【解決手段】リードフレーム基材LFの搬送装置1は、起立状態のリードフレーム基材LFの下縁部LFaを挟持可能な一対の上流側ローラ11,12と、上流側ローラ11を回転させるように構成された回転機構13と、一対の上流側ローラ11,12を相対的に近接及び離間させるように構成された駆動機構14と、コントローラ60とを備える。コントローラ60は、回転機構13を制御して、上流側ローラ11を回転させることにより、一対の上流側ローラ11,12によって下縁部LFaが挟持された状態のリードフレーム基材LFを搬送する第1の処理と、駆動機構14を制御して、断続的に一対の上流側ローラ11,12を相対的に近接及び離間させることで、一対の上流側ローラ11,12による下縁部LFaの挟持と解放とを所定間隔で繰り返す第2の処理とを実行する。
前記一対の第1のローラよりも前記リードフレーム基材の搬送方向における上流側に位置しており、主面が鉛直方向に沿う状態となっている前記リードフレーム基材の前記下縁部を挟持可能な一対の第2のローラと、
前記一対の第2のローラの少なくとも一方を回転させるように構成された第2の回転機構と、
前記一対の第2のローラを相対的に近接及び離間させるように構成された第2の駆動機構とをさらに備え、
前記制御部は、
前記第2の回転機構を制御して、前記一対の第2のローラの少なくとも一方を回転させることにより、前記一対の第2のローラによって前記下縁部が挟持された状態の前記リードフレーム基材を搬送する第3の処理と、
前記第2の駆動機構を制御して、断続的に前記一対の第2のローラを相対的に近接及び離間させることで、前記一対の第1のローラが前記下縁部を解放しているときには前記一対の第2のローラによって前記下縁部を挟持させ、前記一対の第1のローラが前記下縁部を挟持しているときには前記一対の第2のローラによって前記下縁部を解放させる、第4の処理とを実行する、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。
【0011】
≪実施形態の概要≫
[1]本実施形態の一つの例に係るリードフレーム基材の搬送装置は、主面が鉛直方向に沿う状態となっているリードフレーム基材の下縁部を挟持可能な一対の第1のローラと、一対の第1のローラの少なくとも一方を回転させるように構成された第1の回転機構と、一対の第1のローラを相対的に近接及び離間させるように構成された第1の駆動機構と、制御部とを備える。制御部は、第1の回転機構を制御して、一対の第1のローラの少なくとも一方を回転させることにより、一対の第1のローラによって下縁部が挟持された状態のリードフレーム基材を搬送する第1の処理と、第1の駆動機構を制御して、断続的に一対の第1のローラを相対的に近接及び離間させることで、一対の第1のローラによる下縁部の挟持と解放とを所定間隔で繰り返す第2の処理とを実行する。
【0012】
本実施形態の一つの例に係るリードフレーム基材の搬送装置では、制御部が第1の回転機構を制御して、リードフレーム基材の下縁部を挟持している一対の第1のローラの少なくとも一方を第1の回転機構が回転させることにより、リードフレーム基材の主面が鉛直方向に沿う状態(以下では、「起立状態」ということがある。)でリードフレーム基材が搬送される。リードフレーム基材は、帯状の金属薄板であるので、伏臥状態よりも起立状態のほうが重力に対して撓み難い。そのため、リードフレーム基材の撓みを抑制する目的で、リードフレーム基材の幅方向(以下、単に「幅方向」ということがある。)における中央部を支持ローラで支持する必要がない。従って、リードフレーム基材の撓み及び変形が抑制されるので、リードフレーム基材の加工精度の向上を図ることが可能となる。加えて、リードフレーム基材が起立状態で搬送されていると、リードフレーム基材の両面に対して加工処理を均一に行いやすくなる。さらに、伏臥状態でリードフレーム基材を搬送する場合と比較して、リードフレーム基材の主面(下面)を支持するための多数の支持ローラが不要となるので、部品点数を抑制することが可能となる。
【0013】
