(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-165634(P2018-165634A)
(43)【公開日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
G01V 8/12 20060101AFI20180928BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20180928BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20180928BHJP
G01N 21/35 20140101ALI20180928BHJP
【FI】
G01V9/04 A
G01N23/04
G01N23/18
G01N21/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-62258(P2017-62258)
(22)【出願日】2017年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツインフィビス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金野 有真
【テーマコード(参考)】
2G001
2G059
2G105
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA08
2G001HA06
2G001JA09
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB15
2G059BB20
2G059DD12
2G059EE06
2G059FF04
2G059HH01
2G059KK09
2G059MM05
2G059NN01
2G059PP02
2G105AA01
2G105BB16
2G105EE06
2G105GG01
2G105GG03
2G105HH02
2G105JJ05
2G105KK02
2G105KK03
(57)【要約】
【課題】搬入口に侵入する被検査物と人体との区別をより正確に行って、人体への安全を図ることができるX線検査装置を提供すること。
【解決手段】X線検査装置は、搬入口7または搬出口を監視領域Sとし、監視領域Sを通過する物体を検出するセンサ60と、センサ60により検出された物体が人体Hであるか否かを判別し、物体が人体Hであると判別された場合、X線発生器から照射されるX線照射量を所定量未満に制御する制御部と、を備える。制御部は、監視領域の温度変化に基づいて、物体が人体Hであると判別する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入口(7)から搬入される被検査物(W)に対し、X線発生器(9)からX線を照射してX線の透過量をX線検出器(10)で検出し、搬出口(8)から前記被検査物を搬出するX線検査装置(1)であって、
前記搬入口または前記搬出口を監視領域(S)とし、前記監視領域を通過する物体を検出する物体検出部(60)と、
前記検出部により検出された物体が人体であるか否かを判別する人体判別部(46)と、
前記人体判別部により前記物体が前記人体であると判別された場合、前記X線発生器から照射されるX線照射量を所定量未満に制御するX線照射量制御部(46)と、を備え、
前記人体判別部は、前記監視領域の温度変化に基づいて、前記物体が人体であると判別することを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記人体判別部は、前記監視領域の温度変化が前記被検査物のみが通過するときの温度変化のパターンと異なるときに、前記物体が人体であると判別することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記人体判別部は、前記監視領域の温度変化に基づく前記物体の移動速度が、前記被検査物の搬送速度と異なる場合、前記物体が人体であると判別することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記人体判別部は、前記物体の移動速度が、前記被検査物の搬送方向と異なる方向の成分を含む場合、前記物体が人体であると判別することを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記物体検出部は、前記監視領域を通過する物体を、前記物体が放射する赤外線により検出することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記物体検出部および前記人体判別部は、焦電型人感センサからなり、
前記焦電型人感センサは、前記被検査物の搬送方向と直交する方向への前記物体の移動に対して高い検出感度を有することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項7】
