィルタは、左被検眼用光学素子10Lに含まれる。右被検眼用偏光フィルタは、右被検眼用光学素子10Rに含まれる。左被検眼用偏光フィルタ及び右被検眼用偏光フィルタは、互いの偏光軸が直交するように設けられる。
【0016】
検眼パラメータは、被検眼の視機能を検査するための検査条件を示すものである。例えば、検眼パラメータの種別は、球面度数、乱視度数、乱視軸角度、加入度数、瞳孔間距離、プリズム度数及びプリズム方向のうち少なくとも1つを含む。検眼パラメータの種別ごとの組分けとして、球面度数の組は、複数の球面レンズを含み、それぞれ異なる球面度数の球面レンズにより構成される。乱視度数の組は、複数の円柱レンズを含み、それぞれ異なる乱視度数の円柱レンズにより構成される。なお、乱視度数の組は、さらに乱視軸角度ごとに組分けされてもよい。加入度数の組は、複数の累進レンズを含み、それぞれ異なる加入度数の累進レンズにより構成される。プリズム度数の組は、複数のプリズムレンズを含み、それぞれ異なるプリズム度数のプリズムレンズにより構成される。なお、プリズム度数の組は、さらにプリズム方向ごとに組分けされてもよい。瞳孔間距離は、被検眼の瞳孔間距離に合わせて設定される検査条件である。瞳孔間距離は、左被検眼ユニット1L若しくは右被検眼ユニット1R又はこれら双方が、水平方向(
図1の矢印A1方向)にスライドすることにより設定される。
【0017】
(駆動機構11)
駆動機構11(11L,11R)は、複数の光学素子10のそれぞれを検眼窓9に配置させ、且つ、検眼窓9から退避させることが可能に構成される。例えば、駆動機構11は、複数のターレット板を有する。ターレット板は、円板形状である。ターレット板は、駆動機構11において、円の中心を軸として円周回りに回転可能に構成される。ターレット板は、縁の近傍に複数の孔hを有する。孔hには、光学素子10が嵌め込まれている。駆動機構11は、ターレット板を回転させることにより、複数の光学素子10のそれぞれを検眼窓9に配置させ、且つ、検眼窓9から退避させる。
【0018】
なお、駆動機構11は、左被検眼用駆動機構11Lと右被検眼用駆動機構11Rとを有する。左被検眼用駆動機構11Lは、複数の左被検眼用光学素子10Lのそれぞれを左被検眼用検眼窓9Lに配置させ、且つ、左被検眼用検眼窓9Lから退避させることが可能に構成される。右被検眼用駆動機構11Rは、複数の右被検眼用光学素子10Rのそれぞれを右被検眼用検眼窓9Rに配置させ、且つ、右被検眼用検眼窓9Rから退避させることが可能に構成される。左被検眼用駆動機構11Lは、左被検眼ユニット1Lに備えられる。右被検眼用駆動機構11Rは、右被検眼ユニット1Rに備えられる。
【0019】
(視標表示部2)
視標表示部2は、検眼ユニット1の前方の所定距離Dの位置に配置される。視標表示部2は、視標を表示することによって、被検眼に視標を呈示する。視標表示部2は、操作装置3からの制御信号を受けることによって、視力検査視標、赤緑検査視標、乱視検査視標等の視標を表示する。
【0020】
視標表示部2は、複数の部分領域が予め設定された視標表示領域Cを含み、複数の部分領域のそれぞれに視標を表示可能に構成される。
図4は、視標表示部2の概略を表す模式図である。視標表示部2は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro‐Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスによって構成される。視標表示領域Cには、ピクセル(画素)がアレイ状に配列される。視標表示領域Cの前面側(被検者側)には、偏光フィルタが設けられる。例えば、部分領域は、視標表示領域Cが定められた数に分割された個々の領域である。
【0021】
偏光フィルタは、第1の偏光軸に偏光して光を透過させる第1の偏光フィルタF1と、第1の偏光軸に直交する第2の偏光軸に偏光して光を透過させる第2の偏光フィルタF2とを含んで構成される。第1の偏光フィルタF1及び第2の偏光フィルタF2は、ピクセルの配列における縦方向かつ横方向に交互に設けられる。
【0022】
