【課題】本開示は、回転動作及び傾き動作を伴う複数の機構部間での非接触型電力伝送装置において、装置の小型化を図ること、傾き動作の可動範囲を広げること、及び、コイル間の磁界結合を強くすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、外側に配置される外側コイル11と、内側に配置される内側コイル12と、外側コイル11と内側コイル12との中心軸の間の傾きを可変とする傾き軸13と、外側コイル11及び内側コイル12のいずれかのコイルの中心軸を回転軸として、外側コイル11及び内側コイル12のいずれかのコイルを回転させるベアリング14と、を備えることを特徴とする非接触型電力伝送装置P1である。
前記傾き可変部材は、前記内側コイル保持部材の先端に配置されるフック部材と、前記内側コイル収容空間内に配置され前記フック部材を着脱可能な着脱軸部材と、を備え、
前記フック部材及び前記着脱軸部材は、前記第1無線通信機と前記第2無線通信機との間の無線通信を可能とする無線通信路空間を確保する
ことを特徴とする、請求項7に記載の電力伝送/情報通信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の非接触型電力伝送装置では、回転軸及び傾き軸について「それぞれ1セット」の回転可能な対向配置コイルを備えるため、装置の小型化を図ることができない。そこで、回転軸及び傾き軸について「合わせて1セット」の回転可能な対向配置コイルを備えることにより、小型化を図ることが考えられる。しかし、対向配置コイル間の間隔を狭め過ぎれば、対向配置コイル間の磁界結合は強くなるが、一方のコイルに対する他方のコイルの傾き動作による対向配置コイル間の機械的干渉が生じやすい。一方で、対向配置コイル間の間隔を広げ過ぎれば、一方のコイルに対する他方のコイルの傾き動作による対向配置コイル間の機械的干渉は生じにくいが、対向配置コイル間の磁界結合が弱くなる。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、回転動作及び傾き動作を伴う複数の機構部間での非接触型電力伝送装置において、装置の小型化を図ること、傾き動作の可動範囲を広げること、及び、コイル間の磁界結合を強くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、回転軸及び傾き軸について「合わせて1セット」の回転可能な磁界結合する外側コイル及び内側コイルを備えることとした。
【0007】
具体的には、本開示は、外側に配置される外側コイルと、内側に配置される内側コイルと、前記外側コイルと前記内側コイルとの中心軸の間の傾きを可変とする傾き可変部材と、前記外側コイル及び前記内側コイルのいずれかのコイルの中心軸を回転軸として、前記外側コイル及び前記内側コイルのいずれかのコイルを回転させるコイル回転部材と、を備えることを特徴とする非接触型電力伝送装置である。
【0008】
この構成によれば、回転軸及び傾き軸について「合わせて1セット」の回転可能な磁界結合する外側コイル及び内側コイルを備えるため、装置の小型化を図ることができる。そして、外側コイルの断面サイズを内側コイルの断面サイズより十分に大きくすれば、傾き動作の可動範囲を広げることができる。さらに、外側コイルと内側コイルとを外側と内側とで互いに重ね合わせれば、コイル間の磁界結合を強くすることができる。
【0009】
また、本開示は、前記外側コイルと前記内側コイルとは、前記外側コイルと前記内側コイルとの中心軸が互いに平行であるときに、外側と内側とで互いに重なり合うことを特徴とする非接触型電力伝送装置である。
【0010】
この構成によれば、外側コイルと内側コイルとを外側と内側とで互いに重ね合わせるため、コイル間の磁界結合をより強くすることができる。
【0011】
また、本開示は、前記外側コイルは、前記外側コイルの中心軸に垂直なオバール形断面を有し、前記外側コイルのオバール形断面の長軸は、前記傾き可変部材の傾き軸と、前記外側コイルの中心軸と、に対して垂直になるように配置されることを特徴とする非接触型電力伝送装置である。
【0012】
この構成によれば、外側コイルの断面サイズを内側コイルの断面サイズより十分に大きくするため、傾き動作の可動範囲をより広げることができる。
【0013】
また、本開示は、前記外側コイルを保持する外側コイル保持部材と、前記内側コイルを保持する内側コイル保持部材と、をさらに備えることを特徴とする非接触型電力伝送装置である。
【0014】
この構成によれば、非接触型電力伝送装置を送受電側機構部に接続可能となる。
【0015】
また、本開示は、前記外側コイルと前記外側コイル保持部材との間に配置される外側磁性体部材と、前記内側コイルと前記内側コイル保持部材との間に配置される内側磁性体部材と、をさらに備えることを特徴とする非接触型電力伝送装置である。
【0016】
この構成によれば、外側コイル保持部材及び内側コイル保持部材が金属であるときでも、外側コイル保持部材及び内側コイル保持部材での渦電流損失を防止可能となる。
【0017】
また、本開示は、以上に記載の非接触型電力伝送装置を備え、電磁波の照射及び/又は受信の指向方向を可変とすることを特徴とする電磁波照射/受信装置である。
【0018】
この構成によれば、非接触型電力伝送装置を電磁波照射/受信に適用可能となる。
【0019】
