【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
<生成物の同定>
生成物の同定は、以下の方法で行った。
【0035】
(1)
1H核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)
日本電子社製ECA500(500MHz)を使用して測定し、“
1H−NMR(測定周波数,測定溶媒):ケミカルシフト値(水素の数,多重度,スピン結合定数)”と記載した。ケミカルシフト値(δ)はテトラメチルシラン(δ=0)を内部基準とし、ppmで表記した。多重度は、s(単一線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線あるいは複雑に重なったシグナル)で表示し、幅広いシグナルについては、brと付記した。スピン結合定数(J)は、Hzで記載した。
【0036】
(2)
13C核磁気共鳴スペクトル(
13C−NMR)
日本電子社製ECA 500(125MHz)を使用して測定し、“
13C−NMR(測定周波数,測定溶媒):ケミカルシフト値(多重度)”と記載した。ケミカルシフト値(δ)はテトラメチルシラン(δ=0)を内部基準とし、ppmで表記した。
【0037】
(3)質量スペクトル(MS):エレクトロンスプレーイオン法(ESI)
日本電子社製JMS−T100LC型TOF質量分析計AccuTOFを用い、エレクトロンスプレーイオン化法(ESI)により測定した。なお、装置の設定は、脱溶媒ガス250℃、オリフィス1温度80℃、ニードル電圧2000V、リングレンズ電圧10V、オリフィス1電圧85V、オリフィス2電圧5Vとした。サンプル送液は、インフュージョン法で行い、流速30μl/minとした。“HR−MS(ESI):m/z 質量数(M+付加イオン)”と記載した。
【0038】
<CTZ誘導体1の合成>
3−ベンジル−5−ブロモピラジン−2−アミン(0.3mmol)、ジメチルアミノフェニルボロン酸(0.45mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0015mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、3−ベンジル−5−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ピラジン−2−アミン(73mg、0.24mmol、収率80%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化5】
【0039】
1H−NMR(500 MHz, クロロホルム−D):δ 8.31 (s, 1H), 7.84 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.24-7.32 (m, 5H), 6.80 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 4.30 (s, 2H), 4.16 (s, 2H), 2.99 (d, J = 4.6 Hz, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
19H
21N
4の計算値 [M+H]+:305.17662、実測値:305.17697
【0040】
3−ベンジル−5−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ピラジン−2−アミン(0.1mmol)、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジエトキシ−2−プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/H
2O=1/9−9/1)で分取し、8−ベンジル−6−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)−2−(4−ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(7H)−オン(CTZ誘導体1)(26mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化6】
【0041】
1H−NMR(500 MHz, メタノール−D3):δ 7.91 (s, 1H), 7.44 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.28-7.31 (m, 2H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.79 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.69 (dd, J = 8.9, 2.6 Hz, 2H), 4.40 (s, 2H), 4.06 (s, 2H), 2.97 (d, J = 12.0 Hz, 6H)
13C−NMR(126 MHz, メタノール−D3):δ 155.66, 151.51, 136.76, 129.47, 129.28, 128.45, 128.39, 127.26, 126.86, 114.85, 112.05, 105.63, 72.19, 60.92, 39.07
HR−MS(ESI): m/z C
28H
26N
4O
2Naの計算値 [M+Na]+:473.19534、実測値:473.19480
【0042】
<CTZ誘導体2の合成>
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMP)(3.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で、1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(3.0mmol)を加え、5分撹拌した。この反応混合溶液に、ビス[(ピナコラト)ボリル]メタン(3.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液を加え、5分撹拌した。続いて、この反応混合物を−78℃に冷却し、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド(2.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液をゆっくり加え、4時間撹拌した。その後、室温に昇温し、トルエンを加えて減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて分取し、(E)−N,N−ジメチル−4−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビニル)アニリン(268mg、0.98mmol、収率49%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化7】
【0043】
1H−NMR(500 MHz, クロロホルム−D):δ 7.36 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 17.8 Hz, 1H), 6.61 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 5.91 (d, J = 18.3 Hz, 1H), 2.91 (s, 6H), 1.28 (d, J = 3.7 Hz, 12H)
13C−NMR(126 MHz, クロロホルム−D):δ 151.05, 149.99, 128.49, 125.94, 112.04, 83.06, 40.34, 24.96
HR−MS(ESI): m/z C
16H
