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特開2018-165910情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-165910(P2018-165910A)
(43)【公開日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20180928BHJP
【FI】
   G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-63008(P2017-63008)
(22)【出願日】2017年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】507417422
【氏名又は名称】株式会社 ゆうちょ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 繁雄
(72)【発明者】
【氏名】藤原 浩太郎
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB24
(57)【要約】
【課題】利用期限を経過した不稼働口座の管理負担を軽減する技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、利用者が開設する口座に対し、利用期限を設定する利用期限管理手段と、利用者に口座の残高を返金する返金方法の登録を受け付ける返金方法受付手段と、利用期限の経過後、返金方法に応じて、口座の残高を利用者に返金する返金処理手段と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が開設する口座に対し、利用期限を設定する利用期限管理手段と、
前記利用者に前記口座の残高を返金する返金方法の登録を受け付ける返金方法受付手段と、
前記利用期限の経過後、前記返金方法に応じて、前記口座の残高を前記利用者に返金する返金処理手段と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記口座の閉鎖の可否を判定する口座閉鎖管理手段をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記利用期限管理手段は、前記利用期限までの期間が所定期間以下となった場合に、前記利用期限を前記利用者に通知する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記返金処理手段は、前記返金方法が前記利用者が指定する返金先口座への送金である場合に、前記返金先口座の返金処理に対する受入可否を判定し、受入可と判定された場合、前記返金先口座に前記口座の残高を送金する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記返金処理手段は、前記返金先口座が前記返金処理の受入不可と判定された場合、提携金融機関の所定口座に前記口座の残高を送金し、前記利用者への返金を前記提携金融機関に委託する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記返金処理手段は、前記返金先口座が前記返金処理の受入不可と判定された場合、金融機関が前記口座の残高を管理する返金管理口座において、前記利用者の前記口座の残高を返金番号と対応づけて管理し、前記利用者に前記返金番号を通知する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記返金方法受付手段は、前記返金方法とともに返金期限の情報を受け付け、
前記返金処理手段は、前記返金期限の経過後に前記口座の残高を前記利用者に返金し、
前記口座閉鎖管理手段は、前記返金処理手段が前記口座の残高を返金した後、前記口座を閉鎖する、
請求項2から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記利用期限管理手段は、前記利用者が前記口座を開設する際に提出する証明書の種別に応じて前記口座の前記利用期限を設定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記利用期限管理手段は、前記証明書の発行機関に設置されるサーバから前記利用期限に関連する情報を取得し、前記利用期限を更新する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
利用者が開設する口座に対し、利用期限を設定する利用期限管理ステップと、
前記利用者に前記口座の残高を返金する返金方法の登録を受け付ける返金方法受付ステップと、