第1の偏光軸と第2の偏光軸とのうち一方は、左被検眼用偏光フィルタの偏光軸に平行である。他方は、右被検眼用偏光フィルタの偏光軸に平行である。それにより、検査が行われているとき、第1の偏光フィルタF1と第2の偏光フィルタF2とのうち一方が設けられた視標表示領域Cからの光は、左被検眼ELに到達する。同様に、他方が設けられた視標表示領域Cからの光は、右被検眼ERに到達する。ここでは、第1の偏光軸が左被検眼用偏光フィルタの偏光軸に平行であり、第2の偏光軸が右被検眼用偏光フィルタの偏光軸に平行である例について説明する。この例では、第1の偏光フィルタF1が設けられた視標表示領域Cからの光は、左被検眼ELに到達する。同様に、第2の偏光フィルタF2が設けられた視標表示領域Cからの光は、右被検眼ERに到達する。
【0023】
(操作装置3)
操作装置3は、検者による操作を受け付け、この操作に応じた制御信号を検眼ユニット1若しくは視標表示部2又はこれら双方へ出力する。操作装置3と検眼ユニット1とは、一般的な通信インターフェイスによって、通信可能に接続される。操作装置3は、この通信インターフェイスを介して、制御信号を検眼ユニット1へ出力する。操作装置3と視標表示部2とは、一般的な通信インターフェイスによって、通信可能に接続される。操作装置3は、この通信インターフェイスを介して、制御信号を視標表示部2へ出力する。
【0024】
操作装置3は、ユーザインターフェイス30と、視標表示制御部31と、主制御部32とを有する。
図5は、操作装置3の概略を表す模式図である。例えば、操作装置3は、タブレット型端末として構成される。ここでは、操作装置3が、受付部301及び表示部302から構成されるタッチパネルを備えたタブレット型端末として構成された例について説明する。
【0025】
(ユーザインターフェイス30)
ユーザインターフェイス30は、複数の部分領域のうち少なくとも1つを選択するための部分領域選択指示と、視標の呈示対象を左被検眼EL、右被検眼ER及び両被検眼のうちから選択するための呈示対象選択指示とを受け付ける。ユーザインターフェイス30は、受付部301と、表示部302と、検査情報表示制御部303とを有する。
【0026】
(受付部301)
受付部301は、操作装置3の一面に設けられる。受付部301は、検者によるタッチ操作を受付可能に構成される。タッチ操作には、受付部301に対するタップ操作、ドラッグ操作及びフリック操作が含まれる。タップ操作は、検者が受付部301を叩くように触れる操作である。ドラッグ操作は、検者が受付部301に触れたまま、触れた点から他の点まで引きずるように受付部301に触れる操作である。フリック操作は、検者が受付部301を払うように触れる操作である。例えば、受付部301は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式などの一般的な受付方式によって、タッチ操作を受け付ける。受付部301は、受け付けたタッチ操作の位置(座標)及び接触時間を表すタッチ情報を視標表示制御部31へ出力する。受付部301は、透光性の部材によって構成される。受付部301は、表示部302の表示画面に重ねて設けられる。
【0027】
(表示部302)
表示部302は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示デバイスによって構成される。表示部302は、検査情報表示制御部303による制御に基づいて、検査情報を表す文字や画像を表示画面に表示する。表示部302の表示画面に透光性の部材で構成された受付部301が重ねて設けられることにより、検者は、表示された検査情報を視認しながらタッチ操作を行うことができる。
【0028】
(検査情報表示制御部303)
検査情報表示制御部303は、検査情報を表示部302に表示させる。検査情報は、各種検眼パラメータ、及び呈示対象を表す呈示対象情報を含む。また、検査情報表示制御部303は、部分領域選択指示を受け付けるための第1のソフトキー及び呈示対象選択指示を受け付けるための第2のソフトキーを表示部302に表示させる。検査情報表示制御部303は、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とが受け付けられたことに対応し、複数の部分領域のいずれかに新たに表示された視標の呈示対象を表す検査情報を表示部302に表示させる。
【0029】
