【解決手段】空気流を発生させるファン4と、ファンより上流側に存在し、空気を通過させる孔を有するフィルタ10と、フィルタを回転させる電動機20と、電動機の回転を、第1回転速度および該第1回転速度より速い第2回転速度で回転させるように制御する制御部30と、鍋底温度センサや調理器運転状態センサなどからなり、調理状態を監視する調理状態監視部40と、調理状態監視部が監視する調理状態に基づき、油煙に含まれる油粒子の質量濃度が所定の閾値以上発生しているか否かを判定する判定部50と、を備え、制御部は、調理状態監視部が監視する調理状態に応じて、第1回転速度および第2回転速度で電動機の回転速度を制御し、判定部が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した場合、電動機を前記第2回転速度で回転させるレンジフード1を提供する。
前記判定部が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した後該所定の閾値または該所定の閾値とは異なる閾値以上発生していないと判定した場合、前記制御部は、直ちに前記電動機の回転を停止する、または、直ちに前記電動機の回転を前記第1回転速度で回転させる、または、所定時間前記第2回転速度を維持した後前記電動機の回転を停止する、または、所定時間前記第2回転速度を維持した後前記電動機の回転を前記第1回転速度で回転させることを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかるレンジフードは、フィルタが高速に回転する際に風切音などの騒音が発生することがあった。
そこで、本発明は、騒音発生の機会を減少させるレンジフードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、調理器の上方または近傍に設けられるレンジフードであって、空気の流れを発生させるファンと、空気の流れの流路上であってファンより上流側に存在し、空気の流れを通過させる孔を有するフィルタと、フィルタを回転させる電動機と、電動機の回転を、少なくとも2つの第1回転速度およびその第1回転速度より速い第2回転速度で回転させるように制御する制御部と、鍋底温度センサ、温度センサ、音センサ、色彩センサ、調理器運転状態センサのいずれか1つ以上からなり、調理器での調理状態を監視する調理状態監視部と、調理状態監視部が監視する調理状態に基づき、油煙に含まれる油粒子の質量濃度が所定の閾値以上発生しているか否かを判定する判定部と、を備え、制御部は、調理状態監視部が監視する調理状態に応じて、第1回転速度および第2回転速度で電動機の回転速度を制御し、判定部が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した場合、電動機を第2回転速度で回転させるレンジフードが提供される。
これによれば、調理状態に応じて、フィルタを回転させる電動機の回転速度を制御することで、必要な時のみフィルタを高速に回転させ、騒音発生の機会を減少させたレンジフードを提供できる。さらに、油煙に含まれる油粒子の質量濃度が所定の閾値以上発生している場合にフィルタを高速に回転させることで、大きな騒音が発生する機会を減少させることができる。
【0006】
さらに、判定部が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した後該所定の閾値または該所定の閾値とは異なる閾値以上発生していないと判定した場合、制御部は、直ちに電動機の回転を停止する、または、直ちに電動機の回転を第1回転速度で回転させる、または、所定時間第2回転速度を維持した後電動機の回転を停止する、または、所定時間第2回転速度を維持した後電動機の回転を第1回転速度で回転させることを特徴としてもよい。
これによれば、油煙が所定の閾値以上発生しなくなった場合にはフィルタを低速または停止するように制御することで、騒音発生の機会を減少させることができる。
【0007】
さらに、調理状態監視部は、レンジフードとは別体をなし、制御部との間で無線通信を行うことを特徴としてもよい。
これによれば、調理状態監視部がレンジフードとは別体となることで、監視対象に適した位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、必要な時のみフィルタを高速に回転させ、騒音発生の機会を減少させたレンジフードを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照して、各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図4を参照し、本実施例にかかるレンジフード1について説明する。レンジフード1は、調理器CDが設置されたキッチンに設置され、