前記利用期限の経過後、前記返金方法に応じて、前記口座の残高を前記利用者に返金す
る返金処理ステップと、
を実行する、
情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
利用者が開設する口座に対し、利用期限を設定する利用期限管理ステップと、
前記利用者に前記口座の残高を返金する返金方法の登録を受け付ける返金方法受付ステップと、
前記利用期限の経過後、前記返金方法に応じて、前記口座の残高を前記利用者に返金する返金処理ステップと、
を実行させる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関における銀行口座は、本人確認資料の提示を受け、口座の使用者を特定して開設される。開設後の銀行口座は、氏名又は住所等の届出事項に変更があった場合でも、所定の手続きを行うこと等により、有効期限等なく利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011−502311号公報
【特許文献2】特開2005−352526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用可能なまま使用されなくなった銀行口座は、不正に入手され、振り込め詐欺、インターネットバンキングでの不正送金等で受取口座に使われる場合がある。未使用口座の入手経路としては、例えば、留学又は出稼ぎ労働のため日本に入国した在留者が、在留期間経過後、自国に戻る際に不要となる通帳を譲渡する事例がある。また、在留者が自国に戻る際、開設した銀行口座を他人に譲渡しなければ、放置されて不稼働となる口座が増加し、不稼働口座の維持管理負担が発生する可能性がある。
【0005】
口座番号に有効期限を設定したり、指定期間後に閉鎖される臨時口座を開設したりする技術が提案されているが(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)、いずれも本口座に対応づけて開設されるため、臨時口座の利用期間経過後、残金は本口座に入金することが考えられる。一方、在留者が自国に戻る場合、在留者は、本口座も含めて閉鎖することになるため、返金を受けられなくなる可能性がある。また、在留者の口座は、本人からの申出がなければ利用期限が延長されず、不稼働口座について閉鎖の可否を判断するのが困難であった。さらに、不稼働口座が増加すると、金融機関による管理負担は増大する。
【0006】
そこで、本発明は、利用期限を経過した不稼働口座の管理負担を軽減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、利用期限が設定された口座の返金方法を受け付け、利用期限の経過後、返金方法に応じて口座の残高を利用者に返金することにした。
【0008】
詳細には、本発明は、情報処理装置であって、利用者が開設する口座に対し、利用期限を設定する利用期限管理手段と、利用者に口座の残高を返金する返金方法の登録を受け付ける返金方法受付手段と、利用期限の経過後、返金方法に応じて、口座の残高を利用者に返金する返金処理手段と、を備える。
【0009】
上記の情報処理装置であれば、開設する口座の利用期限を設定し返金方法を指定することで、利用期限が経過した後、利用者が指定した返金方法により口座の残高を返金することができる。したがって、返金方法が不明であることによる不稼働口座の管理負担が軽減される。
【0010】
また、情報処理装置は、口座の閉鎖の可否を判定する口座閉鎖管理手段をさらに備えるものであってもよい。このような情報処理装置であれば、口座の残高を返金することで、口座の閉鎖の可否を判定することができ、利用期限が設定された不稼働口座の管理負担が軽減される。また、口座の閉鎖の可否が判定することができれば、未使用口座の増加を抑制し、口座の不正取得も抑制することが可能となる。
【0011】
また、利用期限管理手段は、利用期限までの期間が所定期間以下となった場合に、利用期限を利用者に通知するようにしてもよい。このような利用期限管理手段であれば、利用者に口座の利用期限を通知することで、口座の継続又は解約の申出を利用者に促すことができる。利用期限管理手段は、例えば、口座の利用期限が近付いている旨が記載された電子メールを送信することにより、利用者に利用期限を通知することができる。なお、所定期間は、例えば6か月であって、利用期限管理手段は、利用期限までの期間が6か月以下となった場合に、利用期限を利用者に通知するようにしてもよい。
【0012】
