特開2018-165535(P2018-165535A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-165535(P2018-165535A)
(43)【公開日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】スライドレール
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/04 20060101AFI20180928BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20180928BHJP
   F16C 41/04 20060101ALI20180928BHJP
【FI】
   F16C29/04
   A63F7/02 304D
   F16C41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-63055(P2017-63055)
(22)【出願日】2017年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】595112915
【氏名又は名称】株式会社ヤマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠勉
【テーマコード(参考)】
2C088
3J104
3J217
【Fターム(参考)】
2C088EB78
3J104AA13
3J104AA19
3J104AA23
3J104AA34
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA12
3J104BA69
3J104BA80
3J104CA32
3J104DA06
3J104DA20
3J217JC03
3J217JC10
(57)【要約】
【課題】 ベアリング機構の転がり抵抗を過度に高めることなく、リテーナの位置ずれ、特に輸送中の位置ずれを抑制できる可動演出部材用のスライドレールの提供。
【解決手段】 ベースレールに対向して組み合わせられてスライド移動する可動レールを備えたスライドレールである。ベースレールと可動レールとの対向面間にベアリング鋼球を挟み込ませ、ベアリング鋼球をベースレールに対して可動レールのスライド軸に沿ってスライド移動させた長さの半分の距離だけ移動させつつ回転させて、可動レールをスライド軸に沿って往復スライド移動させるベアリング機構を含み、ベアリング機構は、ベアリング鋼球を複数含み、これらをスライド軸に沿って一列に配置させ且つ互いの距離を一定に保持するリテーナを含む。ベアリング鋼球の移動区間内にベアリング鋼球を吸引する磁石を固定配置しベアリング鋼球をベースレール及び/又は可動レールに付勢することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースレールに対向して組み合わせられてスライド移動する可動レールを備えたスライドレールであって、
前記ベースレールと前記可動レールとの対向面間にベアリング鋼球を挟み込ませ、前記ベアリング鋼球を前記ベースレールに対して前記可動レールのスライド軸に沿ってスライド移動させた長さの半分の距離だけ移動させつつ回転させて、前記可動レールを前記スライド軸に沿って往復スライド移動させるベアリング機構を含み、
前記ベアリング機構は、前記ベアリング鋼球を複数含み、これらを前記スライド軸に沿って一列に配置させ且つ互いの距離を一定に保持するリテーナを含み、前記ベアリング鋼球の移動区間内に前記ベアリング鋼球を吸引する磁石を固定配置し前記ベアリング鋼球を前記ベースレール及び/又は前記可動レールに付勢することを特徴とするスライドレール。
【請求項2】
前記磁石は前記ベースレール又は前記可動レールの外表面のうち前記鋼球を挟み込んだ面の背面に近接して固定配置されることを特徴とする請求項1記載のスライドレール。
【請求項3】
前記磁石は、前記移動区間内を移動する前記ベアリング鋼球のうちの少なくとも一部が常に正対するように固定配置されることを特徴とする請求項2記載のスライドレール。
【請求項4】
前記磁石は永久磁石であることを特徴とする請求項2又は3に記載のスライドレール。
【請求項5】
前記永久磁石は、前記ベアリング鋼球を吸引する側の面全体を同一の極とするよう着磁されていることを特徴とする請求項4記載のスライドレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部材を平行移動させるための支持を与えるスライドレールに関し、特に複数の鋼球をリテーナで保持したベアリングを用いたスライドレールに関する。