警報を発生する警報部(41、46)を備え、
前記警報部は、前記人体判別部により前記物体が前記人体であると判別された場合、前記警報を発生することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いて被検査物を検査するX線検査装置に関し、特に、被検査物を搬送しながらX線の照射を行うX線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線検査装置は、搬送路上を所定間隔で順次搬送されてくる各品種の被検査物(例えば、肉、魚、加工食品、医薬品など)にX線発生器からX線を照射し、被検査物を透過したX線の透過量をX線ラインセンサで検出することで、被検査物中の異物(金属、ガラス、石、骨など)や欠陥の有無を判定し、被検査物の良否判定を行っている。
【0003】
この種のX線検査装置において、搬送路への人体の侵入を検知してX線発生器からのX線照射量を制御することで、人体の安全を図るようにしたものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のものは、投受光素子により監視領域を通過する物体を検出し、その物体が通過する通過時間から人体と判別している。また、赤外線センサにより物体から放出される赤外線を吸収してその熱エネルギーを熱電変換させた信号のレベルがしきい値以上であれば人体と判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−311699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のX線検査装置にあっては、投受光素子の通過時間による判別では、被検査物が絶え間なく搬送される場合などで物体の通過時間を検出できないことがある。また、赤外線センサの熱エネルギーの検出による判別では、検査物の温度が人体の体温に近い場合、被検査物と人体とを識別することができず、被検査物を人体であると誤検出してしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、搬入口に侵入する被検査物と人体との区別をより正確に行って、人体への安全を図ることができるX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るX線検査装置は、搬入口から搬入される被検査物に対し、X線発生器からX線を照射してX線の透過量をX線検出器で検出し、搬出口から前記被検査物を搬出するX線検査装置であって、前記搬入口または前記搬出口を監視領域とし、前記監視領域を通過する物体を検出する物体検出部と、前記検出部により検出された物体が人体であるか否かを判別する人体判別部と、前記人体判別部により前記物体が前記人体であると判別された場合、前記X線発生器から照射されるX線照射量を所定量未満に制御するX線照射量制御部と、を備え、前記人体判別部は、前記監視領域の温度変化に基づいて、前記物体が人体であると判別することを特徴とする。
【0008】
上記構成とすることで、物体が監視領域を通過したときの監視領域の温度変化によって、監視領域を通過する物体が人体であるかの判別を行うので、被検査物を人体と判断する誤検出を防止でき、搬入口に侵入する被検査物と人体との区別をより正確に行って、人体への安全を図ることができる。
【0009】
本発明に係るX線検査装置において、前記人体判別部は、前記監視領域の温度変化が前記被検査物のみが通過するときの温度変化のパターンと異なるときに、前記物体が人体であると判別することを特徴とする。
【0010】
これにより、被検査物が通過する温度変化のパターン以外である場合に人体と判別するので、被検査物を人体と判別することなく、より確かに人体への安全を図ることができる。
【0011】
本発明に係るX線検査装置において、前記人体判別部は、前記物体の移動速度が、前記被検査物の搬送速度と異なる場合、前記物体が人体であると判別することを特徴とする。
【0012】
これにより、被検査物の既知の搬送速度と物体の移動速度を比較し、物体の移動速度が被検査物の搬送速度と異なる場合に、物体が人体であると判別することで、被検査物を人体であると誤検出することをより確実に防止でき、人体への安全を図ることができる。
【0013】
本発明に係るX線検査装置において、前記人体判別部は、前記物体の移動速度が、前記被検査物の搬送方向と異なる方向の成分を含む場合、前記物体が人体であると判別することを特徴とする。
【0014】
これにより、被検査物の移動速度が未知であっても、被検査物を人体であると誤検出することを確実に防止でき、人体への安全を図ることができる。
【0015】
本発明に係るX線検査装置において、前記物体検出部は、前記監視領域を通過する物体を、前記物体が放射する赤外線により検出することを特徴とする。
【0016】
これにより、低温の被検査物が監視領域を通過する場合は被検査物が検出されず、人体が監視領域を通過する場合は、人体の放射する赤外線により人体が検出されるので、人体の検出精度を向上させることができる。