また、返金処理手段は、返金方法が利用者が指定する返金先口座への送金である場合に、返金先口座の返金処理に対する受入可否を判定し、受入可と判定された場合、前記返金先口座に前記口座の残高を送金するようにしてもよい。このような返金処理手段であれば、利用者が指定した返金先口座の返金処理に対する受入可否を判定することによって、より確実に口座の残高を利用者に返金することができる。また、返金先口座が返金処理の受入不可の場合には、返金処理手段は、他の返金方法に変更することが可能となる。
【0013】
返金処理手段は、返金先口座が返金処理の受入不可と判定された場合、提携金融機関の所定口座に口座の残高を送金し、利用者への返金を提携金融機関に委託するようにしてもよい。提携金融機関は、海外の金融機関が想定される。上記の返金処理手段であれば、提携金融機関の所定口座、例えば海外送金に用いられる口座に残高を送金し、利用者の口座情報を通知して提携金融機関に返金処理を委託することで、利用者に口座の残金を返金することができる。
【0014】
返金処理手段は、返金先口座が返金処理の受入不可と判定された場合、金融機関が口座の残高を管理する返金管理口座において、利用者の口座の残高を返金番号と対応づけて管理し、利用者に返金番号を通知するようにしてもよい。このような返金処理手段であれば、利用者の口座とは別の口座で利用者の口座の残高を管理することができるため、利用者の口座には残金がない状態となり口座の閉鎖が可能となる。
【0015】
返金管理口座は、口座が閉鎖される場合に、利用者に返金がされなかった残高を管理するための口座である。返金管理口座は、閉鎖される口座ごとに返金番号を割り当て、口座の残高を返金番号と紐づけて管理する。返金番号は、例えば、利用者が指定する番号、又は利用者の口座に関する口座番号やパスワード等の口座情報、顧客情報を含む番号であってもよい。顧客情報は、例えば、他の金融商品を取り扱う顧客に関する情報である。閉鎖される口座の利用者は、口座が閉鎖された後であっても、返金番号を特定して返金を申出ることにより、残高の返金を受けることができる。
【0016】
返金方法受付手段は、返金方法とともに返金期限の情報を受け付け、返金処理手段は、返金期限の経過後に口座の残高を利用者に返金し、口座閉鎖管理手段は、返金処理手段が口座の残高を返金した後、口座を閉鎖するようにしてもよい。このような情報処理装置は、利用期限が経過し口座の利用を停止しても、口座の情報は閉鎖せずに保持し、返金期限の経過後に口座の残高を利用者に返金し、口座を閉鎖する。即ち、情報処理装置は、口座に対する入出金等の取引が可能な利用期限とは別に、返金を実行するための返金期限を設定することができ、利用期限の経過後、即座に口座を閉鎖しないようにすることができる。また、返金期限は、返金の申出の受付が可能な期間とし、返金期限が経過した後、口座
を閉鎖して口座の残高は銀行勘定に吸収されるようにしてもよい。また、返金期限が経過すると、所定期間は口座を利用停止扱いとし、その後口座が閉鎖されるようにしてもよい。また、利用期限経過後、返金期限までの期間は、機能を縮小してサービスが提供されるようにしてもよい。例えば、利用期限経過後、返金期限までの期間は、残高照会を可能とし、それ以外の機能を制限することができる。なお、制限された機能は、利用期限の更新の申請があれば、制限が解除されるようにしてもよい。
【0017】
また、利用期限管理手段は、利用者が口座を開設する際に提出する証明書の種別に応じて口座の利用期限を設定するようにしてもよい。証明書は、例えば、在留カードであり、例えば、在留カードに記載される在留資格に応じて在留期間が定められている。在留カードには、氏名及び国籍の他、在留資格、在留期間等の情報が記載されており、利用期限管理手段は、在留カードから読み取った情報に基づいて口座の利用期限を設定することができる。なお、利用期限管理手段は、スキャナ等で在留カードの記載内容を読み取ったり、在留カードにIC(Integrated Circuit)が組み込まれている場合にはICカードリーダーで読み取ったりすることで、在留期間の情報を取得することができる。利用期限管理手段は、証明書の種別に応じて定められる在留期間等の期間を口座の利用期限として設定することで、利用者の利用状況に即した実効性のある口座の利用期限を設定することができる。
【0018】
また、利用期限管理手段は、証明書の発行機関に設置されるサーバから利用期限に関連する情報を取得し、利用期限を更新するようにしてもよい。このような利用期限管理手段であれば、利用者の利用状況に即して利用期限を更新することができる。
【0019】
また、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、コンピュータが、利用者が開設する口座に対し、利用期限を設定する利用期限管理ステップと、利用者に口座の残高を返金する返金方法の登録を受け付ける返金方法受付ステップと、利用期限の経過後、返金方法に応じて、口座の残高を利用者に返金する返金処理ステップと、を実行する、情報処理方法であってもよい。
