【解決手段】 補強体3A1は、非磁性材料からなる第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の2部品からなる。第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の一端部には、ヒンジ部3A13が設けられている。このヒンジ部3A13により、補強体3A1は、その両端部が接離自在に設けられる。また、補強体3A1の両端部は、近づくと厚さ方向に重ねられる。この補強体3A1上に帯状磁性体3A2が設けられ、帯状磁性体3A2の両端部も厚さ方向に重ねられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような励磁コアは分割クランプ型の非接触電流センサには採用できない。薄帯状磁性体から構成された励磁コアを分割させてしまうと、励磁コアとしての性能を失ってしまうからである。一つ目の要因は、機械的強度の問題である。薄帯状磁性体を巻きつけた励磁コアを分割させた場合、その断面は薄帯状磁性体が数層重っているだけであり、しかも、各層の断面は線状になっている。そのため、分割クランプ型の非接触電流センサに採用した場合には、薄帯状磁性体の機械的強度が開閉の動作に耐えられず、すぐに接触不良を起こしてしまうという問題が生じることとなる。
【0007】
二つ目の要因は、電流測定値の再現性の問題である。前述のとおり分割させた励磁コアの断面には線状の磁性体が数層分存在するだけであるため、これを採用した分割クランプ型の非接触電流センサのクランプ部分の開閉操作において、断面部の磁性体どうしの接触は、実質的には線接触となってしまう。これは、磁性体どうしの接触面積が小さいことを意味する。このような場合、クランプ部分の開閉に伴う接触部分における磁気結合の再現性が得にくくなるので、結果として電流測定値の再現性を得ることができないという問題もまた生じることとなる。
【0008】
このような事情から、分割クランプ型の非接触電流センサの励磁コア構造には薄帯状磁性体を採用することができないという課題があった。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、分割クランプ型の励磁コアとして薄帯状磁性体を採用することができる励磁コア、センサヘッド及び電流センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明の励磁コアは、帯状磁性体を備え、前記帯状磁性体の両端部が接触して環状に形成された励磁コアであって、前記帯状磁性体の両端部が厚さ方向に重ねられて接触していることを特徴とする。
【0011】
また、非磁性材料からなり、両端部が厚さ方向に重ねて接触して環状に形成された補強体をさらに備え、補強体は、両端部が接離自在に設けられ、帯状磁性体が、補強体上に設けられていてもよい。
【0012】
また、補強体には、貫通孔が形成され、帯状磁性体は、貫通孔に通され、その一端部が補強体の一端部の外面上に、他端部が補強体の他端部の内面上にそれぞれ設けられていてもよい。
【0013】
また、補強体は、段差部が設けられ、段差部よりも他端部側が段差部よりも一端部側に対して環状の外側に突出するように設けられ、段差部に、貫通孔が形成されていてもよい。
【0014】
また、補強体が、別部品で構成された第1補強部材及び第2補強部材から構成され、第1補強部材及び第2補強部材の一端部には、ヒンジ部が設けられ、軸を中心に揺動自在に取り付けられ、第1補強部材及び第2補強部材の他端部が、厚さ方向に重ねられていてもよい。
【0015】
また、帯状磁性体は、ヒンジ部の外側に設けられていてもよい。
【0016】
また、軸は、当該補強体の外面と内面との間に設けられていてもよい。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明のセンサヘッドは、上述した励磁コアと、帯状の第1集磁器及び第2集磁器から構成され、第1集磁器及び第2集磁器の両端部同士が接触して環状に形成され、補強体の内側又は外側に配置された集磁体と、を備えている。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の電流センサは、上述した励磁コアと、励磁コアに貫通された非測定対象物に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、帯状磁性体の両端部が厚さ方向に重ねられて接触している。これにより、帯状磁性体の開閉動作に対し、十分な接触面積を保つことができるため、クランプ型の励磁コアとして薄帯状磁性体を採用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
本発明の非接触型の電流センサの一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、
図1では、図が煩雑になることを避けるために帰還コイル7は、コア部20L、20Rの一部のみを巻いた状態を示すが、実際はコア部20L、20Rの円周方向に沿って全体を巻くのが一般的である。