【0017】
本発明に係るX線検査装置において、前記物体検出部および前記人体判別部は、焦電型人感センサからなり、前記焦電型人感センサは、前記被検査物の搬送方向と直交する方向への前記物体の移動に対して高い検出感度を有することを特徴とする。
【0018】
これにより、焦電型人感センサは、背景より高温でかつ移動している物体に対して検出信号を発生するため、被検査物を人体であると誤検出することを低減できる。
【0019】
本発明に係るX線検査装置は、警報を発生する警報部を備え、前記制御部は、前記人体判別部により前記物体が前記人体であると判別された場合、警報を発生することを特徴とする。
【0020】
これにより、オペレータの搬入口または搬出口への侵入を速やかに停止させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、搬入口に侵入する被検査物と人体との区別をより正確に行って、人体への安全を図ることができるX線検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の側面および内部構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、構成を説明する。
【0024】
図1において、X線検査装置1は、搬送部2と検査部3とを筐体4の内部に備えており、表示操作部41を筐体4の前面上部に備えている。
【0025】
搬送部2は、本発明の被検査物を構成する被検査物Wを、所定間隔をおいて順次搬送するものであり、搬送部2は、例えば、筐体4の内部で水平に配置されたベルトコンベアにより構成されている。
【0026】
搬送部2は、
図1に示す駆動モータ6の駆動により予め設定された搬送速度で搬入口7から搬入された被検査物Wを、搬出口8側(
図1中、X+方向)に向けて搬送面としてのベルト面2a上を搬送させる。筐体4の内部において、ベルト面2a上を搬入口7から搬出口8まで貫通する空間は、搬送路21を形成する。
【0027】
検査部3は、順次搬送される被検査物Wに対し、搬送路21の途中の検査空間22においてX線を照射するとともに被検査物Wを透過するX線を検出するものであり、搬送路21の途中の検査空間22の上方に所定高さで離隔して配置されたX線発生器9と、搬送部2内にX線発生器9と対向して配置されたX線検出器10とを備えている。
【0028】
X線発生器9は、金属製の箱体11の内部に設けられた円筒状のX線管12を図示しない絶縁油に浸漬した構成を有しており、X線管12の陰極からの電子ビームを陽極のターゲットに照射させてX線を生成している。
【0029】
X線管12は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(X軸方向)となるよう配置されている。X線管12により生成されたX線は、下方のX線検出器10に向けて、図示しないスリットにより略三角形状のスクリーン状となって搬送方向(X軸方向)を横切るように、Z−方向に照射される。
【0030】
図2に示すように、X線発生器9から照射されるX線は、下方のX線検出器10に到達するようになっており、X線検出器10は、X線を検出するためのX線ラインセンサ51を備えている。X線ラインセンサ51は、図示しないシンチレータおよびフォトダイオードアレイを備えている。X線ラインセンサ51は、被検査物Wを透過したX線をシンチレータで光に変換し、この光をフォトダイオードアレイで電気信号に変換して透過画像(X線画像)を出力する。このように、検査部3は、被検査物Wに対してX線発生器9からX線を照射し、X線の透過量をX線検出器10で検出している。
【0031】
搬送路21内の天井部21aには、搬送方向(X軸方向)に沿って複数個所(本実施形態では4箇所)にX線遮蔽用の遮蔽カーテン16が吊り下げ配置されている。遮蔽カーテン16は、X線を遮蔽する鉛粉を混入したゴムシートをのれん状(上部が繋がっており下部が帯状に分割された状態)に加工したものから構成されており、遮蔽カーテン16は、検査空間22から搬送路21を介してX線が筐体4の外部に漏洩することを防止する。
【0032】
遮蔽カーテン16は、本実施形態では、搬入口7と検査空間22との間、および検査空間22と搬出口8との間にそれぞれ2枚ずつ設けられており、1つの遮蔽カーテン16が被検査物Wと接触して弾性変形して隙間が生じた場合でも、他の遮蔽カーテン16がX線を遮蔽するので、漏洩基準量を超えることなくX線の漏洩を防止できる。本実施形態のX線検査装置1は、搬送路21における遮蔽カーテン16により囲まれた内側の空間が検査空間22を構成している。
【0033】
X線検査装置1は、検査処理部40と表示操作部41とを備えている。検査処理部40は、X線検出器10からの透過画像が入力されるとともに被検査物W中の異物や欠陥の有無を検査するようになっている。
【0034】