図1に示すように、調理器CDの上方に配置されて、調理器CDで調理されることで発生する油煙や湯気等などを捕獲し、清浄化したあとの空気を屋外等に排気する。レンジフード1は、下方で行われる調理によって発生する油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル5を内面に有する薄型のフード部2を有する。なお、本実施例のレンジフード1は、調理器CDの上方に配置されるが、調理器CDの側方の近傍にあってもよい。
【0011】
フード部2は、
図2乃至
図4に示されるように、上部後方に位置する内面パネル5の連通口6付近で、排気ダクト(図示せず)に接続される送風機ボックス3と連結されている。送風機ボックス3は、幕板9の背面側に位置し、内部にシロッコファンであり空気の流れD1を発生させるファン4を有する。従って、ファン4が稼働すると連通口6は負圧となり、内面パネル5の下方の空気は連通口6を通して吸入され、排気ダクトを通して外部に排出される。連通口6は、ファン4と連通し、ファン4が発生させた空気の流れD1の流路上であって、ファン4より空気の流れの上流側に位置する。
【0012】
レンジフード1は、連通口6の位置に、空気の流れD1を通過させる孔11を有する円盤状のフィルタ10と、円盤状のフィルタ10の中心にシャフトを連結され、フィルタ10を回転させる電動機20と、内面パネル5に取り付けられ、フィルタ10の外周縁を囲むようにして配置される油分捕集部材60と、を備える。従って、レンジフード1は、ファン4が発生させる空気の流れD1の流路上であって、ファン4よりその流れの上流側に存在し、その空気の流れを図視で下から上に通過させる孔11を有するフィルタ10を、回転可能に備える。
【0013】
さらに、レンジフード1は、ファン4と電動機20の回転を制御する制御部30と、使用者の操作を受け付けて、制御部30にレンジフード1の稼働/停止信号などを出力する操作部70と、を備える。制御部30は、後述するファン4と電動機20の回転を制御する方法を記述した制御プログラムなどを含む公知のマイコンから構成される。操作部70は、レンジフード1の使用者が操作するスイッチから構成され、フード部2の正面側の側面に配置されている。むろん、これに限定されず、レンジフード1とは別体のリモコンや、調理器からの信号を受け取って出力を行うように構成されても良い。また、操作部70は、制御部30にレンジフード1の稼働信号/停止信号だけでなく、ファン4と電動機20の回転速度の変更を指示する信号を出力する。
【0014】
内面パネル5の下方の空気は、調理によって発生する湯気や油煙等を含んでおり、ファン4が稼働すると、連通口6に存在する、即ちファン4が発生させた空気の流れD1の流路上であってファン4より上流側に位置するフィルタ10の孔11に吸引され、その孔11を通過することになる。制御部30は、操作部70から稼働信号を受けると、ファン4を回転させて空気の流れD1を発生させると共に、電動機20により回転可能に設けられたフィルタ10を電動機20に通電することで回転させる。レンジフード1は、フィルタ10を回転させることにより、空気に含まれる油分を油分捕集部材60に捕集する。
【0015】
油分の捕集方法に関して詳述する。レンジフード1の下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等と共に、暖められた空気はレンジフード1の方へ立ち上る。レンジフード1が運転を開始しファン4が回転し始めると、ファン4は空気の流れを発生させる。そうすると、整流板7辺りに立ち上った空気は、整流板7と内面パネル5の間から吸い込まれ、その後フィルタ10の孔11を通過して、送風機ボックス3内のファン4に吸入される。そして、その後、送風機ボックス3から排気ダクトへ排出される。
【0016】
制御部30は、稼働状態においては、レンジフード1が調理によって発生する油煙等を捕集するために空気の流れを発生させるファン4を回転させている時にフィルタ10を回転させる電動機20を回転させるように制御を行う。フィルタ10の単位時間当たりの回転数は、フィルタの孔の開口状態にもよるが、少なくとも230rpm(Rotation Per Minute)以上であればよい。フィルタ10がかかる回転速度で高速に回転すると、フィルタ10の表面(孔11のない部分)が、その表面に接する空気を摩擦力により引きずり、空気の粘性により付近の空気にもその動きが伝わることで、フィルタ10の表面付近には空気の動きが生じ、フィルタ10は回転運動をしているので、空気の動きは電動機20のシャフトを中心とした渦状となる。
【0017】
この渦状の空気の動きは、フィルタ10の両面、即ちフィルタ10の下面と上面の両方、換言すれば、フィルタ10の空気の流れの上流側の面と下流側の面の両方に発生する。本実施例においては、ファン4が発生させる空気の流れが、フィルタ10の孔11を通って流れているので、フィルタ10の下流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面から引き離されつつ、フィルタ10の外周縁に向かうらせん状流が発生し、ファン4により吸引される。一方、フィルタ10の上流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面に押さえつけられ、フィルタ10の外周縁に向かう渦状流を伴う密度の高い空気層が形成される。
