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特開2018-165250薬剤塗布部識別デモンストレーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-165250(P2018-165250A)
(43)【公開日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】薬剤塗布部識別デモンストレーション方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/02 20060101AFI20180928BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20180928BHJP
   A01N 37/18 20060101ALI20180928BHJP
   A01N 37/46 20060101ALI20180928BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20180928BHJP
   G09F 21/02 20060101ALI20180928BHJP
【FI】
   A01N25/02
   G09F19/00 Z
   A01N37/18 Z
   A01N37/46
   A01N43/40 101N
   G09F21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-63003(P2017-63003)
(22)【出願日】2017年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊田さやか
(72)【発明者】
【氏名】三木悠記子
(72)【発明者】
【氏名】川尻由美
(72)【発明者】
【氏名】中山幸治
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC06
4H011BA01
4H011BB06
4H011BB09
4H011BC03
4H011BC18
4H011DA13
4H011DA21
4H011DE16
4H011DG02
(57)【要約】
【課題】本発明は、本発明は、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の害虫から人体を守るために皮膚に塗布して使用する無色の人体用害虫忌避剤の使用に関して、通常、目視ではわからない薬剤の塗布状態を可視化させるための薬剤塗布部識別デモンストレーション方法に関する。
【解決手段】害虫忌避薬剤中に可視光線域では識別できないがブラックライトによる紫外線照射により蛍光発色させ可視化識別できる蛍光材料成分を配合し、当該薬剤の塗布後に塗布部周辺をブラックライトにて紫外線照射する薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫忌避薬剤を人体に塗布使用するに際し、その使用者人体への塗布部を識別するための薬剤塗布部識別方法であって、
前記害虫忌避薬剤中には可視光線域では識別できないがブラックライトによる紫外線照射により蛍光発色させて可視化識別できる蛍光材料成分が配合されており、当該薬剤の塗布後にその塗布部周辺をブラックライトによる紫外線照射することを特徴とする薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
【請求項2】
前記害虫忌避薬剤の塗布後に、その塗布部周辺を任意の時間間隔でブラックライトによる紫外線照射することを特徴とする請求項1に記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
【請求項3】
前記害虫忌避薬剤の塗布後に、その塗布部周辺を任意の時間間隔でブラックライトによる紫外線照射した後任意の時間間隔で非紫外線照射する手順を交互に繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
【請求項4】
前記塗布部周辺のブラックライトによる紫外線照射状態と非紫外線照射状態の動画または静止画を選択的に映像描画手段により表示することを特徴とする請求項3に記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
【請求項5】
前記非紫外線照射は、蛍光灯、白熱灯およびLEDライトから選ばれる少なくとも1つの照明による照射であることを特徴とする請求項3又は4に記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の害虫から人体を守るために皮膚に塗布して使用する人体用害虫忌避剤の使用に関して、その塗布の状態を可視化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海外旅行者の増大に伴い、日本国内でもデング熱、ジカ熱といった感染症の発生対策も深刻な問題となりつつあり、例えば特開2016−172716号公報のように、蚊に対する有効な新しい忌避剤の開発が現在も続けられている。
