【解決手段】余剰沸上制御部40は、翌日における高余剰電力期間の累積値が所定のしきい値であるか否かに基づき、前記累積値がしきい値以上の場合には昼間沸上運転を行うと共に、前記累積値がしきい値未満の場合には前記昼間沸上運転を行わないように、ヒートポンプ装置19の制御を切り替える。これにより、高余剰電力期間の途中で、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値未満となる期間が挟まったとしても、その前後の、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる期間の累積値が前記しきい値以上となったことで前記昼間沸上運転を行うように切り替えられるので、昼間沸上運転しない無駄が生じるのを防止できる。
湯水を貯湯する貯湯タンク、及び、前記湯水の加熱を行う加熱手段を備え、太陽光発電装置と連携しつつ、前記加熱手段が前記貯湯タンク内の湯水を加熱する沸上運転を行う太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置において、
前記太陽光発電装置の発電電力予測値に基づく、特定期間における余剰電力予測値を取得する余剰電力取得手段と、
前記特定期間における、前記貯湯式給湯装置の消費する装置消費電力予測値を決定する装置消費電力予測手段と、
前記特定期間における、前記余剰電力予測値が前記装置消費電力予測値以上となる期間の累積値に基づき、前記太陽光発電装置からの電力により前記沸上運転を行うように前記加熱手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の一実施の形態を
図1〜
図9に基づいて説明する。
【0022】
本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システムのシステム構成を
図1に示す。なお、
図1においては、図示の煩雑防止のために、後述する信号授受のうち一部は図示省略している。
図1において、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、図示しない家屋等の建造物(特定の電力消費設備に相当)に設置されたヒートポンプ式の貯湯式給湯装置1(太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置に相当)と、商用電源49に接続された分電盤2と、前記家屋の屋根等に設置された太陽光発電パネル4、及び、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換するインバータ5を備えた太陽光発電装置3と、前記貯湯式給湯装置1以外の他の負荷を構成する、例えばエアコン等からなる電気負荷機器6(
図1中では単に「エアコン」と図示)と、前記家屋の家庭内の電力マネジメントを行うためのHEMS(=Home Energy Management System)機器7と、ネットワーク通信網8と、サーバ9とを有している。
【0023】
前記HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1及び太陽光発電装置3に双方向に通信可能(破線参照。以下同様)に接続されている。これにより、HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1の使用状況や太陽光発電装置3の発電電力情報や分電盤2の分岐回路ごとの消費電力量の情報を収集可能となっている。またHEMS機器7は、さらに前記ネットワーク通信網8を介し前記サーバ9に接続され、必要な情報を相互にやりとり可能となっている。なお、HEMS機器7が太陽光発電装置3との間の通信により前記発電電力情報を収集するのに代え、HEMS機器7が、分電盤2への発電電力の入力あるいは分電盤2と商用電源49との間の電力の授受を監視することで、太陽光発電装置3の発電電力情報を収集するようにしても良い。
【0024】
前記貯湯式給湯装置1は、リモコン装置50と、湯水を貯湯する貯湯タンク10と、前記貯湯タンク10の底部に給水する給水管11と、前記貯湯タンク10の頂部から出湯する出湯管12と、前記給水管11から分岐した給水バイパス管13と、前記出湯管12からの湯と前記給水バイパス管13からの水を、前記リモコン装置50によって設定された給湯設定温度になるように混合する混合弁14と、図示しない給湯端末に給湯する給湯管15と、給湯流量を検出し対応する検出信号を出力する給湯流量センサ16と、給湯温度を検出し対応する検出信号を出力する給湯温度センサ17と、前記貯湯タンク10内の湯水の貯湯温度を検出し対応する検出信号を出力する貯湯温度センサ18とを有している。前記貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置31へ出力するように構成されている。これにより、前記複数の貯湯温度センサ18のうち何個のセンサから前記検出信号が出力されているかに基づき、前記制御装置31は、前記貯湯タンク10内において十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出することができる。
【0025】
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、前記貯湯タンク10内の湯水を沸上目標温度に加熱するヒートポンプ装置19(加熱手段に相当)を有している。このヒートポンプ装置19は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する圧縮機20と、前記高温高圧の冷媒と前記貯湯タンク10からの水との熱交換を行う水冷媒熱交換器21と、前記水冷媒熱交換器21で熱交換後の冷媒を減圧膨張させる膨張弁22と、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる空気熱交換器23と、前記空気熱交換器23へ外気を送風する送風機24と、前記圧縮機20から吐出される前記冷媒の温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する吐出温度センサ25と、外気温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する外気温度センサ30とを備えている。
【0026】
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、貯湯式給湯装置1全体の作動を制御する前記制御装置31と、前記貯湯タンク10の下部と前記水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する加熱往き管26と、水冷媒熱交換器21の水側出口と前記貯湯タンク10の上部とを接続する加熱戻り管27と、前記加熱往き管26の途中に設けられた加熱循環ポンプ28と、前記加熱戻り管27に設けられ検出信号を前記制御装置31へ出力する沸上温度センサ29とを有している。なお、前記の加熱往き管26、加熱戻り管27、及び加熱循環ポンプ28により加熱循環回路が構成されている(以下適宜、単に「加熱循環回路26,27,28」という)。
【0027】
前記のように、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、太陽光発電装置3と、貯湯式給湯装置1とが備えられている。日照条件が良好な場合、前記太陽光発電装置3は、前記太陽光発電パネル4で太陽光を受光して発電を行うことができ、前記貯湯式給湯装置1は、この太陽光発電装置3で発電された電力を用いて、前記ヒートポンプ装置19が加熱循環回路26,27,28を介し貯湯タンク10内の湯水を加熱する沸上運転を行うことができる。このようにして太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う場合、少なくとも発電電力値がある程度大きい(詳細には、貯湯式給湯装置1に供給される電力値、すなわち、発電電力値から貯湯式給湯装置1を除く前記電気負荷機器6の消費する負荷使用電力値を差し引いた余剰電力値がある程度大きい。後述)必要がある。そこで、前記沸上運転を円滑に行うために、太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100には、前記HEMS機器7及び前記制御装置31に、