【0020】
また、本発明は、コンピュータプログラムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、コンピュータに、利用者が開設する口座に対し、利用期限を設定する利用期限管理ステップと、利用者に口座の残高を返金する返金方法の登録を受け付ける返金方法受付ステップと、利用期限の経過後、返金方法に応じて、口座の残高を利用者に返金する返金処理ステップと、を実行させる、情報処理プログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、利用期限を経過した不稼働口座の管理負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を例示する図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理装置の機能構成を例示する図である。
図3図3は、口座情報テーブルの一例を示す図である。
図4図4は、口座開設登録画面を例示する図である。
図5図5は、口座開設処理の流れを例示するフローチャートである。
図6図6は、利用期限更新処理の流れを例示するフローチャートである。
図7図7は、返金処理及び口座閉鎖処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、単なる例示であり、本開示の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0024】
本実施形態では、情報処理装置は、利用者が開設する口座に対して利用期限を設定し、利用期限の経過後、利用者が登録した返金方法によって口座の残高を利用者に返金し、口座を閉鎖する。
【0025】
<ハードウェア構成>
図1は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を例示する図である。情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、補助記憶装置14、通信インタフェース(通信IF)15、入力部16、出力部17、及びICカードリーダライタ18を備えるコンピュータである。なお、情報処理装置1は、CPU11等の汎用プロセッサの代わりに、専用プロセッサや専用回路等により実現されてもよい。
【0026】
CPU11は、中央演算処理装置であり、RAM12等に展開された各種プログラムの命令及びデータを処理することで、RAM12、補助記憶装置14等を制御する。RAM12は、主記憶装置であり、CPU11によって制御され、各種命令やデータが書き込まれ、読み出される。ROM13は、読出し専用であり、主記憶装置としてBIOS(Basic Input/Output System)やファームウェア等を記憶する。補助記憶装置14は、不揮発性の記憶装置であり、RAM12にロードされる各種プログラム等、永続性が求められる情報が書き込まれ、読み出される。補助記憶装置14は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0027】
通信IF15は、ゲートウェイ等を介して世界規模の公衆パケット通信網であるインターネット、WAN(Wide Area Network)、その他の通信網に接続するためのインタフェースである。通信IF15は、例えばLocal Area Network(LAN)カードである。
【0028】
入力部16は、例えば、タッチパッド、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイス、キーボード、操作ボタン等であり、操作入力を受け付ける。出力部17は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等の表示装置を含む。
【0029】
ICカードリーダライタ18は、非接触型のICカードからカードの内側に埋め込まれた非接触式ICチップに格納された情報を近距離無線通信により読み書きする。ICカードリーダライタ18は、在留カード等のICカードから、口座を開設する利用者の在留期間等、口座の利用期限に関連する情報を読み取る。
【0030】
<機能構成>
図2は、実施形態に係る情報処理装置の機能構成を例示する図である。情報処理装置1は、補助記憶装置14に記憶されているプログラムが、RAM12に読み出され、CPU11によって実行されることで、口座情報データベースD11、利用期限管理部F11、返金方法受付部F12、返金処理部F13及び口座閉鎖管理部F14を備えるコンピュータとして機能する。
【0031】
