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  • 特開2018166072-蓄電素子 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-166072(P2018-166072A)
(43)【公開日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/30 20060101AFI20180928BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20180928BHJP
【FI】
   H01M10/30 Z
   H01M10/30 A
   H01M2/16 F
   H01M2/16 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-63187(P2017-63187)
(22)【出願日】2017年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】金本 学
(72)【発明者】
【氏名】児玉 充浩
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 栄人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 大輔
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
【Fターム(参考)】
5H021CC01
5H021EE04
5H021EE06
5H021EE07
5H021EE08
5H021EE28
5H021HH03
5H028AA06
5H028CC11
5H028EE02
5H028HH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】充放電を繰り返したあとに容量が低下すること及び内部抵抗が上昇することの両方が抑制された蓄電素子を提供する。
【解決手段】4μm以下の太さの繊維を有するセパレータと、亜鉛を含有する電解液とを含む、ニッケル水素蓄電池などの蓄電素子。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4μm以下の太さの繊維を有するセパレータと、
亜鉛を含有する電解液とを含む、蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル水素蓄電池などの蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水酸化ニッケルを活物質として有する正極と、水素吸蔵合金を有する負極と、電解液と、を含むニッケル水素蓄電池が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の電池では、負極の水素吸蔵合金は、少なくとも60〜90wt%のLaを含むミッシュメタルと、Niと、Coと、Mnと、ミッシュメタルに対し原子比で0.015〜0.1の範囲のMgとを構成元素として含む希土類系水素吸蔵合金である。希土類系水素吸蔵合金には、表面処理が施されている。また、電解液は、亜鉛化合物を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−291510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電池では、充放電を繰り返したあとに容量が低下したり内部抵抗が上昇したりする場合がある。
本実施形態は、充放電を繰り返したあとに容量が低下すること及び内部抵抗が上昇することの両方が抑制された蓄電素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の蓄電素子は、4μm以下の太さの繊維を有するセパレータと、亜鉛を含有する電解液とを含む。上記の構成により、充放電を繰り返したあとに容量が低下すること及び内部抵抗が上昇することの両方が抑制される。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、充放電を繰り返したあとに容量が低下すること及び内部抵抗が上昇することの両方が抑制された蓄電素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電素子(ニッケル水素蓄電池)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、図1を参照しつつ説明する。蓄電素子には、二次電池がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0010】
本実施形態の蓄電素子1は、アルカリ性の電解液を含むアルカリ蓄電池である。より詳しくは、蓄電素子1は、ニッケル化合物を正極の活物質として有し、水素吸蔵合金を負極の活物質として利用するニッケル水素蓄電池である。この種の蓄電素子1は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子1は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子1と組み合わされて蓄電装置(モジュール)に用いられる。蓄電装置では、該蓄電装置に用いられる蓄電素子1が電気エネルギーを供給する。