また、本開示は、以上に記載の非接触型電力伝送装置を備え、前記内側コイル保持部材は、前記内側コイルを内側から保持し、前記外側コイル保持部材は、前記外側コイルを外側から保持し、前記外側コイルに対する前記内側コイルの相対運動を可能とする内側コイル収容空間を有し、前記内側コイル保持部材の先端に配置される第1無線通信機と、前記外側コイルと前記内側コイルとの中心軸の間の傾きがないときでの、前記内側コイル収容空間を介して前記内側コイル保持部材の先端と対向する前記外側コイル保持部材の場所に配置される第2無線通信機と、をさらに備えることを特徴とする電力伝送/情報通信装置である。
【0020】
この構成によれば、非接触型電力伝送装置を用いて、電力伝送と情報通信との融合を図ることができる。ここで、内側コイル保持部材の先端と外側コイル保持部材の上記場所とは、第1、2無線通信機により接続される。よって、非接触型電力伝送装置の回転動作及び傾き動作の可動範囲が、有線ケーブルのねじれ、屈曲及び断線の問題により制限されることがない。そして、第1、2無線通信機は、非接触型電力伝送装置の中心軸上に配置される。よって、非接触型電力伝送装置の回転動作及び傾き動作の可動範囲が、第1、2無線通信機の指向性の問題により制限されることが少なくなる。さらに、第1、2無線通信機は、外側コイル保持部材内の内側コイル収容空間を介して通信する。よって、第1、2無線通信機の間の無線通信が、介在物により途絶えることがなく、電磁波の減衰の大きい媒体中(例えば浮遊物が多く存在する水中など)でも途絶えることが少なくなる。
【0021】
また、本開示は、前記傾き可変部材は、前記内側コイル保持部材の先端に配置されるフック部材と、前記内側コイル収容空間内に配置され前記フック部材を着脱可能な着脱軸部材と、を備え、前記フック部材及び前記着脱軸部材は、前記第1無線通信機と前記第2無線通信機との間の無線通信を可能とする無線通信路空間を確保することを特徴とする電力伝送/情報通信装置である。
【0022】
この構成によれば、外側コイル及び第2無線通信機が取り付けられる外側コイル保持部材の着脱軸部材に、内側コイル及び第1無線通信機が取り付けられるフック部材を引っ掛けるのみにより、たとえ水中でも電力伝送及び情報通信を容易に開始することができる。
【0023】
また、本開示は、以上に記載の電力伝送/情報通信装置と、前記電力伝送/情報通信装置を搭載される自律可動型ロボット装置と、前記内側コイル保持部材に沿って配置され、前記内側コイルに接続され、外部から前記電力伝送/情報通信装置への電力伝送を行う第1電力伝送線と、前記内側コイル保持部材に沿って配置され、前記第1無線通信機に接続され、外部と前記電力伝送/情報通信装置との間の情報通信を行う第1情報通信線と、前記内側コイルと磁界結合する前記外側コイルに接続され、前記電力伝送/情報通信装置から前記自律可動型ロボット装置への電力伝送を行う第2電力伝送線と、前記第1無線通信機と無線通信を行う前記第2無線通信機に接続され、前記電力伝送/情報通信装置と前記自律可動型ロボット装置との間の情報通信を行う第2情報通信線と、を備えることを特徴とする自律可動型ロボットシステムである。
【0024】
この構成によれば、電力伝送/情報通信装置を用いて、自律可動型ロボット装置を操作することができる。ここで、外部と電力伝送/情報通信装置とは、内側コイル保持部材に沿って配置される第1電力伝送線により接続され、内側コイル保持部材は、外側コイル保持部材に対して相対的に回転動作及び傾き動作を行う。よって、自律可動型ロボット装置への大電力伝送及びバッテリレスの長時間連続可動が必要なときでも、自律可動型ロボット装置の可動範囲が、第1電力伝送線のねじれ、屈曲及び断線の問題により制限されることが少なくなる。そして、外部と電力伝送/情報通信装置とは、内側コイル保持部材に沿って配置される第1情報通信線により接続され、内側コイル保持部材は、外側コイル保持部材に対して相対的に回転動作及び傾き動作を行う。よって、自律可動型ロボット装置との大容量通信及びリアルタイム通信が必要なときでも、自律可動型ロボット装置の可動範囲が、第1情報通信線のねじれ、屈曲及び断線の問題により制限されることが少なくなる。
【発明の効果】
【0025】
このように、本開示は、回転動作及び傾き動作を伴う複数の機構部間での非接触型電力伝送装置において、装置の小型化を図ること、傾き動作の可動範囲を広げること、及び、コイル間の磁界結合を強くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0028】
(第1実施形態の非接触型電力伝送装置)
第1実施形態の非接触型電力伝送装置の構成を
図1に示す。非接触型電力伝送装置P1は、外側コイル11、内側コイル12、傾き軸13、ベアリング14、回転支柱15、回転支柱16、フレーム17、支持部材18及び内側磁性体19から構成される。
【0029】
図1の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図1の左下欄は、平面図を示す。
図1の中上欄は、
図1の左上欄の正面図に対して、ベアリング14の右側から見た右側面図を示す。
図1の中下欄は、
図1の左下欄の平面図に対して、ベアリング14の右側から見た右側面図を示す。
図1の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。ここで、
図1の左上欄の正面図、
図1の左下欄の平面図及び
図1の右上欄の正面図では、フレーム17については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0030】