なお、本実施形態において、情報処理装置1の備える各機能は、汎用プロセッサである
CPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサ、ハードウェアの演算回路等によって実行されてもよい。ここで、ハードウェアの演算回路とは、例えば、論理ゲートを組み合わせた加算回路、乗算回路、フリップフロップ等をいう。また、これらの機能の一部又は全部は、別途のコンピュータにおいて実行されてもよい。例えば、情報処理装置1とは別途に設けられた勘定系システムが預金口座を管理するためのデータベースを有し、情報処理装置1は、当該勘定系システムへ依頼することで口座の開設又は閉鎖に関する処理を行ってもよい。
【0032】
(データベース)
口座情報データベースD11は、利用期限が設定される口座を管理するための各種情報を格納するデータベースである。口座情報データベースD11は、CPU11によって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、補助記憶装置14に記憶されるデータを管理することで構築される。口座情報データベースD11は、例えば、リレーショナルデータベースである。口座情報データベースD11は、口座情報テーブルを有する。
【0033】
図3は、口座情報テーブルの一例を示す図である。口座情報データベースD11の口座情報テーブルは、利用期限が設定される口座の利用期限、返金方法等を管理するために用いられる。口座情報テーブルに格納されるレコード1件は、利用期限を設定して開設される1件の口座の情報を示す。口座情報テーブルのレコードは、図3の例では、口座番号、口座名義、利用期限、返金方法、返金先口座及び証明種別のフィールドを有する。
【0034】
口座番号は、開設された口座の口座番号である。口座番号は、情報処理装置1又は情報処理装置1に接続され口座情報を管理する勘定系システムにおいて、口座の開設時に採番される。なお、図3の例では、口座番号として“1234567”という7ケタの番号が示されるが、店番号等を含む7ケタ以上の番号であってもよい。口座名義は、開設された口座の口座名義人の氏名である。
【0035】
利用期限は、開設された口座の利用期限である。開設された口座に対する各種取引は、利用期限までの間、有効に実行することができる。開設された口座は、利用期限経過後に閉鎖されることで、不正に使用されたり不稼働口座として存続したりすることを回避することができる。
【0036】
利用期限は、例えば、利用者が外国人である場合に、利用者の在留資格に応じて定められた在留期間が設定されてもよい。また、利用期限は、利用者が学生である場合には学籍期間が設定されるようにしてもよい。さらに、利用期限は、口座開設する際、利用者によって任意に指定されるようにしてもよい。
【0037】
返金方法は、口座の利用期限が経過した後に、口座の残高を利用者に返金する方法である。返金方法は、口座を開設する際、利用者によって指定されるようにしてもよい。返金方法は、例えば、利用者が指定する返金先口座への送金、金融機関の窓口での払戻し等である。
【0038】
返金先口座は、返金方法として“送金”が指定された場合の送金先の口座番号である。なお、図3の例では、返金先口座として“3456789”という7ケタの番号が示されるが、店番号等を含む7ケタ以上の番号であってもよい。また、返金先口座は、利用者が外国人である場合、海外の金融機関における口座であってもよい。
【0039】
証明種別は、口座を開設する際、利用者が提出する証明書の種別である。証明書は、例えば、在留カード、学生証等である。証明書には、在留期間や学籍期間等、口座の利用期
限を定めるための情報が含まれ、証明書から読み取った情報に基づいて口座の利用期限を設定することができる。また、口座情報データベースD11において、証明種別と利用期限とを対応づける情報を格納するテーブルが設けられるようにしてもよい。
【0040】
(データベース以外の機能)
利用期限管理部F11は、口座が開設される際、利用期限の設定を受け付ける。利用期限は、口座開設後に設定されるようにしてもよい。また、利用期限管理部F11は、例えば、利用者の在留期間が延長された場合や、利用者から口座継続利用の申出があった場合に、利用期限の更新を受け付ける。利用期限管理部F11は、「利用期限管理手段」の一例である。
【0041】
返金方法受付部F12は、口座が開設される際、返金方法の登録を受け付ける。利用期限を経過すると、口座の残高は、返金方法受付部F12が受け付けた返金方法によって利用者に返金される。また、返金方法受付部F12は、例えば、利用者からの申出があった場合に、返金方法の更新を受け付ける。返金方法受付部F12は、「返金方法受付手段」の一例である。