【背景技術】
【0002】
可動部材を平行移動させるための支持部材としてスライドレールが用いられている。かかるスライドレールのうち、固定側のベースレールと移動側の可動レールとの間にベアリングを介在させたものがある。ベースレールと可動レールとの相対移動に対応してベアリング鋼球を所定量だけ回転(転動)させてベースレールに対して可動レールをスムーズに相対移動させ、大きなストロークを小さなスライド抵抗で得られるのである。このようなスライドレールは、コンパクトなスペースにありながら大きな平行移動を安定的に高速で得られるようにする遊技機内部の機構物にも多く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、直線往復移動の演出動作を与え得る遊技機の演出機構に用いられるスライドレールにおいて、ベアリングを介在させてスライド抵抗を小さくして高速移動動作を与え得ることについて述べている。スライドレールのベースレール側は遊技機本体に固定されるとともに、ベアリングを介して取り付けられた可動レール上に演出物が与えられる。演出物は、左右に揺動する作動アームの揺動端部に取り付けられて、ベースレールに対して直線往復移動させられる。これによれば、作動アームの回転駆動トルクが小さくとも、演出物を素早く安定して直線往復移動させ得るのである。
【0004】
ところで、ベアリング鋼球はベースレール及び可動レールに挟持されて両レールのそれぞれに対して転動し、その回転量と両レールの相対的なストローク量とが一定関係にある。すなわち、ベースレールに対しベアリング鋼球は、該ベースレールに対し可動レールの移動したストローク量の半分だけ移動することになる。一方、ベアリング鋼球を複数用いてリテーナに収容し1個あたりのベアリング鋼球への圧力を分散させて滑らかに回転させようとすることも広く行われているが、ベアリング鋼球への圧力が小さくなってリテーナごとベースレール及び可動レールに対して位置ずれを生じさせ易くなる。かかるリテーナの位置ずれが生じた場合であっても、可動レールを強制的にスライドさせれば端部のストッパにより該リテーナの位置を元に戻すことができる。しかしながら、可動レールの駆動力が小さいとこれはできない。
【0005】
特許文献2では、このようなリテーナの位置ずれを抑制するスライドレールとして、リテーナにゴムの円筒状体からなる補助転動体を回転自在に軸支させ、該補助転動体をベースレールと可動レールとの間で挟持させる機構を開示している。補助転動体によってリテーナの両レールに対する滑り抵抗を得られて位置ずれを抑制するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−059477号公報
【特許文献2】特開2016−098863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リテーナの位置ずれは、ベアリング鋼球等の転動体とベースレール及び/又は可動レールとの間に滑り抵抗を与えれば抑制可能だが、スライドレールを高速で平行移動させる上では転がり抵抗の過度の増大は好ましくない。
【0008】
更に、上記したリテーナの位置ずれは、スライドレールを取り付けた製品の輸送中に起こりやすい。つまり、可動レールをそのストロークの端部に位置させた場合にはストッパが当接してリテーナは移動できないが、ストロークの中間部に可動レールが位置した状態では輸送中の振動によってリテーナが滑り落ちて位置ずれを生じさせてしまうのである。かかる輸送中の位置ずれも、上記した特許文献2のような補助転動体での抑制を可能とするが、ゴムによって滑り抵抗を与えると、その大きな転がり抵抗係数によって転がり抵抗が過度に大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ベアリング機構の転がり抵抗を過度に高めることなく、リテーナの位置ずれ、特に、輸送中の位置ずれを抑制できるスライドレールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるスライドレールは、ベースレールに対向して組み合わせられてスライド移動する可動レールを備えたスライドレールであって、前記ベースレールと前記可動レールとの対向面間にベアリング鋼球を挟み込ませ、前記ベアリング鋼球を前記ベースレールに対して前記可動レールのスライド軸に沿ってスライド移動させた長さの半分の距離だけ移動させつつ回転させて、前記可動レールを前記スライド軸に沿って往復スライド移動させるベアリング機構を含み、前記ベアリング機構は、前記ベアリング鋼球を複数含み、これらを前記スライド軸に沿って一列に配置させ且つ互いの距離を一定に保持するリテーナを含み、前記ベアリング鋼球の移動区間内に前記ベアリング鋼球を吸引する磁石を固定配置し前記ベアリング鋼球を前記ベースレール及び/又は前記可動レールに付勢することを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、複数のベアリング鋼球の滑り抵抗を磁石の吸引によって高めて、転がり抵抗を過度に高くすることなくリテーナの位置ずれ、特に輸送中のリテーナの位置ずれを抑制することができる。