外側コイル11及び内側コイル12は、それぞれ、外側及び内側に配置される。ここで、外側コイル11と内側コイル12とは、外側コイル11と内側コイル12との中心軸が互いに平行であるときに、外側と内側とで互いに重なり合う。そして、外側コイル11と内側コイル12との中心軸は、必ずしも同一の軸でなくてもよい。
【0031】
フレーム17は、外側コイル11を外側から保持する。ここで、フレーム17は、外側コイル11と内側コイル12との間の磁界結合を妨げないような、材料(例えば、樹脂等。)からなる構造を有する。支持部材18は、内側コイル12を内側から保持する。ここで、支持部材18は、金属等からなる軸部材又はパイプである。
【0032】
傾き軸13は、外側コイル11と内側コイル12との中心軸の間の傾きを可変とする。具体的には、傾き軸13は、内側コイル12の中心軸に対する外側コイル11の中心軸の傾きを可変とする(
図1の右上欄の正面図を参照。)。ここで、傾き軸13は、必ずしも外側コイル11及び内側コイル12の中心部を通らなくてもよい。
【0033】
ベアリング14、回転支柱15及び回転支柱16は、内側コイル12の中心軸を回転軸として、外側コイル11を回転させる。具体的には、ベアリング14の内輪は、支持部材18に固定され、ベアリング14の外輪は、回転支柱15に接続される。回転支柱15は、回転支柱16に直角に接続される。回転支柱16は、フレーム17に固定される。
【0034】
ベアリング14の外輪が、ベアリング14の内輪に対して回転すると、回転支柱15及び回転支柱16は、支持部材18に対して回転し、フレーム17及び外側コイル11は、内側コイル12に対して回転する(
図1の左下欄の平面図を参照。)。
【0035】
外側コイル11は、外側コイル11の中心軸に垂直なオバール形断面を有する。ここで、オバール形とは、少なくとも1本の対称軸を有する平面図形であり、長円形、楕円形及び円形等である。そして、外側コイル11のオバール形断面の長軸は、傾き軸13と、外側コイル11の中心軸と、に対して垂直になるように配置される(
図1の中上欄及び中下欄の右側面図を参照。)。なお、内側コイル12は、円柱形コイル等である。
【0036】
内側磁性体19は、内側コイル12と支持部材18との間に配置される。ここで、内側磁性体19は、円筒形に焼成された磁性体でもよく、ほぼ円筒形に配置された複数の磁性体の小片でもよい(
図4の中上欄及び中下欄の右側面図を参照。)。後者では前者より、内側磁性体19の製造工程を簡便にしやすく、内側磁性体19のクラックを生じにくい。
【0037】
このように、回転軸及び傾き軸について「合わせて1セット」の回転可能な磁界結合する外側コイル11及び内側コイル12を備えるため、非接触型電力伝送装置P1の小型化を図ることができる。そして、外側コイル11と内側コイル12とを外側と内側とで互いに重ね合わせるため、外側コイル11と内側コイル12との間の磁界結合を強くすることができる。さらに、内側磁性体19を内側コイル12と支持部材18との間に配置するため、支持部材18が金属であるときでも支持部材18での渦電流損失を防止可能となる。
【0038】
そして、外側コイル11の断面サイズを内側コイル12の断面サイズより十分に大きくするため、内側コイル12に対する外側コイル11の傾き動作の可動範囲を広げることができる。ここで、内側コイル12に対する外側コイル11の傾き角度が大きすぎれば、外側コイル11と内側コイル12との間の磁界結合が弱くなる。そこで、外側コイル11の断面サイズを意図的に制限することにより、内側コイル12に対する外側コイル11の傾き動作の可動範囲を意図的に制限することができる。ただし、
図1に不図示の外側コイル11以外のストッパー等を配置することによっても、内側コイル12に対する外側コイル11の傾き動作の可動範囲を意図的に制限することができる。
【0039】
(第2実施形態の非接触型電力伝送装置)
第2実施形態の非接触型電力伝送装置の構成を
図2に示す。非接触型電力伝送装置P2は、外側コイル21、内側コイル22、傾き軸23、傾き支柱24、傾き支柱25、固定部材26、ベアリング27、フレーム28、支持部材29及び内側磁性体30から構成される。
【0040】
図2の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図2の左下欄は、平面図を示す。
図2の中上欄は、
図2の左上欄の正面図に対して、固定部材26の右側から見た右側面図を示す。
図2の中下欄は、
図2の左下欄の平面図に対して、固定部材26の右側から見た右側面図を示す。
図2の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。ここで、
図2の左上欄の正面図、
図2の左下欄の平面図及び
図2の右上欄の正面図では、ベアリング27及びフレーム28については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0041】
外側コイル21及び内側コイル22は、それぞれ、外側及び内側に配置される。ここで、外側コイル21と内側コイル22とは、外側コイル21と内側コイル22との中心軸が互いに平行であるときに、外側と内側とで互いに重なり合う。そして、外側コイル21と内側コイル22との中心軸は、必ずしも同一の軸でなくてもよい。
【0042】