図6は、表示部302の表示例を概略的に表す模式図である。検査情報表示制御部303は、検眼パラメータP、第1のソフトキーS1及び第2のソフトキーS2を表示部302に表示させる。第1のソフトキーS1のそれぞれは、視標表示部2の視標表示領域Cにおける部分領域及び視標に相当する情報を表す。第1のソフトキーS1において、網掛けで表されているものは、視標表示部2に視標が表示されていない部分領域を表す。第1のソフトキーS1において、網掛けで表されていないものは、視標表示部2に視標が表示されている部分領域を表す。第2のソフトキーS2のそれぞれは、呈示対象を表す。例えば、検者が、部分領域選択指示として第1のソフトキーS1のうちのソフトキーS11をタッチし、呈示対象選択指示として第2のソフトキーS2のうちのソフトキーS21をタッチする場合がある。この場合、受付部301は、これらタッチを受け付けた座標を表すタッチ情報を視標表示制御部31へ出力する。
【0030】
(視標表示制御部31)
視標表示制御部31は、部分領域選択指示によって選択されたそれぞれの部分領域に、呈示対象選択指示によって選択された呈示対象に対する視標を表示させるように視標表示部2を制御する。視標表示制御部31は、受付部301からのタッチ情報のうち、部分領域選択指示を表すタッチ情報の座標に基づいて部分領域を特定するとともに、呈示対象選択指示を表すタッチ情報の座標に基づいて呈示対象を特定する。視標表示制御部31は、特定した部分領域に含まれるピクセルを制御して、特定した呈示対象に視標を呈示するように視標表示部2を制御する。例えば、視標表示制御部31は、ソフトキーS11に相当する部分領域に含まれるピクセルを制御して、当該部分領域における視標の呈示対象を右被検眼ERに変更する。このとき、視標表示制御部31は、当該部分領域に含まれるピクセルのうち、第1の偏光フィルタF1が設けられたピクセルには視標の背景色を表示させ、第2の偏光フィルタF2が設けられたピクセルには視標を表示させる。それにより、当該部分領域に新たに表示された視標は、右被検眼ERに呈示される。
【0031】
なお、視標表示制御部31は、新たに表示させた視標の部分領域及び呈示対象を表す情報を検査情報表示制御部303へ出力する。検査情報表示制御部303は、新たに表示された視標の呈示対象を表す検査情報を表示部302に表示させる。
【0032】
(主制御部32)
主制御部32は、自覚式検眼装置の各部の制御を行う。主制御部32は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。主制御部32は、自覚式検眼装置の各部の制御を行うためのコンピュータプログラムを予め記憶する。主制御部32は、このコンピュータプログラムを実行することにより、各部を制御する。このコンピュータプログラムが表す動作の一例を以下に表す。
【0033】
[動作]
図7は、この実施形態の動作を表すフローチャートである。
【0034】
(ステップS101)
受付部301が複数の部分領域のうち少なくとも1つを選択するための部分領域選択指示及び視標の呈示対象を左被検眼EL、右被検眼ER及び両被検眼のうちから選択するための呈示対象選択指示を受け付けたとき(Yes)、ステップS102へ進む。受付部301が部分領域選択指示及び呈示対象選択指示を受け付けていないとき(No)、ステップS101へ戻る。
【0035】
(ステップS102)
受付部301は、受け付けた部分領域選択指示を表すタッチ情報と呈示対象選択指示を表すタッチ情報とを視標表示制御部31へ出力する。視標表示制御部31は、部分領域選択指示によって選択されたそれぞれの部分領域に、呈示対象選択指示によって選択された呈示対象に対応する視標を表示させる。
【0036】
(ステップS103)
視標表示制御部31は、新たに表示させた視標の部分領域及び呈示対象を表す情報を検査情報表示制御部303へ出力する。検査情報表示制御部303は、新たに表示された視標の呈示対象を表す検査情報を表示部302に表示させる。
【0037】
(ステップS104)
受付部301が部分領域選択指示及び呈示対象選択指示をさらに受け付けたとき(Yes)、ステップS102へ戻る。受付部301が部分領域選択指示及び呈示対象選択指示をさらに受け付けていないとき(No)、この実施形態の動作は終了する。
【0038】