図2に示す各機能部が設けられている。
【0028】
すなわち、
図2に示すように、前記HEMS機器7には、気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、装置使用電力予測部32Dと、余剰電力予測部32Eとが設けられている。また前記制御装置31には、余剰沸上時間帯設定部33Aと、余剰沸上判定部33Bと、余剰沸上時間区分決定部33Cと、余剰沸上制御部40と、余剰沸上容量算出部37と、使用湯量学習部34と、必要熱量決定部35と、夜間沸上容量算出部36と、補正夜間沸上容量算出部38と、夜間沸上制御部39と、昼間沸増制御部42とが設けられている。また、これら各機能部の、HEMS機器7及び制御装置31における割り当て(配分)は、図示の例に限られず、例えばHEMS機器7と制御装置31との間の通信内容を充実化することで、HEMS機器7に設けられている前記の各機能部32A〜32Eのうち一部の機能を制御装置31に設けた構成としても良いし、逆に、制御装置31に設けられている前記の各機能部33A〜33C,34〜40,42のうちの一部の機能をHEMS機器7に設けた構成としても良い。
【0029】
前記気象情報取得部32Aは、例えばサーバ9から発せられる気象情報(例えば天気予報情報や日照時間情報等)を取得する。なお、サーバ9以外の適宜の箇所から公知情報としての気象情報を取得しても良い。
【0030】
前記発電電力予測部32Bは、太陽光発電装置3から取得済みの、過去所定期間において時間変動した単位時間ごとの発電電力量と、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報とに基づき、決定対象となる特定期間(この例では、例えば後述の
図6〜
図9に示すフローによる制御手順が実行される所望の日の翌日の1日間。以下適宜、単に「翌日」という)での、時間変動する前記太陽光発電装置3の発電電力挙動における単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
【0031】
前記負荷使用電力予測部32Cは、前記分電盤2から取得済みの、前記建造物におけるエアコン等の前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの消費電力量に基づき、前記翌日での、当該電気負荷機器6の単位時間ごとの消費電力を表す負荷使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む)を決定(算出)する。
【0032】
前記装置使用電力予測部32D(装置消費電力予測手段に相当)は、前記貯湯式給湯装置1から取得済みの、当該貯湯式給湯装置1の過去所定期間の単位時間ごとの消費電力量に基づき、前記翌日での当該貯湯式給湯装置1の単位時間ごとの消費電力を表す装置使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む。装置消費電力予測値に相当)を決定(算出)する。
【0033】
前記余剰電力予測部32E(余剰電力予測手段に相当)は、前記発電電力予測部32Bにより決定された前記発電電力予測値と、前記負荷使用電力予測部32Cにより決定された前記負荷使用電力予測値とに基づき(具体的には前記発電電力予測値から前記負荷使用電力予測値を差し引いて)、前記翌日での時間変動する余剰電力挙動における前記建造物における単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)する。
【0034】
前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記余剰電力予測部32Eで決定された前記翌日の単位時間ごとの余剰電力予測値と、前記装置使用電力予測部32Dで決定された前記翌日の単位時間ごとの装置使用電力予測値とに基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる、1つ又は複数(言い替えれば少なくとも1つ)の時間帯(沸上可能時間帯)を決定する。なお、この沸上可能時間帯が、余剰電力予測値が装置消費電力予測値以上となる期間に相当する。
【0035】
この少なくとも1つの沸上可能時間帯の決定の具体例を、
図3を用いて説明する。
図3は、横軸に「0:00」,「1:00」,・・,「23:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸をかつ縦軸に電力量[kWh]を取り、前記翌日における、前記太陽光発電装置3における発電電力量の予測値(発電電力予測部32Bにより予測)、前記電気負荷機器6における前記負荷使用電力予測値(負荷使用電力予測部32Cにより予測)、及び、前記貯湯式給湯装置1における前記装置使用電力予測値(装置使用電力予測部32Dにより予測)、の一例を概念的にそれぞれ表したグラフである。
【0036】
図3に示すように、この例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。すなわち、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量の予測値は、0:00〜6:00までほぼ0[kWh]で推移するが、日の出(6:00〜7:00の間)とともに徐々に上昇し、7:00では0.2[kWh]、8:00では1.0[kWh]、8:30で1.5[kWh]、となり、その後9:00で1.8[kWh]、10:00では2.5[kWh]、11:00での3.2[kWh]を経て、12:00における3.3[kWh]でピークを迎える。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、日の陰りとともに徐々に減少し、13:00では3.2[kWh]、14:00では2.5[kWh]となり、その後15:00で1.8[kWh]、15:30で1.5[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00での0.2[kWh]を経て、日の入り(17:00〜18:00の間)により18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。
【0037】
一方、図中の灰色の棒グラフで示すように、前記電気負荷機器6における負荷使用電力の予測値は、前記翌日の0:00〜24:00の間、終日、0.5[kWh]となっている。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」−「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力の予測値は、
図3に示すように、前記翌日の8:00で初めて0.5[kWh]が生じ、8:30で1.0[kWh]、9:00で1.3[kWh]、10:00で2.0[kWh]、11:00での2.7[kWh]を経て、12:00における2.8[kWh]で最大となる。その後、徐々に減少し、13:00では2.7[kWh]、14:00では2.0[kWh]、15:00で1.3[kWh]、15:30で1.0[kWh]、16:00で0.5[kWh]となる。
【0038】