【0012】
上記した発明において、前記磁石は前記ベースレール又は前記可動レールの外表面のうち前記鋼球を挟み込んだ面の背面に近接して固定配置されることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、簡単にベアリング鋼球の滑り抵抗を高めてリテーナの位置ずれを抑制できる。
【0013】
上記した発明において、前記磁石は、前記移動区間内を移動する前記ベアリング鋼球のうちの少なくとも一部が常に正対するように固定配置されることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、移動区間内のどこに移動してもベアリング鋼球を確実に吸引することができる。
【0014】
上記した発明において、前記磁石は永久磁石であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、簡単にベアリング鋼球を吸引することができる。
【0015】
上記した発明において、前記永久磁石は、前記ベアリング鋼球を吸引する側の面全体を同一の極とするよう着磁されていることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、移動区間内で移動するベアリング鋼球を安定して吸引し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による1つの実施例におけるスライドレールの断面図である。
図2】スライドレールの斜視図である。
図3】スライドレールの要部の平面図である。
図4】本発明による他の実施例におけるスライドレールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例1]
本発明による1つの実施例としてのスライドレールについて、図1乃至図3を用いて説明する。
【0018】
図1に示すように、スライドレール10は、固定側の取付面6に背面を固定されるベースレールであるアウターレール1と、これに対してスライド軸Lに沿ってスライド移動可能な可動レールであるインナーレール2と、アウターレール1とインナーレール2との間に挟み込まれてスライド軸Lに沿って複数並んで配置される鋼球3と、鋼球3の複数の互いの間隔を一定に保つように保持するリテーナ4とを含む。インナーレール2の背面は、可動側の取付面7に固定される。
【0019】
アウターレール1は、断面略「コ」字状のレール部材であり、その両内側面にスライド軸Lに沿って延びる転動溝11を備える。また、インナーレール2も断面略「コ」字状のレール部材であり、その両外側面をアウターレール1の両内側面に対向配置させるよう、アウターレール1の内側の位置に配置される。また、その両外側面にはスライド軸Lに沿って延びる転動溝21を備える。転動溝11及び21の間には鋼球3が挟持されて、転動溝11及び21に沿って、つまりスライド軸Lに沿って転動可能である。上記したように、複数の鋼球3はスライド軸Lに沿って一列に並んでおり、それぞれがリテーナ4によって互いの間隔を一定に保たれるように保持されている。また、リテーナ4は、アウターレール1の両側面に備えられる2つの転動溝21上に並べられた2列の鋼球3を1つの部材で保持するよう、アウターレール1及びインナーレール2の間を幅方向に延びて折り曲げられた板状体であり、鋼球3を保持する複数の孔を備えている。
【0020】
これにより、リテーナ4及び複数の鋼球3は、ベアリング機構となってアウターレール1に対してインナーレール2をスライド軸Lに沿って往復スライド移動させることができるとともに、スライド軸Lに沿った方向以外の方向への移動を制限するようにインナーレール2をアウターレール1に組み合わせている。
【0021】
アウターレール1の外側面には鋼球3を吸引するように磁石5が配置されている。すなわち、磁石5は、鋼球3を挟持する転動溝11の背面に近接して配置される。このとき磁石5はアウターレール1の外側面及び/又は固定側の取付面6に固定される。磁石5の詳細については後述する。
【0022】