[効果]
この実施形態の自覚式検眼装置は、視標表示部2と、ユーザインターフェイス30と、視標表示制御部31とを有する。視標表示部2は、複数の部分領域が予め設定された視標表示領域Cを含み、複数の部分領域のそれぞれに視標を表示可能に構成される。ユーザインターフェイス30は、複数の部分領域のうち少なくとも1つを選択するための部分領域選択指示と、視標の呈示対象を左被検眼EL、右被検眼ER及び両被検眼のうちから選択するための呈示対象選択指示とを受け付ける。視標表示制御部31は、部分領域選択指示によって選択されたそれぞれの部分領域に、呈示対象選択指示によって選択された呈示対象に対する視標を表示させるように視標表示部2を制御する。このように、検者は、部分領域選択指示によって所望の部分領域を自覚式検眼装置に指示し、さらに、呈示対象選択指示によって所望の呈示対象を自覚式検眼装置に指示しながら検査を行うことができる。それにより、視標の呈示対象を被検者に悟られることなく自覚式検眼を行うための技術を提供することができる。
【0039】
なお、ユーザインターフェイス30は、表示部302と、検査情報表示制御部303とを含んでもよい。検査情報表示制御部303は、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とが受け付けられたことに対応し、複数の部分領域のいずれかに新たに表示された視標の呈示対象を表す検査情報を表示部302に表示させる。それにより、検者は、部分領域及び呈示対象を指示する度に、新たに表示された視標の呈示対象を把握しながら検査を行うことができる。
【0040】
〈第2の実施形態〉
[構成]
図8は、第2の実施形態に係る自覚式検眼装置の構成を表すブロック図である。この実施形態に係る自覚式検眼装置は、第1の実施形態に係る自覚式検眼装置に対し、視標表示制御部31とユーザインターフェイス30との構成が異なる。以下、第1の実施形態に係る自覚式検眼装置と異なる内容について主に説明する。
【0041】
視標表示制御部31は、関連情報記憶部311を含む。関連情報記憶部311は、複数の部分領域のそれぞれと呈示対象とが関連付けられた関連情報を予め記憶する。
図9は、関連情報の概略を表す模式図である。関連情報において、呈示対象が部分領域ごとに関連付けられる。
図9の例において、1つの升Gの位置は、視標表示領域Cにおける部分領域を表す。「L」が関連付けられた部分領域は、左被検眼ELを呈示対象とした視標が表示される部分領域である。「R」が関連付けられた部分領域は、右被検眼ERを呈示対象とした視標が表示される部分領域である。「B」が関連付けられた部分領域は、両被検眼を呈示対象とした視標が表示される部分領域である。関連情報記憶部311は、複数の関連情報(T1、T2、・・・、Tn;nは2以上の整数)を予め記憶する。複数の関連情報は、互いに異なる呈示対象の配列が関連付けられる。
【0042】
ユーザインターフェイス30は、複数の関連情報のうち1つを選択するための関連情報選択指示を受け付ける。関連情報選択指示は、第1の実施形態の部分領域選択指示と呈示対象選択指示とを兼ねる指示である。
図10は、この実施形態の表示部302の表示例を概略的に表す模式図である。検査情報表示制御部303は、関連情報記憶部311から関連情報を読み出して、この関連情報を表示部302に表示させる。このとき、検査情報表示制御部303は、関連情報を視標とともに表示させてもよい。検査情報表示制御部303は、関連情報選択指示を受けるための選択ソフトキーS3と、表示部302に表示させる関連情報を切り替えるタッチ操作を受けるための切替ソフトキーS4とを表示部302に表示させる。
【0043】
受付部301は、切替ソフトキーS4へのタッチ操作を受け付けたとき、このタッチ操作を表すタッチ情報を検査情報表示制御部303へ出力する。検査情報表示制御部303は、このタッチ情報を受けたとき、他の関連情報を関連情報記憶部311から読み出して、この関連情報を表示部302に表示させる。それにより、検者は、切替ソフトキーS4へのタッチ操作によって、関連情報を切り替え表示させながら所望の関連情報を探すことができる。
【0044】