人体用害虫忌避剤については、エアゾール剤、スプレー剤、クリーム剤やウェットティッシュ型といったさまざまな形態があり、有効成分やその他の配合成分の検討により有効性が増しているが、塗りむらが生じないように塗布使用することが蚊に刺されることない効果発揮の前提条件となる。
しかしながら、人体用害虫忌避剤は通常無色の製剤であるため、一般使用者は正しく均一に塗れているのかを視覚的に確認することができず、正しく塗布できなかった部分を蚊に刺された場合に、製剤に欠点があると不満を抱くという問題があった。
このため人体用害虫忌避剤メーカーは、店頭やイベントなど、あるいはインターネットの動画などで、正しい使用方法を消費者にデモンストレーションし、啓蒙する機会を求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−172716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デモンストレーションに際して、色素入りの人体用害虫忌避剤を試作して、一般使用者に忌避剤の塗布の程度を実感してもらう方法もあるが、色素で可視化した場合、一般使用者は、普段の使用以上に念入りに塗りむら無く塗布してしまう可能性があり、普段の使用状態ではどの部分に塗りむらが生じているかがわからない。
本発明は、本発明は、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の害虫から人体を守るために皮膚に塗布して使用する人体用害虫忌避剤の使用に関して、その塗布の状態を可視化するデモンストレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の構成により上記目的を達成されることを見出したものである。
(1)害虫忌避薬剤を人体に塗布使用するに際し、その使用者人体への塗布部を識別するための薬剤塗布部識別方法であって、
前記害虫忌避薬剤中には可視光線域では識別できないがブラックライトによる紫外線照射により蛍光発色させて可視化識別できる蛍光材料成分が配合されており、当該薬剤の塗布後にその塗布部周辺をブラックライトによる紫外線照射する薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
(2)前記害虫忌避薬剤の塗布後に、その塗布部周辺を任意の時間間隔でブラックライトによる紫外線照射する(1)記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
(3)前記害虫忌避薬剤の塗布後に、その塗布部周辺を任意の時間間隔でブラックライトによる紫外線照射した後任意の時間間隔で非紫外線照射する手順を交互に繰り返す(2)に記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
(4)前記塗布部周辺のブラックライトによる紫外線照射状態と非紫外線照射状態の動画または静止画を選択的に映像描画手段により表示する(3)に記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
(5)前記非紫外線照射は、蛍光灯、白熱灯およびLEDライトから選ばれる少なくとも1つの照明による照射であることを特徴とする(3)又は(4)に記載の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法。
【発明の効果】
【0006】
忌避剤に蛍光色素を配合することにより、使用者が忌避剤を塗布後に、塗布部周辺を紫外線照射すると、塗布された部分が蛍光発光し、明瞭に塗布された領域と塗布されていない領域を検出/認識することが可能になった。
このことにより使用者に正しい忌避剤の塗布使用方法の理解を深めることができ、本方法の発明は、各種サービスの現場、広告宣伝、インターネットホームページ上の動画サイト、製品展示会やイベント等におけるデモンストレーションにて効果的に使用できる。
【0007】
本発明の請求項1に係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法によれば、通常の害虫忌避薬剤は無色のために塗布した領域を正確に視覚により確認できないのに対し、可視光線域では識別できないがブラックライトによる紫外線照射により蛍光発色させ可視化識別できる蛍光材料成分を配合することにより、忌避薬剤の塗布後に塗布部周辺をブラックライトによる紫外線照射すると、薬剤塗布された部分が明瞭に蛍光発色し薬剤塗布部が可視化できるものである。