図2において、検査処理部40は、X線画像記憶部42、画像処理部43、判定部44および制御部46を備えている。
【0035】
X線画像記憶部42は、X線検出器10から受け取ったX線画像を一時的に記憶する。画像処理部43は、X線画像記憶部42から読み出した透過画像に対して特徴抽出や異物強調のためのフィルタ処理等の画像処理を施し、画像処理済の画像を検査画像として出力する。
【0036】
判定部44は、画像処理部43によって画像処理済の検査画像と予め設定された検出リミット値とを比較し、この比較結果に基づいて被検査物Wの異物混入や欠陥の有無を判定している。そして、判定部44は、画像処理済の検査画像が検出リミット値を超えたときに、その被検査物Wが不良品であると判断する。
【0037】
制御部46は、CPUおよび制御プログラムの記憶領域または作業領域としてのメモリなどを有しており、X線検査装置1の全体を制御するようになっている。制御部46の制御内容には、搬入口7または搬出口8への人体の侵入を検知する動作と、侵入を検知した場合にX線発生器9のX線出力を低減する動作が含まれる。
【0038】
表示操作部41は、タッチパネルとして構成されており、検査処理部40による検査結果等を表示する表示部と、検査処理部40への各種パラメータ等の設定のための入力等の操作を行う操作部とが一体的に設けられている。表示操作部41は、本発明における表示器および操作部を構成する。
【0039】
このようなX線検査装置1において、人体(オペレータの手)が搬入口7または搬出口8から検査空間22側に侵入した場合、人体にX線が照射されてしまう。そこで、本実施の形態では、搬入口7および搬出口8の上部に物体検出部としてのセンサ60(
図3参照)を設け、このセンサ60により人体を検知した場合にX線発生器9のX線照射量を低減するようにしている。なお、搬入口7の上部と搬出口8の上部とでセンサ60の種類は同じであるため、以下、搬入口7の上部のセンサ60について説明する。
【0040】
図3、
図4、
図5において、センサ60は、物体が放射する赤外線により監視領域Sの温度変化を検出するセンサからなる。センサ60は、前段のコンベア20の上面20Aの上方の空間が監視領域Sとなる姿勢で、搬入口7の上方における筐体4の外壁に設置されている。監視領域Sは、底面が楕円形の略円錐形状の空間である。
【0041】
図3、
図4、
図5において、被検査物Wは一定の搬送速度Vwで搬送方向(X+方向)に搬送されている。また、この被検査物Wを取ろうとする人体H(オペレータの手)が、監視領域Sに対してコンベア20の内側の下方(Y+方向かつZ−方向)に、移動速度Vhで移動している。
【0042】
ここで、前段のコンベア20の搬送速度とX線検査装置1の搬送部2の搬送速度とは等しくされているから、搬送部2を制御する制御部46にとって、コンベア20を搬送される被検査物Wの搬送速度は既知の値である。このため、コンベア20により被検査物Wのみが規定の搬送速度で搬送されるときは、搬送速度に応じた一定の温度変化のパターンがセンサ60により検出される。また、監視領域Sに人体Hが侵入したときは、これとは異なる温度変化が検出される。
【0043】
したがって、センサ60が検知した監視領域Sの温度変化が、被検査物Wのみが規定の搬送速度で搬送されるときの温度変化のパターンと異なっている場合、この物体が被検査物Wではなく、人体Hであると判別できる。
【0044】
そこで、
図6に示すように、制御部46は、監視領域Sの温度変化が被検査物Wのみが通過するときの温度変化のパターンと異なるか否かの判別を繰り返す(ステップS1)。そして、被検査物Wのみが通過するときの温度変化のパターンと異なる場合、制御部46は、物体が人体Hであると判別し、X線発生器9のX線照射量を所定量以下に低下させる(ステップS2)。その後、制御部46は、表示操作部41に警報を発生させる(ステップS3)。このように、制御部46は、本発明における人体判別部およびX線照射量制御部を構成する。また、表示操作部41および制御部46は本発明における警報部を構成する。
【0045】
ここで、センサ60として、監視領域Sを複数の赤外線検知エリアに細分化し、赤外線熱源の移動位置や移動速度等の情報を時系列的に正確に検知する焦電型赤外線センサを用いることが好ましい。この焦電型赤外線センサは、二次元的に配設された複数の赤外線の変化を検知する焦電素子から構成されており、各焦電素子が検知した赤外線熱源の位置と検知タイミングとにより、制御部46が赤外線熱源の位置、移動速度、移動方向等を求め、赤外線熱源の移動速度や移動パターンから監視領域Sを通過する物体に対し被検査物Wと人体Hとを区別することができる。
【0046】
また、センサ60として、物体から赤外線(熱)の変化を検知する焦電型人感センサを用いるようにしてもよい。この焦電型人感センサを用いることで、物体を検出する機能と人体を判別する機能をセンサ60に集約でき、センサ60が単独で、監視領域Sを通過する物体を検出し、その物体の移動に伴う温度変化に基づいて物体が人体Hであると判別することができる。焦電型人感センサとして、例えば、パナソニック株式会社製の焦電型赤外線人感センサAMN32111を用いることができる。また、焦電型人感センサとして、被検査物Wの搬送方向と直交する方向への物体の移動に対して高い検出感度を有する特性のものを採用することが好ましい。