受付部301は、選択ソフトキーS3へのタッチ操作を受け付けたとき、このタッチ操作を表すタッチ情報を検査情報表示制御部303へ出力する。このことは、受付部301が関連情報選択指示を受け付けることに相当する。関連情報選択指示は、部分領域と呈示対象とが関連付けられた関連情報を選択するものである。したがって、関連情報選択指示は、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とを兼ねた指示に相当する。
【0045】
検査情報表示制御部303は、関連情報選択指示に係るタッチ情報を受けたとき、選択された関連情報を識別する識別情報を視標表示制御部31へ出力する。視標表示制御部31は、この識別情報を受けたとき、当該関連情報に基づいて視標表示部2を制御する。視標表示制御部31は、当該関連情報を参照して、部分領域ごとに関連付けられた呈示対象を特定する。視標表示制御部31は、特定した呈示対象への視標を表示するように部分領域ごとのピクセルを制御する。それにより、視標表示領域Cにおいて、関連情報において関連付けられた呈示対象への視標が部分領域ごとに表示される。
【0046】
[動作]
図11は、この実施形態の自覚式検眼装置の動作を表すフローチャートである。
【0047】
(ステップS201)
受付部301が関連情報選択指示を受け付けたとき(Yes)、ステップS202へ進む。受付部301が関連情報選択指示を受け付けていないとき(No)、ステップS201へ戻る。
【0048】
(ステップS202)
受付部301は、関連情報選択指示に係るタッチ情報を検査情報表示制御部303へ出力する。検査情報表示制御部303は、選択された関連情報を識別する識別情報を視標表示制御部31へ出力する。視標表示制御部31は、当該関連情報を参照して、部分領域ごとに関連付けられた呈示対象を特定する。
【0049】
(ステップS203)
視標表示制御部31は、特定した呈示対象への視標を表示するように部分領域ごとのピクセルを制御する。それにより、視標表示領域Cにおいて、関連情報において関連付けられた呈示対象への視標が部分領域ごとに表示される。
【0050】
(ステップS204)
受付部301が関連情報選択指示をさらに受け付けたとき(Yes)、ステップS202へ戻る。受付部301が関連情報選択指示をさらに受け付けていないとき(No)、この実施形態の動作は終了する。
【0051】
[効果]
この実施形態に係る自覚式検眼装置の視標表示制御部31は、関連情報記憶部311を含む。関連情報記憶部311は、複数の部分領域のそれぞれと呈示対象とが関連付けられた関連情報を予め記憶する。視標表示制御部31は、関連情報に基づいて、視標表示部2を制御する。それにより、複数の部分領域についてまとめて呈示対象を指定しながら検査を行うための技術を提供することができる。
【0052】
また、関連情報記憶部311は、複数の関連情報を予め記憶する。ユーザインターフェイス30は、複数の関連情報のうち1つを選択するための関連情報選択指示を、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とを兼ねる指示として受け付ける。視標表示制御部31は、関連情報選択指示によって選択された関連情報に基づいて、視標表示部2を制御する。この構成により、検者は、関連情報を切り替え表示させながら所望の関連情報を探して、呈示対象の配列を選択することができる。したがって、部分領域と呈示対象とをそれぞれ選択することなく、関連情報を選択する操作に連動して複数の部分領域についてまとめて呈示対象を指定しながら検査を行うための技術を提供することができる。
【0053】
〈第2の実施形態の変形例〉
[構成]
この変形例の自覚式検眼装置は、第2の実施形態に係る自覚式検眼装置に対し、関連情報記憶部311と、ユーザインターフェイス30と、視標表示制御部31との構成が異なる。以下、第2の実施形態と異なる内容について主に説明する。
【0054】
関連情報記憶部311は、複数の関連情報と、これら関連情報の適用順序を表す順序情報とを予め記憶する。
図12は、順序情報の概略を表す模式図である。順序情報において、関連情報ごとに適用順序k=1、2、・・・、n(nは2以上の整数)が割り当てられる。
【0055】