ところで、一対の第1のローラによって起立状態でリードフレーム基材を搬送していると、一対の第1のローラには、相手方のローラから押される水平方向の力と、重力によって下向きに滑り落ちようとするリードフレーム基材からの鉛直方向下向きの摩擦力とが作用する。すなわち、リードフレーム基材には、一対の第1のローラからの反力として、水平方向の力と、鉛直方向上向きの力が作用する。そのため、リードフレーム基材は、搬送過程において、一対の第1のローラに対して徐々に迫り上がっていく。このような迫り上がりが放置されると、最終的にはリードフレーム基材が一対の第1のローラから外れてしまい、リードフレーム基材の搬送ができなくなってしまいうる。そこで、本実施形態の一つの例に係るリードフレーム基材の搬送装置では、制御部が第1の駆動機構を制御して、第1の駆動機構により断続的に一対の第1のローラを相対的に近接及び離間させることで、一対の第1のローラによる下縁部の挟持と解放とを所定間隔で繰り返している。そのため、リードフレーム基材が迫り上がったときに一対の第1のローラにより下縁部が解放され、リードフレーム基材が所定量落下したときに一対の第1のローラにより下縁部が挟持される。従って、一対の第1のローラの瞬間的な解放によりリードフレーム基材の迫り上がりが是正される。その結果、リードフレーム基材を適切に搬送することが可能となる。
【0014】
[2]上記第1項に記載の装置は、一対の第1のローラよりもリードフレーム基材の搬送方向における上流側に位置しており、主面が鉛直方向に沿う状態となっているリードフレーム基材の下縁部を挟持可能な一対の第2のローラと、一対の第2のローラの少なくとも一方を回転させるように構成された第2の回転機構と、一対の第2のローラを相対的に近接及び離間させるように構成された第2の駆動機構とをさらに備え、制御部は、第2の回転機構を制御して、一対の第2のローラの少なくとも一方を回転させることにより、一対の第2のローラによって下縁部が挟持された状態のリードフレーム基材を搬送する第3の処理と、第2の駆動機構を制御して、断続的に一対の第2のローラを相対的に近接及び離間させることで、一対の第1のローラが下縁部を解放しているときには一対の第2のローラによって下縁部を挟持させ、一対の第1のローラが下縁部を挟持しているときには一対の第2のローラによって下縁部を解放させる、第4の処理とを実行してもよい。この場合、一対の第1のローラと一対の第2のローラとの少なくとも一方によって、リードフレーム基材の下縁部が挟持される。そのため、一対の第1のローラと一対の第2のローラとの一方が下縁部を解放した場合でも、他方が下縁部を挟持してリードフレーム基材を搬送する。従って、リードフレーム基材を継続的に搬送し続けることが可能となる。特に、レジスト膜形成処理、エッチング処理、メッキ処理、露光処理、レジスト膜除去処理等の加工処理時にリードフレーム基材の搬送が一時的に停止すると、処理時間が一定とはならず、レジスト膜厚、エッチング量、めっき膜厚、露光量、レジスト膜除去量等にばらつきが生じうる。しかしながら、第2項に記載の装置によれば、リードフレーム基材が継続的に搬送されるので、そのようなばらつきを大幅に抑制することが可能となる。
【0015】
[3]上記第2項に記載の装置において、第4の処理では、一対の第1のローラと一対の第2のローラとの双方が一時的に下縁部を挟持していてもよい。この場合、リードフレーム基材が搬送されていない状態、すなわち、下縁部が一対の第1のローラ及び一対の第2のローラのどちらにも挟持されていない状態が生じなくなる。そのため、リードフレーム基材の継続的な搬送をより確実に実現することが可能となる。
【0016】
[4]上記第2項又は第3項に記載の装置において、一対の第1のローラによる下縁部の挟持時間は、一対の第2のローラによる下縁部の挟持時間よりも長くてもよい。ところで、リードフレーム基材が一対の第1のローラ又は一対の第2のローラによって挟持されて搬送される場合、リードフレーム基材のうちこれらのローラの下流側部分には押し出し力が作用している。しかしながら、リードフレーム基材は帯状の金属薄板であるので、当該押し出し力がリードフレーム基材に加わると、極めて座屈しやすい。そこで、第3項に記載の装置では、リードフレーム基材は、主として、下流側に位置する一対の第1のローラによって搬送される。すなわち、下流側に位置する一対の第1のローラが主駆動ローラとして機能する。この場合、リードフレーム基材のうち主駆動ローラよりも下流側の部分が比較的短くなるので、主駆動ローラから作用する押し出し力の影響が低減される。従って、リードフレーム基材の変形を抑制することが可能となる。