【0042】
図4は、口座開設登録画面を例示する図である。口座開設登録画面は、口座を開設する際に、利用期限管理部F11及び返金方法受付部F12が設定又は登録を受け付ける利用期限及び返金方法を入力させるための画面である。図4の口座開設登録画面には、口座名義A1、証明種別A2、利用期限A3、返金方法A4、返金先口座A5及び「口座開設」のラベルが付された口座開設ボタンA6が示される。
【0043】
口座名義A1は口座名義人である利用者の氏名を入力する欄である。証明種別A2は、利用者による口座の利用期間に関する情報を含む証明書の種別を選択する欄である。利用期限A3は、口座の利用期限を入力する欄である。なお、利用期限A3には、証明種別A2が選択された場合に、選択された証明書の種別に応じて定められた利用期限が初期値として設定されてもよい。返金方法A4は、口座の利用期限が経過した後、口座の残高を返金する方法を選択する欄である。返金方法A4は、図4に示す“送金”及び“窓口払戻”に限られず、他の方法が選択できるようにしてもよい。返金先口座A5は、返金方法A4の欄で“送金”が選択された場合に、口座の残高の送金先となる口座番号を入力する欄である。口座開設ボタンA6は、口座開設登録画面で入力された情報に基づいて口座開設の手続きをするための操作ボタンである。口座開設ボタンA6の押下により、口座開設登録画面で入力された情報に基づいて、開設された口座の情報が口座情報テーブルに登録される。なお、口座番号は、例えば、開設された口座の情報が口座情報テーブルに登録される際に、情報処理装置1又は情報処理装置1に接続され口座情報を管理する勘定系システムにおいて採番される。
【0044】
返金処理部F13は、利用期限管理部F11によって設定又は更新される利用期限が経過すると、返金方法受付部F12によって登録される返金方法によって、口座の残高を利用者に返金する。返金方法が、送金である場合には、返金処理部F13は、利用者が指定した返金先口座に口座の残高を送金する。ただし、返金先口座が、利用者の口座からの送金を受け入れない場合には、返金処理部F13は、口座の残高を提携金融機関の口座に送金して利用者への返金を依頼したり、利用者に返金がされなかった残高を管理するための自行の口座に送金したりすることができる。また、返金方法が、窓口での払戻しである場合には、利用者が窓口に申出ることにより、口座の残高が払戻される。
【0045】
なお、返金処理部F13は、利用期限までの期間が所定期間以下となった場合に、利用期限を利用者に通知するようにしてもよい。返金処理部F13は、利用期限の他、利用期限又は返金方法の変更がないかを確認したり、口座の継続利用又は解約の申出を促したり
する旨を、電子メール等の通信手段により利用者に通知するようにしてもよい。返金処理部F13は、利用者に口座の利用期限等を通知することで、口座の継続又は解約の申出を利用者に促すことができる。返金処理部F13は、「返金処理手段」の一例である。
【0046】
口座閉鎖管理部F14は、返金処理部F13による返金処理後、口座の閉鎖の可否を判定する。返金処理は、返金先口座への送金の他、提携金融機関への送金依頼、返金管理口座への入金等の処理を含む。口座の閉鎖の可否は、例えば、口座の残金が利用者に返金されたか否かにより判定される。また、口座の閉鎖の可否は、提携金融機関に対して返金処理を委託したり、返金管理口座に口座の残金が送金されたりすることで、閉鎖対象の口座の残高が適切に管理されているか否かにより判定される。口座閉鎖管理部F14は、口座の閉鎖が可能であると判定した場合に口座を閉鎖する。口座閉鎖管理部F14は、「口座閉鎖管理手段」の一例である。
【0047】
<処理の流れ>
図5から図7により、利用期限が設定される口座の開設から閉鎖までの処理の流れを説明する。図5は、口座開設処理の流れを例示するフローチャートである。この処理の流れは、例えば、利用者が金融機関の窓口において、口座開設の申出をすることを契機に開始する。
【0048】
まず、ステップS101では、利用期限管理部F11は、利用者が、口座開設の際に、利用期限と対応付けられる証明書を有するか否かを判定する。例えば、口座開設登録画面において証明種別A2の欄で、いずれかの証明書が選択された場合、利用期限管理部F11は、証明書があると判定する。証明書があると判定された場合(S101;YES)、処理はステップS102へ進む。証明書がないと判定された場合(S101;NO)、処理はステップS103に進む。
【0049】
ステップS102では、利用期限管理部F11は、利用者が選択した証明書の種別に応じた利用期限を設定する。なお、利用期限管理部F11によって設定された利用期限は、利用者の申出によって変更されてもよい。ステップS103では、利用期限管理部F11は、利用者から証明書が提出されていないため、利用者が指定する利用期限の入力を受け付ける。