以上のような余剰電力の時間変動に対し、この例では、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの装置使用電力の予測値は、単位時間あたり1[kWh]となっている。この結果、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる、前記余剰電力により前記貯湯式給湯装置1を運転可能な時間帯(沸上可能時間帯)として、8:30〜15:30までの時間帯を設定する。なお、
図3中には、一例として、実際に前記貯湯式給湯装置1の沸上運転が、前記沸上可能時間帯のうちの11:00〜14:00で実行予定とされた場合を並記して例示している(黒色棒グラフ参照)。
【0039】
以上のようにして、本実施形態では、気象情報取得部32Aが取得した前記翌日1日間の気象情報に対応して発電電力予測部32Bが太陽光発電装置3での発電電力値を決定し、それに基づいて余剰沸上時間帯設定部33Aが前記沸上運転を実行可能な発電電力値となる前記沸上可能時間帯を予測することができる。
【0040】
なお、
図3に示した例は、前記したように前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。これに対し、例えば前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が雨又は曇り等(太陽による日射がほとんどない)と予測された場合の例を
図4に示す。この場合、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量の予測値は、0:00〜8:00までほぼ0[kWh]で推移し、日の出に伴ってわずかに上昇するが、9:00で0.1[kWh]、10:00では0.3[kWh]、11:00で0.5[kWh]、12:00での0.6[kWh]を経た後の13:00におけるピークでも0.7[kWh]程度に留まる。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、14:00で0.6[kWh]、15:00で0.5[kWh]、16:00では0.3[kWh]、17:00で0.1[kWh]となり、18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」−「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力の予測値は、
図4に示すように、前記翌日の12:00〜14:00までの間でわずかに生じる程度であり、その最大値も0.2[kWh]程度に留まる。このような場合、前記余剰沸上時間帯設定部33Aでは、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる前記沸上可能時間帯を設定することができない。結果として、
図4中に示すように、前記貯湯式給湯装置1の沸上運転は、(太陽光発電による電力を用いず)上記商用電源49からの給電により、通常通り、電力料金単価が安価な夜間帯(この例では23:00〜7:00)に実行予定とされる(詳細は後述)。
【0041】
ところで、翌日の昼間帯における沸上運転を実行する場合には、当該昼間帯での沸上運転(以下適宜、昼間沸上運転という)による沸上量の分、所望日〜前記翌日にわたる前記夜間帯に通常の手法(システム外から電力購入して使用)により実行される沸上運転(以下適宜、夜間沸上運転という)による沸上量を減らし、コスト低減を図ることができる。
【0042】
したがって、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる期間(以下適宜、「高余剰電力期間」という。前記沸上可能時間帯の期間)が少しでもあれば、当該昼間沸上運転を行うことにして、当該昼間沸上運転による沸上量分の沸上を前記夜間沸上運転から減らすことが考えられる。しかしながら、あまりにも短い時間で昼間沸上運転を行うようにすると、かえって非効率となる場合がある。
【0043】
これを回避するために、前記高余剰電力期間がある程度連続する(例えば所定のしきい値以上となる)場合に限定して、当該昼間沸上運転を行うことが考えられる。しかしながらこの場合も、比較的長く連続する前記高余剰電力期間の途中で、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値未満となる期間が少しでも挟まると、(実際には前記電力購入の低減によりコスト低減を図れる可能性があるにもかかわらず)昼間沸上運転しない無駄が生じる場合がある。
【0044】
そこで、本実施形態によれば、前記
図2に示すように、余剰沸上判定部33Bと、余剰沸上時間区分決定部33Cとが設けられる。前記余剰沸上判定部33B(判定手段に相当)は、所望日から前記翌日にわたる所定の夜間帯の開始時刻までの間の所定のタイミング(例えば夜間帯の開始時刻)において、前記翌日における、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる期間(沸上可能時間帯の期間。高余剰電力期間)の累積値に基づき、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うか否かを判定する。このとき、複数の高余剰電力期間(複数の時間区分に相当)が決定されている場合には、前記余剰沸上判定部33Bは、前記複数の高余剰電力期間それぞれの前記累積値に基づいて判定する。具体的には、余剰沸上判定部33Bは、前記累積値が予め決定してある所定のしきい値(例えば3時間)以上であるか否かに基づき、前記累積値がしきい値以上の場合には前記昼間沸上運転を行うと判定し、前記累積値がしきい値未満の場合には前記昼間沸上運転を行わないと判定する。
【0045】
そして、余剰沸上時間区分決定部33Cは、前記余剰沸上判定部33Bにより前記昼間沸上運転を行うと判定された場合には、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより決定された前記少なくとも1つの沸上可能時間帯を包含する時間帯のうちから、その時間帯において前記沸上運転を行える時間長さが予め決定してある所定値(例えば3時間)以上となる時間区分を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により貯湯式給湯装置1が前記沸上運転を行うべき沸上時間区分として決定する。このような前記時間区分の決定の具体例を、
図5を用いて説明する。
【0046】
図5において、前記
図3等と同様、横軸に(前記所望日の)「23時」、(前記翌日の)「0時」、「1時」、・・、「21時」、「22時」のように時刻が刻まれる時間軸を取り、縦軸には電力量[Wh]を取って、前記貯湯式給湯装置1における前記余剰電力予測値(余剰電力予測部32Eにより予測)、及び、前記装置使用電力予測値(装置使用電力予測部32Dにより予測)の、時間変動の例が示されている。「太陽光発電装置3における発電電力予測値」−「電気負荷機器6における負荷使用電力予測値」で表される前記余剰電力予測値において、図中のプラス側の電力量は前記発電電力予測値が前記負荷使用電力予測値よりも大きい場合を表し、図中のマイナス側の電力量は前記発電電力予測値が前記負荷使用電力予測値よりも小さい場合を表している。
【0047】
図5に示す例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日の日の出直後の早朝から夕方まで晴れとなる一方、その間に一時的な曇り又は雨が生じると予測された場合の例(前記
図3、
図4に示した例とは異なる別の例)である。この場合、図中の棒グラフで示すように、前記余剰電力予測値は、前記所望日の23:00で−1000[Wh]となった後、前記翌日の0:00で−2000[Wh]、1:00で−500[Wh]、2:00で−500[Wh]、3:00で−1000[Wh]、4:00で−1000[Wh]、といずれもマイナス側の値で推移する。
【0048】