図2を併せて参照すると、アウターレール1は、その底面に孔12を複数設けられており、これにより取付面6にねじなどで固定される。同様に、インナーレール2の底面にも孔22が複数設けられて取付面7への固定を可能とされている。
【0023】
アウターレール1は、紙面右上側の端部に底面から立ち上がる突出片13を備え、同端部から先へのインナーレール2の移動を規制するストッパとしている。また、突出片13から離間した位置に、底面から突出する突部14を備え、突部14から右上側へのリテーナ4の移動を規制するストッパとしている。また、アウターレール1の紙面左下側の端部には突出片15を備え、リテーナ4の左下方向への移動を規制するストッパとしている。同様に、インナーレール2の紙面右上側端部にもリテーナ4の右上方向への移動を規制する(リテーナ4に対してインナーレール2の左下方向への移動を規制される)突出片25(特に図1参照)が設けられ、インナーレール2の左下側端部から離間した位置にも図示しないストッパが形成されてインナーレール2に対するリテーナ4の左下方向への移動を規制する。
【0024】
上記したようにスライドレール10は、アウターレール1に対してインナーレール2をスライド軸Lに沿ってスライド移動させ得る。このとき、鋼球3は転動溝11及び転動溝21に沿って転動する。つまり、鋼球3は転動した外周の距離に対応した回転角で回転し、同回転によってその中心からアウターレール1及びインナーレール2をそれぞれ等距離ずつ離間又は近接させる。つまり、鋼球3は、アウターレール1に対するインナーレール2の移動した距離(ストローク)の半分の距離だけアウターレール1に対して移動する。また、リテーナ―4も保持する鋼球3とともに移動するから、アウターレール1に対してインナーレール2のストロークの半分の距離で移動する。
【0025】
上記したストッパによってリテーナ4はその移動範囲を限られ、鋼球3の転動によって上記したインナーレール2のストロークに対して一定の移動割合で移動する。その結果、リテーナ4に保持された鋼球3は、図2(a)に示したインナーレール2を最も長く引き出した状態での位置aから、図2(b)に示した最も短くするよう収容した状態での位置bまでの移動区間の間で移動する。位置aは、リテーナ4がアウターレール1の突出片15及びインナーレール2の突出片25に両端を当接させて挟まれたときの複数の鋼球3の位置である。位置bは、インナーレール2が突出片13に当接して移動が規制されるとともに、リテーナ4を上記した突部14と上記した図示しないストッパとの間に配置させた、位置aよりも紙面右上方向に移動したときの複数の鋼球3の位置である。つまり、リテーナ4に保持された鋼球3は位置a及び位置bを連結した移動区間c内において移動する。
【0026】
そして、磁石5は移動区間c内に配置され、上記したようにアウターレール1の外側面及び/又は固定側の取付面6に固定される。これによって、鋼球3は移動区間c内の磁石5に吸引される。
【0027】
ここで、スライド軸を鉛直方向などの水平以外の方向に向けてスライドレールを取り付けた製品を輸送したとする。この場合、重力によってリテーナをスライド軸に沿った下方向に滑らせようとする力が働く。輸送中に可動レールをベースレールに対して固定していても、リテーナの下方にストッパの当接していない状況であれば、振動などをきっかけとしてリテーナの移動、すなわちリテーナの位置ずれを生じることがある。
【0028】
これに対し、スライドレール10によれば、移動区間c内の磁石5によって鋼球3を吸引しているので、例えば転動溝11又は21に対して鋼球3を付勢し、滑り抵抗を増大させて、アウターレール1及びインナーレール2に対する鋼球3及びリテーナ4の位置ずれを抑制できる。特に、上記したようなリテーナ4の輸送中の位置ずれを抑制することができる。磁石5は、電磁石でもよいが、簡易にスライドレール10を得るために永久磁石とすることが好ましく、ここでは永久磁石とする。なお、上記した滑り抵抗の増大に伴い転がり抵抗も増大するが、これについては、アウターレール1及びインナーレール2の高速な平行移動を阻害することのないように適度に増大させることが好ましく、磁石5に着磁される磁力や磁石5の配置によって適宜調整できる。
【0029】
また、磁石5は、スライドレール10内に配置することもできるが、内部構造を変える必要の生じる場合がある。そこで、磁石5はスライドレール10の外側のうち、鋼球3を吸引しやすい位置に配置される。つまり、鋼球3を挟み込んだ面の背面に近接して固定配置することが好ましい。スライドレール10においては、鋼球3を挟み込んだ背面であるアウターレール1の外側面に近接するよう、アウターレール1の側部に配置するのである。この場合、スライドレール10の内部構造を変えることなく磁石5を固定配置できる。また、取付面6及び7との間に磁石5を配置する十分な間隙さえ設けられていればよく、単純な構造とできる。