【0017】
[5]上記第2項〜第4項のいずれか一項に記載の装置は、搬送方向においてリードフレーム基材の上縁部及び下縁部をガイドするように構成された一対のガイド部材をさらに備え、一対のガイド部材は、一対の第1のローラと一対の第2のローラとの間に配置されていてもよい。この場合、リードフレーム基材の上縁部及び下縁部が一対のガイド部材によってガイドされるので、リードフレーム基材の搬送方向に対する左右の振れを抑制することが可能となる。
【0018】
[6]上記第1項〜第5項のいずれか一項に記載の装置は、リードフレーム基材の落下を防止するように構成されたストッパ部材をさらに備えてもよい。この場合、一対の第1のローラからの解放により落下したリードフレーム基材がストッパ部材によって受け止められるので、リードフレーム基材の必要以上の落下を防止することが可能となる。
【0019】
≪実施形態の例示≫
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
[リードフレーム基材の搬送装置]
図1及び
図2を参照して、帯状の金属薄板であるリードフレーム基材LFの搬送装置1について説明する。搬送装置1は、リードフレーム基材LFを起立状態(リードフレーム基材LFの主面が鉛直方向に沿う状態)にて搬送可能に構成されている。
【0021】
搬送装置1によるリードフレーム基材LFの搬送方向(以下、単に「搬送方向」ということがある。)において、搬送装置1の上流側にはリードフレーム基材LFを巻き出す巻出ロール(図示せず)が位置しており、搬送装置1の下流側にはリードフレーム基材LFを巻き取る巻取ロール(図示せず)が位置している。巻出ロールと搬送装置1との間には、例えば、レジスト膜形成処理、露光処理、エッチング処理、レジスト膜剥離処理、メッキ処理等の加工処理をリードフレーム基材LFに行うための加工装置が配置されていてもよい。搬送装置1と巻取ロールとの間には、例えば、リードフレーム基材LFを検査する検査処理を行うための検査装置等が配置されていてもよい。
【0022】
搬送装置1は、
図1に示されるように、上流側搬送部10と、下流側搬送部20と、複数のガイド部30と、ストッパ部材40と、センサ50と、コントローラ60(制御部)とを備える。
【0023】
上流側搬送部10は、
図1及び
図2に示されるように、一対の上流側ローラ11,12(第2のローラ)と、回転機構13(第2の回転機構)、駆動機構14(第2の駆動機構)と、揺動部材15とを有する。一対の上流側ローラ11,12は、リードフレーム基材LFの下縁部LFaを間に置くように位置している。すなわち、一対の上流側ローラ11,12は、下縁部LFaを介して対向している。上流側ローラ11,12は共に、円柱状を呈しており、鉛直方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能である。
【0024】
回転機構13は、上流側ローラ11に接続されている。回転機構13は、例えば回転モータである。回転機構13は、コントローラ60からの指示に基づいて動作し、上流側ローラ11を回転駆動させる。
【0025】
駆動機構14は、揺動部材15に接続されている。駆動機構14は、例えば揺動サーボモータである。駆動機構14は、コントローラ60からの指示に基づいて動作し、鉛直方向に沿って延びる揺動軸周りに揺動部材15を揺動させる。
【0026】
揺動部材15は、上流側ローラ12と駆動機構14とを間接的に接続している。揺動部材15は、駆動機構14の揺動軸に対して偏心した位置において上流側ローラ12を回転可能に支持する機能を有する。当該機能が発揮されれば、揺動部材15の形状は特に限定されない。本実施形態では、揺動部材15は四角柱状を呈しており、揺動部材15の基端部に駆動機構14が取り付けられており、揺動部材15の先端部に上流側ローラ12が取り付けられている。