その後、前記のように日の出直後の晴天により前記余剰電力予測値は急上昇し、5:00で1000[Wh]、6:00で1500[Wh]、7:00で(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を上回る)2500[Wh]、8:00で3000[Wh]となってピークを迎える。
【0049】
しかしながら、一時的な曇り又は雨等により前記余剰電力予測値は急激に減少し、9:00において(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を下回る)1500[Wh]となる。その後、天候の回復等により前記余剰電力予測値は急激に上昇し、10:00において(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を上回る)2500[Wh]となる。
【0050】
そして、再び一時的な曇り又は雨等により前記余剰電力予測値は急激に減少し、11:00において(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を下回る)1500[Wh]となる。その後、天候の回復等により前記余剰電力予測値は急激に上昇し、12:00において(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を上回る)2000[Wh]となる。
【0051】
そして、時間の経過とともに前記余剰電力予測値は緩やかに減少し、13:00で1800[Wh]、14:00で(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を下回る)1200[Wh]、15:00で800[Wh]となる。
【0052】
その後は主に前記電気負荷機器6の使用に伴う負荷使用電力予測値の増大により前記余剰電力予測値はさらに減少し、16:00には−1000[Wh]、17:00には−2000[Wh]、18:00及び19:00には−3000[Wh]まで低下する。その後、主に前記電気負荷機器6の使用減少によって余剰電力予測値は若干増大し、20:00、21:00に−2000[Wh]、22:00に−1000[Wh]となっている。
【0053】
この
図5に示すような挙動となる場合、太陽光発電装置3での発電電力による沸上運転が実行可能となる、前述した「余剰電力予測値」≧「装置使用電力予測値」となる沸上可能時間帯は、6:30頃〜8:30頃、9:30頃〜10:30頃、11:30頃〜13:30頃の3つの時間帯となる(
図5中太枠破線部参照)。このように、前記高余剰電力期間の途中で前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値未満となる期間が挟まる場合(言い換えると前記高余剰電力期間が連続しない場合)に、前述のように、前記高余剰電力期間がある程度連続する(例えば3時間以上となる)場合に限定して、当該昼間沸上運転を行うようにした場合、実際には前記電力購入の低減によりコスト低減を図れる可能性があるにもかかわらず、昼間沸上運転しない無駄が生じる可能性がある。
【0054】
そこで本実施形態においては、前記余剰沸上判定部33Bにより、前記3つの時間帯それぞれの期間の累積値(
図5に示す例では5時間)を算出し、当該累積値が予め決定してある所定のしきい値(例えば3時間)以上である場合には前記昼間沸上運転を行うと判定する。そして、前記余剰沸上時間区分決定部33Cにより、前記3つの時間帯を包含する時間帯、すなわち6:30〜13:30までの時間帯のうちから、前記沸上運転を連続して行える時間長さが所定値(この例では3時間)となる時間区分が、沸上運転を行うべき前記沸上時間区分に決定される。
【0055】
6:30〜13:30までの時間帯においては、時間長さが3時間となる時間区分は、6:30〜9:30、7:30〜10:30、8:30〜11:30、9:30〜12:30、10:30〜13:30の5つの時間区分が考えられるが、
図5に示す例では、例えば時間区分内の余剰電力予測値の合計が比較的大きくなる6:30〜9:30が前記沸上時間区分に決定されている。なお、沸上時間区分の決定条件はこれに限らず、例えばヒートポンプ装置19のエネルギー消費効率(COP)が比較的高くなる時間区分を前記沸上時間区分としてもよい。
【0056】
以上のようにして、高余剰電力期間の途中で前記余剰電力予測値が前記装置消費電力予測値未満となる期間が挟まったとしても、その前後の、前記余剰電力予測値が前記装置消費電力予測値以上となる期間の累積値が前記しきい値以上となったことで、前記昼間沸上運転を行うように切り替えられるので、前記のような無駄が生じるのを防止することができる。以上の結果、翌日の前記昼間沸上運転の沸上量に応じて、夜間帯における沸上量を少なくすることができるので、前記夜間沸上運転時の電力購入量を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。なお、前記余剰電力予測値が前記装置消費電力予測値未満となる期間では、買電量が生じることとなるが、その期間においても余剰電力値はゼロではなく、買電量は比較的少なく済む(買電量=装置使用電力値−余剰電力値)ため、コスト低減効果を確保できる。
【0057】
その後、前記のようにして余剰沸上時間区分決定部33Cにより決定された前記沸上時間区分は、前記余剰沸上容量算出部37へと出力される。余剰沸上容量算出部37は、前記余剰沸上時間区分決定部33Cにより決定された前記沸上時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が予め定められた沸上目標温度まで沸き上げることのできる余剰沸上容量を算出する。この算出された余剰沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。なお、前記余剰沸上判定部33Bにより前記昼間沸上運転を行わないと判定された場合には、前記余剰沸上容量算出部37による余剰沸上容量の算出は行われない。
【0058】
一方このとき、前記使用湯量学習部34には、前記給湯流量センサ16からの検出信号(前記給湯湯量を表す)と、前記給湯温度センサ17の検出信号(前記給湯温度を表す)と、給水温度センサ(図示せず)の検出信号(給水温度を表す)とが入力される。使用湯量学習部34は、入力された前記給湯湯量を、前記給湯温度に対応させつつ所定温度(例えば43[℃])の使用湯量に換算し、過去所定期間の日毎の学習湯量として学習する。
【0059】
前記必要熱量決定部35は、前記使用湯量学習部34によって学習された前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、前記翌日における必要熱量を決定する。
【0060】
前記夜間沸上容量算出部36は、前記必要熱量決定部35によって決定された前記翌日における必要熱量を前記沸上目標温度と給水温度との温度差で除して、必要容量を算出し、(後述の余剰沸上容量を用いた補正前の)夜間沸上容量とする。このようにして算出された夜間沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
【0061】
前記補正夜間沸上容量算出部38は、前記のようにして前記夜間沸上容量算出部36により算出された夜間沸上容量(言い替えれば前記翌日の一日間において必要な湯水の量に対応した沸上容量)から、前記のようにして前記余剰沸上容量算出部37により算出された余剰沸上容量(言い替えれば前記翌日のうち前記沸上時間区分において沸き上げる湯水の量に対応した沸上容量)を差し引いて、(前記翌日の昼間に余剰電力により沸上できない分に相当する)補正夜間沸上容量を算出する。この補正夜間沸上容量は、前記夜間沸上制御部39へ出力される。なお、前記余剰沸上判定部33Bにより前記昼間沸上運転を行わないと判定された場合には、前記補正夜間沸上容量算出部38による補正夜間沸上容量の算出は行われず、前記夜間沸上容量算出部36により算出された夜間沸上容量が前記夜間沸上制御部39へと出力される。