【0018】
調理等で発生した油分は、空気の流れと共に流されてフィルタ10の上流側の面付近に到達する。上流側の面付近に到達した油分は、一部(粒子径の比較的小さい油分)は密度の高い空気層の外周縁に向かう渦状流により、また、他の一部(粒子径の比較的大きい油分)はフィルタ10の上流側の表面(孔11のない部分)に衝突することにより、フィルタ10の外周縁方向に弾き飛ばされる。その結果、円盤状のフィルタ10の外周縁を取り囲むように備えられた油分捕集部材60に捕集され、回収される。従って、本実施例のレンジフード1は、空気流路におけるフィルタ10より下流部分にほとんど油分を付着させず、フィルタ10より下流部分のファン4や排気ダクトなどを清掃/洗浄する手間を大幅に軽減することができる。
【0019】
一方、フィルタ10が回転することにより、特に高速に回転することにより、フィルタ10の表面付近の空気の動きも速くなり、風切り音のような音が発生する。レンジフード1は、必要な時のみフィルタ10を高速に回転させ、騒音発生の機会を減少させる。レンジフード1は、さらに、調理器CDでの調理状態を監視する調理状態監視部40と、調理状態監視部40が監視する調理状態に基づき、油煙が所定の閾値以上発生しているか否かを判定する判定部50を備える。
【0020】
調理状態監視部40は、本実施例の場合、内面パネル5の端部に設けられ、空気中の煙を検知する煙センサである。煙センサは、空気中の粒子の濃度を測定するものであれば、特に方式は限定されないが、たとえば、調理器CDの方向に光を照射し、その光の散乱光量を測定することにより、調理器CDから立ち上る油煙に含まれる油粒子の質量濃度を検知する方式であってもよい。
【0021】
判定部50は、調理状態監視部40の煙センサが監視する調理状態に基づき、油煙が所定の閾値以上発生しているか否かを判定する。所定の閾値は、たとえば、油での炒め物や揚げ物などの調理を行った時の油煙に含まれる油粒子の質量濃度などを事前に取得し定めてもよい。
【0022】
制御部30は、電動機20すなわちフィルタ10をさまざまな回転速度で回転するように制御し、少なくとも2つの第1回転速度およびその第1回転速度より速い第2回転速度で回転させるように制御する。第1回転速度は、ほとんど風切り音などの音が発生しない比較的低速な回転速度であり、たとえば、500rpm程度である。なお、第1回転速度は、第2回転速度よりも遅ければ良く、すなわちゼロも含む。また、第2回転速度は、風切り音などの音が比較的大きい比較的高速な回転速度であり、たとえば、1500rpm程度である。フィルタ10が高速で回転すればするほど、渦状流の空気の流れが強くなり、油分の捕集効率が高くなるので、油煙中の油粒子の濃度が高くなった場合には、比較的高速で回転することが好ましい。したがって、制御部30は、調理状態監視部40が監視する調理状態に応じて、比較的低速な第1回転速度および比較的高速な第2回転速度で電動機20の回転速度を制御する。このように、調理状態に応じて、フィルタ10を回転させる電動機20の回転速度を制御することで、必要な時のみフィルタ10を高速に回転させ、騒音発生の機会を減少させたレンジフード1を提供できる。
【0023】
より具体的には、判定部50は、調理状態監視部40が監視する調理状態に基づき、油煙が所定の閾値以上発生しているか否かを判定し、制御部30は、判定部50が油煙が所定の閾値以上発生している判定した場合、電動機20を比較的高速な第2回転速度で回転させる。このように、油煙が所定の閾値以上発生している場合にのみフィルタ10を高速に回転させることで、大きな騒音が発生する機会を減少させることができる。
【0024】
図5を参照し、制御部30の制御方法を説明する。なお、フローチャートにおけるSは、ステップを意味する。制御部30は、S100において、使用者が操作部70を操作などすることにより、レンジフード1の運転を開始する。すなわち、制御部30は、ファン4を回転させて空気の流れを発生させ、フィルタ10を比較的低速で騒音レベルの低い第1回転速度で回転させ、調理状態監視部40の煙センサに油煙の状態を監視させ始める。
【0025】
調理状態監視部40は、S102において、油煙の発生量(油煙に含まれる油粒子の質量濃度)を検知し、制御部30に伝達する。制御部30は、S104において、調理状態監視部40が検知した油煙の発生量が、予め定められた所定の閾値以上であるか否かを検査する。油煙の発生量が所定の閾値以上であった場合、制御部30は、S106において、フィルタ10を比較的高速な第2回転速度で回転させる。油煙の発生量が所定の閾値未満であった場合、S106のステップをスキップし、低い騒音レベルを維持する。