【0050】
ステップS104では、返金方法受付部F12は、口座の利用期限が経過した場合の返金方法の入力を受け付ける。返金方法は、例えば“送金”、“窓口払戻”である。ステップS105では、返金方法受付部F12は、返金方法が“送金”か否かを判定する。返金方法が“送金”であると判定された場合(S105;YES)、処理はステップS106へ進む。返金方法が“送金”でないと判定された場合(S105;NO)、処理はステップS107に進む。
【0051】
ステップS106では、返金方法受付部F12は、返金方法が“送金”であるため、口座の残高を送金するための返金先口座の入力を受け付ける。口座の利用期限が経過した後、口座が閉鎖される前に、口座の残高は返金先口座に送金される。
【0052】
ステップS107では、返金方法受付部F12は、ステップS102で設定された利用期限又はステップS103で受け付けられた利用期限、及びステップS104でで受け付けられた返金方法に基づいて口座を開設する。開設された口座の情報が口座情報テーブルに格納され、口座開設処理は終了する。
【0053】
図6は、利用期限更新処理の流れを例示するフローチャートである。利用期限は、利用者が申出た場合、又は利用者の在留期間が変更された場合等に変更される。この処理の流
れは、例えば、利用者が金融機関の窓口において、口座開設の申出をすることを契機に開始する。
【0054】
まず、ステップS201では、利用期限管理部F11は、口座の利用期限までの期間が所定期間以下であるか否かを判定する。口座の利用期限までの期間が所定期間以下であると判定された場合(S201;YES)、処理はステップS202へ進む。口座の利用期限までの期間が所定期間より長いと判定された場合(S201;NO)、処理はステップS201に戻る。
【0055】
ステップS202では、利用期限管理部F11は、利用者が提出した証明書の発行機関に設置される外部のサーバから、利用者の在留期間等の利用期限に関連する情報を取得する。
【0056】
ステップS203では、利用期限管理部F11は、ステップS202で取得した情報に、口座の利用期限の延長に関連する情報が含まれるか否かを判定する。利用期限の延長に関連する情報が含まれると判定された場合(S203;YES)、処理はステップS206へ進む。利用期限の延長に関連する情報が含まれないと判定された場合(S203;NO)、処理はステップS204に進む。なお、証明書の提出がされず、利用者が任意に利用期限を設定して開設された口座に対しては、ステップS202及びステップS203の処理は省略されてもよい。
【0057】
ステップS204では、利用期限管理部F11は、利用者に口座の利用期限を通知する。利用期限管理部F11は、口座の利用期限とともに、口座の継続利用又は解約の手続きを促す旨を利用者に通知してもよい。また、利用者への通知は、電子メール等の通信手段により実施されてもよい。さらに、利用期限管理部F11は、利用期限までの期間が所定期間以下の口座の情報を、金融機関の行員に対して、金融機関内のネットワークを介する各種通信手段によって通知したり、リストとして出力したりするようにしてもよい。
【0058】
ステップS205では、利用期限管理部F11は、ステップS204の利用者への利用期限の通知に対し、利用者から口座の継続利用の申出があったか否かを判定する。利用者から口座の継続利用の申出があったと判定された場合(S205;YES)、処理はステップS206へ進む。利用者から口座の継続利用の申出がなかったと判定された場合(S205;NO)、処理はステップS207に進む。
【0059】
ステップS202からステップS205までの処理は、利用者の在留期間の延長情報を証明書の発行機関から取得して、口座の利用期限を延長する例を示す。このステップS202からステップS205までの処理に替えて、利用者の申出た延長期限が正当か否かを証明書の発行機関に問い合わせる処理を実行してもよい。
【0060】
ステップS206では、利用期限管理部F11は、ステップS202及びS203で取得される利用期限の延長に関連する情報、又はステップS205における利用者の申出に基づいて、口座の利用期限を更新し、利用期限更新処理は終了する。
【0061】
利用者から口座の継続利用の申出がない場合には、図7で詳述されるステップS207の返金処理が実行され、図7に示される処理は終了する。
【0062】
図7は、返金処理及び口座閉鎖処理の流れを例示するフローチャートである。図7に示す処理は、図6のステップS207の処理の詳細を例示する。この処理の流れは、例えば、口座の利用期限が経過したことを契機に開始する。
【0063】