25BNO
2Naの計算値 [M+Na]+:274.19783、実測値:274.19916
【0044】
2−アミノ−3−ベンジル−5−ブロモピラジン(0.5mmol)、(E)−N,N−ジメチル−4−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビニル)アニリン(0.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0025mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、(E)−3−ベンジル−5−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン−2−アミン(140mg、0.42mmol、収率84%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化8】
【0045】
1H−NMR(500 MHz, クロロホルム−D):δ 7.99 (s, 1H), 7.45 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.42 (d, 16.0 Hz, 1H), 7.23-7.33 (m, 5H), 6.91 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.29 (s, 2H), 4.15 (s, 2H), 3.00 (s, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
21H
23N
4の計算値 [M+H]+:331.19227、実測値:331.19267
【0046】
(E)−3−ベンジル−5−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン−2−アミン(0.1mmol)、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジエトキシ−2−プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/H
2O=1/9−9/1)で分取し、(E)−8−ベンジル−6−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)−2−(4−ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(7H)−オン(CTZ誘導体2)(37mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化9】
【0047】
1H−NMR(500 MHz, メタノール−D3):δ 7.51 (s, 1H), 7.37 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 7.30 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.23 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.14 (t, J = 8.3 Hz, 3H), 6.68-6.73 (m, 5H), 4.40 (s, 2H), 4.04 (s, 2H), 2.97 (s, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
30H
28N
4O
2Naの計算値 [M+Na]+:499.21099、実測値:499.20943
【0048】
<CTZ誘導体3の合成>
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMP)(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.5mmol)を加え、5分撹拌した。この反応混合溶液に、ビス[(ピナコラト)ボリル]メタン(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液を加え、5分撹拌した。続いて、この反応混合物を−78℃に冷却し、4−ジメチルアミノシンナムアルデヒド(1.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液をゆっくり加え、4時間撹拌した。その後、室温に昇温し、トルエンを加えて減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて分取し、N,N−ジメチル−4−((1E,3E)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)アニリン(110mg、0.37mmol、収率37%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化10】
【0049】
1H−NMR(500 MHz, クロロホルム−D):δ 7.30 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.16 (dd, J = 9.0 Hz, 1H), 6.60-6.67 (m, 4H), 5.54 (d, J = 17.8 Hz, 1H), 5.25 (s, 1H), 2.94 (t, J = 4.6 Hz, 6H), 1.27 (dd, J = 26.3, 16.0 Hz, 13H)
13C−NMR(126 MHz, クロロホルム−D):δ 150.96, 150.56, 136.90, 128.22, 127.62, 126.52, 125.59, 125.10, 112.31, 83.13, 83.02, 53.56, 40.43, 25.07, 24.91
HR−MS(ESI): m/z C
18H
27BNO
2の計算値 [M+H]+:300.21348、実測値:300.21389
【0050】
2−アミノ−3−ベンジル−5−ブロモピラジン(0.2mmol)、N,N−ジメチル−4−((1E,3E)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)アニリン(0.24mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.001mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、3−ベンジル−5−((1E,3E)−4−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)ピラジン−2−アミン(61mg、0.17mmol、収率85%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化11】
【0051】
1H−NMR(500 MHz, クロロホルム−D):δ 7.90 (s, 1H), 7.23-7.35 (m, 8H), 6.80 (dd, J = 15.5, 10.9 Hz, 1H), 6.65-6.69 (m, 3H), 6.55 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.40 (s, 2H), 4.11 (s, 2H), 2.96 (s, 6H)
13C−NMR(126 MHz, クロロホルム−D):δ 151.25, 150.25, 142.05, 141.06, 139.05, 136.86, 134.38, 131.31, 129.10, 128.65, 127.76, 127.15, 126.38, 125.90, 124.92, 112.50, 41.43, 40.53
HR−MS(ESI): m/z C
23H
25N