フレーム28は、外側コイル21を外側から保持する。ここで、フレーム28は、外側コイル21と内側コイル22との間の磁界結合を妨げないような、材料(例えば、樹脂等。)からなる構造を有する。支持部材29は、内側コイル22を内側から保持する。ここで、支持部材29は、金属等からなる軸部材又はパイプである。
【0043】
傾き軸23は、外側コイル21と内側コイル22との中心軸の間の傾きを可変とする。具体的には、傾き軸23は、外側コイル21の中心軸に対する内側コイル22の中心軸の傾きを可変とする(
図2の右上欄の正面図を参照。)。ここで、傾き軸23は、必ずしも外側コイル21及び内側コイル22の中心部を通らなくてもよい。
【0044】
傾き支柱24、傾き支柱25、固定部材26及びベアリング27は、外側コイル21の中心軸を回転軸として、内側コイル22を回転させる。具体的には、ベアリング27の内輪は、フレーム28に固定され、ベアリング27の外輪は、傾き支柱24に接続される。傾き支柱24は、傾き支柱25に直角に接続される。傾き支柱25は、固定部材26に固定される。固定部材26は、支持部材29に固定される。
【0045】
ベアリング27の外輪が、ベアリング27の内輪に対して回転すると、傾き支柱24及び傾き支柱25は、フレーム28に対して回転し、固定部材26、支持部材29及び内側コイル22は、外側コイル21に対して回転する(
図2の左下欄の平面図を参照。)。
【0046】
外側コイル21は、外側コイル21の中心軸に垂直なオバール形断面を有する。ここで、オバール形とは、少なくとも1本の対称軸を有する平面図形であり、長円形、楕円形及び円形等である。そして、外側コイル21のオバール形断面の長軸は、傾き軸23と、外側コイル21の中心軸と、に対して垂直になるように配置される(
図2の中上欄及び中下欄の右側面図を参照。)。なお、内側コイル22は、円柱形コイル等である。
【0047】
内側磁性体30は、内側コイル22と支持部材29との間に配置される。ここで、内側磁性体30は、円筒形に焼成された磁性体でもよく、ほぼ円筒形に配置された複数の磁性体の小片でもよい(
図4の中上欄及び中下欄の右側面図を参照。)。後者では前者より、内側磁性体30の製造工程を簡便にしやすく、内側磁性体30のクラックを生じにくい。
【0048】
このように、回転軸及び傾き軸について「合わせて1セット」の回転可能な磁界結合する外側コイル21及び内側コイル22を備えるため、非接触型電力伝送装置P2の小型化を図ることができる。そして、外側コイル21と内側コイル22とを外側と内側とで互いに重ね合わせるため、外側コイル21と内側コイル22との間の磁界結合を強くすることができる。さらに、内側磁性体30を内側コイル22と支持部材29との間に配置するため、支持部材29が金属であるときでも支持部材29での渦電流損失を防止可能となる。
【0049】
そして、外側コイル21の断面サイズを内側コイル22の断面サイズより十分に大きくするため、外側コイル21に対する内側コイル22の傾き動作の可動範囲を広げることができる。ここで、外側コイル21に対する内側コイル22の傾き角度が大きすぎれば、外側コイル21と内側コイル22との間の磁界結合が弱くなる。そこで、外側コイル21の断面サイズを意図的に制限することにより、外側コイル21に対する内側コイル22の傾き動作の可動範囲を意図的に制限することができる。ただし、
図2に不図示の外側コイル21以外のストッパー等を配置することによっても、外側コイル21に対する内側コイル22の傾き動作の可動範囲を意図的に制限することができる。
【0050】
(第3実施形態の非接触型電力伝送装置)
第3実施形態の非接触型電力伝送装置の構成を
図3に示す。非接触型電力伝送装置P3は、外側コイル31、内側コイル32、傾き軸33、ベアリング34、回転支柱35、回転支柱36、フレーム37、支持部材38及び内側磁性体39から構成される。
【0051】
図3の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図3の左下欄は、平面図を示す。
図3の中上欄は、
図3の左上欄の正面図に対して、ベアリング34の右側から見た右側面図を示す。
図3の中下欄は、
図3の左下欄の平面図に対して、ベアリング34の右側から見た右側面図を示す。
図3の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。ここで、
図3の左上欄の正面図、
図3の左下欄の平面図及び
図3の右上欄の正面図では、フレーム37については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0052】
傾き軸33、ベアリング34、回転支柱35、回転支柱36、フレーム37、支持部材38及び内側磁性体39は、それぞれ、傾き軸13、ベアリング14、回転支柱15、回転支柱16、フレーム17、支持部材18及び内側磁性体19と同様である。
【0053】
外側コイル31及び内側コイル32が、それぞれ、外側コイル11及び内側コイル12と異なる点について説明する。外側コイル31と内側コイル32とは、外側コイル31と内側コイル32との中心軸が互いに平行であるときに、外側と内側とで互いに重なり合わないが、外側コイル31と内側コイル32との中心軸が互いに所定角度だけ傾くときに、外側と内側とで互いに重なり合う(
図3の右上欄の正面図を参照。)。
【0054】