ここでブラックライトとは、主波長300nm〜400nm長波長の紫外線を放射することのできるライトのことであり、蛍光管を用いたものや、発光ダイオード(LED)を用いたものなどいずれのタイプのブラックライトも本発明では使用可能である。
【0008】
本発明の請求項2に係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法によれば、任意の時間間隔でブラックライトの点灯/消灯を行い、紫外線照射と非照射の状態を対比することにより、薬剤塗布部の識別を顕著にさせるデモンストレーション方法である。この際の時間間隔は、照射と非照射の対比により塗布部位が視覚的に確認できれば、任意であり、必ずしも一定間隔でなくてよい。
【0009】
本発明の請求項3に係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法によれば、薬剤塗布部に対して、任意の時間間隔で、ブラックライトによる紫外線照射と非紫外線照射とを交互に繰返して照射することにより薬剤塗布部の識別を顕著にさせるデモンストレーション方法となる。ここでいう非紫外線照射とは、波長約400nm以上の可視光照射を意味する。
本方法によれば、実際に蚊を使用して薬剤塗布部への効果を観察する際に、ブラックライトの光自体は人間の目にはほとんど見えないもので、暗所におけるブラックライトの照射下では蚊の存在位置や動向が確認しづらいため、可視光線である非紫外線照射を交互に組み合わせることにより、蚊の存在位置や動向の情報と薬剤塗布部の情報が相互確認でき、双方の情報が共有できることとなる。この際の時間間隔も本発明の請求項2に係る発明と同様に任意である。
ブラックライトによる紫外線照射と非紫外線照射とを交互に繰返して照射するとは、ブラックライトによる紫外線照射と非紫外線照射を単発で繰り返すことに加え、ブラックライトによる紫外線の照射と非照射を繰り返した後、非紫外線の照射と非照射を繰り返してもよく、すなわちブラックライトによる紫外線の照射と非紫外線照射の対比により塗布部位が視覚的に確認できれば、必ずしも一定間隔でなくてよい。
【0010】
本発明の請求項4に係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法は、上述の請求項2または3に係る発明の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法の実施場面を、動画あるいは静止画にて撮影したものを任意に抽出し組み合わせて、時間経過とともに薬剤塗布状態と蚊の動向を確認できるように動画および静止画像編集し、この編集物をインターネットのホームページ上のサイト、あるいは製品展示会等にてビデオとして公開しデモンストレーションを行うものである。本方法によれば、時間や場所、試験材料の準備に影響を受けることなく、より効果的に一般使用者に、害虫忌避剤の効果的な使用方法を消費者に啓蒙することができる。
【0011】
本発明の請求項5に係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法において、波長400nm以上の可視光照射である非紫外線照射は、蛍光灯、白熱灯およびLEDライトから選ばれる少なくとも1つの照明によって成される。これら照明は一般的に市販される照明器具を用いることができ、蛍光灯タイプ、電球タイプのいずれも可能であり、さらに白色、昼光色を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法の実施例1の状態を示す模式図である。
図2】本発明の係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法の実施例2の状態を示す模式図である。
図3】本発明の係る薬剤塗布部識別デモンストレーション方法の実施例3の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に用いられる蛍光材料成分は、可視光線域では識別できないが、紫外線照射によって識別できるものである。蛍光材料成分としては、従来から公知の材料が使用でき、主にブラックライトによる主波長300nm〜400nmの長波長紫外線の照射によって、蛍光発光するものであれば何ら制限は無く、可視光線域下の肉眼では容易に識別できないものが望ましい。
ブラックライト照射による蛍光発光の色調については、青、紫、緑、赤、白、橙色、ピンクなど特に限定されない。
【0014】