【0062】
前記夜間沸上制御部39は、前記所望の日から前記翌日にかけての夜間帯(例えば前記所望の日の23:00〜前記翌日の7:00)において、前記補正夜間沸上容量算出部38により算出された前記補正夜間沸上容量(前記昼間沸上運転を行わない場合には前記夜間沸上容量算出部36により算出された夜間沸上容量)を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
【0063】
前記余剰沸上制御部40(制御手段に相当)は、前記累積値が所定のしきい値以上であるか否か(前記余剰沸上判定部33Bによる判定結果)に基づき、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うか行わないかを切り替えるように、前記ヒートポンプ装置19を制御する。すなわち、前記余剰沸上制御部40は、前記余剰沸上判定部33Bにより前記昼間沸上運転を行うと判定された場合には、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うように前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記余剰沸上判定部33Bにより前記昼間沸上運転を行わないと判定された場合には、前記太陽光発電装置3からの電力による前記沸上運転を行わない。
【0064】
具体的には、前記余剰沸上判定部33Bにより前記昼間沸上運転を行うと判定された場合には、前記余剰沸上時間区分決定部33Cにより決定された沸上時間区分が前記余剰沸上制御部40へと出力されている。前記余剰沸上制御部40は、前記翌日の前記沸上時間区分(例えば
図5の例では前記翌日の6:30〜9:30)において、前記余剰電力を用いて前記余剰沸上容量算出部37により算出された前記余剰沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
【0065】
また前記昼間沸増制御部42は、前記夜間帯以外の昼間帯(例えば7:00〜23:00)において前記貯湯タンク10内の湯水の前記貯湯量が予め定められたしきい値以下に減少(前記複数の貯湯式給湯装置温度センサ18により検出)すると、前記商用電源49を用いて、所定の昼間沸増容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。なお、前記夜間沸上容量算出部36において、前記のようにして算出した前記必要容量を貯湯タンク10の容量と比較し、それらのうち小さい方を前記夜間沸上容量としてもよい(以下、同様)。このとき、前記必要容量が貯湯タンク10の容量を超えている場合に、前記夜間沸上容量算出部36で算出された前記夜間沸上容量を前記昼間沸増制御部42へと入力し(
図2中の2点鎖線参照)、前記昼間沸増制御部42が前記夜間帯に沸き上げられなかった分を昼間沸増容量として算出し、この算出した昼間沸増容量を沸き上げるように前記のような制御を行うようにしても良い。
【0066】
次に、前記の手法を実現するために、前記HEMS機器7及び前記制御装置31が実行する制御手順を、
図6、
図7、
図8、及び
図9のフローチャートにより説明する。
【0067】
図6に、前記HEMS機器7が実行する制御手順を示す。
図6において、まずステップS110で、HEMS機器7は、電力料金単価が安価な夜間帯(例えば23:00〜7:00)の開始時刻(例えば23:00)となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S110:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S110:YES)、ステップS120に移る。
【0068】
ステップS120では、HEMS機器7は、前記気象情報取得部32Aにより、サーバ9からの前記気象情報を取得する。なお、気象情報取得部32Aが定期的に前記サーバ9から前記気象情報を取得して最新データを適宜の箇所に記憶しておき、このフローが開始されたときに、前記ステップS120のタイミングで、前記適宜の箇所に記憶されていた気象情報のデータを読み出して用いるようにしてもよい。
【0069】
その後、ステップS130に移り、HEMS機器7は、前記発電電力予測部32Bにより、太陽光発電装置3の過去所定期間の単位時間ごとの発電電力量と、前記ステップS120で取得した気象情報とに基づき、特定期間(この例では前記翌日。以下同様)での前記太陽光発電装置3の単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
【0070】
そして、ステップS140で、HEMS機器7は、前記負荷使用電力予測部32Cにより、前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの負荷使用電力量に基づき、前記翌日での、当該電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値を決定(算出)する。
【0071】
その後、ステップS150で、HEMS機器7は、前記装置使用電力予測部32Dにより、前記貯湯式給湯装置1の過去所定期間の単位時間ごとの装置使用電力量に基づき、前記翌日での当該貯湯式給湯装置1の単位時間ごとの装置使用電力予測値を決定(算出)する。なお、既に述べたように、前記装置使用電力予測部32Dと同等の機能を、前記貯湯式給湯装置1の前記制御装置31が備え、前記装置使用電力予測値を決定してもよい。その際、前記制御装置31自らが自己の消費電力を公知の手法で学習してもよいし、自己の消費電力を一定値として決定してもよい。この場合には、後述のステップS170では余剰電力予測値のみが制御装置31へ出力され、また後述の
図7のステップS10では、余剰電力予測値のみが制御装置31により取得される。
【0072】
そして、ステップS160に移り、HEMS機器7は、前記余剰電力予測部32Eにより、前記ステップS130で決定された前記発電電力予測値と、前記ステップS140で前記電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値とに基づき、前記翌日での前記建造物における単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)する。
【0073】
その後、ステップS170で、HEMS機器7は、前記ステップS150で決定した装置使用電力予測値、及び、前記ステップS160で決定した余剰電力予測値を、制御装置31へ出力し、このフローを終了する。
【0074】
図7〜
図9に、前記制御装置31が実行する制御手順を示す。まず
図7において、制御装置31は、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転を実行するか否かを表すフラグFnを0に初期化する。
【0075】
ステップS5では、制御装置31は、
図6の前記ステップS110と同様、前記夜間帯の開始時刻となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S5:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S5:YES)、ステップS10に移る。
【0076】
ステップS10では、制御装置31は、前記
図6の前記ステップS170で出力された、前記装置使用電力予測値及び前記余剰電力予測値を取得する(このステップS10が余剰電力取得手段に相当)。その後、ステップS15に移る。
【0077】