従来では一方のコイルの断面サイズを他方のコイルの断面サイズと同様とするが、外側コイル31の断面サイズを内側コイル32の断面サイズより十分に大きくするため、内側コイル32に対する外側コイル31の傾き動作の可動範囲を広げることができる。
【0055】
(第4実施形態の非接触型電力伝送装置)
第4実施形態の非接触型電力伝送装置の構成を
図4に示す。非接触型電力伝送装置P4は、外側コイル41、内側コイル42、傾き軸43、ベアリング44、回転支柱45、回転支柱46、フレーム47、支持部材48、内側磁性体49及び外側磁性体50から構成される。
【0056】
図4の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図4の左下欄は、平面図を示す。
図4の中上欄は、
図4の左上欄の正面図に対して、ベアリング44の左側から見た右側面図を示す。
図4の中下欄は、
図4の左下欄の平面図に対して、ベアリング44の左側から見た右側面図を示す。
図4の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。ここで、
図4の左上欄の正面図、
図4の左下欄の平面図及び
図4の右上欄の正面図では、フレーム47については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0057】
外側コイル41、内側コイル42、傾き軸43、ベアリング44、回転支柱45、回転支柱46、フレーム47、支持部材48及び内側磁性体49は、それぞれ、外側コイル11、内側コイル12、傾き軸13、ベアリング14、回転支柱15、回転支柱16、フレーム17、支持部材18及び内側磁性体19と同様である。
【0058】
第4実施形態で追加された外側磁性体50について説明する。外側磁性体50は、外側コイル41とフレーム47との間に配置される。ここで、外側磁性体50は、オバール筒形に焼成された磁性体でもよく、ほぼオバール筒形に配置された複数の磁性体の小片でもよい(
図4の中上欄及び中下欄の右側面図を参照。)。後者では前者より、外側磁性体50の製造工程を簡便にしやすく、外側磁性体50のクラックを生じにくい。
【0059】
このように、外側磁性体50を外側コイル41とフレーム47との間に配置するため、フレーム47が金属であるときでもフレーム47での渦電流損失を防止可能となる。
【0060】
(第5実施形態の非接触型電力伝送装置)
第5実施形態の非接触型電力伝送装置の構成を
図5に示す。非接触型電力伝送装置P5は、外側コイル51、内側コイル52、傾き軸53、ベアリング54、フレーム55、支持部材56及び内側磁性体57から構成される。
【0061】
図5の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図5の左下欄は、平面図を示す。
図5の中上欄は、
図5の左上欄の正面図に対して、内側磁性体57の右側から見た右側面図を示す。
図5の中下欄は、
図5の左下欄の平面図に対して、内側磁性体57の右側から見た右側面図を示す。
図5の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。ここで、
図5の左上欄の正面図、
図5の左下欄の平面図及び
図5の右上欄の正面図では、フレーム55については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0062】
外側コイル51、内側コイル52、フレーム55、支持部材56及び内側磁性体57は、それぞれ、外側コイル11、内側コイル12、フレーム17、支持部材18及び内側磁性体19と同様である。傾き軸53及びベアリング54が、それぞれ、傾き軸13及びベアリング14と異なる点について説明する。
【0063】
傾き軸53は、外側コイル51と内側コイル52との中心軸の間の傾きを可変とする。具体的には、傾き軸53は、フレーム55の内部に固定され、内側コイル52の中心軸に対する外側コイル51の中心軸の傾きを可変とする(
図5の右上欄の正面図を参照。)。
【0064】
ベアリング54は、内側コイル52の中心軸を回転軸として、内側コイル52を回転させる。具体的には、ベアリング54は、傾き軸53のアームに固定され、手動で又は電気的に、内側コイル52の中心軸を回転軸として、内側コイル52を回転させる。
【0065】
このように、傾き軸53及びベアリング54をフレーム55の内部に配置するため、非接触型電力伝送装置P5のさらなる小型化を図ることができる。
【0066】
(第6実施形態の非接触型電力伝送装置)
第6実施形態の非接触型電力伝送装置の構成を
図6に示す。非接触型電力伝送装置P6は、外側コイル61、内側コイル62、傾き軸63、フック64、ベアリング65、フレーム66、支持部材67及び内側磁性体68から構成される。
【0067】
図6の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図6の左下欄は、平面図を示す。
図6の中上欄は、
図6の左上欄の正面図に対して、内側磁性体68の右側から見た右側面図を示す。
図6の中下欄は、
図6の左下欄の平面図に対して、内側磁性体68の右側から見た右側面図を示す。
図6の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。ここで、
図6の左上欄の正面図、
図6の左下欄の平面図及び
図6の右上欄の正面図では、フレーム66については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0068】