【0026】
制御部30は、S108において、操作部70などから運転を終了させる信号を受信したか否かを検査する。当該信号を受信してない場合は、S104〜S108を繰り返し行い運転を継続する。当該信号を受信した場合は、S110において、レンジフード1の運転を終了する。すなわち、制御部30は、ファン4の回転を終了し、フィルタ10の回転を終了し、調理状態監視部40の煙センサに油煙の状態の監視を停止する。このように、油煙が所定の閾値以上発生している場合に限り、大きな騒音が発生するフィルタの高速回転を行うことで、大きな騒音が発生する機会を減少させることができる。なお、操作部70などから運転を終了させる信号を受信した後は、残置運転をしても良い。残置運転は、一定時間経過するまでフィルタ10を回転させるものであっても良いし、調理状態監視部40の監視結果に基づくものであっても良い。
【0027】
図6を参照し、制御方法の変形例(第1変形例)を説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例と同じステップは記載を省略し、異なる点を中心に述べる。S200〜S210は、S100〜S110と同じである。制御部30は、S204において、調理状態監視部40が検知した油煙の発生量が、予め定められた所定の閾値以上であるか否かを検査する。油煙の発生量が所定の閾値以上であった場合、制御部30は、S206において、フィルタ10を比較的高速な第2回転速度で回転させる。油煙の発生量が所定の閾値未満であった場合、制御部30は、S212において、フィルタ10の回転速度をゼロすなわちフィルタ10の回転を停止する。このように、制御部30はS200で一旦フィルタ10を比較的低速な第1回転速度で回転させるが、油煙の発生量が閾値より少ない場合は、フィルタ10の回転を止めて、騒音を発生しないようにしてもよい。
【0028】
図7を参照し、制御方法の変形例(第2変形例)を説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例と同じステップは記載を省略し、異なる点を中心に述べる。S300〜S310は、S100〜S110と同じである。制御部30は、S304において、調理状態監視部40が検知した油煙の発生量が、予め定められた所定の閾値以上であるか否かを検査する。油煙の発生量が所定の閾値以上であった場合、制御部30は、S306において、フィルタ10を比較的高速な第2回転速度で回転させる。油煙の発生量が所定の閾値未満であった場合、制御部30は、S312において、フィルタ10の回転速度を比較的低速な第1回転速度で回転させる。これによれば、油煙の発生量が一旦閾値を超えてフィルタ10の回転を比較的高速な第2回転速度で制御したとしても、また、油煙の発生量が所定の閾値より少なくなれば比較的低速な第1回転速度に戻すことができ、これにより、大きな騒音が発生する機会を減少させることができる。
【0029】
図8を参照し、制御方法の変形例(第3変形例)を説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例と同じステップは記載を省略し、異なる点を中心に述べる。S400〜S410は、S100〜S110と同じである。制御部30は、S404において、調理状態監視部40が検知した油煙の発生量が、予め定められた所定の閾値以上であるか否かを検査する。油煙の発生量が所定の閾値以上であった場合、制御部30は、S406において、フィルタ10を比較的高速な第2回転速度で回転させる。油煙の発生量が所定の閾値未満であった場合、制御部30は、S412において、所定時間それ以前の回転速度を維持する。すなわち、油煙の発生量が一旦閾値を超えてフィルタ10の回転を比較的高速な第2回転速度で制御し、その後油煙の発生量が所定の閾値より少なくなり比較的低速な第1回転速度に戻す場合であっても、しばらく比較的高速な第2回転速度を維持する。その後、制御部30は、S414において、フィルタ10の回転速度を比較的低速な第1回転速度で回転させる。このように、高速な第2回転速度を暫くの間維持することで、油煙等の捕集を十分なものとすることができる。
【0030】
このように、判定部50が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した後その所定の閾値以上発生していないと判定した場合、制御部30は、直ちに電動機20の回転を停止する、または、直ちに電動機20の回転を騒音レベルの低い第1回転速度で回転させる、または、所定時間捕集効率の高い第2回転速度を維持した後電動機20の回転を停止する、または、所定時間第2回転速度を維持した後電動機20の回転を第1回転速度で回転させてもよい。これによれば、油煙が所定の閾値以上発生しなくなった場合にはフィルタ10を低速または停止するように制御することで、騒音発生の機会を減少させることができる。
【0031】