蛍光材料成分としては、例えば、ジフェニルエチレン系、オキサゾール系、オキサジアゾール系、チアゾール系、イソチアゾール系、イミダゾール系、イミダゾロン系、ナフタルイミド系、トリアゾール系、ピラゾール系、ピラゾロン系、フラン系、チオフェン系、カルボスチリル系、ペリジカルボン酸アミド系、クマリン系の化合物等が挙げられ、Uvitex(チバ・スペシャリティー。ケミカルズ社)、ロイヒマーカーMRエキ(シンロイヒ化学株式会社)、UV−1、LSI−1067(ステファン・クーピーツ社)などの蛍光剤、TinopalシリーズやTinosorb シリーズ(共にCiba Speciality Chemicals社)、BRY−10シリーズ(マクテシム社)、Photine CBUSシリーズ(HICKSON社)、Mikephor TMシリーズ(三井東圧社)、Shining CFシリーズ(沈陽化工)、Blankophor シリーズ(Bayer社)、Syno White CBWシリーズ(京仁社)、Opiblanc BTシリーズ(3V Sigma社)、Whitex WSシリーズ(住友化学社)などの蛍光増白剤などが使用できる。
【0015】
蛍光材料成分は水や炭素数2〜3の低級一価アルコールあるいはグリコールであるエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の水溶性溶剤に可溶であればよいが、必ずしも可溶せずとも水性分散剤として均一に分散されていればよい。
蛍光材料成分の配合方法としては、害虫忌避薬剤に直接配合したり、あるいは各種溶剤や水などに溶解させた後に害虫忌避薬剤に別途配合する方法が挙げられるが特には限定しない。そして肌に塗布された蛍光材料成分は、必要に応じて水で洗い流すことによって容易に除去できることが望ましい。
【0016】
本発明における害虫忌避薬剤中の蛍光材料成分の配合量は、塗布使用感に影響を与えずかつ充分な発光強度を得るために、好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%である。0.0001%未満では充分な発光強度が得られないおそれがあり、10質量%を超えると、製剤安定性への影響が出るおそれがある。
【0017】
本発明で用いる害虫忌避成分としては、害虫に対して忌避作用あるいは吸血阻害作用を有する合成あるいは天然の各種化合物が挙げられる。例えば、ディート、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、1−メチルプロピル2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート、p−メンタン−3,8−ジオール、ユーカリプトール、α―ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、カンファー、リナロール、カランー3,4−ジオールなどを例示できる。更に天然物としては、桂皮、シトロネラ、レモングラス、クローバ、ベルガモット、月桂樹、ユーカリなどから採れる精油、抽出液などを例示でき、これらの1種または2種以上を選択して用いることができる。上記化合物及び天然物のなかでは、特に、ディート、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、1−メチルプロピル2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラートおよびp−メンタン−3,8−ジオールが好ましい。害虫忌避成分は、本発明の人体用害虫忌避剤全体量に対して1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%配合される。
【0018】
こうして調製された本発明に用いられる人体用害虫忌避剤の実用上の使用形態については特に制限はないが、具体的な使用例としては、非エアゾール型スプレー剤やロールオンタイプの容器に充填する形態、不織布等のシート基材に含浸させる形態などの他、液化石油ガス、ジメチルエーテル、圧縮ガス(窒素ガスや圧縮空気等)等の噴射剤に用いてエアゾール剤とすることが可能である。
【0019】
つぎに具体的実施例に基づいて、本発明の薬剤塗布部識別デモンストレーション方法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0020】
(製剤例1)
害虫忌避成分としてディート5g、蛍光材料成分としてTinopalOB(Ciba Speciality Chemicals社) 0.05gをエタノール50gに均一に溶解させた後、精製水45gを加え、本発明に用いる人体用害虫忌避剤を得て、蓄圧式のポンプ容器に充填して使用した。
【0021】
(製剤例2)
害虫忌避成分として3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル5g、蛍光材料成分としてUV−1(ステファン・クーピーツ社)5gをエタノール50gに均一に溶解させた後、精製水40gを加え、本発明に用いる人体用害虫忌避剤を得て、蓄圧式のポンプ容器に充填して使用した。
【0022】
(製剤例3)
害虫忌避成分として3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル10g、蛍光材料成分として7−ヒドロキシクマリン0.1gをエタノール22g、1,3-ブチレングリコール20gに均一に溶解させた後、精製水48gを加え、本発明に用いる人体用害虫忌避剤を得て、蓄圧式のポンプ容器に充填して使用した。