外側コイル61、内側コイル62、フレーム66、支持部材67及び内側磁性体68は、それぞれ、外側コイル11、内側コイル12、フレーム17、支持部材18及び内側磁性体19と同様である。傾き軸63、フック64及びベアリング65が、それぞれ、傾き軸13及びベアリング14と異なる点について説明する。
【0069】
傾き軸63及びフック64は、外側コイル61と内側コイル62との中心軸の間の傾きを可変とする。具体的には、傾き軸63は、フレーム66の内部に固定され、フック64は、傾き軸63に着脱でき、傾き軸63及びフック64は、外側コイル61の中心軸に対する内側コイル62の中心軸の傾きを可変とする(
図6の右上欄の正面図を参照。)。
【0070】
ベアリング65は、内側コイル62の中心軸を回転軸として、内側コイル62を回転させる。具体的には、ベアリング65は、フック64のアームに固定され、手動で又は電気的に、内側コイル62の中心軸を回転軸として、内側コイル62を回転させる。
【0071】
このように、傾き軸63及びベアリング65をフレーム66の内部に配置するため、非接触型電力伝送装置P6のさらなる小型化を図ることができる。そして、フック64を傾き軸63に着脱するため、内側コイル62を外側コイル61に結合/非結合できる。
【0072】
(第7実施形態の非接触型電力伝送装置)
第7実施形態の非接触型電力伝送装置の構成を
図7に示す。非接触型電力伝送装置P7は、外側コイル71、内側コイル72、球体軸73、フレーム74、支持部材75及び内側磁性体76から構成される。
【0073】
図7の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図7の左下欄は、平面図を示す。
図7の中上欄は、
図7の左上欄の正面図に対して、内側磁性体76の右側から見た右側面図を示す。
図7の中下欄は、
図7の左下欄の平面図に対して、内側磁性体76の右側から見た右側面図を示す。
図7の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。ここで、
図7の左上欄の正面図、
図7の左下欄の平面図及び
図7の右上欄の正面図では、フレーム74については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0074】
外側コイル71、内側コイル72、フレーム74、支持部材75及び内側磁性体76は、それぞれ、外側コイル11、内側コイル12、フレーム17、支持部材18及び内側磁性体19と同様である。球体軸73が、傾き軸13及びベアリング14と異なる点について説明する。
【0075】
球体軸73は、外側コイル71と内側コイル72との中心軸の間の傾きを可変とする。具体的には、球体軸73は、フレーム74の内部に固定され、内側コイル72の中心軸に対する外側コイル71の中心軸の傾きを可変とする(
図7の右上欄の正面図を参照。)。
【0076】
球体軸73は、内側コイル72の中心軸を回転軸として、内側コイル72を回転させる。具体的には、球体軸73は、フレーム74の内部に固定され、手動で又は電気的に、内側コイル72の中心軸を回転軸として、内側コイル72を回転させる。
【0077】
このように、球体軸73をフレーム74の内部に配置するため、非接触型電力伝送装置P7のさらなる小型化を図ることができる。そして、球体軸73を配置するときには、傾き軸53及びベアリング54を配置するときより、傾き軸及び回転軸を簡素化できる。
【0078】
(第8実施形態の電磁波照射/受信装置)
第8実施形態の電磁波照射/受信装置の構成を
図8に示す。電磁波照射/受信装置Aは、非接触型電力伝送装置P1、送電側制御装置81、送電側電源82、固定部材83、受電側制御装置84、受電側電源85、照射/受信機器86、照射/受信部材87、傾き軸モータ88、回転軸モータ89、回転軸ギア90及び回転軸リング91から構成される。
【0079】
図8の左上欄は、傾きがないときでの正面図を示す。
図8の左下欄は、平面図を示す。
図8の右上欄は、傾きがあるときでの正面図を示す。
図8の右下欄は、
図8の左下欄の平面図に対して、固定部材83の左側から見た右側面図を示す。ここで、
図8の左上欄の正面図、
図8の左下欄の平面図及び
図8の右上欄の正面図では、フレーム17については断面形状を示すが、他の部材については平面投影形状を示す。
【0080】
送電側制御装置81は、送電側電源82を制御し、動作制御及びデータ伝送のために、無線装置を搭載する。送電側電源82は、内側コイル12に電力を伝送する。固定部材83は、支持部材18を固定し、送電側制御装置81及び送電側電源82を搭載する。
【0081】
受電側制御装置84は、受電側電源85を制御し、動作制御及びデータ伝送のために、無線装置を搭載する。受電側電源85は、フレーム17に固定され、外側コイル11から電力を受電する。照射/受信機器86は、フレーム17に固定され、照射/受信部材87を制御する。照射/受信部材87は、電磁波を照射及び/又は受信する。
【0082】
ここで、電磁波照射/受信装置Aは、照明装置、カメラ装置、赤外線センサ装置、X線解析装置及びレーダ装置等である。そして、照射/受信部材87は、光源、レンズ、赤外線センサ、X線光源/センサ及び送受信アンテナ等である。
【0083】