【0022】
電流センサ1は、センサヘッド2と、電流検出手段としての電流検出回路10と、を備えている。センサヘッド2は、
図1及び
図2などに示すように、環状の励磁コア3Aと、励磁コア3Aに巻回された励磁コイル4と、励磁コア3Aの内側及び外側に設けられた集磁体としての内側集磁体5及び外側集磁体6と、これら励磁コア3A、励磁コイル4、内側集磁体5及び外側集磁体6を収容する図示しないケースと、図示しないケースに巻回された帰還コイル7と、を備えている。励磁コア3Aの中心には、電線などの被測定対象物8が通されている。
【0023】
また、電流検出回路10は、励磁回路11と、検波回路12と、LPF回路13と、増幅回路14と、帰還回路15と、I/V回路16と、を備えている。励磁コイル4は、励磁回路11と接続されており、交流励磁電流により交流的に励磁される。励磁コイル4の励磁電圧もしくは励磁電流は、被測定対象物8に流れる電流(以下被測定電流)の作用により変化する。検波回路12はその励磁電圧もしくは励磁電流の変化を検出し、LPF回路13を通すことにより、被測定電流に比例した信号を得る。
【0024】
続いて、この信号を増幅回路14で増幅し、帰還回路15を経由して帰還コイル7に流れる電流を生む。帰還コイル7に流れる電流により帰還コイル7内部に磁界を発生させ、結果として、励磁コア3A、内側集磁体5、外側集磁体6に磁束を生じる。帰還コイル7の巻き線の方向は、帰還コイル7に流れる電流による磁束が、被測定電流により生じた磁束を打ち消す作用をする向きである。そのため、この構成により、帰還コイル7内部の励磁コア3A、内側集磁体5、外側集磁体6の磁束はほぼゼロになり、帰還コイル7に流れる電流が被測定電流に比例する為、帰還コイル7に流れる電流をI/V回路16により電流電圧変換して、最終的な被測定電流の推定値であるところの、出力電圧を得る。
【0025】
次に、上記励磁コア3Aの構成について
図3〜
図6を参照して以下説明する。励磁コア3Aは、補強体3A1と、帯状磁性体3A2と、を備えている。補強体3A1は、帯状の非磁性材料(例えばプラスチック)からなり、両端部が厚さ方向に重ねて接触して円環状に形成されている。補強体3A1は、別部品で構成された第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12から構成されている。第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12は各々、半円に沿った略U字状に形成されている。第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の一端部T11及びT21には、ヒンジ部3A13が設けられている。
【0026】
ヒンジ部3A13は、
図6に示すように、第2補強部材3A12の一端部T21に設けられた軸部3A14と、第1補強部材3A11の一端部T11に設けられた軸受部3A15と、から構成されている。軸部3A14は、略円柱状に設けられ、第2補強部材3A12の一端部T21の端面にその軸方向が幅方向に沿うように突設されている。軸受部3A15は、第1補強部材3A11の一端部T11の端面に凹状に形成され、軸部3A14が挿入される。これにより、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12は軸受部3A15を中心に回転自在となり、その他端部T12、T22が環状の中心周りに接離自在となる。
【0027】
第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の他端部T12及びT22は、補強体3A1の両端部に相当し、近づけると、
図4に示すように、厚さ方向に重ねられる。本実施形態では、第1補強部材3A11の他端部T12の外面上に第2補強部材3A12の他端部T22の内面が重ねられている。以下、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の他端部T12及びT22が厚さ方向に重ねられて環状の励磁コア3Aを形成した状態を「クランプ」又は「閉」といい、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の他端部T12及びT22が離れた状態を「非クランプ」又は「開」という。
【0028】
第2補強部材3A12にはその中間に段差部3A17が設けられている。そして、第2補強部材3A12の段差部3A17よりも他端部T22側は、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の段差部3A17よりも一端部T21に対して環状の外側に突出して設けられている。即ち、第1補強部材3A11と、第2補強部材3A12の段差部3A17よりも一端部T21側と、は同じ径の円に沿って設けられている。一方、第2補強部材3A12の段差部3A17の他端部T22側は、第1補強部材3A11や第2補強部材3A12の段差部3A17よりも一端部T21側に対して大きい径の円に沿って設けられている。