【0047】
また、制御部46は、監視領域Sの温度変化に基づく物体の移動速度が、被検査物Wの搬送速度と異なる場合、物体が人体Hであると判別してもよい。
【0048】
ここで、被検査物Wの移動速度や移動方向が未知であっても、制御部46は、物体の移動速度の方向成分から被検査物Wであるか否かを判別可能である。したがって、制御部46は、被検査物Wの搬送速度と比較することなく、物体の移動速度に基づいて、物体が人体Hであると判別してもよい。
【0049】
また、制御部46は、物体の移動速度が、被検査物Wの搬送方向(X+方向)と異なる方向(例えば、Y+方向またはZ−方向)の成分を含む場合、物体が人体Hであると判別してもよい。
【0050】
このように、本実施形態のX線検査装置1は、搬入口7または搬出口8を監視領域Sとし、監視領域Sを通過する物体を検出するセンサ60と、センサ60により検出された物体が人体Hであるか否かを判別し、物体が人体Hであると判別された場合、X線発生器9から照射されるX線照射量を所定量未満に制御する制御部46と、を備える。そして、制御部46は、監視領域Sの温度変化に基づいて、物体が人体Hであると判別する。
【0051】
上記構成とすることで、物体が監視領域Sを通過したときの監視領域Sの温度変化によって、監視領域Sを通過する物体が人体Hであるかの判別を行うので、被検査物Wを人体Hと判断する誤検出を防止でき、搬入口7に侵入する被検査物Wと人体Hとの区別をより正確に行って、人体Hへの安全を図ることができる。
【0052】
本発明に係るX線検査装置1において、制御部46は、監視領域Sの温度変化が被検査物Wのみが通過するときの温度変化のパターンと異なるときに、物体が人体Hであると判別する。
【0053】
これにより、被検査物Wのみが通過する温度変化のパターン以外である場合に人体Hと判別するので、被検査物Wを人体Hと判別することなく、より確かに人体Hへの安全を図ることができる。
【0054】
本実施形態のX線検査装置1において、制御部46、監視領域Sの温度変化に基づく物体の移動速度が、被検査物Wの搬送速度と異なる場合、物体が人体Hであると判別する。
【0055】
これにより、被検査物Wの既知の搬送速度と物体の移動速度を比較し、物体の移動速度が被検査物Wの搬送速度と異なる場合に、物体が人体Hであると判別することで、被検査物Wを人体Hであると誤検出することをより確実に防止でき、人体Hへの安全を図ることができる。
【0056】
本実施形態のX線検査装置1において、制御部46は、物体の移動速度が、被検査物Wの搬送方向と異なる方向の成分を含む場合、物体が人体Hであると判別する。
【0057】
これにより、被検査物Wの移動速度が未知であっても、被検査物Wを人体Hであると誤検出することを確実に防止でき、人体Hへの安全を図ることができる。
【0058】
本実施形態のX線検査装置1において、センサ60は、監視領域Sを通過する物体を、物体が放射する赤外線により検出する。
【0059】
これにより、低温の被検査物Wが監視領域Sを通過する場合は被検査物Wが検出されず、人体Hが監視領域Sを通過する場合は、人体Hの放射する赤外線により人体Hが検出されるので、人体Hの検出精度を向上させることができる。
【0060】
本実施形態のX線検査装置1において、センサ60は、物体の検出と人体の判別を行う焦電型人感センサからなり、焦電型人感センサは、被検査物Wの搬送方向と直交する方向への物体の移動に対して高い検出感度を有する。
【0061】
これにより、焦電型人感センサは、背景より高温でかつ移動している物体に対して検出信号を発生するため、被検査物Wを人体Hであると誤検出することを低減できる。
【0062】
本実施形態のX線検査装置1は、警報を発生する表示操作部41を備え、制御部46は、物体が人体Hであると判別された場合、表示操作部41に警報を発生させる。
【0063】
これにより、オペレータの搬入口7または搬出口8への侵入を速やかに停止させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係るX線検査装置は、搬入口に侵入する被検査物と人体との区別をより正確に行って、人体への安全を図ることができるという効果を有し、被検査物を搬送しながらX線の照射を行うX線検査装置として有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 X線検査装置
7 搬入口
8 搬出口
9 X線発生器
10 X線検出器
41 表示操作部(警報部)
46 制御部(人体判別部、X線照射量制御部、警報部)
60 センサ(物体検出部、焦電型人感センサ)
H 人体
S 監視領域
W 被検査物