4の計算値 [M+H]+:357.20792、実測値:357.20733
【0052】
3−ベンジル−5−((1E,3E)−4−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)ピラジン−2−アミン(0.1mmol)、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジエトキシ−2−プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/H
2O=1/9−9/1)で分取し、8−ベンジル−6−((1E,3E)−4−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)−2−(4−ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(7H)−オン(CTZ誘導体3)(20mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化12】
【0053】
1H−NMR(500 MHz, メタノール−D3):δ 7.47 (s, 1H), 7.36 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.27-7.33 (m, 4H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.02-7.09 (m, 1H), 6.77 (dd, J = 15.2, 10.6 Hz, 1H), 6.62-6.71 (m, 5H), 6.33 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.38 (s, 2H), 4.03 (s, 2H), 3.87 (d, J = 14.9 Hz, 0H), 2.95 (s, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
32H
30N
4O
2Naの計算値 [M+Na]+:525.22664、実測値:525.22449
【0054】
<CTZ誘導体4の合成>
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMP)(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.5mmol)を加え、5分撹拌した。この反応混合溶液に、ビス[(ピナコラト)ボリル]メタン(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液を加え、5分撹拌した。続いて、この反応混合物を−78℃に冷却し、(2E,4E)−5−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ペンタ−2,4−ジエナール(1.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液をゆっくり加え、4時間撹拌した。その後、室温に昇温し、トルエンを加えて減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて分取し、N,N−ジメチル−4−((1E,3E,5E)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)アニリン(68mg、0.21mmol、収率21%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化13】
【0055】
1H−NMR(500 MHz, クロロホルム−D):δ 7.31 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.09 (dd, J = 17.5, 10.6 Hz, 1H), 6.74-6.44 (comp., 5H), 6.34 (dd, J = 14.9, 10.9 Hz, 1H), 5.53 (d, J = 17.2 Hz, 1H), 2.98 (s, 6H), 1.28 (s, 12H)
HR−MS(ESI): m/z C
20H
29BNO
2の計算値 [M+H]+:326.2291、実測値:326.2297
【0056】
2−アミノ−3−ベンジル−5−ブロモピラジン(0.5mmol)、N,N−ジメチル−4−((1E,3E,5E)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)アニリン(0.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.002mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、3−ベンジル−5−((1E,3E,5E)−6−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)ピラジン−2−アミン(170mg、0.45mmol、収率89%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化14】
【0057】
1H−NMR(500 MHz, クロロホルム−D):δ 7.90 (s, 1H), 7.33-7.22 (comp., 8H), 6.73 (dd, 15.5, 10.9 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.61-6.41 (m, 4H), 4.48-4.35 (2H), 4.17-4.06 (2H), 2.96 (s, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
25H
27N
4の計算値 [M+H]+:383.2236、実測値:383.2229
【0058】
3−ベンジル−5−((1E,3E,5E)−6−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)ピラジン−2−アミン(0.05mmol)、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジエトキシ−2−プロパノン(0.1mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/H
2O=1/9−9/1)で分取し、8−ベンジル−6−((1E,3E,5E)−6−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)−2−(4−ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(7H)−オン(CTZ誘導体4)(21mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化15】
【0059】
1H−NMR(500 MHz, メタノール−D3):δ 7.47 (s, 1H), 7.27-7.37 (comp., 7H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.02-7.09 (m, 2H), 6.77 (dd, J = 15.2, 10.6 Hz, 1H), 6.62-6.71 (m, 6H), 6.33 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.38 (s, 2H), 4.03 (s, 2H), 2.95 (s, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
34H
33N
4O
2の計算値 [M+H]+:529.2604、実測値:529.2637、C
34H
32N
4O