【0029】
本実施形態では、第2補強部材3A12の段差部3A17の他端部T22側の内面と、第1補強部材3A11の外面及び第2補強部材3A12の段差部3A17よりも一端部T21側の外面と、が同じ径の円に沿うように設けられている。そして、この段差部3A17には、環状の中心周りに沿って貫通する貫通孔3A16が設けられている。貫通孔3A16は、補強体3A1の幅方向に沿って長尺の長方形状に設けられている。
【0030】
帯状磁性体3A2は、軟磁性材料から構成され、例えばその厚さが100μm以下の薄帯形状(リボン形状)であり、柔軟性がある。帯状磁性体3A2は、補強体3A1の両端部間に亘って設けられる。帯状磁性体3A2は、貫通孔3A16を通って段差部3A17よりも他端部T22側の第2補強部材3A12の内面上、段差部3A17よりも一端部T21側の第2補強部材3A12及び第1補強部材3A11の外面上に這わせる、或いは、貼り付けて設けられている。
【0031】
詳しく説明すると、帯状磁性体3A2は、貫通孔3A16に通され、その一端部T31が第1補強部材3A11の他端部T12の外面上に設けられ、その他端部T32が第2補強部材3A12の他端部T22の内面上に設けられている。これにより、
図4に示すように、補強体3A1の両端部(即ち、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の他端部T12及びT22)が重ねられると、帯状磁性体3A2の両端も厚さ方向に重ねられて接触する。
【0032】
内側集磁体5は、
図7に示すように、2分割された第1集磁器としての第1内側集磁器51及び第2集磁器としての第2内側集磁器52から構成されている。第1内側集磁器51及び第2内側集磁器52は帯板状に設けられ、長手方向の両端部が厚さ方向に相対するようにU字状に形成されている。内側集磁体5は、第1内側集磁器51及び第2内側集磁器52の両端部同士が接触して円環状に形成されている。
【0033】
外側集磁体6は、2分割された第1集磁器としての第1外側集磁器61及び第2集磁器としての第2外側集磁器62から構成されている。第1外側集磁器61及び第2外側集磁器62は帯板状に設けられ、長手方向の両端部が相対するようにU字状に形成されている。外側集磁体6は、第1外側集磁器61及び第2外側集磁器62の両端部同士が接触して円形の環状に形成されている。
【0034】
なお、上述した第1補強部材3A11、第2補強部材3A12の他端部T12及びT22、第1内側集磁器51、第2内側集磁器52の両端部、第1外側集磁器61、第2外側集磁器62の両端部の両端部は、円弧状に形成せず、直線状(平板状)に形成してもよい。
【0035】
また、上述した第1補強部材3A11、第1補強部材3A11上の帯状磁性体3A2、第1内側集磁器51及び第1外側集磁器61が左コア部20Lを構成し、第2補強部材3A12、第2補強部材3A12上の帯状磁性体3A2、第2内側集磁器52及び第2外側集磁器62が右コア部20Rを構成している。
【0036】
以上の構成によれば、
図5及び
図7に示すように、補強体3A1の厚さ方向に重なっている両端部を離すように軸部3A14を中心に第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12を回転する。これにより、補強体3A1の両端及び当該補強体3A1上に設けられた帯状磁性体3A2の両端部が離れて、非クランプ状態となる。この時、
図7に示すように、第1内側集磁器51及び第2内側集磁器52、第1外側集磁器61及び第2外側集磁器62は、その両端が上記補強体3A1の動きを許容するようにその両端が互いに離れる。その後、離れた補強体3A1の両端間の隙間から被測定対象物8を通した後、補強体3A1の両端部を近づけるように軸部3A14を中心に第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12を回転すると、
図3及び
図4に示すように、補強体3A1の両端部及び帯状磁性体3A2の両端が厚さ方向に重ねられて、クランプ状態となる。
【0037】
この時、
図1に示すように、第1内側集磁器51及び第2内側集磁器52、第1外側集磁器61及び第2外側集磁器62もその両端が近づけられる。
【0038】
上述した第1実施形態によれば、帯状磁性体3A2の両端部が厚さ方向に重ねられて接触している。これにより、帯状磁性体3A2の開閉動作に対し、十分な接触面積を保つことができるため、クランプ型の励磁コア3Aとして薄帯状磁性体3A2を採用することができる。また、帯状磁性体3A2が接触する箇所が1箇所であるため、1箇所だけの接触を良好にすればよく、センサ性能を容易に維持することができる。
【0039】
また、第1実施形態によれば、帯状磁性体3A2が、両端部が厚さ方向に重ねて接触して環状に形成されると共に、両端部が接離自在な補強体3A1上に設けられている。これにより、柔軟性のある帯状磁性体3A2であっても、形状を維持することができるため、励磁コア3Aの特性に影響を及ぼすことなく、機械的強度を図ることができる。
【0040】