【0011】
蓄電素子1は、図1に示すように、正極21と負極22とセパレータ23とを含む電極群2と、電極群2を収容するケース3と、を備える。また、蓄電素子1は、電極群2及びケース3の他に、ケースの内部に、電解液と、電極群2の正極21とケース3の一部とを導通させる接続部材5等とを含む。
【0012】
電極群2は、正極21と負極22とがセパレータ23によって互いに絶縁された状態で積層された積層体が巻回されることによって形成される。
【0013】
正極21は、集電板と、該集電板に付着した合剤とを有する。集電板は、例えば、発泡ニッケル等の金属板である。合剤は、例えば、粒子状の活物質や導電剤などを含有する。本実施形態では、正極21は、集電板としての発泡ニッケル板に、合剤が塗布されて形成される。なお、正極21の厚さは、通常、300μm以上1200μm以下である。
【0014】
本実施形態の正極21の集電板は、例えば、ニッケル製の発泡板である。集電板は、帯状である。
【0015】
正極の合剤は、粒子状の活物質(活物質粒子)と、粒子状の導電剤と、バインダとを含有する。正極における単位面積当たりの合剤質量は、通常、100mg/cm 以上500mg/cm 以下である。
【0016】
正極の合剤は、水酸化ニッケルを含有する粒子を活物質粒子として含む。充電に伴って、水酸化ニッケルの一部がオキシ水酸化ニッケルに変化することから、上記の粒子は、オキシ水酸化ニッケルを含有してもよい。上記粒子の粒子径は、通常、5μm以上15μm以下である。正極の合剤は、通常、活物質を95質量%以上99質量%以下含有する。
【0017】
正極の合剤は、バインダとして、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを含有する。正極の合剤は、通常、バインダを0.1質量%以上0.8質量%以下含有する。正極の合剤は、メチルセルロースなどのセルロース誘導体やキサンタンガムなどの多糖類を、製造時における合剤の増粘剤として含有してもよい。
【0018】
正極の合剤は、導電剤として、炭素質材料、金属材料などを含有する。炭素質材料としては、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛、ケッチェンブラック(登録商標)やアセチレンブラックなどのカーボンブラック、カーボンウィスカー、炭素繊維、気相成長炭素繊維などが挙げられる。金属材料しては、例えば、ニッケル、金、コバルト化合物などが挙げられる。正極の合剤は、通常、導電剤を0質量%以上5質量%以下含有する。導電剤は、通常、粒子状である。
【0019】
負極22は、集電板と、該集電板に付着した合剤とを有する。集電板は、例えば、厚さ方向に複数の孔が空けられた金属板(穿孔鋼板など)である。合剤は、例えば、粒子状の水素吸蔵合金や導電剤などを含有する。本実施形態では、負極22は、集電板としての穿孔鋼板に、合剤が塗布されて形成される。なお、負極22の厚さは、通常、200μm以上800μm以下である。
【0020】
本実施形態の負極22の集電板は、例えば、ニッケルめっきが施された穿孔鋼板である。
【0021】
負極の合剤は、粒子状の水素吸蔵合金と、粒子状の導電剤と、バインダとを含有する。負極の合剤の単位面積当たりの質量は、通常、100mg/cm 以上500mg/cm以下である。
【0022】
負極の合剤は、例えば、希土類元素を含有する水素吸蔵合金の粒子を含む。水素吸蔵合金は、例えば、AB型(希土類−Ni系)、AB3.0−3.8型(希土類−Mg−Ni系)又はAB型(Laves相)等の合金である。水素吸蔵合金としては、例えば、Mm1.0Ni4.0Co0.7Al0.3Mn0.3組成の合金が採用される。なお、Mmは、希土類元素の混合物であるミッシュメタル[ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)など]である。水素吸蔵合金の粒子径は、通常、30μm以上60μm以下である。負極の合剤は、通常、水素吸蔵合金を95質量%以上99質量%以下含有する。
【0023】
前記水素吸蔵合金の粒子は、アルカリ水溶液で処理されたものであることが好ましい。アルカリ水溶液(処理液)としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)のいずれか又は混合溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、7mol/L以上12mol/L以下であることが好ましく、処理における温度は、80℃以上沸点未満であることが好ましく、処理時間は、1時間以上4時間以下であることが好ましい。特に、水素吸蔵合金がAB3.0−3.8型(希土類−Mg−Ni−Al系)でありアルカリに腐食しやすいCoを含まない場合、KOHを含むアルカリ水溶液で、濃度10mol/L以上のアルカリ水溶液を用い、110℃以上の温度で、処理時間が1時間以上であることが好ましい。このような処理条件であることにより、水素吸蔵合金の粒子表面に緻密なNi層を形成でき、これにより、水素吸蔵合金の耐腐食性が向上し、サイクル寿命を向上させることができる。
【0024】
負極の合剤は、上述した正極の合剤のバインダと同様のバインダを含有する。負極の合剤は、通常、バインダを0.1質量%以上2.0質量%以下含有する。負極の合剤は、メチルセルロースなどのセルロース誘導体やキサンタンガムなどの多糖類を、製造時の合剤の増粘剤として含有してもよい。負極の合剤は、通常、増粘剤を0.01質量%以上0.5質量%以下含有する。