傾き軸モータ88は、傾き軸13に搭載され、傾き軸13を回転させる。傾き軸モータ88が回転すると、傾き軸13が回転し、フレーム17及び外側コイル11が傾き、受電側制御装置84、受電側電源85、照射/受信機器86及び照射/受信部材87が傾く。
【0084】
回転軸モータ89は、固定部材83に固定され、回転軸ギア90を回転させる。回転軸ギア90は、回転軸モータ89に接続され、回転軸ギア90自身の回転により、回転軸リング91を回転させる。回転軸リング91は、回転支柱16に固定され、回転軸リング91自身の回転により、フレーム17、外側コイル11を回転させ、ひいては、受電側制御装置84、受電側電源85、照射/受信機器86及び照射/受信部材87を回転させる。
【0085】
ここで、傾き軸モータ88は、受電側電源85から給電され、受電側制御装置84により制御される。そして、回転軸モータ89は、送電側電源82から給電され、送電側制御装置81により制御される。よって、非接触型電力伝送装置P1の使命である、ワイヤレスによる送電側装置と独立な受電側装置の稼働を実現することができる。
【0086】
なお、第8実施形態では、電磁波照射/受信装置Aは、非接触型電力伝送装置P1を備えている。しかし、その他の変形例として、電磁波照射/受信装置Aは、非接触型電力伝送装置P2、P3、P4、P5、P6、P7を備えてもよい。
【0087】
(第9実施形態の電力伝送/情報通信装置)
第9実施形態の電力伝送/情報通信装置を
図9に示す。
図9に示した電力伝送/情報通信装置P9は、
図1に示した非接触型電力伝送装置P1に加えて、第1無線通信機20−1及び第2無線通信機20−2を備える。
【0088】
支持部材18は、内側コイル保持部材として、内側コイル12を内側から保持する。フレーム17は、外側コイル保持部材として、外側コイル11を外側から保持し、外側コイル11に対する内側コイル12の相対運動を可能とする内側コイル収容空間を有する。
【0089】
第1無線通信機20−1は、支持部材18の先端に配置される。第2無線通信機20−2は、外側コイル11と内側コイル12との中心軸の間の傾きがないときでの、内側コイル収容空間を介して支持部材18の先端と対向するフレーム17の場所に配置される。
【0090】
第1無線通信機20−1及び第2無線通信機20−2として、(1)電波による無線通信を行うアンテナであってもよく、(2)赤外線又は可視光による無線通信を行うLED、LD及びPD(さらにこれら周辺のレンズ部材)であってもよい。
【0091】
このように、
図1に示した非接触型電力伝送装置P1を用いて、
図9に示した電力伝送/情報通信装置P9において、電力伝送と情報通信との融合を図ることができる。
【0092】
ここで、支持部材18の先端とフレーム17の上記場所とは、第1、2無線通信機20−1、20−2により接続される。よって、電力伝送/情報通信装置P9の回転動作及び傾き動作の可動範囲が、有線ケーブルのねじれ、屈曲及び断線の問題により制限されることがない。
【0093】
そして、第1、2無線通信機20−1、20−2は、電力伝送/情報通信装置P9の中心軸上に配置される。よって、電力伝送/情報通信装置P9の回転動作及び傾き動作の可動範囲が、第1、2無線通信機20−1、20−2の指向性の問題により制限されることが少なくなる。
【0094】
さらに、第1、2無線通信機20−1、20−2は、フレーム17内の内側コイル収容空間を介して通信する。よって、第1、2無線通信機20−1、20−2の間の無線通信が、介在物により途絶えることがなく、電磁波の減衰の大きい媒体中(例えば浮遊物が多く存在する水中など)でも途絶えることが少なくなる。
【0095】
なお、第9実施形態では、電力伝送/情報通信装置P9は、
図1に示した非接触型電力伝送装置P1を備えている。しかし、その他の変形例として、電力伝送/情報通信装置P9は、
図2、3、4に示した非接触型電力伝送装置P2、P3、P4を備えてもよい。
【0096】
(第10実施形態の電力伝送/情報通信装置)
第10実施形態の電力伝送/情報通信装置を
図10に示す。
図10に示した電力伝送/情報通信装置P10は、
図6に示した非接触型電力伝送装置P6に加えて、第1無線通信機69−1及び第2無線通信機69−2を備える。
【0097】
支持部材67は、内側コイル保持部材として、内側コイル62を内側から保持する。フレーム66は、外側コイル保持部材として、外側コイル61を外側から保持し、外側コイル61に対する内側コイル62の相対運動を可能とする内側コイル収容空間を有する。
【0098】
第1無線通信機69−1は、支持部材67の先端に配置される。第2無線通信機69−2は、外側コイル61と内側コイル62との中心軸の間の傾きがないときでの、内側コイル収容空間を介して支持部材67の先端と対向するフレーム66の場所に配置される。
【0099】
フック64は、傾き可変部材の構成要素として、支持部材67の先端に配置される。傾き軸63は、傾き可変部材の構成要素として、内側コイル収容空間内に配置され、フック64を着脱可能である。フック64及び傾き軸63は、第1無線通信機69−1と第2無線通信機69−2との間の無線通信を可能とする無線通信路空間を確保する。
【0100】
具体的には、フック64のアーム部分は、中空円筒であり、フック64の引っ掛け部分は、二股に分かれている。そして、傾き軸63は、二本に分かれており、二股に分かれたフック64の各々の引っ掛け部分は、二本に分かれた各々の傾き軸63に引っ掛けられる。すると、電波、赤外線又は可視光は、フック64のアーム部分の中空円筒内、二股に分かれたフック64の各々の引っ掛け部分の隙間、及び、二本に分かれた各々の傾き軸63の隙間を通って、第1無線通信機69−1と第2無線通信機69−2との間を伝搬する。