また、第1実施形態によれば、帯状磁性体3A2は、貫通孔3A16に通され、その一端部T31が第1補強部材3A11の他端部T12(=補強体3A1の一端部)の外面上に、他端部T32が第2補強部材3A12の他端部T22(=補強体3A1の他端部)の内面上にそれぞれ設けられている。これにより、補強体3A1に貫通孔3A16を設けるだけで、簡単に帯状磁性体3A2の両端部が厚さ方向に重なるように、帯状磁性体3A2を支持することができる。
【0041】
また、第1実施形態によれば、補強体3A1は、段差部3A17が設けられている。また、第2補強部材3A12の段差部3A17よりも他端部T22側が、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の段差部3A17よりも一端部T21側に対して環状の外側に突出するように設けられている。また、段差部3A17に、貫通孔3A16が形成されている。これにより、帯状磁性体3A2を貫通孔3A16に通しても変形するのを防ぐことができ、励磁コア3Aの特性の向上を図ることできる。
【0042】
また、第2補強部材3A12の段差部3A17の他端部T22側の内面と、第1補強部材3A11の外面及び第2補強部材3A12の段差部3A17よりも一端部T21側の外面と、が同じ径の円に沿うように設けられている。これにより、貫通孔3A16を通しても帯状磁性体3A2の形状を円形に保つことができる。
【0043】
また、第1実施形態によれば、補強体3A1が、別部品で構成された第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12から構成され、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の一端部T11及びT21には、ヒンジ部3A13が設けられ、軸部3A14を中心に揺動自在に取り付けられ、第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の他端部T12及びT22が、厚さ方向に重ねられている。これにより、簡単な構成で帯状磁性体3A2を保持して、その両端部を開閉する構成にできる。
【0044】
ところで、上述した第1実施形態において、
図8及び
図9に示すように、軸部3A14を挟んだ第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の外面上の2点をA、Bとし、内側面上の2点をA´、B´とする。そして、クランプ時の2点A、B間の距離をL
CAB、2点A´、B´間の距離をL
CA´B´とし(
図8参照)、非クランプ時の2点A、B間の距離をL
OAB、2点A´、B´間の距離をL
OA´B´とする。これら距離には下記のような不等式(1)、(2)が成り立つ。
L
CAB>L
OAB …(1)
L
CA´B´<L
OA´B´ …(2)
【0045】
即ち、ヒンジ部3A13の外面上に帯状磁性体3A2が設け、軸部3A14を、補強体3A1の内面と外面との間に設けることにより、上記式(1)、(2)が成り立つ。これにより、
図11に示すように、非クランプ時において、帯状磁性体3A2には、補強体3A1に沿えない変形(たわみ)Dが発生する。しかしながら、
図10に示すように、クランプ時において、帯状磁性体3A2には、補強体3A1に沿って配置され、変形(たわみ)Dが発生することがない。これにより、クランプ時に帯状磁性体3A2の形状を対称にすることができる。このため、被測定対象物8の帯状磁性体3A2の中心からの位置ズレや、外部磁界の影響に強くなり、センサ性能を向上させることができる。なお、上述した
図8〜
図11及びこれから説明する
図12〜
図17については、説明を簡単にするために段差部3A17を省略している。
【0046】
また、上述した実施形態によれば、補強体3A1に段差部3A17を設けていたが、これに限ったものではない。段差部3A17は必須ではなく、補強体3A1に径方向に沿った貫通孔3A16を設けてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、ヒンジ部3A13の外面上に帯状磁性体3A2が設けられていたが、
図12及び
図13に示すように、ヒンジ部3A13の内面上に帯状磁性体3A2が設けられていてもよい。この場合、貫通孔3A16は、第1補強部材3A11に設けられている。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、補強体3A1の内面と外面との間に軸部3A14が設けられていたが、これに限ったものではない。
図14及び
図15に示すように、補強体3A1の外面よりも外側に軸部3A14を設けてもよい。
【0049】
また、
図16及び
図17に示すように、補強体3A1の内面よりも内側に軸部3A14を設けてもよい。なお、この場合、距離L
CAB、L
CA´B´、L
OAB、L
OA´B´には下記のような不等式(3)、(4)が成り立つ。
L
CAB>L
OAB …(3)
L
CA´B´>L
OA´B´ …(4)
【0050】