なお、本実施例では判定部50が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した後その所定の閾値以上発生していないと判定した場合を説明したが、これに限らず、一度判定部50が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した後は、所定の閾値とは異なる値の閾値を基準としてその後の制御を行っても良い。すなわち、判定部50が油煙が所定の閾値以上発生していると判定した後その所定の閾値とは異なる閾値以上発生していないと判定した場合、制御部30は、直ちに電動機20の回転を停止する、または、直ちに電動機20の回転を騒音レベルの低い第1回転速度で回転させる、または、所定時間捕集効率の高い第2回転速度を維持した後電動機20の回転を停止する、または、所定時間第2回転速度を維持した後電動機20の回転を第1回転速度で回転させてもよい。
【0032】
また、ファン4が発生させる空気の流れの風量には、少なくとも2つの第1風量およびその第1風量より大きい第2風量があり、ファン4が第2風量の空気の流れを発生させている時の第2回転速度は、ファン4が第1風量の空気の流れを発生させている時の第2回転速度より速く、ファン4が第2風量の空気の流れを発生させている時の第1回転速度は、ファン4が第1風量の空気の流れを発生させている時の第1回転速度より速くしてもよい。これによれば、空気の流れを発生させるファン4が高速に回転している場合はフィルタ10による騒音がかき消されるので、その場合にはフィルタ10の回転速度を高速にしても騒音とは思われ難いことから、ファン4の高速回転時と低速回転時に応じてフィルタ10の回転速度を制御することで、騒音発生の機会を減少させると共に高い油捕集効率を維持することができる。また、風量によってフィルタを通過する油煙の流速が異なるため、必要とするフィルタ10の回転速度は異なる。したがって、第1回転速度と第2回転速度を、相対的に風量が小さい場合には遅くすることができ、高い油捕集効率を維持したまま、フィルタ10の回転に伴い発生する騒音を低減することが可能となる。
【0033】
<第二実施例>
図9を参照し、本実施例にかかるレンジフード1Aについて説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例と同じ構成要素の記載を同じ符号を付すことで省略し、異なる点を中心に述べる。レンジフード1Aは、空気の流れを発生させるファン4と、空気の流れの流路上であってファンより上流側に存在し、空気の流れを通過させる孔を有するフィルタ10と、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20の回転を、少なくとも2つの第1回転速度および該第1回転速度より速い第2回転速度で回転させるように制御する制御部30と、調理器CDでの調理状態を監視する調理状態監視部40Aとを備える。
【0034】
調理状態監視部40Aは、調理器CDに設けられている鍋底の温度を検知する鍋底温度センサである。鍋底温度センサは、調理器に使われている公知のセンサでよく、その温度をレンジフード1Aに伝達する通信手段を有し、レンジフード1Aは、その通信手段から鍋底の温度を受信し、制御部30に伝達する通信部(図示せず)を有する。調理状態監視部40Aは、たとえば、鍋底の温度が100°Cを大きく越えて、油を使用して調理をしていると考えられる場合には、かかる温度の情報を制御部30に伝達する。制御部30は、そのような情報を受信した場合、フィルタ10を比較的高速な第2回転速度で回転させてもよい。このように、調理器CDでの鍋底が所定の温度を越えて調理が行われている場合に限り、大きな騒音が発生するフィルタ10の高速回転を行うことで、大きな騒音が発生する機会を減少させることができる。
【0035】
<第三実施例>
図10を参照し、本実施例にかかるレンジフード1Bについて説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例と同じ構成要素の記載を同じ符号を付すことで省略し、異なる点を中心に述べる。レンジフード1Bは、空気の流れを発生させるファン4と、空気の流れの流路上であってファンより上流側に存在し、空気の流れを通過させる孔を有するフィルタ10と、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20の回転を、少なくとも2つの第1回転速度および該第1回転速度より速い第2回転速度で回転させるように制御する制御部30と、調理器CDでの調理状態を監視する調理状態監視部40Bとを備える。
【0036】