ステップS15では、制御装置31は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記ステップS10で取得された前記翌日の単位時間ごとの余剰電力予測値、及び、前記翌日の単位時間ごとの装置使用電力予測値、に基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる少なくとも1つの前記沸上可能時間帯を決定する。
【0078】
ステップS15の詳細手順を
図8に示す。
図8において、まずステップS151で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上であることを表すフラグFを0に初期化する。
【0079】
そして、ステップS152で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、処理対象とする時刻tに、まず昼間帯の開始時刻である7:00をセットする。その後、ステップS153に移る。
【0080】
ステップS153では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記ステップS10で取得した前記余剰電力及び前記装置使用電力の値に基づき、時刻tにおける前記余剰電力の予測値が、当該時刻tにおける前記装置使用電力の予測値以上であるか否かを判定する。例えば時刻tがまだ早い時間であって日射が十分でなく余剰電力の大きさが不足し装置使用電力未満の値である場合はステップS153の判定が満たされず(S153:NO)、ステップS157に移る。
【0081】
ステップS157では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFが1であるか否かを判定する。後述のステップS154においてF=1とされるまではF=0のままであることからこの判定が満たされず(S157:NO)、ステップS155に移る。
【0082】
ステップS155では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記時刻tに対し所定の時間偏差△t(余剰電力予測値の単位時間)を加え、ステップS156に移る。
【0083】
ステップS156では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、この時点での処理対象の前記時刻tが、昼間帯の終了時刻である23:00になったか否かを判定する。23:00に到達しない間は判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0084】
前記のようにしてステップS153→ステップS157→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のような時刻tをずらしながらの繰り返しの間に、例えば十分な日射となり余剰電力の大きさが装置使用電力以上となった場合はステップS153の判定が満たされ(S153:YES)、ステップS154に移る。
【0085】
ステップS154では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを1とする。その後、前記ステップS155で前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。こうして余剰電力の大きさが装置使用電力以上となっている間は、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のように時刻tをずらしながら同様の流れが繰り返される。
【0086】
その後、再び日射が不十分となり余剰電力の大きさが装置使用電力未満となるとステップS153の判定が満たされなくなり(S153:NO)、前記ステップS157に移る。この時点では、前記ステップS154によってフラグFの値は1になっていることからステップS157の判定が満たされ(S157:YES)、ステップS158に移る。
【0087】
ステップS158では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、先に前記フラグFが0から1となったとき(ステップS153の判定が満たされたとき)から、この時点までの区間を、前記沸上可能時間帯とする。そして、ステップS159に移る。
【0088】
ステップS159では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを再び0に戻した後、前記ステップS155に移って前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0089】
以上のようにして、時刻tをずらしながら、ステップS153→ステップS157→ステップS158→ステップS159→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返し、若しくは、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返しを行っている間に、前記時刻tが前記23:00になったら判定が満たされ(S156:YES)、このルーチンを終了して、
図7のステップS20へ移行する。
【0090】
図7に戻り、ステップS20では、制御装置31は、余剰沸上判定部33Bにより、前記翌日における前記高余剰電力期間の累積値が予め決定してある所定のしきい値(例えば3時間)以上であるか否かを判定する。前記累積値がしきい値未満の場合には判定が満たされず(S20:NO)、直接ステップS25に移る。一方、前記累積値がしきい値以上の場合には判定が満たされ(S20:YES)、ステップS22に移る。
【0091】
ステップS22では、制御装置31は、前記フラグFnを、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転を実行することを表す1にする。
【0092】
ステップS24では、制御装置31は、前記余剰沸上時間区分決定部33Cにより、前記ステップS15で決定された前記少なくとも1つの沸上可能時間帯を包含する時間帯のうちから、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(例えば3時間。以下同様)以上となる時間区分を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき前記沸上時間区分として決定する。この沸上時間区分の決定は、前記のように、時間区分内の余剰電力予測値の合計値やエネルギー消費効率(COP)等を条件として決定してもよいし、これら以外の条件により決定してもよい。
【0093】
ステップS25では、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記使用湯量学習部34で学習済みの前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、平均や標準偏差等を用いた公知の手法を用いて前記翌日における必要熱量を決定(算出)する。なお、この必要熱量は、所定温度(例えば43[℃])換算の必要湯量として算出しても良い。
【0094】
その後、ステップS30で、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記ステップS25で決定した前記必要湯量と、図示しないステップで取得した外気温度(あるいは前記給水温度等の他の条件でもよい)とから、前記沸上目標温度を決定する。なお、この沸上目標温度は、例えば65[℃]〜75[℃]の間でなるべく低く設定されるが、特に前記必要湯量が多い場合や、前記外気温度が低い場合や、前記給水温度が低い場合には(それ以外の場合に比べ)高めに設定される。
【0095】
そして、ステップS35で、制御装置31は、前記夜間沸上容量算出部36により、前記ステップS30で決定された前記必要熱量を前記沸上目標温度と給水温度との温度差で除して前記必要容量に換算し、前記夜間沸上容量とする。なお、このようにして算出した算出した必要容量が前記貯湯タンク10の容量を超えている場合には、当該貯湯タンク10の容量を前記夜間沸上容量としても良い。