【0025】
負極の合剤は、上述した正極の合剤の導電剤と同様の導電剤を含有する。負極の合剤は、通常、導電剤を0質量%以上5質量%以下含有する。導電剤は、通常、粒子状である。
【0026】
本実施形態の電極群2では、以上のように構成される正極21と負極22とがセパレータ23によって絶縁された状態で巻回される。即ち、本実施形態の電極群2では、正極21、負極22、及びセパレータ23の積層体が巻回される。セパレータ23は、絶縁性を有する部材である。セパレータ23は、正極21と負極22との間に配置される。これにより、電極群2(詳しくは、積層体)において、正極21と負極22とが互いに絶縁される。また、セパレータ23は、ケース3内において、電解液を保持する。
【0027】
セパレータ23は、帯状である。セパレータ23は、正極21及び負極22間の短絡を防ぐために正極21及び負極22の間に配置されている。
【0028】
セパレータ23は、太さが4μm以下の繊維(以下、極細繊維ともいう)を少なくとも有する。極細繊維の太さは、通常、1μm以上である。極細繊維の太さは、2μm以上であってもよい。また、極細繊維の太さは、3μm以下であってもよい。
セパレータ23が、比較的細い極細繊維を含むことにより、繊維太さが細い分、繊維同士の接点が増え、その分、セパレータ23が電解液を十分に保持できる。セパレータ23がより十分に電解液を保持できる分、充放電が繰り返されたあとであっても、容量が低下したり内部抵抗が上昇したりすることが、抑制されると考えられる。
【0029】
セパレータ23は、4μm以下の太さの繊維(極細繊維)と、10μm以上の太さの繊維(以下、通常繊維ともいう)とを有してもよい。通常繊維の太さは、20μm以下であるとよい。通常繊維の太さは、10μm以上25μm以下であってもよい。
【0030】
セパレータ23における各繊維の太さは、走査型電子顕微鏡または光学顕微鏡によってセパレータ23を観察し、観察像で測定された太さを基にして、観察像の倍率から、各繊維の太さを算出することによって決定される。なお、1本の繊維につき、先端部以外のランダムに選んだ5点の太さを測定し、平均することによって、各繊維の太さを決定する。
【0031】
セパレータ23における通常繊維に対する極細繊維の質量比は、5以上40以下であってもよい。
【0032】
セパレータ23は、多孔質である。セパレータ23は、例えば、織物又は不織布である。セパレータ23の材質としては、高分子化合物、ガラス、セラミックなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)が挙げられる。
【0033】
ケース3は、円形の開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)円板形状の蓋部32と、を有する。ケース3は、ケース本体31の開口周縁部と、蓋部32の周縁部との間に配置されたガスケット33をさらに有する。ケース3は、電極群2と電解液とを内部空間に収容する。ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。ケース3の材質としては、例えば、鉄や鋼などの鉄系金属材料が挙げられる。ケース3は、例えば、表面にニッケルめっき処理や亜鉛めっき処理が施された金属板によって形成される。
【0034】
ガスケット33は、例えば、絶縁性の合成樹脂で形成される。ケース3は、ケース本体31の開口周縁部と、円板形状の蓋部32の周縁部とをガスケット33を介して重ね合わせた状態で、接合することによって形成される。ガスケット33によって、ケース本体31と、蓋部32とが電気的に絶縁される。また、ケース3は、ケース本体31と蓋部32とによって画定される内部空間を有する。本実施形態では、ケース本体31の開口周縁部と蓋部32の周縁部とは、カシメによって接合される。
【0035】
ケース本体31は、開口方向と反対方向の端部が塞がれた円筒形状(即ち、有底円筒形状)を有する。ケース本体31は、中空円筒状の側壁部と、側壁部の一方の開口(ケース本体31の開口と反対側の開口)を塞ぐ円板状の底部とを有する。ケース本体31の内部には、電極群2の巻回軸方向と側壁部の円筒軸方向とが同じ方向となるように、電極群2が収容されている。ケース本体31の底部は、負極22が電気的に接続されることで負極端子として機能する。
【0036】
蓋部32は、ケース本体31の開口を塞ぐ円板状の部材である。蓋部32の中央部は、外方へ向けて突出している。突出した部分は、弾性を有する接続部材5を介して正極21と電気的に接続されることにより、正極端子として機能する。
【0037】
蓋部32は、ケース3内のガスを外部に排出可能な安全弁321を有する。安全弁321は、ケース3の内部圧力が所定の圧力まで上昇したときに、該ケース3内から外部にガスを排出する。
【0038】
電解液は、アルカリ性(例えばpH14〜15)の水溶液である。電解液は、水に電解質を溶解させることによって得られる。電解質は、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物である。本実施形態の電解液は、アルカリ金属の濃度が6〜9Mとなるように、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどを水に溶解させたものである。