【0027】
駆動機構14によって揺動部材15の先端部が揺動すると、当該先端部に取り付けられている上流側ローラ12も、上流側ローラ11に対して近接及び離間するように揺動する。上流側ローラ12が上流側ローラ11に近接した場合、上流側ローラ11,12のうち互いに対向する周面によってリードフレーム基材LFの下縁部LFaが挟持される(
図2参照)。すなわち、一対の上流側ローラ11,12は、リードフレーム基材LFの下縁部LFaを挟持可能に構成されている。駆動機構14は、上流側ローラ12を上流側ローラ11に対して近接及び離間させるように構成されている。
【0028】
下流側搬送部20は、一対の下流側ローラ21,22(第1のローラ)と、回転機構23(第1の回転機構)、駆動機構24(第1の駆動機構)と、揺動部材25とを有する。これらの構成は、上流側搬送部10と同様であるので、説明を省略する。
【0029】
複数のガイド部30は、
図1に示されるように、リードフレーム基材LFの搬送方向に沿って並ぶように配置されている。本実施形態では、3つのガイド部30が上流側搬送部10と下流側搬送部20との間に配置されており、1つのガイド部30が下流側搬送部20よりも下流側に配置されている。上流側搬送部10と下流側搬送部20との間には、少なくとも一つのガイド部30が配置されていてもよい。下流側搬送部20よりも下流側には、ガイド部30が配置されていなくてもよい。
【0030】
ガイド部30は、一対のガイドローラ31,32(ガイド部材)と、支持体33とを有する。一対のガイドローラ31,32は、支持体33の側面に回転可能に取り付けられている。一対のガイドローラ31,32は共に、水平方向で且つリードフレーム基材LFの厚さ方向に延びる回転軸周りに回転可能である。一対のガイドローラ31,32は、ガイドローラ31がガイドローラ32よりも下方に位置するように、上下方向において離間している。
【0031】
ガイドローラ31,32は共に円柱状を呈している。ガイドローラ31,32の周面は互いに対向している。ガイドローラ31,32の周面には、その周方向に沿って延びる溝が設けられている。ガイドローラ31,32は、これらの溝によってリードフレーム基材LFの側縁部(上縁部又は下縁部)を搬送方向にガイドするように構成されている。
【0032】
ガイドローラ31,32の溝の形状は、特に限定されず、V字形状であってもよいし、U字形状であってもよい。ガイドローラ31,32の溝底同士の離間距離は、リードフレーム基材LFの幅よりも若干大きくなるように設定されていてもよい。具体的には、ガイドローラ31,32の溝底同士の離間距離は、搬送装置1によるリードフレーム基材LFの搬送時に、リードフレーム基材LFの側縁(上縁又は下縁)が当該溝内に位置するが当該溝底に当接しない程度に設定されていてもよい。
【0033】
ストッパ部材40は、リードフレーム基材LFの落下を防止するように構成されている。そのため、ストッパ部材40は、リードフレーム基材LFの下縁部LFaの下方に配置されている。ストッパ部材40は、ガイドローラ31,32と同様に、溝付きのローラであってもよい。この場合、搬送装置1によるリードフレーム基材LFの搬送時に、リードフレーム基材LFの下縁が溝底に当接していてもよい。
【0034】
センサ50は、リードフレーム基材LFの上縁の高さ位置を検出するように構成されている。センサ50は、例えばレーザ変位センサであってもよい。センサ50は、上縁の高さ位置に関する検出信号をコントローラ60に送信する。
【0035】
コントローラ60は、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、回転機構13,23及び駆動機構14,24をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、当該指示信号を回転機構13,23及び駆動機構14,24に送信する。
【0036】