【0101】
このように、外側コイル61及び第2無線通信機69−2が取り付けられるフレーム66の傾き軸63に、内側コイル62及び第1無線通信機69−1が取り付けられるフック64を引っ掛けるのみにより、たとえ水中でも電力伝送及び情報通信を容易に開始することができる。
【0102】
なお、第10実施形態では、電力伝送/情報通信装置P10は、
図6に示した非接触型電力伝送装置P6を改良している。しかし、その他の変形例として、電力伝送/情報通信装置P10は、
図5、7に示した非接触型電力伝送装置P5、P7を改良してもよい。
【0103】
例えば、
図11に示した非接触型電力伝送装置P11において、二系統に分かれた傾き軸53を平行して配置して、第1無線通信機58−1と第2無線通信機58−2との間で、二系統に分かれた傾き軸53の隙間を電波、赤外線又は可視光が伝搬するようにしてもよい。そして、
図7に示した非接触型電力伝送装置P7において、球体軸73の球体部内部及び支持台内部に空間を配置して、第1無線通信機と第2無線通信機との間で、球体軸73の球体部内部及び支持台内部の空間を電波、赤外線又は可視光が伝搬するようにしてもよい。
【0104】
(第11実施形態の自律可動型ロボットシステム)
第11実施形態の自律可動型ロボットシステムの構成を
図12に示す。
図12に示した自律可動型ロボットシステムSは、
図9に示した電力伝送/情報通信装置P9、自律可動型ロボット装置R、送電側電源92、第1電力伝送線93、第2電力伝送線94、情報処理端末96、送電側制御装置97及び第1情報通信線98を備える。自律可動型ロボット装置Rは、受電側電源95、第2情報通信線99及び受電側制御装置100を備える。
【0105】
自律可動型ロボット装置Rは、電力伝送/情報通信装置P9を搭載される。例えば、自律可動型ロボット装置Rとして、自律歩行型ロボット装置、物品搬送型ロボット装置、ドローン装置及び水中探査型ロボット装置などが挙げられる。
【0106】
第1電力伝送線93は、支持部材18に沿って配置され、内側コイル12に接続され、送電側電源92から電力伝送/情報通信装置P9への電力伝送を行う。例えば、第1電力伝送線93として、大電力用の径が太いケーブルなどが挙げられる。
【0107】
第1情報通信線98は、支持部材18に沿って配置され、第1無線通信機20−1に接続され、情報処理端末96及び送電側制御装置97と電力伝送/情報通信装置P9との間の情報通信を行う。例えば、第1情報通信線98として、大容量用の同軸ケーブル及び光ファイバケーブルなどが挙げられる。
【0108】
第2電力伝送線94は、内側コイル12と磁界結合する外側コイル11に接続され、電力伝送/情報通信装置P9から自律可動型ロボット装置Rの受電側電源95への電力伝送を行う。ここで、第2電力伝送線94は、電力伝送/情報通信装置P9の回転動作及び傾き動作によって、ねじれ及び屈曲を引き起こすことはない。
【0109】
第2情報通信線99は、第1無線通信機20−1と無線通信を行う第2無線通信機20−2に接続され、電力伝送/情報通信装置P9と自律可動型ロボット装置Rの受電側制御装置100との間の情報通信を行う。ここで、第2情報通信線99は、電力伝送/情報通信装置P9の回転動作及び傾き動作によって、ねじれ及び屈曲を引き起こすことはない。
【0110】
このように、
図9に示した電力伝送/情報通信装置P9を用いて、
図12に示した自律可動型ロボットシステムSにおいて、自律可動型ロボット装置Rを操作することができる。
【0111】
ここで、送電側電源92と電力伝送/情報通信装置P9とは、支持部材18に沿って配置される第1電力伝送線93により接続され、支持部材18は、フレーム17に対して相対的に回転動作及び傾き動作を行う。よって、自律可動型ロボット装置Rへの大電力伝送及びバッテリレスの長時間連続可動が必要なときでも、自律可動型ロボット装置Rの可動範囲が、第1電力伝送線93のねじれ、屈曲及び断線の問題により制限されることが少なくなる。
【0112】
そして、情報処理端末96及び送電側制御装置97と電力伝送/情報通信装置P9とは、支持部材18に沿って配置される第1情報通信線98により接続され、支持部材18は、フレーム17に対して相対的に回転動作及び傾き動作を行う。よって、自律可動型ロボット装置Rとの大容量通信及びリアルタイム通信が必要なときでも、自律可動型ロボット装置Rの可動範囲が、第1情報通信線98のねじれ、屈曲及び断線の問題により制限されることが少なくなる。
【0113】
なお、第11実施形態では、自律可動型ロボットシステムSは、
図9に示した電力伝送/情報通信装置P9を備えている。しかし、その他の変形例として、自律可動型ロボットシステムSは、
図10、11に示した電力伝送/情報通信装置P10、P11を備えてもよい。
【0114】
また、第11実施形態では、天井、壁、床及び他の装置などの固定部材Fに、送電側電源92、情報処理端末96及び送電側制御装置97を固定している。しかし、その他の変形例として、天井、壁、床及び他の装置などの固定部材Fに、電源プラグ及び情報処理端末96を配置する一方、電力伝送/情報通信装置P9の支持部材18又は支持部材18に固定された他の部材に、送電側電源92及び送電側制御装置97を固定してもよい。