【0096】
ステップS40では、制御装置31は、前記フラグFnが、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転を実行することを表す1であるか否かを判定する。前記フラグFnが、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転を実行しないことを表す0である場合には(S40:NO)、ステップS55に直接移る。一方、前記フラグFnが1である場合には(S40:YES)、ステップS45に移る。
【0097】
その後、ステップS45で、制御装置31は、前記余剰沸上容量算出部37により、前記ステップS24で決定された前記沸上時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が、前記ヒートポンプ装置19の所定の加熱能力の大きさで前記沸上目標温度まで沸き上げることのできる前記余剰沸上容量を算出する。
【0098】
そして、ステップS50で、制御装置31は、前記補正夜間沸上容量算出部38により、前記ステップS35で算出された前記夜間沸上容量から、前記ステップS45で算出された余剰沸上容量を差し引いて、実際に前記夜間帯に沸き上げる前記補正夜間沸上容量を算出する。
【0099】
その後、ステップS55で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記複数の貯湯温度センサ18の検出結果に基づき、十分に加熱された状態でお湯とみなせる貯湯量の容量(残湯容量)を算出する。さらにその後のステップS60で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記補正夜間沸上容量から前記残湯容量を減じた値に沸上温度と給水温度の差温を乗じた値を加熱能力で除して沸上時間を算出し、前記ステップS50で算出された前記補正夜間沸上容量を前記夜間帯の終了時刻(例えば7:00)までに沸上完了するのに適切な夜間沸上開始時刻を算出する。
【0100】
なお、前記フラグFnが0である場合には、前記ステップS45及び前記ステップS50は実行されずに、前記ステップS60において、前記夜間沸上制御部39により、前記ステップS35で算出された前記夜間沸上容量を前記夜間帯の終了時刻(例えば7:00)までに沸上完了するのに適切な夜間沸上開始時刻が算出される。
【0101】
そして、
図9のステップS62に移り、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS60で算出した夜間沸上開始時刻となったか否かを判定する。夜間沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S62:NO)ループ待機し、夜間沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S62:YES)、ステップS64に移る。
【0102】
ステップS64では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、夜間沸上運転を開始する。
【0103】
その後、ステップS66で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記のようにして夜間沸上運転が行われた後、前記ステップS50で算出した前記補正夜間沸上容量(又は前記ステップS35で算出した前記夜間沸上容量)を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記夜間帯の終了時刻となった)か否かを判定する。前記補正夜間沸上容量又は前記夜間沸上容量を沸き上げた場合(若しくは前記夜間帯の終了時刻となった場合)は判定が満たされ(S66:YES)、夜間沸上運転の完了とみなされて、ステップS68に移る。
【0104】
ステップS68では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS64で開始した夜間沸上運転を停止する。このとき、貯湯タンク10の下部には、前記ステップS45で算出した余剰沸上容量と同じ容量だけ、未加熱水が残ることとなる。その後、ステップS69に移る。
【0105】
ステップS69では、制御装置31は、前記ステップS40と同様に、前記フラグFnが、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転を実行することを表す1であるか否かを判定する。前記フラグFnが、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転を実行しないことを表す0である場合には(S69:NO)、ステップS96に直接移る。一方、前記フラグFnが1である場合には(S69:YES)、ステップS70に移る。
【0106】
ステップS70では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS24で決定した沸上時間区分の開始時刻(余剰沸上開始時刻)となったか否かを判定する。余剰沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S70:NO)ループ待機し、余剰沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S70:YES)、ステップS72に移る。
【0107】
ステップS72では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、余剰沸上運転を開始する。
【0108】
その後、ステップS74で、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記のようにして余剰沸上運転が行われた後、ステップS45で算出した前記余剰沸上容量を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記沸上時間区分の終了時刻となった)か否かを判定する。前記余剰沸上容量を沸き上げた場合(若しくは前記沸上時間区分の終了時刻となった場合)は判定が満たされ(S74:YES)、余剰沸上運転の完了とみなされて、ステップS76に移る。
【0109】
ステップS76では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS72で開始した余剰沸上運転を停止する。このとき、前記したように、前記夜間沸上運転の完了時に貯湯タンク10の下部に前記余剰沸上容量と同じ容量だけ未加熱水が残っているため、余剰沸上運転の開始までの間に一切給湯されていなくても、当初予測していた余剰電力を全量活用した余剰沸上運転を連続して行うことができる。このようにして余剰沸上運転が完了した後、ステップS96に移る。
【0110】
ステップS96では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、この時点での時刻(現在時刻)が前記昼間帯(例えば7:00〜23:00)の終了時刻(例えば23:00)となったか否かを判定する。昼間帯終了時刻となっていれば判定が満たされ(S96:YES)、
図7に示した前記ステップS3に戻り、同様の手順を繰り返す。前記昼間帯終了時刻となっていなければ判定が満たされず(S96:NO)、ステップS92に移る。
【0111】