具体的には、コントローラ60は、回転機構13,23及び駆動機構14,24を次のように制御する。まず、コントローラ60は、駆動機構24を制御して揺動部材25を揺動させ、下流側ローラ22を下流側ローラ21に近接させる。これにより、一対の下流側ローラ21,22でリードフレーム基材LFの下縁部LFaを挟持させる。この状態で、コントローラ60は、回転機構23を制御して下流側ローラ21を回転させ、一対の下流側ローラ21,22が挟持している下縁部LFaを送り出す(第1の処理)。これにより、リードフレーム基材LFが下流側に向けて搬送される。
【0037】
ところで、一対の下流側ローラ21,22によって起立状態でリードフレーム基材LFを搬送していると、一対の下流側ローラ21,22には、相手方の下流側ローラ22,21から押される水平方向の力と、重力によって下向きに滑り落ちようとするリードフレーム基材LFからの鉛直方向下向きの摩擦力とが作用する。すなわち、リードフレーム基材LFには、一対の下流側ローラ21,22からの反力として、水平方向の力と、鉛直方向上向きの力が作用する。そのため、リードフレーム基材LFは、搬送過程において、一対の下流側ローラ21,22に対して徐々に迫り上がっていく。このような迫り上がりが放置されると、最終的にはリードフレーム基材LFが一対の下流側ローラ21,22から外れてしまい、リードフレーム基材LFの搬送ができなくなってしまいうる。
【0038】
そこで、コントローラ60は、センサ50から受信した検出信号に基づいて、リードフレーム基材LFの迫り上がり量が所定の閾値以上であるか否かを判断する。コントローラ60は、リードフレーム基材LFの迫り上がり量が閾値以上ではないと判断すると、リードフレーム基材LFの迫り上がり量がそれほど大きくないので、一対の下流側ローラ21,22によりリードフレーム基材LFの搬送を継続させる。
【0039】
一方、コントローラ60は、リードフレーム基材LFの迫り上がり量が閾値以上であると判断すると、リードフレーム基材LFの迫り上がり量が過剰であるので、当該迫り上がりの是正処理を実行する。具体的には、一対の下流側ローラ21,22によってリードフレーム基材LFが搬送されている状態で、コントローラ60は、さらに駆動機構14を制御して揺動部材15を揺動させ、上流側ローラ12を上流側ローラ11に近接させる。これにより、一対の上流側ローラ11,12でもリードフレーム基材LFの下縁部LFaを挟持させる。この状態で、コントローラ60は、回転機構13を制御して上流側ローラ11を回転させ、一対の上流側ローラ11,12が挟持している下縁部LFaを送り出す(第3の処理)。
【0040】
続いて、コントローラ60は、駆動機構24を制御して揺動部材25を揺動させ、下流側ローラ22を下流側ローラ21から離間させる(第2及び第4の処理)。これにより、リードフレーム基材LFの下縁部LFaが一対の下流側ローラ21,22から解放される。そのため、一対の下流側ローラ21,22の近傍において、リードフレーム基材LFが落下し、下縁部LFaがストッパ部材40によって受け止められる。この間、リードフレーム基材LFは、一対の上流側ローラ11,12によって搬送されている。
【0041】
続いて、コントローラ60は、駆動機構24を制御して揺動部材25を揺動させ、下流側ローラ22を下流側ローラ21に再び近接させる。これにより、一対の下流側ローラ21,22でリードフレーム基材LFの下縁部LFaを挟持させる。下流側ローラ21は回転機構23によって継続して回転されているので、一対の下流側ローラ21,22は、挟持している下縁部LFaを送り出す(第1の処理)。
【0042】
続いて、一対の下流側ローラ21,22によってリードフレーム基材LFが搬送されている状態で、コントローラ60は、駆動機構14を制御して揺動部材15を揺動させ、上流側ローラ12を上流側ローラ11から離間させる(第2及び第4の処理)。これにより、リードフレーム基材LFの下縁部LFaが一対の上流側ローラ11,12から解放される。
【0043】
コントローラ60は、以上の処理を繰り返すことにより、リードフレーム基材LFの迫り上がりを是正する。すなわち、コントローラ60は、上流側ローラ11,12及び下流側ローラ21,22による下縁部LFaの挟持と解放とを所定間隔で繰り返すように、回転機構13,23及び駆動機構14,24を制御している。より詳しくは、コントローラ60は、上流側ローラ11,12が下縁部LFaを解放しているときには下流側ローラ21,22によって下縁部LFaを挟持させると共に、下流側ローラ21,22が下縁部LFaを解放しているときには上流側ローラ11,12によって下縁部LFaを挟持させるように、回転機構13,23及び駆動機構14,24を制御している。