【0023】
(製剤例4)
害虫忌避成分として1−メチルプロピル2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート5g、蛍光材料成分としてピラニン(1−ヒドロキシー3,6,8−ピレントリスルホン酸トリナトリウム)0.01gをエタノール、30gジプロピレングリコール25gに均一に溶解させた後、精製水40gを加え、本発明に用いる人体用害虫忌避剤を得て、蓄圧式のポンプ容器に充填して使用した。
【実施例1】
【0024】
被験者の前腕部1に対し(図1−a)、製剤例1にて作製した人体用害虫忌避剤を用い、
(1)異なる2点の位置にのみ噴霧塗布を行う場合(図1−b)、(2)手の甲を除く上腕部1の全面に充分に塗布噴霧した後さらに入念に塗り広げる場合(図1−c)、(3)被験者に日常での使用と同じように塗布噴霧してもらう場合(図1−d)、の3つの場合について噴霧塗布を行い、風乾後、暗所にて前腕部周辺をブラックライト2(東芝ライテック社製ブラックライト蛍光ランプ FL20SBLB)を照射した。
その結果、(1)の場合、図1-bのように、忌避製剤が噴霧塗布された部分である3のみが鮮やかに蛍光発色され、噴霧塗布されていない部分である1については蛍光発色がなく、その違いを明瞭に識別できた。
(2)の場合、図1−cのように、薬剤塗布部3のほぼ全面に青白く蛍光発色が観察され、(1)と比較して、むら無く充分に薬剤塗布されていることが観察できた。
(3)の場合、図1−dのように、被験者によっては充分に塗布されていない薬剤非塗布部(塗りむら)4があり、蛍光発色しない部分が明瞭に認められることから、被験者に正しい塗布が必要であることの認識を与えることができた。
【実施例2】
【0025】
製剤例2にて作製した人体用害虫忌避剤を、被験者の前腕部1に対して、故意に塗りムラが生じるように、不均一に塗布し、風乾させた。
蚊メス成虫20匹が投入された150Lのキャビネットに前腕部1を入れて任意時間保持し、蚊が吸血を行っているのを確認した。その後、吸血された部位5をサインペンにてマーキングした後(図2−a)、暗所にて前腕部周辺を20Wのブラックライト2(東芝ライテック ブラックライト蛍光ランプ FL20SBLB)を照射し、蛍光発色する薬剤塗布部3を確認した。
その結果、図2−bのように、吸血された部位をサインペンにてマーキングした吸血部5は、全て蛍光発色のない薬剤非塗布部(塗りむら)4であり、すなわち正しく薬剤が塗布されている薬剤塗布部3は吸血されないことが明瞭に認識できた。
【実施例3】
【0026】
製剤例3にて作製した人体用害虫忌避剤を、被験者の前腕部1に対して、薬剤非塗布部(塗りむら)4が生じるように、不均一に塗布し、風乾させた。
蚊メス成虫20匹が投入された容量150Lのキャビネットに前腕部1を入れて5分間保持した。
キャビネットには一般照明であり可視光を発する蛍光灯6(東芝ライテック コンパクト蛍光ランプ ネオコンパクト 12ワット 昼白色 EFP12EN)と20Wのブラックライト2(東芝ライテック ブラックライト蛍光ランプ FL20SBLB)の双方が設置されている。
任意時間保持中、室内照明を落とし、キャビネット内の20Wのブラックライト2と通常の蛍光灯6を約3秒ごとに交互に切り替えて照射し観察した。この通常の蛍光灯6照射(図3−a)とブラックライト3照射(図3−b)を切り替えることにより、蚊7の動向と蛍光発色する薬剤塗布部3、薬剤非塗布部(塗りむら)4を明確に認知することができた。その結果、蛍光発色のない部位である、薬剤非塗布部(塗りむら)4で蚊7が吸血を行い、蛍光発色する薬剤塗布部3では吸血されないことがわかり、正しく均一に薬剤塗布する重要性を被験者に認識してもらうことができた。
【実施例4】
【0027】
実施例3における一連の作業において、室内照明を落とし、前腕部周辺に設置した20Wのブラックライトと通常の蛍光灯を約3秒ごとに交互に切り替えて照射し観察した際の、実験の様子を撮影した動画と静止画を任意に抽出し組み合わせて、時間経過とともに薬剤塗布状態と蚊の動向を確認できるように動画および静止画像編集した。
この編集物を用いインターネットのホームページ上のサイト、および製品展示会にてビデオ公開によるデモンストレーションを行い、一般使用者への正しい薬剤の塗布方法の啓蒙活動に効果を認めた。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本方法は、各種サービスの現場、広告宣伝、インターネットホームページ上の動画サイト、製品展示会やイベント等におけるデモンストレーションにて効果的に使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 前腕部
2 ブラックライト
3 薬剤塗布部(蛍光発色部)
4 薬剤非塗布部(塗りむら)
5 吸血部
6 蛍光灯
7 蚊

図1
図2
図3