ステップS92では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、例えば貯湯タンク10の残湯量が前記最低貯湯量以下になったか否かを最上部の貯湯温度センサ18が所定の湯切れ危険温度以下にまで低下したか否かで判定する。前記湯切れ危険温度より高い温度であればステップS92の判定が満たされず(S92:NO)、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。前記湯切れ危険温度以下であればステップS92の判定が満たされて(S92:YES)湯切れ状態であるとみなされ、ステップS94へ移行する。
【0112】
ステップS94では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記湯切れを解消するための所定時間(例えば1時間)の湯切れ沸増運転を行う。その後、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。
【0113】
以上説明したように、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100によれば、太陽光発電装置3と、貯湯式給湯装置1とが備えられている。太陽光発電装置3は太陽光を受光して発電を行うことができ、貯湯式給湯装置1は、この太陽光発電装置3で発電された電力を用いて、ヒートポンプ装置19が貯湯タンク10内の湯水を加熱する沸上運転を行うことができる。
【0114】
このようにして太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う場合、貯湯式給湯装置1に供給される電力値(詳細には、例えば、発電電力値から貯湯式給湯装置1を除く電気負荷機器6の消費する負荷消費電力値を差し引いた余剰電力値)がある程度大きい必要がある。そこで、前記沸上運転を円滑に行うために、本実施形態によれば、余剰電力予測部32Eと、装置使用電力予測部32Dとが設けられる。すなわち、余剰電力予測部32Eは、太陽光発電装置3での発電電力値の時間的変動を表す、太陽光発電装置3の発電電力予測値を用いて、所望日の翌日の1日間における前記余剰電力予測値を決定する。また、装置使用電力予測部32Dは、前記翌日における、前記貯湯式給湯装置1の消費する装置使用電力予測値を決定する。その後、前記余剰電力予測値及び前記装置使用電力予測値に基づき、余剰沸上制御部40により、前記翌日の昼間帯において前記余剰電力予測値が貯湯式給湯装置1が消費する装置使用電力予測値以上となるときに、貯湯式給湯装置1による前記沸上運転が実行される。
【0115】
このとき、この翌日昼間帯における沸上運転を実行する場合には、前記昼間沸上運転による沸上量の分、前記所望日〜前記翌日にわたる前記夜間帯に通常の手法(システム外から電力購入して使用)により実行される前記夜間沸上運転による沸上量を減らし、コスト低減を図ることができる。
【0116】
したがって、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる前記高余剰電力期間が少しでもあれば、当該昼間沸上運転を行うことにして、当該昼間沸上運転による沸上量分の沸上を前記夜間沸上運転から減らすことが考えられる。しかしながら、あまりにも短い時間で昼間沸上運転を行うようにすると、かえって非効率となる場合がある。
【0117】
これを回避するために、前記高余剰電力期間がある程度連続する(例えば所定のしきい値以上となる)場合に限定して、当該昼間沸上運転を行うことが考えられる。しかしながらこの場合も、比較的長く連続する前記高余剰電力期間の途中で、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値未満となる期間が少しでも挟まると、(実際には前記電力購入の低減によりコスト低減を図れる可能性があるにもかかわらず)昼間沸上運転しない無駄が生じる場合がある。
【0118】
そこで、本実施形態によれば、余剰沸上制御部40は、前記翌日における、前記高余剰電力期間の累積値に基づき、前記ヒートポンプ装置19を制御する。具体的には、例えば前記累積値が所定のしきい値であるか否かに基づき、前記累積値がしきい値以上の場合には前記昼間沸上運転を行うと共に、前記累積値がしきい値未満の場合には前記昼間沸上運転を行わないように、前記ヒートポンプ装置19の制御を切り替える。
【0119】
これにより、ある程度長い前記高余剰電力が生じ累積値がしきい値以上となったときに前記昼間沸上運転を行うように切り替えられることで、前記のような非効率が生じるのを防止することができる。また、前記のように高余剰電力期間の途中で、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値未満となる期間が挟まったとしても、その前後の、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる期間の累積値が前記しきい値以上となったことで、前記昼間沸上運転を行うように切り替えられるので、前記のような無駄が生じるのを防止することができる。
【0120】
以上の結果、翌日の前記昼間沸上運転の沸上量に応じて、夜間帯における沸上量を少なくすることができるので、前記夜間沸上運転時の電力購入量を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。
【0121】
また、本実施形態では特に、前記余剰沸上制御部40は、前記累積値が所定のしきい値以上であるか否かに基づき、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うか行わないかを切り替えるように、前記ヒートポンプ装置19を制御する。このように、しきい値との大小に応じて昼間沸上運転の実行・不実行を切り替えることで、前記の非効率や無駄が生じるのを確実に防止できる。
【0122】
また、本実施形態では特に、前記余剰沸上制御部40は、前記複数の沸上可能時間帯(高余剰電力期間)それぞれにおける前記期間の前記累積値に基づき、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うように前記ヒートポンプ装置19を制御する。このように、高余剰電力期間となる複数の時間区分それぞれの累積値に基づき昼間沸上運転の制御が行われることで、前記の非効率や無駄が生じるのを確実に防止できる。
【0123】
また、本実施形態では特に、前記制御装置31は、前記所望日から前記翌日にわたる所定の夜間帯の開始時刻において、前記翌日における前記累積値に基づき、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うか否かを判定する前記余剰沸上判定部33Bを有し、前記余剰沸上制御部40は、前記余剰沸上判定部33Bの判定結果に基づき、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うか行わないかを切り替えるように、前記翌日において前記ヒートポンプ装置19を制御する。このように、翌日において昼間沸上運転を実行するか否かを、その前日である前記所望日において判定することにより、翌日の前記昼間沸上運転の実行時にはその沸上量に応じて夜間帯における沸上量を確実に少なくし、前記夜間沸上運転時の電力購入量を減らすことができる。
【0124】
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものであり、例えば前記HEMS機器7に設けられた各機能部(気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、装置使用電力予測部32Dと、余剰電力予測部32E、外気温予測部32F)のうち少なくとも1つを前記サーバ9に設けても良い。
【0125】
また、以上において、
図2等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0126】
また、
図6〜
図9に示すフローチャート図は本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。