ユーザインターフェイス30は、適用される関連情報を切り替えるための関連情報切替指示を受け付ける。関連情報切替指示は、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とを兼ねる指示である。
図13は、この変形例の表示部302の表示例を概略的に表す模式図である。検査情報表示制御部303は、関連情報切替指示を受けるための順序ソフトキーS5を表示部302に表示させる。
【0056】
受付部301は、順序ソフトキーS5へのタッチ操作を受け付けたとき、このタッチ操作を表すタッチ情報を視標表示制御部31へ出力する。このことは、受付部301が関連情報切替指示を受け付けることに相当する。関連情報切替指示は、次の順序が割り当てられた関連情報を選択するものである。したがって、関連情報切替指示は、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とを兼ねた指示に相当する。
【0057】
視標表示制御部31は、関連情報切替指示が受け付けられたことに対応し、順序情報に基づいて次に適用される関連情報を特定し、特定された関連情報に基づいて視標表示部2を制御する。例えば、視標表示制御部31は、関連情報切替指示に係るタッチ情報を受けたとき、現に適用されている関連情報Tkと順序情報とを参照することによって、現に適用されている関連情報Tkに割り当てられている適用順序kを特定する。視標表示制御部31は、適用順序kの次の順序「k+1」が割り当てられている関連情報「T(k+1)」を特定する。視標表示制御部31は、特定した関連情報「T(k+1)」を参照して、部分領域ごとに関連付けられた呈示対象を特定する。視標表示制御部31は、特定した呈示対象への視標を表示するように部分領域ごとのピクセルを制御する。それにより、視標表示領域Cにおいて、次の順序「k+1」の関連情報「T(k+1)」において関連付けられた呈示対象への視標が部分領域ごとに表示される。
【0058】
現に適用されている関連情報Tkに割り当てられている適用順序kが「n」であるとき、視標表示制御部31は、「1」の適用順序が割り当てられている関連情報T1を特定する。つまり、関連情報T1〜関連情報Tnが巡回的に適用される。なお、他の例として、視標表示制御部31は、関連情報T1〜関連情報Tnのうちいずれかをランダムに適用してもよい。
【0059】
[動作]
図14は、この変形例の自覚式検眼装置の動作を表すフローチャートである。
【0060】
(ステップS301)
受付部301が関連情報切替指示を受け付けたとき(Yes)、ステップS302へ進む。受付部301が関連情報切替指示を受け付けていないとき(No)、ステップS301へ戻る。
【0061】
(ステップS302)
受付部301は、関連情報切替指示に係るタッチ情報を視標表示制御部31へ出力する。視標表示制御部31は、現に適用されている関連情報Tkと順序情報とを参照することによって、現に適用されている関連情報Tkに割り当てられている適用順序kを特定する。視標表示制御部31は、適用順序kの次の順序「k+1」が割り当てられている関連情報「T(k+1)」を特定する。
【0062】
(ステップS303)
視標表示制御部31は、特定した関連情報「T(k+1)」を参照して、部分領域ごとに関連付けられた呈示対象を特定する。
【0063】
(ステップS304)
視標表示制御部31は、特定した呈示対象への視標を表示するように部分領域ごとのピクセルを制御する。それにより、視標表示領域Cにおいて、関連情報において関連付けられた呈示対象への視標が部分領域ごとに表示される。
【0064】
(ステップS305)
受付部301が関連情報切替指示をさらに受け付けたとき(Yes)、ステップS302へ戻る。受付部301が関連情報切替指示をさらに受け付けていないとき(No)、この実施形態の動作は終了する。
【0065】
[効果]
この変形例に係る自覚式検眼装置の関連情報記憶部311は、複数の関連情報と、これら関連情報の適用順序を表す順序情報とを予め記憶する。ユーザインターフェイス30は、適用される関連情報を切り替えるための関連情報切替指示を、部分領域選択指示と呈示対象選択指示とを兼ねる指示として受け付ける。視標表示制御部31は、関連情報切替指示が受け付けられたことに対応し、順序情報に基づいて次に適用される関連情報を特定し、特定された関連情報に基づいて視標表示部2を制御する。それにより、例えば、所定の検査手順に係る呈示対象の切替順序を順序情報として予め記憶させておき、関連情報切替指示に係るタッチ操作のような簡便な操作によって、複数の部分領域についてまとめて呈示対象を指定しながら検査を行うための技術を提供することができる。