調理状態監視部40Bは、本実施例の場合、内面パネル5の端部に設けられ、調理器CD上の鍋等およびその内容物の温度を検知する温度センサである。温度センサは、赤外線カメラなど非接触で温度を測定するものであれば、特に方式は限定されない。なお、本実施例では、調理状態監視部40Bは、上述した煙センサの調理状態監視部40および鍋底温度センサの調理状態監視部40Aと組み合わせて使用され、制御部30は、これらのセンサを総合的に判断して、フィルタ10の回転速度を制御することができる。調理状態監視部40Bは、もちろん、単独で用いられてもよい。このように、調理器CDでの鍋等およびその内容物の温度が所定の温度を越えて調理が行われている場合に、大きな騒音が発生するフィルタ10の高速回転を行うことで、大きな騒音が発生する機会を減少させることができる。
【0037】
なお、複数の加熱源を有する調理器の場合において、複数の加熱源で調理が行われている場合には、加熱源のうち1つでも所定の温度を超えていたらフィルタ10を第2回転速度で回転させてもよい。また、グリルを備える調理器である場合、グリルを使用する場合には、第2回転速度で回転させてもよい。グリルの使用の検知は、レンジフードに設けた温度センサによりグリル排気口付近の温度を検知することにより行ってもよいし、調理器で選択された調理メニュー情報やグリルを点火する操作等に関する調理器信号をレンジフードが受信することにより行ってもよい。レンジフードに設けた温度センサによりグリル排気口付近の温度を検知する場合、グリル排気口付近の温度が、所定の温度より低い規定値を超えていたらグリルを使用していると判断してもよい。グリル排気口付近の温度は、実際に加熱するグリル内の温度よりも低温になるからである。
【0038】
<第四実施例>
図11を参照し、本実施例にかかるレンジフード1Cについて説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例と同じ構成要素の記載を同じ符号を付すことで省略し、異なる点を中心に述べる。レンジフード1Cは、空気の流れを発生させるファン4と、空気の流れの流路上であってファンより上流側に存在し、空気の流れを通過させる孔を有するフィルタ10と、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20の回転を、少なくとも2つの第1回転速度および該第1回転速度より速い第2回転速度で回転させるように制御する制御部30と、調理器CDでの調理状態を監視する調理状態監視部40Cとを備える。
【0039】
調理状態監視部40Cは、本実施例の場合、レンジフード1Cと調理器CDの間の壁面に取り付けられ、調理器CD上で行われる調理の音を収集する音センサである。調理状態監視部40Cは、調理器CD上で行われる調理の音をよりよく収集するため、レンジフード1Cとは別体をなし、制御部30との間で無線通信を行う。この音センサは、好ましくは調理器CD上の鍋等に対して指向性を有し、その周波数や大きさを収集し、いかなる調理が行われているかを分析する。
【0040】
たとえば、調理状態監視部40Cは、油を使って揚げ物したり炒め物をしたりする音と、煮物やお湯を沸かす音を識別し、前者の音がする場合は、かかる温度の情報を制御部30に伝達する。制御部30は、そのような情報を受信した場合、フィルタ10を比較的高速な第2回転速度で回転させてもよい。このように、調理器CD上で発生している音の状態や属性により、大きな騒音が発生するフィルタ10の高速回転を行うことで、大きな騒音が発生する機会を減少させることができる。また、調理状態監視部40Cがレンジフード1Cとは別体となることで、監視対象に適した位置に配置することができる。
【0041】
なお、本実施例では、調理状態監視部40Cは、上述した鍋底温度センサの調理状態監視部40Aと組み合わせて使用され、制御部30は、これらのセンサを総合的に判断して、フィルタ10の回転速度を制御することができる。制御部30は、たとえば、調理状態監視部40Cの音センサが揚げ物の音が発生していると検出しても、調理状態監視部40の鍋底温度センサが100°C以下を検知している場合には、比較的低速で騒音レベルの低い第1回転速度でフィルタ10を制御してもよい。調理状態監視部40Cは、もちろん、単独で用いられてもよい。
【0042】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、適用例、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0043】
たとえば、調理状態監視部は、調理器CDに載せられた物の温度を検出する温度センサ、調理器CDに載せられた物の色彩を検出する色彩センサ、調理器CDに載せられた物が発する音を検出する音センサ、調理器CDとレンジフードの間の空間に存する粒子を検出する粒子センサ、調理器で選択された調理メニュー情報、および、調理器の運転状態を検出する調理器運転状態センサのいずれかまたはこれらを組合せた情報に基づいて調理状態を監視してもよい。
【0044】
また、本発明はレンジフードに限らず、調理器を使用して調理物から発生する油煙を捕集する装置であれば良く、例えば空気清浄機付き照明器具であっても良い。