【0039】
電解液は、亜鉛を含有する。詳しくは、電解液は、電解液に溶解した亜鉛を含有する。溶解した亜鉛は、通常、イオンの状態(Zn2+や[Zn(OH)2−など)である。例えば、電解液は、酸化亜鉛や水酸化亜鉛などを溶解させることによって調製される。
電解液が亜鉛を含有することにより、正極21のβ-オキシ水酸化ニッケルがγ-オキシ水酸化ニッケルに変わることを抑制できる。β-オキシ水酸化ニッケルがγ体に変わると、正極活物質の膨潤が比較的大きくなり、充放電が繰り返されたあとに容量が低下したり内部抵抗が上昇したりし得る。これに対して、β-オキシ水酸化ニッケルがγ体に変わることを電解液中の亜鉛が抑制することで、充放電が繰り返されたあとに容量が低下したり内部抵抗が上昇したりすることを抑制できる。
また、電解液が亜鉛を含有することにより、負極22の水素吸蔵合金が腐食することを抑制できる。これによっても、充放電が繰り返されたあとに容量が低下したり内部抵抗が上昇したりすることを抑制できる。
【0040】
電解液は、Zn換算で、亜鉛を0.05mol/L以上1.0mol/L以下含有してもよい。Zn換算とは、電解液における亜鉛の含有量を亜鉛元素(Zn)の量に換算して表すことである。
【0041】
次に、上記実施形態の蓄電素子1の製造方法について説明する。
【0042】
蓄電素子1の製造方法では、まず、ニッケル製の発泡板などの集電板に活物質を含む合剤を塗布することによって正極21を作製する。また、穿孔鋼板などの集電板に活物質を含む合剤を塗布することによって負極22を作製する。次に、正極21、セパレータ23、及び負極22を重ね合わせて電極群2を形成する。続いて、電極群2をケース3に入れ、ケース3に電解液を入れることによって蓄電素子1を組み立てる。
【0043】
正極21の作製では、集電板に、活物質を含む合剤を塗布・充填する。合剤には、通常、Y、Yb等の希土類酸化物とバインダと溶媒(水)とがさらに含まれている。合剤の塗布量を変化させることによって、単位面積当たりの合剤の質量を調整することができる。合剤の塗布方法としては、一般的な方法が採用される。そして、乾燥処理によって、合剤中の水を揮発させる。
【0044】
負極22の作製では、集電板に、活物質を含む合剤を塗布する。合剤には、通常、導電剤とバインダと溶媒(水)とがさらに含まれている。合剤の塗布量を変化させることによって、単位面積当たりの合剤の質量を調整することができる。合剤の塗布方法としては、一般的な方法が採用される。そして、乾燥処理によって、合剤中の水を揮発させる。セパレータ23としては、市販されているものを用いることができる。
【0045】
電極群2の形成では、正極21と負極22との間にセパレータ23を挟み込んだ積層体を巻回することにより、電極群2を形成する。詳しくは、正極21とセパレータ23と負極22とを重ね合わせ、積層体を作る。積層体を巻回して、電極群2を形成する。
【0046】
電解液は、例えば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等を水に溶解させ、さらに酸化亜鉛などの亜鉛化合物を溶解させることによって調製できる。電解液の組成は、ICPやイオンクロマトグラフを利用した分析によって、確認できる。
【0047】
蓄電素子1の組み立てでは、ケース3のケース本体31に電極群2を入れ、電解液をケース本体31内に入れる。カシメによって、ケース本体31の開口を蓋部32で塞ぐ。
【0048】
上記のように構成された本実施形態の蓄電素子1は、4μm以下の太さの繊維を有するセパレータ23と、亜鉛を含有する電解液とを含む。斯かる構成により、充放電を繰り返したあとに容量が低下すること及び内部抵抗が上昇することの両方が抑制される。
【0049】
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0050】
上記実施形態では、積層体が巻回されてなる電極群2を備えた蓄電素子1について詳しく説明したが、本発明の蓄電素子は、巻回されない積層体を備えてもよい。詳しくは、それぞれ矩形状に形成された正極、セパレータ、負極、及びセパレータが、この順序で複数回積み重ねられてなる電極群を蓄電素子が備えてもよい。蓄電素子1の形状は、特に限定されず、例えば、円柱形状、直方体形状、シート形状等である。
【0051】
上記実施形態では、蓄電素子1が充放電可能なアルカリ蓄電池(例えばニッケル水素蓄電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子1の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態では、蓄電素子1の一例として、ニッケル水素蓄電池について説明したが、これに限定されるものではない。
【0052】
蓄電素子1(例えば電池)は、蓄電装置(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)に用いられてもよい。蓄電装置は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子に適用されていればよい。
【実施例】
【0053】
以下に示すようにして、アルカリ蓄電池(ニッケル水素蓄電池)を製造した。
【0054】
(実施例1)
(1)正極の作製