まず、ステップS301では、返金処理部F13は、利用者から口座の解約の申出があったか否かを判定する。利用者から口座の解約の申出があったと判定された場合(S301;YES)、処理はステップS308へ進む。利用者から口座の解約の申出がなかったと判定された場合(S301;NO)、処理はステップS302に進む。
【0064】
ステップS302では、返金処理部F13は、利用者が指定した返金先口座において口座の残高の受入が可能か否かを判定する。利用者が指定した返金先口座において口座の残高の受入が可能であると判定された場合(S302;YES)、処理はステップS303へ進む。利用者が指定した返金先口座において口座の残高の受入が可能でないと判定された場合(S302;NO)、処理はステップS304に進む。なお、利用者が返金先口座を指定していない場合も、処理はステップS304に進む。
【0065】
ステップS303では、返金処理部F13は、口座の残金を利用者が指定した返金先口座に送金することにより返金する。
【0066】
ステップS304では、返金処理部F13は、提携金融機関で口座の残金の受入が可能か否かを判定する。提携金融機関で口座の残金の受入が可能であると判定された場合(S304;YES)、処理はステップS305へ進む。提携金融機関で口座の残金の受入が可能でないと判定された場合(S304;NO)、処理はステップS306に進む。
【0067】
ステップS305では、返金処理部F13は、提携金融機関に対して送金処理を実行し、利用者への口座の残金の返金を委託する。なお、提携金融機関に利用者への返金を委託しない場合には、ステップS304及びステップS305の処理は省略されてもよい。
【0068】
ステップS306では、返金処理部F13は、金融機関が口座の残高を管理する返金管理口座に口座の残金を送金する。この場合、口座の残金は、返金番号と対応づけられる。ステップS307では、返金処理部F13は、口座の残金と対応づけた返金番号を利用者に通知する。利用者は、返金番号を特定して申出ることにより、残高の返金を受けることができる。
【0069】
ステップS308では、口座閉鎖管理部F14は、閉鎖対象の口座について、閉鎖の可否を判定する。口座の閉鎖が可能であると判定された場合(S308;YES)、処理はステップS309へ進む。口座の閉鎖が不可であると判定された場合(S308;NO)、図7に示す処理は終了する。ステップS309では、口座閉鎖管理部F14は、閉鎖対象の口座に対して提供される各種サービスを停止したり、口座情報テーブルから口座情報を削除したりすることで、口座を閉鎖し、返金処理及び口座閉鎖処理は終了する。
【0070】
<実施形態の作用効果>
以上説明した本実施形態では、情報処理装置1は、開設する口座の利用期限及び返金方法を設定することで、口座の利用期限が経過した後、口座の残高を利用者に返金し、不稼働口座の管理負担を軽減することができる。情報処理装置1は、口座の閉鎖の可否を判定し、閉鎖可能な場合に口座を閉鎖することができる。閉鎖可能な口座を閉鎖することで、情報処理装置1は、未使用口座の増加を抑制し、口座の不正取得も抑制することができる。
【0071】
情報処理装置1は、口座の利用期限が近づくと、利用者に利用期限を通知することで、口座の継続又は解約の申出を利用者に促すことができる。情報処理装置1は、口座の残高の返金方法が利用者が指定する返金先口座への送金である場合、返金先口座の返金処理に対する受入可否を判定し、受入可否に応じた返金処理を実行する。これにより、情報処理装置1は、より確実に口座の残高を利用者に返金することができる。また、返金先口座が
返金処理の受入不可の場合には、返金処理手段は、他の返金方法に変更することが可能となる。
【0072】
情報処理装置1は、口座の利用期限とは別に、返金をするための返金期限を設定することで、利用期限経過後、即座に口座を閉鎖しないようにすることができる。
【0073】
情報処理装置1は、口座を開設する利用者が提出する証明書の種別に応じて利用期間を設定することができる。また、情報処理装置1は、証明書の発行機関から取得した情報、並びに提出した証明書の番号又はマイナンバー等を基に照会可能な情報に基づいて利用期間を更新することができる。したがって、利用者の利用状況に即した実効性のある口座の利用期限を設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
1・・情報処理装置:11・・CPU:12・・RAM:13・・ROM:14・・補助記憶装置:15・・通信インタフェース:16・・入力部:17・・出力部:18・・ICカードリーダライタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7