この場合、帯状磁性体3A2を第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12の一端部T11及びT21の外面に設けても、内面に設けても、非クランプ時に変形Dが発生し、クランプ時に変形Dが発生することがない。
【0051】
また、上述した第1実施形態では、補強体3A1を2部材の第1補強部材3A11及び第2補強部材3A12から構成して、ヒンジ部3A13によって補強体3A1の両端部を接離自在に設けていたが、これに限ったものではない。補強体3A1をある程度弾性のある材料で設ければ、ヒンジ部3A13がなくても補強体3A1の両端部を接離自在にすることができる。また、補強体3A1の一部を薄くして変形自在にすれば、ヒンジ部3A13がなくても補強体3A1の両端部を接離自在にすることができる。
【0052】
また、上述した第1実施形態では、励磁コア3Aが1つの例について説明したが、これに限ったものではない。励磁コア3Aを複数、帯幅方向に並べ、複数の励磁コア3Aの中心に被測定対象物8を通すようにしてもよい。この場合は、検波回路12は、各励磁コア3Aに巻回された励磁コイル4の励磁電圧もしくは励磁電流を加算して、LPF回路13を通す。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における非接触型の電流センサ1について
図18〜
図20を参照して説明する。第1実施形態と第2実施形態とで異なる点は、励磁コア3Bの構成である。励磁コア3B以外の部分は、第1実施形態と同様であるためここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
励磁コア3Bは、補強体3B1と、帯状磁性体3B2と、を備えている。補強体3B1は、帯状の非磁性材料(例えばプラスチック)からなり、両端部が厚さ方向に重ねて接触して矩形の環状に形成されている。補強体3B1は、磁性材料(例えばプラスチック)からなるU字状の第1補強部材3B11と、第2補強部材3B12と、から構成されている。第1補強部材3B11及び第2補強部材3B12の一端部T11及びT21には、ヒンジ部3B13が設けられている。ヒンジ部3B13は、第1実施形態のヒンジ部3A13と同様に、軸部3B14及び軸受部3B15から構成されている。また、第2補強部材3B12には、第1実施形態の段差部3A17と同様に、段差部3B17が設けられ、段差部3B17に帯状磁性体3B2を通す貫通孔3B16が形成されている。このように、補強体3B1、帯状磁性体3B2としては、矩形の環状に形成してもよい。
【0055】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態における非接触型の電流センサ1について
図21を参照して説明する。第1実施形態と第2実施形態とで異なる点は、励磁コア3Cの構成である。励磁コア3C以外の部分は、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
第1実施形態では、補強体3A1に貫通孔3A16を設けていたが、
図21に示す補強体3A1には貫通孔3A16が設けられていない。
【0057】
励磁コア3Cは、補強体3C1と、帯状磁性体3C2と、を備えている。補強体3C1は、磁性材料(例えばプラスチック)からなるU字状の第1内側補強部材3C11及び第1外側補強部材3C12と、第2内側補強部材3C13及び第2外側補強部材3C14から構成されている。これら補強部材3C11〜3C14は各々、半円に沿った略U字状に形成されている。第1内側補強部材3C11及び第2内側補強部材3C13の一端部T11及びT21には、ヒンジ部3C15が設けられている。ヒンジ部3C15は、第1実施形態のヒンジ部3A13と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0058】
帯状磁性体3C2は、上記第1内側補強部材3C11及び第2内側補強部材3C13の外面上に設けられている。第1外側補強部材3C12は、第1内側補強部材3C11との間に帯状磁性体3C2を挟んで保持する。第1外側補強部材3C12の他端部T12は、第1内側補強部材3C11の他端部T12よりも一端部T11側に設けられている。これにより、第1内側補強部材3C11の他端部T12に設けられた帯状磁性体3C2の外面が露出する
【0059】
第2外側補強部材3C14は、第2内側補強部材3C13との間に帯状磁性体3C2を挟んで保持する。第2外側補強部材3C14の他端部T22は、第2内側補強部材3C13の他端部T22よりも一端部T21側に設けられている。これにより、第2外側補強部材3C14の他端部T22に設けられた帯状磁性体3C2の内面が露出する
【0060】
以上の構成によれば、貫通孔を設けなくても、補強部材3C11〜3C14がヒンジ部3C15を中心に回転して、帯状磁性体3C2の両端部を近づけて厚さ方向に重ねたり、帯状磁性体3C2の両端部を離したりすることができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。