3質量%の亜鉛、及び、0.06質量%のコバルトを固溶状態で含有する水酸化ニッケルの粒子表面に、5質量%のコバルト水酸化物を被覆し、さらに、18M水酸化ナトリウム水溶液を用いて110℃で1時間、空気酸化処理をおこなったものを、正極活物質として用いた。増粘剤(カルボキシメチルセルロース)を溶解させた水溶液と、活物質と、活物質に対して1質量%の酸化イッテルビウムとを混合して、ペーストを調製し、基材面密度が320g/mの発泡ニッケルにペーストを充填し、乾燥させた。その後、所定の厚さ(0.63mm)にプレスすることによって2400mAhの正極板を作製した。
【0055】
(2)負極の作製
平均粒径D50が60μmとなるように粉砕した水素吸蔵合金の粉末(La0.620.13Mg0.15Ni3.45Al0.15組成)を110℃で2時間、10Mの水酸化カリウム水溶液中で激しく撹拌させた。その後、pHが10になるまで水洗を繰り返した。処理後の合金粉末を振動試料型磁力計で測定した結果、磁化は、0.7Am/kgであった。乾燥後の粉末100質量部と、増粘剤(メチルセルロース)を溶解した水溶液とを混合し、さらに、結着剤(スチレンブタジエンゴム)を1質量部加えてペーストを調製した。調製したペーストを、厚さ35μmの穿孔鋼板(開口率50%)の両面に塗布して乾燥させた後、厚さ0.26mmにプレスして、3100mAhの負極板を作製した。
【0056】
(3)セパレータ
セパレータとして、スルフォン化処理を施した、目付40g/mの不織布を用いた。セパレータは、太さが2〜3μmのPP繊維(極細繊維)と、太さが15〜20μmのPP/PE繊維(通常繊維)とを含んでいた。通常繊維に対する極細繊維の質量比は、30%であった。
【0057】
(4)電解液の調製
電解液としては、以下の方法で調製したものを用いた。溶媒としての水に、KOH、NaOH、及びLiOHを加え、濃度がK/Na/Li=2.5/5/0.5mol/Lとなるように電解液を調製した。さらに、0.5mol/Lの濃度となるようにZnOを加えて溶解し、電解液を調整した。
【0058】
(5)ケース内への電極群の配置
上記の正極、上記の負極、上記の電解液、セパレータ、及びケースを用いて、一般的な方法によって電池を製造した。
まず、セパレータが上記の正極および負極の間に配されて積層されてなるシート状物を巻回した。次に、巻回されてなる電極群を、鉄にニッケルメッキを施した中空円筒形のケース本体内に配置した。続いて、正極をケースの蓋部に電気的に接続させた。一方、負極をケース(電槽缶)の側面に接触させて通電させた。さらに、上記の電解液を、2.3gケース内に入れた。最後に、ケース本体に蓋部を取り付け、かしめることにより、ケースを密閉し、2,400mAhの電池を作製した。
【0059】
(比較例1)
電解液に酸化亜鉛を添加せずに電池を製造した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
【0060】
(比較例2)
通常繊維のみを有するセパレータを用いて電池を製造した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
【0061】
(比較例3)
電解液に酸化亜鉛を添加せずに電池を製造した点、通常繊維のみを有するセパレータを用いて電池を製造した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
【0062】
(初期化成)
実施例、各比較例の電池について、以下の手順で初期化成をおこなった。20℃で0.1ItA(240mA)の条件で充電を12時間おこない、次いで、0.2ItA(480mA)の条件で1Vとなるまで放電をおこない、これを2サイクル繰り返した。その後、40℃で48時間保存した。そして、20℃で0.1ItA(240mA)の条件で充電を16時間おこない、1時間休止し、0.2ItA(480mA)の条件で1Vとなるまで放電をおこない、これを3サイクル繰り返し、初期化成を終了した。
【0063】
(100サイクル試験後の容量測定と内部抵抗)
20℃で、0.5ItA(1200mA)で−dV=5mVの充電をおこない、0.5時間休止し、1ItA(2400mA)の条件で1Vとなるまで放電をおこない、これを100サイクル繰り返した。その後、放電を0.2ItA(480mA)の条件で1Vとなるまでおこなった。
そして、20℃で0.1ItA(240mA)の条件で充電を16時間おこない、1時間休止し、0.2ItA(480mA)の条件で1Vまで放電をおこない、放電容量を測定した。また、放電状態での電池の接点抵抗計を用いて、1kHzの内部抵抗を20℃で測定した。
【0064】
(サイクル寿命)
20℃で、0.5ItA(1200mA)で−dV=5mVの充電をおこない、0.5時間休止し、1ItA(2400mA)で1Vとなるまで放電をおこない、1サイクル目の放電容量の60%となったときのサイクル数をサイクル寿命とした。
【0065】
【表1】
【0066】
表1から把握されるように、実施例の電池では、充放電を繰り返したあとに容量が低下すること及び内部抵抗が上昇することの両方が顕著に抑制された。また、実施例の電池のサイクル寿命は、比較例の電池のサイクル寿命よりも顕著に長かった。
【符号の説明】
【0067】
1:蓄電素子(ニッケル水素蓄電池)、
2:電極群、
21:正極、 22:負極、 23:セパレータ、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋部。
図1