【0044】
上流側ローラ11,12と下流側ローラ21,22との離間距離は、特に限定されないが、例えば、300mm以上であってもよいし、600mm以上であってもよいし、800mm以上であってもよい。上流側ローラ11,12と下流側ローラ21,22との離間距離が短いほど、上流側ローラ11,12又は下流側ローラ21,22が下縁部LFaを解放したときに、リードフレーム基材LFが落下し難く、リードフレーム基材LFの迫り上がりの是正の効果が小さくなる傾向にある。なお、リードフレーム基材LFの落下のしやすさは、リードフレーム基材LFの剛性等によっても変化しうる。
【0045】
下流側ローラ21,22による下縁部LFaの解放時間は、1秒以下であってもよいし、0.5秒以下であってもよいし、0.3秒以下であってもよいし、0.2秒以下であってもよい。換言すれば、上流側ローラ11,12による下縁部LFaの挟持時間は、少なくとも下流側ローラ21,22による下縁部LFaの解放時間以上であってもよい。
【0046】
下流側ローラ21,22による下縁部LFaの挟持時間は、リードフレーム基材LFが迫り上がる程度によって種々に変化しうるが、例えば5秒〜7秒程度であってもよい。換言すれば、上流側ローラ11,12による下縁部LFaの解放時間は、少なくとも下流側ローラ21,22による下縁部LFaの挟持時間以下であってもよい。
【0047】
ところで、リードフレーム基材LFが上流側ローラ11,12又は下流側ローラ21,22によって挟持されて搬送される場合、リードフレーム基材LFのうちこれらのローラの下流側部分には押し出し力が作用している。しかしながら、リードフレーム基材LFは帯状の金属薄板であるので、当該押し出し力がリードフレーム基材LFに加わると、極めて座屈しやすい。そのため、下流側ローラ21,22による下縁部LFaの挟持時間は、上流側ローラ11,12による下縁部LFaの挟持時間よりも長くてもよい。この場合、リードフレーム基材LFは、主として、下流側ローラ21,22によって搬送される。すなわち、下流側ローラ21,22が主駆動ローラとして機能する。そのため、リードフレーム基材LFのうち主駆動ローラよりも下流側の部分が比較的短くなるので、主駆動ローラから作用する押し出し力の影響が低減される。従って、リードフレーム基材LFの変形を抑制することが可能となる。
【0048】
[作用]
以上のような本実施形態では、コントローラ60が駆動機構24を制御して、リードフレーム基材LFの下縁部LFaを一対の下流側ローラ21,22により挟持しつつ、コントローラ60が回転機構23を制御して、下流側ローラ21を回転させることにより、リードフレーム基材LFを起立状態で搬送している。リードフレーム基材LFは、帯状の金属薄板であるので、伏臥状態よりも起立状態のほうが重力に対して撓み難い。そのため、リードフレーム基材LFの撓みを抑制する目的で、幅方向におけるリードフレーム基材LFの中央部を支持ローラ等で支持する必要がない。従って、リードフレーム基材LFの撓み及び変形が抑制されるので、リードフレーム基材LFの加工精度の向上を図ることが可能となる。加えて、リードフレーム基材LFが起立状態で搬送されていると、リードフレーム基材LFの両面に対して加工処理を均一に行いやすくなる。さらに、伏臥状態でリードフレーム基材LFを搬送する場合と比較して、リードフレーム基材LFの主面(下面)を支持するための多数の支持ローラ等が不要となるので、部品点数を抑制することが可能となる。
【0049】