【0030】
特に、磁石5は、スライド軸Lに沿った方向に所定の長さを有して上記した位置a及び位置bの両者に跨って配置され、移動区間c内を移動する鋼球3のうちの少なくとも一部を常に正対させること(図2参照)が好ましい。これによれば、移動区間cのどの位置にリテーナ4に保持される複数の鋼球3があっても磁石5によって確実に吸引させることができる。
【0031】
また、図3に示すように、磁石5は鋼球3を吸引する側の面であるアウターレール1側に向いた面の全体を同一の極とするように着磁されていることが好ましい。これによれば、製品の稼働時など、可動レールであるインナーレール2の移動に伴ってリテーナ4を移動させるときにその移動を阻害しないよう、安定して鋼球3を吸引し続けることができる。また、鋼球3を吸引して、転動溝11に付勢するため、少なくとも転動溝11に対する摩擦力を高めて鋼球3の空回りの発生を抑制でき、インナーレール2の動作に伴うリテーナ4の位置ずれ、すなわち輸送中ではなく稼働中の位置ずれも抑制できる。磁石5を長くして移動区間cの全体に亘って配置するようにしてもよい。
【0032】
なお、レールについては固定側と可動側とを入れ替えて配置することもできる。すなわち、インナーレール2をベースレールとして固定側の取付面6に固定し、アウターレール1を可動レールとして可動側の取付面7に固定するのである。その場合、磁石5はアウターレール1の側面に対して間隙を有するように配置してアウターレール1の可動を確保し、固定側の取付面6に固定される。なお、可動側の取付面7を固定側と考えて、相対的に取付面6を可動側と考えて磁石を固定配置してもよい。
【0033】
[実施例2]
次に、本発明による他の実施例としてのスライドレールについて、図4を用いて説明する。
【0034】
スライドレール20は、いわゆる3段引きのスライドレールであって、2つのアウターレール1a及び1bとその間に挟まれて配置される中間レール2’とを含む。中間レール2’は、上記したスライドレール10のインナーレール2を裏返して上下に重ねた形状、すなわち略「H」字状の断面を有し、アウターレール1a及び1b両者の両内側面に対向する外側面の4か所に転動溝21を備える。アウターレール1a及び1bには、スライドレール10と同様に転動溝11が備えられ、中間レール2’の転動溝21とそれぞれ対向する。転動溝11及び転動溝21の間にはスライド軸Lに沿って複数並んで配置される鋼球3が挟持され、リテーナ4a及び4bによって保持される。リテーナ4a及び4bは、それぞれアウターレール1a及び1bと中間レール2’との間に配置される。
【0035】
さらに、リテーナ4aの移動を規制する突部25’やリテーナ4bの移動を規制する突片15などが備えられるが、3段引きのスライドレール20についてのその他の内部構造は公知なので説明を省略する。
【0036】
アウターレール1aの側部には、上記したスライドレール10と同様に磁石5aが固定配置される。また、アウターレール1bの側部にも磁石5bが固定配置される。このとき、磁石5aと5bとは互いに磁力による干渉を小さくするよう斜向いに配置されることが好ましい。また、図示を省略するが、磁石5a及び5bはそれぞれリテーナ4a及び4bのそれぞれに保持される鋼球3の移動区間内にあり、リテーナ4a及び4bに保持される鋼球3を吸引するよう備えられる。
【0037】
スライドレール20によっても、例えば転動溝11に対する鋼球3の滑り抵抗を増大させるなどして、リテーナ4a及び4bの位置ずれ、特に輸送中の位置ずれを抑制することができる。このとき、転がり抵抗の抵抗係数は不変であり、転がり抵抗を過度に増大させることがない。
【0038】
以上のスライドレール10やスライドレール20は、特に輸送中のリテーナの位置ずれを抑制できて、小さな駆動力しか加えられない製品などに好適に用い得る。例えば、弾球遊技機や回胴式遊技機などの可動演出部材の支持部材として用い得る。
【0039】
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく改変例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した請求項の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0040】
1 アウターレール
2 インナーレール
3 鋼球(ベアリング鋼球)
4 リテーナ
5 磁石
10 スライドレール
図1
図2
図3
図4