【0066】
〈第3の実施形態〉
[構成]
図15は、第3の実施形態に係る自覚式検眼装置の構成を表すブロック図である。この実施形態に係る自覚式検眼装置は、第1の実施形態に係る自覚式検眼装置に対し、視標表示制御部31の構成が異なる。以下、第1の実施形態に係る自覚式検眼装置と異なる内容について主に説明する。
【0067】
視標表示制御部31は、履歴記憶部312を含む。履歴記憶部312は、複数の部分領域のそれぞれに表示された視標の呈示対象の履歴を記憶する。履歴記憶部312は、部分領域のそれぞれについて、表示された視標の呈示対象を記憶する。例えば、視標表示制御部31は、視標表示部2に視標を表示させる度に、当該部分領域を表す情報及び当該呈示対象を表す情報を履歴記憶部312へ出力する。履歴記憶部312は、視標表示制御部31から当該部分領域を表す情報及び当該呈示対象を表す情報を受ける度に、この部分領域についての呈示対象を新たに加えて記憶する。
【0068】
図16は、呈示対象の履歴のデータ構成を概略的に表す模式図である。履歴記憶部312は、部分領域(C1、C2、・・・Cm;mは1以上の整数)のそれぞれについて、表示された視標の呈示対象を記憶する。
図16の例では、上側に示される呈示対象ほど古い履歴であり、下側に示される呈示対象ほど新しい履歴である。「L」は、表示された視標の呈示対象が左被検眼ELであることを表す。「R」は、表示された視標の呈示対象が右被検眼ERであることを表す。「B」は、表示された視標の呈示対象が両被検眼であることを表す。履歴記憶部312は、視標表示制御部31から部分領域及び当該呈示対象を表す情報を受ける度に、下側に呈示対象を新たに加えて記憶する。なお、履歴記憶部312は、検査日ごと、被検者ごと、又は検査日及び被検者ごとに呈示対象の履歴を記憶してもよい。
【0069】
[動作]
図17は、この実施形態に係る自覚式検眼装置の動作を表すフローチャートである。
【0070】
(ステップS401)
受付部301が部分領域選択指示及び呈示対象選択指示を受け付けたとき(Yes)、ステップS102へ進む。受付部301が部分領域選択指示及び呈示対象選択指示を受け付けていないとき(No)、ステップS101へ戻る。
【0071】
(ステップS402)
受付部301は、受け付けた部分領域選択指示を表すタッチ情報と呈示対象選択指示を表すタッチ情報とを視標表示制御部31へ出力する。視標表示制御部31は、視標表示制御部31は、部分領域選択指示によって選択されたそれぞれの部分領域に、呈示対象選択指示によって選択された呈示対象に対する視標を表示させる。
【0072】
(ステップS403)
視標表示制御部31は、部分領域選択指示によって選択されたそれぞれの部分領域を表す情報と呈示対象選択指示によって選択された呈示対象を表す情報とを履歴記憶部312へ出力する。履歴記憶部312は、この部分領域についての呈示対象を新たに加えて記憶する。
【0073】
(ステップS404)
受付部301が部分領域選択指示及び呈示対象選択指示をさらに受け付けたとき(Yes)、ステップS102へ戻る。受付部301が部分領域選択指示及び呈示対象選択指示をさらに受け付けていないとき(No)、この実施形態の動作は終了する。
【0074】
[効果]
この実施形態の自覚式検眼装置の視標表示制御部31は、履歴記憶部312を含む。履歴記憶部312は、複数の部分領域のそれぞれに表示された視標の呈示対象の履歴を記憶する。それにより、例えば、経過観察のために複数の検査日に亘って検査を行う場合、過去の履歴を参照しながら検査を行うための技術を提供することができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0076】
例えば、本明細書では、左右眼への光の偏光軸を制御する偏向方式によって呈示対象が変更される例を示したが、R&G方式、シャッターめがね方式、波長差方式、視差バリア方式、視差インテグラル方式等によって呈示対象が変更される構成であってもよい。