本実施形態では、コントローラ60が駆動機構24を制御して、駆動機構24により断続的に一対の下流側ローラ21,22を相対的に近接及び離間させることで、一対の下流側ローラ21,22による下縁部LFaの挟持と解放とを所定間隔で繰り返している。そのため、リードフレーム基材LFが迫り上がったときに一対の下流側ローラ21,22により下縁部LFaが解放され、リードフレーム基材LFが所定量落下したときに一対の下流側ローラ21,22により下縁部LFaが挟持される。従って、一対の下流側ローラ21,22の瞬間的な解放によりリードフレーム基材LFの迫り上がりが是正される。その結果、リードフレーム基材LFを適切に搬送することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、上流側ローラ11,12及び下流側ローラ21,22の少なくとも一方によって、リードフレーム基材LFの下縁部LFaが挟持される。そのため、一対の上流側ローラ11,12と一対の下流側ローラ21,22との一方が下縁部LFaを解放した場合でも、他方が下縁部LFaを挟持してリードフレーム基材LFを搬送する。従って、リードフレーム基材LFを継続的に搬送し続けることが可能となる。特に、レジスト膜形成処理、エッチング処理、メッキ処理、露光処理、レジスト膜除去処理等の加工処理時にリードフレーム基材LFの搬送が一時的に停止すると、処理時間が一定とはならず、レジスト膜厚、エッチング量、めっき膜厚、露光量、レジスト膜除去量等にばらつきが生じうる。しかしながら、本実施形態では、リードフレーム基材LFが継続的に搬送されるので、そのようなばらつきを大幅に抑制することが可能となる。
【0051】
本実施形態では、リードフレーム基材LFの上縁部及び下縁部をガイドするように構成された一対のガイドローラ31,32が、上流側ローラ11,12と下流側ローラ21,22との間に位置している。そのため、リードフレーム基材LFの上縁部及び下縁部がガイドローラ31,32によってガイドされるので、リードフレーム基材LFの搬送方向に対する左右の振れを抑制することが可能となる。
【0052】
本実施形態では、ストッパ部材40がリードフレーム基材LFの落下を防止している。そのため、一対の下流側ローラ21,22からの解放により落下したリードフレーム基材LFがストッパ部材40によって受け止められる。従って、リードフレーム基材LFの必要以上の落下を防止することが可能となる。
【0053】
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、リードフレーム基材LFの迫り上がり量をセンサ50で検知していたが、タイマ等によって所定時間経過したことを検知したときに、下流側ローラ21,22による下縁部LFaの解放が行われてもよい。
【0054】
回転機構13は、上流側ローラ11,12の少なくとも一方を回転駆動してもよい。同様に、回転機構23は、下流側ローラ21,22の少なくとも一方を回転駆動してもよい。
【0055】
駆動機構14は、上流側ローラ11,12の少なくとも一方を駆動して、上流側ローラ11,12を相対的に近接及び離間させてもよい。同様に、駆動機構24は、下流側ローラ21,22の少なくとも一方を駆動して、下流側ローラ21,22を相対的に近接及び離間させてもよい。
【0056】
上流側ローラ11,12による下縁部LFaの挟持時間は、下流側ローラ21,22による下縁部LFaの挟持時間よりも長くてもよい。この場合、リードフレーム基材LFは、主として、上流側ローラ11,12によって搬送される。
【0057】
上流側ローラ11,12及び下流側ローラ21,22が共に下縁部LFaを挟持しているタイミングが存在していてもよい。すなわち、上流側ローラ11,12と下流側ローラ21,22との双方が一時的に下縁部LFaを挟持していてもよい。この場合、リードフレーム基材LFが搬送されていない状態、すなわち、下縁部LFaが上流側ローラ11,12及び下流側ローラ21,22のどちらにも挟持されていない状態が生じなくなる。そのため、リードフレーム基材LFの継続的な搬送をより確実に実現することが可能となる。
【0058】
ガイド部30は、一対のガイドローラ31,32に代えて、搬送方向に延びる一対のガイドレール(図示せず)を有していてもよい。すなわち、ガイド部30は、リードフレーム基材LFを搬送方向にガイド可能に構成されていればよい。
【0059】
搬送装置1は、ガイド部30を備えていなくてもよい。搬送装置1は、ストッパ部材40を備えていなくてもよい。