2Naの計算値 [M+Na]+:551.2423、実測値:551.2409、C
34H
32N
4O
2Kの計算値[M+K]+:567.2162、実測値:567.2144
【0060】
<CTZ誘導体5の合成>
<CTZ誘導体2の合成>の項に記載の方法で、(E)−3−ベンジル−5−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン−2−アミンを得た。
(E)−3−ベンジル−5−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン−2−アミン(0.1mmol)、1−フェニル−3,3−ジエトキシ−2−プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/H
2O=1/9−9/1)で分取し、(E)−2,8−ジベンジル−6−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(7H)−オン(CTZ誘導体5)(37mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化16】
【0061】
1H−NMR(500 MHz, メタノール−D3):δ 7.15-7.40 (comp., 14H), 6.70-6.75 (comp., 3H), 4.40 (s, 2H), 4.15 (s, 2H), 2.96 (q, J = 2.9 Hz, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
30H
29N
4Oの計算値 [M+H]+:461.2341、実測値:461.2351
【0062】
<CTZ誘導体6の合成>
<CTZ誘導体3の合成>の項に記載の方法で、3−ベンジル−5−((1E,3E)−4−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)ピラジン−2−アミンを得た。
3−ベンジル−5−((1E,3E)−4−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)ピラジン−2−アミン(0.1mmol)、1−フェニル−3,3−ジエトキシ−2−プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/H
2O=1/9−9/1)で分取し、2,8−ジベンジル−6−((1E,3E)−4−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ−1,3−ジエン−1−イル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(7H)−オン(CTZ誘導体6)(20mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化17】
【0063】
1H−NMR(500 MHz, メタノール−D3):δ 7.18-7.36 (comp., 16H), 6.65-6.71 (comp., 3H), 4.36 (s, 2H), 4.12 (s, 2H), 2.94 (s, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
32H
31N
4Oの計算値 [M+H]+:487.2498、実測値:487.2504
【0064】
<CTZ誘導体7の合成>
<CTZ誘導体4の合成>の項に記載の方法で、3−ベンジル−5−((1E,3E,5E)−6−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)ピラジン−2−アミンを得た。
3−ベンジル−5−((1E,3E,5E)−6−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)ピラジン−2−アミン(0.05mmol)、1−フェニル−3,3−ジエトキシ−2−プロパノン(0.1mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/H
2O=1/9−9/1)で分取し、2,8−ジベンジル−6−((1E,3E,5E)−6−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(7H)−オン(CTZ誘導体7)(21mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化18】
【0065】
1H−NMR(500 MHz, メタノール−D3):δ 7.06-7.36 (comp., 18H), 6.61-6.73 (comp., 3H), 4.36 (s, 2H), 4.12 (s, 2H), 2.95 (s, 6H)
HR−MS(ESI): m/z C
34H
33N
4Oの計算値 [M+H]+:513.2654、実測値:513.2682
【0066】
<基質溶液の調製>
上記のようにして合成したCTZ誘導体を、メタノール(MeOH)に加え、2.5mMの基質溶液を調製した。また、比較のために、下記化学式:
【化19】
で表わされる天然型のセレンテラジン(天然型CTZ、Promega社製)を用いた基質溶液も調製した。
【0067】
<使用したルシフェラーゼ>
ルシフェラーゼ(酵素)としては、R−luc(Promega社製のベクター)、R−luc8(Stanford,Gambhir lab.製のベクター)、R−luc8.6_547(Stanford,Gambhir lab.製のベクター)を用いた。
【0068】
<ルシフェラーゼの調製>
哺乳細胞へのトランスフェクションは、HeLaS3細胞を用いた。D−MEM(低グルコース、含10%FBS、含1%ペニシリンストレプトマイシン、和光純薬工業)で培養したHela細胞を、80%コンフレントの状態でトランスフェクション試薬Polyethylenimine,Linear(MW25,000、Polysciences,Inc)と各種ルシフェラーゼが挿入されたDNA(0.3μg)を混合し、トランスフェクションを行った。
トランスフェクションから24時間後、細胞をトリプシン処理し、細胞剥離し、DMEM/F12(10%FBS、gibco)に懸濁した後、遠心分離を行い、上清を取り除いた後に、500μLのDMEM/F12で再度懸濁し、各種ルシフェラーゼ発現細胞として使用した。
【0069】
<発光測定法>
以下の方法で、発光系の発光強度と発光波長を測定した。
【0070】
(1)発光強度
発光強度の測定には、アトー株式会社製のルミノメーターAB−2280を用いた。
1.5mLのエッペンチューブに、作製したルシフェラーゼ発現細胞18μLと、2.5mMの基質溶液(MeOHで調製)2μLを混合し、その発光を20秒間測定し、その20秒間の積算値を発光強度とした。結果は、天然型CTZを使用した例の発光強度を基準とし、該基準に対する割合を百分率で表示した。天然型CTZ及びCTZ誘導体1〜3に対する結果を表1〜3に示す。
【0071】
(2)発光波長
発光波長の測定には、アトー株式会社製の微弱発光スペクトロメーターAB−1850を用いた。
200μLのPCRチューブに、作製したルシフェラーゼ発現細胞18μLと、2.5mMの基質溶液(MeOHで調製)2μLを混合し、その発光スペクトルとピーク波長を測定した。天然型CTZ及びCTZ誘導体1〜3に対する結果を表1〜3、
図1〜3に示す。また、CTZ誘導体4〜7に対する結果を表4に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
表1〜4及び
図1〜3から、本発明のセレンテラジン誘導体は、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能であり、海洋動物由来の発光系における発光基質として有用であることが分かる。